サンプル。 |
運命論なんて信じないけど。 小指の先の赤い糸なんて信じないけど。 もし運命なんて物が本当にあって、俺のこの小指に赤い糸がくっついてるなら。 それは、きみの小指と繋がっていたい。
ジリジリ日差しが照りつける真夏の空、窓ガラス一枚隔てて涼しい室内。温度差は多分、10℃以上。 「一緒じゃなかったことないから、わかんない」 ウソツキ。 「物理的に一緒にいないとき、お前何考えてた?仕事のことばっか?勉強のことばっか?俺のこと、ちっとも思い出さなかった?」 優しい声音。聞いてるだけでこっちまで優しくなれるような。 「ホントに隣にいなくても、お前が俺のこと考えて、俺がお前のこと考えてたら、ホントのホントは一緒にいるんだよ」 それは、きっと、ただの屁理屈で。幼稚な、言い訳で。だけど。 「わ、何」 もし運命の赤い糸なんて物があって、それが目に見えて、もしきみと繋がっていられたら。 「そんなに不安?」 言葉もなく頷くときみの腕に力がこもる。ひんやりした空気に、人の体温はひどく温かくて、こんなにも安心出来る物なんだとはじめて知った。 「見えなくても、あるよ。ちゃんと、繋がってる証」 小指を絡めて見つめ合う。 「一緒だよ。ずっと。いつでも」 体温が感じられる距離にいても、声さえ聞こえない場所にいても、ずっと。
クーラーの冷たい風に晒された肌と、触れあったトコロの温度差に、少し胸が苦しくなった。
とりあえず王道的に報道うさぎ×ねこ。
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