幸せ注意報
何でもない日常の意味を誰に問うことなく生きよう。
何でもないその日々の中にこそしあわせというものは詰まっているのだから。

何でもないようでいて、本当は何よりもしあわせなはずのこと。
普段は気付かないで、その大切さに気付かないで、脳天気に生きている自分たち。
だけどほんのちょっとした時に、そのありがたみに気付く。

そう、多分。
それに気付けることが、一番しあわせなことなのだ。

                

日曜日。
天候は腹が立つほど良好で窓から入り込んでくる日差しは凶悪なほど眠気を誘う。
おそらくはそれに感化されたのだろう、無防備に寝転ける三上がそこにいた。
先ほどまで、なんで俺が、とかなんとか、ぶつぶつ文句を言っていたと思ったら急に静かになって。
特に面白い訳でもない雑誌を熱心に読むフリをして無視を決め込んでいた水野がちら、と視線をずらしてみればこれだ。
水野は読んでいた雑誌を床に放り出して、くーすかと心地よさそうに眠る三上の側ににじり寄る。

世界で一番大嫌いだとお互いが思っていた。
そしてそれは多少他の付加価値が生まれたとしても変わらない。
今だって、三上は水野のことが嫌いだろうし、水野だって、三上のことが嫌いだ。
それなのに、何なのだろう、三上のこの無防備さは。

ふいに悪戯心が芽生えて手を伸ばす。
つんつんと頬を突つきながら水野は笑った。
それはその付加価値の所為だと思う。
大嫌いなだけなら、こんな風に触れようとはしないから。
日常の中に入り込んだ、馬鹿馬鹿しいほどのしあわせ。
呆れるほどにありきたりな、我に返ってみれば恥ずかしいくらいの、それ。

「んー…」

突いたり引っ張ったり。
それに抗議をするかのように三上が水野の手を掴んでくる。
目を閉じたまま呻っている様から察するに、半ば、若しくは完璧に無意識でやっているのだろう。
皺を寄せたままの眉間に思わず笑いが零れた。
平和ボケとでも言うのだろうか。
世間様はなんだかんだと暗いことばかり口にしているというのに。
今この瞬間にも戦争や病気で死んでいっている人もいるというのに。

「三上、三上」
「ん゛ー…」
「起きろよおい」

何度か揺さぶって三上を起こす。いや、起こそうと努力した。
名前を呼んで、揺さぶって。
それでも起きない三上に水野はため息を吐いて、手に入れていた力を抜いた。
次の瞬間。するりと延ばされた腕にバランスを崩す。
のばされた腕に抱えられながら、講義するように名前を呼んでも返事はなかった。
寝ぼけているのか寝たふりをしているのか計りかねて、それでもとりあえずされるがままになっているのも癪なので抱き返した。
三上の反応はない。
もしも起きているのなら今頃鉄拳若しくは武蔵森司令塔様得意の蹴りの一つや二つ飛んできてもおかしくはない状況だ。

相手が無防備に眠り込んでいる所為だろうか。
いつもなら口をついて出てくる悪態や皮肉が影を潜める。

規則正しい寝息に感化されたように微睡んで、結局は水野も目を閉じた。

           

世界で一番大嫌いな、けれども誰か一人を選ぶのならきっと、自分には彼しかいない。
そんな存在を抱きしめて、日溜まりの中眠りにつくのは、それはそれなり以上に心地よかった。

        

…ねえ、俺たちちょっと、しあわせすぎない? 

               


三水は甘いのに、どうして水三は甘いのが少ないんだろうと対抗して甘い水三。
同タイトルのコピー本にはあほくさいほど甘い漫画が載ってました。一緒に載せる気だったもの。間に合わなかったけど!

               

                           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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