それも自然な僕の言葉
十年後。ボンゴレアジト。
獄寺が自分の部屋だと教えられた部屋には、十年の月日が本当に流れたのか首を傾げるようなものばかりが並んでいた。
香水にシャンプー、トリートメント。ビアンキに押し付けられるようにして使わされているスキンケア用品。
中学生の獄寺の部屋に並ぶものとまったく同じ銘柄のものばかりだ。
成長がないのか、と少し肩を落としたけれど、使い慣れないものよりはずっといい。ただでさえ環境の違いに身体も心も疲れているのだ。
(タオルとシャンプー…あと何だっけ。)
風呂に必要なものをひょいひょい、と手に取っていく。
スキンケアなんてものは女がやっていればいいとは思うのだけれど、化粧水を使わなかったことがバレた時にビアンキに何を言われるかわからないし、肌がかさつくのも出来れば避けたい。風呂上りにさっさと済ませてしまおう、と結局化粧水と乳液の瓶も取った。
必要なものだけを手に取ったはずなのに、部屋を出る時には腕に抱えたボトルの量がやけに大量になっていた。

「あ、獄寺殿ー!」

ぱたぱたと近づいてくる足音に首だけで振り返ると、へらりと笑ったバジルが駆け寄ってくるところだった。

「お風呂ですか?」
「ああ」
「拙者もなんです。一緒に行きませんか?」
「いいけど」

並んで風呂場まで歩いていると、足音と一緒にカランカランと音が鳴る。
不思議に思ってバジルを見るとやけにレトロな雰囲気の洗面器を抱えていた。和風とは程遠い見た目をしているくせに、バジルは古風なものを好むから、彼らしいと言えば彼らしいチョイスかもしれない。

「?」

さっきからバジルの視線が手元に行ったまま動かない。なんだよ?と訊ねると、重たそうですね、と返ってきた。
重いというよりは持ちにくい。持ちなれてるダイナマイトならいくつでも持てるのだけれど。
危うくボトルを落としそうになって、やはりカゴか何かを探すべきだった、と思いながら慌てて持ち直す。バジルは肩を揺らして笑っていた。

「ああ、すみません、少し持ちましょうか?」
「…いいよ、そんな重くないから」
「でもすごいたくさんですね」
「あー、化粧水とかもあるから」
「化粧水?」

不思議そうにバジルが言う。
男が化粧水を使う、というのはやはり一般的ではないらしい。山本にそれを言った時も、確かひどく驚かれた気がする。
山本や笹川辺りが化粧水を使う姿と言うのも想像が付かない。というか、洗顔フォームすら使っていた様子がないから、彼らを比較対象にするのは間違いかもしれないが。
思い立って、変?と訊ねると、いいえ、と微笑まれた。

「だから獄寺殿の肌はそんなにきれいなんですね」

……。

「ぎゃー!!」
「ええ?!」

かあ、と顔どころか耳まで赤く染まったのがわかった。
言われた言葉に思わず後ずさる。持っていた荷物が豪快な音を立てて落ちたけれど、それどころではなかった。
(何こいつ!何こいつ!)
狼狽する獄寺とは対照的で、バジルは特に変わった様子はない。床に散らばったボトルを拾って、はい、と差し出すバジルは獄寺が赤面していることにようやく気づいて首を傾げた。

「獄寺殿?」

きっと彼は何故獄寺が顔を赤くしているかわかっていないのだろう。
(くそ、こいつぜって天然だ!)
一人で赤面していることが余計に恥ずかしくて、心の中で毒吐く。
ボトルを受け取りながら悔し紛れに舌打ちするけれど、頬の火照りは取れなかった。

「…お前さあ、よく平気で恥ずかしいこと言えるよな」
「恥ずかしいこと、ですか?」
「オレの肌がきれいとか、そういう」
「…あ、えっと、」
「……」
「その、前からきれいだなと思ってたので…けど、そうですね、…恥ずかしいですね、確かに…」

そう言うバジルの声が段々と小さくなっていく。
ようやく獄寺の頬の赤みの理由に気づいたらしいバジルも自分の発言を振り返って頬を染めた。獄寺の頬も赤いままだ。
なんとなく気恥ずかしくて、顔を赤くしたまま黙って風呂場までの道のりを歩いた。

髪も身体も洗って湯船に浸かる。
その頃には頬の赤みは引いていたけれど同じように湯船に浸かっていたバジルの言葉にまた顔が赤くなった。

「獄寺殿いい匂いがしますね」

悪気がないから余計に性質が悪いとはこのことだ。
さすがに先ほどのこともあって耐性が出来ていたらしく、ぎゃあ、とは言わなかったけれど。
獄寺が恨みがまし気な視線を送るとバジルはしまった、という顔をして獄寺を伺い見た。

「せ、拙者またやってしまいましたか…!?」
「天然なのか?わざとか?」
「いえまったく悪気は!」

すみません、と繰り返すバジルに、ふう、とため息を吐いて、お湯から上がる。
もう上がるんですか?と訊ねられたけれど、こんなことばかり言われて長々と風呂になんかいられる訳がない。

「いい加減のぼせる」
「あ、じゃあ拙者も出ます」

(…のぼせるのは、風呂にだけじゃないんだけど。)

                


出来上がってるものと思ってください。(バジル相手でか!)
二人でお風呂上りに牛乳飲んでればいいと思うよ。んでごっきゅんの口元に牛乳ついてるの見てバジルが可愛いですねとか言ってごっきゅん真っ赤になってつられてバジルも赤くなって結局二人で赤面してたらいいと思うよ。

2010/11/01 改訂

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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