夢魔の悪戯 〜ついでに(こら)伊織順平の場合〜 |
彼は荒垣や明彦と違い、早々にこれが夢であると気付いていた。 何せ場所が以前シャドウ討伐の為に行ったホテルの一室そのままだったからだ。 あの当時組んだメンバーは唯と自分と明彦とゆかり。唯と共に飛ばされた明彦の状況はさっぱりわからないままだったが、ゆかりと共に飛ばされた時の相当に痛い思い出が順平の脳裏には残っている。 まさかここでゆかりが出てくるはずもないだろうが、それにしたってこんないかがわしい場所の夢を見るとは、自分の深層心理は一体どうなっているんだ、と少し不安になる。 騙されていたとは言え、自分はチドリを好いているし、どうせ夢ならば以前あったことをなぞるのではなく、それなりにいい思いがしたい、と妙にふかふかしたベッドに腰掛けながら思っていた。 しばらく経って、シャワールームから人が出てくる。ああ、この際美鶴先輩でもいいなあ、とぼんやり見ていた順平は次の瞬間、大きく目を見開いて飛び退く羽目になった。 「順平くんおまたせー」 バスタオル一枚の唯がそっと順平との距離を詰めてくる。夢だから別にいい気もするし、、夢だけどこのままではまずい気もした。
「いっで!!」 突然の痛みと共に夢から引き戻される。どうやら寝相が悪すぎてベッドから落ちたらしい。 「…これどっちをオカズにヌいても心が痛いんですけど…」 傍から見ればくだらないが、順平は真剣に悩んでいた。
順平の場合。 2010/10/28 改訂
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