「なのは、そう、その調子」
眉間にしわを寄せるなのは。こめかみに汗が流れる。胸の
前に浮かぶ赤い宝石が少しずつ輝きを増す。
あの事件以来、魔法がらみのトラブルは起きていないけど、
なのはは時間を見つけては魔法の練習を続けている。魔法が
広まっていないこちらの世界では、魔法を使ってトラブルを
解決するのはあまりよくない。でも今後魔法が必要になるト
ラブルが起きる可能性はあるし、何より今のなのはには大切
な友達へのプレゼントという目標がある。
「んんんんっ」
スタンバイモードのレイジングハートからきらめきが別れ、
輝く光の玉、ディバイン・スフィアが生まれる。これは魔法
制御の練習。最初はスタンバイモードのまま、いずれレイジ
ングハート無しで簡単な魔法が使えるように。そうなればシ
ーリングモードのレイジングハートで高度な魔法を自在に使
いこなすことができる。
「で、できた……!」
なのはの顔が嬉しそうにほころぶ。まだ練習を始めてそん
なにたっていないのに、相変わらずなのはの才能はすごい。
事件の最中もそうだったけど、誰かのためにする時にすごい
力を発揮できるんだと思う。
できた光の玉がなのはの頭上を越えて浮かび上がり、結界
で暗くなった裏山の森を照らす。
「やったね、なのは」
僕はなのはの肩によじ登り、一緒にディバイン・スフィア
をながめる。なのはも僕を見て、「うんっ」とにこやかに笑っ
た。
「あとは込めた魔力をそっと解放するんだ。気を付けてね。
あれでも結構な威力があるから、失敗するとケガをするよ」
なのははまた真面目な顔をしてうなずき、ディバイン・ス
フィアに意識を集中させる。
その時、ぶーんっと音を立てて何か小さいものが飛んでき
て、なのはの鼻にぶつかった。
「ふぇっ? ふぇぇぇっ!」
なのはの鼻にとまったのは小さなコガネムシ。結界で人は
寄せ付けなくても、さすがにこんな虫までは排除できない。
もう夕方で暗くなっているから、魔法の光りに呼び寄せられ
たんだ。
「気を緩めちゃ駄目!」
びっくりして固まるなのは。いくら才能あふれる魔法使い
とは言えなのはも女の子、虫は苦手みたい。完全に意識が虫
に捕られ、集中が途切れちゃってる!
「え? ぁ、きゃっ!」
ディバイン・スフィアは制御を失って見る間に大きくなり、
そしてはじける。
「ラウンドシールド!」
閃光。爆音。衝撃……。
「……ん……ってて」
僕はズキズキする頭を押さえながら体を起こした。耳がツ
ーンとして良く聞こえない。焼けた空気が少しきな臭い。威
力を落としてあったから良かったけど、まともなのだったら
僕の魔法じゃ防ぎ切れなかったと思う。
「って、あれ、なのは?」
なのはがいない。一瞬気を失ったせいで結界が解け、落ち
る夕日に照らされ赤く染まった森の中は、いくら見回しても
人っ子一人ない。
「なのは、なのはー!」
焦って大声で叫ぶ。けど、僕の声は森の中に吸い込まれる
だけで、何の返事も返ってこない。
なのはを探すため立ち上がろうとした僕の膝から何かが滑
り落ちそうになる。とっさに抱え込んで再び座り込む。スカ
ートの上で丸くなっていたのは、茶色い小さな動物だった。
「…………え?」
目が覚めたのか、体を起こした小動物はきょろきょろと首
を振り、僕の顔を見つけて首をかしげた。まるで人間のよう
な仕草だ。
「えと、何でわたしがいるの?」
「……もしかして、なのは?」
僕と小動物は互いに見つめ合い、自分たちの体を確認し、
そして再び見つめ合った。
「えぇぇぇぇぇぇっっ!!」」
「つまり、魔法の暴走で私とユーノ君の身体が入れ替わっちゃっ
たってこと?」
「うん。他人を操ったり、乗っ取ったりする魔法もあるから
ね。僕もなのはもその系統とは異なるから、本当に奇跡的な
偶然の副作用だよ」
「ごめんなさい、ユーノ君。私が失敗したばかりに……」
僕……の姿をしたなのはが、しょげかえって肩を落とす。
「あれは仕方がないよ。とりあえず二人とも怪我はなかった
し、気を落とさないで。元に戻る方法は探すし、この手のは
しばらくしたら勝手に直ることも結構あるからさ、ね」
「……うん。でも、今日はお休みだけど、明日は学校だよ?」
うっ、それは大変かも。
「それは帰ってから考えようよ。最悪仮病を使う手もあるし」
「仮病はちょっと嫌かも……」
なのはは真面目だし、事件の時にかなり休んで勉強が大変
だったから気にしてるのかな。
「そうだ、リンディさんやクロノ君に相談してみるのは?」
「え……そ、それは、やめた方がいいんじゃないかな。管理
局も忙しいだろうし。そうだ、ほら、フェイトに余計な心配
かけて、彼女の審問に影響が出ちゃうと大変だから」
「そか……そうだよね、フェイトちゃんの方が大変だもんね」
良かった、なのはは納得してくれたみたい。リンディさん
はともかく、あいつが知ったら絶対ねちっこく厭味を言うに
決まっているからね!
「あ、そうだ、なのは」
僕はレイジングハートの紐をなのはの首にかけた。
「僕の姿を思い浮かべてみて。バリアジャケットを装着する
イメージで」
「え、うん……」
なのはが目をつぶってじっとしていると、なのはの身体が
光り始め、輪郭がくずれてどんどん大きくなる。そして、ちょっ
とボロボロのマントを身にまとった少年の姿になった。
「わぁ。これ、もしかしてユーノ君の姿?」
物珍しそうに自分の格好を見下ろす僕……の姿をしたなの
は。やっぱり変な感じ。
「そうだよ。動物の姿を思い浮かべれば元に戻るからね。動
物の姿は慣れないだろうから、人のいないとこでなら僕の姿
でいるといいよ」
その頃、アースラ艦内。
「へ、へっ、へっくしょん!」
「あら、クロノくん風邪? おなか出して寝ちゃうからだよ」
「誰が、いつ、おなか出してたんだ? エイミィ、仕事中は
私語厳禁」
「はーい」
「つ、疲れた……」
「うん、そだね……」
時間はもう夜、なのはの部屋に戻った僕となのはは、二人
して崩れるようにベットへ倒れ込んだ。
スカートが歩き辛いとかは些細なことで、箸がうまく使え
なくて怪我でもしたのかと心配されたりとか、間違えて美由
希さんをそのまま美由希さんって呼んじゃった理とか、結構
ばれるギリギリだったかも。
なのはも、動物の姿では歩くのが精一杯で、僕……なのは
の体によじ登ろうとして転げ落ちたりとか、美由希さんに振
り回されて目を回したりとか、散々な目にあったり。
「でも、ユーノ君でいるのって結構面白いかも」
「そうかな。僕はドキドキし過ぎてお腹が痛くなりそうだよ」
ベットの上でなのはと目があい、二人して自然と笑いあう。
鏡を見ているようで、でも目の前の自分が本当の自分の身体
で、中身は自分ではない。
「私はユーノ君って分かっているけど、フェイトちゃんは……」
人の手で作られし少女、フェイト・テスタロッサ。本物を
前にした彼女が受けた衝撃は、僕らでは計り知ることは出来
ない。
「なのは……。なのはが友達になったのはフェイトなんだ。
アリシアの偽物じゃない、本物のフェイト。彼女がまだ迷っ
ているなら、僕らに出来るのは友達として励ますことだけだ
よ」
「うん、そだね……。なら、早く元に戻らないと。これじゃ
練習も出来ないし」
困ったことに身体と中身が一致しないせいか、得意とする
魔法がうまく働かない。まったく出来ないわけじゃないけど、
なのはのプレゼントの練習には差し支えが出てしまう。
それに、直近の問題としてさらに困ったことが……。
「……ユーノ君、どうしたの? どこか調子悪い?」
僕の様子を心配したなのはが、僕の顔をのぞき込む。調子
が悪いとは別の問題だけど、何となく青ざめているかもぐら
いの自覚はある。ほんと、困った。
「いや、そうじゃないんだけど……えと……その……ちょっ
と……」
言うか言わないか、言わないわけにいかないけど、言って
いいのかどうか。
「ちょっと?」
僕のもじもじした様子に、なのはは不思議そうに首をかし
げる。そう、もじもじしてしまう困ったこと。少しぐらいな
ら我慢出来るけど、やはり我慢するにも限界があって。
「…あの……と、トイレ…行きたいんだけど……」
「………ぇ? ……ぁ……」
トイレでどうするのかに思い当たり、なのはの顔が赤くな
る。最近は男どころか人として見られているのか微妙なとこ
もあるけど、さすがにそこは恥ずかしいと思うみたい。僕も
信号機のように、赤くなったり青くなったり。
「そ、それじゃ……い、一緒に入る?」
というわけで、僕となのははトイレの中にいる。
「ぬ、脱がすから、ちょっと待ってて」
「……うん」
僕はそこを見ないように天井を向く。なのはは中腰になり、
僕……なのはの体が履いているミニスカートのボタンを外す。
重スカートは力に引かれて下に落ちるが、膝に引っ掛かって
止まった。そして、なのはの手がお尻の後ろに回り、ショー
ツを下にずり降ろす。こんなところ、誰かに見られたら大変
なことになるな……。
「……んっ」
自分の体ならそこでペニスがぶらぶらするんだけど、なの
はの体はただスースーするだけ。心もとないというか、寂し
いというか、不思議な感じ。
「もう座っていいよ」
僕が便座に座ると、なのはは足を開かせるように膝に手を
乗せ、僕の方というかなのはの下半身をじっと見つめる。
「……なのは?」
「え? あ、こんなの初めてだから、どうなのかなぁと思っ
て。嫌?」
「そ、そう……。いいよ、別に」
見られるのはかなり恥ずかしいけど、なのはがなのは自身
を見るのだからそれをどうこう言うのも変だし、何よりもう
我慢出来なかった。
少し力を緩めると、ちょろちょろちょろとこぼれ始め、そ
して勢いよくシューッとオシッコが吹き出す。
「んんっ」
ずっと我慢していたから、やっと出すことが出来て背筋が
ゾクゾクするような爽快感がある。それは男の体でも変わら
ないけど、やっぱりおちんちんがないから不安定な感じで、
ちょっと力が入るとおしっこが跳ねて股が濡れてしまう。
「大丈夫?」
少し頬を紅潮させ、じっと見ているなのはに聞いてみる。
僕の体はともかく、なのはの体は女の子だからちゃんとしな
いと駄目だし。
「これぐらいは大丈夫だよ。どうせ最後にトイレットペーパ
ーで拭くから。男の子は拭かないの?」
「男は腰とかあれを振ったりしごいたりするから」
「そ、そうなんだ。男の子の方が手間がかからなくて良さそう」
どうするのか具体的に思い浮かべたのか、なのはの顔が真っ
赤になる。ちょっと直接的に言い過ぎたかな。
そうこうするうちにおしっこの勢いが弱まり、最後にちょ
ろっと出て止まった。でも何か残っている感じがしてすっき
りしない。下半身に力を込めても出ないけど、大丈夫なのか
心配だ。
「えと、拭くからちょっと足を開いてね」
なのははトイレットペーパーをガラガラと引っ張り、ぱぱっ
と折り畳んで僕の足の間に差し入れた。
「わっ!」
股にあたるトイレットペーパーの刺激で、思わず声を上げ
てしまう。
「大丈夫? 痛かった?」
「平気、ちょっとびっくりしただけ」
「ごめんね、ユーノ君。もっと丁寧にするから」
股の下でなのはの手が動く。さっきよりも優しく押さえて
拭うようにしてくれているけど、やはりトイレットペーパー
の感触はお尻で感じるよりも強くて、声を堪えるのに拳を握
り締めないといけなかった。
「……ふぅ」
なのはの手が股から離れたので、ほっとしてため息をつく。
慣れかもしれないけど、女の子って大変だ。
で、なのははって言うと、汚れをふき取ったトイレットペ
ーパーを見て首をかしげている。何か変なとこがあったんだ
ろうか。
「どうしたの、何かあった?」
「え、ううん。なんでもないよ。それよりも……」
なのはは汚れたトイレットペーパーを便器に落として水を
流し、はにかみながら僕の前に立った。
「…あの…その……わたしも……」
恥ずかしそうななのは……僕のズボンは、不自然な形に膨
らんでいた。
「え、えーと……」
あれかな、やっぱり。いや、でも、中身はなのはだし、大
体、僕はまだあんなになったことないし。
「ユーノ君、どうすればいいの?」
「え? あ、ちょ、ちょっといいかな」
ほら、服の具合って事もあるし。きっとズボンのボタンを
外せば、中で服がグチャグチャになって……ないし、しかも
結構大きいし。
上着を捲り上げてズボンの前のボタンを外すと、大きく前
に突き出した下着が姿を現す。初めて見る大きくなったペニ
ス。自分のものだけど、自分のもののはずだけど、外からだ
とまるで自分のものに見えなくて。
「きゃっ」
下着を引っ張ると大きくなったペニスが元気良く飛び出し、
驚いたなのはが悲鳴を上げる。なのはの声なら可愛らしいけ
ど、ただ僕の声なのでそれが何とも。
「……お父さんのと違うね。もっと黒くて大きくて、でもぶ
らぶらしてて、形もちがくて」
女の子って、結構しっかりと見ているんだな。気を付けて
おこう。
「それは、まだ子供だから。なのはだって、お母さんとは違
うだろうし」
なのはは自分の胸を見下ろし、そっと両手を当てる。
「……なのは。それ、僕の体だから」
「あ、そっか。ユーノ君の胸が大きくなったら大変だ」
二人で顔を見合わせ、くすっと笑いあう。
「なのは、その……それ、痛くない?」
なのはが中にいるのに恥ずかしげもなく自己主張している
ペニスを指さす。色々聞いてはいても、なったことないから
自分では分からない。こんな時になるなんて、もう情けない
やら恥ずかしいやら……。
「うーん、痛くはないんだけど、熱くてむずむずする感じ。
これが男の子の出る感じなの?」
「いや、それは違くて……」
なのはが言っているのはおしっこで、たぶん立ってやって
みたいんだと思う。だけどこのままじゃできないし、とはいっ
てもどう説明すればいいのやら。
「違うって、何が?」
「何というか、その……出るものが」
「え、出るものって、おしっこじゃなくて?」
なのはは本当に知らないのかな。僕の顔で喋ってるから、
何となくからかわれている気もするけど。余計なこと知らな
ければ、かえって困らないのに。耳年増な自分が嫌だ。
「男は大人になると、別なものも出るんだ。僕はまだだから
詳しく知らないけど、こんなふうになるのは出る前兆だと思
う」
「じゃ、ユーノ君はもう大人なんだ。すごいね」
素直に感心するなのは。こんなので感心されても困っちゃ
うけど。
「それで待っていれば出るの? それとも何かした方がいい?」
「何かって、そんなことさせられないよ!」
「そうだよね、ユーノ君の初めてなんだし。なら、わたしは
見てるから」
なのは、赤ちゃんが初めて立つとか話すとかそうゆうのと
勘違いしてる。それに初めてって、また微妙なこと言うし。
「なのは、見るの?」
「うん。だって、記念になることなんだし、一人より二人の
方がいいでしょ? わたしじゃ嫌なら遠慮するけど」
「いやいや、なのはじゃ嫌ってことはないけど……」
だから、僕の身体に入っているのはなのはなんだよ?
「……いい?」
「うぅ……まぁ、なのはが見たいって言うなら……」
「ありがとう、ユーノ君!」
喜ぶなのは。皮をかぶったペニスも、一緒に喜ぶように跳
ねた。いいのかな、ほんと……。
「すぐには出ないんだ。ここを刺激すると込み上げてきて、
最後に出るみたい」
僕は勃起したペニスをそっと握ると、なのはの小さな手の
中でびくびくっと震える。ちょうど拳から亀頭が出る様子が、
まるで揚げる前の衣を被ったソーセージみたいだ。
大きくなったと言っても、こうして握ると先端が少し出る
くらいしかない。
「きゃっ」
可愛らしい悲鳴を上げるなのは。仕草や口調はなのはだけ
ど、声や顔は僕なのでかなり複雑。
「ごめん、痛かった?」
「ううん、大丈夫。びっくりしただけだから。でも、痛くは
ないけど、ちょっと、その……」
胸元で上着を押さえるなのはの顔には戸惑いが浮かんでい
る。自分が感じたことを表現する言葉が見つからないのかも。
「気持ち良かった?」
「え? そうなの、かな。うずうずして、じっとしていられ
なくて、ここが暴れだしそうな感じなの」
僕のペニスを見下ろすなのはの目……僕の目は熱をもった
ように潤みを帯びる。
「こうすると、どう?」
少しだけ手を動かす。ペニスはとても熱くて、それでいて
すべすべしている。先端を包む皮が引っ張られるけど頭が出
る様子はない。
「ひゃっ、やん!」
なのはは自分の指に与えられる刺激にたまらず腰砕けにな
り、便座に座ったままの僕……なのはの肩に寄りかかる。
「……す、すごい。男の子って、みんなこうなの?」
「どうなのかな。僕も初めてだし、今はなのはが入っているから」
「あ、そっか。わたしがユーノ君の中にいるから、ユーノ君
の初めてじゃなくて、わたしの初めてになっちゃうんだ」
いや、だから、なのはの初めては違うって。
「うん、だから止めておこうか」
そう言って握っていた手を放す。つい勢いでこんなことし
ちゃったけど、なのはも単なる好奇心でよく分かってないだ
ろうし、まだ僕らには早いと思う。
でもペニスは抗議するようにひくついてる。嫌らしい奴だ。
これが自分のだと思うと、ちょっと情けない。
「ぁ!」
「ぇ?」
「…ぁ……ぇ、えと……」
もじもじするなのは。目もキョロキョロしてちょっと挙動不審。
「なのは、どうしたの?」
「……わ、わたしは…その……別に…かまわない…けど……」
声がだんだんと小さくなる。胸元で指をかませる姿は可愛
らしいと思う。それがなのはの体だったなら。僕の体でそれ
は止めてほしいかな、ペニス丸出しだし。
「あの、なのは?」
「ゆ、ユーノ君が嫌なら、いいけど……」
何だ、なのはの様子がおかしい。顔が真っ赤で、のぼせて
いるような感じで。
「嫌というか、僕らはまだ子供だし。なのはは良いの?」
「うん。ユーノ君とだから、ユーノ君と一緒なら」
ドキッ。
いや、ドキッじゃなくて。なのは、我を忘れてない? そ
んなにすごいのかな、ペニスって。
「こんなこと、ユーノ君にしか言えないし、だから……」
すがるような、なのはの目。そうまで言われると、期待に
応えないといけないような気もするけど、それは違う気がす
るし、でも、僕らはパートナーだし……。
「……こうして欲しいの?」
「ふぁっ!」
ふたたびペニスを握ると、なのはは快楽の声を漏らす。羨
ましくなりそうなほど、気持ち良さそうな顔で。
「んんっ、うん」
亀頭の付け根あたりをやさしく握りなおし、ゆっくりと上
下に動かす。指が傘の部分をなでるたびに、ペニスは手の中
ではしたなく脈動する。
「すごく、気持ちいいの」
なのははうっとりと目を閉じ、腰を僕の方につき出すよう
にして快楽に浸っている。それはとても嫌らしい姿で、誰か
に見つかったら言い訳なんてできそうになくて……。
(それって、ものすごくまずいような……)
両手に刀をもって、怖い顔をしたなのはの家族の姿が脳裏
に浮かぶ。け、結界張っておこ、いまさらだけど。
「んっ、ん……んん……」
一心不乱に快楽を貪るなのは。小さいうちに快楽を覚える
と猿のようになるって言うけど、与太話じゃなくて本気にし
そうなほど。大丈夫かなと、心配になる。それに最初はあっ
と言う間だって聞いていたけど、なのはに終わる気配は全く
ない。中身が女の子だと違うのかも。なのははどこまで行く
んだろう?
「……んっ……ぁ……ゃ……」
少しやり方を変えてみる。指の腹で亀頭をつまみ、こねる
ように撫で回すと、荒い息遣いの中に悩ましげな嬌声が混じ
り始める。効いているみたいだ。
「…ぁ…んん……ゃ…ぁ……っ」
親指で裏側の付根をこすったり、薬指で傘のところを撫で
たり、皮を指で摘まんで引っ張ったり。
「ぁっ…ゃぁ……んん、んっ……ぁぁっ」
ちょっとした指遣いにもなのはが反応するのが面白くて、
もう少し何かしてみたくなる。
空いた手をなのは……僕の下着の中に入れる。指に柔らか
いものの感触。縮こまって皺だらけの陰嚢。その中に二つあ
るウズラの卵ほどのものを、圧迫しないように手のひらでや
さしく包む。
「なのは、これはどう?」
「んん、うん……きもち、ぃぃ…ょ……」
感じて喘いでいるのはなのはだけど、喘ぎ声も感じている
顔も僕のもので、まるで自分で自分を気持ち良くしているよ
うな不思議な感じで。
「…ゃ…はぁぁ……ユーノ、くん……」
「ん?」
「……ぁ…あの………も、もっと……」
なのは指が胸元で物欲しげに動き、伏せられたまぶたが悩
ましげに震える。
なのはと僕の身体が強い刺激を欲しているんだ。中身が僕
ならとっくに終わっていると思う。だけど、今の中身はなの
は。女性は男とは違うというし、きっと物足りなくて終われ
ないんだと思う。面白いとか思っている場合じゃないけど、
でも、どうすれば……。
「……なのは、痛かったら言ってね」
亀頭を摘まみ、そっと根元に引っ張る。あとはもう、ここ
ぐらいしかない。剥けると、天と地ぐらい違うみたいだし。
刺激が強すぎるかもしれないけど、いつまでもトイレを占拠
している訳にはいかないし、そろそろ終わらせて出ないと。
皮が剥けて、少しだけ亀頭の先端が顔を出す。少し白いピン
ク色で、ぴったり閉じた鈴割れのところがほんのりと赤い。
「っ!」
そこからさらに引っ張ると、なのは……僕の顔が痛みで歪
む。生まれてからずっと張り付いているところだから、最初
は結構痛いみたい。だから、指先に魔力を込めて皮を引っ張
る。痛みを和らげる治癒の魔法。
「…ぁ……暖かくて…気持ちいい……」
またうっとりとした表情に戻るなのは。とっさの思いつき
だけど、良かったみたいだ。
「ふぁ、あぁぁっ」
魔法を維持したまま皮を引っ張ると、つるりと剥けて亀頭
が完全にあらわになる。初めて亀頭で外気に触れたペニスは、
手の中で跳ね馬のように暴れた。そこから、なんとも言えな
い臭いが鼻を打つ。よく見ると、亀頭や剥けた皮には白いも
のがこびり付いていた。
(えーと……)
どうするかは決めていたけど、いざ目の前にすると腰が引
けてしまう。手ならともかく、自分のものを口にするなんて
誰もやりはしない。身体はなのはでも動かすのは僕な訳だし、
なのはをいかせるためとは言え、僕の身体に対してなのはの
身体でそんなことしていいのかってのもあるし。
なのはを見上げると、次に何をしてくれるのかと期待いっ
ぱいの顔で僕を待っている。
「なのは、その……」
「うん?」
何の疑問も浮かんでいない瞳には僕への信頼が詰まってい
る。その瞳に写るのは、逆に不安で困惑した僕……なのはの
顔。
「これ、なめると気持ちいいんだけど……」
最初何のことか分からず、キョトンとしていたなのはだっ
たが、理解したのか驚いた声をあげる。
「ぇ? えぇ! ユーノ君、なめてくれるの?」
いや、そうじゃなくて。
「なめてもいいけど、でも、なめるのは……」
「ユーノ君でしょ?」
……なのはが暴走しているというか、壊れていくというか。
「そ、そうだけど。だけど」
「ユーノ君がそこまでしてくれるなんて、私、うれしいな」
「…………」
まるで天使のような笑み。自分の顔だけにちょっと複雑だ
けど。それよりも、いいのか、ユーノ・スクライア? でき
るのか?
改めて顔を近づけると、また形容し難いペニスの臭いが鼻
を打つ。自分のだと思うと、そんなに悪い感じはしないかも。
さっきと同じように、今度は唇と舌先に魔力を込める。こ
うゆう事のための魔法じゃないけど、どう使いこなすかが魔
法使いの実力。ほめられた使い方じゃないけど。
「…ん……」
亀頭に吹きかかる息がくすぐったいみたいだ。ずっと外気
に触れていなかったところだから、とても敏感なんだろう。
見ていると踏ん切りが付かないので目をつぶる。口を開け
て舌をできるだけ伸ばし、ゆっくりと顔を近づける。胸を触
らなくても、鼓動が早くなっているのが分かる。見えないか
ら距離感が分からなくて、そこにたどり着くまで永遠にかか
りそうで、でも何となくなのはの体温が感じられて。
「あぁぁっ!」
舌先に熱と苦みを感じて、驚いて後退りする。
(自分の、なめちゃった……)
物凄い背徳感。自分のをなめることも、なのはの身体に自
分のをなめさせていることも。体中の血が集まったみたいに
顔が火照って、頭がくらくらする。
今度は目を開けたまま、伸ばした舌を亀頭に近づける。舌
先で鈴割れをつつくと、膝を木づちで叩いたようにペニスが
元気よく跳ね上がった。このままだと埒が明かないので、ペ
ニスの根元を手で押さえ、鈴割れを舌先でなめあげる。
「ひゃぅっ」
たまらず前のめりになり、僕の肩に手をつくなのは。反応
が段違いだから、その分刺激も強いのだろう。治癒魔法を効
かせているから、痛みはないはずだけど。
一度なめてしまうと、不思議と抵抗感が和らぐ。戻れない
一線を越えてしまったってことかも。やってしまった以上、
今は考えても仕方がない。
「ふぁ、ああぁっ、ゃぁぁ」
舌の先でなめながら亀頭を一周する。表面にこびりついた
白いものが舌にこすり取られる。これは恥垢、あか、汚いも
の。汚らわしい僕のペニスを、なのはの舌で僕がきれいにし、
それでなのはが感じている。不思議でおかしくて嫌らしくて、
そして変態じみた行為なのに、なぜか体の奥が熱くなる。
「んんっ、あぁ、やっ、あん」
舌先を皮と亀頭の傘の間に潜り込ませ、たまっているもの
をほじくり出す。少し舌先に刺激があるけど、すぐに口の中
にたまった唾液に溶けて消えてしまう。耳掃除みたいで、少
し大きめのがうまく取れると面白い。
「あ、ああっ、んくっ、はぁぁ」
舌全体で亀頭全体をなめ回すと、なのはの腰がガクガクと
震える。先の部分を加えてちゅっと吸うと、口の中にしょっ
ぱい味が広がる。おしっこじゃなくて、たぶん先走り液とか
いうやつ。ということは、結構いい感じなのかな。
「やぁ、あ、あぁ、あっ」
今度は先っぽだけでなく、亀頭全体を口にくわえる。亀頭
は茹でた卵みたいに温かくて、指で触った時より固く、ウズ
ラの卵ほどの大きさしかないはずなのに、口の中でとても大
きく感じる。
「っ、んんっ」
ペニスを口の中に飲み込む。亀頭が口蓋をすべり、口の奥
へと入り込む。歯を立てないように唇でペニスの幹を強くく
わえ、擦るように引き出す。再び飲み込み、また引き抜き、
飲み込み。口の中で舌をからませ、キュッと吸い、軽く歯で
甘噛みして。
「す、すごい、よ、ユーノ、くん」
湧き上がる唾液と先走り液が混じり、べちゃべちゃと嫌ら
しい音を立てる。ペニスがさらに大きく固くなり、口の中で
暴れまわった。
頭がボーッとしてきて、何もかもがどうでもよくなってき
て、ただペニスを愛撫して、なのはを気持ち良くさせること
だけが頭に残って。
「んっ!」
突然頭をつかまれ、ペニスをのどの奥に突き入れられる。
口からあふれ出た唾液が、あごを伝いのどに流れ落ちる。
「だめぇ、とまらないよぉ」
なのはの腰が前後に振られ、頭を無理やり動かされ、ペニ
スの抽送が繰り返される。
なのはが僕を犯し、僕がなのはを犯し、なのはが僕に犯さ
れ、僕がなのはに犯され……。
何だかよく分からないけど、苦しいけどちょっと気持ち良
くて、お腹の中が熱くて、ふわふわして、でもキュッとして、
どうしようもなくて。
「やっ、あ、だ、だめ、でちゃうっ!」
口の中でペニスが跳ね上がり、喉の奥に熱いものが注ぎ込
まれる。
「うぐっ!」
我に返り、むせ返りながらなのはを引きはがすと、目の前
のペニスから熱いものが幾度も顔に降り注いだ。
「あ、あ、あ、あぁぁ……」
力無く扉にもたれ掛かるなのは。剥き出しのペニスは白い
ものを粘つかせ、まだひくついている。指で顔を拭って目の
前にかざすと、白い粘液が糸を引いてたれ落ちた。
(ぼくは、ぼくらは……いったい?)
誰も、その疑問には答えてくれそうになかった。