ベビードールの誘惑
買ってきたばかりの服や小物を部屋で開ける時はいつもわくわくする。
お店で試着していても、部屋で着てみるとまた違って見えるし、買ってきた服を手持ちの服に合わせてファッションショーじみたことをするのも好きだった。
今日は学校帰りに寄り道して買った服が唯を待っている。お風呂から上がり、部屋で髪を乾かしながら、唯はショップバッグから出した服をそっと広げてみた。

「…うー…やっぱり可愛い…っ!」

買ってきたのはベビードール。ひらひらとたくさんのフリルがついたそれはシフォンの生地で作られていて、お店で見た時に一目惚れして購入したものだ。
洗面台にタオルを置いて、早速着用してみることにした。セットになっていたショーツも穿いて、鏡の前に立ってチェックする。
薄いピンクの生地は透け感のあるもので、胸元から肩紐はフリルがたくさんついていた。前開きになっている所為でへその辺りが無防備すぎるような気もしたが、合わせを止める為のリボンが可愛らしい。ショーツもストリングビキニでベビードールに合わせたフリルが唯のテンションを上げた。

「ひもぱんつだー!かわいー!」

くるくる鏡の前で回りながら確かめていく。さすがにこれを店内で試着する勇気はなく、第一印象のみで購入してしまったが、これなら大満足だ。
布が多めに使われている為か、動く度にふわりと裾が浮くのもいい。
さすがにこれを人前で着るのはどうかと思うが、自分の部屋で寛ぐ分には気にしなくてもいいだろう。
ショップバッグや他に買ってきた品物を片付けてベッドに寝転がる。
なんだか服装が違うだけでいつもと変わらない自分の部屋もまるで違って感じるから不思議なものだ。
ご機嫌なまま雑誌を広げ、新しいアイテムを探る。
ベッドにうつ伏せて、雑誌をにらめっこしているうちに唯の意識は次第に眠りの世界に沈んでいった。

     

「おい、起きてるか?」

コンコンコン、と扉をノックする音と呼びかける声に目を覚ます。
ぼんやりとまだ半開きの目を擦りながら、唯は何も考えずに扉を開けた。

「はぁーい…」

部屋の前に立っていたのは荒垣だ。
あー荒垣先輩だー、と扉に手をかけながら笑顔を作る。けれど、次の瞬間、物凄い勢いで扉が閉められた。

「…ほええ?」

意味がわからず戸惑っていると、もう一度扉が開く。今度は荒垣も扉を閉めたりせずに室内に入ったが、代わりに閉めた扉に額をくっつけて状況整理をしているようだった。
数十秒たっぷり時間をかけて荒垣が振り返る。そのうちに唯も目が覚めてきて、自分の格好に気が付いた。
そうだ、昨日自分は気付いたら眠っていたはずで、先ほど荒垣に起こされるまで眠っていたはずで、もちろん着替えているはずもない。
ということは。

「な、や、ええええ!?」
「ば、馬鹿かお前、騒ぐな!」
「だ、だって…!」

慌てて色々隠そうとするものの、隠しようがないのはわかっていた。
確かに気に入って購入したものだ。思った以上に好みど真ん中で満足もしている。けれど、こんな何の心の準備もなく自分以外に、それも荒垣に見られることになるとは思ってもいなかったのだ。

「つかなんつー格好してやがるんだおめーは!なんでそんな透けてんだ、なんでそんな肩出してんだ!」
「それは…えと、自分の部屋だし…その、ベビードールだから…?」
「扉の前にいたのが俺じゃなかったらどうするつもりだったんだ…」
「うう…」

寝起きでされる説教ほど辛いものはない。
床に座り、大きな溜息を吐き出しながら繰り出される荒垣の説教に、こちらも思わず正座をして聞き入りながら、俯いて溜息を吐いた。
可愛いのに、と少しへこみながらも顔を上げて荒垣の目を見る。
すると、途端に目を逸らされて、唯は泣きそうになった。

「なっ、なんでそんな怒ってるんですかー!?」
「な、」
「可愛いじゃないですかあ!ひらひらしてるしひもぱんつだし胸元リボンだしー!!」
「ひ、ひもぱんつ…?」

身を乗り出して荒垣に詰め寄りながら訴えると、荒垣は一瞬視線を下に動かして、それから動きを止めた。

「…先輩?」

動きを止めた荒垣にことりと首を傾げる。荒垣の手がそっと結ばれた紐に伸びた。
え、と思う暇もなく紐が引っ張られて解けていく。はらりと落ちた布地に唯は慌ててしゃがみこんだ。手で押さえるけれど、それにどれほどの意味があっただろう。
真っ赤になりながら荒垣の顔を覗き見ると、意地悪そうな笑みを浮かべて唯を見つめていた。
(な、なんか嫌な予感が…!)
嫌な予感というものほどよく当たる。
それを裏付けるように荒垣の手が今度は胸元のリボンに伸びた。足の間を両手で押さえている為、すぐに阻止することは出来ず、リボンもさっさと解かれてしまう。
どっちを押さえるべきか、とりあえず隠さなければと思い片方の手を動かそうとすると、今度はその手を荒垣に掴まれた。

「あらが、」
「朝メシ、どうすっか聞きに来ただけなんだが…」
「え?」
「…たまには、ナシでもいいよな?」
「は、あ……っんん!」

突然口付けられて、思わず目を瞑る。
気付けば床に押し倒されていた。

「せ、先輩…!?」
「んな格好してたらどうなるか、よく覚えとけよ?」
「ほえ?……ひゃ、あっ」

胸を柔らかく揉まれ、突起を摘まれる。舌が首筋を這って降りていく。
どこでどんなスイッチが入ったのか、唯にはさっぱりわからなかったし、この状況では頭もうまく働かない。
唯に許されたのは荒垣の与える刺激に身体を震わせることだけだった。

「っふ、や、やぁ…っ」

ぞくぞくする。下半身が重くなってどんどん身体が熱を持っていくようだった。
時折肌を辿る荒垣の唇がきつく吸い上げる。荒垣は痕が残るのを楽しんでいる節があって、唯はその度に身体をびくりと跳ねさせられる羽目になった。
骨ばった指が太ももをなぞる。何かを確かめるように指が這い、片方だけ紐が外されたショーツの奥、一番敏感な部分に辿り着いた。

「…は、随分やる気満々じゃねーか」
「そ、そんなのっ」

言外に含められた意味に気付いて顔が赤くなる。潤んだ目で睨んでも荒垣は鼻で笑うだけで威力はないに等しい。
それどころか入り口をなぞっていた指が中に入り込んでしまえば唯には睨むことすら出来なくなった。
わざとそうしているのか、中で指が掻き回される度にやけに大きく水音が響く。
それと同時に親指でぷくりと膨れがあった場所を押しつぶされ、内側と外側両面から刺激を与えられて、目も開けていられなくなる。
どうにか声だけでも抑えようと口を手で覆っていると、胸の突起を弄っていた手を離し、荒垣は唯の手を取った。
軽く手の甲に口付けられて、そのまま腕を荒垣の首に持っていかれる。

「腕、首に回してろ」
「あ、…っ!」

指を引き抜かれ、代わりに宛がわれる熱。ゆっくりと入り込んでくる明らかな異物。内壁を擦り上げられる感触に、涙がぶわりと溢れた。
首に回した腕に少しだけ力を込めて縋りつく。気を抜くと意識が飛んでしまいそうだった。

「せんぱ、い…」
「…動くぞ」
「は、い…っ」

揺さぶられて、挿入時の比ではない刺激が身体を駆け巡る。声を殺すような余裕もなく、嬌声が零れていった。
水の膜が張った視界の中、必死で荒垣を引き寄せてキスを強請る。絡み合う舌にぼうっとしていると、不意に微笑まれ、頭を撫でられた。
どこまでも優しい瞳をするくせに打ち付ける腰の動きは容赦がない。

「やっ、だめ、イッちゃ…っ」
「…イけよ」
「やだ、やだっ、一緒がいい…っあああ!」

身体が一瞬大きく痙攣し、次いでゆるゆると弛緩していく。ほとんど同時に達したらしい荒垣も大きく息を吐き出しながら唯の上にのしかかった。
荒い呼吸を繰り返しながら、ふと気付く。体温がまったくと言っていいほど同じになっていることに。
本当に一つになっているようで、なんだか嬉しくなって笑うと、何笑ってんだ、と軽く小突かれた。

「えへへ…、なんか、すっごく荒垣先輩が好きだなあって思って」
「…なっ」
「え…?」

にっこり笑ってそう言うと、荒垣は慌てたように上体を起こして離れようとする。けれどその瞬間、唯の中にあった荒垣のものが形を変えた。

「え、あ、あの…っ」
「くそ、…お前の所為だからな…!」
「そんなあ!」

静止の声を荒垣の唇で塞がれ、ほんの少しだけ困って唯は視線を彷徨わせる。
ちらりと時計を見ると、このままでは朝ご飯どころか、昼ご飯に間に合うかも怪しかった。

     


ベビードールを着たハム子がどうしても書きたくなったのでつい。
カッとなってやった訳じゃない。でも後悔はしてる★ちょっと前戯短かったかなーって(そっちか!)

2010/10/28 改訂

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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