最後のキス、最初のキス。
キスがしたい。抱きしめたい。
そう口にすると決まって三上は嫌な顔をするけれど。

それでも止まらない想い。

                  

「あと数分で三上の誕生日だな」
「なんだよ。なんか文句あんの?」
「いや、同い年になるなあと思ってさ」
「悪かったな」
「別に悪いとは言ってないさ」

だって少しの間でも、三上と同じでいられるから。
たかが年齢一つで女々しいとは渋沢だって思う。
けれど、三上がもしもう少し遅く生まれていたら、自分と三上は同室になることはきっとなくて、三上をこんなに想うこともなかったのだと思うと、年齢一つでもとても重要に思えた。
誕生日一つでも、年齢一つでも三上のことならすべてが渋沢にとって重要なことだったけれど。

「なあ三上」
「あんだよ」
「ちょっといいか?」
「…あー?だからなんだって」
「…キスして良いか?」

キスがしたい。抱きしめたい。
目の前にいる大切な人に伝えたい言葉がある。

「な、なにいってんだよこの馬鹿!」
「そんなに嫌がらなくても良いだろう?さすがに傷つくぞ」
「べ、別に嫌がってるわけじゃ……あ」

しまった、という顔をする三上を可愛いと思う。

嫌ではないと言った。
取り消しは認めない。

「ちょ、渋沢…!?」
「黙って三上」

キスがしたい。抱きしめたい。
触れる体温が愛しいから。

口唇を離した時に見た時計は十二時前。
すぐそばにある赤い顔。抱き寄せてもう一度訊ねる。

「なあ三上、キスして良いか?」

十四歳の君と最後のキス。
十五歳の君と最初のキスをしたい。

時計は十二時を過ぎていた。

「…どうせ嫌だって言ったってするくせに」
「なんだ、わかってるじゃないか」

好きな人が側にいるということは、どれほどの幸せか。
大切な人の側に自分が存在出来るということは、どれほどの幸せか。

生まれてきてくれたことに最大の感謝を込めて。

          

「愛してるよ」

               


あみだで決めた渋沢さんバージョン三上誕生日小説。
おとめちっく…!!orz

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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