一番最初のハッピーバースデイ
大好きだから、大好きで大好きで仕方なかったから。
誰より先に、一番最初におめでとうを言うんだとずっと前から決めていたんだ。

          

起きてるかな、起きててくれよ、とどこか祈る気持ちでその場に立つ。
いくら彼がイベントごとに興味がなくても、一馬はといえばそういったもの一つ一つを大切にした人間だった。
だから、夜、こっそり家を抜け出した。
英士や結人の家にでもいれば、親の目を盗む必要はなかったかもしれないけれど。
よく泊りにも行くから、彼らも悪い顔はしないだろうけれど。問題は絶対についてくるだろうということ。
一番最初に祝いたいからなどと一馬が言えば、彼らはきっと自分が一番に、とか、じゃあ三人で、とか言い出すのだ。そんなことはわかりきっている。
一ヶ月以上前からプレゼントを悩んでいた彼らを知っているから。
だから一人、ここに立っている。
問題は祝われる側の人間が起きているかどうかなのだが、夜更かしを習慣としている三上がおとなしく寮の就寝時間に寝ている訳はない。
それに彼の生活する松葉寮の寮長や同室者が三上に甘いのは、三上の話で知っていたから、無理に寝かしていることもないはずだ。

部屋に明かり。
就寝時間をとうに過ぎているくせに、あまりにも堂々とした明かりに、起きていたと安堵するより、おいおい、と半ば呆れるように笑ってしまった。
時間を確かめて、携帯電話を取り出す。
文明の利器は自分にとってもやはり利器で、この頃頓にそのありがたみを実感する。

ぷるるるるっ

        

「もしもし?」
「あ、俺」
「なんだ、一馬か」
「え、ひどくね?」
「悪い悪い。…で、何?用事?」

        

いえ、用事は用事なんですが、と心の中で呟く。
腕時計で時間を見ると日付が変わるまで後一分あった。

       

「今あきさ、外、出れる?」
「?…別に出れないことはないけど。渋沢滅多なことじゃ起きねえし」
「外、見てみ?」
「は?」

カーテンが開いて、三上の顔が見える。
驚いた表情をしているから、一馬の目論見は成功したと言っていいのだろう。

「なにやってんの一馬…」

腕時計が指す時間はジャスト十二時。
誰にも言われないうちに一番を取っておかないと、誰に先を越されるかわからない。
三上は自分への好意にひどく鈍いところがあるけれど、彼は彼が思うよりずっと人に好かれているのだから。

「ハッピーバースデイ、あき」

「………あ…」

一馬が見たかったのはこの顔だ。
驚いたような、次いで少し困ったような、けれど嬉しそうな、この表情だ。
一番最初に言いたかったのは、一番に言えば、三上がこの表情をみせてくれると思ったから。
この表情を見たいがために、誕生日に作戦を練っていたのは、一馬だけではないと思う。

「自分でも呆れるくらい、俺はあきのこと大好きだよ」

夜中に家を抜け出すなんて、普段の自分ではありえないことをしてしまうくらいには。

              

誕生日。
出会えてよかったと思う。
いてくれてよかったと思う。

ありきたりな言葉かもしれない。
言葉を多く知らない一馬の、それは精一杯の愛情表現。

               


誕生日だからと思って当時必死こいてた。そしてあみだくじかなんかで相手を決めた気がする(そんな適当な)。
誕生日もの、今はあんまり書かないんですけどね。

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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