かつての美しい景観を全く失ってしまった、海浜公園のなか。
魔力を全て使い切り、全身の痛みも限界を突破し。
文字通り、トドメとなる大魔力塊をまともに喰らい。
瓦礫の上に、彼女は叩きつけられた。
「っぁ、・・・く・・・、っは・・・」
昼食の名残を残らずぶちまけ、さらに、よくわからないものが、あとからあとから。
純白の鎧だったものを、真紅に塗りつぶしていく。
「よく、今まで堪えた、というべきね。賞賛するわ、『高町なのは』」
遥かな高みから届く声は。
響きこそ、いつもそばに聴いていたそれと寸分違わないけれど。
それが持つ、暖かさも冷ややかさも、愛しさも哀しさも、何も無かった。
「・・・・・・ぅ、っな・・・」
碌に発声できない。
「けれど、これで」
「わたしは、わたしに、近づける」
「あなた達を倒せば、わたしは、元のわたしに」
「・・・・・・ぇ?・・・」
「あなた達のせいよ!!あなた達が、わたしの記憶を!!」
「わたしの記憶は!!ホムンクルスなんかに奪われた!!」
「っ、返せ――――っ!!!!」
激昂にあわせて、周りを固めていた魔力塊が、つぎつぎに襲い掛かる。
ボロキレのように、彼女は舞った。
ほとんど失った視界の片隅に、「杖だったもの」と「左腕だったもの」を捉え。
何も聴こえない耳は、かすかに、よく親しんだ、彼女の、それ、を。
「なのはあぁぁ――――っ!!!!」
ちか づ いて く る・ ・・ ・・ ・
「なのは、なのはっ!!お願いだから、しっかりしてっ!!」
自身がアカくなるのも構わず、目の前の少女ではなくなろうとしているものを、抱き起こす。
「なのはっ!・・・目を開けて!」
ヒカリを失った瞳が、ぼんやりとこちらを見やる。
あとからあとから、雫が頬に滴り落ちるが、汚れを清めることすらできない。
「なのはぁぁ、わたしの傍から、離れないでよお・・・」
全てから解放される、寒気すら覚えるなかで、思考だけがクリアーになっていく。
ワタシを抱きしめ、啼きじゃくる子がいる。
・・・ああ、ごめんね、フェイトちゃん。
わたし、最後の最後まで、馬鹿だったから。
一人で抱え込んで、また、失敗しちゃった・・・・・・
〜アリサとすずかの優雅なティータイム〜
「・・・って、優雅にお茶なんか飲んでいられるか――――っっ!!」
「お、落ち着いて、アリサちゃん。一番非道い死亡エンドなんだから。」
「それよ!よりにもよって、好感度がまったく稼げてないからふるい落とされるなんて!」
「うーん、確かに今回は、なのはちゃんもいけないかな。」
「そうよ!普段あれほど、私達との親睦を深める機会があるというのにっ。」
「好感度一桁は、ちょっとどうかな。」
「フェイトそっくりな子との遭遇についても、一度も聞いてないわよ、私達。」
「大分、最初からやり直してくれないと・・・」
「2章からね。」
「・・・どうして?」
「・・・前回は、すずかがいいトコ持って行ったじゃないっ!今度は私が活躍する!」
「海浜公園での戦闘では、一番好感度の高い人が助けに来てくれるもんね。」
「そうよっ、なのはには、特に私の好感度を稼いでもらって、次こそ私がなのはを助けるっ。」
「頑張ってね、そのときは、すぐに私とフェイトちゃんも駆けつけるから。」
「さぁ、そろそろお茶会もお開きよ。次こそアイツをぎゃふんといわせてやるんだから。」
「では、また。攻略に詰まったら会いましょうね、ユーザーさん。」
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