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[346]それは遠き、夜天の想い 2006/04/30(日) 07:46:47 ID:k7KWM4ZI
[347]それは遠き、夜天の想い 2006/04/30(日) 07:49:50 ID:k7KWM4ZI
[348]それは遠き、夜天の想い 2006/04/30(日) 07:51:24 ID:k7KWM4ZI
[349]それは遠き、夜天の想い 2006/04/30(日) 07:53:33 ID:k7KWM4ZI

それは遠き、夜天の想い

一人の女が、そのどこか虚ろな赤い瞳で、窓から空を見上げている。
外は月と星が輝き、ほのかに地上を照らしている。
太陽に比べればその光はささやかな物だ。しかし、このささやかな光があるからこそ、
夜は全てを黒く包む闇にはならない。
(そう、どんな暗い夜でも、それは闇ではない…)
女は自分の名を、夜天の書ではなく、闇の書という今の己に相応しい名を胸に浮かべる。
夜天の書。
偉大な魔導師達の技術と知識を蒐集する為に作られた魔道の器。
そうして集められた力は、ささやかながらも世を照らす光となるはずだった。
だがしかし、その機能は今や絶大な力を主に与える為だけの物へと改変されている。
そしてそれ故に、いつからか夜天の書は闇の書と呼ばれるようになった。
(それは良い…)
自分は道具である。主に使え、主を守り、主の命を為す。
それは義務であり、存在意義でもある。
(だが私は、ただ主に災いをもたらすだけ…)
機能の改変により、夜天の書は正常な作動が不可能となってしまっている。
夜天の魔道書がその全ての項を埋めた時、その力は制御不能となり、あまりに強い闇の書の
力が主自身の肉体をのっとり、暴走してしまう。そして主はほどなく死に至る。
たとえ全項蒐集前に止めたとしても同じ事だ。
一定期間の蒐集がなければ、主自身のリンカーコアを蝕み、やがて主は死に至らしめる。
そしてこの悪夢は終らない。
転生機能と無限再生機能により、闇の書が破壊された時、あるいは主が死亡した時点で、
自動的に新たな主となる人間の前に生まれ変わり、そしてまた新たな主に死を運ぶ。

気付けば闇の書の意思は涙を流していた。
何度となく流した涙を、絶望に彩られた涙を。
その涙は自分の為ではなく、自分が死に至らしめてしまう主の為であり、そして
「………どうかしましたか、蒼き狼」
背後に、いつの間にか立っていた一人の男に声をかける。
良く知った人物、いや人ではない。夜天の魔道書と主を守るために作られた魔法生命体、
ヴォルケンリッターの一員、盾の守護獣ザフィーラ。
「眠れなくてな………」
それだけ言うと、ザフィーラは闇の書の意思の隣に立つ。
それだけだった。声をかけると言う事も無い。闇の書の意思が、涙を流している事は
気付いているだろう。そのことに触れようとはしない。
それは、この男が情に薄いという訳ではない事を、闇の書の意思は良く知っていた。
ザフィーラは闇の書の意思の悲しみが、己ではどうにも出来ない事を知って…いや、感じている。
だが己が闇の書の意思の傍に居れば、彼女は涙を見られまいと努力する。
その分、ほんの少しだけ、哀しみから目をそらす。
無茶苦茶なやり方である。だが彼には他に方法が無い。
彼を含むヴォルケンリッターは、闇の書が主の命を奪うという記憶が欠落している。
故に彼女の涙の理由はわからない、わかるはずもない。だが、それでも彼女が放つ空気から、
彼は己が彼女の哀しみに対して、何も出来ない事を悟っている。
だがそれでも、何も出来ないとしても、この程度のことしか出来ないとしても、
彼は少しでも彼女の哀しみをやわらげようとする。
(盾の守護獣)
彼はその二つ名が示すとおりに、仲間を、主を守るための盾である。
これも、彼がその役割を果たす為の行動に過ぎないのだろうか?
(馬鹿げた考えだ…)
闇の書の意思は、ヴォルケンリッターと精神的にリンクしている。
故に彼が今どのような感情をしているか、おぼろげにだが感じる事が出来る。
では何故その様に考えたのか?
(そうであったほうが、楽になれるからだろう…)
ヴォルケンリッターが、始めから感情も、意思もなく、ただ使命を果たす為だけの物で
あったなら、この呪われた運命に絶望するのは自分だけで済んだだろう。
だが守護騎士達には、目の前のこの男には意思も、感情もある。
それがもし、無くなってしまうとしたら、自分は耐えられはしない。
自然と、闇の書の意思は、ザフィーラにその体重を預けた。
空を見ていた瞳は、今は自分の守護騎士、優しさと、それ故に悲しみをたたえた瞳を持つ
男の顔を見ている。
ザフィーラもまた、己が守るべき相手を、優しさと、それ故に悲しみをたたえた瞳を持つ
女の顔を見ている。
どちらからと言う事もなく、二人の唇が重なった。

幾度こうしてきたのだろう?
闇の書の意思が実体化するには、一定の項の蒐集、及び主の承認が必要だ。
故にいつも実体化出来るとは限らない。実は数えるほどの事なのかもしれない。
あるいは…これが初めてなのかもしれない。

この想いが生まれたのは何時からなのだろう?
闇の書となって、初めて絶望に涙を流す自分の傍らに、この男が立った時だったのかもしれない。
まだ自分が、夜天の書と呼ばれていた、絶望を知らぬ日々に育まれたのかも知れない。
あるいは…自分が誕生した時に、もうこの想いは存在したのかも知れない。
始めは唇重ねているだけだったが、今はもう互いの舌を絡めあっている。
「ふ……はぁ……」
長い、長い口付けをやっと終え、唇を離す。
だがそれでもまだ足りないと言うように、闇の書の意思の舌は突き出されている。
それを見た蒼き狼は、再び唇を重ね、舌を絡め合わせた。
「ン…ンンッ…」
そのまま闇の書の意思の胸に左手をのばし、その筋肉質の体からは想像できない程繊細に、
優しく愛撫を始める。
しばらくそうした後、やっと唇を離したその時、ザフィーラが乳首を、服の上からでも
わかるほど硬くなったそれを、軽く摘んだ。
「はっ…ぁぁ…!」
喘ぎ声を聞きながら、左手は胸を責め続け、右手を股間にのばし、下着の上から責め立て、
それと同時に、首筋に舌を這わせていく。
「あ…ッ…ふぁ…ぁ…」
程なく女の喘ぎ声と、男が首筋を舐める音に、かすかに水温が混じりだす。
「あ…待っ…服…ん…ぁ…」
闇の書の意思の言葉を聞き、ザフィーラは手と舌を、その身体から遠ざけた。
それを確認した後、闇の書が軽く目を閉じると、程なくその肌を纏っていた服は、光と共に
消え去り、後には一糸纏わぬ裸体が残る。
再び唇を重ね、今度はそれほど長くはかからず離れ、そのまま、先程と同じように、
ただし今度は布越しではなく素肌に、胸に左手を、秘所に右手をのばす。
そして、やはり舌で首筋を責め、しかし今度はそのまま下方に這わせていき、
左手で攻め立てている方とは逆の方の乳首を舌で転がす。
「ひ…ぁあ!!」
その刺激に、今までどこか耐えているような物とは違う、甲高い声が上げる。
秘所をまさぐっていた右手の動きが止まり、その入り口に中指を沿え、ゆっくりと
その太い指を沈めていく。
「うぁああっ!」
左手と舌の動きで、胸に生み出された快感に、自分の中で出たり入ったりしている指が
生み出す快感が混ざり合い。
「ヒッ…う…!あぁ……だ…もう…」
その声で限界が近いと判断し、さらに指の動きを激しくする。
「くぅ…はっ、あぁぁぁ!もう、わた…だ…ひぁ、あああああああっ!!!!」
一際甲高い声と共に、闇の書の意思は背筋をのけぞらせ、軽く痙攣する。
「ハァッ…ぁぁ…」
荒い息遣いが治まった後、もう一度、二人は唇を重ねた。


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