『ユーノ君、まだ起きてる?』
僕となのはは時空管理局の臨時職員として、時空船アース
ラの中いた。アースラには昼夜の区別はないけど、今は一応
夜ということで僕らは割り当てられた部屋で寝ているところ
だったんだけど。
『どうしたの、なのは? 眠れないの?』
『えーと、そのー、何て言うか……来てくれる?』
『ん、いいよ。ちょっと待ってて』
なのはの念話に答え、僕はベットから出て軽く身支度をす
る。時計を見ると、もう普段ならぐっすり寝ている時間だ。
なのはの長所は寝付きがいいこと、短所は朝が弱いこと。
(何となく嫌な予感がする……)
自分の部屋を出て、隣のなのはの部屋に入る。
「ごめんね。寝てた?」
なのはは困った顔を赤くして、ベットの上に毛布をかぶっ
て座っていた。何となく不自然な感じ。何かを抱えている?
「僕は大丈夫だよ。それよりどうしたの?」
それなりの覚悟をしてアースラに乗り込んだなのはだけど、
やはりホームシックにでもかかったのかな。リンディさんや
アースラの人達は若干一名を除いて皆よくしてくれるけど、
なのはにとって僕も含めて異世界の人間だし。
「えと、その、レイジングハートが……」
「レイジングハート……?」
なのはがかぶっている毛布を少し開くと、胸元にレイジン
グハートの大きな赤い魔力球が顔を出す。どうやらデバイス
モードのレイジングハートを抱えていたみたいだ。
「って、え?」
さらになのはが毛布をはだけると、なのはのパジャマ姿と
レイジングハートの全体が姿を現す……んだけど、何故かレ
イジングハートの根元がなのはのパジャマのズボンの中に入っ
ている。
「よく、分からないんだけど……」
困り顔のなのは。伊達や酔狂でそうしているんじゃないみ
たいだけど。
その時だった。
「なのは、強い魔力反応があったけどワァッ!」
「きゃあぁっ!」
『Divine shooter!』
なのはの悲鳴に反応して、部屋に入ろうとしたクロノに向
かってレイジングハートから光の固まりが飛んでいく。さす
がに不意打ちでガードしきれなかったみたい。壁に卵でもぶ
つけたような嫌な音がした。容赦ないな。ていうか、デバイ
スモードのまま攻撃魔法撃っているし。
「ごめんなさい! クロノ君、大丈夫かな?」
「……大丈夫だよ。彼だって一流の魔道師だし……」
扉の向こうにピクピク震える黒い足が見える。自業自得、
女の子の部屋へ勝手に入るからだ。
「そ、そう? ……ぁ」
廊下で何かの棒に結ばれた白いハンカチが振られている。
「あのー、部屋に入ってもよろしいかしら?」
リンディさんだった。
「つまり、イメージトレーニングしながら寝てしまって、気
が付いたらこうなっていたと」
なのはも年齢の割にしっかりした子だけど、リンディさん
はなのはの説明からフェイトがどうのこうのとかざっくり削っ
てまとめてしまった。大人だな……。
クロノはエイミィさんに医療室へ連れて行かれた。で、他
の人がいると恥ずかしいということで、魔道師でもあるリン
ディさんが直接事態の解決に乗り出すことになった。僕も席
を外そうとしたんだけど、なのはの希望と元レイジングハー
トの持ち主ということで残っている。
「ちょっと見せてくれないかしら?」
リンディさんがなのはのパジャマに手をかけたので、僕は
あわてて後ろを向いた。
「まぁ、これは……」
絶句するリンディさん。どうなっているんだろう、心配だ。
「ねぇ、なのはちゃん。ユーノ君にも見てもらいたいんだけ
ど、いいかしら?」
「えっ?」
「そ、それは!」
レイジングハートは明からに下着から出ているし、そこを
見るのを問題があると思うんですが……。でもリンディさん、
なのはと何やらゴニョゴニョ話しているし。
「なのはちゃんは良いって。初めてじゃないんでしょ? 二
人ともおませさんね」
「えぇっ!?」
初めてじゃないって、下着の中は…………見たかも、温泉
で……。でも、あれは不可抗力だし、とても誤解されている
ような気が……。
「ほら、なのはちゃんが困っているのよ。助けてあげるのが
お友達でしょ」
「は、はぁ」
まぁ、なのはが良いって言っているし、変なことするんじゃ
ないし、なのはを助けるためだし……。
僕は思い切って、ガチガチになりながら振り向いた。
「っ!」
なのはのパジャマと下着は足首まで下ろされて、ほっそり
した白い足があらわになっている。その両膝とレイジングハ
ートを抱いたなのはは、顔を真っ赤にして上目使いで僕を見
つめている。
(何か、僕が悪いことをしているみたい)
リンディさんがなのはの肩に手を置くと、なのはは恥ずか
しそうに膝を開いた。
「こ、これ……融合してる?」
なのはの太ももの間、本来何も無いところから、まるで男
の物のようにレイジングハートが生えていた。見る前は刺さっ
ているんじゃないかと思っていたけど、なのはの白い肌が少
しずつ変色して盛り上がり、レイジングハートへと繋がって
いる。これは痛ましいというか……。
「なのは、痛くないの?」
「痛くはないけど、変な感じで。それよりレイジングハート
がはちきれそうなの」
なのはがそっとレイジングハートを撫でると、赤い魔力球
が点滅する。
『OH! Yes, my master! I'ts all right! Condition green!
Huu!!』
レイジングハートもちょっと、いや、かなりおかしくなっ
てる……。
「今までこの子でこんなことはあったの?」
「いえ、僕が知る限りでは。義腕に限定的な魔力デバイスと
しての力を付与して、元の腕のように動かせるようにするの
はよくあることです。でもレイジングハートのようなデバイ
スでは、術者に融合させても使用方法が限定されて機能が損
なわれてしまいます。特にインテリジェントデバイスですか
ら、融合自体がかなり難しいですし」
僕らの話になのははついて行けず、目を白黒させている。
「だとすると、この子はとても優秀でご主人様思いなのね」
「あふぅ」
リンディさんがレイジングハートを撫でると、なのはが切
なげな声を漏らす。
レイジングハートが完全に自分の身体の一部と感じられる
くらい融合しているんだ。互いに信頼しあえなければ無理な
はず。もう、レイジングハートは完全になのはのだな。
「イメージトレーニング中に寝ちゃったなのはちゃん。きっ
と夢の中でも練習していたんじゃないかな。だけど、そんな
不安定な状態じゃ魔力が暴走しかねないわ」
「そうか。だからレイジングハートは自分からなのはに融合
して、暴走しかねた魔力を吸収したんだ」
「でも難しいことを無理やりしたものだから、この子もおか
しくなってしまった、と」
レイジングハートは赤く点滅しながら意味不明なことをつ
ぶやいている。
「レイジングハート、わたしのこと、守ってくれたんだ。あ
りがとう。ごめんね、大変だったでしょ」
なのはは震えるレイジングハートを抱き、紅潮した顔でほ
お擦りする。その姿は、こんな時に不謹慎だけど、九歳の女
の子とは思えないくらい、何故かとても色っぽくて、僕はご
まかすようにリンディさんに話しかけた。
「原因は分かったとして、どうすれば融合が解けるんでしょ
うか? このままじゃジュエルシードの探索どころか、普段
の生活にも差し障りがあるし」
スカートの前からレイジングハートを飛び出させたなのは
を想像する。……しゅ、シュール過ぎる。なのはも固まって
いるとこを見ると、同じことを考えているみたいだ。年頃の
女の子にその格好は耐えられないだろう。僕だって嫌だ。
「それは簡単よ。ユーノ君は知っているはずよ、男の子だも
の」
「僕が?」
なのはが縋るように僕を見る。気持ちは分かるけど、僕に
はさっぱり分からない。でも男だからって、何だろう?
「レイジングハートはなのはちゃんのクリトリスに融合して
いるの」
「くり……?」
「女の子にも男の子のおちんちんみたいのがあるの。すごく
小さいけど。それがクリトリス」
マイペースでポンポンと凄いことを口にするリンディさん。
なのはは耳まで真っ赤になっているし、僕もリンディさんの
言わんとすることは理解した、したんだけど。
「さぁさぁ、なのはちゃんにやり方を教えて上げて。私は女
だからそうゆうのは分からないから」
「でも、僕はそうゆうのはまだ……」
本気で言っているのかな、この人。僕達、まだ九歳なんだ
けど。
「なら、私の愚息を」
「わー! やります、僕がやります! 手取り足取り何でも!」
何か、とんでもないことを言った気がするけど、なのはの
為だ、一先ず忘れよう。
「えーと……」
なのはは少し両膝を開き気味にぺたりとベットに座ってい
る。上はパジャマを着たまま、下はパジャマも下着も脱いで
いる。なのはの股間からパジャマを捲り上げ天を衝くように
飛び出るレイジングハートが、何て言うかその、シュールだ。
僕の方はというと、居住まいを正してなのはの前に座って
いる。リンディさんはベットの横の椅子に座り、砂糖とクリ
ームたっぷりの日本茶を飲んでいる。なのは曰くそれはとて
も邪道な飲み方らしく、いつもそれを見て引いている。この
場でお茶もどうかと思うけど、これに気を取られてなのはの
緊張が解けているので良しとしよう。
「僕も初めてだし、人から聞いただけの知識だから、うまく
教えられないかもしれない。でも頑張るから、痛かったり気
持ち悪くなったりしたらすぐに言ってね」
「……うん。ユーノ君、お願いします」
「こちらこそ」
互いに頭を下げる。何かその、アレみたいで恥ずかしい。
「それじゃ、最初はレイジングハートの杖のところをこんな
感じで」
杖の真ん中当たりを、両手でそっと撫でる。今のレイジン
グハートは、全体がなのはの大事なところになっている状態
だから、優しく丁寧に扱ってあげないといけない。
「んんっ」
一瞬なのはの顔が歪む。
「大丈夫? 痛かった?」
「平気、ちょっとびっくりしただけだから。でも、レイジン
グハートが熱くて、ゾクゾクして、凄くヘンな感じなの」
健気に答えるなのは。レイジングハートを介してだからか
もしれないけど、幼いなのはでも感じているようだ。
「それは気持ちいいってことだよ。今度は自分でやってみて」
なのはも両手でレイジングハートを握り、ゆっくりと上下
に動かし始める。
「うん……ん……っ…んっ……」
慣れない感覚が怖いのか、なのはの手さばきは怖ず怖ずと
して拙い。それでも感じてきているのか、なのはの呼吸も少
しずつ粗くなっていく。
「あっ!」
僕もまたレイジングハートに手を沿える。融合したレイジ
ングハートはなのはの胸元まであるので、二人が両手で握っ
て動かしても余りあるほどの長さがある。なのはは一瞬驚い
て手を止めるけど、僕が頷いてみせるとはにかんで笑った。
(よく考えたら、直接じゃないとは言え、なのはのあそこを
触っているようなものなのか)
僕は気恥ずかしくなって、レイジングハートを撫でること
に没頭した。
『Ah! Yes,Sir! Yes! Yes!』
レイジングハートも感じているみたい。でも、反応がちょっ
と……怖い。だ、大丈夫かな、余計におかしくならなければ
いいけど。
「そろそろ責め方を変えた方が良いんじゃないかしら。あま
り刺激が単調だと飽きちゃうでしょ?」
「え、あ、はい」
忘れていたけど、リンディさん居たんだっけ。のんきにお
茶のお代わりしているし。
大体リンディさんは大人で、あんな大きな息子がいるんだ
から、こうゆうのは僕よりも知っているはず。僕よりリンディ
さんがした方がなのはも恥ずかしくないだろうし、一体何を
考えているんだろう。まさか、お茶菓子代わりってことは……
ないよね。
「なのは、今度はレイジングハートの魔力球を触ってみて。
ここはもっと敏感だから気を付けて」
「ぇ、はぁ、ぁ、うん」
一心不乱にレイジングハートを撫でていたなのはは、ほっ
と大きく息をついて手を止めた。なのはの目はトロンと潤ん
でいて、何とも言えない雰囲気を醸し出している。それは思
わず抱き締めたくなりそうなほどで、僕は何とか我慢して代
わりに魔力球に息を吹きかけた。
「あぁ……」
なのはは目を閉じ、背をそらして身震いする。縛っていな
い髪が顔にかかり、九歳とは思えないほどなまめかしい。
なのはの指が伸び、赤くきらめく魔力球の縁をなぞる。
「レイジングハート……濡れてる」
確かに魔力球は湿り気を帯びているし、さらに大きくなっ
てすらいる。最初は毛布で胸元に隠せるくらいだったのに、
今はなのはの喉元ぐらいまである。本当に男のものみたいだ。
レイジングハートの基本性格は女性格なんだけど……。
「レイジングハートも気持ち良いんだよ。もっと気持ち良く
してあげるんだ」
「うん」
はぁーと魔力球に息を吹きかけ、つや出しするようにそっ
と撫でるなのは。融合したレイジングハートの根元を挟むよ
うに、なのはは両足をもじもじと擦り合わせる。きっと、な
のは自身も感じているんだ。
「んっ、ゃ、ゃぁ、はぁ」
最初は拙かったなのはの指遣いも、今は的確にレイジング
ハートの快感のつぼを探り当てている。融合のレベルが一段
階上がり、完全にレイジングハートの受ける刺激を自分のも
のとしている。この分なら、融合が解けてもレイジングハー
トと強い繋がりを持つことができるだろう。
レイジングハートは術者の意志に添い、適切な形態に変形
し、必要な魔法を発動させるインテリジェントデバイス。術
者とデバイスの同調が強ければ強いほど、デバイスの動作は
最適化されて強い威力を発揮する。それ故に術者とデバイス
の相性は重要視されるし、最初から術者を考えて作られるこ
とも多い。例えばスクライア一族のために作られたレイジン
グハートのように。
(そうか、だからリンディさんは僕にやらせたのか)
ちらっと横を見ると、やっと気が付いたのかとリンディさ
んがウィンクをした。
「あぁ、はっ、ゃん、ゃぁっ」
『Oh! Oh! Yes! I'm coming! coming!』
なのはの甘い嬌声とレイジングハートのちょっとすっ飛ん
だ声が、狭い室内に木霊する。
僕はなのはとレイジングハートを喜ばせるため、僕は金色
に輝く魔力球の支え具をなで回し、赤く濡れ光る魔力球に舌
を這わせた。なのはと融合したレイジングハートは明らかに
男のそれで、そう思うと口付けするのに少し抵抗がある。で
も僕は、それ以上に可愛く喘ぐなのはの顔が見たかった。
「んんっ、ぃゃ、ゃ、ぁぁっ」
『Condition yellow! Shooting Mode. Setup! Fuu!』
レイジングハートが光り輝き、その形態を射撃モードに変
えた。なのはもレイジングハートも絶頂が近いのだろう。あ
る意味とても分かりやすい。
「なのは、もう少しだよ。頑張って!」
「ぁっ、ゃ、ぅ、んんっ」
まともに返事をするのが辛いのか、なのはは可愛い喘ぎ声
をあげながら僕に頷いて見せた。
『Aha! Good! Yes, my master! Gooood!!』
「ゃ、ぁ、ぁっ、ゃっ、っ、ゃぁ」
息絶え絶えになりながらも、なのははレイジングハートを
撫で、なめ回し、小さな幼い体で大きな快楽を貪る。本来で
あればこんなに感じるはずもない。でもレイジングハートが
大人の器官として機能し、なのはに大人の快感を与えている。
レイジングハートはもうなのはの顔を隠すくらい大きくなっ
ている。僕はなのはの顔が見たくて、膝で立ち上がった。
「っ!」
なのはの潤んだ瞳が、レイジングハート越しに僕を見上げ
る。額を流れ落ちる一滴の汗。頬に張り付いた一筋の髪の毛。
魔力球との間で細い糸を引く、小さな可愛らしい唇。
僕は、我慢できなかった。
「なのは!」
レイジングハートごとなのはを抱き締め、その愛らしい桃
色の唇に自分の口を付ける。初めての、キス。柔らかくて、
甘く蕩けそうな感触。一瞬固まったけど、すぐになのはも唇
を押し付けてきた。横でリンディさんが、あらあらって顔し
てるけど構うもんか。自分でもこんなことするなんて信じら
れないけど、今なら死んだっていい!
『Condition Red!! Condition Red!!』
レイジングハートが叫び、部屋中に白く輝く魔方陣が拡が
る。
(やばい、限界がきたんだ。って、こんなに放出魔力が大き
いなんて!)
離れようとする僕の服をなのはがつかむ。
「いや、やめないで!」
『Yes, my master! Lightning bind!』
こんな時にも律義なレイジングハートが、白い光輪で僕の
四肢を拘束する。余りある魔力でかけられているので、簡単
には解けそうにない。
「なのは、ちょっとまムグッ!」
抱き着いてきたなのはに口を塞がれる。絶頂に打ち震える
なのはの手は、緊張して引きはがせそうにない。
リンディさんが一人でちゃっかりラウンドシールドを張っ
ているのが横目に見えた。
『Condition Red!! Starlight breaker!!!』
僕となのはに挟まれたレイジングハートが白く輝く。
(死んでもいいって思ったけど、でも……)
視界が白く染まる。
薄れる意識の中で、『Mode Release. Condition green.』
とレイジングハートの声が聞こえた。
痛い。体全体がギシギシする。
「……くん、ユーノ君!」
眩しい。もう少し寝たいけど、我慢して目を開ける。
「……っ…ゃぁ…なのは。大丈夫? 怪我は、ない? レイ
ジングハートは?」
目を開けた僕を見て、なのははほっとため息をついた。な
のははいつも通り髪を頭の上で結び、学校の制服を着ている。
どうやら無事だったみたいだ。
「私は大丈夫だよ。ユーノ君が守ってくれたから。それにほ
ら、レイジングハートも」
なのはがウエイトモードになった小さな赤い球状のレイジ
ングハートを見せる。
『All right. Condition green.』
レイジングハートも無事に融合が解除できたみたい。レイ
ジングハートの声も、心なしか恥ずかしがっているように思
える。
「……よかった」
いくら僕がサポート魔法の方が得意でも、なのはのあの攻
撃魔法を防ぐには魔力が違い過ぎる。それに自分だけじゃな
く、なのはとレイジングハート自身も守らなければならない。
これは賭けだったけど、僕にしかできない、絶対外せない賭
け。今でこそレイジングハートはなのはの物だけど、元はス
クワイア一族の物。僕となのはの魔力の差は大きいけど、あ
の時のレイジングハートには大量のなのはの魔力がたまって
いた。僕はそれを利用した。僕なら、レイジングハートを扱
えるから。
「ごめんなさい。私が考えなしで……」
「違うよ。僕が、その……しちゃったから」
「…………」
「…………」
赤面するなのは。僕も顔に血が上っているのが分かる。きっ
と、あのことを思い出している。
ファーストキス。
初めての、キス。
なのはも、そうなのかな……。
「あの……」
「えと……」
「…………」
「…………」
二人して押し黙る。何か、とても恥ずかしい。今更だけど、
よくあんなことできたと思う。
「なのはからどうぞ」
「……うん。あの、ありがとう、助けてくれて。これは、そ
のお礼」
目をつむったなのはの顔が僕に近づく。
ちゅっ。
唇に柔らかい感触。目の前に紅潮したなのはの顔。僕は固
まって動けない。
「……あ! 目をつぶってない。ひどい、恥ずかしかったのに」
頬を膨らませて抗議するなのは。可愛い。本当に守れてよ
かった。
「ご、ごめん。突然だったからびっくりして」
「それじゃ、一つ、わたしのお願い聞いてくれる? ユーノ
君にしか頼めないことだから」
「僕にしか? いいけど、何?」
へへへと笑うなのは。なんとなく嫌な予感がする……。
「ユーノ君がしてるとこ、見てみたいなぁって」
「…………え?」
「ユーノ君のを見せてくれるだけでもいいよ」
「……あの、なのは?」
「お父さんのは見たことあるけど、お兄ちゃんは一緒にお風
呂入ってくれないし、同い年くらいの男の子のって見たこと
ないし」
まったく人の話を聞いていない。
「そ、それはちょっと」
「わたし、ユーノ君に恥ずかしいところ、たくさん見られて
るんだよなぁ」
もしかして、さっきのことも含めて根に持っているのかな……。
「いま、体が痛くてあまり動けないんだよね。わたしが着替
えさせて上げるね」
邪気のない笑顔。でも、実際は邪気ありありで。痛くて身
動きのできない僕のズボンに、なのはの手がかかる。
「わぁ、ユーノ君のって、ちっちゃくて可愛いね」
ガーン!
ひどいよ、なのは……。