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魔法少女リリカルなのはA's Unofficial Report Y 「エースたちの……」

1月4日(水) 9:25AM 高町家 和室

「今日も静かだねぇ」
 私はいま、なのはの家にお邪魔している。正確には昨夜からお泊まり
しているのだけど。
「お正月だからねぇ」
 なのははコタツに入ってぽぇーってしていて、戦闘の時のりりしさは
まったくない。でも、そんななのははとても可愛いし、きっと横でミカ
ンをむいている私もだらけていると思う。
「こーゆーお休みもたまにはいいねー」
 学校は冬休みだけど闇の書事件の後始末とか、こちらの世界の年末年
始行事とかで慌ただしく、やっとゆっくりできたのは昨日ぐらいから。
「うん」
 私がミカンをむき終わると、寝そべっていたなのはがあーんと口を開
ける。まるでえさを待つ雛のようで、愛らしすぎてついつい頬が緩んで
しまう。
「はい、あーん」
 手を伸ばしてなのはの小さな口に入れてあげる。なのはの魔力光と同
じ薄いピンクの唇が閉じ、むぐむぐと口が動く。あの色はこちらの世界
の花にちなんで桜色とも言うらしい。前に見せてもらった入学式の写真
は満開の桜がすごく綺麗で、そこに写る小さななのははとても愛らしかっ
た。
 そのころの私にはまだアルフはいなくて、リニスが私を育ててくれて、
母さんはもう静かに壊れはじめていて。
「はむっ」
 その唇が私の指をくわえた。驚く私を尻目になのはの舌が指に絡みつ
く。はた目から見たらキャンディをなめるているように見えるだろうけ
ど、なのはがなめているのは私の指。
「……なの、は?」
 我に返った私が声を出すと、なのはは少し名残惜しそうにちゅっと吸っ
て、私の指を解放した。でも、指と唇は透明な糸でつながっていて、指
先も濡れててかてか光って。
「だってフェイトちゃん、わたしが食べ終わっても手を伸ばしているか
ら」
「えっ、そ、そう?」
 そんなにしてたのかな……してたのかも。ずっと見られていたのかな。
は、恥ずかしい。あ、糸が切れちゃった。ちょっと悲しい。
「フェイトちゃん、ミカン食べないの?」
「た、食べるよ」
 皮をむかれたミカンから粒をひとつ取る。そのまま口にほうり込もう
として、それに気が付いた私はゆっくりとそれも一緒に口へ入れた。
(なのはの、味……)
 ミカンの粒をろくに噛まず飲み込み、なのはと同じように自分の指を
なめる。甘い甘い味。ミカンの味かもしれないけど、きっとなのはの味
も混じってる。なのはには私の味、したのかな?
「今度はわたしがしてあげる。だからあーんってして」
 なのははコタツに寝そべったままミカンには手を出さず、ただにっこ
り笑って。でも頬はおとそを飲んだんじゃないのに、ほんのりと赤くなっ
て。
「そんな。いいよ、なのは」
 わたしはなのはの意図を悟ってそれを拒んだ。まだ朝の時間だし、今
は家の中に二人だけど誰か帰ってくるかもしれないし、それにそれに、
昨夜あんなにしてもらったばかりなのに……。
「でも、フェイトちゃんはしてほしいんでしょ?」
 なのはの優しい笑顔。まっすぐ大きな瞳に、物欲しそうな私が映って
る。私、なのはにはこんなふうに見えているのかな、見えているんだろ
うな。だって、ほしくてほしくてしようがないから。きっとアリシアが
みていたらダメな妹だって笑われる。
「それは……えと、でも、ユーノやアリサたちに悪いし……」
「ふぇ? アリサちゃんはともかく、何でユーノ君が?」
 何のことかさっぱり分からないと不思議な顔をするなのは。ユーノは
あんな分かりやすいのにそんな顔をするなのはの方が私には不思議なん
だけど、そんなとこもなのはの可愛いとこだと思う。
「いいの、フェイトちゃん。わたしがしてあげたいんだから」
 なのはが私の手を取る。柔らかくて、とても温かい手のひら。そこか
らなのはの優しさが流れ込んでくる気がする。
「……うん。それじゃ…なのは…して……」
 私はコタツの中で、足を開いた。

「…ん……ぁ……」
 なのはの足が私のスカートの中に入り、つま先で下着の中央をなぞる。
羽根が触れるくらいの軽いタッチ。でも、私はそれだけでかーって熱く
なって。
「ぁっ…ん……ぁぁ」
 ついさっきまでとてもまったりしてたのに、今は嘱託試験の時よりも
胸がドキドキして、きっと顔も茹だったように真っ赤になっていると思
う。
「フェイトちゃん」
 なのはもほんのり上気してて、潤んだ目が私をじっと見つめて、桜色
の唇がそっとささやいて。何て言ったのか聞こえなかったけど、どうし
て欲しいのかは分かる。だって、コタツの中でゴソゴソしているのが聞
こえたから。
「うん、なのは……」
 私もなのはの方へ足を伸ばす。いきなりそこじゃなく、膝の辺りから
太ももをたどって、なのはの大事なとこへ。
「んん、いきなりでいいのに」
「だって、なのはの顔が見たかったから」
 近付いてくる私の足を待つなのはの顔は、期待と不安でドキドキして
て、見ているだけで幸せになれるくらい可愛くて。
「もう、フェイトちゃんだって同じだよ」
「あんっ」
 ほんの少しだけ強く、なのはのつま先が私に食い込んで。それだけで、
フォトン・スフィアの生成に失敗して自爆したようにビリビリして。
「…ぷっ、くすくす」
「あははは」
 何故かおかしくなって、お互いに顔を見て笑って。
「また、アリサに、いちゃいちゃ、しすぎって、ん、言われちゃう、ね」
 私達のことを告白した時、なぜかアリサが一番怒ったのが、魔法じゃ
なくてこのことで。これもデバイス修理中の気分転換にとエイミィが教
えてくれたことだったんだけど。
「んっ、でも、旅行中に、フォローすれば、いいよ」
 アリサをなだめてたら何故かみんなでしようってことになり、色々あっ
て帰ってきた忍さんが乱入して、アリサは泣き出しちゃうは、なのはは
伸びちゃうはで……。あの忍さんって、今日くるんだっけ……。
「そ、そだね……んっ」
 なのはのつま先が私のあそこを強く押すから、くちゅくちゅって恥ず
かしい音がして。でも、もう少し強くしてほしくて、少しだけコタツに
体をもぐりこませて。
「濡れてる、ね、フェイトちゃん」
「な、なのは、だって、ほら」
 私もつま先でなのはの真ん中を押すと、くちゅって濡れた感触がして……
わ、私の方が濡れてるかも、あぅ。
「やんっ。でも、わたしの靴下なんか、フェイトちゃんので、濡れちゃっ
た、よ」
 反撃空しく、なのはの追い打ち。けど、私の方が先なんだし、なのは
にしてもらっているんだし。逆だったらなのはだって……どうなのかな。
私と、他の子と、違うの? 同じ? それとも、ダメ?
「気にしなくていいよ。靴下なんか履き替えればいいんだから」
 なのはの指が私のこぶしを崩して、指にそっとからんで。私が黙った
のを勘違いしてるんだ。やさしい、なのは。答えが怖いけど、でも知り
たい。聞いていいのかな、大丈夫かな。
「うん……ねぇ、なの…………ぁ」
「ふぇ、どうしたの?」
 どうしたというか、とても大事なことを忘れてた。ど、どうしよう。
私って、やっぱりうっかり屋さん?。
「えっ、えと……替えの下着……」
 何枚かもってきたけど、今はいてるのが最後……。アルフにもってき
てもらおうかな、でもエイミィと買い物中だろうし。ならバリアジャケッ
トをして……だめだめ。転移魔法……も、こんなことで使ってたら怒ら
れちゃうかな。どうしよう、下着なしじゃおなか壊しちゃいそう。
「そっか、もうないんだっけ。じゃ、わたしのを貸してあげるよ」
 貸してあげるって、も、もしかして……。
「なのは、の?」
「うん。新しいのはないけど、それでいい?」
 なのはの下着? なのはの使った下着! もちろん洗ってあるのだろ
うけど、それでもなのはのがはけるなんて、う、うれしい。
「いいよ、なのは。ありがと!」
 どうしてかな、胸がすごいドキドキしてる。何でかな、リボンをもらっ
た時よりドキドキしてるかも。そうだ、私も何かかわりに……かわりに……
かわり……のがないよ、アルフ! 私の汚しちゃったのじゃ洗ってって
いってるみたいだし。でも、なのはが洗ってくれたらうれしい。それは
そのまま封印して永久保存しよう。でも、やっぱり履いてみたいかも。
どうなんだろう、温かいのかな。なのはは履いてくれないかな、やっぱ
りだめかな。私はなのはのなら何でもいいし、かえってそっちの方がい
いかな、とか……。
「ちゅっ」
「!?」
 あれ、何でなのはが目の前にいるの? それに今のは、キス?
「もう、やっと気が付いてくれた。フェイトちゃんって、眠り姫みたい
だね」
 眠り姫。なのはの世界のお伽話。王子様のキスで目覚めるお姫様。な
のはは私の王子様。でも、私はなのはの王子様になりたいんだ。
「きゃっ、フェイトちゃん?」
 もう我慢できなくなって、私はなのはを座布団に押し倒す。もちろん
痛くないようにふんわりと。
「下着、貸してくれるんだよね」
「そ、そうだけど」
 指をからませて、両手を頭の上で押さえる。ちょっと困ったなのはの
顔。
「なのはも着替えは平気だよね」
「そりゃ、自分の家だし……」
 逃さないように足もからませて。ちょっとあきらめたようなため息。
「えーと、まだ午前中だからこれはどうかなーとか」
「昨夜も十二時過ぎてたから午前中だよ」
 今度は私からキス。身体はもじもじ逃げようとしてるけど、唇はしっ
かり私を待ち受けてて。
「ほら、お日様は高く上ってるし」
「なのはがしたいって言ったんだよ」
 二人一緒に舌を出して、チョンチョンとつつきあって、少しずつから
ませて。
「じゃ、じゃあ、魔法は使っていい?」
「ダメ。魔法もお正月休み」
 魔法なしの格闘戦(?)じゃ、なのはもか弱いただの女の子。
「ズルいよぉ」
「ん、ズルくない」
 レイジングハートをあのモードで使われたら抵抗できそうにないし。
あれもある意味ユニゾンデバイスになるのかな。なのはに初めてをあげ
るのはやぶさかでないけど、あれはゴツゴツしすぎて私も怖いから、も
う少し大人になってから。
「ぁっ……もう、フェイトちゃん、の、いじわる」
 服を脱がすのがもどかしい。でも皺になっちゃうし、汚したらなのは
が怒られちゃうから。
「…ん…んっ…ゃっ……ぁぁ」
 耳も、腋の下も、胸も、なのはの気持ちいいところは、私が一番知っ
ている。そして、私の弱いとこを一番知っているのも、なのは。
「……ゃっ…っ……んんっ……」
「ぁっ……な…なのはぁ…」
 私の初めての友達。私の大切な親友。私の一番好きな人。
「っ…ぁっ…んっ…ん………はぁぁ」
 私達はまだ子供で、いつか大人になって。
「…ゃっ、やんっ…ん……ぁぁっ」
 なのはも、ユーノか、クロノか、こちらの男の子か、誰かを好きになっ
て。
「んっ…な、なのはぁ……」
 私も、リンディ……母さんのように、好きな人と結婚して、家庭を築
いて。
「ふぇ、ふぇいと…ちゃん……」
 いつか、子供が生まれて、もし、それが女の子だったら……。
「はぁぁ…ん……すき…だいすき!」
 なのはか私、どちらかが男の子だったら、こんなに仲良くなれなかっ
たかな。
「わ、わたしも…やっ、やぁぁ…あんっ」
 彼女たちがはやてと出会えたように、私はなのはと出会えた。
「あぁっ、やっ、もぉ、ぁぁ、だめぇ、ぁぁ」
「やっ、ぃっ、いっしょ、にっ、なぁ、ぁぁ」
 この気持ち、大きくなっても、大人になっても、私は、絶対、絶対忘
れない。
「「あぁあぁぁっっ!!」」

 私となのはは、狭いコタツの中、何も身につけず、ただふれあったり、
他愛もないことを話したり。アリサが言うところのいちゃいちゃ。でも、
やっぱり話はそこに行き着いて。
「でも、どうしても考えちゃうよね。はやてちゃんと…、リィンフォー
スさんのこと」
「そうだね。騎士たちが残ってくれたのはよかったけど、リィンフォー
スは…」
 はやてのために騎士たちを残し、自分ほど幸せになれた魔道書はいな
いと、彼女はそう言って消えた。彼女はそう言ったけれど、でも……。
「もっと何かできることなかったのかなとか、どうしても…ね」
 みんな頑張ったけれど、すべて良しとはいかなくて、悲しいことも残っ
て、誰もが幸せになるのはとても難しくて、きっと色々なことが足りな
くて。だから……。
「クロノが言ってたよ。終わった事件に後悔しすぎちゃいけないって」
「そうなんだけど、やっぱり…」
 後悔じゃなくて反省して、次はどうするかを考えて。でも、そうは言っ
てもなかなか割り切れなくて。
 ♪♪〜♪〜♪♪〜♪
 部屋のすみ、積み上げた私となのはの服の山から軽快な音が鳴る。わ
たしのだと、なのはがコタツからずるずるはいでて電話にでた。
「はい、もしもし」
『もしもし? はやてですー』
 どうやら管理局から電話できるようにしてもらったみたい。午前中に
戻るからお昼を一緒にというお誘いだった。
 私もコタツをでる。いつまでもグズグズしてられない。私はもうあの
庭園には戻れない。なのはが差し伸べた手を取った時に、あそこを後に
することを選んだのだから。今はまだなのはの手にすがっているけど、
いつかきっと。
「はい、なのは」
 私は寝そべるなのはに手を差し出した。


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