[1]名無しさん@ピンキー<> 2008/02/19(火) 18:58:19 ID:kDOZipSD BE:736963946-2BP(0) 魔法少女、続いてます。  ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。 『ローカル ルール』 1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。 2.エロは無くても大丈夫です。 3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。   あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。 【補記】 1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。   ・オリキャラ   ・原作の設定の改変 2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。   ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです) 『マナー』 【書き手】 1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。   投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。 2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。   SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。 3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。 4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、    「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。 【読み手 & 全員】 1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、   読み手側には読む自由・読まない自由があります。   読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。   書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。 2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。 3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。   頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。 4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。   読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。 『注意情報・臨時』(暫定)  書き込みが反映されないトラブルが発生しています。  特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。  投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。 リンクは>>2 [2]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 18:59:42 ID:kDOZipSD BE:1658167496-2BP(0) 『リンク』 【前スレ】  ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第53話☆ http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203068582/l50 【クロスものはこちらに】  リリカルなのはクロスSS倉庫  http://www38.atwiki.jp/nanohass/  (ここからクロススレの現行スレッドに飛べます) 【書き手さん向け:マナー】  読みやすいSSを書くために  ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/ 【参考資料】  ・Nanoha Wiki   ttp://nanoha.julynet.jp/  ・アリサだもんっ!   ttp://homepage3.nifty.com/damenahito2000/  ・R&R   ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html   (キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます) ☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫  ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)  ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/  (wiki) [3]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 19:04:16 ID:KdBtESm7 >>1乙 [4]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 19:37:27 ID:rqIIpjoF >>1 スレ立てありがとう! [5]B・A 2008/02/19(火) 20:05:07 ID:O27BkWn+ >>1 乙です。 そして一番槍いかせて頂いてよろしいですか? [6]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 20:08:27 ID:p0dwH9zM >>5 全裸待機してます。 [7]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 20:26:13 ID:1epYDCtT >>5 イっちまえよ [8]B・A 2008/02/19(火) 20:26:16 ID:O27BkWn+ >>6 すみません、これは非エロです。風邪引く前に服着てください。 エロはこのシリーズ終えたら・・・次こそは・・・・きっと・・・たぶん・・・。 注意事項 ・20歳verエリオ×ルーテシア ・非エロ ・「Ritter von Lutecia」要読 ・前作から10年後、故に捏造のオンパレード ・おっきなエリオキュン、ルー子、ヴィヴィオが見たくない人にはお勧めできません ・ヴァイスは頼れる兄貴で浮気なんてしねぇ、と主張される方にもお勧めできません ・同じく未来ものでエリオ主役SSを書いているy=ー( ゚д゚)・∵. ターンA氏の作品とやや被った部分があります [9]Nach dem eines Speerritters 第5話@ 2008/02/19(火) 20:28:57 ID:O27BkWn+ 密室で2人っきりというものは、相手が誰であろうと緊張するものだ。 それが数年来の付き合いの恋人で、しかもこれからプロポーズしようとしているのなら尚更である。 (畜生・・・・こういう純情系はキャラじゃねぇんだけどなぁ・・・・) 心の中で、自分の不甲斐無さを呪う。 彼の名はヴァイス・グランセニック。旧機動六課のヘリパイロットで、現在は地上本部武装隊に所属する準陸尉だ。 そして、彼が運転する車の助手席に座っているのが、彼の恋人(の1人)であるティアナ・ランスター執務官である。 旧機動六課解散後、疎遠となっていた2人だったが、数年前に執務官となったティアナと偶然再会したヴァイスは、 懐かしさから彼女を酒の席に誘った。そして、酔った勢いで関係を持ってしまったのだ。彼女は可愛い妹分のようなものだったが、 やってしまったからには仕方がないと開き直り、ヴァイスは数ある恋人の1人にティアナを加えた。 だが、ある日突然それでは駄目だという神の声を聞き、他の恋人たちに別れを告げてティアナのプロポーズしようとしているのだ。 ちなみに、その神とは炎の魔剣と烈火の剣精を従えた緋色髪の騎士と茶髪の妹だったりする。 「それで・・・・話って何ですか?」 「あ、ああ・・・・・・・」 信号が赤に変わり、車を停止させる。 カラカラに乾いた喉を潤そうと唾を飲み込むが、焼け石に水だった。 (落ち着け・・・一言、「好きだ」って言えば済むことじゃねぇか・・・・) 意を決し、ヴァイスはティアナに向き直る。 「なぁ・・・」 「あれ?」 何かに気を取られるように、ティアナは後ろを振り向いていた。いきなり出鼻を挫かれ、ヴァイスはがっくり肩を落とす。 「どうしたんだ?」 「今、エリオがいたような・・・・・・ううん、気のせいね」 「はぁ・・・・俺の純情はどうしてくれんだか・・・」 「はい?」 「何でもねぇよ」 信号が変わり、車を発進させる。 目的地は前々からティアナが行きたがっていた郊外のサーキット場だ。最近、忙しくてバイクに乗る暇もないと言っていたので、きっと喜んでくれるだろう。 (ま、今はまだ兄妹でも良いか・・・・今は、な) [10]Nach dem eines Speerritters 第5話A 2008/02/19(火) 20:32:40 ID:O27BkWn+ ジェイル・スカリエッティという男がいた。 稀代の天才科学者にして最悪の次元犯罪者。生命操作と人体改造に長け、科学者としての器は 歴史に名を残してもおかしくないほど優れていたが、常軌を逸した知識欲、異常としか言えない 無限の欲望をその身に宿しており、結果として多くの次元犯罪に手を染めた狂気の科学者。 だが、スカリエッティは10年前にエリオの義母が逮捕し、現在も監獄に収容されているはずだ。 「ああ・・・座ってくれたまえ、汚いところだが」 では、目の前にいるこの男は何者だ? エリオを自分の住処だという薄汚れた廃墟に案内した男は、写真で見たスカリエッティの顔と 非常によく似ていた。生き写しと言っても良い。 逮捕前、スカリエッティは自分のクローンを残す手段を講じていた。幸いにも旧機動六課が 尽力したことでクローンの誕生は未然に防げたが、まさかスカリエッティは他にも手段を講じていたのだろうか?  それこそ、自分たちでは及びもしない方法で。 「お前は・・・・本当にスカリエッティなのか?」 恐る恐る、疑問を口にする。すると、目の前のスカリエッティらしき男はおかしそうに笑った。 それこそ、まるで狂っているかのように。 「くくくっ・・・・そうか、君は私を・・・いやジェイル・スカリエッティを知っているのか。 ならば、君は管理局か何かの人間かね?」 「僕を知らないのか? エリオ・モンディアル・・・・お前が造ったプロジェクト「F.A.T.E」の残滓だ。 知らないとは言わせないぞ!」 激昂し、手近にあった壁を殴りつける。 スカリエッティならば、自分のことを知らないはずがない。同じ境遇である義母にあれだけ執着し、手に入れようとしていたのだ。 回収されたラボのコンピューターには自分の情報もかなり事細かに記録されていたし、何より義母と対峙した際、自分や義妹のことを 知っているからこそできる心理攻撃を義母に仕掛けていた。 「プロジェクト「F.A.T.E」・・・・そうか、F計画は完成していたのか。体に不具合はないか? 虚弱体質とか、 老化が早いとか・・・・とにかく何かないかね?」 熱を帯びた目で、スカリエッティはエリオに迫り、その滑らかな手で強張ったエリオの体に触れる。 その熱気に押され、エリオは後ずさるが、スカリエッティはしつこく全身を触診して回った。 「すごい・・・完璧だ・・・完璧な人間だ」 興奮した面持ちでスカリエッティは言った。その喜び方は、丁度テストで満点を採った子どもの笑顔に似ていた。 [11]Nach dem eines Speerritters 第5話B 2008/02/19(火) 20:34:27 ID:O27BkWn+ 「お前・・・本当にスカリエッティか?」 自分の知るスカリエッティは、こんな風に笑わない。もっと冷酷で、悪魔のような微笑みを浮かべた男だ。 間違っても、あんな風には笑わない。 「私が誰か・・・・気になるかね?」 「ああ・・・だが、確信した。お前はスカリエッティじゃない」 「そうとも。私はジェイル・スカリエッティにしてジェイル・スカリエッティではない」 そう言って、スカリエッティは床に散らばっていたガラス片を手に取ると、それを思いっきり自分の腕に突き立てた。 痛ましい光景にエリオは目を背けるが、スカリエッティは構わずガラス片を引き、己の腕の皮を引き剥がした。 その下から表れたのは、鉄のフレームとコードで形作られた機械の骨格だった。 「私は・・・・ただの機械だ。第97管理外世界では、私のような存在をロボットというらしい」 「ロボット・・・・」 「ガジェットのようなものと思ってくれて構わぬよ。ただ、ここに記録されているのが ジェイル・スカリエッティの記憶だというだけの、出来損ないに過ぎぬがね」 己の額を突き、スカリエッティは笑う。 理解の範疇を超えた事態に、エリオの頭は最早考えることを放棄していた。 ただ1つ理解できたのは、目の前にいるのはスカリエッティ本人ではないということだけだ。 [12]Nach dem eines Speerritters 第5話C 2008/02/19(火) 20:37:40 ID:O27BkWn+ 「納得のいかない顔をしているな・・・・私自身も、自分が稼働していることに疑問を禁じ得ない。 何しろ、私は失敗作だったからね」 「どういう・・・・意味だ?」 「ジェイル・スカリエッティのコードネームは知っているかね?」 「アンリミテッドデザイア・・・・・“無限の欲望”」 「その通り。だが、欲望は無限でも、命は有限だ。ジェイル・スカリエッティの夢である生命操作技術の完成には それこそ気の遠くなるような時間が必要だった・・・・・・だから、自分が死んだ時のためのバックアップを作る必要があったのだ」 「それが・・・お前だっていうのか?」 「機械は壊れぬ限り動き続けるからね。だが、私は失敗作として破棄された。理由は・・・・・君が現れたことで氷解したよ」 恐らく、プロジェクト「F.A.T.E」が完成したからだ。ジェイル・スカリエッティがその基礎を築き、大魔導師プレシア・テスタロッサが 完成させた使い魔を超える人造生命の作成と死者蘇生の研究。後者はともかく、前者に関しては既にエリオのようなクローンが作られており、 記憶転写技術も確立されている。スカリエッティは機械と言う容れ物に自分を移すよりも、そちらを使って永遠に生まれ続けようと考えたのだろう。 「私は全てのデータを抹消され、廃棄された。だが、どういうわけか再起動してね。プレス機にかけられる寸前に脱出することができた。 その後は、人目を避けつつ消されたデータをレストアし、JS事件の顛末をじっくり鑑賞させてもらったというわけさ」 スカリエッティは隅に積まれていた新聞紙の束を広げて見せた。そこには、JS事件に関する記事や、それに類するであろう事件、 更には解決に尽力した旧機動六課に関する記事が載せられていた。 [13]Nach dem eines Speerritters 第5話D 2008/02/19(火) 20:39:56 ID:O27BkWn+ 「さて、君の質問に答えたのだ、今度は私の質問に答えてくれたまえ。何故、君の右腕は機械なのだ?」 「なっ・・・!?」 気づかれた。 エリオの右腕はただの造りものではない。ナカジマ姉妹やナンバーズのデータを基に作られた最新式の義手だ。 性能もさることながら、本物らしさという点も彼女たちのものより遙かに優れた逸品だ。 だが、この男は触っただけでそれに気づいたのだ。 「偽物でも私はスカリエッティだ、それくらい見抜けるよ。さあ、答えなさい。F計画は完成した・・・・では、 何故、君は義手をつけているのかね? 本物の右腕は・・・・まさか、最初からなかったわけではあるまい?」 「それは・・・・・・」 迫力に押され、エリオは事の経緯を手短に説明した。極力主観を省き、事実のみを伝える。 だが、それだけでも彼は満足げに微笑み、新しい玩具を見つけたような目でエリオを見つめた。 「なるほど・・・・なるほど、なるほど・・・・つまり君は、愛に殉じたわけか・・・・・傑作だ。 ここまで完璧に人間を作れるとは、私も満更捨てたものではない」 「人を物か何かみたいに言うのはよせ、僕は人間だ!」 「そうだとも・・・・君は人間だ。だが、君自身はそう思っていない、違うかね?」 「な・・・に・・・?」 予期せぬその言葉に、エリオは言葉を失った。 スカリエッティは見透かしているかのように彼を見つめ、再びおかしそうに笑う。 「言ってみなさい・・・・・君の心には、まだまだ明かしてない闇がある。さあ・・・・」 「それは・・・・・・」 一瞬、言うべきかどうか迷いが生じる。だが、こんな奴でも相談相手にはなるかもしれないと思い、 エリオは意を決して自分の恋人が妊娠したことを告げた。すると、スカリエッティは一際嬉しそうに破顔した。 [14]Nach dem eines Speerritters 第5話E 2008/02/19(火) 20:43:04 ID:O27BkWn+ 「君に子どもが・・・・そうか、F計画はそこまで完成したのか・・・・なるほど、 君の悩みは・・・・・つまり君はこう思っている、自分には父親の資格などないと」 「ああ・・・・・父親を知らない僕に、父親になる資格なんてない」 それどころか、真っ当な人生すら歩んでいない。 こんな男を父親に持てば、生まれてくる子どもはさぞ迷惑することだろう。 だが、次にスカリエッティが口にした言葉は予想外のものだった。 「違うな・・・・君は・・・君はだね、君はつまりこう思っている。自分はクローン、 造られた存在・・・・そんな男が、幸せに・・・家族など持って良いわけがない ・・・・そう考えている」 「なっ・・・馬鹿なことを・・・・」 「違うとは言わせない・・・・でなければ、愛に殉じた騎士がそこまで悩むわけはなかろう・・・・好きだという気持ちすらねじ伏せる感情は、 恐怖でしかない・・・・君は・・・人でない君は・・・つまるところ人の親になるのが怖いだけだ・・・・・受け入れられぬだけだ」 叩きつけられる言葉を止める手段を、エリオは持ち合わせていなかった。彼の言葉は、決して間違いではないからだ。 エリオ・モンディアルのクローンとして生まれ、その事実で崩壊してしまったエリオのアイデンティティは、 身元引受人となってくれた義母との触れ合いで再び確立することができた。しかし、それは“プロジェクト「F.A.T.E」で 造られた自分”を認めることであり、同時に自分を“人ではない何か”に区別してしまうことであった。 あくまで無意識のことではあるが、それ故にエリオは自分の血を受け継ぐ者が生まれることに恐怖した。 その子に罪はないというのに、無意識の内にその子を忌避すべきものとして見ていたのだ。 [15]Nach dem eines Speerritters 第5話F 2008/02/19(火) 20:44:42 ID:O27BkWn+ 「なら・・・・僕はどうすれば良い? 僕に何ができるっていうんだ!?」 「何もない・・・何もありはしない・・・・父親にできるは・・・・祝福することだけだ・・・」 無限の欲望が口にするにはあまりに陳腐な言葉。だが、不思議と彼の言葉には説得力があった。 そして、思いだす。彼も・・・・・彼のオリジナルもまた、父親であったことを。 「生まれた我が子を祝福せぬ親などおらぬよ・・・・愛せぬはずがなかろう・・・・・君はもう、 生まれる我が子を愛している・・・・それ故に・・・愛するが故に、己の血が生まれてしまうことを ・・・・継がせてしまうことに恐怖し、悔やんでいるだけだ」 自分の宿命を受け継がせることを恐怖した。 偽物の子どもというレッテルが貼られることを忌避した。 だから、自分はこんなにも恐れているというのか? 「答えなさい・・・・君は、その子を愛しているかね?」 愛する人のお腹に宿る我が子を、愛しているか? その答えは、初めから決まっていた。 「ああ・・・愛している」 「なら・・・・それで良いではないか。愛とはかくも尊きものだ。どのような試練も、それがあれば乗り越えられる」 苦しむことも、傷つくことも全て受け入れ、ただ愛すれば良いとこの男は言っている。 それは、狂った科学者に似つかわしくない助言であった。 [16]Nach dem eines Speerritters 第5話G 2008/02/19(火) 20:47:20 ID:O27BkWn+ 「・・・・・お前に言うのはお門違いかもしれないが、それでも言わせて欲しい」 「なんだね?」 「お前がF計画の基礎を築かなければ、僕は生まれなかった。だから・・・・・・ありがとう」 それが、エリオの偽らざる本心だった。 恨みはある、怒りもある。愛する人の人生を弄び、義母の心を傷つけ、大切な友人の家族を殺した悪漢ではあるが、 それでもこの男がいなければ自分は生まれてこず、ルーテシアと出会うこともできなかった。 だから、管理局局員としてではなく、1人の男として、エリオはこの男に感謝した。 「礼には及ばぬよ・・・・私がしたことではないからね」 「だろうな・・・・だが、お前のおかげで悩みが解決したのは事実だ」 「なら、その礼として受け取っておこう」 互いに含みを込めた笑みを浮かべる。 そして、もう用はないとばかりにエリオは立ち上がった。この壊れかけの機械をどうするか最後まで迷ったが、 今のところ害はないように見える。彼自身も、既に自分はジェイル・スカリエッティではなくスカリエッティの 記憶を記録した機械でしかないことと認識しており、オリジナルのように犯罪に手を染める気はないようだ。 何より、一度は壊されかけた身のため、いつ停止してもおかしくないらしい。だから、エリオは彼の存在を 自分の心の中だけに留めておくことにした。 挨拶も告げずに、エリオは廃墟を後にする。 暗い世界に1人残されたスカリエッティは、誰に言うでなく呟いた。 「エリオ・モンディアル・・・・F計画の残滓・・・・その子ども・・・ああ、見たかった ・・・・その行く末を・・・・見たかったなぁ・・・・・・」 それが、狂った科学者の偽物が発した最後の言葉だった。                                   to be continued [17]B・A 2008/02/19(火) 20:49:09 ID:O27BkWn+ 以上です。 スカリエッティはご本人ではなくロボットでした。コンセプトは偽物というアイデンティティを持つ者同士の対談。 スカが喋り出すと途端に筆が乗って台詞がポンポン出てくるから終始エリオが圧倒されて困った困った(良い意味で)。 雰囲気的に、某運命の名を冠したエロゲーの変態神父みたい。偽物だからある程度オリジナルと違っても良いですよね? [18]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 20:54:04 ID:4yP1U0vZ あなたが神か 鳥肌立ちました [19]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 20:55:50 ID:RsJHE/B3 GJ! いいな、上手く感想言えないけど なんか、こう、しっとりきたみたいな [20]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 20:56:09 ID:TrKe1AOf GJ!!です。 スカロボの最後の言葉が・・・泣ける。 次回も楽しみにしてますw [21]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:01:46 ID:Kg5Fo2nl >B・A氏 感想に困る…… と言えるぐらいいい話でした。 なんていうか闇を理解できるのは闇のみってフレーズが頭に浮かびました。 これで悲哀の鎗騎士に本当に幸せが訪れることを願ってます。 [22]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:04:03 ID:N1rJ69Et >>17 素晴らしい。 ロボスカリエッティの言葉が痛快だった。深いね。 それだけに最後は切ないなぁ。GJ! [23]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:04:38 ID:GDmnV1nW 生命操作を望んだ機械仕掛けの神、か [24]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:17:27 ID:crhUFZ9z >>17GJ スカボットがかっこよすぎるよ…… 彼が再起動したのはある意味での自分の子供に道を示すためだったんじゃないかと気取ってみるてすと そして意外とヘタレなヘリパイ乙w [25]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:18:09 ID:nqRsHceT >>17 GJとしかいいようがない! ところでザ・シガー氏のリアルなイメージがガチムチなのは俺だけかな? [26]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:18:51 ID:fMOWW6Ad デウスエクスマキナというのは本来あまりいい意味で使われる言葉じゃないけどね。 [27]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:31:10 ID:Z2oS3tO1 >>17 GJです!エリオの心の闇、そしてスカの狂おしいほどの生命への執着・愛着が すごい伝わってきました。 続きが見たいです。 [28]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:32:13 ID:6KT4Puv0 舞台とかじゃないんだから別にいいじゃないのさ 最早別の言い回しだよ>機械神 [29]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:37:29 ID:6KT4Puv0 書き忘れ GJ 本物になれなかった偽物でと言ってもやっぱりこいつは無限の欲望だ… [30]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:38:54 ID:NibOpiV3 ここの保管庫って携帯でタグ一覧消すことできない? タグ全部表示してるとほとんどの作品が途中で切れる…… [31]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:40:06 ID:ulIgVLRA >>30 ファイルシークなら大丈夫 [32]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:46:38 ID:+ZRXdsyu すべての職人にGJ ここのSSはレベル高くて読み応えがあるよ。 [33]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 21:53:01 ID:8y2QrDMu 陵辱物期待、ついでに触手も期待 [34]:名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 22:00:34 ID:OIBKFtH/ 触手で和姦ものなら半分まで書いている。 [35]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 22:01:56 ID:8y2QrDMu >>34 待ってます [36]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 22:08:35 ID:q/yw7RqH >>17 GJ!!メカスカがとてもいい味を出していて、なんだか目頭に来てしまった >>34 wktkしながら待ってますZE [37]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 22:22:14 ID:HT9uOAfQ >>17 GJです! 心の闇を振り払ったエリオ君のこれからに期待します。 そして、ロボットスカリエッティ、あんたカッコイイ、カッコイイよ! こんな素晴らしい作品の後で、非常に心苦しいのですが、以前予告したリリカルヴィヴィオのプロローグを投下させて頂いてもよろしいでしょうか? 本当なら本編も投下したかったのですが、事故で原稿が消えてしまい、プロローグのみの投下になります。 [38]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 22:27:08 ID:6KT4Puv0 >>37 さあはやく本編をふっきゅうする作業に戻るんだ [39]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 22:36:04 ID:8y2QrDMu >>37 おkですよ そして毎度の埋めAAのカオスっぷりに感動しました 埋めAA職人さん乙 [40]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 23:19:02 ID:xH1WFOjs >>17 亀スマソ なんか、スカがいいやつに見えてしょうがないwwwwwwwwww 悪役のはずなのにorz [41]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 23:22:26 ID:lzQjV61X 相変わらず陵辱足りないなあ [42]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 23:24:37 ID:RsJHE/B3 >>41 泣き虫サクラ乙 [43]ザ・シガー 2008/02/19(火) 23:25:10 ID:wTy852fq >>17 相変わらず面白ええええ!! GJです。 エリオ、そのまま指輪を買いに行け! そしてヴァイスの浮気は許さん。 前スレであったスバルの爺ちゃんの話なんですが、爺ちゃんはスバルやギンガの事を知っているという設定ですので。 一人称で分かりにくかったですかね、ちゃんとSSの方でも補足を入れたいです。 >>25 え? ガチムチ? [44]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 23:33:08 ID:nqRsHceT >>43 俺には、ガチムチだが激甘のSSを書くザ・シガー氏が見えるんだ…… [45]37 2008/02/19(火) 23:33:14 ID:HT9uOAfQ それでは、魔法少女リリカルヴィヴィオのプロローグを投下させていただきます。 プロローグではヴィヴィオは出ないので、ご了承下さい。 これって…看板に偽りあり? 注意事項 ・12歳verヴィヴィオ×オリキャラ(の予定。しかも両者共に登場は暫く先) ・非エロ ・物語の時期はStSエピローグから半年後(プロローグ並びに本編序盤)6年後(本編序盤以降)、その為捏造がかなりあります ・大きくなった上に捏造まみれのヴィヴィオが見たくない人は読まない方が良いと思います [46]名無しさん@ピンキー 2008/02/19(火) 23:33:25 ID:NibOpiV3 >>31 遅くなったがありがとう このスレの進みは異常なんで、3週間も開けると何がなんだか… [47]魔法少女リリカルヴィヴィオ プロローグ@ 2008/02/19(火) 23:38:21 ID:HT9uOAfQ 「奇跡の部隊、驚愕の真実…機動6課は化け物の巣窟だった………なんだよ…なんなんだよ、この記事は!!」  オフィス中に響くヴィータの怒声。その両手には発売されたばかりの週刊誌が、真っ二つに引き裂かれた形で握られていた。  魔法少女リリカルヴィヴィオ プロローグ 「この手の中傷は良くあるとは言え、今回は何時にも増して酷い内容やな」   ヴィータが引き裂いた週刊誌を繋ぎ合わせ、記事に目を通したはやてが苦い顔で呟く。  記事には、半年前に運用期間を終えて解散した機動6課への誹謗中傷がこれでもかと書かれており、特にフェイト、エリオ、スバルの3人に対しては― 『人造魔導師や戦闘機人という禁忌の技術で作り出された、人の皮を被った化け物』  『いつ、我々一般市民に牙を剥くか解らない危険な存在であり、管理局は即刻、こう言った存在を消去するべきだ』  等、特に酷い中傷が書かれていた。 「ふざけた記事書きやがって…どこのどいつだ!」 「こんな低俗な記事を書く奴など、1人しかおるまい。ラージ…ラージ・ヒルオカだ」 [48]魔法少女リリカルヴィヴィオ プロローグA 2008/02/19(火) 23:44:39 ID:HT9uOAfQ  拳を強く握って怒りを抑えながら、静かに1人の記者の名を上げるシグナム。  ラージ・ヒルオカ。  金の為なら真実を捻じ曲げる事も躊躇わないフリージャーナリスト。  捏造や誹謗中傷にまみれた記事で、多くの人を不幸のどん底に叩き落してきた事で有名である。  また、法律の盲点を巧みに突く事で、様々な社会的制裁を逃れている事でも有名である。  機動6課も設立当時からターゲットにされており― 『色仕掛けで上司を惑わし、新部隊指揮官の椅子に座った売女』 『教導の名目で、前途有望な若者を次々と潰し、挙句の果てには死に追いやった悪魔』 『身寄りの無い孤児を次々と手中に納め、自身の私兵へと変えていく金髪の魔女』 『男を求めて夜の街を彷徨い、楽しむだけ楽しんだ後、無残に斬殺する桃色の切り裂き魔』 『幼女趣味の男を誘惑し、手にしたハンマーで次々と撲殺する赤毛の殺人鬼』 『日々運び込まれる患者に違法な人体実験を繰り返し、数十人の命を奪ったマッドサイエンティスト』  等と全く身に覚えが無いどころか、記事を書いた人間の正気を疑うような中傷を受け続けていた。 [49]魔法少女リリカルヴィヴィオ プロローグB 2008/02/19(火) 23:49:10 ID:HT9uOAfQ 「皆が怒る気持ちも解るけど、ここはいつも通り無視することや。こういう類の奴は相手をすれば、調子に乗るだけやからな」  怒り心頭といった顔のヴィータを宥めつつ、いつも通りの対応を指示するはやて。  『根拠のない誹謗中傷は徹底的に無視。馬鹿には言いたいように言わせておけ』それは管理局に入った時から変わらないはやてのスタイルだ。 「それに、こんなふざけた内容信じるような人なんて、殆どおらへんやろうし…な」  「たしかに、こんな内容を信じるのはよっぽどの大馬鹿者だけでしょう」   はやて、そしてシグナムの言葉を最後にこの話題は打ち切られ、それぞれ仕事へと戻っていくヴィータ達。  はやての言葉どおり、管理局の同僚達、そして市民の中にもこの記事を信じる者は殆どいなかった。  同僚達は共に働く中で、機動六課の面々が記事に書かれているような人々でないことを理解していたし、市民もJ・S事件解決に尽力した機動6課に好印象を抱いている者が殆どだったからだ。 [50]魔法少女リリカルヴィヴィオ プロローグC 2008/02/19(火) 23:53:21 ID:HT9uOAfQ  だが、僅か…ほんの僅かではあるが、この記事を信じた大馬鹿者達が存在した。 「人造魔導師に戦闘機人…このように穢れた者達は、今も存在し続けている…」 「このような者達の存在は、神の意思に反する」 「この世界は神が生み出した者達だけが存在するべき…いや、存在しなければならないのだ!」 「穢れた者達を消去せよ! これは神の意思なのだ!!」 「我らは神の代行者。我らの命と変えてでも、穢れた者を消去する…全ては清浄なる世界の為に」 「「「清浄なる世界の為に」」」     1人の愚者の行動が引き金となり、世界は悲劇へ進み始めた事を…まだ、誰も知らない。  to be continued [51]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:02:12 ID:qDPbi/iF GJ!!です。 聖王教会の狂信者かな? 面倒そうな奴が敵ですね。ボコりすぎると記事にされそうだし、 手加減しすぎるとまたやって来るし。 心に恐怖をしっかり刻まなければw [52]リリカルヴィヴィオ作者 ◆W.ri5lp/pY 2008/02/20(水) 00:03:50 ID:nbCraLJ4 リリカルヴィヴィオ、プロローグは以上です。 続く第1話では、あのキャラが(以後、ネタバレの為、検閲削除) しまい、あのキャラが壊れる切っ掛けとなります。 それにしても…他の作品と比べて、私って下手ですよねorz 次回はもう少しマシになるよう頑張ります。 [53]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:04:17 ID:R6gklaFr 教会の過激派が跳梁するSSは初めてだったかな [54]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:05:26 ID:A766OCYT ちょwwwブルーコスモスwww いつの世も狂信者は怖いねぇ。 [55]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:06:43 ID:6W5BsuC0 GJ たまにいるよな、噂の〜とかを真に受ける人 誰が最初の犠牲者(?)になるか ヴィヴィオの活躍が楽しみだ [56]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:11:29 ID:Mn/4xmf+ GJ 最後の連中、どうみてもブルコスです。本当に(ry しかしこの記者、内容はともかく戦闘機人や人造魔導師はあってる… 意外と記者としての腕は確からしい [57]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:13:38 ID:MBj2Y1ZM >>52 @−Bまではwktkしてたんだが、Cの敵っぽいの…ブルーコスモス? ちょい台詞が陳腐というか、他のアニメを連想させるなぁ。「神の代理人」とかも。 人造魔導師・戦闘機人=穢れている という思想もピンとこない。「穢れ」は仏教神道の観念よ? 面白そうな感じであるだけに、敵役についてじっくり練って欲しいな。 まぁ、色々言ったが期待してるぜ!GJした! [58]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:14:05 ID:e9V+VEQb >いつ、我々一般市民に牙を剥くか解らない危険な存在 >身寄りの無い孤児を次々と手中に納め、自身の私兵へと変えていく金髪の魔女 これは見方によっちゃあ正気を疑うような中傷でもないんだよね 戦闘機人はギンガみたいに操作されていつ牙を剥くか判らんという好例だし フェイトは母娘の関係とはいえ次元犯罪者の片棒を担いで大暴れしてたわけだし ああヴォルケンも似たようなもんだよなあ、主の為なら〜とか言って散々暴れてたし 知らなかったとはいえ当然はやてにも責任問題はあるよなあ、レジアスに睨まれたのもそのあたりが一因だしよ んで、いくら子供達が志願したとはいえ、学校にも行かせずに戦闘訓練させて戦場の最前線へ赴かせる保護責任者フェイトさんはマズイんじゃね? 確かに誇張表現かもしれんが、あながち間違ってないとゆーのが困ったもんだ [59]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:16:08 ID:rdRCHHvz マスコミの仕事は肝心な時に足を引っ張ることだから こいつら立派に仕事してるよ [60]リリカルヴィヴィオ作者 ◆W.ri5lp/pY 2008/02/20(水) 00:16:19 ID:nbCraLJ4 >>51さん、53さん 私の書き方が悪かった為、誤解されてしまったようですが、最後に出ていた過激派は聖王教会の人間ではありません。 でも、宗教関係の人間ではあります。 勝手ながらそこだけ訂正させていただきます [61]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:30:17 ID:Zeh9cZWA >>58 2行目については本編でもスカが言ってたな。 [62]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:31:27 ID:Ae3UE/m4 週刊誌の記事で凶行に走るなんて恐ろしすぎじゃい…… ともかくヴィヴィオの活躍に期待っす、主に元祖魔法少女的なものを。 [63]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:35:35 ID:GrjmKybH まぁ、フェイトプロジェクトの場合クローンみたいなもんなので 魔道師になるかは後付けみたいなもんだけどね フェイトさんの場合AAAクラスの魔道師になるなんて想定外もいいところだし。 [64]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:38:14 ID:A8DM6LT0 なのはさんは死人が出る以外は合ってるんじゃ… [65]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:48:34 ID:qxix6D30 >>64 馬鹿、おま…消されるぞ [66]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:49:38 ID:QFgPz5gn おいおいマジなのはファンとガンダムファンのラップ率はただ事ぢゃねぇな。 都築本人も新シャア住人じゃないかと疑ってるぐらいだ。 [67]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:49:59 ID:M7a7qA/o >>52氏 GJです。 10分後位に、自分も投下します。 かなーり、短めで非エロですが。 [68]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:51:44 ID:pYu9ve/0 >>66 まあ、でなきゃなのはさんに“フリーダム”なんて表現は使われないだろうけどな。 というか、俺ら二次のキャラに“さん”づけなんだな。今更気づいた。 [69]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 00:55:42 ID:1251g9/3 >>68 なのは「さん」では無く「なのはさん」だからw [70]ヴィヴィオの進路〜その2 2008/02/20(水) 01:03:00 ID:M7a7qA/o こんばんは。 お供えです。 以前書いた、ヴィヴィオの進路の続編です。 非エロ 捏造あり。オリキャラあり。 なのはと、ユーノが結婚して、子供がいます。 前回、書き忘れてましたが時間的には、 ヴィヴィオが中学(ミッドにあるかどうか解らないけど)卒業前くらいのつもりで、書いてます。 今回は短め。 以上の事を踏まえてお読み下さい。 [71]ヴィヴィオの進路〜その2 2008/02/20(水) 01:04:18 ID:M7a7qA/o 進路希望の紙を提出した時の、先生の顔は、きっと、生涯忘れる事は無いと思う。 まぁ、しょうがないよね。 私自身、心の中に、ずっと燻らせてた願いではあったけど、 それを、表だって言ったことはなかったから。友達にも、先生にも。 ………あ、なのはママには、言った事あったけ?随分、昔にだけど。 あの時の、なのはママの顔は今も覚えてる。 少しだけ嬉しそうで、それ以上に悲しそうな顔で、 「それは、ダメだよ」 って、小さく呟いた。 なのはママが、私の言うことに、反対したのは、後にも先にも、この一回だけだ。 「はぁ……」 小さく溜め息をついてしまう。 私は、恩知らずで、我が儘な人間なのかも知れない。 血も繋がらない人間を、我が子同然に、可愛がって育ててくれた人の、 そのたった一度の、拒否さえ認めず、その道を選ぼうとしてる。 でも………ずっと見てきた、なのはママの背中が、 あの日、私を助けてくれた、あの人の背中が、私の心から、他の選択肢を消してしまった。 「ごめんね。なのはママ。私、やっぱり、すごく、我が儘だ」 呟いて、胸の奥が、チクりと痛んだ。 それから、数日は何事も無いような日々が続いた。 なのはママと、ユーノパパは、相変わらず忙しい日々が続いてて、家にいる時間は短くて…… 私は、朝起きたら、ユーナとご飯を食べて、ユーナを保育園へと連れていく。 その後、私も学校へ行き、一日を過ごして、家へ帰り、ユーナとご飯を食べる。 (ユーナを迎えに行くのは、なのはママか、ユーノパパがしてくれてる。 もっとも、大体の場合、二人とも、私が帰った時点で、そのまま仕事に戻っちゃうんだけど) 後は、ユーナとお風呂に入ったり、お話をしたり……… そんな普通の日常。でも……進路希望を出してから、一週間がたった日。 遂に、その時がやってきたんだ。 [72]ヴィヴィオの進路〜その2 2008/02/20(水) 01:05:25 ID:M7a7qA/o 「ただいま〜」 玄関を開けると、いつもは、飛びついて来る、ユーナの姿が無かった。 変わりに、珍しく、なのはママが出迎えてくれた。 「あれ?なのはママ。ユーナは?」 なのはママは、小さく溜め息をついてから、 「ヴィヴィオと二人で、お話をしたくってね。ユーナは、はやてちゃんに預かって貰ってる」 なのはママの、不機嫌そうな態度と、会話の内容から、 なのはママの言う、『お話』がなんなのか、私にも想像がついた。 鞄を置いて、テーブルに着くと、なのはママは、私の対面に腰を下ろした。 「昨日、局の方に先生から電話があったよ。それで、ヴィヴィオの進路希望を教えて貰ったの。 なんで、何も相談してくれなかったの?」 なのはママの口調は、責めるものでは無かったけど、 進路希望を勝手に決めた私に、怒ってはいるみたいだった。 「しようとは思ってたよ?だけど、なのはママも、ユーノパパも、家に居ないじゃない。 話す時間も無かったんだもの」 やっぱり、私は卑怯だ。 そんなつもりなんて全然無かったのに、それを、なのはママ達のせいにしてる。 しかも、なのはママ達には、どうしようも無い事を盾にして。 「電話してくれれば良かったじゃない。そんな大事な事、一人で決めちゃうなんて……」 「緊急の場合を除き、極力、仕事中の隊員には連絡しない。 ……局のマナーだって、なのはママが言ってたんじゃない」 「だけど!!」 自分でも驚く程、屁理屈がスラスラと出てくる。 「それに、もう決めちゃったから。やっぱり、私は管理局員になりたい。 私も、なのはママや、ユーノパパみたいになりたいんだ」 それに、管理局に入ってしまえば、少なくとも、 経済的な理由で、なのはママ達に迷惑をかけずに済む。 「ヴィヴィオ。ずっと前にも、そう言ってたよね? その時、私がなんて言ったか覚えてる?」 「………」 忘れる筈が無い。それこそが、私が、なのはママに、言い出せ無かった、最大の理由なんだから。 私の沈黙を、肯定と受け取った様で、なのはママが、再び口を開く。 「私の返事は、あの時と一緒だよ。今からでも、進路希望を変えてくれないかな? ヴィヴィオが、どうしても進学が嫌なら、就職でもいいから、局以外にして欲しいんだ」 なのはママの、言葉が、優しい視線が、痛かった。 こんなにも優しい人を裏切って、我が儘を貫く私。 私は、どれだけ酷い、人間なんだろう。不意に、目頭が熱くなり、瞳から涙が零れたのが解った。 「ごめんなさい……なのはママ。でも、それでも、私は管理局員になりたいの……」 私の、あまりの我が儘ぶりに、なのはママは呆れてしまったのか、席を立ち 「そう。じゃあ、私は、もう何も言わない。ヴィヴィオの好きにしたらいいよ」 そう言って、部屋を出ていった。 『バタン!』と、大きく音をたてて、閉じたドアが、なのはママとの間さえ閉じてしまったようで、 私は、ただ一人、自分の愚かさを呪いながら、泣く事だけしか出来なかった。 [73]ヴィヴィオの進路〜その2 2008/02/20(水) 01:07:40 ID:M7a7qA/o 今回は以上です。 本当に短くてすいません。 読んでくれた方、ありがとうございます。 一応、続きます。 [74]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 01:25:32 ID:QFgPz5gn >>73 GJ! 次回はフェイトさんの出番かな? しかしなのはさんアンタ自分はあれだけ勝手しておいて娘にそれはないだろう。 >>68 っつか、前スレでのミッドの車は何で動いてる? で 「触媒で排出されるのは水」   _.._ ( ゚Д゚) !?  それ俺が去年の5月頃に新シャアの某スレでMSの動力に使ったやつじゃねぇか。  高  効  率  低  温  ワ  ル  タ  ー  機  関  。 まぁ続かずにDAT落ちしたようなスレだから 多  分 見てたわけないと思うけど。 (ああでも、都築ってけっこうおっぱい星人だからどうかな) ところで、「熱い彗星の〜」を進めたいんだが、 頭ン中では「蟻地獄」後のユノキャロがイチャイチャイチャイチャしまくってやがるんだが、 どうしたらいい? [75]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 01:31:57 ID:ei/6sZpn >>73 (´;Д;`) >>74 『熱い彗星の蟻地獄』なんていうのはどうですか? こう、アリサがもっと、こう、なんていうか(ry [76]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 01:32:31 ID:Ae3UE/m4 >>74 幼妻が妊娠ハラポコで良いと思います先生! [77]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 01:43:05 ID:QFgPz5gn >>76 Σ(゚Д゚ 三; ゚д゚) !? それ初期プロット段階で考えてたやつじゃねーかYO! そんなにキャロに淫獣の子孕ませたいのかおめーら。 [78]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 01:45:26 ID:A8DM6LT0 フェイトさんが10代でおばあちゃんになるんですね。 [79]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 01:45:53 ID:xRXx36+N >>50 GJ! ちょwwダークザギwww >>73 乙!続き期待してます >>77 当然じゃないか! [80]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 01:47:27 ID:Ae3UE/m4 >>78 便宜上フェイトの立場を“姉”にしておけば、まだ叔母さんで済むぜ? [81]アルカディア ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 01:53:29 ID:BtpVorNX 二時頃から投下していいですか? [82]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 01:55:28 ID:Ae3UE/m4 ハヤクトウカシテ、ジャナイトボクドウカナッチャウヨ…… [83]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 01:55:43 ID:GrjmKybH >>77 幼女を犯して孕ませるなんて最高じゃないですか >>81 進路は開いているようです。 [84]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 01:56:41 ID:A8DM6LT0 今すぐどうぞ。 ズボン下ろして待ってます。 [85]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 01:58:24 ID:qDPbi/iF >>74 周囲が引くくらいのイチャイチャするんだッ!!キャロをひざの上に乗せて 抱きしめてみたりとかチュチュしてればいいのだよw 支援します。 [86]アルカディア ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:02:12 ID:BtpVorNX Little Lancer 八話です。帰ってきたアイツラ☆編です。 何時も通りの、お約束通りの平凡な展開です。         注意事項  ・非エロ  ・原作IFもの  ・エリオ主人公(最近ではキャロの方が……)  ・軽くとらは3の設定を流用 ←今回はちょっと多めです  ・少々の鬱展開有り。  ・展開の、原作からの矛盾点などは虚数空間へスルーして下さい。  ・NGワードは「Little Lancer」でお願いします。 [87]Little Lancer 八話 01/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:04:41 ID:BtpVorNX  もう、一刻の猶予すら無かった。  クアットロが偽造したなのはのビデオメールは第97管理外世界に、アリサとすずかを標的にしたものに間違いない。  あのクアットロがアリサとすずかを相手に、何を企んでいるのかは知る余地も無い。  ―――だが、それがなのは達にとって好ましい結果を齎さないだろう事は火を見るより明らかだ。  クアットロのアリサとすずかへの接触は何としてでも阻止しなければならない。 「まずいで、すぐアリサちゃんとすずかちゃんに連絡や!  何が、あってもあの二人をクアットロに会わせるような事が有ったらあかん。  シャーリー、緊急回線用意や! 連絡先は―――」 「あ、あの、八神部隊長……」 「何や!? シャーリー、急ぎいや!」  普段の沈着な姿からは想像できない程の、焦りを露にしているはやてにシャーリーが告げる。 「あの……このビデオメールで指定された転送ポート使用時刻、―――もう、とっくに過ぎてます」 「……は?」  瞬間、機動六課隊舎の全通信網に割り込みが入った。  オンラインに繋がっているあらゆるモニターの画像が入れ替わる。  ある者は、それは自室のパソコンで見た。  ある者は、それは、それを、ロビーの野球中継の狭間に見た。  ある者は、仕事でデータの遣り取りをしている最中にそれを見た。  そして、なのは達はそれを、通信室の巨大モニターで見た。  そこに映し出されたのは、果たして――― 『はぁい! 機動六課の皆さん、こ・ん・に・ち・は〜〜〜っ!  クアットロちゃんでぇ〜〜す!  皆さん、ちゃあんと私の事覚えててくれました〜?』  機動六課隊舎が、鳴動した。  誰も、この怨敵の顔を忘れたものなど、居よう筈が無い。 『それにしても、随分とお久しぶりですね〜  皆さん、お元気にしてました?  ……う〜ん、隊長方もみんなお元気そうですね〜  実は、今日はビッグニュース!  皆さんに私の新しいお友達を紹介したいと思います!』  はやては、動悸を抑えるように胸元に手を当てる。  なのはとフェイトは、アリサとすずかが心配で気が気で無い。 「シャーリー、逆探知、頼むで!」 「済みません、前回と同じで、固有の特殊な通信回線を使ってて逆探知できません!」  モニターでは、今も尚喜色を浮かべたクアットロが、楽しくて堪らないという様子で熱弁を揮っている。 『紹介します! 私の新しいお友達! アリサ・バニングスちゃんと、月村すずかちゃんで〜す!  皆さん、拍手拍手〜〜〜!』  モニターの画面一杯に、目隠しをされ猿轡を噛まされた上、両手両足を荒縄で縛られたアリサとすずかが映っていた。  二人はあられもない下着姿で、肌も露に汚い板張りの床の上に転がされている。  はやては叫び声を上げた。  クアットロは滔々と語る。 『このアリサちゃんとすずかちゃん、実は機動六課の三人の隊長方と、もう13年も前からお友達なんだそうです!  う〜ん、友情とは素晴らしいものですね〜!  私も、是非隊長の皆さんにあやかって、このお二人とお友達になりたいと思いましてね〜  ちょっぴり高町なのは隊長の振りして、お手紙出してみたんです!  そしたらお二人とも、もうニッコニコ!   初デートの前の中学生の女の子みたいに、転送ポートの前でソワソワしながら待ってるんですよ!  やっぱり隊長方のお友達というあって、可愛らしい方達だな〜って、クアットロ感動しちゃいました!』 [88]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 02:04:43 ID:A8DM6LT0 支援 [89]Little Lancer 八話 02/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:05:32 ID:BtpVorNX  一秒でも早く口を噤ませたい思いを堪えながら、はやてはクアットロの狂態を凝視する。   嗜虐嗜好の塊のような女だが、アリサとすずかを拉致したからには、相応の要求があるはず。  それを口に出すまでは、機嫌を損なわせないよう喋らせておいた方が得策かと考えを巡らす。 『実は、私お二人に、『ドッキリ☆サプライズ』を用意するって約束してたんですよね!  ですから、転送ポートの傍でソワソワしてるお二人に後ろからこっそり近づいて、頭から袋を被せて叩き伏せて、車に詰め込んじゃいました♪  どうです、これはきっと、アリサちゃんとすずかちゃんでも想像できない『ドッキリ☆サプライズ』ですよね〜?』  三人の顔は既に蒼白である。  思い出すのは三年前のあの出来事。  二度と繰り返すまいと心に誓ったあの悲劇が、今当に繰り返されようとしているのだ。 『高町なのは隊長、見〜てま〜すか〜?  お二人とも、車の中で『なのはちゃん!、なのはちゃん!』って何度も名前を呼んでましたよ〜  やっぱりなのは隊長のお顔を借りてメールを出したのが、効果覿面でしたね♪  でも、『なのはちゃんはミッドチルダのヒーローだから、こんな僻地の貴方達の事なんか助けてくれませんよ〜』  って、耳打ちしたら、随分静かになりましたけどね!  あ、でもアリサちゃんの方は中々静かにしてくれないんで、ちょっぴり『お仕置き』しちゃいました! てへっ♪』    矢も矛も堪らず、火を吐く勢いでなのはが叫んだ。 「もういい! アリサちゃんとすずかちゃんにこれ以上酷いことしないで!  早く二人を返して!!」  クアットロは眼鏡を抑えると妖艶な笑みを浮かべた。 『いいですよ〜 二人をお返しして差し上げても。  ……そう言えば、三年前のエリオ君のお葬式、棺の中には左のお手手一本しか入って無かったそうじゃないですか?  それじゃああんまりにも寂しいでしょうから―――  ―――今度は、ちゃ〜んと両手両足を揃えてお返ししましょうか?  それにしても、流石六課の隊長方の出身地、海鳴の街は綺麗ですね〜  この海鳴の綺麗な砂浜で、この綺麗なお二人の頭を使って、スイカ割りとかしたら素敵と思いません〜?』  どこかの部屋で、男性隊員が雄叫びを上げながらモニターを叩き壊す音が聞こえた。  はやては、努めて、冷静に尋ねた。  「一体、要求は何や? どうすれば二人を解放するんや?」 『う〜ん、要求って程のものはないんですよね〜  クアットロ、寂しかったんです〜 六課の皆さんに姉様達も妹達もみ〜んな捕まっちゃって、クアットロ一人ぼっちなんです。  一人ぼっちは寂しいんですよ、え〜ん、え〜ん。  あんまり寂しかったんで、アリサちゃんとすずかちゃんにお友達になってもらうことにしたんです♪  ―――でも、姉妹のみんなが帰ってきてくれるなら、二人がお家に帰っちゃっても平気かもしれません〜』  人質交換。過去に捕縛した戦闘機人達の解放。  予想の範囲内の要求だが、そうそう簡単に呑める訳も無い。 「二人を解放する代わりに、うちらが捕らえた戦闘機人達を解放せい、言うんか―――」 『ああん、別にそう、無理難題を言ってる訳じゃあないんですよん。  確かに姉妹のみんなには帰ってきて欲しいんですがね〜  情報提供だの何だのしちゃって、すっかり裏切り者になっちゃったお馬鹿な妹達は要りません♪  帰って来ても獅子身中の虫にしかなりませんからね〜  ウーノ姉様、トーレ姉様、それからセッテとドゥーエ姉様の亡骸を返して頂ければ結構ですぅ』  この三人は恭順の態度を見せず、軌道拘置所に収容されているメンバーだ。  確かに人数こそ少ないが、粒よりの危険人物ばかりである。 [90]Little Lancer 八話 03/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:06:34 ID:BtpVorNX 『そりゃあ、エリオ君の事はご愁傷様でしたけど〜、もう三年も前の事なんですし、綺麗さっぱり水に流して仲良くやりません?  ほら、昨日の敵は今日の友って言うじゃないですか〜』 「ふざけるんやないでっ!」  怒鳴りかかるはやての袖を、フェイトが弱々しく引いた。  エリオを殺され、一度は心を病みかける程の痛みを受けた彼女は、はやてに哀願した。  もう、あんな思いを二度と繰り返したくない、と。  その思いははやても―――機動六課の誰しもが同じである。  だが指揮官として、そうそう簡単に犯罪者からの要求を呑む訳にも行かない。 『んふふふふふ、悩んでますね〜 はやて隊長♪  はやて隊長もこのお二人とお友達なんですよね〜  あ、でも隊長は機動六課の司令官ですから、私なんかと取引は出来ませんよね。  実にご立派です!  んふふ、アリサちゃん、すずかちゃん〜、貴方達のお友達のはやてちゃんは、自分のお仕事が大事で、お二人の事なんでどうでもいいそうですよ〜  でも安心して下さいね。このクアットロがず〜っとお友達でいてあげますから♪』 「アリサちゃん、すずかちゃん、安心してな、絶対すぐに助けるさかいな!」  はやて達の声は届いているのかいないのか、アリサとすずかは動かない。 『それにしても、この世界は面白いおもちゃがたくさん有りますね〜  流石はやて部隊長やなのは隊長の出身世界!』  クアットロが笑顔と共に取り出したのは、黒光りするサブマシンガンだった。 『折角のお友達に逃げられちゃった寂しいですから、こうして―――』  その銃口が、無造作に投げ出されているアリサのすずかの足へと向けられた。  六課のメンバーの制止の絶叫も届かず、クアットロはトリガーを引いた。  ―――果たして、鳴り響いたのはぱらららら、という気の抜けたような空気銃の音だった。  だがそれでも、高威力のガスガンで至近距離から素肌を撃たれた痛みは相当のものらしく、アリサとすずかは体をのたうち回らせ、猿轡越しにくぐもった叫びを上げる。  美しい二人の白い足に蚯蚓腫れが走り、忽ち赤く充血した。 『きゃはははは、見て下さい! アリサちゃんとすずかちゃん、芋虫みたいに体をくねくねさせてますよ! セクシーですね〜  んふふ〜 もしかして、本物だと思っちゃいました?  言ったじゃないですか、『面白いおもちゃ』だって。もぅ、六課の皆さんはジョークが通じませんね〜  あ、でも次はジョークじゃないかもしれませんから、そういうドキドキ感が楽しいんですよね!』 「もうやめて! お願いだから、お願いだからっ!!」  フェイトの血を吐くような叫びに嗜虐心をそそられたのか、クアットロはそっとすずかの頬に口付ける。  そのまま、目隠しの下から流れ落ちる涙を、ナメクジが這うようにゆっくりと舌で舐め上げた。 『うう〜ん、デリッシャス! すずかちゃんの涙は甘くてとろけそう!  やっぱり可愛い女の子の涙の味は最高ですね〜  あはっ! いいこと考えちゃいました! このお二人にアダルトビデオに出演してもらうのなんてどうでしょう?  題して『アリサ&すずか・二人で100人抜き』なんちゃって!?  じゃあ、はやて隊長、三時間後にまたご連絡しますから、お返事、考えといて下さいね?  クアットロは、アリサちゃんとすずかちゃんと楽しく遊びながら、はやて隊長の素敵なお返事楽しみにしてま〜す♪』  ブツン、と一方的に通信が断ち切られる。  機動六課は、苦渋の選択を強いられる事となった。 [91]Little Lancer 八話 04/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:07:16 ID:BtpVorNX  とあるドイツの田舎町、深い森の傍に有る瀟洒な洋館に大小二つのエンジン音が響いた。  一つは自動車の、もう一つは小型バイクのエンジン音だ。  それを聞きつけ、洋館から一人の少女が飛び出した。歳の頃は十に僅かに届かない程か。  ショーカットの黒髪と、少し気の強そうな瞳をした快活な少女だった。   車から降りた黒衣の男性が、少し困ったような顔をして少女に向かって手を広げる。 「雫、こんな時間まで起きてちゃダメだろう? でも、待っていてくれたのは嬉し―――」 「ランスお兄ちゃん、お帰りなさい〜〜〜」  少女は、満面の笑みを浮かべてバイクから降りた少年へと抱きついた。  男は両手を広げた姿勢のままで硬直している。 「……た、ただいま、雫」  少女の抱擁を受けた少年は、冷や汗を流しながら、殺気立った目でこちらを見つめる黒衣の男に詫びた。 「雫ね、もう寝る時間だっていっても聞かなかったのよ。ランスお兄ちゃんが帰るまで寝ないー、ってね」  少女に遅れる形で二人の女性が迎え出た。  一人は優しげな長髪の婦人、もう一人は端整な顔立ちをしたメイドだった。 「お帰りなさいませ、旦那様、ランス様」  メイドが完璧な礼法で一礼をする。 「ただいま、お母さん、ノエルさん、それからお父さん!」 「……コイツのお陰で、父親の威厳が大無しだよ」 「ふふふ、お帰りなさい、あなた」  婦人がそっと男の腕をとる。実に二日ぶりの月村家の全員集合である。 「皆様、外はお体が冷えますので、お屋敷の方へどうぞ」  メイドが、静かに一同を屋敷へと導いた。 [92]Little Lancer 八話 05/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:07:56 ID:BtpVorNX 「じゃあ雫、お父さんとランスも帰ってきたんだし、早く寝なさい」 「は〜い、じゃあみんな、おやすみなさ〜い」  少女―――月村雫はパタパタと足音を立てて階段を駆け上がって行った。 「まったく、雫には困ったもんだな。父親を差し置いてこいつに抱きつくなんて―――」 「ふふ、そういう年頃なのよ」    納得いかない、とばかりに愚痴る男―――月村恭也を、その妻である月村忍が目を細めて宥めた。  傍らでは、メイドのノエル・綺堂・エーアリヒカイトが熱い紅茶を用意している。  赤毛の少年は、申し訳なさそうに身を小さくした。  少年―――ランスと呼ばれた彼の身体で最も目を惹くのは、その左腕である。  彼の左腕の肘から先は、機械仕掛けの精巧な義手だった。  忍は少年の左腕を手にとって優しく問うた。 「ランス、義手の調子はどうだった?」 「お陰様で、ばっちりです! 感覚も動作性も問題ありませんし、生身の右手より調子良い位ですよ」  少年の冗談にくすくすと笑みながら、忍は悪戯っぽく訊ねる。 「じゃあ、今度こそノエルみたいにロケットパンチを装備しちゃおうか?」 「……いえ、それは勘弁して下さい。僕はただ、槍が握れればそれで十分なんです」 「あら、残念。義手、調子悪かったら何時でも言ってね。メンテするから。  それから、ロケットパンチもね♪  ―――それにしてもごめんね、何度も恭也の危険な仕事につき合わせて……」  少年はとんでもないとばかりに、立ち上がって手を振った。 「いえ、そんな事はありません! 申し訳ないのは僕の方ですよ!  三年前に雫に見つけてもらい、恭也さんとノエルさんに助けて頂き、忍さんに血を分けて頂けなければ、今僕は生きていません!  その上、このお屋敷に住まわせて頂いて、家族として迎えて頂いて―――  この命も、この左手も、この名前も、皆、月村家の皆様に頂いたものです!  このご恩を返すためなら、何だってしますよ」  三年前、少年はここドイツの森の中で、瀕死の重傷を負って倒れている所をまだ幼かった月村雫によって発見された。  すぐに少年は月村家の家人の手によって、森の傍らに立つ月村家の館に運び込まれた。あらゆる医療機関から遠すぎたのだ。  少年は、発見された時は、既に生暖かい死体も同然の状態だった。  出血はとうに致死量、呼吸は停止し体温は低下し、震えるような微弱な心臓の拍動だけが、少年の生命の証だった。  恐らく、医療機関に運び込んでも命の助かる見込みは無かっただろう。  その少年を、月村忍は自らの血を与えることで蘇生させた。  月村家は、『夜の一族』という特殊な能力を持った遺伝子障害の定着種である。  『夜の一族』は西ヨーロッパに端を発する一族で、通常の人間を凌駕する運動能力・知力・再生回復力などを有する。  その、最大の特徴は血液の遣り取りを行うという点にあり、その特徴から『夜の一族』は吸血鬼と綽名される事もある。  彼らは、人間以上の性能を持つ肉体を維持する為に血液を欲し、自らの血液を分け与えることによって他者の生命力を強化する。  『夜の一族』の能力は、有する血の濃淡によって大きく変動する。  忍は直系であり『夜の一族』としての特徴を非常に濃く有するが、忍の妹のすずかは通常の人間と大差無い程度である。  助かる筈の無かった少年は、忍によって命を取り留めた。  『夜の一族』の掟として、一族は血を分けた者に対して、一族の存在を忘却するか、一族と共に生きるかの選択を求めるという者が有る。  少年は、一族と共に生きるという選択を行い、その誓いを行った――― [93]Little Lancer 八話 06/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:08:37 ID:BtpVorNX  暫定的な少年の名である『ランス』は、少年が意識を取り戻した際の小さな遣り取りが元となっている。 “槍術―――それも和槍じゃない、洋槍の類だな。  矢張り、その筋の出身か……  それで、小さなランサー君。君はこれからどうしたいんだ” “僕は、―――僕は、強くなりたいんです” “らんさー君? お兄ちゃん、らんさー君って名前なの?” “ふふふ、雫、ランサーというのはね、名前じゃなくて、『槍を使う人』って意味なのよ” “お兄ちゃん、らんさー君じゃないの?” “あの……僕は……?” “そうだな、呼ぶときに名前が無いと不便だから、記憶が戻るまでランサーって事にしとくか?” “また恭也はそんな簡単に決めて……ランサーじゃあんまりよ” “じゃあランス。これなら短くて呼びやすし覚えやすいぞ” “もう、恭也ったら―――” “……僕は、構いませんよ” “え……” “呼びやすいんなら、記憶が戻るまで僕の事はランスと呼んで下さい” “わーい! ランス君だ! ランス君だ〜!”  ……という具合に済し崩し的に決まってしまった名であるが、以降少年の記憶が戻る事もなく継続して使用されている。  少年は、『夜の一族』の眷属として月村家に迎えられた。  忍は、少年に血液を与えたが少年から血液を吸うことは無かった。  『夜の一族』との血液の交換の契約は不可侵なものであるが、血液を与えるのみに留める事で、『交換』では無いとして契約を不完全なものに留めたのである。  ―――いつか、少年が自らの帰る場所を思い出した時の為に。  月村家の主人である月村恭也は旧姓高町といい、高町なのはの兄である。  恭也は「永全不動八門一派・御神真刀流、小太刀二刀術」と呼ばれる古武術の達人である。  彼は、その腕を生かして、政治家や重要人物の影からの護衛や不穏組織の殲滅などの裏の仕事行っている。  少年は、記憶を失っても尚失われぬ、その身に刻まれていた槍術の腕を恭也に買われ、恭也のアシストを行う事になったのである。  ……最も、リハビリと恭也による指導が成果を挙げ、実際に仕事の手伝いを始めたのは一年程前からであるが。 「……僕も、今日は少々疲れましたので、お先に失礼で良いでしょうか?」 「ええ、お疲れさま。今日はゆっくり休んでね、ランス」 「……ランス様、お休みなさいませ」 「おう、ランス、今日はご苦労だったな」  済し崩しな形で適当に決まって名であるが、少年はこの『ランス』という名に愛着を抱いていた。   その名を、親愛を籠めて呼んでくれる家族がいるからだ。 [94]Little Lancer 八話 07/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:09:26 ID:BtpVorNX  その部屋は、月村家の広大な屋敷の中でも、雫やエリオには立ち入りを禁止してある一室である。  そこで、恭也、忍、ノエルの三人が静かに卓を囲んでいた。  卓は、機械部品の転がる作業台の一種である。 「恭也、今日の仕事、どうだったの?」 「ああ、依頼はきちんと達成したよ―――それにしてもランス、一体あいつは何なんだ?」 「ランスが、どうかしたの?」  不安げに尋ねる忍に対して、恭也は頬を掻きながら答えた。 「反射神経や運動神経が尋常じゃないのはとっくに解ってたことだが―――  それ以前に、あいつがここに来る前に受けていた訓練が異常なんだよ。  あいつ、今日は小型バイクを操って、ばら撒かれる銃弾の雨の中を平然と潜ってた。  銃弾を、相手の位置だの銃口の角度からだのから、全部先読みして避けてた。  間違いなく―――それ相応の訓練を受けてる。それも、相当なレベルで。  あいつを鍛えた奴は―――きっと、四方八方から弾をバラ撒いて、それを避けさせるような無茶な訓練でもやらせてたんだろ。  全く、鍛えた奴の顔が見たい」  深夜の室内に沈黙が訪れる。 「そんなに凄いの?」 「ああ。考えてみろよ、あいつに最初に出会った時は三年前だ。歳で言うなら10歳そこそこだ。  そんな歳からそんな訓練をするなんて、そうそう無い。  あいつは、運動神経や反射神経も異常だが、それ以上に奥深い技術を叩き込まれてる。  訓練の最初に、雫と鬼ごっこをやらせただろ?  その時、明らかに運動能力で勝る雫を、逃げる先を先読みする事で捕まえやがった。それも二日目で。  あいつは、運動の分析力というか、自分の動作への流用とか、その手の能力が極めて高い」 「どういう事?」 「要するに、相手の動きを見切ったり、相手の技を盗んだりするのが極端に上手いんだよ。  俺の御神流の動きも、幾つ盗まれたか解らない。もう『徹』すら使えるようになったしな。  このままなら、間違いなく『貫』や『神速』にまで手が届くぞ」  忍が、そっと目を伏せた。 「あいつの正体は……まだ仮説でしかないが、多分どこかのテロ組織かどこかで育てられたヒットマンだ。  幼い頃から徹底的に殺人術を学ばせて、薬か何かで記憶を飛ばしてただの子供としてターゲットに接近させる。  そう考えると、全てが都合があう」 「でも、それじゃランスが、余りに可哀相よ」 「勿論、仮説だぞ? これじゃ説明できない点も多い。  ランスが身に着けてたのはその運動能力と、槍術だ。それも、騎士の決闘みたいな真っ向勝負のだ。  考えてみろよ?  子供をヒットマンに育てるのに、槍なんて教えるか?  暗殺者を育てるなら、後ろからナイフで首を掻っ切るようなのが一番だろ?」 「……それに、ランス様が倒れられていた場所も説明がつきません」  ノエルが静かな声で補足を行う。 [95]Little Lancer 八話 08/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:10:03 ID:BtpVorNX 「その後、周囲を調査しましたが、ランス様の血痕はあの場所でしか発見されませんでした。   従って、ランス様は誰かに傷つけられ、逃げ出されてあの場所でお倒れになったという説は否定されます。  ですが、誰かがランス様をあの場所に放置したという説も、状況的に考えされません」  少年が発見された場所は、『夜の一族』縁の地であり、天然の結界となっている。  一般人が迷いこんだり立ち寄ったりする可能性はまず有りえない。  忍が顎に拳を寄せて考え込んでいる。 「じゃあ、アポートやテレポートのような特殊な能力者の仕業と考えるのは?  それか、ランスは実は魔法使いだったとか?  なのはちゃんも、魔法使いなんでしょ?」  この場に居る三人は高町なのはが魔法の世界に携わっていた事を知っていた。  自らも超常の存在である彼らは、なのはの正体も難なく受容したのだった。 「一番納得が行くのが、そのアポートだのの特殊能力者なんだが……  そんな天然記念物みたいな連中がそうそう居ると思うか?  ああ、魔法使いって線も却下だ。  ―――半年位前に、イギリスでグレアムさんって爺さんのボディーガードやったんだけどな。  気のいい爺さんだったんだが、冗談半分に、 『実は私、昔魔法使いをやってたんだよ。信じるかね?』  なんて事言い出したから、ボケてるのかな〜、と思って、冗談半分で、 『そりゃあ奇遇ですね! 実は私の妹も魔法使いなんですよ! 高町なのはって言うですが、知ってます?』  って聞いたら、大当たりでな……  魔法使いの線は俺も少し考えてたんで、 『こいつも魔法使いに成りたいらしいんですが、素質ありますか?』  って訊ねてみたら、魔法使いの『りんかーこあ』ってのが無いから魔法使いには成れないって言ってたぞ。  ただ、良い目をした若者だ、ってランスの事を随分気に入ったみたいだけどな」  恭也と忍は同時に長く嘆息をした。  何にせよ、少年の身元捜しは絶望的である。  何よりも、少年の身元が判明したところで、何かが好転する見込みが無い点が絶望的である。 「ランスの正体が誰であっても、ランスの記憶が戻らない今はまだ関係無い。  今は、ランスは家の家族の一員、それで十分でしょ?」 「ああ、そうだな」 「それに、ランスがそんなに凄腕なら、将来雫のお婿さんになってもらって、御神流を継いでもらうっていうのは?」 「なっ、幾ら何でも、あいつに雫はやらないぞ!」 「あはは、冗談よ。恭也ったら、よっぽどランスに妬いてるのね」 「悪ふざけは、よしてくれよ、忍―――」  静かにじゃれあう二人を、ノエルは目を細めて見守っていた。 [96]Little Lancer 八話 09/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:12:40 ID:BtpVorNX 「さて、本題だ」  恭也が目配せをすると、ノエルが作業台の上に男の体を転がした。  この日の仕事で、恭也が戦い、少年が胸を貫いた男の死体である。  忍は工具を手に取ると、手馴れた手つきで男の体の解体を始めた。  腑分けすれども、すれども、男の死体からは一千切りの肉片も、一滴の血すらも流れでない。  男の体内から現れるのは機械部品の類のみ。  明らかに『それ』は、人間では無かった。  ―――『それ』は、自動人形と呼称される。  自動人形とは、高い知能を持った『夜の一族』が数百年前に作成した、人と同様の振る舞いをする人形の総称である。  自動人形は、姿形を人間に真似るのみでなく、およそ人間の持つ機能の全てを有し、自ら思考する。  そして、最高性能を持つ機体は人間と同じ自我と感情すらを持つ。  人に似せてあってもその肉体は機械のそれであり、戦闘の場においては、常人の到達し得ない領域に踏み込むことが可能である。  自動人形を創造した技術は既に失われ、それらの高度な技術は『遺失工学』と称される。  現在自動人形を新たに作成する事は不可能であり、現在稼動している自動人形は数体に過ぎない。  ……そして、解体作業を手伝う月村家のメイド、ノエル・綺堂・エーアリヒカイトもその数体の中の一体だった。  彼女は過去、機能停止して放置されていたが、忍によって修復され、現代に蘇った希少な一体なのである。  忍が作業の手を止めた。どうやら、分解作業は済んだようである。   何時に無く厳しい表情の忍とノエルに、恭也は声をかけた。 「どうなんだ、忍、何か解ったか?」 「……解らない」  忍の声は、暗く沈んでいた。 「解らない、って何か?」 「これを作った人間が。間違いない、これは『夜の一族』の遺失工学によって作られた人形じゃない。  遺失工学を学んだ、外部の人間によって作られた人形よ」  遺失工学に通じてはいない恭也も、その言葉の重さに絶句した。  自動人形は、部品を補充し修理することは出来ても、新たに創造することはもう出来ない。  それが、高い知能を持つ『夜の一族』が突き止めた絶対のルールではなかったのか? 「解るのよ、これを作った人間は絶対に『夜の一族』じゃない。私達の一族は、こんな人形は絶対に作らない。  これを作った人間は―――確実に、一族を超える技術を持ってる。  ……悔しいけど、私もこれを作った人間には私も敵わない」  忍は、遺失工学を学ぶ為に日本からドイツへと渡った。  そして現在、彼女は『夜の一族』でもトップランクのドールマイスターの地位にある。  その彼女をしてこうまで言わしめる人物とは、一体―――  恭也の背中を底の知れぬ不安感が伝った。 「これを作った奴は―――完全に、自動人形を馬鹿にしてる!  自動人形のブラックボックスを完全に解明して、更に上位のブラックボックスを組み込んでる。  ありとあらゆる部分で、既存の自動人形とは全く別の技術を取り入れてる。  そこまでの技術があって、人形に組み込んでる思考プロセスは、単純な殺人命令のみ。  きっと、この人形の創造主は、その気になればこの世界にあるどんな自動人形をも凌駕する性能の人形を作れる。  それでいて、こんな粗悪な殺人人形を作って裏社会にバラ撒いてる! ―――許せない」  ノエルが静かに口を開いた。何時も沈着な彼女の口調から、僅かな熱が感じられる。 「……私も同感です。このような形で同族が人を害する為に使役されるのは、見るに耐えません。  旦那様―――どうか、彼らを破壊してやって下さい。それが、彼らの為です」 「ああ、最近、自動人形絡みの仕事が多すぎる。  やっと今回一体捕まえたが―――そんな不味いことになってたとはな。  なあ、忍、これを作った奴は、どんな奴だと思う?  想像でいい、聞かせてくれ」  忍はじっと思案に暮れていたが、顔を上げてぽつりと答えた。 「宇宙人、未来人、異世界人、……それか超能力者」 「おい、真面目に答えてくれよ」  忍の眼差しは真剣そのものだ。 「大真面目よ。そうでもなきゃ、説明がつかない。  もしこれを作ったのが人間なら―――神域の、いえ、魔の領域の天才よ。  一体、これを作ったのは誰なの……?」  問いに答えるものは無い。壁に掛かった振り子時計の音だけが、延々と部屋に響いていた。 [97]Little Lancer 八話 10/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:13:19 ID:BtpVorNX 「ドクター、どうぞ、お茶ですよ」  スカリエッティに湯気を立てるティーカップを差し出したのは、言うまでも無い、ナンバーズ4のクアットロである。  彼女は鼻歌でも歌いだしそうな程上機嫌だった。   「クアットロ、楽しそうだな」 「ええ、今、とっても楽しい所なんです」  スカリエッティもティーカップを口にしながら、底の知れない微笑を浮かべる。 「ああ、やっぱりクアットロの淹れてくれたお茶は美味いな。砂糖は―――」 「ちゃんと、三個半ですわ」 「パーフェクトだよ、クアットロ」 「お褒め頂き、感謝の極みです」  クアットロが幸せそうに胸を押さえる。 「どうだ、この世界は面白いところだろう?」 「ええ、とっても。最初はただの未開地かと思ってましたが―――流石、ドクターが避難所に選らんでいただけの事はありますね」 「ああ、この世界は文化レベルBと魔法文化無しと本局登録にされているものの、その実神秘に満ちている。  変異性遺伝子障害で発生する超能力者、点在する霊能力者の類、どれも魔法とは違う神秘だ。実に興味深い。  そして、文化レベルBでありながら、明らかに文化レベルAに該当する遺失工学の存在だ。  あんな原始的な機構を用いて、人の自我や感情を再現するとは、この私も驚かされたよ。  そして、最も面白い点はね、クアットロ。  ―――これだけのモノが有りながら、それを全て一般社会に明かさず、裏の世界に押し込めてしまうこの世界の性質だよ。  ミッドチルダなどの魔法世界とは正反対で実に興味深い。  私達のような存在が隠れ棲むには、最高の環境だと思わないか」 「おっしゃる通りです、ドクター。一般人としてこの世界で生活する限り、時空管理局は決して私達を発見できない―――」 「ああ、そして、この世界の技術の範囲なら、何を作っても見咎められない」  スカリエッティの視線を落とした先には、数え切れない程の自動人形が設置されていた。 「お見事です、ドクター。この地の自動人形に、戦闘機人の機構を組み込んだ戦闘人形。  これは、魔力を頼りに戦闘を行う魔導師達の天敵たる存在へと成り得ますわ」 「いや、彼らを甘く見てはいけない。これもガジェットドローン同様の、目くらましの玩具さ」 「ふふふ。ドクターの用意される今度の切り札が楽しみですわん」 「クアットロ、お前もこの三年間、ご苦労だったな」 「あんなの、苦労のうちにも入りませんわ。  現地の組織のコンピュータにハッキングして、機密の技術を盗み出し、それを上回る技術を提供する―――  そんな子供だましを何度か繰り返すだけで、飢えた犬のように大会社が私達の傘下に群がって来るんですもの。  本当に爽快でしたわ」 「玩具を製造するのにも工場の類が必要だからな。技術提供の見返りに、人形の生産工場の建設を依頼する。  彼らは素晴らしい道化だよ。自分達が何を作成しているのか理解もできず、ただ作製作業を繰り返すなんてね。  そうだ、クアットロ、そろそろ彼らからの返答の時間じゃないのかい?」 「ええ、そうでしたわね。本当に楽しみですわ。  ―――お友達を助ければ、私情に走って敵に屈する司令官として、隊員の中に不信感が広まる。  ―――お友達を見捨てれば、友さえ見捨てる冷酷な司令官として、隊員の中に不信感が広ます。  さあ、はやて部隊長は一体どんな答えを出してくれるのかしら」 [98]Little Lancer 八話 11/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:14:57 ID:BtpVorNX  はやては、XV級艦船「クラウディア」艦長クロノ・ハラウオンに涙ながらに現状を告げた。  クアットロの企みなど、はやてはとうに気付いていた。  それ以上に、今は友人達の状況が気になってならない。  進退窮まったはやては、現状を打破する方法が無いかとクロノやカリムと言った仲間達に助けを求めたのである。  現在、聖王教会と、機動六課司令室、クラウディアでオンラインの会議を行っている。   「はやて、スカリエッティとの戦いは機動六課だけのものじゃない、時空管理局全てのものなんだ。  ―――だから、何もかも、抱えこまなくていい」    捜査官ヴェロッサ・アコースは、何時もの飄々とした調子でそう告げた。  クロノが重々しく肯く。   「その通りだ。この件は僕達が何とかする。だから君は―――やりたいように、するんだ」  カリムがにっこりと、はやてに微笑みかけた。  ―――それから一時間と経たず、特別放送が行われた。内容は、クロノ・ハラウオンによる演説である。  クロノはスカリエッティの再来と、卑怯にも人質という手段を取っている事を告げたのだ。 『―――これは、スカリエッティ一派からの、事実上の宣戦布告である!  我々時空管理局は、一丸となってこれに対抗することを宣言する!  我々は、テロリズムに屈する組織であってはならない。  だがそれ以上に、無辜の民を、善意の協力者を見殺しにする非情な組織であってはならないのだ!  我々が大義を以って敵を誅する為には、自らの行いを以って大義の何たるかを示さねば成らないのだ―――』  画面の前で、小さな双子がそれを見つめていた。クロノの息子、カレルとリエラである。 「お父さん、かっこいい〜〜っ」 「うん、お父さん、かっこいいね」  その母でありクロノの妻でエイミィも、二人の髪を撫でながら画面を見つめていた。  その後ろでは、クロノとフェイトの母であるリンディが静かに微笑んでいる。   「みんな―――始まるんだね」  アルフが、そう静かに呟いた。 「おおきにな、おおきにな―――クロノ、カリム、ロッサ……」  いくらスカリエッティ絡みとは言え、どれだけの横車を押せば、こんな無茶が罷り通ったのだろう。  彼らは、はやての人質交換の大義名分を成立させる為にこの放送を行ったのである。  はやてはただ、胸に溢れる感謝の気持ちに澎湃と涙を流した。 [99]Little Lancer 八話 12/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:15:48 ID:BtpVorNX 『はあ〜い、はやて隊長、お返事は決まりましたか〜』  定刻通りのクアットロの通信に、はやては人質交換を行う旨を告げた。  条件は定めたとおり、アリサ・バニングスと月村すずかの両名の身柄と、拘置中の戦闘機人三名及び肉体サンプル一体の交換。  交換の手筈は、戦闘機人達を第97管理外世界の指定された座標に解放する。  その際、クアットロの定めた符丁を戦闘機人達に伝え、各自に帰還させるというものだ。  無論の事、尾行、追跡の類は許されない。  その後に、二人の人質の監禁位置の座標を告げるという厳重なものだった。  人質交換は、順当な手順を踏んで行われた。  クアットロの通信は、ふざけた口調は変わらないものの、最初の通信と比較して随分要点を抑えたものだった。  戦闘機人達は解放され、各自符丁に合せて分散して消えていった。  彼女達の固有装備は既に解除してあるが、その身と同化した先天固有技能は健在だ。   遠からず敵対するだろう戦闘機人達を、六課の局員は歯噛みして見送った。  符丁は解析が行われているが、解読できる見込みは無さそうである。  そして遂に、アリサとすずかの監禁所の座標が六課に届けられた。  現地には、なのは、フェイト、はやての三名が直行し、護衛にヴォルケンリッターのシグナムとヴィータが付いた。  アリサとすずかが監禁されていたのは、海鳴市の外れの廃屋だった。  なのはらは、扉を蹴破るような勢いで廃屋に駆け込んだ。  二人は、クアットロの通信にあったのと同じ状態で、廃屋の床に転がされていた。  手足の戒めを解き、目隠しと猿轡を解くと、彼女達は泣きながらなのは達に縋り付いて来た。 「なのは……なのは……怖かった、怖かったよう……」 「アリサちゃん、すずかちゃん、ごめんね、ごめんね―――」  なのは達もまた、涙を流しながら二人を抱き締めた。 「全部、わたし達のせいなの、本当に、ごめんなさい、ごめんなさいぃ」  すずかは、泣き濡れた瞳でなのはを見上げ、呟いた。 『―――照準固定、距離0、風向き参考、フレシェットランチャー全弾射出―――』 「すずか、ちゃん?」  刹那、すずかの体をヴィータがグラーフアイゼンで殴り飛ばした。  その瞬間、すずかの腕が裂け、中から無数の凶悪な形状の針が射出された。  ヴィータの一撃で照準を外した針は壁に突き刺さり、針山のようになった。  同時に、両手からブレードを生やしたアリサが中空から襲い掛かった。  シグナムが冷静にそれを迎撃する。  アリサとすずかの姿をしたそれらは、昆虫のような動きで襲い来る。  はやても、フェイトも、なのはも、歴戦の六課の隊長陣は白痴のようにそれを見つめるだけだった。  ただ、ヴィータとシグナムがそれに淡々と対応した。    程なくして、アリサの姿をしたそれはシグナムに切り裂かれ、すずかの姿をしたそれは、ヴィータに叩き潰された。  後には、アリサとすずかの顔を貼り付けただけの機械屑が残った。 「あ、あああああああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁっ!!!」  廃屋には、はやての慟哭だけが空しく響いていた。 [100]アルカディア ◆vyCuygcBYc 2008/02/20(水) 02:17:11 ID:BtpVorNX ……やっぱり、この女を出すと話の方向が妙に偏るので自重します。 書いてる途中に、アリサとすずかの輪姦シーンでも入れようかと一瞬考えましたが、 余りに洒落にならないので即座に切り捨てました。 とらはの設定をご存じない読者の方も多いようですので、今回は少々とらはの設定説明も兼ねております。 説明台詞が多いのは勘弁して下さい。 これ以降月村家のメンバーは顔を出す機会も殆ど無いと思いますので、見逃して頂ければ幸いです。 次回*『その裏側では……☆の巻』 [101]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 02:20:23 ID:0dj1Vzn0 >>100 あかん……鬱や……。鬱なのにGJや……。 正直読んでて胃がキリキリするけど、凄い面白いんだよね。悔しいことに。 続きが怖いわぁ。 [102]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 02:22:53 ID:pYu9ve/0 >>100 すげぇGJ。 クアットロ、どこまで悪党なんだ。 こいつが地に伏す瞬間が楽しみだ。できればランスくんとキャロのコンビにこれでもかと叩き伏せられて欲しい。 [103]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 02:31:38 ID:Ae3UE/m4 クアットロの悪女っぷりがあまりに最高過ぎて勃起しちまったぜ、超GJです。 やはり順当にいくのならアリサ・すずかの救出に恭也が絡んでエリオ(ランス)が登場って方向にいくのかな? しかし閉所でのバイク走行で四方からの銃弾避けるってやっぱ尋常じゃねえぜ……普通驚くよな。 [104]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 02:39:45 ID:cpbznV8E ああでも恭也たちと敵対する時点でクアットロ終了のお知らせな気がするのは気のせいでしょうかw [105]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 02:42:52 ID:vhiHKtmt >>104 どうしてもKYO−YAのイメージが抜けない俺が通りますよっと [106]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 02:44:06 ID:hR0ujvcA 恭也達は魔法使いズと違って甘くないからな [107]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 02:45:11 ID:J2HJ2FDG GJ、すんばらすぃ! しかしよく練られた背景や設定っすね。読んでいてなるほどそれなら、って思えるSSってなかなかないですからね。 ズガーンドカーン!じゃなくて心理戦の機微を描けてるいい作品です、GJ! [108]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 03:03:09 ID:COUKVhTy >>100確かにGJ。…なのだが鬱だ。 陵辱という文字を見た瞬間、何かが切れかけた。クアットロはどんな殺され方をしても胸が透きそうw 今は、すずか→月村→恭也&エリオで救出済みという妄想で落ち着いた。 続き待ってます。 [109]名無しさん@ピンキー<> 2008/02/20(水) 03:16:57 ID:Mc+MwEvw >>100 GJ!! たしかに王道なら恭也とエリオで救出劇になりそう。 でも、エリオとの再会はまだ無理っぽいな。 エリオVSトーレのリターンマッチあるかな? しかしエリオ、高町兄のところに3年も居たうえにグレアム提督にも! 僅かな不運で身元がわれない状況が印象づけられていますね。 うまいけど、ここまでくると滑稽とおり越して鬱になりそ。 [110]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 03:24:53 ID:Uxqe0tkf >>100 キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! やったあああ! さすがクアットロ!俺たちに想像できない事を平気でやる!! そこに痺れる、憧れるゥーー!! [111]名無しさん@ピンキー<> 2008/02/20(水) 03:29:35 ID:JTiveYm2 今なら言える クアットロマジ死ね [112]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 03:32:49 ID:lIGRAiej >>100 GJです。相変わらず神懸ってますね・・・・途轍も無く鬱な展開にワクワクするばかりです。 さてはて、人質がダミーだった上に(対処のスムーズさからしてシグナムとヴィータは想定済み?) 捕虜を持ってかれてしまった管理局がどう動くか楽しみです。 >>「あいつを鍛えた奴は―――きっと、四方八方から弾をバラ撒いて、それを避けさせるような無茶   な訓練でもやらせてたんだろ。全く、鍛えた奴の顔が見たい」 恭也ー、それ妹ーwいもうとーw [113]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 03:50:53 ID:rdRCHHvz GJ おお・・・胃が・・・胃が・・・ しかし一歩ずつ絞首台の階段へ向かっているとも・・・ そんなクアットロの明日はどっちだ! しかしランス君は名前的にどうしてもアッチ方向・・・アリ○ソフトのアレに見えて・・・ ナンバーズ残党が全員エリオの肉奴隷ENDが用意されてるのかと 自分はむかつくキャラは無理矢理葉っぱ隊に組み込んで踊らせる妄想をする どういうわけか不思議と許せる気分になる [114]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 05:06:49 ID:pJLstxKR >>17 GJ!! 生身の時は好きになれなかったが、ロボスカリーには好感が持てた 特にラストの言葉は鳥肌物。 エリオも以前は嫌悪しかしていなかったとしても、今は彼の事を少しは理解できたのではないかと思う そして心の闇をふっきることができたエリオはいろんな意味で最強の騎士に近づけたはずだ! >>100 GJ!! これまた欝になりますた・・・ このクワットロには本当に嫌悪感しか感じないところがすごい ああエリオとの再会が本当に待ち遠しい。 そしてこの悪党をぶちのめすことを説に願う! [115]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 06:03:18 ID:pH0sQt3n あぅあぅ…忙しくてちょっとスレをのぞけなかったら2スレもすすんでるわ…orz 速い速いよ、テスタロッサさん… [116]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 06:33:57 ID:b307MO00 >>100 GJ、だがランスと聞くとどうしても「何をしているボルテッカだ!」になってしまう俺 [117]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 06:47:35 ID:5yQo1HaQ 俺は最近丸くなってきた鬼畜戦士が・・・どうしても ともあれ>>100GJ 二人には悪いけど「ああ、この位でないと。」 とか思ってしまうのは俺だけか。 しかし、すずかの方は研究対象にされてそうだな [118]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 06:59:57 ID:oUdqgdte >>100 GJ!! なんというメガネ死ね…、フルボッコタイムが待ち遠しいぜ [119]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 07:42:23 ID:4cARkVhq >>100 流石は眼鏡、俺達に出来ない事を平然とやってのける女! ……そこに呆れるヘドが出る。 [120]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 07:44:57 ID:AikbkJPN こう、ただでさえ小悪党なのにとらハ組までいると ピエロにしかならないクワが憐れで逆に安心して読めるなぁw でもこれもエリオ生存が前提だから成り立つんだよね……。 ただの仇討ちなら嫌悪感しか残らなかっただろうになぁ、と思うよ [121]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 07:46:04 ID:XITGBGJs >>100 GJです。もはやDBだけじゃ許してもらえんだろうな・・・ [122]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 08:11:42 ID:ZUsSCvdF こりゃあ高町家やハラオウン家にも警護がつかんとな。 [123]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 08:17:45 ID:ZUsSCvdF 連レス失礼 くそ〜〜〜悔しくて悶え死にしそうじゃ〜〜〜〜! [124]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 09:08:23 ID:tFhsCwpE うあぁああああああクアットロ死ね! G・J! そして鬱だ・・・ 続きを楽しみに待っています クアットロ死ね! [125]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 09:09:03 ID:+5Z8kcqN むしろ輪姦してほしかった。<アリサとすずか [126]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 09:10:08 ID:nOlMtlZ+ 続き期待wktk [127]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 09:54:03 ID:utswIrP5 >>120 本編のほうとごっちゃにしてないかお前さん ピエロはともかく小悪党的要素あまりないんだが [128]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 10:43:47 ID:Mn/4xmf+ >>125 その場合、確実に塵も残さず消滅するな [129]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 11:01:29 ID:vKtd0Mfw >>125 アルカディア氏の嗜好にもよるが、もっと酷いことされるかもな。 ちなみに、おれが思う一番酷い仕打ちはあれだけの大犯罪を犯していながら、 「それでも、あなたを許す」と見下されることだがな。まあ、この流れじゃまずないだろうけど。 [130]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 11:13:31 ID:j7gIi8gv 4の422氏の完全復活はまだかな・・・ [131]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 11:20:22 ID:1Rk9xGjh まあ最後はなのは勢の勝ちだろうけど 三人娘にトラウマ植え付けて欲しいなぁ。 まだたりない。 [132]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 11:45:33 ID:P3X4fxg2 お前らサド杉www [133]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 11:47:04 ID:ccNV2JI+ あんまそっちに進むとランスことエリオ君が忘れられそうだw [134]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 11:53:17 ID:vVbdeP5/ 過ぎると、いくら奴を血祭りにあげてもBADになっちまうよ。 ハッピーエンドのほうが良いぜ。 [135]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 12:18:40 ID:Xvx3nsJc なぁ?リトルランサーが更新される度に 『メガネ、ムチャしやがって…』 のAAが浮かぶ俺は異端か? [136]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 12:25:18 ID:S/G7QplG BAD寄りで良いじゃない。ベストエンドなんて本編だけで良い。 ただ、はやてだけ「ねらうなら直接私にすればいいだろ!」って存在がいないんだよなぁ。 石田先生くらいか。 騎士たちは戦闘力を持ってるし。 誰か一人なるたるの古賀みたいな目に遭わせればそういうの関係なしに大打撃になるか。 [137]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 12:32:26 ID:vVbdeP5/ >>136 勘弁勘弁マジ勘弁。 犠牲になったそいつのことを考えると、こちらも死にそうになる……。 [138]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 12:33:51 ID:AikbkJPN >>132 >>135 オレがいる >>136 すずか…… [139]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 12:42:45 ID:9Fv9KDBK >>100 GJ 最近陵辱とか見ないから輪姦はみたかったが たしかに輪姦入れたら洒落になら無いというかハッピーエンドはむりだしなあ 個人的にはIF話で陵辱入れて読み手のクアットロへの憎しみとか募らせて欲しいです。 [140]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 12:43:45 ID:iPXDDN5d >>136 俺は全くの逆だな。 せっかく見るんだから最後には気持ち良い後味が欲しい。 本格的な文学作品なら話は別だけどね。 というわけでもしBADエンドならあらかじめ警告ぐらいは欲しいかな? [141]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 13:11:28 ID:Y4HFaTU0 昔は「エロ小説は反社会的なのでバッドエンドでないといけない」みたいな風潮があったな。 20年以上前あたりの風潮だが。 [142]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 13:31:48 ID:ebuDYuHA すずか、アリサの輪姦もいいんだが、要求しといて欝になる自分が見えるんだぜ。 ところで貴重なロリ萌え要員のリインUのSSが少ないのはなんでなんだぜ? [143]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 13:36:16 ID:0KndaSZF あれはロリというより小動物のたぐいだから。 [144]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 13:44:41 ID:ccNV2JI+ 文字どおり小動物に襲われてたSSがあった気が… [145]B・A 2008/02/20(水) 13:46:25 ID:pYu9ve/0 萌えやほのぼのには使えてもエロは難しいですし。 あられもなく悶えるリィンがどうやっても想像できないので書けないです。 そして、投下して良いですか? と聞いてみる。 [146]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 13:48:27 ID:BtpVorNX 早っ! 是非どうぞ!! [147]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 13:48:32 ID:ZlDMrTOL 何をかいわんや [148]B・A 2008/02/20(水) 13:56:29 ID:pYu9ve/0 今回の短いので、パパッと書きあがっちゃって。 次話と繋げると長くなるし。この時間から投下です。 注意事項 ・20歳verエリオ×ルーテシア ・非エロ ・「Ritter von Lutecia」要読 ・前作から10年後、故に捏造のオンパレード ・おっきなエリオキュン、ルー子、ヴィヴィオが見たくない人にはお勧めできません ・後半が鬱気味 ・遂に登場、機動六課準備室課長 [149]Nach dem eines Speerritters 第6話@ 2008/02/20(水) 13:59:21 ID:pYu9ve/0 組織というものはチームワークで成り立っている。全ての人間に役割があり、それをこなすことで組織は円滑に機能するのだ。 だから、誰かが抜ければ当然ながら他の人間の負担が増えることになる。 「分隊長、この書類にサインを・・・・」 「分隊長、FWのフォーメーションについてなのですが」 「分隊長、先日回収したロストロギアですが・・・・」 次から次に舞い込む仕事を、ルーテシアは栄養ドリンク片手にもの凄いスピードで黙々と処理していった。 エリオが休暇中のため、ライトニング分隊に舞い込む重要な案件は全てルーテシアが処理しなければならない。 そのため、ルーテシアはここ3日間、睡眠時間を削り、食事も片手間で済ませて膨大な仕事をこなしていた。 つわりが酷いのでクラッカーとレモンを大量購入したのが幸いし、食事は特に問題なかったが、 妊娠初期の不安定な時期に睡眠時間を削るのは少々不安なものがあった。一応、空いた時間に仮眠は取っているが、 それもほんの十数分という極めて短い時間であり、却って体のリズムを壊してしまいかねない。 「ふむ・・・・・アルピーノくん」 「はい・・・なんですか、課長?」 「少し休みなさい。そうだね・・・・・3時までは君の仕事は私がしておこう」 「いえ、ですが・・・・・」 「私にできる範囲でやっておくよ。なに、私は指示を出すだけの中間管理職だからね、 こういうことでもしないと給料が割に合わないのさ」 「はぁ・・・・・では、お願いします」 一礼し、ルーテシアはオフィスを後にした。 思っていた以上に疲労が溜まっていたのか、体が揺れているかのような錯覚を覚える。 堪らず、ルーテシアは壁に手をついた。 「大丈夫ですか、分隊長?」 「うん・・・・大丈夫。仕事に戻りなさい」 心配する部下に手を振り、食堂に向かう。 今日は夕方から港湾区で密輸グループの摘発があるのだ。それまでに何としても体調を戻さねばならない。 幸い、3時まで後2時間ほどあるので、ホットミルクでも飲んで仮眠を取ろう。それできっと、元通りになるはずだ。 [150]Nach dem eines Speerritters 第6話A 2008/02/20(水) 14:00:58 ID:pYu9ve/0 山と積まれた書類を片っ端から処理しながら、課長は問題を抱えている自分の部下のことを考えていた。 エリオ・モンディアル、ルーテシア・アルピーノ。優秀な人材ではあるが、プライベートで問題が起きているのか、 どちらも本調子とは言えない状態だった。特にエリオは一身上の都合で3日前から強制的に休暇を取らされている。 「あなたの部下とその恋人は、10年経っても問題児ですね・・・・・八神部隊長」 傍らに置かれた写真立てには、若き日の自分と茶髪をショートカットにした少女、手の平に乗りそうなくらい小さな 空色の髪の少女、白髪の混じった中年の男性が仲良く並んで撮られた写真が飾られていた。 14年前、彼が所属していた陸士警備隊第108部隊で撮った記念写真だ。 「さてと、影が薄い奴は薄いなりに頑張りますか」 課長はやや自嘲気味に呟き、仕事を再開する。10年前、彼は一時ではあるが旧機動六課に所属し、 JS事件に関わったことがあった。あの地獄の首都陥落事件にも最前線で参加していた。 だが、ここでは誰もそのことを知らないし、自分のことを名前で呼んでくれる人もいない。 そのことは特に気にならなかった。自分はただ、やるべきことをするだけなのだから。 [151]Nach dem eines Speerritters 第6話B 2008/02/20(水) 14:03:13 ID:pYu9ve/0 義母の容体を聞いた時、二度とここには来ないと決めた。 会えば悲しくなる。彼女の姿に、未来の自分を重ねてしまう。だから、最初に見舞いに来て以来、 ここには足を運んだことはなかったし、そもそも彼女のことをできるだけ考えないよう努めてきた。 『アルトセイム終末病院』 表向きは、不治の病に苦しむ人たちを受け入れる病院ということになっている。 だが、その実ここはある1人の女性のためだけに造られた研究施設であった。出資者の名はクロノ・ハラオウン。 そして、ここの唯一の入院患者の名は、フェイト・T・ハラオウン。エリオの身元引受人であり、初恋の女性であり、かけがえのない義母であった。 「あ、エリオ」 空の洗濯籠を抱えたいた少女が駆け寄ってくる。オレンジ色の髪に狼の耳を 生やしたその少女はフェイトの使い魔で、名前はアルフという。 「やあ、アルフさん。しばらく見ない間に、また小さくなりましたね」 「むっ・・・・言っとくけどね、私の本当の姿がすっごいナイスボディなんだからね」 エリオの言葉に、アルフは頬を膨らませる。本来の彼女はエリオよりも遙かに年上なのだが、 主であるフェイトの消費魔力を抑えるため、普段は幼女の姿で過ごしているのだ。 ここ最近は更に改良を加え、4、5歳児程度まで縮めることに成功している。 「その内、赤ん坊フォームとか開発しそうですね」 「う・・・気づかれている」 「やる気満々だったんですか」 「それは・・・・まあ、ね」 歯切れの悪い言葉に、地雷を踏んだかと後悔する。 使い魔というものは、魔導師の魔力を常に消費して実体化している。それは言いかえれば、常に主に負担をかけているということになる。 特に、病床の身ともなればほんの少しの魔力の消費も大きな負担となるため、アルフはより魔力消費の少ないフォームの開発に余念がないのだ。 [152]Nach dem eines Speerritters 第6話C 2008/02/20(水) 14:04:44 ID:pYu9ve/0 「アルフ、客人か?」 気まずい空気を吹き飛ばすように、病院から藍白の髪の青年が姿を現した。 筋骨隆々という言葉をそのまま形にしたような男で、油断のない目つきは正しく戦士のそれだ。 彼もアルフと同じ狼の耳が生えているが、彼は使い魔ではなく守護獣という存在だ。 主はフェイトの親友である八神はやてであり、本来は彼女の護衛が任務だが、恋人であるアルフが心配で時々ここに来ているらしい。 「ザフィーラ、久し振り」 「む・・・エリオか。出所したとは聞いていたが、見違えたな」 「背、伸びたからね。声も変わったし」 「いや、そういう意味ではない。お前がベルカの騎士として一人前になったと言ったのだ」 「そう・・・見えますか?」 「少なくとも、体の方はな。心は・・・・まだ問題ありか?」 「ええ・・・それを解決するために、ここへ」 「わかった・・・・・アルフ、少し遠出しよう」 心得たとばかりに、ザフィーラは頷いた。だが、アルフは空の洗濯籠を掲げて反論する。 「まだ干さなきゃいけない洗濯物があるんだよ。それに、夕飯の支度だって・・・・・」 「後にしろ。その・・・・デート、という奴だ。ダメか?」 [153]Nach dem eines Speerritters 第6話D 2008/02/20(水) 14:06:22 ID:pYu9ve/0 余程恥ずかしいのか、ザフィーラの頬は真っ赤だった。この硬派な守護獣のことだから、 きっとデートなんて言葉はほとんど口にしたことがないのだろう。申し訳なくなって、 エリオは念話で「ごめん」と謝る。すると、ザフィーラは「気にするな」と幾分上ずった声で返し、 半ば強引にアルフを引きずって湖の方へ向かっていった。 「あぁっ・・・・エリオ、フェイトに夕飯は遅くな・・・・・」 狼形態に変身したザフィーラが無理やりアルフを背中に乗せ、駆け出した。 あっという間に、2人の姿が見えなくなる。 「さて・・・・・・」 受付で身分証を提示し、指示された通路を進む。その病室は突きあたりの角を曲がったところにあり、 1階の部屋では窓から見える景色が一番奇麗な部屋だった。 「失礼します」 ノックし、返事が来るのを待って扉を開ける。 そこは病的なまでに白い部屋だった。 白い壁、天井、床、ベッド、照明。何もかもが白いその世界で異質なものは、棚の上に置かれた花瓶と、 ベッドの上で横になっている金髪の女性だけだ。 「こんにちは、エリオ」 金髪の女性―――フェイト・T・ハラオウンは力なく片手を上げる。痩せ細ったその腕は、とてもデバイスを振り回していたものとは思えない。 エリオは一度だけ目を瞑ると、深く深呼吸をした後、言った。 「こんにちは、フェイトさん」                                      to be continued [154]B・A 2008/02/20(水) 14:07:37 ID:pYu9ve/0 以上です。 前作「Ritter von Lutecia」で「お母さん」になったはずのフェイトへの呼び方が再び「フェイトさん」になっています。 そこまで2人は疎遠になっていたわけですが、それについてはまた次回。 そして、遂に姿を現した機動六課準備室課長○○○・○○○○。こっちの世界でも影が薄く、とうとう名前まで忘れられてしまいました。 [155]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 14:15:30 ID:qDPbi/iF >>100 GJ!!です。クアットロが外道すぎる。Gの人に依頼したくなりますw ナンバーズの死体に何らかの仕掛けを仕込んでるのを期待w >>154 GJ!!です。 フェイトさんは何の病気なんだろう。エリオは答えを得られるのだろうか。 次回も楽しみにしてます。 [156]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 14:16:48 ID:wNgMKsXb >>154 GJっす続きが気になる引きだーあぁ早く続きが 課長ってラッドさんの方かてっきりレティ提督の息子さんの方かと あれあのメガネ君名前何だっけ? フェイトの呼び方が戻ってるやはり10年の歳月は長かったという事か [157]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 14:47:59 ID:AikbkJPN カルタス……頑張れベルカボイス…… フェイトはあれかなー。クローン系にありがちな身体劣化とそれに伴う衰弱と見た。 そしてエリオがプロジェクトF産の身体にコンプレックスを抱いてるのも そういうの目の当たりにして自分の行く末が想像ついちゃってるからと予想。 うぅ……やるせないな [158]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 15:00:12 ID:cYG/q+kQ >>100 GJ! クワットロがまさに外道。 ここからどう救出するか楽しみですよ すごい関係ないけどエリオの葬式のシーンをJOJO第二部ラストに改変するとハッピーエンドにならねぇ? クアットロは虚数空間で考えるのをやめるで? [159]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 15:05:23 ID:dGFVFXP+ 「ランス」と聞くと某鬼畜王が浮かんでしまう… [160]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 15:06:19 ID:pYu9ve/0 >>158 左手が義手っていうところもそっくりだ。 ならエリオは雫のことを女房として紹介するのか。それはそれでキャロがかわいそうだ。 [161]ザ・シガー 2008/02/20(水) 15:09:25 ID:Ae3UE/m4 >>154 ああもう! なんでこんな先が気になる状態で続くんじゃい!! GJだぜよ!! カルタス……お前ってやつは…俺はちゃんと出番を作ってやろうかな、ゴードン爺さん絡みで。 >>156 グリフィス君だよ……嗚呼哀しきは出番無き男キャラなり。 ところで投下します、準備は良いっすか? 「烈火の将は狙撃手がお好き」の第五話ですが。 [162]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 15:10:59 ID:bsftiuhk 職場で全裸になって待ちます [163]ザ・シガー 2008/02/20(水) 15:17:00 ID:Ae3UE/m4 それでは投下します。 「烈火の将は狙撃手がお好き」の第五話で今回はティアナやらラグナやらが出ます。 そしてグリフィスはアカ○、ラグナはレ○、そしてもちろんエロい内容のあるSSです。 [164]烈火の将は狙撃手がお好き 2008/02/20(水) 15:17:54 ID:Ae3UE/m4 烈火の将は狙撃手がお好き5 みなさんこんにちは、私ラグナ・グランセニック、お兄ちゃんが大好きで眼帯の似合う超美少女♪ っていうか声が中○舞という時点で勝ち組決定! 薄幸属性もあって妹キャラなんて完璧だよね。 え? 出番なんてなかった? もう〜、何言ってるのかな? かな? 出番が無かったって言ったらあの戦闘機人のクソ眼帯だって同じじゃない、なのにあいつときたらやたらと人気があって……ちきしょう、妬ましいじゃない!! おっといけない脱線脱線、てへ♪(舌を出したおどけた笑顔で) ともかく出番なんて関係無いの、そんなものなくたって美少女は許されるの! そして今私は心の底から愛してるお兄ちゃんの所に強襲……じゃなかった朝ごはんを作りに行くところ。 きっとお兄ちゃんの事だから大した食生活なんてしてないから、私が愛情込めた手料理(媚薬・惚れ薬・興奮剤、諸々入り)をご馳走してあげるんだ♪ この時間帯だからお兄ちゃんの股間のストームレイダーはカートリッジフルロードで硬質弾頭を装填中の筈、そして私の手料理の効果で私達はユニゾンインして遂に念願(ラグナの一方的な)の禁忌という関係に……はぅう〜、想像しただけで濡れてくるよ〜♪ そして私は今日、バリバリの危険日! これで既成事実を作って禁断のラグナエンドへとドライブイグニッションするのよ!!! 「お兄ちゃ〜ん、あなたの愛するラグナが朝ごはんを作りにきたよ〜♪」 合鍵(もちろん無許可で作った)でお兄ちゃんの部屋に特攻した私がそこで見たのは台所でエプロン姿をした爆発的プロポーションのデカパイ女、シグナムさんに後ろから抱き付いてるお兄ちゃんだった。 □ 「う〜ん……朝か」 早朝、ヴァイスは気だるいあくびを漏らしながらベッドの上で伸びをして起き上がる。 昨晩は久しぶりに時間が取れてシグナムと夜を共にした為ベッドのシーツはあちこち染みやシワが付いて情交の残り香を濃密に伝えていた。 ヴァイスはふと隣を見るがそこには昨晩自分が抱いた騎士の姿は影も形も無い。 首を傾げて周囲を見回すがどこにも彼女の姿はない、だが台所から聞こえてきた物音から即座に彼女の居場所を察する。 ヴァイスは近くにあった服を着て台所に向かう、そこには管理局制服の上からエプロンをかけて慣れぬ調理に励む烈火の将シグナムの姿があった。 局の制服越しに揺れる見事なヒップのラインが否応無く誘うように見えて、ヴァイスは思わず後ろから抱き付いた。 「うわっ!」 「おはようございます姐さん」 「まったく驚いたぞ……危ないじゃないか」 「いや〜、姐さんの後姿を見てたら我慢できなくって」 ヴァイスは悪びれた様子も無くシグナムの身体にそっと自身の指を這わせる、尻のラインをなぞり豊かな乳房をやんわりと揉む。 軽いスキンシップ程度の戯れの愛撫なのだが、敏感なシグナムの性感を刺激するには十分であった。 「ひゃんっ!」 「いや〜、やっぱり姐さんのオッパイは最高っすね〜」 「んぅ……お前は…はんっ!…本当に胸が好きだな…」 ヴァイスは掴み切れない程のサイズを誇るシグナムの乳房を力を込めて揉みしだいていく。 さらに耳やうなじに舌が這いキスの雨が降り、敏感なシグナムの身体に快感を刻んでいき彼女の思考を溶かす。 シグナムは身悶えしてその快楽刺激から逃れようとするが、彼女の声は次第にうわずった甘い色を帯びたものに変わっていく。 [165]烈火の将は狙撃手がお好き 2008/02/20(水) 15:18:49 ID:Ae3UE/m4 ほんの数分にも満たない間にシグナムの瞳は情欲に潤み、切なげな視線をヴァイスに向けていた。 故にヴァイスは迷う事無く後ろを振り向いていたシグナム顔、その濡れた唇に自身のそれを重ねる。 「んちゅ……ちゅぷ…」 淫靡な響きを持った口付けの調べが静かな部屋に木霊し早朝の淫行を飾る。 唾液の糸を引きながら顔を離せば、シグナムの瞳は完全に欲望に蕩けたものへと変わっていた。 彼女が何を望んでいるかなど、もはや説明するまでもない。 ヴァイスも熱く硬くなった自身の肉根を彼女の尻に押し当てながら獣欲に満ちた眼光を見せる。 だが行為は最後まで進むことは無かった。 「お兄ちゃ〜ん、あなたの愛するラグナが朝ごはんを作りにきたよ〜♪」 実の妹が妨害に来たのだから。 □ 「それでお兄ちゃん、なんでシグナムさんがここにいるのかな? かな?」 「…まあその……いろいろと事情がありまして…」 「“いろいろ”ですんだら管理局はいらんのんじゃあああ!! シグナムさんとどういう爛れた関係なのよ!?」 「い、いや…突然そんな事言われてもだな……俺にも心の準備というものが…」 妹相手に冷や汗流してビビる男、その名をヴァイス・グランセニック。 そして背後に大鉈のスタンドを出しながら兄を睨む少女、その名をラグナ・グランセニック。 台所でシグナムに抱き付いている現場を目撃されたヴァイスはラグナに“不潔”だの“エッチ”だの“浮気者”だのと叱られている。 その光景を烈火の将はただ黙って見ていた、というか何て言えば良いのか分からなかった。 ともかく、なんだかんだでラグナを追い返したヴァイスとシグナムは朝食を済ませて六課に出勤した。 ちなみに朝食はラグナの用意したものだったとか… □ 機動六課隊舎のとある一角のあまり使われていない資料室。 そんな人気の無い部屋に二人の男女がいる、それはグリフィスとティアナの二人。 照明の落とされた薄暗い部屋の中で若い男女は妖しい雰囲気をかもし出していた。 「これを見てください、どう思いますか?」 「すごく……大きいです」 ティアナはグリフィスの取り出した“凄く太く”かつ“黒い”モノを見て思わずそう答えた。 ……いや別にいやらしいモノではない、二人の前にあるのは黒い大瓶。 そしてその瓶のラベルにはこう書かれている“天元突破マカビンビンDX”と。 「これはいったい…」 「ふふっ……何を隠そう! これこそ伝説の精力剤マカビンビンの究極型!! あまりの効果に使えば人が獣になるとさえ言われた極上の一品です!!!」 「いや…だからそれをどうしろと?」 [166]烈火の将は狙撃手がお好き 2008/02/20(水) 15:20:04 ID:Ae3UE/m4 「ふっ、相変わらず鈍いですねぇ。これをヴァイス陸曹に使うに決まってるじゃないですか?」 グリフィスはメガネを指で掛けなおし反射光を輝かせながら自信満々に言い放つ。 まあ、つまりは一服盛って既成事実でヴァイスを堕とすという訳だ。 そしてもちろんだがティアナは大いに慌てた。 「はいいいい!? そ、そんな……いくらなんでもやりすぎですよグリフィスさん」 「良心的な思想、痩せた考え、正に凡夫……そんなだから男を捕まえられない」 「ぼ、凡夫?」 「まあそれは置いといて、先ほどの効果うんぬんに点いてはいささか誇張したものですからお気になさらず。これを使うか否かはティアナに任せます」 グリフィスはそう言うと手の大瓶をティアナに渡す。 そして耳元に悪魔の囁きを零していった。 「でもこれくらいしないとヴァイス陸曹を取られちゃいますよ?」 □ 「なんかヤバイ……」 「自分の顔の事ですか?」 「違えよ…」 時は昼時、場所は機動六課隊舎の食堂。 ヴァイスはいささか紅潮した顔でテーブルに突っ伏し、グリフィスは食後のコーヒーをゆっくりと味わっていた。 「なんか身体が熱っぽくてよ…」 「風邪ですか? 僕には移さないでくださいよ」 「お前って本当にキツイ性格だよな……」 「毎日シグナム副長とのイチャツキ話を聞かされる身にもなってくださいよ」 「そう言うなよ…」 今朝六課に着いてからというものヴァイスはやけに身体に熱を感じているのだ。 無論それがラグナの作った朝食(ヴァイス限定)に入っていた興奮剤や媚薬の効果だとは知る由もない。 故にヴァイスはやたらと熱くて興奮するような身体の熱に唸っていたのだ、そんなとことに隊舎内に放送が入る。 『部隊員呼び出し、ヴァイス・グランセニック陸曹、至急ヘリ格納庫に向かってください』 「なんだ? 俺のヘリになんかあったのか?」 「そういえばヘリの緊急コールの変更があるって話を部隊長から聞きましたよ」 「マジかよ…なんでまた今日に限ってそんな話が……」 ヴァイスは気だるげに立ち上がるとヘリ格納庫に向かう、それがはやてを経由して仕組まれたグリフィスの策略とも知らずに。 [167]烈火の将は狙撃手がお好き 2008/02/20(水) 15:21:43 ID:Ae3UE/m4 グリフィスはヴァイスの後ろ姿を見ながら闇を孕んだ笑みを浮かべてメガネを指でそっと掛けなおす。 (悪く思わないでくださいよヴァイス陸曹、これもティアナへの公平性と僕の暇つぶしなんです。それにティアナは良い子ですし、あの程度の精力剤で犯るんならあなたの責任ですよね?) □ 「ふぅ〜、まあこんなもんか…」 機動六課のヘリ格納庫。 ヴァイスはそこで一人自身の愛機の調整を終えて一息ついた。 そしてそんな彼の下に一人の少女がおっかなびっくりとでも言うような足取りで近づいてくる。 ヴァイスが気配を気取って振り向けば、そこにはオレンジの髪をツインテールに結んだ執務官志望の若きストライカーが立っていた。 「どうしたティアナ? こんなところに」 「えっと……その…」 「まあ、そんな所に立ってないでこっち来いよ」 「…は、はい」 ヴァイスに促されてティアナは彼の横に座る、彼女の顔は何故か真っ赤に染まっておりどこか恥ずかし気だ。 そしておもむろに手にした魔法瓶を差し出す。 「あ、あの……これ、お気に入りの紅茶なんです…飲みませんか?」 「その為に来たのか? おめえも物好きだな…」 「いえ……その…ヴァイス陸曹にはいつもお世話になってますし」 「そうか。それじゃ、ありがたく頂くぜ」 ヴァイスはそう言いながら魔法瓶を受け取ると、蓋を外して中身を飲み始める。 言わずもがな、その中にはグリフィスから入手した幻の精力剤“天元突破マカビンビンDX”がたっぷりと入っている。 少しばかりきつい味と匂いを持つ精力剤も濃い紅茶の風味によって随分と飲みやすく調整されていた。 故にヴァイスは残らずそれを飲み干す。 「美味いな、でもなんか妙な感じが…」 「そ、そうですか?」 「ああ…しかし…なんか体が熱い……つっ!!」 瞬間、ヴァイスの体内で火が爆ぜるような熱が生まれた。 それはいわば必然的な現象である。 ラグナが朝食に入れた数多の興奮剤・媚薬の数々にティアナが紅茶に混ぜた精力剤の効能がヴァイスの身体に推進剤の如く注がれたのだ。 「どうしたんですか? 大丈夫ですか?」 そしてその日のティアナはいささか艶を持ちすぎていた、それが全ての原因だろう。 紅潮した顔で苦しそうにするヴァイス、心配して顔を覗き込んだ。 その時彼女の髪から香った甘い芳香が最後の引き金となる。 「ティアナアアアア!!!!」 「きゃっ!!」 ヴァイスは突然ティアナをその場に押し倒しのしかかる。 唐突な強襲に可愛い声を上げるティアナだが、そんな事などお構い無しにヴァイスは彼女の服を破れる程強引に力ずくで脱がす。 [168]烈火の将は狙撃手がお好き 2008/02/20(水) 15:22:28 ID:Ae3UE/m4 制服の上着がブラウスごと剥ぎ取られてイエローの下着に覆われた可愛い乳房が露になる。 「ちょっ、ちょっと待って…んぅぅ!!」 制止しようとするティアナの唇がヴァイスのそれに塞がれる。 何の前触れも無しに初めての口付けを奪われて驚愕するティアナだが、相手は自分の愛する男であるとう認識が彼女から抵抗という選択肢を殺した。 「んぅぅ…ぴちゃっ…むぅぅ」 口付けは即座に舌を絡めた情熱的なものへと変わり、ブラ越しに乳房を揉む手の刺激も加えて、快楽に不慣れなティアナの身体に否応無く身悶えするような甘い電流を与えていく。 するとヴァイスの手がゆるりと移動し、ティアナのスカートをたくし上げて下着に覆われた秘所へと滑り込む。 そして迷う事無くショートを下ろして外気に晒した膣口と陰核を絶妙の愛撫が襲った。 「むぅう……ぅんん…」 キスで口を塞がれている為にティアナは声も上げられない。 初めて異性に触られた秘所に激しい快感を刻まれて全身を凄まじい快楽刺激が駆け巡る。 ティアナはただ初めての快感に身体を震わせるしかない、そして遂に彼女に絶頂の高みがこみ上げていく。 「んぅぅぅううっ!!」 身体を何度も痙攣させて、ティアナは今まで感じたこともない強烈な快感にただただ震えた。 ティアナの秘所から愛液がしとどに溢れ、潮と吹いて絶頂の余韻に浸る。 だが過剰な興奮状態になっているヴァイスは彼女に休む暇など与えず、自身の猛る肉棒を膣口に押し当てて進入の準備をする。 「えっ!? ちょ、ちょっと待ってください……私、まだ心の準備が…」 ティアナの言葉など意味は無かった、その時既に力を込めた進入によって肉棒は乙女の最後の抵抗を突き破っていたのだから。 「いつっ!! い…たぁい」 唐突に純潔を奪われ、ティアナはその痛みに涙を流して身体を震わせる。 だがヴァイスはそんな事などお構い無しで腰を動かしてピストン運動を開始する。 さらにティアナの唇が再びヴァイスに塞がれ、秘所だけでなく口内をも犯されていく。 「んぅぅ…うむうぅぅ……ちゅぷっ…」 もはやティアナに抵抗する術など存在しない、ただただヴァイスの手による姦通を受け入れて痛みと快感を享受するのみ。 さらにヴァイスの手が下着を強引に剥ぎ取り男の愛撫をほとんど知らない乳房を揉みしだく。 情交に慣れたヴァイスの手は素晴らしい手捌きでティアナの胸に快感を与える。 腰の動きが痛みを、口内を絡めるキスと胸を弄る手が快楽を交互に与えてティアナの脳を凄まじい刺激で焼いていく。 徹底的な蹂躙にティアナの正常な思考は溶け尽くす。 そして最後のトドメと言わんばかりにヴァイスの指がティアナの秘所に伸び、そこにある敏感な肉豆を弾いた。 「んうぅぅぅううっ!!!!」 塞がれた口から鳴き声が漏れ、耐え難い苦痛と快楽そして純潔を愛する男に奪われた事実に少女は生まれてこの方味わった事の無い絶頂の波に呑まれ意識を失った。 続く。 [169]ザ・シガー 2008/02/20(水) 15:27:36 ID:Ae3UE/m4 投下終了です。 まあ、なんだ…やっぱ王道は三角関係だよな? って事でシグナムVSティアナの図式完成。 [170]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 15:38:26 ID:bsftiuhk 上着を脱いだ時点で「暖房効きすぎてる?」と止められました。 良い意味でひどい展開だw ストレートに幸せに…と思わなくもないけど、これがあってこそって気もします。 しかしラグナ……いや、面白いからいいけどw [171]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 15:39:34 ID:P3X4fxg2 は た ら け www [172]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 15:51:53 ID:TSudZtXb というか、ラグナがwwwwラグナがwwwwww お兄ちゃんどいて、そいつ(ryをリアルでやりそうだから困る。 お兄ちゃん、その女は魔女なのよ! [173]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 15:57:39 ID:qDPbi/iF GJ!!です。 鉈のスタンド使いが2人か・・・ラットみたいw まずは強敵であるモハメド・シグナムを始末しなくては。 そして、グリフィスは相変わらず狂気の沙汰が好きそうな性格でw [174]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 16:05:13 ID:GrjmKybH >>172 >お兄ちゃん、その女は魔女なのよ! そんな事みんな知ってます>< [175]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 16:18:17 ID:y+lvW3N8 >>172 >お兄ちゃん、その女は魔女なのよ! 何故だろう? この言葉を見た瞬間、シグナムでもなくティアナでもなく、ましてやアルトなんかでもなく なのはさんが頭に浮かんだ。ヴァイスとは全く関係ないのにな・・・・・ [176]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 16:43:04 ID:D7EU2REq なのはさんは魔女なんていうレベ・・・通信が途絶えました。 [177]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 16:46:15 ID:pJLstxKR >>154 GJ! 呼び方がフェイトさんに戻ってる・・・ ボロボロ状態のエリオを抱きとめたシーンが好きだった私にとってはちと残念 はっ、もしかしてひとりのおんなとして(ry と、とにかく続きを楽しみにしています。 [178]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 17:25:31 ID:Uxqe0tkf >>169 ちょwwwグリフィスがフェムト化してるwwwwwwwww あとラグナ鉈!鉈!(((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル [179]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 17:30:08 ID:6W5BsuC0 ラグナがレグナに見えたw [180]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 17:32:24 ID:cpbznV8E >>169GJ ラグナのキャラクターが酷すぎる そりゃヴァイスも気まずい関係になりますよねぇww [181]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 17:51:50 ID:WWulQGcD >>169 前回のオチから、てっきり、精力剤の飲みすぎで鼻血噴いて気絶 「こんなはずでは……」路線でいくかと思ったら さ あ ド ロ ド ロ し て ま い り ま し た [182]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 17:52:24 ID:s7q7pm1B >>169 GJ しかしなんというグリフィス、間違いなくコイつの中身は白き鷹 [183]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 18:26:23 ID:PQKevMZl >>170 2chが見れる職場環境が羨ましいぜ PCあるけど共有だし、後ろ通られたらアウアウ… [184]名無しさん@ピンキー<> 2008/02/20(水) 18:52:13 ID:eR4irJt0 >>183 あー今日も頑張ったなと帰ってきてから家でゆっくりと楽しむのが俺の至福のときだぜw [185]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 19:00:51 ID:nxTqkEbN >>169 ティアナの「はいいいい!?」で舞衣を思い出した(中の人的に考えて) [186]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 19:02:18 ID:7HCnAzeM >>185 俺だけじゃなかったかw [187]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 19:29:38 ID:fCgvgPBI >>185 なるほど、つまり、ティアナに召喚技能を付加するんだな、大きさ的にはヴォルテール並の某炎神の名を持ち 変形技能も持ってて宇宙でも行動可能な竜を、で先天技能で飛べて攻防に使える炎の腕輪持ちと [188]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 20:05:04 ID:TSudZtXb >>185 何故か、某ピンク髪のアリサが竜にまたがって「なぎはらえー!」してる どこぞの国の国旗のパロを思い出した。 [189]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 20:38:59 ID:b307MO00 >>169 GJ、しかし…これでもしも 狙った獲物は外さないぜ!なノリでティアナにクリティカルヒットしてたらアー [190]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 20:45:52 ID:fCgvgPBI >>189 その時は、niceでboatな展開か、なぜかヴァイスが覚醒して重婚(禁止とは明言されてない!!)エンドだ [191]名無しさん@ピンキー<> 2008/02/20(水) 20:47:44 ID:u5H53zNZ 今、食後にリンディ茶(弱) 緑茶+砂糖スプーン一杯+牛乳少々を飲んだんだが 見た目はアレだが味のほうは……あれ?少しお腹痛くなってきた。 >>154 やはり生まれの件か >>189、190 落ち着け、中田氏したとは書いてないぜ ところで2スレほど前の話だが「燃え上がる炎の…」最終話でアリサがハヤテ達の処分に文句付けてたがどう思う? 原作では「私の知るところではございません」と官僚逃れができるが、あのハヤテは容認したしな。 確かに軽いというか汚いというかという感じですがリイン+ヴォルケンズの永久封印は厳しすぎるし 闇の書遺族に償いをするにはどうしたら良かったんだろう?アリサはどうして欲しかったんだろう? 皆さんはどう考えますか? [192]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 20:57:25 ID:GrjmKybH >>191 はやてが容認したのはたしかとは言えどうしようも無いんじゃね? [193]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:00:55 ID:2Q0GQfrv >>191 まずはあんたの意見を示せ、話はそれからです。 [194]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:06:09 ID:hR0ujvcA 政治家みたいに給料を寄付とかじゃねーの [195]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:08:16 ID:d6VTEp0W その俺が今投下 注意事項 ・まぁ、初っ端からどえらい捏造です。 ・レジアス中将はモブか悪役だと思っている人は、読まないほうが吉です。 ・でも、フェイトファンには比較的毒が少なかったりします。 ・別にヘイトというわけではありませんが、流れ上スバルの罵詈雑言吐いてるウェンディがいます。 ・オリキャラがメイン張ってます。そして今回、その話が重点を置いている部分があります。 ・あぼーんキーワードは「熱い彗星の魔導師たち」 [196]熱い彗星の魔導師たち 2-02/10 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:10:05 ID:d6VTEp0W  18:00(MSTC(Midchilda Standard Time for Central area))。  クラナガン、機動6課隊舎。 「とゆーわけで」  機動6課々長大隊長、八神はやては、一列横隊になった5名の前で、伝える。 「本日〇八〇〇を持って、遺失文明遺物管理部機動6課は発足したわけやが、諸君ら第3 小隊『レッドフレイム』には、夜間18時から翌3時までの待機任務を負ってもらう事にな った。ええかな?」 「小隊長アリサ・バニングス以下4名、了解しました」  アリサは手を後ろに回した“休め”の姿勢で、そう言った。  ユーノは、意外そうに、アリサの顔を、ちらりと見る。 「支援小隊『ミーンズ』、レッドフレイム担当ディエチ・ロウラン、了解しました」  どこか表情に乏しい、女性が、少しおっとりした口調で言う。ウェンディと同年代ぐら いだが、やや身体は小柄だ。  そのウェンディが、ちらちらとディエチの方を見る。 『おいウェンディ、やめろ。話なら終わってから聞いてやるから』  ディエチは念話で送るが、ウェンディはどうもそれをやめようとしない。  むぎゅ  ウェンディの左足を、マギーの右足が踏んづけた。 「むぎっ!?」  特に装甲されているわけでもない、シューズを、踵で踏んづけられて、ウェンディはく ぐもった悲鳴を上げた。  マギーは、さっと右足を戻す。 「ん? どうかしたか? ウェンディ・ゲイズ特別一等陸士?」  はやては、部隊の概要と目的について説明していたが、ウェンディの悲鳴に怪訝そうな 顔をして、訊き返す。 「う、い、いえなんでもないっス……ありません」  焦った表情で、ウェンディはそう言った。 「さよか……まぁ、緊張しとんねんのはわかるけどな、すぐどうこうってことでもなさか い、適当に肩の力抜いといてや」  はやては苦笑して、そう言うと、訓示を再開した。  と言っても、5分と続くわけではなく、5人は一旦解散となった。 熱い彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜  PHASE-01:Red flame 「ディエチー、久し振りっスー」  大隊長室を出たところで、ウェンディは改めて、ディエチに声をかけた。 「ああ、私だけ本局勤務だったからな」  ディエチも微笑みつつ、そう返す。 「それが、オットーも会いに行ってもけんもほろろなんスよー」  ウェンディは、大げさに落ち込む素振りをして、そう言った。  しかし、ディエチはそんなウェンディに、呆れたように、細めた視線を向ける。 「…………仕事場に押しかけたりしてるんじゃないだろうな?」 「いやー、たまにっスよ、た・ま・に」  ディエチの質問に、ウェンディはケラケラと苦笑交じりに笑って答えた。 「オットーの苦労が窺い知れる」 「ほぇ?」 [197]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:10:29 ID:8//WsY9n >>191 八神家が、闇の書の被害者達にどんな対応をしてるのか、原作で全く描かれてないからなあ。 被害者のとこ直接行って、事の成り行きの説明・謝罪でもしてるのか、それとも完全スルーなのか。 漫画版とかサウンドステージとかでやってるの、見てない・聞いてないからわかんないんだよね。 あと、コレってエロパロスレで話しても良い事なのか?(書き込んどいてナンだけど) [198]熱い彗星の魔導師たち 2-02/10 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:10:59 ID:d6VTEp0W  ディエチの、頭を抱えながらの呟きに、ウェンディはきょとん、とする。 「まさかとは思うが、ディードの元に行ったりはしていないだろうな?」  ディエチは、ウェンディを軽く睨みつつ、そう言った。 「め、滅相もないっス」  ウェンディは慌てたように、手をばたばたと振り、眼を真ん円くして、そう答えた。 「それなら良いが。あいつはもう、私達とは関係ない、一般人なのだからな。ディードと いう名前も、過去の物だ」 「それぐらい別ってるっスよ〜」  ディエチの言葉に、ウェンディは渋く苦笑しつつ、答えた。 「意外だね」  廊下を歩きながら、ユーノが、アリサに声をかけた。 「何がよ?」  アリサは、ユーノをきょとん、と見て、そう言った。 「いや、夜間待機なんて、アリサ反発すると思ったけど」 「ああ……」  ユーノの言葉に、アリサは合点のいった様な表情をして、軽く答える。 「別に、いーじゃない。これだって仕事なんだしさ。それに、階級ひとつ違えば、上が絶 対ってのは、警察と軍隊じゃお約束でしょ」  アリサは、ケラケラと、妙に楽しそうに笑いながら、行った。 「ふーん」  ユーノは、妙に感心したような声を出す。 「ただ…………」  そこで、表情を急変させると、アリサは立ち止まる。  自分を追い越したマギーと、さらにその後ろから来たウェンディの肩を捕まえて、その 背後に回る。 「初っ端から恥かかせんじゃないわよこのお子ちゃまども〜!!」  両の拳で、ウェンディとマギーを一気に挟み、こめかみに所謂「うめぼし」をぐりぐり とかます。 「いだだだだっ、痛い痛いっスよアリサ〜!!」 「うぁぁぁぁっ、なんであたしまで〜!?」  怒りの形相で、アリサが2人に制裁をかましていると、 「アリサ」  と、背後から声をかけられ、そこで、2人を解放する。 「あら、フェイト」  アリサは何気ない感じで、声の主を振り返った。  フェイトは、小走りにアリサを追いかけてくる。 「しっかり休んどいたほうが良いんじゃないの? 3時以降は、なにかあったらそっちが叩 き起されるんでしょ?」  別に嫌味や皮肉というわけでもなく、アリサは、フェイトにそう言った。 「そうだけど……久し振りだし、挨拶しておこうと思って」 「んー、そっか」  アリサは、視線を上に上げて、そう言った。 「結構久し振りなのか」 「メールでは、何度かやり取りしてたけどね」  アリサが言うと、フェイトは笑顔になって、そう言った。 「まぁ、しばらくはひとつ屋根の下、ってことになるわね、よろしく」  アリサも笑顔になって、右手を差し出した。 [199]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:12:02 ID:d6VTEp0W な、なんかどえらいことになってるー すみません、次から投下しなおします。>>198と>>196は虚数空間に葬ってください。 [200]熱い彗星の魔導師たち 2-01/10 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:12:34 ID:d6VTEp0W  18:00(MSTC(Midchilda Standard Time for Central area))。  クラナガン、機動6課隊舎。 「とゆーわけで」  機動6課々長大隊長、八神はやては、一列横隊になった5名の前で、伝える。 「本日〇八〇〇を持って、遺失文明遺物管理部機動6課は発足したわけやが、諸君ら第3 小隊『レッドフレイム』には、夜間18時から翌3時までの待機任務を負ってもらう事にな った。ええかな?」 「小隊長アリサ・バニングス以下4名、了解しました」  アリサは手を後ろに回した“休め”の姿勢で、そう言った。  ユーノは、意外そうに、アリサの顔を、ちらりと見る。 「支援小隊『ミーンズ』、レッドフレイム担当ディエチ・ロウラン、了解しました」  どこか表情に乏しい、女性が、少しおっとりした口調で言う。ウェンディと同年代ぐら いだが、やや身体は小柄だ。  そのウェンディが、ちらちらとディエチの方を見る。 『おいウェンディ、やめろ。話なら終わってから聞いてやるから』  ディエチは念話で送るが、ウェンディはどうもそれをやめようとしない。  むぎゅ  ウェンディの左足を、マギーの右足が踏んづけた。 「むぎっ!?」  特に装甲されているわけでもない、シューズを、踵で踏んづけられて、ウェンディはく ぐもった悲鳴を上げた。  マギーは、さっと右足を戻す。 「ん? どうかしたか? ウェンディ・ゲイズ特別一等陸士?」  はやては、部隊の概要と目的について説明していたが、ウェンディの悲鳴に怪訝そうな 顔をして、訊き返す。 「う、い、いえなんでもないっス……ありません」  焦った表情で、ウェンディはそう言った。 「さよか……まぁ、緊張しとんねんのはわかるけどな、すぐどうこうってことでもなさか い、適当に肩の力抜いといてや」  はやては苦笑して、そう言うと、訓示を再開した。  と言っても、5分と続くわけではなく、5人は一旦解散となった。 熱い彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜  PHASE-02:Red flame 「ディエチー、久し振りっスー」  大隊長室を出たところで、ウェンディは改めて、ディエチに声をかけた。 「ああ、私だけ本局勤務だったからな」  ディエチも微笑みつつ、そう返す。 「それが、オットーも会いに行ってもけんもほろろなんスよー」  ウェンディは、大げさに落ち込む素振りをして、そう言った。  しかし、ディエチはそんなウェンディに、呆れたように、細めた視線を向ける。 「…………仕事場に押しかけたりしてるんじゃないだろうな?」 「いやー、たまにっスよ、た・ま・に」  ディエチの質問に、ウェンディはケラケラと苦笑交じりに笑って答えた。 「オットーの苦労が窺い知れる」 「ほぇ?」 [201]熱い彗星の魔導師たち 2-02/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:13:28 ID:d6VTEp0W  ディエチの、頭を抱えながらの呟きに、ウェンディはきょとん、とする。 「まさかとは思うが、ディードの元に行ったりはしていないだろうな?」  ディエチは、ウェンディを軽く睨みつつ、そう言った。 「め、滅相もないっス」  ウェンディは慌てたように、手をばたばたと振り、眼を真ん円くして、そう答えた。 「それなら良いが。あいつはもう、私達とは関係ない、一般人なのだからな。ディードと いう名前も、過去の物だ」 「それぐらい別ってるっスよ〜」  ディエチの言葉に、ウェンディは渋く苦笑しつつ、答えた。 「意外だね」  廊下を歩きながら、ユーノが、アリサに声をかけた。 「何がよ?」  アリサは、ユーノをきょとん、と見て、そう言った。 「いや、夜間待機なんて、アリサ反発すると思ったけど」 「ああ……」  ユーノの言葉に、アリサは合点のいった様な表情をして、軽く答える。 「別に、いーじゃない。これだって仕事なんだしさ。それに、階級ひとつ違えば、上が絶 対ってのは、警察と軍隊じゃお約束でしょ」  アリサは、ケラケラと、妙に楽しそうに笑いながら、行った。 「ふーん」  ユーノは、妙に感心したような声を出す。 「ただ…………」  そこで、表情を急変させると、アリサは立ち止まる。  自分を追い越したマギーと、さらにその後ろから来たウェンディの肩を捕まえて、その 背後に回る。 「初っ端から恥かかせんじゃないわよこのお子ちゃまども〜!!」  両の拳で、ウェンディとマギーを一気に挟み、こめかみに所謂「うめぼし」をぐりぐり とかます。 「いだだだだっ、痛い痛いっスよアリサ〜!!」 「うぁぁぁぁっ、なんであたしまで〜!?」  怒りの形相で、アリサが2人に制裁をかましていると、 「アリサ」  と、背後から声をかけられ、そこで、2人を解放する。 「あら、フェイト」  アリサは何気ない感じで、声の主を振り返った。  フェイトは、小走りにアリサを追いかけてくる。 「しっかり休んどいたほうが良いんじゃないの? 3時以降は、なにかあったらそっちが叩 き起されるんでしょ?」  別に嫌味や皮肉というわけでもなく、アリサは、フェイトにそう言った。 「そうだけど……久し振りだし、挨拶しておこうと思って」 「んー、そっか」  アリサは、視線を上に上げて、そう言った。 「結構久し振りなのか」 「メールでは、何度かやり取りしてたけどね」  アリサが言うと、フェイトは笑顔になって、そう言った。 「まぁ、しばらくはひとつ屋根の下、ってことになるわね、よろしく」  アリサも笑顔になって、右手を差し出した。 [202]熱い彗星の魔導師たち 2-03/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:13:51 ID:d6VTEp0W 「うん、よろしく」  フェイトはアリサに手を握り返し、妙に嬉しそうな笑顔で、そう言った。 「それじゃ、あのあほんだらどもを少し揉んでくるから」  アリサは、親指で自分の背後を指差し、一瞬額の血管を浮かび上がらせながら、そう言 った。  その親指の先で、ウェンディとマギーが、ビクッと背筋を跳ねさせる。 「あ、うん、また、休みの日にでも」  フェイトはそう頷く。 「うん。どっかおいしいお店でも紹介してよ」 「うん、いいよ。それじゃあね」  そう言葉を交わして、お互い軽く手を振り、別れた。 [203]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:14:05 ID:A8DM6LT0 >>194 遺族に自分の給料から何割か渡せとか。 遺族に対して保証金が支払われているのかどうかも分からないのだし。 もしかして『炎の〜』のはやては家買ってないのか? [204]熱い彗星の魔導師たち 2-04/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:14:51 ID:d6VTEp0W 「さて、と」  機動6課隊舎裏手。  そこは、都市計画で廃棄された区画に組み込まれた、森が広がっている。  照明設備の下。特にきちんとした整列でもなく、ゆるく横に並んだレッドフレイム小隊 の3人に、隊長であるアリサが切り出す。 「それじゃ、初日だしまずは、全員デバイス起動して、サビ払う程度に動いときましょー か」  アリサがどこか得意げに笑いながらそう言うと、ウェンディとマギーが顔を見合わせた。 「そんな程度なんスか?」  意外そうに、ウェンディは言った。 「そうそう、アリサのことだから手始めにランニング80kmとか言うかと思った」  マギーも、ウェンディに同意するように、そう言った。 「あのねぇ……」  アリサは言い、はぁ、と深くため息をつく。 「あたし達、一応とは言え待機任務なのよ? 訓練でボロボロにして、いざって時どーすん のよ」  アリサが、苦い顔で2人を見て、そう言った。 「あ、そういわれてみればそうっスね」  ウェンディはそう言って、苦笑した。  だが、 「アリサならやりかねな……」  ギロッ 「なっ、なんでもない、なんでもない」  と、マギーが言いかけたところで、アリサが睨むと、マギーは慌てて、誤魔化した。 「まぁ、いいわ」  アリサは言うと、胸元に常にペンダントとしてかけている、赤い宝石に手を伸ばした。 「レイジングハート・アクセル、Set up!」 『O.K. Master. Standby, Set up, Ready』  レイジングハートは光を放つ。その光に、アリサのグラマラスな──ネィティブジャパ ニーズの“はず”のすずかに負けているのが気に入らない──肢体を包む制服が、オレン ジ色の光を伴って、水色の、上は首元まで、袖と、スパッツ部分はない、レオタード地の スーツに変化する。その上から、裾の短い、白にやはり水色のアクセントラインの入った ジャケットと、同色のミニスカート、足首の覆いが高いシューズが出現した。  大きなコアを展開すると、その周囲に、グリップが一体鍛造になった、片刃の西洋剣を 構築していく。その峰側の根元に、CVK-695D 高圧デュアルチャンバー同時撃発式カート リッジシステムのユニットが装着される。そして、その柄を、アリサの右手が握る。  小学生時代に比べて、肩、胸部、膝に金属状の対物理・対直接攻撃の増強装甲が付いて いる。一方で、色気づいてか、スーツをひし形の臍出しに変更していた。 「アンブロークンイージス、セットアップ!」 『Yes, My Master. Set up, Ready』  アリサそのものの声で、アンブロークンイージスは答えると、ユーノのリストバンドか ら外れる。  ユーノの制服が、優しげな緑の光を伴って、半袖のカッターシャツとデニム地風のズボ ンに変わる。その上から、緑の光がさらに覆い、それが、スクライア一族の民族衣装風の 前かけと、マントに変わる。足は、紐のない、緑と黄土色の優しげな色合いの、やはり足 首の覆いが高いシューズが現れる。 [205]熱い彗星の魔導師たち 2-05/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:16:13 ID:d6VTEp0W  レリーフだった金属のプレートは、光を伴って、ユーノの身長の口元あたりまでになる、 縦長の六角形の盾に変わり、金色の縁取りが出現する。その下端部に、放電用の電極のよ うな、射撃用の端子が備わる。そして、裏側の握りの上の部分に、CVK-896D 高圧・多弾 連続装填式カートリッジシステムのユニットが、そのドラムマガジンとともに装着される。 前側の排莢扉が、装填のために空作動した。  小学生時代と変わり、ズボンは長ズボンとなり、前掛けも膝下まで長くなった。擦り切 れていたマントは、バリアジャケットの一部になった為、パリッとしたものになっている。 「アンダウンテッドアイアス、セットアップっス!」 『Yes, Ma’am. Set up, Ready』  男声で、アンダウンテッドアイアスは応じる。  ウェンディの制服が、鮮やかな赤紫に包まれると、丸首、袖つき、スパッツ部分無しの、 群青のレオタード地のスーツになる。同時に、青い刺青のような模様が、ウェンディの頬 と顎の境目の両側に、現れた。レオタード地のスーツの上から、アリサと同色のショート ジャケット、腰には同様のショートパンツが現れる。足元のシューズは、色はアリサと一 緒だが、形状はユーノの物と同一のそれが現れた。  プレートはイージス同様、ほぼ同じサイズの盾に変化するが、縁取りの付け根の部分か ら、キャリアアームが4本伸び、サーフボードのような青い板を抱える。『フローターボー ド』。通常はアイアスの増加装甲の役割を果たし、切り離してサブフライトシステムとし て使用できる代物。管制はアイアスのAIに頼るサブデバイス。これは、飛行魔法の成績が いまいち思わしくないウェンディが、後から改造で付け加えたものだ。背面には、CVK- 891A 標準圧・固定リボルバー式カートリッジシステムのユニットが付くが、896Dが収ま るスペースがあることから、見た目に貧弱観が付きまとう。 「WS-F、起動、バリアジャケット展開」 『System Check No Problem, Boot up』  マギーが懐から取り出した、オレンジと白のメタルカードが、言葉に反応する。光とと もに、カードが錫杖に変化した。クロノが使っていたS2Uと似た意匠だが、翼の形状がよ り直線的に(悪く言えば簡素に感じられるように)なっており、色は白銀にオレンジのアク セントになっていた。管制ユニット部の根元に、CVK-896B 高圧・ベルト連続給弾自動装 填式のカートリッジシステムが、箱型のベルトケースを添えて、取り付けられている。 『Barrier Jacket Deployment』  マギー制服が、白の、ツーピースのドレスに変化する。スカートはフリルの入ったセミ ミニスカート。上衣の上から、穏やかなオレンジ色のカーディガンが、さらに加わる。脚 は白いオーバーニーソックスに、カーディガンと同色のブーツ。女性向けのデザインだが、 ヒールは上がっていない。 「なんか、マギーが一番、“魔法少女”を地で言ってるわねぇ」  アリサが、自嘲気味の少しやぐされた苦笑で、そう言った。 「マギーは、ストレージデバイスなんスね?」  起動シーンを見て、ウェンディは気がつき、そう訊ねる。 「ん? うん、まぁ、父が残してくれたっていうのもあるけど。結構使いやすいし」 「はー」  マギーが、WS-Fとウェンディの顔とを交互に見ながら答えと、ウェンディは、感心し たような、どこか気の抜けたような声を出した。 「まぁ、マギーは両親ともに高ランク魔導師の、いわば、生粋のエリートだしね。反応速 度重視なのかな」  ユーノは、苦笑気味に言ってしまってから、はっ、と、気付いたように、アリサを見た。  だが、ユーノの予想に反して、アリサはニタニタと笑い、マギーを見ている。 [206]熱い彗星の魔導師たち 2-06/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:17:05 ID:d6VTEp0W 「聞いてるわよー。そのWS-F。改造しまくって、滅茶苦茶ピーキーになってるそうじゃ ない。増幅回路の反応早すぎて、本局でもリニス以外手に負えるヤツがいないって」 「ストレージデバイスなんて、自分で整備するモンよ。この程度自分で弄れないなんて、 魔導師失格だと、あたしは思うわ」  アリサの言葉に、マギーは現状を批判するような態度と口調で、WS-F(改)を、肩に抱え る。 「ところで」  アリサは表情を、素に戻して、マギーに訊ねる。 「ミッドチルダ式なのはいいとして、召還魔法の方はどうなの? マギーのお母さんって、 そっちのエキスパートなんでしょ?」 「あっはっは、それがぜんぜん」  マギーは、アリサの問いに、苦笑して後頭部を掻きながら、答える。 「髪の色と質はお母さん似なんだけど、魔法資質は完全に父からしか受け継がなかったら しいわ。ほぼミッド式オンリーね。父にも母さんにも、召還魔法は諦めたほうが良いって 言われたし」 「ふーん。ま、良いけどね」  アリサは、口元で微笑みつつ、言葉では素気なくそう言った。 「マギーさんの御両親って、そんなすごい人なんスか?」  ウェンディは、ユーノやアリサを向いて、そう訊ねた。 「あたしの母は、メガーヌ・アルピーヌ。若手だけど、召還魔法に関しては権威の1人… …だったわ。今は、半引退状態だけどね」  マギーは、直接、ウェンディに答えた。 「聞いたことはあるっスね」  ウェンディはマギーの方を向き、そう言って、頷く。 「それで、お父さんは?」  ウェンディは、さらに、マギーに直接、訊ねた。 「ギルバート・グレアム、元提督よ」 「って、ええっ? それ、伝説級の人じゃないっスか。まだ生きてるとすれば、三提督にも 並ぶ偉人だって人っスよ!?」  マギーの答えに、ウェンディは目を白黒させた。 「うちじゃ気の良いお爺ちゃんだったけどね、あたしとは、父親と実娘って言うより、祖 父と孫みたいな歳の差だったし」  マギーは、苦笑しながら、そう答えた。 「あ……そ、そうっス、グレアム元提督の年齢なら、それぐらいになるはずっス!」  ウェンディは手のひらにもう一方の手の指を当てる仕種をして、そう言った。 「別にどーでもいーことだったけどね、そのあたりは。結構あたしに甘い父親だったし。 まぁ、もう逝っちゃったのは、年齢的にしょうがないかな。ただ……」  苦笑しながら、そこまで言って、マギーは急に、寂しげに、顔を伏せる。 「ただ……?」  ウェンディは、小首をかしげるようにして、マギーに訊ねた 「どうしてお母さんと、籍入れなかったのかな、ってのは少し、気にしてる」  マギーの言葉に、アリサとユーノの、表情が引きつった。 「あたしが生まれたてしばらくたった頃、父もあの年齢で独身だったし、籍だけは入れて おこうって話があったらしいのよ。でも、3歳の時かな。急に、その話がなくなったの」 「しょ、しょーがないっスよ、大人の事情っス、いろいろあったんスよ、きっと」  気まずくなりかけた空気に、ウェンディは身振り手振りを交えながら、マギーを慰める ように、言う。  アリサとユーノは、何も言えない。その“事情”を、知っているからだ。 [207]熱い彗星の魔導師たち 2-07/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:18:25 ID:d6VTEp0W  ギルバート・グレアム、元提督。“元”。すなわち、管理局としてはその功績を認めな い、という建前だ。グレアムは、最後は、“退職”ではなく、“免職”だったのである。 ただ、グレアムを英雄視する人物は内外に多くいるため、一般には公にされていない。  そして、不名誉を背負って管理局を後にすることになったグレアムは、その汚名を娘マ ーガレットに背負わせない為に、メガーヌとの入籍を諦めたのである。  マギー自身は、“マーガレット・リーゼ・グレアム・アルピーヌ”を、堂々と名乗って いるが、年齢差が親子とは思えないこと、グレアムが事実上生涯独身であったことから、 彼女が“ギルバート・グレアム”の実娘だと思う人間は、ほとんどいなかった。 「そうね……ま、別にそう気に病んでるわけでもないんだけどね」  マギーはしみじみと言ってから、ウェンディの元気が伝染(うつ)ったかのような笑顔に なった。  アリサとユーノは、ほっと胸を撫で下ろして、苦笑気味の顔を見合わせた。 「あ、そうだ」  胸を撫で下ろす、で、アリサは思い出したように、声を出した。 「こら、アンタもいい加減起きなさい」  普段、レイジングハートと並んで首にかけている、涙滴の形をしたオレンジ色の宝石の ペンダントを掴み、怒鳴るように言った。 「ふぁー」  寝ぼけたような声を出しながら、その宝石が重力に逆らって浮かび上がると、ポンッ、 と、人間形態になった。 「ローウェルっスね。こちらもお久し振りっス」  ウェンディがぱっと表情を明るくし、笑顔で声をかけた。 「ウェンディに、それにマギーもいるじゃない」  10歳時のアリサをまんま小さくしたようなローウェルは、軽く驚いたように言い、笑顔 になる。 「久し振り、ローウェル」  マギーも笑顔で、声をかける。 「2人が、バリアジャケット姿でここにいる、って事は……」  ローウェルは、視線を上にずらして、小首をかしげる仕種をした。 「そ、あたしの小隊のメンバー」  アリサは、少し得意げに言ったのだが、 「ははぁ、結局ティアナには振られたんだ」  と、ローウェルは、意地悪そうに笑って、そう言った。 「うっさい黙れ余計な事言うな」  アリサは顔を怒りに染めて怒鳴りつけ、ローウェルを左手で引っ掴む。 「まあまあアリサ、ローウェルもあんまり煽らないで」  ユーノがアリサの背中に近づき、苦笑しながら、2人を宥める 「ティアナって、スターズ小隊のティアナ・ランスター陸士の事っスか?」 「そ、最初誘ってたのって、彼女のことなのよ」  ウェンディの問いに、抜け出そうともがいているローウェルを掴んだまま、アリサは苦 笑気味に笑って、答える。 「確かにあたしとじゃ、ずいぶんカラーが違うっスねー」  ウェンディもそう言って、渋く苦笑する。 「スバルと……スバル・ナカジマと2人でも面倒見るって、言ってたんだけどね。なのは に先越されちゃってたから」  アリサは、苦笑したまま、そう言った。 [208]熱い彗星の魔導師たち 2-08/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:19:09 ID:d6VTEp0W 「まぁおバカ戦闘機人と弱ツンデレの組み合わせってことには変わりないけど」  ローウェルが、意地悪く笑いながら、そう言った。 「むっ」  ウェンディとマギーの表情が、同時に引きつる。 「あ、あんな頭ン中まで追加ストレージの変わりに、ついでに大脳本体まで取り出して動 力機構が詰まってるよーなヤツと一緒にされたくないっス! 戦闘機人の名誉にかかわる っス!」 「あたしのどこがツンデレだってゆーのよ! しかも弱って何、弱って!?」 「あんたわもー今回という今回はマジ解体しちゃる。ユーノ、工具持ってきなさい工具!」 「きゃーだれか助けて、デバイス殺しよー!!」 「まぁまぁアリサ、落ち着いて。ウェンディもマギーも、ちょっとした冗談なんだから」  騒ぎ出す女性陣を、ユーノは渋く渋ぅく苦笑しながら、宥める。 「はぁ、はぁ、はぁ……」  アリサは、まだ口から燻っている煙を吐きそうな勢いで、荒い息を整える。 「で、話を戻すと……それがマギーにもギリギリになって声かけることになった理由だっ たってワケ。ごめんね、マギー」  アリサはそう言って、幾分申し訳なさそうに苦笑した。 「あたしは別に良いけど、でも、それだけ気にかけるって、その子とアリサ、何かあった の?」  マギーは、キョトン、として、そう、訊ねた。 「直接に……じゃないけど、ちょっとした因縁が、ね……」  アリサは、言いにくそうに、ぽりぽりと頬を掻いた。 「?」  マギーは、ウェンディと顔を見合わせる。マギーは小首をかしげ、ウェンディは軽く肩 をすくめた。 「さて、それじゃ身体ほぐすのに、ちょろっと文字戦でもやってみようかしら、ユーノ、 相手してくれる?」 「いいよ。まずは隊長と副隊長で、お手本見せといた方が良いだろうしね」  アリサが提案すると、ユーノは快諾した。お互い、デバイスを握りなおす。 「そー言うなら、相手がユーノだってつもりでやるからね?」 「それじゃあ、こっちも、相手がアリサのつもりで」 『Discipline mode』  2人が不敵に笑い、レイジングハートとアンブロークンイージスが、揃ってモード設定 を告げる。 『Ray Lance』  レイジングハートの声とともに、2人が動き出す。 「アリサ、最近ワンパターンだよ!」 「どうかしら?」  ユーノが、アリサの姿が下方へ消えたと認識したとき、アリサの声は、既にユーノの後 ろにあった。 『Ray Lance, Clash mode』  アリサ得意の打ち込みではなく、敢えてのほぼゼロ距離からのバリア貫(ぬ)き射撃。 『Protection, Reactive mode』  イージスがとっさにシールドを張る。それは、着弾の瞬間、アリサに向かって、爆発力 となって解放された。  だが、その爆煙が晴れたとき、2人は既に、そこにいない。 『Sprite slash』 『Edge slash』 [209]熱い彗星の魔導師たち 2-09/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:20:09 ID:d6VTEp0W  レイジングハートが青白い光を帯び、イージスの外縁部、下半分に、魔力光のシャープ エッジが出現する。 「たぁっ、はっ、このっ!」 「ふっ、はっ、ふっ!」  ガキン、キィンッ、キンッ!!  アリサは師譲りの早業で斬撃を繰り出し、しかしユーノはそれを器用に受け流していく。 「はっ」 『Flash move』 「!」 『Axel fin』  ユーノが、高速機動で間合いを取る。アリサは、それに反応して、反対方向に距離を開 きつつ、レイジングハートの峰を抱え、ライフルのように構えた。 『Divine』  レイジングハートとイージスが、揃って、各々オレンジと緑色の、魔力光を集束させる。 『Buster』 『Clasher』  緑の大きな魔力弾と、オレンジ色の、小さいが鋭い魔力弾が、発射される。  それは、紙一重で、両者の中間点で交錯し、お互いが張ったシールドに、命中する。 「やっぱ、シールドじゃアンタに一日の長ありか」  爆煙が、魔力弾の残滓とともに霧散すると、オレンジ色の二重のシールドは、その前方 の1枚が、砕けて、霧散した。 「そー言うこと」  一方の、緑のシールドは、1枚きりだが、明らかにアリサの物より鮮やかで分厚く、頑 健なイメージを持たせる。 「でも、クロースレンジならどうかしらっ!?」 『Ray Lance, Clash mode』  6発のバリア貫き弾を撃ち出しながら、アリサは飛び出す。 「どんな攻撃でも、簡単には貫けないよっ」  ユーノは急機動で射撃を回避しつつ、イージスを水平に構える。 『Round Shield』  ガキンッ  緑の光のシールドと、斬撃補助魔力を帯びたレイジングハートがぶつかり合い、バチバ チと火花を散らす。 「アレのどこが“身体を解す”程度なのよ」  呆然と見ていたウェンディとマギーの2人だったが、やがて、マギーが、呆れきった声 で、そう言った。 「しょうがないっスよ。非公式SS-の“燃え上がる炎”と、防御だけなら推定SSランクオ ーバーの“緑の砕けぬ盾”なんスから」  ウェンディは、ぽかーんと、オレンジと緑の光がぶつかり合う光景を見たまま、そう言 った。 「あ、あたしだって別に、まぁ、アリサやユーノほど気楽にってわけには行かないけど、 アレぐらいだったら、そう難しいわけじゃないんだから」  マギーは、少し視線を逸らして、負け惜しみのように呟く。 「んっんっ? だったら、実力見せられるよう、相手になってやるっスか〜?」  その様子に、ウェンディはにやっと笑って、マギーにそう声をかける。 「良いわよ、やったろうじゃない」  マギーが言って、2人は構える。 [210]熱い彗星の魔導師たち 2-10/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:20:31 ID:d6VTEp0W 「アリサー、こっちでも適当にやってるけど、良いわよね?」 『いいけど、怪我したら怪我が30倍になるからそのつもりでねー』  アリサは、念話で、ウェンディにも伝えつつ、マギーに答えた。  ウェンディの頬に、冷や汗が伝う。だが、お互いやめる気配はない。 『Discipline mode』 『Limiter set』  アンダウンテッドアイアスと、WS-Fが、それぞれ、リミッターをセットする。  にやっ、とお互い笑った。次の瞬間、飛び出している。 [211]熱い彗星の魔導師たち 2-11/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:20:52 ID:d6VTEp0W 「なによ、あれ……」  自主トレと称して、夜中の森に軽いランニングに出たティアナは、それを見て、呆然と してしまった、  地上を高速で走り回っていた、鮮やかなオレンジと緑の光は、やがて空中を縦横無尽に 走りつつ、綾取りの紐のように、交錯と離脱を猛スピードで激しく繰り返す。  穏やかなオレンジと赤紫の光は、それよりは低い高度で、射撃と交錯を繰り返す。射撃 は、オレンジの方が激しかったが、接近するときは、赤紫の方が鋭い。甲乙つけ難い。  ────アリサさんとスクライア副隊長は当然としても、ケイズ一士とアルピーヌ二士 も、全然速い──私どころか、多分、スバルやエリオよりも……!! しかも、全員飛行して る!  実際には、ウェンディは『フローターボード』を活用しているのだが、それから飛び上 がる短時間だけの、機動のために、飛行魔法の術式を動かしている。  ティアナは、ゴクリ、と、喉を鳴らした。  ────高町隊長やフェイト隊長も、私達の訓練のときは、あそこまで速くない……全 然、負けてる? なんなのよ、『レッドフレイム』は……  ティアナは、ぎゅっ、と拳を握り締め、隊舎の方へと駆け出していく。 「スバル、スバルちょっと起きて!」 「結局、思い切りやっちゃったわね」  つい熱くなってしまい、準備運動の領域を外れて、息が上がるまでやりこんでしまった 4人。  アリサとユーノは、地面にへたり込んで、背中合わせにしている。マギーも、顔を熱気 と汗で赤くして、ウェンディに支えられていた。唯一、ウェンディだけが、それ程息を荒 くしていない。 「結局本気一歩手前までやりこんじゃうって、僕達、一体なんなんだろうね」 「ただのバカよ、バカ」  ユーノの問いかけに、マギーが投げやりに答える。 「のほほほおぉぉぉうっ」  なぜか、アリサは雄叫びのような奇声を上げた。 [212]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:23:55 ID:kmAR1S48 GJ! です。 [213]熱い彗星の魔導師たち 2-11/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:25:57 ID:d6VTEp0W >>200-202,>>204-211 今回は以上です。 タイムリーな話題に焦ってしまい、ミスしてしまいました。 ちなみに、再投下も>>200で総レス数ミス。01/11です。 申し訳ありません。 件のはやてですが、原作ではその点が返って中途半端な逃げ道になっていると思ったので、 はやてに「ヴォルケンズが何やってるか自覚させる」ことにしました。 (すずかの配置ミスで前後しましたが、図書館のシーンは、元から考えてあったものです) 変身シーンは服飾の用語とか突っ込まれないようにしながらだから、疲れる時間かかるor2 マギーのデバイス「WS-F」の名前の由来は、とらハ3の副題からです。 2世代ぐらい前の量産型だけど、管制装置の交換とカートリッジシステムで現行生産型以上より応答速度が速いというバケモノです。 [214]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:33:37 ID:hR0ujvcA GJ だが誤字脱字おおいので読み返して欲しい もったいない あと召還師家の苗字が変わってるのは意図的なもの? [215]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:33:39 ID:AikbkJPN え、つもる話の一つもなし……? [216]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:38:39 ID:NBmfA1Tv 管理局の罰則規定は意外に緩そう(言い換えると柔軟)だから別にそう深く考えなくていいと思うけど 例)宝種の流出、司書長へのお咎めなし 問題起こした子も早期登用 闇の書事件の一連の対応 ある程度のナンバーズへの対応 [217]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:40:28 ID:daHmpSbW いや、ジュエルシード流出させたの司書長じゃないし [218]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:42:40 ID:d6VTEp0W >>214 あっはっはまたやっちまったよド畜生。 マーガレットの姓はアルピー“ノ”です。申し訳ありません。or2  でもアルピーノってフランス読みだよな。マーガレットは英国名……ま、父親はイギリス人だけど。  ちなみに名前の由来は少し昔の(以下自主規制 ここんとこ投下のたびに1〜3ポカ発見するなぁ…… 誤字入れるとそんなモンじゃないけど…… [219]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:45:01 ID:TSudZtXb あれは運搬を受け持った人間の責任だろ>ジュエルシード 例えるなら、不発弾を発掘したのがユーノで、それの運搬を頼んだ業者が その途中で不発弾をばら撒いたようなもの。 フェイトはフェイトで、そういう風にしか教育を受けてないわけだから 責任能力の点からも、実際の被害の点からもフェイト自身はそこまで罪はないと思う あと、はやて本人も魔法を知らない世界の人間だったしな。 ただヴォルケンリッターの場合、情状酌量の余地はあるとしても、犯罪は犯罪だしな 流石にあそこまで無罪放免になると、納得いかない被害者も多いんじゃないかな。 [220]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:45:58 ID:TSudZtXb っと、肝心の感想を忘れてたよ。 熱いまでにGJ。ちょっとユーノが強すぎねぇ?みたいな感じはあるけど これはこれで二次創作の醍醐味ってやつよw [221]197 2008/02/20(水) 21:46:31 ID:8//WsY9n >>213 うわ…割りこみかけちゃいました、マジすいません。 今回はオリジナル小隊とそのメンバーの顔見せ&お披露目みたいな感じの回でしたね。 どうでもいいけど、この小隊の女性陣は勝ち気な子多いなw 攻撃魔法が使えりゃ最強クラスと極一部で噂されるユーノ、今回魔力弾使ってましたが、活躍に期待したいと思います。 そして、個人的には八神家・なのはとアリサの二者間の微妙な関係が一番気になってます。 はやては割りきってるっぽいけど、ヴィータを筆頭にヴォルケンズ、 そしてアリユノは、やはりまだお互いにわだかまりを感じてるのでしょうか。 アリユノは六課の天敵(?)地上本部から派遣されてるって立場だし、この部隊内でのイザコザにも注目ですね。 [222]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:50:47 ID:wz8HuIip GJです! ひとつ気になったことがあるんですが、 アリサが一部隊の隊長を担いながらいつまでも非公式SS−って 立場上マズくないですか?リミッターもなし? [223]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:54:12 ID:/TrVO1Yl GJっす。末っ子は一般人になった、と。幸せになってくれれば文句なし。 >>222 リミッターって魔力量を抑えるシロモノだっけ? だとしたらアリサは 魔力量そのものはなのはやフェイトの一割程度だから…ってことじゃね? [224]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:55:19 ID:fCgvgPBI >>216 解釈によっては相当黒いけどね管理局。 種の件 そもそも事故はユーノ関係なし、ユーノ自身がほっとくと危ないからと自主的に回収しようとしていた 問題起した子、該当者はなのは、フェイト この2人は管理局保有魔導師の5%しかいない稀有な人材であり、うまく誘導し、自主的に自分達の勢力へ加担させてる 闇の書事件の対応 管理局の高官が非合法に管理外世界の子供を生贄に事件を解決しようとしていたという一大スキャンダルの隠蔽 および、温情というなの柔らかな鎖ではやて、ヴォルケンズを縛り、これも自分達の勢力へと吸収 ナンバーズ これは最も分かりやすい、非合法研究者の手からその被害者を救出したと称してその成果(戦闘機人、人造魔導師の研究データ)を 自分達のものとして吸収できる、しかも、ナンバーズ自身も被害者の社会復帰の一環ということにして管理局への参加すら世論の反発なく出来る という具合の解釈も出来ます [225]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:57:45 ID:wz8HuIip >>223 そういえばそうですよね…。 すみません疑問が生じたんですが、そういうランクってどうやって決まるんでしたっけ? [226]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 21:59:04 ID:pNxzq1G3 また小難しい設定議論の流れかよう… [227]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 21:59:19 ID:d6VTEp0W >>222 6課全体の平均値なので、実はC+、AA、B+、Bの組み合わせが1隊加わることによって、 他のメンツのリミッターも少しずつ甘くなってます。 [228]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:01:13 ID:saQCWnFQ 正直設定のgdgd議論イラネ。◆kd.2f.1cKc が投下した後はいつもこうだ。 作者とSSには罪がないが議論厨はもう少し謹んで欲しい。 [229]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 22:02:58 ID:d6VTEp0W >>225 拙作では、 管理局の魔導師→認定試験。ただし受験には魔力値で制限有り それ以外の魔導師→接触時の現場責任者が判定。クロノはアリサにC-、フェイトにAAA-を下している。  という設定にしています。 っつか、本編に書いておくべきだったな、これ今回は何もかも片手落ち。 顔見せ回だと思って諦めよう。 |懺悔室| λ.....ちょっとスターライト一丁。ブレイカーでもザッパーでも良いから。 [230]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:02:59 ID:9QjmJs9m >>227 保有制限かかってるのは「総量」なんだから平均下がったって意味ないと思うが。 二次創作なんだから別にいいっちゃいいんだけど。 [231]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:04:49 ID:wz8HuIip >>227 ありがとうございます。 >>226 >>228 申し訳ありませんでした。 アリサのランクがいつまでも非公式で実はとんでもなくすごいってどうなんだ、 という疑問をずっと思っていたので、つい聞いてしまいました。 以後気をつけます。 [232]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:08:20 ID:1P3G/X/N いっちゃあなんだが典型的な設定厨のU−1SSだよな。 それについて回る信者も同レベル。毎回毎回設定議論で無駄にスレ流すんで いい加減スルーするのも限度だ。どこか他所でやってくんないかね? [233]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:12:31 ID:Mn/4xmf+ なんのためのNG設定だと? どっちにしろスルーしとけ [234]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:15:11 ID:nE1r5IXl SS自体はNG設定でスルーできても一番ウザイ議論はスルーできないもんな。 心底同意する。もうちょい気を使おうぜ。<ALL [235]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:20:02 ID:R6gklaFr >「別に、いーじゃない。これだって仕事なんだしさ。それに、階級ひとつ違えば、上が絶 >対ってのは、警察と軍隊じゃお約束でしょ」 ピリっと皮肉が利いてるな >>232 設定議論は確かにうざいし控えるべきだが、それにしろSSにしろ 暴言吐くほど気に喰わないならNGワードに名無しさん@ピンキーを加えれば良いと何度言ったら [236]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:20:38 ID:LrMr9fFc スルーするとかをいうのも気をつけたほうがいいと思うが。 そういうのを見て気分を悪くする人もいる。書かれていることに興味ないのなら読まなければいい。 [237]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:20:43 ID:f28/6Vc2 レジアス「工作は続けているのか?」 オーリス「もはやメアリー・スーの登場しないSSは存在しません」 レジアス「よし。今後も続けるのだ。誰も本編を思い出せなくなるようにな」 オーリス「すでに本編否定はスレのトレンドになっております」 レジアス「うむ。だが油断するなよ」 オーリス「ご心配いりません。設定捏造を重ねていますが、住人をそれを受け入れております」 [238]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:20:49 ID:+DjJMljB 何だ何だどうしたんだ。 キャラ萌え厨でエロ目当てROMである俺的にも興味ない話だが まあ度を超さなければいいんじゃね? >>231は気を使って謝ってるし [239]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:22:17 ID:1251g9/3 どうせ雑談なんだし無視すればいいじゃん、俺はどんなレスがついてようと気にしない [240]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:26:39 ID:TSudZtXb つーか、メアリー・スー的な要素だって過剰にさえならなきゃ別に問題はないぞ? それに、議論だってSSが投下されて暫くすりゃ一段落すると思いますが。 何か、いきなり厨だU-1だと言い出されても、信者が吐き捨ててるようにしかみえませんがな。 [241]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:27:11 ID:pNxzq1G3 氏のSSはいわゆる再構成物なので、こういう議論が出てくることは避けえないんだよな。 わかっちゃいるんだが…時にはぼやきたくもなる。 >>237 オーリスなら俺の隣で寝ているが? [242]191<> 2008/02/20(水) 22:27:31 ID:u5H53zNZ >>213 GJです フェイトさん登場でも絡み少なっ ディエチ登場、ってロウラン?白き鷹(違 の妹? ディードが一般人?名前も違う?オットーは原作や二次であんな仲良いのに複雑そうだな ウェンデイ自分の生い立ちについてぜんぜん気にしてないな アリサ達は夜間待機ですか、原作では触れられなかったが星&雷組の陰でそういう人たちが居たはずですよね。 じゃなきゃ最初のほうなんかフォワード陣ボロボロでしたし なんか色々と議論させちゃってすいません、脳内補完で我慢しよう、うん。 [243]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:33:48 ID:d6VTEp0W っつーか、流れ変えたいなら自分でさらっと2レス分ぐらいのエロ書いて投下しろや。 [244]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:35:21 ID:hExQ6ZYo SSスレなんだから設定について議論はある程度は仕方ないのでは… 嫌なら飛ばして好きな職人さんのSSだけ読んでればいいんじゃ? [245]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:35:36 ID:zwGdR14s >>213 まいどまいど楽しませてもらっております。今回も楽しませて頂きやした。 レジアスびいきの私めにとって、貴兄の作品は楽しめる作品の一つです。 ところで今更ですが、ユーノとウェンディのデバイス名、長ったらしいような気が。 フェイトやシグナムのデバイス同様、ただ"イージス"、"アイアス"でいいんじゃないかと。 まあそれをいったらそもそも原作のデバイス名が冗長なこときわまりないのですが。 [246]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:37:35 ID:TSudZtXb それに、俺は氏のアリサの設定はわりとよく出来てると思うしな。 ランクは任務遂行能力も含めて総合的な能力で判断されてるというけれど それじゃあ、かつて原作マンガでなのはとフェイト(AAA)が二人がかりで AAの人に負けたのが不自然に見えるかもしれないけど、逆にランク認定に足切り的に 魔力量みたいなのがあった場合、魔力量が少なくてそこまでしか試験は受けられなかったけど バキに出てくる渋川老や海皇様みたいにずば抜けた技を持ってるから 戦闘においてはAAA二人をあしらうことだって出来るとかそんな設定なら アリサがランクはC+でも、実質戦闘となればSS-って言われるのも納得いかないこともない。 あと、実はヴィータの攻撃を捌いてた辺り、体術のセンスはそこそこあるんじゃないか? とか思ってた人にとっては、今回のユーノもありえたかもしれない未来ではあるかもしれない。 良くも悪くも二次創作の楽しさがあると俺は思ってる。 [247]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:44:41 ID:lg+n+8AS >>243 流石本人様は仰ることが違いますねえ とでもいえば満足かな [248]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:47:00 ID:YY/pFeQ7 >>243 おいおい。アンタ本人が言うべきとこじゃないだろ。 ID変わってから書き込めよ。バカだなあ。 [249]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:47:58 ID:pNxzq1G3 >>248 志村ー、目欄、目欄。確信犯だぜ [250]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:48:47 ID:ChdS4hAz 別に議論なんざどうでもよかったけど>>243の態度にムカついた。 そりゃないわ。 [251]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:49:09 ID:BXOPfD4K >>246 言いたいことが分からないような気がしないでもないが まぁあれだ 書き込む前にちょっとくらい文章見直したらどうか [252]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:50:23 ID:Mn/4xmf+ >>243 煽らないでくれ、この状況で [253]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:50:25 ID:nJZXpM3u 作者も一々反応すんな 「俺の設定に文句あるなら見るんじゃねえ」で良いんだよ [254]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:51:00 ID:QogmAzDG >>243 カス職人の常套文句だな。 >悔しかったら自分で書いてみろ。 [255]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:51:04 ID:YJQkN6cc >>243 普段は批判厨UZEEEEと思ってるほうだが 自分で事を荒立てるのはやめてくれ [256]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:52:14 ID:Ax1v0Hwj この流れで平然と煽れる>>243の人間性を疑う。 本当に18歳以上なのかさえ疑わしい。 [257]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:53:47 ID:Mn/4xmf+ とか言ってたら見事に… おまいらも一々反応するな。荒れると面倒だから [258]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:54:19 ID:NBmfA1Tv >>243 かなり曲解になるかもしれんけどさ 悔しかったら自分達で書いてみろよバーカ ってとっておk? [259]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:54:23 ID:cpbznV8E >>213GJ 夜間待機任務ってことは本来の作戦行動からもはずされるってことですよね? ううむ、早速遠ざけられてますな。ここまで破綻した関係だったとは。 フェイト、シグナム、ザフィーラが巧く緩衝材になってくれればよいのですが…… >「さて、それじゃ身体ほぐすのに、ちょろっと文字戦でもやってみようかしら 模擬戦ですね。文字戦だったら恐らくユーノの独壇場でしょうww 議論がウザイといっている人。自分の意見を人に聞いてもらいたいならもう少し言い方を考えましょう [260]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:55:14 ID:MZAfTFZn >>228の言うとおり作者とSSに罪はないと思ってたんだが >>243で作者自ら煽ってたんじゃ作者も十分罪ありだぜ。 [261]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:56:03 ID:gCv+k+mB 批判側が全部単発IDってのは壮観だな。 [262]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:57:53 ID:TSudZtXb というか、作者にしても、いきなりU-1やら信者が沸いてうざいから他所いけとか言われたら 一言くらい皮肉も言いたくなるんじゃね? [263]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:58:44 ID:wwRFMJNa 作者の人格とかはどーでも良い話なんだがなあ。 SSが上がっていればそれでおk [264]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 22:58:58 ID:nOlMtlZ+ とりあえずみんな頭冷やされろwwwww [265]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 22:59:46 ID:d6VTEp0W (゚Д゚ 三; ゚д゚) え? 常識とちゃうの?<流れ変えたいならさらっと1本 SSスレなら普通じゃん? 自分もそう心がけてるし。 2レス程度の単発ネタならキャラスレ行って電波受信してくれば1時間ほどで上がる。ギャグなら1時間もいらねぇか。 別になにも小難しいことじゃねぇ書いてるのは日本語だ日本語。 [266] ◆6BmcNJgox2 2008/02/20(水) 23:00:59 ID:m93xqJeD とりあえず…空気読まずに書かせて頂きますorz ・なのはとユーノ結婚後。なのに家族には連絡入れて無かったと言う突っ込み所満載のとんでも前提 ・上記の理由により、なのはがユーノと結婚した事も知らずに士郎がお見合いの話を持って来る。 ・お馬鹿フェイトならぬお馬鹿士郎注意。 ・でもやっぱお馬鹿フェイト要素も少しあり ・序盤にエロ ・オリキャラ登場(上記の士郎が持って来たお見合いの相手。名前とかかなり適当です) ・ちょっぴり強めなユーノ君注意 ・実際に空手やってる人には申し訳無いっす。 [267]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:01:03 ID:hExQ6ZYo 燃料足さないでよろしw北これww 誤爆スレに落としそこねたのかと同情してたのにw [268]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:01:35 ID:TSudZtXb   \           ヽ         |         /             /      \          ヽ         |           /           /       \       ヽ           |        /        /        殺 伐 と し た ス レ に 鋼 の 救 世 主 が ! !           \      ヽ               /      / ‐、、            \                         /          _,,−''   `−、、          ┌─────────┐            _,,−''       `−、、       |                |         _,,−''          `       |                    |              !`ヽ  |. ●            ● .| i⌒! ───────‐  ヽ、 \|:.    ├──┤    .:|ノ ノ   ───────‐               \_|:::...    ヽ、  ノ     ...:::!_/                   |::::::::::...     ̄   ...:::::::::::|            _,,−''     |:::::::::::::::........    ......:::::::::::::::::|    `−、、         _,,−''         l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!         `−、、  ,'´\           / |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| \           /`i  !   \       _,,-┐  \:::::;‐、:::::::::::::::::::::::::::;‐、:::::/     r‐-、、      /   !  ゙、   `ー--<´   /      ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ̄       ゙、  >−一'′   ,'   y'         `ヽ/     /  | |        | | ヽ      ヽ '´         イ [269]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:01:57 ID:c19W7vmU U-1言われるのはしゃあないとは思うけどね。 筋書き自体は典型的なU-1やし。面白けりゃ別にそんなん構わないけど。 ただ煽りを煽りでかえすのだけはよろしくないぞ。作者よ。 [270]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:02:00 ID:lg+n+8AS 焚き付け方もやり方を間違えば荒しと同罪じゃないのん? [271]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:02:05 ID:aPu25gwg やはりオリジナルは荒れる元だな StSが穴だらけだからこそ、既存のキャラで妄想が出来るのに [272]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:02:13 ID:YJQkN6cc 煽りじゃなくて天然だったのか気をつけてくれよ >>266 この流れの中ガンバレ [273]なのはのお見合い!? 1 ◆6BmcNJgox2 2008/02/20(水) 23:02:39 ID:m93xqJeD ある日、高町士郎がミッドチルダにはるばるやって来た。ある大切な話を娘であるなのはにする為である。 「自分の無理を聞いてくれたハラオウンさんには心から礼を言いたい。 だからこそ、それに報いる為にもこの話は是非とも成功させなければ…。」 士郎は大きな封筒を大切に抱えた状態でなのはが住んでいると言う部屋へ向かった。 そしてドアの前に立ち、一度深呼吸してからノックするのである。 「士郎だ。お前の父がはるばるやって来たぞ。それじゃあお邪魔しま〜す。」 士郎はドアノブを掴み、なのはの部屋の中へと入るのであったが……… 「な……………。」 部屋の中を見た士郎は愕然とした。何故ならば……… 「なのは…なのは…なのは……ハァハァ…。」 「アッ! ユーノ君…ユーノ君…ユーノ君…アアン…。」 部屋の真ん中に布団を敷き、なのはがユーノとお互い全裸になった状態で激しく交わりあっていたのだ。 「な…何をしとるんじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 士郎は切れた。無理も無い。彼の愛娘が真昼間から男と…それも士郎にとって良い目で 見られてはいなかったユーノと親密に交わっていたのだから…これで怒らない方がむしろ不自然だ。 「このフェレット小僧!! 俺の娘に何をやっとるかぁぁ!!」 「んご!!」 怒りに身を任せた士郎の蹴りがユーノの横腹を直撃し、ユーノは吹っ飛ばされ壁へ叩き付けられた。 「ユーノ君!」 「このフェレット小僧がぁ!! 娘に手を出すとは生きて帰れると思うなよぉぉ!!」 士郎はそのままユーノに掴みかかろうとするが、それをなのはが引っ張って止めた。 「お父さんやめて! って言うかどうしてお父さんがここにいるの!?」 「離しなさいなのは! 俺は今からこの不届きなフェレット小僧に制裁をしなければならぬぅぅぅ!!」 もう滅茶苦茶だ。真昼間から娘が男とエッチしてる光景見せられてブチ切れた今の士郎に 冷静な判断力などあるはずがない。それ故に部屋は半ばカオスと化していた。 それから一時して、何とか落ち着いた士郎ではあるが…それでも完全に怒りが収まっているとは 言えず、なのはとユーノを裸のまま部屋の真ん中に正座させた状態で二人の前を左右に歩き回っていた。 「まったく真昼間から…けしからんぞ!! このフェレット小僧だけじゃない!! なのはもなのはだ!! 第一嫁入り前の娘が真昼間から男とズコバコズコバコと…………… お父さんは悲しいぞ!! お前の母さんはお父さんと結婚するまで処女を守り通したと言うのに… 何故お前は嫁入り前の段階で…よりにもよってこんな男とズコバコズコバコ……ふざけるな!!」 一度は落ち着いたが説教を続けていく内に士郎の怒りのボルテージは徐々に上昇し、 何時再びユーノへ殴りかかっていてもおかしくない程にまでなっていたのだが…… 「嫁入り前じゃないよ!! 私達もう結婚したんだよお父さん!!」 「え………。」 頬を膨らませたまま言うなのはに士郎は絶句した。 [274]なのはのお見合い!? 2 ◆6BmcNJgox2 2008/02/20(水) 23:03:25 ID:m93xqJeD 「おい…幾らその場凌ぎとは言えその冗談は無理があり過ぎないか?」 「冗談ではありません。僕となのはは正式に結婚したんです。」 「な…なんだってぇぇぇぇぇぇ!?」 士郎の絶叫が部屋中に響き渡った。そして二人の手の薬指に注目して見ると、 確かに結婚指輪がはめられていたのである。 「ちょっと待てよ!! そんな話は聞いて無いぞ! 一体何時結婚したんだよ!」 「あ…。」 「そう言えば連絡入れるの忘れてた…。」 戸惑いの色を隠せない士郎に対し、なのはとユーノも苦笑いするしか無かった。 確かになのはとユーノが晴れて結婚した事は事実だ。しかし………その事を97管理外世界の 海鳴に住むなのはの家族に連絡を入れる事を忘れるという初歩的ってレベルじゃねーぞって 言わんばかりの超絶ミスを犯していたのであった。 「何で教えてくれなかったんだよ!! しかもよりにもよってこんな男と………。」 「いや〜その……JS事件とかで色々忙しくて……。」 「そうそう。本当こっちも色々ありまして…連絡を入れる余裕が無かったんですよ…。」 「真昼間からエッチする余裕はあるくせにか…?」 士郎は涙目になった状態でユーノを睨み付ける。既に二人が結婚したとは言え、 やはり士郎にとってユーノがなのはの婿と言うのは認めたくなかったのである。 「畜生……百歩譲ってこのフェレット小僧を認めるとして……せめて なのはのウェディングドレス……お前の晴れ姿を見たかった…。」 「あの…義父さん…一応写真としては撮ってるんですけど…見ます?」 「お前に義父さん呼ばわりされたくないわ!! ったくお前等が結婚したって 教えてくれなかったせいでとんだ無駄足になっちまったじゃないか!!」 士郎はなおも涙目になって叫ぶが、そこで二人に新たな疑問が生じる。 「無駄足って…そもそもお父さんがわざわざここに来た理由って何なの?」 「うむ…実はな……なのは…お前にお見合いの話を持って来ていたんだ。」 「ええ!? お見合い!?」 士郎の口から出たお見合いと言う言葉に二人は口を揃えて驚いた。 そして士郎はなおも目に涙を浮かべたまま手に持っていたファイルから 一枚の写真を取り出す。それに写っていたのはお見合い用写真であるが故に正装した姿で あったが何か格闘技か何かでもやっていそうなガッチリした体格の男であった。 「これがお前のお見合い相手になるはずだった男の写真だ。名前は『山田格男』 若干二十代でフルコンタクト系空手の最大手『鉄鋼会』の師範を務める程の男でな、 あちらさんもなのはの写真見て一目で気に入ってくれたんだがな〜…… ハァ……でも…もう結婚してるんじゃ仕方ないよな………お父さんの方で断っておくよ。 でも………何て言って断ったら良いんだろう………下手すりゃ…殺されるかも………。」 士郎はやはり目に涙を浮かべたまま溜息を付いていた。それにはなのはとユーノも 流石に士郎が可哀想に思えて来た。そして二人は互いに見つめ合い、頷き合う。 「お父さん。私達も行くよ。」 「こうして実際に僕となのはが結婚してるって事を示してあげれば あちらさんだって理解を示してくれますよ。義父さん。」 「お…お前等………。」 士郎の目から涙がさらに流れ落ちた。なのはがユーノと結婚した事は悔しかったが… 今この瞬間だけは二人がこの上無く頼もしく思えた。しかし…こう言う感動的な状況に ありながらなのはとユーノの二人は裸のままであった故に…逆にシュールだった。 [275]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:03:26 ID:aPu25gwg >>265 あんたがスレの常識だと思ってることは往々にして変わっていくもんだ [276]なのはのお見合い!? 3 ◆6BmcNJgox2 2008/02/20(水) 23:04:25 ID:m93xqJeD 間も無くして、三人は97管理外世界の大手空手道場、鉄鋼会へと訪れた。 そこでは既にお見合いの準備を済ませていた山田格男が今や今やと待っていたのであるが… 「押忍! 大変です師範!」 「何だどうした!?」 お見合いの席と言う事で、一応形として正装をしていた道場関係者が慌て顔で格男の前へ現れた。 「実はあちらさんから急にお見合いのキャンセルがありました! しかも師範のお見合い相手の女性は何時の間にか結婚してたらしくて………。」 「な…何ぃぃぃぃ!?」 格男は絶句した。嫌…絶句するしか無かった。 生まれてこの方、ひたすらに空手一筋に生きて来た山田格男にとって高町なのはと言う存在は衝撃だった。 「女性と言うのはこうまで美しいのか………。」 男だらけの環境の中…空手の腕を磨く事に必死だった山田格男にとって高町なのはは美しい。 まるで天上の女神が自分の前に降臨して来たかの様な美しさだった。 そのなのはとお見合いが出来ると知った時は嬉しさの余り心躍った物だ。 しかしその喜びは全て無駄となった。裏切られたのである。 「畜生!! 誰だぁ!! 俺のなのはさんを奪った輩はぁぁぁ!!」 格男は怒りの余り、部屋の戸を正拳で殴り砕いて外へと飛び出した。 部屋の外では鉄鋼会の館長でもある格男の父親に士郎が何度も頭を下げているのが見える。 「すみませんすみません。」 「そうですか…それならば仕方はありませんね。」 格男の父親は落ち着きのある人物らしく、何度も頭を下げる士郎に対しても寛容な心を見せる。 しかし……息子の格男は落ち着いてはいられなかった。 「なななななのはさんが既に結婚していたと言うのは本当ですかぁ!?」 「すみません…。え〜と…か…格男さん…。」 「僕達が義父さんに連絡を入れていなかったのが悪いのです。申し訳ありませんでした。」 士郎の後ろにいたなのはとユーノが格男に対して申し訳無さそうに頭を下げるが… 格男にとっては衝撃的だった。自分を差し置いてなのはと結婚した男とは 一体どれだけ凄まじい大和男児かと思っていたら……華奢な外国人だったのである。 これに格男が怒らないはずは無いだろう。 「き…貴様ぁぁぁぁ!!」 「わ!」 「ユーノ君!」 怒り狂った格男はユーノの胸倉を掴んで持ち上げ、物凄い形相で睨み付けた。 「貴様ぁぁぁ!! 今直ぐ道場に来い!! なのはさんの婿の座を賭けて勝負だぁ!!」 「ええ!?」 [277]なのはのお見合い!? 4 ◆6BmcNJgox2 2008/02/20(水) 23:05:45 ID:m93xqJeD 空手一筋で生きて来たバリバリの体育会系の格男にとって、『美男子』とは即ち『強い男』の事だった。 だからこそ、なのはの目の前でユーノを倒す事で自分こそ真になのはの婿に相応しい男と証明したかったのだろう。 鉄鋼会の道場にて、空手着に身を包んだ格男と無理矢理空手着を着せられたユーノが 面と向かって立っていた。 「さぁ来いやぁ!!」 「いや…その…あの…格男さん? もっと穏やかに行きませんか?」 気合を入れている格男に対し、ユーノは苦笑いするばかり。無理も無い。 ユーノは格男と違って戦いをする人間では無い。それにここは97管理外世界であり かつ相手は普通の人間であるからして、魔法を使う訳にも行かないのだ。 「ええい問答無用じゃぁ!! せぇい!!」 格男の有無を言わせぬ正拳がユーノに襲い掛かった。 「嫌ぁ! ユーノ君…。」 なのはは思わず目を背けた。相手は大手空手道場の師範。その超絶的な正拳を まともに受ければタダで済むはずが無い。なのはの脳裏には彼の正拳を 受け、絶叫しながら倒れるユーノの姿が浮かんでいたのだが…… 「あれ?」 ユーノの絶叫が聞こえて来る事は無かった。不審に思って恐る恐る目を開けて見ると… そこには平然と立っているユーノと、焦り顔で倒れている格男の姿。 「こ…コイツ…俺の正拳をかわしやがった…。」 格男は信じられないと言った顔をしていた。確かに格男の正拳はユーノの胸を捉えていた。 しかし…それが直撃するよりも早くユーノは身体の位置をずらす形で回避し、 逆に格男は勢いによってスリップしてしまっていたのだ。 「ハァ…良かった…。何だかんだ言って手加減してくれてたんですね?」 「何ぃ!?」 とぼけ顔で言ったユーノの言葉に格男の顔は豹変した。彼にとって間違い無く 先の正拳は本気の突きだった。しかし、それさえユーノにとって大した事無いと言った物だったのである。 「こ…この野郎! せい! せい! せい!」 格男は立ち上がりユーノへ再び速攻をかけた。上段突き…中断突き…下段突き…と 次々に空手の技を繰り出していくが…ユーノはのほほんとした顔でかわしていく。 「ユーノ君凄い…。」 「い…一体何なんだあの外人優男…。師範の突きを全部かわしていくなんて…。」 これにはなのはや士郎…そして格男の父や、その他道場関係者やたまたまいた 道場生達も驚きを隠せないでいた。しかし、驚いていたのは彼らだけでは無い。 ユーノ自身もまた何故これだけの事が出来るのかワケが分からなかった。 「(この人ってこの世界での格闘技で結構強い人なんでしょ? なのに何故僕は こうも彼の技が手に取る様にわかるんだろう………。あ! もしかして………。)」 しかし、ここで一つの心当たりがユーノの頭の中に浮かんだのだ。 それはユーノが晴れてなのはと結婚する以前の事……… 「フェレット男! お前なんかに私のなのはは渡さない!」 「わっ! フェイト! 落ち着いて! 落ち着いてよ!」 なのはは自分の物だと心から信じて疑わぬフェイト=T=ハラオウンにユーノは何度命を狙われた事か……。 酷い時には新ソニックフォームで襲われた事さえもあった。しかし、こうしてフェイトの超スピードから 逃げ回っている中で、知らず知らずの内にユーノは凄まじいまでの反射神経や運動神経を手に入れていたのだ。 [278]なのはのお見合い!? 5 ◆6BmcNJgox2 2008/02/20(水) 23:07:11 ID:m93xqJeD 「(そっか…あの時は本当死ぬ思いだったけど…そのおかげなのか。)」 ユーノは内心フェイトに感謝していたのだが、かと言って避けてばかりいても格男には勝てない。 故に如何にすればこの男に勝てるのかと内心考えていたのであったが…… そうしている間に格男の方は先の速攻が祟ってスタミナ切れを起こし、さらに自らのかいた汗に よってスリップして道場の壁へ思い切り突っ込み、頭を強く打って気絶してしまった。 「あらら…。」 ユーノは結局何もしないまま格男の自爆によってこの試合はユーノの勝利に終わった。 「俺の負けだ…。なのはさんと結婚出来る権利はお前の物だ。」 「権利って言うか…既に結婚してるんだけど…。」 格男は良い意味でも悪い意味でも体育会系だった。現にこの通り、素直に負けを認めていたからだ。 こうして問題も解決し、なのは・ユーノ・士郎の三人は帰って行った。が……… 「けど……やっぱ悔しいぜ…………。」 自らの敗北を素直に認めた格男ではあるが…やはり悔しさは変わらなかった。 だが、そんな彼の肩を彼の父親がポンと叩く。 「息子よ安心するが良い。こんな事もあろうかと…他にもお見合い相手見つけておいたぞ。」 「ええ!? マジ!? って言うかみんな美人ばっかじゃん!!」 泣いたカラスがもう笑った。この切り替えの早さには皆も呆れるばかりであったが… むしろこんな事もあろうかととか言って他にもお見合い相手を探してきてる父親にも 問題はあるのかもしれない。いずれにせよ無事に相手が見付かると良いね。 さて、一方帰路に付いていた三人であるが…なのはとユーノの二人は 本当に疲れた表情になっていた。 「ハァ…今日は本当に散々な目にあったよ。」 「まったくね…。」 「しかしな、お前達二人がきちんと結婚した事を連絡入れていれば こう言う事にはならなかったんだぞ。言うなれば自業自得だ。」 「は〜い…。」 士郎に注意され、二人は頷くしか無かった。 「確かにあちらでも色々あるらしいし、忙しいと言うのは分かる。そのくせ何故昼間から ズコバコやってんねん! って突っ込みもこの際我慢しよう。しかし…… それでも最低限こちらに連絡入れるべき事はあるはずだろう? だからこれからは ちょくちょく…とは言わんが、たまには連絡を入れる事。分かったな?」 「ハイ…。」 結局士郎の説教が始まってしまい、二人も苦笑いしながら答えるしか無い。だが… 「でも…忙しいって言うのはただの建前で、本当は私とユーノ君が結婚なんて お父さん絶対反対するに決まってるって分かってたからあえて連絡しなかったんだけどね…。」 「ん? なのは今何か言ったか?」 「いえいえ何も?」 「そうか。なら今日はちょっと家まで寄って帰りなさい。昼間からあんな事出来るんなら どうせ二人とも休みなんだろう?」 と、こうして三人は一路海鳴の高町家へ向かうのであった。                    おしまい [279] ◆6BmcNJgox2 2008/02/20(水) 23:08:48 ID:m93xqJeD タイトルにお見合いとあっても、結局お見合いしないお話でスマソセン 実は最後のオチに激しく困りました。 最後オリキャラ空手家がユーノに惚れるウホッ展開も考えていましたが やっぱやめました。 ユーノが空手家に勝つ方法も、空手家の自爆じゃなくて、ユーノが 伝家の宝刀(性的な意味で)で空手家を背後(性的な意味で)から『アッー!』展開も考えてましたが やっぱやめました。 あと、もしも本当に鉄鋼会なんて名前の空手道場があったら…ごめんなさい!! [280]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:09:49 ID:TSudZtXb >>279 その伝家の宝刀ネタを見たいと思った俺がいるわけだがwwwww というか、相手がガチムチなせいでマジでアッー!じゃないかwwww 兎に角GJ! [281]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:09:57 ID:c19W7vmU 一連の流れを一発で変えるアンタに惚れたぜGJ! [282]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:10:02 ID:pNxzq1G3 >>279 色んな意味でGJ! お茶の代わりに貴方の大好きな納豆を捧げまする。                ___        | 100箱大量入荷しましたお! /__/|.. ̄ ̄/| \_  ________ | 納豆 |  |納豆 | |    ∨ | 納豆 |  |納豆 | |.  /⌒ヽ  /⌒ヽ      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 納豆 |  |納豆 | |  ( ^ω^;) (^ω^;)_____ < ◆6BmcNJgox2氏、 | 納豆 | | ̄ ̄ ̄|\_(_   ) ⊂./________/| | 全部食っていいおw | 納豆 | |___|       ̄ ̄  .|.. 納豆 |  | \_______ | 納豆 | |___|________| 納豆 |/| | ̄ ̄ ̄                 ̄ ̄ ̄|  | | 大量入荷!           TVで話題の.|  | |   78円!           ダイエット食品 |/ [283]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:11:07 ID:4izmC81e >>282 そのお礼はいろいろと危険だw またスレが侵食されかねんww [284]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 23:11:28 ID:d6VTEp0W >>279 GJ! やっぱ士郎さんはバカo……もとい親バカが良く似合う。 えーあー、空気読めなくてすみませんでした。 ちょっと頭冷やしてきます。 ご迷惑おかけして申し訳ありません。 [285]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:11:34 ID:rdRCHHvz ホントに救世主が来ちまったwwwwwwwwww とんでもねえアンタ神様だよwwwwwwwGJ [286]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:12:14 ID:wwRFMJNa >>279 キシャー(性的に興奮した) [287]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:12:27 ID:uZYvgPeN >279 乙。次はフェイトと見合い? [288]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/20(水) 23:14:37 ID:d6VTEp0W ( ゚Д゚)。oO(納豆はそんな損切りしなきゃいけないような品物でもなかったんだけどな……) ( ゚Д゚)。oO(あの時はむしろコンビニは普段の販売量“すら”確保できなくて弱ったぜ。普段発注2セット単位だからな) ( ゚д゚ ) <はっ、すみませんもういなくなります。ではまた次回。 [289]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:16:56 ID:ilTCwHuT >>288 ここで取引先から納豆セットをもらった俺が通りますよ。 とても食いきれません…。 貴方のSS楽しみにしています。 [290]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:17:11 ID:c19W7vmU いちいち顔文字使うやつって痛い。 [291]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:17:16 ID:wZdKQw3w >>281 乙! 乙にございまするっ!! >>275 >>1にも書いてあるが、小まめにリロードして確認を怠らないよう気をつけてな [292]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:17:50 ID:yLQR4xXW とりあえず一言だけ言わせてくれ。 クワットロじゃない。 クアットロなんだ。 [293]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:20:05 ID:rdRCHHvz 納豆プレイ納豆プレイ納豆プレイ・・・ ・・・?俺なんか呟いてた? [294]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:20:53 ID:wwRFMJNa >>288 おお。次回も楽しみにしているです。 [295]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:22:22 ID:lg+n+8AS >>292 クワ(ッ)トロ=某彗星の人 クアットロ=我らがメガ姉 ってか [296]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:22:32 ID:pNxzq1G3 >>288 おう、あれは捏造が発覚したあとのAAだから。 あの時は冷蔵庫が納豆で埋め尽くされ(ry [297]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:23:35 ID:hExQ6ZYo いや納豆はもういい、頼む [298]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:24:35 ID:XITGBGJs >>279 GJ!ユーノ、そんな理由で強くなってたんだw テラワロスw [299]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:25:07 ID:TSudZtXb >>293 「んはぁ!らめぇ!なっとうなのはくちゅくちゅらめなのぉ!いと引いてるのぉ! らめ、そんなにかき回しちゃにおっちゃう、そんなくちゅくちゅかき回したらにおっちゃうよぉぉぉぉ! え?なのはだめ、それいれちゃ、ぴりぴりするぴりぴりするのからしらめぇぇぇぇぇ! なのはの二本の棒(※お箸)が私の(納豆)をぐちゅぐちゅにかき回してる、かき回してる!!!」 「なのはママー。フェイトママがまた壊れてるよ?何かぶつぶつ言ってるー。」 「いつものことだから気にしなくていいよヴィヴィオ。」 こうですか、わかりません! [300]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:25:35 ID:SMzEvCmE >>295 ああ、あの正体バレバレのサングラスの人か。たしかに四番目。 [301]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:33:05 ID:fCgvgPBI >>279 GJ。さすがですねw流れが変わったw とりあえず、一つの仮説に至った、おバカフェイトさんは実は重度のツンデレ ではないかと言う事だ。なぜなら、毎回毎回アタック(物理的な意味で)しにいっているのに ある種の絡めてを使わず常に自己での実力行使のみというばれたら即自滅という危険な手段 しかとっていいないからだ、つまり、なのはは渡さないというのは建前で実は自分を構って くれない淫獣を(ry  以上、超絶妄想でした [302]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:35:26 ID:NBmfA1Tv >>301 当該スレでやってくれ そうすればよりハッピーになれるだろう [303]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:37:28 ID:Mn/4xmf+ >>302 過剰反応にも程ってもんが(ry [304]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:37:45 ID:A766OCYT >>301 なぜか非常に納得できてしまうw [305]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:38:56 ID:TSudZtXb >>301 あなたをころしてわたしも〜!だとヤンデレになるな! [306]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:52:45 ID:B+/IbUk1 とりあえず>>241は頭冷やされてくるべきだと思う。 主に後半2行的な意味で。 [307]名無しさん@ピンキー 2008/02/20(水) 23:54:32 ID:rdRCHHvz オーリス? さっき部隊長が自分の部屋に招いた後、結界はってましたが・・・ ・・・そろそろ、三時間ほどになるね・・・ [308]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:00:42 ID:Ae3UE/m4 そういえばオーリスのエロって皆無だよね? なんか良いアイディアってある? 個人的には貴重な桑谷夏子成分(主に性的な意味で)かつ秘書属性だからなんか書きたいと思ってるんだけど。 [309]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:03:56 ID:B+/IbUk1 やっぱ基本は近親相姦? [310]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:06:09 ID:4izmC81e >>308 輪姦? 基本純愛系の方が好きなんだがどうもそういうイメージがわかない。 [311]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:06:59 ID:YJQkN6cc オーリス純愛だと相手がいないからな [312]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:08:30 ID:uEzEcpO7 ・意外にショタ ・奇跡的に生きを吹き返したダンナの看病を成り行き上やっているうちに次第にダンナに心惹かれて… ・部隊長がちょっとつまみ喰いをry [313]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:10:21 ID:Fl7VyHtI ゲンヤやユーノといった外堀から埋めようと、一生懸命誘惑するも失敗、とかw しかし、簡単に煽られてるSS作者ってのは正直見たくなかったかも。 [314]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:10:59 ID:K5jQ9nJc なるほど、ダンナかあ ・ ・ ・ ・ 悪くないね [315]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:12:17 ID:Nv1eg2aR オーリス×ギンガとかどうだ [316]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:12:26 ID:0v++4Me/ >>308 管理局の上層部に対して体を使って父親の理想の実現を目指すオーリスとか・・・ 父の死後、真っ白になってしまったオーリスの心のスキマを査察されてしまい クラナガンの片隅でひっそりと喫茶店を開いて隠遁生活を行うオーリスとか・・・ [317]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:12:37 ID:jB/cTt0t そういえばゼスト主体のも少ないから丁度良いかもしれない(アギトやチンクの絡む蝶素晴らしいエロSSがあったけど)。 ゼストも貴重な筋肉成分なのに使われてないのは惜しいから使ってみるのも悪くないっすね。 [318]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:13:17 ID:pyqo8gOa 陵辱モノ投下まであと二週間くらい待ってくれ こうやって宣言しとかないと「ま、いっか」とサボってしまうおw [319]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:16:07 ID:jB/cTt0t >>318 嗚呼、久しく忘れていた陵辱の香りに胸がときめく。 期待してお待ちしております。 [320]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:16:24 ID:GzMceogq 査察しにきたのにシャマルかはやてかマリーさんあたりに食われるオーリスなら見てみたいが百合スレだな [321]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:22:58 ID:uEzEcpO7 百合との棲み分けに関する明確な基準ないからいいんジャマイカ? [322]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:23:01 ID:IVHSGIwh >>318 陵辱物の投下を待っております。 [323]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:26:40 ID:NgyJUJii 夏神楽とか、鬼神楽とかのクロスってこっちでやっていいかな? [324]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:36:26 ID:jB/cTt0t なんの元ネタか知りませんが、原則クロス作品はクロススレでは? 18禁内容ならクロススレの避難所でなら投下できますよ。 [325]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:39:25 ID:Nv1eg2aR ・・・OSGSか? [326]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:44:30 ID:IVHSGIwh >>323 触手スレなら投下しても大丈夫じゃね? [327]B・A 2008/02/21(木) 00:51:25 ID:yQrIij7K 今日はいつになく絶好調だ。まさか僅か半日で次話が完成するなんて。 よろしければ投下しますが、自重した方が良いですか? [328]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:53:39 ID:NsS528Ub バッチコーイ! [329]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 00:54:04 ID:FHF83f1W カモーン! [330]B・A 2008/02/21(木) 01:00:34 ID:yQrIij7K では、投下いきまーす。 注意事項 ・20歳verエリオ×ルーテシア ・非エロ ・「Ritter von Lutecia」要読 ・前作から10年後、故に捏造のオンパレード ・おっきなエリオキュン、ルー子、ヴィヴィオが見たくない人にはお勧めできません ・不治の病にかかったフェイトさんなんて見たくないという人にもお勧めできません ・帰ってきた燃えエリオの回 [331]Nach dem eines Speerritters 第7話@ 2008/02/21(木) 01:04:49 ID:yQrIij7K プロジェクト「F.A.T.E」とは、使い魔を超える人造生命の作成と死者蘇生の研究である。 エリオも、彼の義母であるフェイトもその実験体であり、オリジナルの遺伝情報から造られた ミスコピーでしかない。彼らにとってそれは覆しようのない事実であり、同時に己を縛り付ける 呪いであった。どのように折り合いをつけようと、影のようにつきまとうその呪いを払うことはできない。 そして、時に呪いは明確な形を持ってその身を蝕んでくる。 「元気そうだね・・・・仕事の方は順調?」 「はい・・・おかげさまで」 3ヶ月前と比較して確実にフェイトは痩せていた。頬はこけており、元から白かった肌は今では青白く、幽霊のようだ。 鼻には呼吸のためのチューブが繋がれており、全身の至る所が用途もわからない機械とコードで結ばれている姿は見ていて痛ましい。 きっかけは、体の不調だった。3年前、フェイトは職場で突然倒れた。すぐに病院へ運ばれたが、倒れた原因はわからず、 その後も何度も気を失うことがあったらしい。そこで精密検査を受けたところ、彼女の遺伝子に重大な欠陥があることが判明したのだ。 現代の医療では完治が不可能な遺伝子性疾患。それは、プロジェクト「F.A.T.E」の欠陥を示していた。プロジェクト「F.A.T.E」の申し子は、 生まれながらに自分の体に爆弾を埋め込まれていたのだ。 その事実を知ったフェイトは、自分の体を徹底的に調べるよう、管理局上層部に進言した。自分に障害があるのなら、エリオを初めとする まだいるかもしれないプロジェクト「F.A.T.E」の申し子たちにも同じことが起きるかもしれない。それを防ぎ、また治療方法を確立するために、 自分を実験動物にするようフェイトは願ったのだ。もちろん、周囲の者は反対したが、フェイトは頑なだった。そして、彼女に説き伏せられた 義兄クロノ・ハラオウンが私財を投げ打って建てたのが、この病院である。 「時々ね、キャロがお見舞いに来てくれるんだ。なのはやはやては忙しいからあまり来てくれないけど」 来られないのではない、来ないのだ。 フェイトがこの病院に入院して以来、彼女たちの間には小さな溝ができていた。自分を実験動物と見なし、 軽んじるフェイトを説得できなかったことを気に病んでいるのだ。そのため、2人がここに来ることはほとんどない。 ハラオウンの家の者たちとも関係が疎遠になっているようで、ここ3年で彼女と交流があるのは付き添いとして 住み込んでいるアルフと時々見舞いに来るザフィーラ、エリオの義妹のキャロ・ル・ルシエくらいだ。 あれだけ懐いていたヴィヴィオも、我関せずを決め込んでここには近づこうとしない。 まるで監獄だ。フェイトはこの先もずっとこの病院で実験動物として過ごし、その生涯を閉じる。 その研究結果により、自分は生かされるのだ。 その事実を受け入れられなくて、いつしかエリオは彼女を母と呼べなくなっていた。 [332]Nach dem eines Speerritters 第7話A 2008/02/21(木) 01:07:46 ID:yQrIij7K 「エリオ・・・・どうしたの、黙りこんで?」 「あ、いえ・・・あの、体は・・・大丈夫ですか?」 自分でも馬鹿な質問だとわかっていたが、他に何を言えば良いのかわからなかった。 今のフェイトは生きながらに死んでいる。ゆっくりと死に向かっている彼女に体調を伺うなど、愚の骨頂だ。 「今日は・・・いくつか新しい薬を打ってもらったんだ。まだ市場には出せない試薬なんだけど、 うまく臨床結果が得られたら、それを基に新薬を調合するんだって」 自慢げに話すフェイトではあったが、その顔は非常に辛そうであった。聞いた話では、解剖のために 内蔵もいくつか取り出して人工の物と置き換えているらしい。そんな状態では、ただ会話をしているだけでも かなりの苦痛を強いられるのは当然だ。 「あの・・・・今日は、お話があってきました」 「なに、改まって・・・・・」 「・・・・ルーが、僕の子どもを妊娠したんです」 静かに言って、フェイトの反応を待つ。 彼女は口に手をあてて、驚いたように目を見開いていた。だが、すぐに言葉の意味を理解し、儚げに微笑んだ。 「そっか・・・・おめでとう。これで、エリオもお父さんだね。それで、肝心の奥さんはどうしたの?」 「いえ・・・・今日は僕1人です。プロポーズもまだですし、先にすることもありますから」 そう言って、エリオは懐から1枚の書類を取り出した。ここに来る前に役場で貰ってきたものだ。 受け取ったフェイトは内容に目を通し、眉をひそめる。 「エリオ、これ・・・・・」 「養子縁組の・・・申請書類です」 「どうして、こんなの・・・・・」 「僕を・・・・テスタロッサ・ハラオウンの息子にしてくれませんか」 フェイトはエリオの身元引受人ではあるが、養子縁組は行っていない。戸籍上、エリオはまだモンディアルの嫡男ということになっている。 [333]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:09:51 ID:7OwWBZr5 支援・・・なんて悲しいんだ。 [334]Nach dem eines Speerritters 第7話B 2008/02/21(木) 01:12:48 ID:yQrIij7K 「今更・・・・今更だよ。それは同情? こんな、ただ生きているのか死んでいるのかもわからない 私に同情して・・・・・だから、そんなこと言うの?」 フェイトの言葉は、予想通りのものだった。 エリオはフェイトに引き取られてすぐ、彼女から養子にならないかと誘いを受けている。 しかし、初恋の女性が母になるという恐怖と、僅かに抱いていたモンディアル家に帰りたい という気持ちがそれを拒んだ。その話を今更蒸し返しているのだから、彼女からすれば 裏切られたにも等しい行為だ。 フェイトは良く言えば責任感が強い女性だが、悪く言えば自虐的だ。何かあると、 すぐに自分のせいにして深く悩み、落ち込み、苦しむ。自分の死期を悟った今の彼女は、 それが非常に強く出ていた。 「お願いです・・・・もう一度、あなたのことを母さんと呼ばせてください」 「止めて・・・どうせ、家族ごっこなんだから。もうすぐ死ぬんだから・・・・そんな風に言うのは止めて・・・・」 エリオの言葉をフェイトは拒む。だが、それはエリオに向けられたものではなかった。 突き放すような言葉は、フェイト自身に向けられた言葉だ。本当は誰よりも孤独が怖い癖に、 自分が死んだら子どもたちが悲しむからと納得させて、自分を牢獄へ閉じ込めておくための言い訳だ。 わざと嫌われるための方便だ。 [335]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:13:01 ID:lw2asB2w こんなに早く来るなんて支援 [336]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:15:18 ID:INuTCut9 支援 [337]Nach dem eines Speerritters 第7話C 2008/02/21(木) 01:15:40 ID:yQrIij7K 「10年前、あなたは僕に言いました。どんな結果であろうと受け入れて、 認めて、苦しんででも前に進むと。それは嘘だったんですか」 静かに怒りを込め、頑なに閉ざされたフェイトの心の壁を突き崩す。 「今のあなたは逃げているだけだ。僕や他にもいるかもしれないF計画の子どもたちのための礎となる。 その思いは立派です。でもそれじゃ、あなたの幸せはどこにあるんですか? この真っ白な部屋で一日を過ごす、 それに何の意味があるんですか? そんなもの、逃げているだけです。人間は生きなきゃいけないんです。 何があろうと、まっすぐに、前だけを見つめて」 誰かのために自分を犠牲にしてはならない。それは、10年前にエリオが彼女から学んだことだ。 例え、行く先にどれほどの苦難が待ち構えていようと、人は歩き続けなければならないのだ。自分も彼女も例外ではない。 「それじゃ・・・・それじゃエリオはどうなるの? 死ぬかもしれないんだよ。私みたいに、突然倒れるかもしれない。 前触れもなく心臓が止まるかもしれない。ううん、もっと苦しい目にあって、ゆっくりと死んでいくかもしれない」 「それが結果なら・・・・僕は受け入れます。生きることを諦めるんじゃない。その日が来るまで、精一杯生きるだけです」 どうせ死ぬなら、最後の最後まで足掻こう。後悔しながら無為に生き続けるよりも、限られた時間を必死で生き足掻く道を自分は選ぶ。 「だから・・・・・生きてください。生きて、僕とルーの子を抱いてくれませんか」 [338]Nach dem eines Speerritters 第7話D 2008/02/21(木) 01:17:43 ID:yQrIij7K 不意に光が目に入った。それは、フェイトが流した涙に反射した日の光であった。 「良いの・・・・こんな私が・・・・お母さんで良いの?」 「僕は、あなた以上に誇れる母親を知らない」 「こんな体じゃ、赤ちゃんのお世話もできないよ・・・・・結婚も出産もしたことないから、ルーテシアの力にもなってあげられない・・・・」 「一緒に勉強します」 「後・・・・・1年しか生きられなくても?」 「それでも、僕はフェイト・T・ハラオウンの息子として、ルーにプロポーズしたい」 どんな結果も受け入れる。苦しむことも迷うことも覚悟の上だ。その上で、押し潰されそうな責任も全て背負ってやる。 ルーテシアのことも、生まれてくる赤ん坊のことも、死にゆく母親のことも、やがて訪れるであろう自分自身の運命も。 いつだったか、ヴィヴィオが高町なのはの娘と呼ばれることを嫌がった際、自分は言った。自分はそういう呼ばれ方は嫌いではないと。 あれは少しだけ間違いだ。本当は、そう呼ばれたかったのだ。自分は、フェイト・T・ハラオウンの息子だと、胸を張って言いたかったのだ。 「1つだけ・・・・約束して」 「はい」 枯れ木のような手がエリオの頬に触れる。柔らかかったその肌は、今やカサカサで干からびていた。手の温度もかなり低い。 それでも、エリオは自分の胸が温かくなっていることを実感した。こんな風に、彼女に触れられるのが好きだった。 「必ず・・・・ルーテシアを幸せにしてあげてね」 頬に触れた手をそっと握る。伝わる体温の温かさに、フェイトの顔が僅かに虚脱した。 「約束します・・・・必ず」 力強く、はっきりと告げる。 これで、迷いは全て断ち切れた。 [339]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:18:15 ID:7OwWBZr5 支援・・・フェイトの選んだ道も間違いじゃないけど、今回はエリオに加勢したくなる。 [340]Nach dem eines Speerritters 第7話E 2008/02/21(木) 01:20:21 ID:yQrIij7K 不意に、ストラーダから電子音が響いた。通信がかかった時に鳴る音だ。 携帯電話と違って電波を飛ばさないため、魔法を使った通信は病院内でも自由にできる。 「僕だ」 『ふ、副隊長・・・・私です』 ライトニング分隊の部下だ。音声のみなので状況まではわからないが、かなり声が切迫している。 背景では、何かが壊れる音や叫び声が聞こえた。 「何があった、緊急事態かい?」 『はい・・・我々ライトニング分隊は、ロストロギアの密輸グループを摘発するために陸士隊と協力して 港湾区の取引現場に奇襲をかけたのですが、敵の中にかなり腕の立つ魔導師がいまして、そいつがロストロギアを 起動させてしまったのです。分隊長とガリューが戦っていますが状況は極めて不利、至急応援を・・・・・・』 「スターズは? ヴィヴィオはどうした?」 『スクライア隊長は会議のために本局へ出向いております。その他のメンバーも、別の事件で出払っておりまして』 戦力を分散させたのが裏目に出てしまった。それもこれも、全部自分がうじうじと詮無いことを悩んでいたからだ。 「わかった、すぐに行く」 『お願いします。我々も、死ぬ気で分隊長を守り抜きます!』 「頼む。けど、一つ言わせてくれ」 病床のフェイトを気遣って、できるだけ小さな声で。だが、はっきりと聞こえるように告げる。 「死んでは駄目だ、必ず生き残れ。これは命令だ」 『・・・・はい!』 気合のこもった部下の声とともに、通信が切れる。 「行くの?」 「はい・・・・ルーを守らないと」 「きっとまた、無茶するんだね」 「それしか取り柄がないですから。けど、大丈夫です」 一礼し、エリオは病室を出ようとする。その背中に、フェイトは言った。 「いってらっしゃい、エリオ」 ほとんど聞き取ることもできないような小さな声だったが、返事はしっかりと返ってきた。 「いってきます、母さん」 勢いよく扉が閉められ、廊下を走って行く音が遠ざかる。どこか誇らしげにその音を聞きながら、 フェイトは震える手で抽斗を探り、ボールペンを取り出す。そして、机の上に置かれたままの書類に書き込みを始めた。 [341]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:20:58 ID:INuTCut9 支援。 すごく好きです、この話。 [342]Nach dem eines Speerritters 第7話F 2008/02/21(木) 01:24:22 ID:yQrIij7K 病院を飛び出し、念話でザフィーラを呼ぶ。ここから港湾区までかなり距離があるため、転送魔法で送ってもらわねば間に合わない。 『ザフィーラ、今どこにいる!?』 『・・・湖の・・・近くの・・・一本杉・・・・すまん、少し待て・・・・・・ ・・・・・・すまないな、アルフがじゃれついてくるので念話に集中できなかった』 『ひょっとして、お楽しみだった?』 『・・・・・用があって呼び出したのではなかったか?』 図星らしい。 『ごめんごめん。とにかく、すぐに行くから転送の準備を。港まで送って欲しい』 『心得た』 とてもさっきまで行為に及んでいたとは思えぬ渋い声でザフィーラは頷いた。 念話を終えると、エリオは右手首の相棒に話しかける。 「ストラーダ」 『・・・・・・・・・・・』 「ストラーダ、応えろとは言わない。けど、ルーが危ないんだ。だから、力を貸してくれ」 『Set up』 起動音とともに蒼い槍が顕現し、エリオの体にバリアジャケットが装着される。 エリオは指示していない、ストラーダが勝手にやったことだ。 『覚悟は決まったみたいだな?』 いつも通りのふてぶてしさで、ストラーダは言った。3日ぶりに聞く相棒の声だった。 「ストラーダ・・・・」 『“兄弟”の覚悟が決まったのなら、私のするべきことは1つ。君が進む道を切り開くことだ』 「ありがとう・・・・・ストラーダ、僕に力を・・・大切な人のもとへ駆けつける速さを!」 『Jawohl Mein Bruder』 加速魔法が発動し、エリオは閃光と化す。 愛する人を守るために、エリオは静寂に包まれた緑の世界を駆け抜けた。                                      to be continued [343]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:24:23 ID:7OwWBZr5 支援 [344]B・A 2008/02/21(木) 01:26:52 ID:yQrIij7K 以上です。 B・A版エリオの本領発揮。フェイトとエリオが10年前とは逆の立ち位置なのは書き上げてから気づいたことだったりなかったり。 元々は前話とセットで思いついたネタをキリが良いところで2つに分けたので、書きあがるのも早かった。 さて、これで鬱な雰囲気とはおさらばで、次回からやりたい放題ができる。張った伏線はちゃんと回収しないと。 そして、支援ありがとうございます。まさか、こんなにしてもらえるとは思わなかった。 [345]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:29:13 ID:68w6sEFH GJ! 続きを全裸待機してますよ。 [346]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:32:23 ID:jB/cTt0t 感極まりまくりでございます、是非ともこのGJを受け取ってくださいませ。 っていうかフェイト! 君って人はどこまで自己犠牲すれば気が済むんだ!! もう南斗聖拳の殉聖の人にも勝るぜ!!! そして10年の時を経て再び家族になる決意をしたエリオは今度こそルーENDに向かうか、こりゃ応援せずにはいられない。 そして未だに流産ENDが来そうで怯えてる俺がいるのは内緒の話。 [347]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:34:43 ID:INuTCut9 >>344 GJです! ルーの危機に駆けつけるエリオが まるでA'S1話のフェイトさんみたいです。 続きを楽しみにしています。 [348]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:35:31 ID:7OwWBZr5 GJ!!です。 なんか言葉では言い表せません。そのくらい、いい話でした。 [349]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 01:42:39 ID:lw2asB2w GJ!! やっぱり暗い展開から一気に光へと駆け出していく主人公はすごくいい 今まで鬱展開にひたっていた分、次の展開が滅茶苦茶楽しみだわ [350]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 02:49:07 ID:me7TcRTF >>344 GJ!! フェイトさん・・・あんたって人は・・・ どうしてはやてさんといい彼女といい、自分をどれほど犠牲にして、傷ついても他人を助けようとするのか その理由は深く大切な人達のことを愛してるんじゃないかって強く思った そしてようやくルーと自分たちの大切な子供とともに歩む決意をしたエリオ。 もう彼も迷うことはないんじゃないかと思う 続きが見たすぎます! [351]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 04:34:56 ID:BnitaoKL >>344 このフェイト見ると某螺旋の火澄思い出す…… [352]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 07:32:45 ID:F6f8xukz >>344 GJです。もう大丈夫みたいですねエリオ。 あとは走っていくだけだ。B・A氏も頑張ってください。 [353]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 08:04:19 ID:DJtQbg/g >>344 GJ。この話各キャラの人間としての葛藤とかが出ていてすごいいいです。次回が楽しみです。 [354]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 08:38:17 ID:xcppra4w すごく…フェイトらしいです。 最初はクローンのお約束で 老化の進行かと思いましたwww 青き清浄なr [355]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 14:55:29 ID:hBXIUdXp   [356]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 15:44:27 ID:wbUylYzg ああもう、フェイト派をヤン死させようとしているとしか思えない。 フェイトさんが不幸になる話なんて納豆風呂に入るより苦痛なのに スルーさえままならないその筆力。恨むよ、この心地よい胸の痛み…。 [357]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 16:09:33 ID:ZxC2+wnA 納豆風呂でパタリロを思い出した。 そして、そこからさらに、何故か 「フェイト・T・ハラオウン少佐。股の名を美少女殺し」とかそんなネタにつながった。 何故かパタリロが淫獣で、マライヒがなのはで、ヴィヴィオがフィガロとかそんな電波。 そして部長役がはやてという、限りなくネタな役をやらされるというオチ [358]246 2008/02/21(木) 16:10:37 ID:+F70ixPf BE:644843737-2BP(0) 職人さんがいない間に投下です。バレンタインは百合板で修行に行ってました。 今作最後の鬱展開。けど物理的に苛めるのは好きじゃないのでそれほどじゃないかも。 注意 ・鬱展開あり ・熱くない戦闘が殆どです ・血とかいっぱいでます ・ピンチで誰かが駆けつけるって王道だと思うんだ では。 [359]君に届けたいただ一つの想い 2008/02/21(木) 16:11:20 ID:+F70ixPf BE:736963946-2BP(0)  雨が降っている。雷鳴を伴った激しい雨だ。  第97管理外世界「地球」――――最近ミッドチルダで日常となってしまった雨の風景は、ここ地球にある海 鳴市でも同じことだった。  整備された町並みが雨に沈んでいく。雨を凌ぐはずの防水機構も効果は無く、ただ泥混じりの雨水を吐き出 すだけ。  その中を歩く者は皆無。こんな雨なのだから当然だろう。故に道を行くのは家路を急ぐ車だけ。  そして彼女達も、その風景の一部だった。 「もぅ、なんなのかしら……全然雨止まないじゃない」 「そうだねぇ……ほんと、どうしたのかな」  異常気象。観測史上最大の豪雨。そんなニュースで聞いた台詞を思い出しながら、赤信号で止まった車を睨 み、アリサがため息を吐く。それっは隣でハンドルを握るすずかも同様だ。  大学の帰り。いつもどおりすずかの家でお茶でもして雨を凌ごうとしていた帰りの事である。  気性の荒い誰かのクラクションの音に顔をしかめつつ、アリサがまだかまだかと膝を揺らしているが、信号 機は未だに赤を点したままだ。  一向に止まない雨。そして信号の赤。なり響いているクラクション。とても些細なことだ。だが積み重なれ ば途端苛立ちの要素に加えられるもの。  それもこれもこの苛立ちの原因。発端である高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの所為であ ることは言うまでもない。 「そういえばさ、はやてがなのは達が見つかったって言ってたわね」 「そうだね……連絡無いけどどうしちゃったのかな……?」 「私が知るわけないでしょ。聞かないでよ」 「……ごめん」  重たい空気はなのは達の事を知らされてからのものだ。アリサは苛立ちを隠さなくなり、すずかは良く俯く ようになった。  それだけじゃない。本当に、色々と大きく変わってしまっていた。  桃子がベッドに伏せ、翠屋は休店となった。明るかった家族の風景はどこを探しても見つからず、空元気が 痛々しい。  たまに会うエイミィは高町家に比べれば元気そうだったが、アルフが部屋に閉じこもったまま。聞けばフェ イトからの魔力供給が経たれ、満足に動くことすら出来ないらしい。 「あ、青だ」  すずかの呟きに思考を中断し前を見れば、前方の車が続々と発進し始めていた。それに倣い二人を乗せた車が 加速を始めるが、その速度は酷く緩慢なものだ。  とろとろと前方を走る車が、次々に後続車に抜かれていく。このままでは信号がまた変わってしまう。そう すずかを急かそうとして、それを見た。  嘘、と小さく呟かれたのは二人の意思。どちらが呟いたにせよ、二人共が同じ心境だったのだから、それは 二人同時の呟きだ。  信号が赤になったことにより、前方の車が急停止をする。だがそれに構わずアリサは車から飛び出し、道路 を挟んだ向こう側の彼女に叫んでいた。 「あんたっ、こんなところで何やってるのよっ!?」 「ぁ……久しぶり」  それが耳慣れた声だったからだろう。彼女は傘も差さず、ずぶぬれになりながらアリサを見つめ、小さく微 笑んでいた。それにアリサが唇を噛んだのは至極当然の事。  この雨の中、傘も差さずに歩いていたというのか。  連絡を取ろうとしても取れなくて。会いたいと思っていても会えなくて。なのに、こんな急に姿を表してし まうのか。  あんたは、母親が倒れたことを知っているのか。娘がずっと部屋に閉じこもっていることを知っているのか。  抑えようもない感情が次々と湧き、今まで溜めに溜めた鬱憤が握った拳を震わせている。  もう我慢なんて出来るはずも無く、すずかの方を見れば笑顔で頷いてくれていた。 「この――――」 [360]君に届けたいただ一つの想い 2008/02/21(木) 16:12:04 ID:+F70ixPf BE:368482234-2BP(0)  だから走った。歩行者用の信号が赤に変わるが構わない。感情のままアリサが道路を渡りきり、ずぶぬれの 彼女を抱きしめ涙を流した。 「――――馬鹿! 馬鹿っ……あんたっ、今まで何やってたのよっ!」  久しぶりに感じたぬくもりは、雨に濡れ消えそうで。  抱きしめた身体は、少し力をいれれば折れそうなほど細くなり、自分の名を呟く声は枯れていた。  そして輝いていた笑顔は、今の彼女からは見つからない。 「なのは……本当にどうしちゃったのよ……」  アリサの呟きだけが空しく虚空に消えていた。 魔法少女リリカルなのはStrikerS ―君に届けたいただ一つの想い― (12)  別に責任を感じていないわけじゃない。ただ、その事で落ち込んだり嘆いたりする暇があるならば全力で彼 女達を止めようと思っただけ。頭を下げるのはその後だと決めていた。 「ひとりめ」  視線の先、スバルが半狂乱で泣き叫んでいる。あれ程までに溌剌としていた笑顔は消えうせ、今はすぐ隣に ある死の恐怖に逃げようとするだけだ。  ティアナの視界、エリオがスバルを助けようと駆けていた。だが無駄だろう。ストラーダの突進をかわされ 開いた距離は短くない。その距離ではいくらエリオでも間に合わない。キャロは動けず、目の前で命の失くそ うとしているスバルとそれを実行しようとしているフェイトに呆然とするだけ。  そして臆病な自分が、足を震わせて立っているだけだった。  だが思う。この事件の始まり。なのはが事件を起こしたきっかけ。フェイトがなのはを避け始めた原因だ。 言うまでもその責は自分にある。故にこの事態を作ったのは自分の所為。スバルが泣いているのも自分の所為。  ――――それに気付いてしまったから、もう立ち止まっていることは出来なかった。 「スバル……!」  ここから撃てばいいだろうとか、もっと安全なやり方があったのではなど考えなかった。今は早くスバルの 元へ行き、泣き止ませたかっただけ。  結果ティアナが行ったのは全力でフェイトに体当たりをする事。スバルの泣き顔を観察していたフェイトは 反応できず、よろけた後したうちと共にティアナにバルディッシュを一閃した。  ティアナを護るようにバルディッシュを受け止めたエリオが、フェイトを全力で押し返し、フェイトに反撃を される前に後退し距離を取って止めていた息を吐き出した。  だが休憩はそれだけだ。バルディッシュはライアットフォームになった以上、自分達では太刀打ちできない。 ここは応援が来るまで出来るだけ時間を稼ぐしかない。  そう、エリオがストラーダを握り締める。手の平から吹き出した汗に不安を感じながらも前進する。 「エリオ下がって。私がやる」  それを制止したのはティアナの声。スバルをエリオに預け、クロスミラージュをフェイトに向けて、キッと 彼女を睨みつけた。  無茶だ、とエリオが叫ぶ暇も無くフェイトがティアナに標的を移した。その瞳に在るのは、最早憎悪と言っ ても差しさわりのない感情だ。  考えることは同じ事。自分の失敗だ。そのきっかけがティアナにあるのなら、なのはが傷つき犯罪を犯した のはティアナにも原因があるのではないだろうか。  考え、止まれる筈も無かった。雄たけびを上げ突進するフェイトを確認し、ティアナが動いた。 [361]君に届けたいただ一つの想い 2008/02/21(木) 16:12:49 ID:+F70ixPf BE:736963564-2BP(0) 「いい? 出来るだけ遠くに行きなさい。ロングアーチに応援頼んで、後はスバルの事見てること! 分かっ たら行きなさい!」 「で、でも! ティアナさん一人でなんか――――」 「心配しないで。時間を稼ぐだけよ」  それは自ら死に向かう愚かな事だ。目の前の崖に誰よりも早く飛び込もうとしている行為だ。  だが死ぬつもりは毛頭ない。今フェイトの周りを囲む数十の幻影はその為にあるものだ。自分は応援が来る まで時間を稼ぐだけでいい。それまで持つかは疑問だが、何もしないよりマシだろう。  だが、それを彼女が許すはずもない。  もうヴィータがなのはの所にいる。今もなのはが傷ついている。自分の所為で、なのはが一人で不安になっ ている。  その強迫観念じみた妄想が、絶えずフェイトの胸を締め付ける。その痛みが彼女を止めさせない。考える事を させてはくれない。  早く敵を倒してなのはの元へ。その一心が、フェイトの持つ二刀を振るわせる。  一体。また一体。フェイトの兇刃が振るわれるたび、ティアナの姿をした幻影が消えていく。その度ティア ナは幻影を作り上げ、決してフェイトの前に姿を現さぬよう隠れていた。 「はぁっ、はぁっ……あ、あの子達はもう行ったのね……」  耳を澄ませばフリードリヒが翼を動かす音が遠ざかっていた。せめてフェイトから距離を取り、安全に応援を 呼んでくれるだけでいい。それ以上の事など、気にする余裕は既にティアナにありはしない。  故に安堵の息を吐いたのは一瞬。直後表情を引き締めたティアナが、縋るようにクロスミラージュを掴む手に 力を込めていた。  遂にこれで、この場にはフェイトと自分しかいなくなった。 「っ……」  だからなのだろう。先ほどから吐き気が治まらない。今すぐ吐いてしまいたい衝動が止まらない。それに比 例するように心臓が早鐘を打ち、指先が震えていた。  一体、自分ひとりでどれくらいの時間フェイトを止められるというのだろう。今は冷静さを失っているよう だが、一度冷静になればすぐにでもエリオを追おうとするだろう。そうなったら自分に止める術はない。  圧倒的な絶望が、一瞬ではなくじわじわと首を絞めている。  JS事件で感じた恐怖よりもなお酷い。その恐怖から逃れるように頭を振るが、振り払われた気はしない。 むしろ時間が経つにつれ震えが強くなっていく。  頭の回転だけで適う相手じゃない。頭の回転も経験も、それに裏打ちされた実力も相手は別次元の存在だ。  故に幻術を行使しして耐え、逃げるだけ。それしかないと考えて、フェイトの様子を伺うため物陰から顔を 出してそれを見た。 「な、なによ……あれ……」  まるで、雷雲がフェイトを中心に集まっているかのような錯覚があった。彼女が周囲に垂れ流す魔力。その 総量は、ティアナが喉から手が出るほど欲しかったもの。 震え、見入ってしまい彼女は動けない。天から降り注いだ雷が次々とティアナの幻影を飲み込み、消滅させ ていく。残るのは帯電した大地とそれが抉られた傷跡だ。  気付けば、周りには自分しかいなかった。 「見つけた。こんなところにいたんだ」 「――――っ!?」 [362]君に届けたいただ一つの想い 2008/02/21(木) 16:13:32 ID:+F70ixPf BE:1473927168-2BP(0)  その冷え切った声に我に返った。立ち上がり、フェイトの攻撃にいつでも対応できるよう、避けられるよう 深く腰を落とした。  けれど今だ震える唇が恨めしい。一瞬感じた羨望が今もこびり付いてはなれない。  それを強引に飲み込んで、振り下ろされたバルディッシュを受けとめた。挨拶代わりのような一撃だ。フェ イトがさほど力を込めていなかったのは、ティアナがダガーモードになったクロスミラージュで受け止められた ことからも伺える。  だが、クロスミラージュに亀裂が入るのに十分過ぎる一撃だった。悲鳴を上げる暇も無く、クロスミラー ジュごとティアナの身体が袈裟に斬られ、なす術もなく地面に転がった。  激痛に苦しむ暇など与えられない。痛みに荒くなった息を吐き出しながら、ティアナが立ち上がりフェイト から距離を取る。  クロスレンジで勝てる相手じゃない。ここは射撃と砲撃魔法で凌ぎ、幻術を使う隙を作ることが先決だ。元 々自分は幻術とそれしか出来ない人間だから。  そう自分を奮起して、ふと思った。  フェイト・テスタロッサ・ハラオウンに、ティアナ・ランスターは射撃と砲撃で太刀打ちできるのか。彼女を やり過ごすことが出来るのか。  一度感じてしまったものは拭えない。恐怖も絶望も羨望も。元々彼女自身、非凡な自分を疎ましく思ってい た時期があるのだからなお更に。 「はは……何よ、打つ手なしじゃない」  無理だ。無理に決まっている。射撃や砲撃でフェイトを出し抜けるのは彼女の知る限り一人だけ。そして自 分は彼女の足元にも及ばない。  耳に届くフェイトの足音、それが少しずつ近づいていた。だがそれに逃げることすら出来ず、ティアナは腰を 抜かしたままだ。  カチカチと歯が不快な音を鳴らしている。視界が揺れ、それで涙を流していることが理解できた。  ゆっくりとフェイトを見上げれば、先ほどと同じようにバルディッシュを上段に振り上げ、無表情にティア ナを見つめている。  頭の中では耳障りな警告音。それがただ一つ、動かなければ殺されると告げていた。 「こ、来ないで……ください……」  その警告音があったからなのか、震えた声が拒絶を紡ぎ、震えた腕がデバイスを持ち上げた。だが、その震 えた手ではまともな照準などつけられない。それを証明するが如く、銃口から飛び出した魔力弾はフェイトの 頬を掠めるだけ。  それに僅かにフェイトが首を傾げる。  彼女はこの距離ですらまともに狙いがつけられないのか。目の前の彼女は、これ程までにか弱い存在だった だろうか。あの常に頑張る姿はどこに消えたのか。  なのはと比べればどうでもいい些細な事だ。けれど何故か無視できないこと。 「どうしたの? もっとちゃんと狙わないと死んじゃうよ?」 「――――っ! 嫌っ!」  フェイトの冷え切った手がティアナの手を掴み、そのまま銃口を額に向けさせた。だがティアナは拒絶の言 葉と共にそれを振り払い震えるだけ。  抵抗なんて出来るはずがない。幻術は力任せに打ち破られ、射撃は彼女が知りもせず打ち砕いている。 「まぁいいや……ふたりめ」  この一年の全てが砕けたような気がした。  培った力も自信も何もかも。  全てが彼女の剣に砕かれた。  結局、凡人が天才に適うはずが無かったのだ。 * * * [363]君に届けたいただ一つの想い 2008/02/21(木) 16:14:17 ID:+F70ixPf BE:245654742-2BP(0) 『今からすぐそっちに行く! 後ちょっとで応援も来るからっ、せやからそれまで何とか持ちこたえるんや!』 「は、はい! 分かりました!」  焦燥したはやての声が響き、それにキャロが涙目で頷いた。その間もキャロはスバルへ回復魔法をかけつづけ、 気絶した彼女の右腕を魔力光で包み込んでいた。痛みが引くだけの簡単な魔法だが、それでもスバルはうっすら と涙の跡を残しながらも落ち着いた呼吸を取り戻していた。  だがそれだけだ。  以前フェイトに踏み潰された右腕の様子は何も変わらない。歪に曲がり、露出した機械部からは千切れたチ ューブをはみ出させ、青白い火花を散らすだけ。  しかしスバルの身体に出来るのはこれだけしかない、とキャロが悔しさに唇を噛み締める。  けれど嘆く暇はない。今頃はやて達が六課を飛び出した頃だろう。後は言われた通り応援を待つだけだ。  そう、やっとの事で安堵の息を吐き出し、ティアナの元へ向かおうとストラーダを握っているエリオに視線を 送った。 「エリオ君……大丈夫?」 「大丈夫だよ。キャロはここでスバルさんを見てて。僕はティアナさんの所に行くから」  見つめるエリオが心配だった。スバルへの回復魔法と平行して彼にブーストをかけ、どれくらいフェイトの 攻撃を凌げる課など、考える必要もないくらい絶望的だ。  そう言おうとして、エリオの笑顔に遮られる。僕がキャロを護るから大丈夫。そう言ってくれた彼の笑顔が 涙で滲んでいた。  その涙を親指で拭い、エリオがキャロに背を向けた。走り出す一歩手前。キャロが掴んでいたエリオのバリ アジャケットから手を離し、頑張ってと呟いて。  うん、と小さく頷いた彼が目を見開いた先、遅すぎた事を知ったのはそのすぐ後だ。 「エリオー! キャロー! どこにいるのー!」  空高く、金髪を揺らしながらフェイトが飛び、左手に掴んだそれを掲げ姿を見せないエリオ達に見せ付けた。  その左手は真っ赤に染まり、滴る血が地上を紅く染めようとしている。  そして、左手が掴む彼女はそれ以上に紅く変わっていた。 「フェイトさん、お顔見たいんだけどなぁ……このままじゃティアナ落としちゃうよー!?」  フェイトに髪を掴まれ、ティアナが風に揺れていた。時折ビクンと痙攣したように跳ねる四肢が、彼女がま だ存命である事を報せてる。  叫んだエリオが飛び出し、ストラーダのバーニアを噴出させた。高速で接近するエリオの姿にフェイトが口を 歪め、彼がこちらへ来るよりもはやくティアナを投げ捨てる。  それを受け止めたのはフリードリヒに乗ったキャロだ。 「てぃ、ティアナ……さん?」  その震えた手が触れた頬は、真っ赤に変わっていた。死なない一歩手前まで痛めつけられたのだろう。その 息は止まる寸前だ。  肩から袈裟に斬られた傷口からは血が流れ、だがもう無くなりかけているのかそれすらも弱弱しい。  ぎゅっと瞑ったキャロの目尻から涙が零れ、ティアナの血だらけの頬に消えていった。 「キャロ、ティアナさんとスバルさんよろしくね。今はキャロだけが頼りだから」  それを見てこの少年は何を思ったのだろう。  必死に回復魔法をかけ続けるキャロの泣き声に、何を感じたのか。 「へぇ、エリオ一人で戦うんだ。凄いね」 「……キャロには指一本触れさせません」  ただそれだけを口にして、エリオがストラーダを構えフェイトを真っ直ぐに見た。  怒りで叫びたいのを堪え、護ると決めた少女を背にし一人で戦うと決めた。  そして今度は、この小さな騎士の番だった。 「止めてください! お願いです、お願いですからぁっ!」 [364]君に届けたいただ一つの想い 2008/02/21(木) 16:15:03 ID:+F70ixPf BE:1504633777-2BP(0)  キャロが泣き叫んでいた。だが止めることなど出来はしない。  彼に頼まれた。自分を信じて頼んでくれたのだ。それを裏切ることなど出来ない。出来るのは、スバルとティ アナの回復をするだけ。  本当は飛び出した。何もかも放り投げてエリオを助けたい。 「キャロ、大丈夫だから……僕はっ、大丈夫だから……」  だがずっと呟く彼の声をそれを許してくれない。いくら頼んでも彼は自分達を護るようにフェイトの前に立 つだけだ。  キャロの懇願を頑なに拒絶する彼の中にあるのはただ一つ、機動六課を家族と言った少女の笑顔だ。今それ が消えようとしている。だから護りたい。  これ以上誰も傷つけさせない。そう決めたから。 「フェイトさん……もう止めましょう? こんなことしたって何も――――」  キャロ達の壁になり、既にエリオの全身は傷だらけだ。土台無理な話なのだ。エリオ一人の力ではフェイト からキャロを護ることなど出来はしない。  血を多く流した為だろう。視界が霞んでいる。聞えるキャロの泣き叫ぶ声が胸を締め付ける。それでも彼は ストラーダを振り回し続けていた。  それを見て、フェイトは唇を噛み締めていた。何故かは分からない。ただ無性に苛立って仕様がない。その 不快感はエリオを正視できないほどだ。 「ねぇエリオ、そこどいてくれないかな? フェイトさん、これ以上エリオを傷つけたくないんだ」 「い、嫌、です……フェイトさんが止めるまで、どきません……」 「そ。じゃあ、しょうがないよね」  トリガーキーが紡がれ、雷の槍がエリオへと向かう。避ける事無くエリオはそれをまともに喰らい、キャロと 悲鳴と共に転がった。  立ち上がろうとするエリオに更に追撃を加え、その頭を踏みつけバルディッシュをつきつけて。  だが彼は諦めない。フェイトから強引に抜け出し、ストラーダを一閃させた。  その軌跡をなぞり、血が飛び散っていく。キャロの顔に飛んだそれはすぐに涙と共に流され、フェイトに傷 つけられるエリオの姿も同様に涙で消えかかっている。  そうやって放ったストラーダの一撃がフェイトを後退させる。単調で、普段の力強さがない一撃だ。だが彼女 を後退させるほどの力を持った一撃。  それが彼女の苛立ちを更に増大させる。まるで、キャロを護るという一点がエリオに力を与えているようで。  違うと心の中で否定して、エリオにバルディッシュを走らせていた。 「ぐぅっ……!」 「ほら、エリオじゃキャロを護るなんて出来ないよ・だから諦めたほうがいいんじゃないかな?」 「う、うるさい……です……少し黙って、ください――――っ!」  斬られたのは左腕だ。激痛が熱を持ち、深く切られた傷口からは血が吹き出していた。それを浴びながらフェ イトは怯まない。無常にエリオの腹を蹴り上げ、胃の中のものをぶちまけさせて。堪らず腹を抱えたエリオの 首を締め上げ、無造作に地面に投げ飛ばす。  それを見て、もう限界だった。 「止めてください!」 「きゃ、キャロッ、駄目だって……!」  蹲るエリオの前に立ち、両手を広げキャロがフェイトを睨みつけて。出会って初めて、大好きだった彼女に 敵意を向けていた。  視界の端、フリードリヒがスバル達を護るように翼を広げていた。  それを見て、涙を拭う。  エリオが止めて、と叫ぶのも聞かず、少女は言葉を紡いでいた。 「フェイトさんは、自分が何してるかちゃんと分かってますか?」 「……なのはを護るって言ってるでしょ。何回も言ってるよ?」 [365]君に届けたいただ一つの想い 2008/02/21(木) 16:17:24 ID:+F70ixPf BE:829083593-2BP(0)  自分を見つめる視線に、以前の暖かさは感じられない。かけてくれる言葉も、拒絶こそあっても愛情なんて 見つからない。きっと、なのはに向ける愛情だけで精一杯なのだろう。  首を締め上げられた手は、触れているだけで震えてしまうほど凍り付いている。  何もかも、初めて会った時とは違うものだった。笑顔もぬくもりも何もかも。  だから思い出して欲しかった。 「これのどこが護ってるって言うんですかっ!?」  思い出して欲しかったから、首を絞められ息苦しさに喘ぎながらも、キャロはフェイトの頬に思いっきり手 の平をぶつけていた。  スバルを傷つけて。  ティアナを傷つけて。  エリオを傷つけて。  もっと他にも色々、誰もが傷ついているというのにだ。  なのに、フェイトはまだ気付いていない。考えもしない。それが涙が止まらないほどに嫌だった。 「……うるさい」  それを聞きながら、フェイトが呟いたのはそれだけだ。  キャロが聞いたのは、エリオの叫び。  エリオが見たのは、フェイトがバルディッシュを振り上げた姿。  泣いている彼女が見たのは少年が少女を護るように抱きしめ、フェイトに背中を向けた姿。  キャロがエリオの名を叫ぶが間に合わない。一瞬の後エリオは切り裂かれ、二度と笑顔を見せてくれる事は ないだろう。  エリオの抱きしめる腕は力強く、自分では振り解くことすら出来はしない。  誰でもいいからエリオを助けて欲しい。この場に駆けつけて、フェイトを止めて欲しい。  そう願って、けれどそんな願いが叶う筈もないと無意識に悟ってしまって。逃げるようにキャロが眼を背け、 何もかもを否定しようとした。  ――――だから。 「遅くなってごめん。でも、もう大丈夫だから」  聞えたその声が幻のようで。  けれど幻ではなく現実のものだと気付けたのは、目の前に彼女がいたからだ。 「ぁ……」  涙で滲む視界の中、紫色の長髪が揺れていた。  それを見て何度も何度も呼ぼうとして、けれども嗚咽が全てを流してしまう。  やっとの事で紡ぎだした声は震え、とても言葉とは思えないもの。 「泣かなくていい。私はここにいる。キャロの声はちゃんと届いてる」  それでも彼女――――ルーテシア・アルピーノは微笑んだ。 * * * [366]君に届けたいただ一つの想い 2008/02/21(木) 16:18:08 ID:+F70ixPf BE:829083593-2BP(0) 「こんなところにいたの……またびしょ濡れになって。いい加減にしないと怒るよ?」  僅かに苛立ちを含んだその声に振り返れば、すずかが傘を差しながらキッと睨んでいる姿があった。なのは はそれに小さく謝り、だがその場を動く事無くぼんやりとした表情でそこを見つめている。  振り続ける雨は相変わらずなのはの身体を濡らし、すずかがやっとの事で着替えさせた服を透かし肌色を覗 かせていた。  だがなのははそれを気に留めない。ただそれしか出来ないように、ここ月村家の庭に立ち、視線を動かしな がら物思いに耽るだけだ。  その視線がどこを見ているかを何となく理解しながらも、すずかが無言のまま。持ってきた傘をなのはが手 にする様子も無く、仕方なくなのはの頭上で用途を全うさせることにした。 「ここ……フェイトちゃんと始めてあったところなんだ」 「知ってるよ。なのはちゃん、ここ来るたび嬉しそうに話してたよね」  どれくらい経った後だったか、なのはがそう呟き懐かしむようにはにかんでいた。  そう、この場所だ。あの立っている木の上で彼女はフェイトを見下ろしていた。本当に敵だったフェイトは 覚えていないようだが、自分だけはしっかりと覚えている。  母の為とジュエルシードを探し回って、記憶の中の笑顔のためと辛い想いをしながらも頑張って。その途中 で自分と出会ったのだ。 「懐かしいなぁ……」  すずかは何も言わなかった。なのはも何も言う事なく、ただフェイトとの思い出に微笑むだけ。  その笑顔だけは何も変わっていない。フェイトが好きだった少女のままだ。  なのにどこで変わってしまったのか。  どこで間違えたのか。  彼女の大切だった想いに亀裂が入ったのはいつだったのか。 「なのはちゃん、私戻るから。傘持ってくれないかな」 「いらない。なんかね、この雨全然寒くないんだ」 「そう。じゃあ、傘ここに置いておくね」  なのはの立つ場所のすぐ近くに傘を置き、すずかがそのまま去っていく。  なのははそれに視線を向けることすらしない。  その目が見つめている先にあるのは一人だけ。  想いの行き先もひとつだけ。 「なのはママ……」  だからその呟きにも振り返ることは無かった。 [367]246 2008/02/21(木) 16:18:58 ID:+F70ixPf BE:2210890098-2BP(0) 以上です。ありがとうございました。 ほんとはエリオ君をもっと痛めつけたかったのですが、本筋と全然関係ないので削除です。 なのはさんが海鳴に出没し、ヴィヴィオがようやく前線復帰。ステエキはシグナムさんと一緒に 病院です。誰も死にません。BADENDになっちゃうじゃないですか。 しかし、フェイトさんは少し頭冷やして自分を見つめなおして欲しいものです。 ではまた次回。 [368]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 16:19:59 ID:ZxC2+wnA 何が一番怖いって、本編フェイトさんも一歩間違えればこんなになりそうなくらいに なのはさんに依存してそうだって事ですよGJ [369]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 16:41:14 ID:iKKIzM8B キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!! GJです!! どんどん壊れていくフェイト…そんなところも素敵だ…/// 今から続きが楽しみでウズウズしてます!! [370]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 16:51:41 ID:xiQDUsk+ ルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!GJ!!! てかヴィータはどこ彷徨ってるんだwwww ちなみにプレシアはその責任感の強さが故に狂い、フェイトもまた 一歩間違えれば同じ道を辿っていただろう、とはリンディの談。 フェイトさんのヤンデレ素質は公式らしいですよ [371]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 17:09:55 ID:ZxC2+wnA 別方向に壊れたフェイトさんネタを投下してみる。 超おばかフェイトさんと淫獣が主役 なのはさんはピュアでちょっとだけおばかかも。 とりあえずキャラのイメージを大事にする人には危険物かも。 [372]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 17:12:19 ID:ZxC2+wnA ・ちょっとだけ納豆分を含んでます。 ユーノ・スクライアはフェイト・T・ハラオウンの天敵である それも、ハブとマングースというよりは猫とネズミのそれに近いのだ。 「ところでさ、淫獣。」 「何さガチレズ。」 とある喫茶店で、一組の男女が向かい合い、互いに気だるげな表情を浮かべている。 見た目どちらも美男美女であり、周りから見ればそれはもしかするとカップルにすら見えるかもしれない。 しかし、そんな外見とは裏腹に、この二人の会話はよく言えば終わっている、悪く言えば最悪のそれだった。 「あんた最近なのはに変なこと教えたでしょ。なのは、信じちゃってるじゃない。」 「何の話かな。心当たりが多すぎて僕にはよくわからないよ。」 いけしゃあしゃあとよくもまぁ・・・・・・、そんな考えは腹の内に飲み込み、改めて問いただすフェイト 「最近冷蔵庫が納豆で一杯なのよ。しかも、お風呂にまで入れるのよ納豆を。」 「ああ、それは知ってるよ。なのはの体を異臭を放つ粘性の液体が汚していくのを見るの興奮するよね。」 どうやら、この男確信犯のようだ。というかまるでその光景を見たかのような物言いである。 いや、こいつは見ている。この淫獣、攻撃手段こそないが、補助系の魔法や高速、並列処理の能力は間違いなくSS以上 その能力のわずかばかりを仕事に割き、残りは全て覗きに使っているというどうしようもない男なのだ。 まさに才能の無駄遣い。 フェイトがそんな風に考え、同居していながら、常にお風呂場近くで待機しておきながら あわよくばドサクサ紛れになのはの風呂を、その美しい彼女にとってはまさに女神の裸体を覗こうと思いながらも 今まで一度も成功していない悔しさにその美貌を歪ませている。 「その意見には同意したいけど、お前がそれを見ているのが我慢ならない。というかなのはは私のだ!」 「僕は君のその本能にどこまで忠実なところは嫌いじゃないよ。あと、納豆汁ってあるくらいだし 納豆風呂だってありなんじゃないかな?なのはの出汁が出てて美味しいよ。」 「なのは出汁!?」 ユーノの物言いに僅かばかりの引っかかりを感じた物の、その引っかかりの違和感など なのは出汁の淫パクトに一瞬でかき消されてしまった。 そういえば、今までは納豆のにおいが駄目でなのはの後に入るようにしていた。 しかし、なのはの出汁の出たなっとう汁だと考えれば・・・・・・汗とかその他諸々の液体が溶け込んだ汁なら・・・・・・ 「あ、ユーノ。私用事思い出した。ちょっとお風呂をピカピカに洗わなきゃいけないからかえるね。」 しゅたっとフェイトが立ち上がり、さっさと帰路に着いた。 「はいはい、じゃあまたね。」 ぱたぱたと手を振りそれを見送るユーノ。 「さ、僕はフェイトに襲われないうちにさっさと帰ろう。」 [373]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 17:16:22 ID:ZxC2+wnA 僕の言葉の意味に気付かれちゃうと確実にフェイトは襲い掛かってくるだろうからね などと考えながらさっさと帰ってしまうユーノ 一方のフェイトはというと 「ばーすーまじかる☆りん♪ユーノも美味しいって言ってたし、じっくり味わうためには お風呂をまずピカピカにしておくべきだよね。・・・・・・美味しいって言ってた?」 そこでフェイトはようやく自分の感じた違和感に気付いた。 次の瞬間、彼女はBJを纏いユーノを捜しまくったのだが・・・・・・ 結局ユーノを見つけることが出来ず、全速力で飛び回ったためガス欠、さらには街中での無断飛行について 始末書を書く羽目になってしまったというわけだ。 しかし夕食時にはかろうじて帰ることができた。 今日はまいわいふとまいどうたーと一緒に食事ができる!そう思えばこの疲れも心地よい疲れである。 そしてなのはに「貴女、お風呂にする?それともわたし?」と聞かれたら 「お風呂でお前をいただくぞ!」と、ナットウ、もといウィットに富んだジョークで返すことだってできる。 そんな風に幸せ回路オーバードライブ状態の彼女を、彼女の愛娘であるヴィヴィオが出迎えた。 ああ、すばらしきかな我が家庭!などとフェイトは幸せに浸っていたのだが・・・・・・ 「今日はね、お客さんが来てるの!」 へー、お客さんか。誰だろう。などと思いながら居間に入ったフェイトを出迎えたお客さん、それは 「やあフェイトお帰り。なのはにナットウが余ってるから一緒に食べない?ってさそわれてね。」 そこにいたのは彼女の天敵であり、つい今しがたまで探していた淫獣だった。 やー、僕としてはなのはが食べたかったんだけどね。とか言ってるユーノを なのはが、ユーノ君ヴィヴィオの前で何言ってるの。そんな冗談言ったらだめ!と咎めてたりするのだが そんな会話は既に屍と化したフェイトさんには聞こえていなかった。 「あれ?ふぇいとまま動かないよ?」 「ヴィヴィオ、フェイトママはきっと疲れてるんだよ。そっとしておいてあげなさい。」 固まったフェイトをヴィヴィオが指でつっついていると、ユーノが優しいお兄さんの顔でそんなことを言ってのける。 「フェイトちゃん?たったまま寝ちゃだめだよー。ナットウでも食べて元気回復しなよ。」 ユーノ・スクライアはフェイト・T・ハラオウンの天敵である。 いつもいつも手玉に取られ、弄ばれてしまうのだ。 でも、それはある意味とても平和は普通の日常だったりもする。 以上です。 [374]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 17:46:25 ID:7OwWBZr5 >>367 GJです。 ティアナの最後が悲しい。実際問題、凡人が天才に勝つには努力しかないけど天才も努力するから 最終的には勝てないんだよなぁ。 そして、平行世界で大活躍のみんな大好き仮面ライダーガリューに期待w [375]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 17:48:42 ID:5/52dFMY キシャー(俺惨状、出番?出番?俺そろそろ出番?張り切っちゃうぜ) [376]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 17:55:03 ID:UXht3Cd2 >>358-367 もうガリューしか視えないw ティアナはトラウマになるかも知れんね・・・ >>372-373 なんぞこれーwww [377]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 18:04:02 ID:AOAyrDHn 納豆自重wwwww 飄々としてるユーノが良いな [378]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 18:05:21 ID:K1PTxhPX なるへそ、ガリューが人の姿に変身するのか。 [379]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 18:46:50 ID:yQrIij7K >>367 スーパーガリュータイム! もう、答えなんか聞かずに最初からクライマックスでお願いします。 そして、ボロボロの母に娘はどうするのか? 地味に消滅の危機に瀕しているアルフは? 都築が、都築が気になる。 >>373 納豆が・・・納豆がまたスレを侵略しにきたwwwww [380]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 18:54:43 ID:iKKIzM8B            _________            /             `ヽ      三≧{ミ     ・      ・    ミ}≦三 かもせー           丶、   〔 ̄ ̄ ̄ ̄〕    ノ                  ̄ ̄,.「 ̄ ト、 ̄ ̄                 ´│ │′                    `⌒′ [381]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 19:34:21 ID:F/nv4BVb 一般家庭の冷蔵庫の奥に眠っていた納豆パックの、皆においしく食べてもらいたいという願いを 聞き遂げたジュエルシードによって、ウネウネの触手となった納豆がなのはの下の口にダイブ、まで読んだ [382]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 19:34:52 ID:ttwfk95N >>367 コワイコワイコワイ…続きを読むのが怖い。 しかしGJ! [383]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 19:35:41 ID:Dl4O8Oj3 >367 フェイトさんKOEEE ヤンデレのパワーというやつか 違うか? >374 夢枕獏が書いてたなあ。 (格闘技で)天才には感動がないから凡人が磨き上げたひとつの技に負けることがある、と。 人間を倒すのに天才が会得するような幾つもの技やコンビネーションは果たして要るのか、 蹴り技一つ、拳一つがあればいいのではないか、とか。 (激しくスレ違い [384]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 19:47:51 ID:ZxC2+wnA >>381 ロストロギア<納豆>ですね。分かりました。 粘性の触手とそれに含まれるイボイボの豆部分が貴女の性感帯にぴったりフィット 納豆嫌いの貴女もたちまち納豆の魅力に取り付かれること間違いなし 以下、使用者様からの声です 本局:総務統括官のLさんは 「旦那を失って以来、持て余していた体をあの触手で絡めとられてこすり上げられて・・・・・・ 思わず夢中になってしまいました。納豆パワーでお肌も20代の頃みたいにすべすべです。」 エリート執務官のFさん 「最初は遊びだったんですけど、いつしかそれを手放せなくなってて・・・・・・ 今では納豆無しじゃ生きられない体になっちゃいました。」 性王教会所属兼管理局理事官:Kさん 「思い人はいるのですが、その方は忙しいお方なので滅多に会えないのです。 だからコレをかって、その、クロ・・・・・・ゲフン、エロノ(仮名)と名前を付けて 自分を慰めているんです。」 以上、使用者様からの感想でした。 おまけ:匿名希望者さん 「納豆は下の口で食うものじゃなくて、上の口で食うものなの。襲い掛かってきたナマな納豆は 全部喰ってやったの。なかなか美味しかったの。」 [385]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 19:51:10 ID:ttwfk95N >>384 ちょwwwwwww最後wwwwwwww 逃げてー。触手逃げてー。魔王に食われるから逃げてー [386]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 19:59:28 ID:5/52dFMY >>385 美味しく食べてもらいたいだから別に良いんじゃね? [387]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 20:19:36 ID:BbxFkuwz >>367 ちょ、フェイトさんこええええw 早く、早く正気に戻ってくれ… あとルー子GJ! >>373 やばい、納豆嫌いの俺もマジで納豆に挑戦したくなるぜw [388]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 20:38:23 ID:cMtx58DZ >>367 GJ! フェイトさんの殺人機械っぷりが素敵です。 ボンガロ風にルビふるとキリングマシーン。うん、全然関係ない。 とにかく、フェイトは病んでる状態が一番輝いてる気がします。 [389]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 20:50:16 ID:QddlzOfW ちょっと質問なんだが回復魔法ってどれくらいの力があるんだろ? 折れた骨が簡単にくっついたりするんだろうか 本編ではあまり重傷の時に使ってる描写がないからよく分からないんだ [390]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 20:56:19 ID:fuVgqgIT 六課隊舎襲撃で病院入ってた人達程度の怪我は回復できない。 ミッド中の回復魔法を使える魔導師が、全員あそこに居たわけではあるまい。 あと、なのはの記録映像から、少なくとも神経系統は無理。長期医療とリハビリが必要。 ……それはそうと、何で義足にしなかったんだろう? あえて苦しい路を選んで記録しておきたかったのかと穿った見方をしてしまう。 [391]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:00:28 ID:nYjvWmo5 >>389 分かんない事はぼやかして書けば良いんじゃないか? 参考に言うと、ヴァイスと犬は一週間で復帰 ラグナの目は回復してないっぽい なのははリハビリも含めて半年で復帰 [392]356 2008/02/21(木) 21:01:25 ID:6FECkcvP >>367 >>372 もうダメだ・・・お前ら絶対俺を殺す気だろバカヤロー! 俺が死んだらせめて棺桶に納豆は、入れないでくれ・・・ あ、それから>>367さん >>361の6行目からの、ティアナからフェイトさんへの一人称の移行が 少し分かりづらかったです。 それから>>362の16行目。「非凡」→「平凡」の間違いですよね。 細かいですが改善されたらもっと完璧なバカヤローです。 [393]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:02:32 ID:GzMceogq 自然に治らないものは直らない 軽度な傷ほど治癒の加速率がいい こんなもんだろう [394]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:04:00 ID:yQrIij7K >>389 なのはさん重傷事件があるから、大けがは治せないんじゃないかな? 骨折はわからないけど、2話でティアナの捻挫をリィンが治していたから不可能ではないのでは? [395]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:07:21 ID:Nv1eg2aR 治りが早いのは納豆の力か [396]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:07:52 ID:UXht3Cd2 >>393 事故治癒能力が働く物に効果があるっていうのはわかりやすい考察だね。 [397]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:10:49 ID:Qd3MW1lb >>393 それで全部納得できるな [398]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:11:02 ID:K1PTxhPX >392 よし、 納豆に棺桶を入れるのと、棺桶を納豆に入れるのと、どっちが良い? [399]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:12:25 ID:fuVgqgIT >>393 機能が狂うか内臓潰れたり指とか耳とか鼻とか眼とか落とされない限り、どんな傷でも治るぞ人体。 およそどんな病気にも自己治癒は働くし。治る前に死ぬことがあるだけで。 そこまで便利かなあ。 というか、それだとBJが勝手に直ってたのは…… しかしハゲが治せないというのは何かのネタになるやも知れんw [400]389 2008/02/21(木) 21:12:28 ID:QddlzOfW 早い回答をありがとうございました 色々参考になりました そうか、納豆か…… [401]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:12:33 ID:UXht3Cd2 >>396 事故じゃない自己だw [402]246 2008/02/21(木) 21:16:39 ID:+F70ixPf >>392 うは……orz 指摘ありがとうございます。 二つ目の方は正にその通りです。 司書様、二つ目の指摘、暇だったら直していただけると幸いです。 あぁ……でも、指摘されるくらい読んでいただけるのも幸せだなぁ。 でも、指摘されないようにちゃんと読み直すべき……矛盾が辛い。 他の方もGJありがとうです。 しかし納豆か……あれの存在自体が嫌いな自分はどうすればいいのでしょうw [403]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:16:42 ID:UXht3Cd2 >>399 BJは魔力を注ぎ込めば修復出来るんじゃないか? [404]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:19:06 ID:Vt8TS9qB 漫画版でキャロがティアナにかけていたのだと、 肩こりが治る程度な描写ですた。 あ、こりゃきく〜〜〜…ってなか感じ。 [405]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:19:43 ID:trWr/9yV >>390 生足落として義足つけるって選択は小学5年生には難しかろう…… 義足自体がどんなのか、ってのもあるかもしれんが。 それに神経がどこまでやられてたか、もあるし。 リハビリ映像のあれって、本人が記録してたのか? [406]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:21:51 ID:QddlzOfW なのははそんな悪趣味ではないだろ ただ、そうすると別に悪趣味な奴がいた事になるが フェイトの虐待映像もあったし深く考えちゃいけないんだろ [407]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:21:56 ID:hJCVMWPM 義足って足がなくなったらつけるもんだと思ってたんだが…… [408]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:22:42 ID:wbUylYzg >>402 えっ…それって、SS書きとして致命的なんじゃ… [409]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:23:00 ID:Qd3MW1lb 絶対盗撮映像だと思うんだ [410]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:24:47 ID:w8TeW6Lm >>391 ヴァイスと犬は過剰な回復魔法で傷を誤魔化して最終戦参加した代わりにその反動で病院通いになった。 [411]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:25:07 ID:GYmMwGc0 デバイスに残っていた映像をシャーリーが勝手に抜き出して編集したんだろう…… って、デバイスマイスターにかかればプライベートも覗き放題か? [412]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:26:35 ID:fuVgqgIT >>405 あのアングルで、本人に許可も取らずに記録したら完全に盗撮だw病院の管理責任者出て来いww なのはは親から貰った身体を、ってタイプでも無さそうだけどなあ。 戦闘に使えるまでの、とは言わなくても、生身ばりに動かせる義肢ぐらいはありそうなもんだが。 戦闘機人が驚かれないのはそういう義肢が存在するからじゃなかったっけ? 強臓式っぽいのとかG・G・スレイマンよろしく魔力で動かすとか、色々手はあるとオモ [413]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:27:07 ID:z0wS6QJl >>390 少しでもなおる可能性があるなら、普通は自分の足を選ぶだろ [414]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:28:54 ID:t7L2Iery ミッド製の義肢をつけてたら地球で医者にかかったときに面倒な話にならないかな。 >405 ずっと前にも書いたけど、病院では当人の了解の上でリハビリの記録映像を録ることがある。俺は録られなかったが。 でも症例データベースには登録したな。 [415]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:30:28 ID:UXht3Cd2 映像も含めて周囲の状況はレイハさんとバルが記録してたと考えれば問題無い 多分温度やら湿度やらも記録してるんだよ [416]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:34:38 ID:DJtQbg/g >>367 GJ ステエキマジ死んだかとドキドキしてしまった・・・ [417]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:39:45 ID:7OwWBZr5 >>405 ミッドで腕利きの医者のチョコラータ先生の趣味のために助手のセッコ看護師が 勝手に撮影してたんだw [418]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 21:58:35 ID:yQrIij7K >>405 何より、第二次成長期の子供は成長が速いから、義足つけてもすぐに新しいのと交換しないといけませんしね。 [419]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:02:45 ID:Nv1eg2aR 撮影 RH 『苦しさと不安に耐えるマスターの姿に興奮していた、今では反省している』 [420]名無しさん@ピンキー<> 2008/02/21(木) 22:18:54 ID:b5r7wa06 >>408 え、納豆嫌いってSS書きとして致命的なの? >>419 レwwwイwwwハwwwさwwwん [421]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:19:42 ID:Qd3MW1lb レイハさんが何者かは作中一番の謎 [422]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:25:16 ID:GzMceogq レイハさんにちゅーして関節キスーとか浸るフェイトさん [423]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:35:49 ID:xmNRz+uh 投下してもいいですかい? [424]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:38:15 ID:K5jQ9nJc よかですたい [425]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:38:16 ID:B5jL2Epz いいと思います [426]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:38:54 ID:Qd3MW1lb 議論より投下のほうが好ましいと思われます [427]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:39:20 ID:ttwfk95N 誰が来るのかドキドキ… [428]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:39:25 ID:sDBVtppC 躊躇うな!躊躇ったらそこで打たれる!! [429]依存 2008/02/21(木) 22:40:33 ID:xmNRz+uh ではいきます ・フェイト×ユーノ×なのは ・欝系エロ ・コンセプトは昼メロ(ヤンデレにあらず ・文章量は12kB [430]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:41:23 ID:uEzEcpO7 >>428 何をだw [431]依存<> 2008/02/21(木) 22:41:58 ID:xmNRz+uh 「ユーノ……っ! い、いいっ! 気持ち、いいよっ!」 「く、……フェ、フェイト……っ」 ―――”ぐちゅ……ぐちゅ……っ”  薄暗いホテルの一室。二人の男女が互いの体に縋りつくように抱きしめあっている。  組み敷かれている女性――フェイトの方は額に汗を浮かばせ綺麗なその眉を眉間に寄せては息を吐く。しかしその表情はともすれば苦悶と見間違うほどに快楽を孕んでいた。  無意識のうちなのか男性――ユーノの背中にはフェイトの腕が、指先が何かを探るように回っており、少なくともこの行為がフェイトの意思と反した、不本意な行為という訳ではないのだろう。 「ユーノ……ユーノ……っ! お願い、強く……もっと強、く……っ!」 「……っく……」 「……私、もう……少し、で……っ! いけそう……だからっ!」  フェイトはそう、かすれるように声をあげ、頬をユーノの胸板へと摺り寄せる。  そして髪を振り乱すように額を当て、回った両手に一段と力が篭った。 [432]依存 2008/02/21(木) 22:42:39 ID:xmNRz+uh 「フェイト……っつ!?」  望まれるままに動きを早めようとしたユーノの腰の動きが、一瞬戸惑うように揺れる。  自分の胸元に小さな痛みを感じたからだ。  ユーノが痛みを感じた場所を覗く……そこには、 「……ご、ごめん、夢中で。…………跡が、ついちゃったね」  フェイトはそういって自らがつけた赤い斑点、キスマークを指先で撫でる。  その動きは酷く優しげであり、酷く悲しげでもある……そんな複雑な心境をうかがわせる様なものだった。 「……後に残るような行為は控えようって、私から言い出したのに、ね」 「……いいさ、誰かに見られるような場所でもないし、その予定もないから」 「……本当?」 「嘘はつかないよ」 「…………うん」  はにかむ様な笑顔を一瞬浮かべた後、その表情を見られたくなかったのか両手の甲で目元を隠すフェイト。  ユーノはフェイトのこんな子供のような表情は久しぶりだと思った。  フェイト・T・ハラオウンは執務官だ。  ゆえに政治的な権謀術数という悪意から無縁ではない職務をしている事もあり、表情の変化には敏感である。  なぜなら表情は心理状況に直結されるからだ。  執務官になったフェイトがまず教わったのは、どんな場所でも常に冷静であれ、という事だった。そしてフェイトはそれを常に念頭に置き実践している。  プライベートを共有して、普段見せない顔を覗かせてくれたという、その事実がユーノには嬉しかった。  そしてそう思うほどに湧き上がる感情…… [433]依存 2008/02/21(木) 22:43:28 ID:xmNRz+uh 「フェイト……」 「……いいよ。私も今日は久しぶりで……凄く気持ちがいいから、ああっ――!」 ―――”じゅぶ……じゅぶ……っ”  フェイトが身を任せるように再び両手をユーノの背中へと回そうとする前に、ユーノの動きが再開される。   「ああ……っ!」  フェイトは溜まらずに声を荒げる。  先ほどまでも気持ちよかったが、今の快楽はそれをしのいでいた。  その快楽をもたらしたのはなんだったろうか――そう考える余裕は既になく、 「はぁっ……いくっ……い、くっ…………いっちゃいそう……っ!」   「僕、も……っ」 「お願い……一緒に……っ! 膣内で、いいから――っ!!」 ―――”ぐちゅっ…ぐちゅ…っ!” 「出る……っ」 「あ、あああああぁぁぁ―――っ! いくっ! いくぅぅぅ――ーっ!」 ―――”どくっ…どくっ…” 「〜〜〜〜っ!」  フェイトは体を弓のようにしなやかに反らせ、絶頂の波に翻弄された。  膣内に放出される精を敏感に感じ取り、連動するようにひくつく膣壁。  それはまるで全てを搾り出そうとするようにユーノのペニスをいつまでも刺激していた。 [434]依存 2008/02/21(木) 22:44:33 ID:xmNRz+uh ……………… ………… ……  室内に響くのは、規則的に時を刻む時計の機械音だけだった。  情事が終わり、体から熱が冷め始めた頃、甘えるように体を寄せていたフェイトの体がユーノから僅かにずれる。  そしてユーノの胸元に指先を寄せた。  指先にあるのは先ほどの行為の間に、自らがつけた情事の痕。 「消えてないね……」 「……キスマークは内出血だし、2,3日もすれば消えるから大丈夫だよ」 「うん……」  フェイトはなおもその跡に指を這わせている。  その表情は複雑で……ユーノには判断が出来なかった。  しばらくの間そうしていた後、フェイトが口を開く。 「ねえ……」 「……ん?」 「ごめんね……」 「なにが?」 「……見られたら、その、困るよね……なのはに」 「……っ」  なのは。  その単語にユーノの体が反応した。  聞きたくなかった言葉なのだろう、少なくともフェイトの口からは特に。 [435]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:47:18 ID:xmNRz+uh 「……言ったよね、『その予定はない』から、って」 「うん……その事、なんだけど」  そう答えるユーノにフェイトは言葉を選ぶように続ける。 「なのは、悩んでるみたいなんだ」 「…………」 「最近ユーノと会えないって。それに……」  言いよどむように一つ区切り、 「こういう行為も、あんまりしてくれない……って」 [436]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 22:49:13 ID:xmNRz+uh 「…………」 「もし……もしね。私との事が……」 「違うよ」  ユーノがフェイトの言葉を遮るように言葉をかぶせる。 「確かになのはとは最近会っていなかったけど、それは本当に忙しかったからだよ。…………君が気にする事じゃないさ」 「…………うん」  その言葉にフェイトは顔を伏せる。 「……ねえユーノ。私が言う事じゃないのは分かってるんだけど、本当に自分勝手なことを言ってるのは分かってるんだけど……」 「……」 「……なのはを大切にしてあげてね? 私は……」  甘えるように頬を胸に寄せる。  白い指先は彷徨うように、しかし慈しむ様に傷跡を撫でる。 「…………こうしてたまに会って、抱いてくれるだけでいいんだ」 「……フェイト」  震えるように掠れる声でフェイトはそう言った。 ―――そこからは二人ともに口を開くことなく、いつしか意識を闇に落としていった。 [437]依存 2008/02/21(木) 22:52:47 ID:xmNRz+uh ……………… ………… …… 「私と、付き合って……ください……っ」  辺りは夜の闇が支配している刻限だった。  場所はミッドチルダでも有名な高層ビル最上階のレストラン。  値段が高い事でも知られているが、それ以上に側面がガラス張りになっている窓から覗く景色が綺麗な事もあり、 恋人達のデートスポットとして有名な場所だった。  今テーブルを囲み、目の前にいるのは今や管理局にその名を知らぬものはいないと言われているエースオブエース。  普段教導官として管理局の職務を従事する高町なのはその人は、今はフォーマルな衣装に身を包んでおり、表情は不安と期待で歪ませている。  だがそれも彼女の魅力を引き立てる要素でしかないのか、夜景からの月光と、 薄暗い室内の明かりから覗くなのはをユーノは素直に美しいと感じていた。 [438]依存 2008/02/21(木) 22:53:22 ID:xmNRz+uh 「…………」  ユーノはそのなのはの姿を視線から外すように顔を背ける。  分かっていた事だった。  こうなってほしいと奥底では思っていても、ありえない事だとずっと否定していた。 (だから僕は……)  ユーノはここを訪れる前に、”彼女”と交わされた言葉を思い返した。  [439]依存 2008/02/21(木) 22:58:31 ID:xmNRz+uh 『……ねえユーノ。私たちってさ、一体どんな関係なんだろうね』 『……フェイト?』 『なのはが空から堕ちたとき、お互いを慰めるように体を重ねてから今まで……私が落ち込んだ時、悩んだ時、行き詰まった時 ……そばにいて励ましてくれたのはユーノだった』 『…………』 『本当は全部、なのはの居場所のはずだったのにね……』 『なに、を……』 『ううん、だからかな。分かっていたから今までちゃんとした関係になれなかったんだ』 [440]依存 2008/02/21(木) 22:59:30 ID:xmNRz+uh 『フェイ――』 『今日なのははユーノに告白するつもりだよ』 『……!』 『なのはは私を救ってくれた。なのはがいなければ今の私は絶対になかったと思う。だから私はなのはには絶対に幸せになってほしいんだ。 そして……なのはの幸せにはユーノが必要なんだよ』 『待ってくれ、フェイト……』 『本当は……なのはに全部返すのが正しいんだろうけど……でも、それでも……』 『フェイト、僕は……』 『……なのはの次でいいんだ。たまに会って、たまに抱いてくれるだけで……私はそれでいい。だから……』   『―――なのはを、よろしくね』 [441]依存 2008/02/21(木) 23:01:07 ID:xmNRz+uh 「ユーノ、くん?」 「……!」  突然、我に返ったようにユーノは体を振るわせる。  周りは見渡すまでもなく夜景に包まれた、レストランのままだ。  視線をなのはに戻すと、なのはは照れた様に視線をテーブルへと落とす。   「…………その」 「なのは……」  意を決したようになのはは顔を上げる。   「よかったら……返事、聞かせて?」 [442]依存 2008/02/21(木) 23:03:29 ID:xmNRz+uh  そう言ったなのはの表情は初めてあった時から何も変わらず、強い意志を秘めている。  彼女は何も変わらない。  その容姿は歳を重ねるごとに幼さが抜けていき、体つきもより女性らしくなっていっている。  だが確かに変わらないモノがある。  フェイトを必死に救った時も、はやてとヴォルケンリッターの悲しい宿命から解き放った時も、空から落ちて絶望してなお変わることがなかった。  そしてユーノはそんななのはの”不屈の心”が―――本当に好きだった。 『―――なのはを、よろしくね』  フェイトの言葉が頭に過ぎる。  ユーノは一つ息を吐き、そしてゆっくりと口を開いていった。 [443]依存 2008/02/21(木) 23:04:12 ID:xmNRz+uh ……………… ………… …… ―――ピピピピピ…… 「ん……」  まどろんでいた意識を覚醒させたのは軽快な電機音だった。  いつの間にか眠ってしまっていたのだろう、隣には静かに寝息を立てるフェイトがいる。  ユーノはゆっくりとフェイトを起こさないようにベッドから起き上がり、未だに鳴り続けるアラームの発信源に手を伸ばす。  携帯を開き呼び出し主を確かめるが、 「……なのは……」  画面に映っているのは『高町なのは』という単語。  一瞬の戸惑い。  ユーノは頭を振り、携帯のボタンを指で押した。 [444]依存 2008/02/21(木) 23:06:02 ID:xmNRz+uh   「……なのは?」 《あ、ユーノくん?》  携帯から聞こえるのはなのはの声。  その声は明るく、何処かはずんだ声だった。 《仕事が早く終わったからユーノくんの部屋にいったんだけどいなくって。無限書庫からも引けた後だって聞いたから……今、何処にいるの?》  何も知らないが故の残酷な問いだった。  ユーノを信じて何も疑っていないのだろう。  本当のことを知ったとき、この声はどう変化するのだろうか。  そう考えたユーノは、その予想を振り切るように頭を振り勤めて明るく口を開く。 「……ごめん、ちょっと買い物をしに出かけていてね」 《そうなの? …………もしかして邪魔しちゃった?》 「いや……大丈夫だよ」 《そう、よかった》 [445]依存 2008/02/21(木) 23:07:18 ID:xmNRz+uh  なのははそう明るく声を上げる。  その声を聞くたびにユーノは心がきしむ音が聞こえるようだった。  そんなユーノの心境を知ることなく、なのはは言葉を続ける。 《それでね、もしこの後暇だったら……会いたいなって》 「…………今から?」  ユーノはそっと後ろを振り返る。  そこにはいまだ目を覚ましていないフェイトの姿があった。 《うん……。 最近ユーノくんと会えなかったから……どうかな?》 「…………」  ユーノはそういって室内に掛けてある時計を見た。  今の時刻は夕刻を少し過ぎた頃で、フェイトと会ってまだ数時間しか経っていない頃だった。  本当はこの後フェイトと食事に出かけるはずだったのだが…… [446]依存 2008/02/21(木) 23:08:27 ID:xmNRz+uh (私は気にしないでいいよ、ユーノ) (……フェイト?)  突然念話が届き驚いて後ろを振り返ると、そこには背中を向けたフェイトがいる。  おそらく携帯のアラームで起きていたのだろう。  気を使ったのか、寝たふりをしていたようだった。 (なのはを……優先してあげて) (…………君はそれでいいの?) (……うん。いいんだ、それで) (…………わかった)  僅かに逡巡するも、了解の意をフェイトに送った後、念話を打ち切る。 [447]依存 2008/02/21(木) 23:09:42 ID:xmNRz+uh 《……ユーノ君? ……もし、迷惑なら》 「ああ、ごめん……そういうのじゃないんだ。…………そうだな、一時間後にいつもの店で待ち合わせ。それでいい?」 《あ……! うん、それでいいよっ!》  嬉しそうにそう携帯越しに答えるなのは。  ユーノがそれ以上聞いているのが辛くなるほどに、なのはは喜びを隠さず声に現している。 「……じゃあ、また一時間後に」 《うん。楽しみにしてるね》  そうして会話が終わると、ユーノは握り締めていた携帯を零れるように床に落とした。   「……はぁ」  大きく息を吐き脱力したように右手で顔を覆う。  それ以上なにもしたくなかった。  とにかく今は罪悪感が胸に渦巻き、ただ何も考えずに眠ってしまいたかった。  だがそういうわけにもいかないのだ。  暫くの間言葉もなく俯いていたユーノ。  その間にふと気配を感じ後ろを振り返ろうとするが、 [448]依存 2008/02/21(木) 23:11:15 ID:xmNRz+uh 「…………ごめんね」  後ろから抱きつかれ、振り向く事は出来なかった。  誰なのかは問うでもない。  この一室には二人しかいないのだから。 「君が……謝る事じゃないよ」 「でも……でも……! 私のせいで……私が我侭だから……ユーノが……」  フェイトはユーノの背中を抱きしめながら体を震わせている。  柔らかなフェイトの感触と肩に湿るものを感じながら、ユーノは首を振った。 「本当に君のせいじゃないんだ……僕があの時……」 [449]依存 2008/02/21(木) 23:12:09 ID:xmNRz+uh  思い出されるのは夜景に包まれたレストラン。  あの時、もしなのはを告白を拒否していたら?  フェイトとの曖昧な関係を拒否していたら?  何のことはない、全ては…… 「選択をしなかった僕が悪いんだ……」 「う……うぅ……っ……ごめん……ごめんねユーノ……」 「……っ」  「……ごめんね、なのは……っ……それでも私は……私は……っ!」  いつまでもユーノに縋りつき謝り続けるフェイトにユーノは返す言葉がなく。  一時間という短い時間を、ただ二人―――静かに寄り添っている事しか出来なかった。 [450]依存 2008/02/21(木) 23:16:09 ID:xmNRz+uh 以上です。 最近ヤンデレ系が多かったので、少女漫画系昼メロをコンセプトに書いてみました。 キャラの性格とかを考えて違和感のないように頑張ったつもりですが、成功してるかは微妙です。 フェイトは愛人気質、日陰の女ってイメージがあるのは自分だけでしょうかw [451]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:19:25 ID:BbxFkuwz >>450 誠死ね的な意味でユーノ氏ねw でも面白かった、GJ [452]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:20:39 ID:ttwfk95N >>450 きれいななのはさんとはっこうのふぇいとさんGJ!! ところで一行目が空白のも多いけど、途中で異次元に消えたりしなかった? [453]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:20:45 ID:B5jL2Epz おつかれです。 ……自分には書けない欝展開……敬意に値します。 文章の巧さや読みやすさも見習いたいです。 [454]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:21:27 ID:Qd3MW1lb GJ ユーノに天罰が下りますように [455]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:26:16 ID:K5jQ9nJc 乙です! こういうSSはひっさびさですね〜。 個人的にこういったドロドロ要素は大好物なので、とても楽しませてもらいました。 [456]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:26:43 ID:IPMUEo4D GJ しかしユーノも肝心な所でヘタレなければ…… [457]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:26:52 ID:3CeD27Cb フェイトスレから死にかけの同士を回収に来ました [458]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:26:55 ID:OmmLeWJA >>451 いいなあ、この愛人属性フェイトさんは。 まるっとだまされ続けているなのはさん、知ったときの豹変が・・・ [459]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:38:27 ID:ZxC2+wnA >>451 フェイトさんは何故こんなにも愛人属性が似合うんだ・・・・・・ テラエロスGJ [460]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:39:53 ID:7OwWBZr5 GJ!!です。 いやッ!!もしかしたら・・・もしかしたらッ!! なのはさんが『私はそっちのけがない女でも喰っちゃう女なの』と言ってくれるかもしれない。 [461]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:41:49 ID:lPG/k8s6 >>451 そのうちはやてとか、エイミィとかと 『みんなのユーノ』という展開です(何 [462]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:48:16 ID:ZxC2+wnA >>461 親友の妻に手を出すとかどんだけ淫獣なんだよw 優柔不断ってレベルじゃねーぞw [463]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:51:15 ID:0Y1iWCFc >>367 GJでした〜 ここのエリオはいつの間にか腕を切られるのが恒例になってきているw そのうち四肢を落とされかねんな しかし最近のフェイトも大変だな 傷心、不治病人、ヤンデレ、超納豆馬鹿、愛人… [464]名無しさん@ピンキー 2008/02/21(木) 23:51:32 ID:t7L2Iery >419 でも記録映像があると口で説明するより早いみたい。 ここで足が上がってないとか、ここで体重移動ができてないとか。 俺ももし別の療法士さんが担当だったら録らせてくださいといわれたかもしれない。 [465]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 00:10:03 ID:NgvKRssV GJです!今までとは違ったドロドロな展開でワクワクします! 真相を知ってもこのなのはならフェイトちゃんなら良いよ、的なことになって そのまま3Pへ・・・・となってくれると信じている。 [466]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 00:20:32 ID:pZW2bYk7 >>421 ユーノとレイハさんのコンビに関しては永遠に謎のまんまだろうw [467]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 00:21:47 ID:mxd8YDrO なのはの任務中及びリハビリ中の映像は管理局の記録映像として撮影された。 フェイトの虐待映像はプレシア・テスタロッサ事件の参考資料という名目で 主にクロノの趣味のため撮影された再現映像。 [468]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 00:27:34 ID:9BWrs4wZ 妻子持ちの癖して何やってんですか提督 [469]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 00:43:03 ID:krOSB9VD クロノは対エイミィさんにはヘタレなイメージがあるんだけど 実は夜も提督だったりしてなw [470]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 00:44:50 ID:f/8Uc/59 むしろ夜は将軍だろう。 [471]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 00:51:50 ID:+/siDoGs おまえらおっさんみたいなこと言ってるなw [472]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 00:53:16 ID:zbiH8Jke 将軍…誠意大将軍という単語が [473]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 00:58:24 ID:Phnygv/P 普段は尻に敷かれてるけど夜は僕がいない間にあのフェレット野郎や若い局員に 色目使ってるんだろうッ!!とか仰る大将軍になるのかw [474]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:01:41 ID:pZW2bYk7 クロノも夜の生活だとエイミィさんに強く出てるだろ、出てるよな? [475]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:08:36 ID:ghozJ7Z8 むしろ、お姉さん役だったエイミィに 「クロノ君、体は大きく立派になったけど、相変わらず夜は可愛いねー。」 とかいって手でヌかれちゃったり 「入れたい?でもまだだめだよ。」とちょっとS入ったエイミィさんに お姉さん的にいじめられてるとかどうだ。 [476]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:09:40 ID:krOSB9VD 実はエイミィさんがお姉さん振るのは夜に全く自信がなくておどおどしてしまうからとか 10年でクロノから調教されて夜は肉奴隷とか 妄想が止まらない [477]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:10:22 ID:3d2UI7gN エイミィのエロなんて随分と見てないから上手く想像できないぜ。 [478]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:12:29 ID:Phnygv/P >>475 それを初夜に実行しようとしたら、ヌコ姉妹の修行により強化されていたクロノが その程度か・・・俺のターンッ!!ずっと俺のターンッ!!もいいですw [479]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:15:45 ID:krOSB9VD 実は双子を作って以来エイミィさんが気恥ずかしくてクロノとすっかりご無沙汰とか そして我慢出来なくなったクロノに激しく責められてしばらく立てなくなるとか んで今度はもっとちゃんと愛してね、とか言っちゃったせいでまたクロノのデュランダルがアグレッシブビーストとか 妄想が止まらない [480]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:16:30 ID:ghozJ7Z8 お前ら本当に鬼畜ロノ好きだな! いや、俺も嫌いじゃないが。 つまり、お姉さんとしては夜も主導権をとっておきたかったがぬこ姉妹や レティ提督に可愛がられてたお陰でその愛らしい高橋ヴォイスとは裏腹に凶悪なものをもっていて 童貞捨てたとたん本性を現したかのごとく成長し、キョンヴォイスになって 昼は良妻、夜は娼婦へと仕立て上げるわけですね。そして杉田ヴォイスで エイミィを言葉攻めしまくるんですね! [481]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:19:42 ID:s+jdn8f6 キョンがちゅるやさんを言葉責めとな? [482]B・A 2008/02/22(金) 01:20:58 ID:IKjjmF0J 不憫だなぁ、エイミィも。 そして、僕も投下良いですか? と聞いてみる。 [483]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:22:37 ID:3d2UI7gN カモンハリアップ!!! [484]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:22:47 ID:ghozJ7Z8 OKOK >>481 目の前にスモークチーズを置いてダメーしてる構図しか想像できねぇwww [485]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:23:41 ID:pZW2bYk7 エイミィさんはクロノの牝奴隷と化しているのか…このスレの流れ的に [486]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:24:19 ID:JOKOxr7K でも実際仕込まれてそうだよな。ぬこ姉妹に>色事 そういやぬこ姉妹がメインで出てるのって、ちょっと調べたけど、 サイヒ氏のやつ以外にないのな。 ショタクロノを食っちゃうとか、いかにもありそうなシチュなのに。 [487]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:27:02 ID:Phnygv/P 最初は狩る側だが、余裕を持ってたらすぐに逆転されるんだw [488]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:28:17 ID:1yi1sTfG 同人誌だと猫物多いんだけどな [489]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:28:59 ID:Ot88ZVA6 >>482 支援します。 [490]B・A 2008/02/22(金) 01:31:47 ID:IKjjmF0J 支援ありがとうございます。 ・20歳verエリオ×ルーテシア ・非エロ ・「Ritter von Lutecia」要読 ・前作から10年後、故に捏造のオンパレード ・おっきなエリオキュン、ルー子、ヴィヴィオが見たくない人にはお勧めできません ・けど、最近ヴィヴィオの出番がありません ・前回までの鬱から一転、陳腐かつ燃えな王道展開へ移行 [491]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:34:17 ID:Ot88ZVA6 さっそく支援開始。 [492]Nach dem eines Speerritters 第8話@ 2008/02/22(金) 01:34:34 ID:IKjjmF0J 二足歩行する巨大な人型が、大型の黒い昆虫を殴り飛ばした。 数十トンはあろうかというその巨体が空中で二転三転し、倉庫の壁にぶつかってやっと停止する。 「地雷王!?」 地雷王と呼ばれた昆虫は、そのまま動かなくなった。衝撃で足が数本もげており、 傷口から薄気味悪い色の血液が流れている。慌てて、ルーテシアは地雷王を元いた別世界に送還した。 「くっくっ・・・・AAA+魔導師と聞いてどれほどの強者が来たのかと思ったが、まさかこんな小娘とはな」 ルーテシアと対峙している魔導師風の男が身を捩りながら笑う。同時に彼の足下に魔法陣が展開し、数体の傀儡兵が召喚された。 「こいつ、召喚師か!」 ルーテシアを庇うように立ち、青年局員は召喚師にデバイスの先端を向ける。直後、巨大傀儡兵が腕を一閃させ、青年は大きく吹っ飛ばされた。 「残念! 巨体の割には中々の反応速度だろう?」 「ガリュー!」 「!!!」 息を潜めていたガリューが迷彩を解除し、召喚師に迫る。ガリューのスピードならば、巨大傀儡兵も反応できない。 だが、必殺を込めた一撃は召喚師が展開した障壁に阻まれてしまった。直後、群がる傀儡兵にガリューは投げ飛ばされてしまう。 「甘い、甘すぎる! 白兵戦なら勝てると思ったのかね? 生憎、殴り合いは苦手だが、防御には自信があるんだ」 勝ち誇ったような笑みに、ルーテシアは歯噛みした。 港湾区でロストロギアの密輸が行われているという情報を掴んだルーテシアたちは、管轄内の陸士隊と協力して取引現場に奇襲をかけた。 首尾良く密輸グループは捕まえることができたのだが、その内の1人にかなり切れ者の召喚師が紛れており、奇襲のどさくさに紛れて ロストロギアである巨大傀儡兵を起動させてしまったのだ。そして、その巨大傀儡兵によってルーテシアたちは全滅の憂き目にあっている。 あの巨大傀儡兵は、ルーテシアの地雷王を一蹴するだけの力を持っている。彼女に残された手は究極召喚しかないが、あれは周りにも 被害が出る恐れがあるため、ここでは使用できない。 [493]Nach dem eines Speerritters 第8話A 2008/02/22(金) 01:36:13 ID:IKjjmF0J 「さて、私の仲間と商談相手を開放してはくれないかな?」 勝利を確信しているのか、召喚師は邪悪な笑みを浮かべて優雅におどけて見せた。 ルーテシアの後方には、バインドで縛られた上にケージの中に閉じ込められた数人の 男たちが陸士隊に囲まれている。召喚師の仲間の密輸グループとその取引相手だ。 「生憎だけど、犯罪者と交渉する舌は持つなと訓練校の教官に習ったの」 「そうか、それは残念だ・・・・・やれ」 瞬間、巨大傀儡兵の肩の大砲が煌き、極太の魔力砲が召喚師の仲間目がけて放たれた。 慌ててルーテシアは彼らの前に躍り出て、全力で防御魔法を展開する。 「健気だな。犯罪者を庇うとは」 「あなた・・・・彼らの仲間でしょう?」 「そろそろ手を切ろうと考えていたのだよ。それが少し早まっただけだ」 立て続けに魔力砲が殺到する。圧倒的な魔力量に展開した障壁が軋みを上げ、もの凄い速度で負荷が蓄積していく。 「ぐっ・・・・お願い、もって・・・・・・」 アスクレピオスが障壁の限界を告げ、軋みは破砕音へと変わっていく。一対一ならば加速魔法で離脱することも考えられが、 ルーテシアの後ろには無力な人間が身動きの取れない状態でいる。ここで逃げるなんて選択肢は、管理局局員としても、人としてもあってはならない。 [494]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:37:58 ID:Ot88ZVA6 支援 [495]Nach dem eines Speerritters 第8話B 2008/02/22(金) 01:40:16 ID:IKjjmF0J (うっ・・・・こんな時に・・・・・) 再び込み上げた吐き気に顔をしかめる。頭は割れるように痛いし、腹の底を虫が這い回るような気持ち悪さで術式が乱れてしまう。 それでも、ルーテシアは自分の魔力の全てを引きずりだし、障壁の硬度を維持し続けた。 「頑丈な奴だ・・・・・やれ」 召喚師の合図で、周りにいた小型の傀儡兵も攻撃を開始した。撃ちだされる魔力砲は決して威力のあるものではないが、 巨大傀儡兵の砲撃で限界寸前の障壁ではそれに耐え切ることはできない。 その時、青年局員たちがルーテシアを囲むように円陣を組み、防御魔法を展開した。 「各自、日頃の訓練を思い出せ! 何が何でも分隊長を守るんだ!」 「了解!」 展開された二重三重の防御壁が傀儡兵の攻撃を受け止めた端から砕け散っていく。 1枚、2枚、3枚・・・・儚く散っていく魔力残滓はまるで枯れていく花弁のようだ。 だが、彼らが展開した障壁で僅かに攻撃の威力が削がれ、辛うじてルーテシアは巨大傀儡兵の砲撃に耐え抜くことができた。 「はぁ・・・・・はぁ・・・・おれたちも、やればできるじゃないか」 「当然・・・・さあ、後はあいつを捕まえるだけだ」 揺れる体に活を入れ、デバイスを構える。先ほどの防御魔法に全魔力を注ぎ込んだのだろう。 端から見ていても疲弊しているのがわかる。 「やめて、そんな体じゃ・・・・・!」 ふらりとルーテシアはバランスを崩し、駆けつけたガリューに支えられる。 体調不良が再びぶり返したようだ。一度休んで呼吸を落ち着かせねば、これ以上の魔力行使はできない。 それに気づいているのか、青年局員たちは首を横に振った。 [496]Nach dem eines Speerritters 第8話C 2008/02/22(金) 01:44:50 ID:IKjjmF0J 「それでも、意地があるんですよ」 「先ほど、副隊長に連絡を入れました。あの人が来る前に分隊長を死なせたら恨まれますからね」 青年局員たちは力なく笑う。 勝てないことは承知している。彼らは驕っていた。訓練校で優秀な成績を修めた自分たちなら、 エース級魔導師も夢ではないと思っていた。だが、現実はそんなに甘くはなく、戦場に立てば 自分たちは十把一絡げの魔導師の1人でしかない。機動六課準備室に配属され、本物のエースや ストライカーを目のあたりにしたことで彼らのプライドは脆くも崩れ去り、挫折感から逃げだした者もいた。 彼らは狭い世界で満足していたひよっこだったのだ。だが、そんな彼らにも譲れない思いはある。 ルーテシア・アルピーノ。 この美しくも壊れやすい分隊長を守ることこそ、彼らの誇りだ。 彼女はどんなことがあろうと自分たちを見捨てなかった。死にそうな目にあった時は、真っ先に助けてくれた。 ここにいる全ての者たちが、彼女によって一度は命を救われている。その優しさに彼らは惚れこみ、心酔していた。 彼らはルーテシアを守る騎士団なのだ。 「各員、奮起せよ! ここが正念場だ!」 「おお!」 「副隊長が来るまで、何としても持ちこたえろ!」 彼らの異様な士気の高さに、召喚師はたじろいだ。 理解できない。追い詰められているはずなのに、何故奴らは諦めずに武器を取ることができるのか。 「目障りだ。やれ!」 巨大傀儡兵が再び砲撃のチャージを開始する。彼らの防御出力では耐えることは不可能だ。 それでも彼らは逃げようとしない。隊列を組み、僅かに残った魔力を総動員して防御魔法を発動する。 「逃げてぇぇぇっ!!」 ルーテシアの叫びと、砲撃のチャージが完了したのは同時であった。 爆音にも似た轟音を上げ、極太の魔力砲が発射される。視界を埋め尽くすその光に、 青年局員たちは自分の死を覚悟し、己の死を心の中でエリオに詫びた。 故に、空から落ちてきたそれに気づいた者は誰もいなかった。 [497]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:45:36 ID:Ot88ZVA6 wktk [498]Nach dem eines Speerritters 第8話D 2008/02/22(金) 01:46:44 ID:IKjjmF0J 「のわぁぁぁぁぁぁっ!!!」 一瞬の浮遊感すら楽しむ間もなく、エリオの体は重力に引かれて地面に落下していく。 「ザフィーラっ!! わざとやっただろぉっ!!」 自分は港まで送ってくれと頼んだ。確かに目の前に港はあるが、ここはそこから遙か上空だ。 当然、エリオの体はもの凄い速度で落下していっている。からかわれたことへの仕返しなのだろうが、 陸戦魔導師にこの仕打ちは冗談では済まされない。 『む・・・・・兄弟、早速だが、新人たちがピンチだぞ』 「見ればわかる! ストラーダ、フォルムツヴァイ!」 『Düsenform』 デューゼンフォルムへと変形させたストラーダのブースターを吹かせ、一度態勢を立て直す。 幸いにもこちらの存在は気づかれていない。仕掛けるにしても、今は絶好の機会だ。 『兄弟、あの砲撃を受け止めるのは不可能だ』 「発射の阻止は?」 『無理だ』 「なら、反らすしかないな」 大きく旋回し、再び地面に頭を向ける。今度はストラーダのブースターの加速もついているので、落下速度はさっきよりも速い。 風圧は防御魔法で防ぎながら、エリオは術式を組み立てていく。3日前の不調が嘘のように、素早く、滑らかに詠唱することができた。 『Speerangriff』 衝撃が体に走る。弾丸と化したエリオの体はコンクリートの地面を易々と打ち破り、巨大傀儡兵の足下に大きな穴を空ける。 その穴に足を取られたせいで巨大傀儡兵は姿勢を崩し、魔力砲は青年局員の障壁に当たる寸前で角度を曲げ、明後日の方向へと消えていった。 ついでに、周りにいた小型傀儡兵も穴の中へと落下していく。 [499]Nach dem eines Speerritters 第8話E 2008/02/22(金) 01:49:48 ID:IKjjmF0J 「し・・・・死ぬかと思った」 地面から這い上がりながら、エリオは呟いた。過去にも地面をぶち抜いたことはあるが、 あの時も生きた心地がしなかった。もうしない方が寿命に優しいかもしれない。 「副隊長!」 「やあ・・・・よく頑張ったね」 ここまで必死に耐えた部下を労い、エリオはルーテシアのもとへと向かう。 ルーテシアはガリューに支えられたまま、まるで呆けたようにエリオを見上げていた。 「ごめん、遅くなって・・・・・けど、答えは見つかった」 「エリオ・・・・・」 「ルー・・・・あの時の返事だけど・・・・・」 エリオが何か言おうと口を開いたその時、瓦礫をかき分けて巨大傀儡兵が立ちあがった。 まるで自分が無傷であることをアピールするかのように両手を上げ、ポーズを取る様はどこか愛嬌がある。 「この程度でこいつがやられると思うなよ。何と言ってもロストロギアだからな」 巨大傀儡兵の後ろに隠れながら、召喚師は再度小型の傀儡兵を召喚する。 再び整えられた布陣に、召喚師は愉悦に満ちた笑みを浮かべた。 その下品な笑い方に、エリオは不快感を覚えた。 そういえば、こいつはルーテシアを傷つけようとしていた。仕返しするには十分な理由だ。 [500]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:50:31 ID:Ot88ZVA6 支援 [501]Nach dem eines Speerritters 第8話F 2008/02/22(金) 01:52:59 ID:IKjjmF0J 「ルー」 「なに?」 「さっきの続きだけど・・・・・この3日で答えは出たよ。どんなに重い責任も、僕は背負ってみせる」 召喚師へ向き直り、懐から待機状態のバルディッシュを取り出す。 「例え何があろうと、君を守る」 流し込む魔力に応えるように、バルディッシュは点滅する。 『Get set』 「だから・・・・・・結婚しよう」 膨れ上がった魔力がヴェールのようにエリオを包む。 場違いにもほどがある告白に、ルーテシアは目を見開いて唇を震わせる。 怒るか、それとも呆れるかのどちらかだろうと思っていた。だが、ルーテシアが口にしたのは、そのどちらでもない言葉だった。 「うん、結婚しよう」 その言葉に安堵し、エリオは最後の工程を進める。 メインシステムの起動確認。後は、その名を告げるだけだ。 「バルディッシュ・アサルト・・・・・セットアップ!」 『Set up』 虚空へ投げた宝石が漆黒の戦斧へと姿を変える。 同時に、落雷にも似た魔力が駆け巡り、一瞬でバリアジャケットが漆黒のスーツへと変化した。 『Barrier Jacket, Impulse Form』 純白のマントを翻し、右手でストラーダを、左手でバルディッシュを掴む。 ズシリと伝わる重みは、そのまま彼が背負うべき責任の重さだった。 (背負ってみせる・・・・必ず) 2つのデバイスを一閃させ、魔力の雷を薙ぎ払う。 吹きすさぶ潮風を全身に受けながら、エリオは厳かに・・・だが、力強く告げた。 「時空管理局機動六課準備室ライトニング分隊副隊長、エリオ・M・ハラオウンだ・・・・・お前を逮捕する」                                         to be continued [502]B・A 2008/02/22(金) 01:54:26 ID:IKjjmF0J 以上です。 BGMは金の閃光 (Ver Impulse)でお届けしました。 エリオに最後の台詞を言わせるために敵役を登場させはしましたが、何だか微妙・・・・・因縁も何もない相手ですからねぇ。 そして、これが多分一番意見割れそうなバルディッシュ(とBJ継承)。気を悪くされた方がいればディスプレイの前で土下座しますorz [503]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:58:19 ID:Y164ISND >>502 エリオかっけえええ!!! やっぱり覚悟を決めた漢ってのは格好良いです。 GJ! [504]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 01:59:41 ID:Ot88ZVA6 >>502 GJ! 迷いを断ち切ってパワーアップ+仲間のピンチに参上は やっぱりヒーローの王道ですよね! 次回も楽しみに待っています。 [505]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:00:17 ID:fcfPUjTH GJ!バルディッシュ継承、俺はいいと思うなぁ。 ソニック使ったらどうなるんだ?とか考えないでもないけどw [506]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:04:06 ID:zbiH8Jke >>505 下着レスに直接スパッツとか… 少年時代はともかく大人になってからは見たくない姿だ… [507]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:12:01 ID:Ot88ZVA6 ビキニパンツ一丁でしょ。 [508]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:14:05 ID:998qaqk5 >>414 海鳴の医者ならば。 単純に片足が吹っ飛んだだけなら、飛ぶなら関係無いといって傷が塞がる前に片足で現場復帰も不可能ではない。 休んでなどいられない、すぐに出撃だ! [509]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:17:30 ID:3d2UI7gN やっと結婚宣言か、長かったな。 そしてダブルデバイスで超強化、もはや死角はどこにも無えぜ。 GJです。 [510]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:18:31 ID:dIDpbDd5 >>502 2つのデバイス…つまりダブル武装錬k(ry …だって俺の脳内では成長したエリオ=CV福山なんだw [511]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:23:06 ID:Fj40cshU >>510 浪川をイメージしてたけどそっちの方が納得できるw [512]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:26:12 ID:E96LFrTI >>510 やめて、シャ○さんとくっついた姿しか想像出来ないから福山だけはやめて。 ……しかもセーラー服どころかシャ○さんピンクのフリフリとか言う年齢考えろ的な物着てる姿g [513]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:41:40 ID:TtAZR3qU >>512 福山声のエリオはともかく、ピンクのフリフリ来たシャ○さんは見たいなw [514]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:49:55 ID:m8z4KgGV >休んでなどいられない、すぐに出撃だ! 破壊神乙ッッ!!! [515]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 02:52:12 ID:ebfnjEc+ 個人的には福山声のエリオも良いな・・ >>512 それなんて聖女? <ダブルデバイス ストラーダとともに突撃槍に変形したバルディッシュを幻視した。 貫け!俺のぶs(ry [516]512 2008/02/22(金) 02:56:12 ID:E96LFrTI >>513 ガチでエロいと思うw だってあの服、聖女がひんぬーだからこそ着れるような節あるし。 今ちょっと確認取って来たが、あの服をシャ○さんが着たら多分胸はみだすw [517]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 03:17:27 ID:998qaqk5 >>514 自らを価値無しと思う者のみが、 真に価値無き人間なの! [518]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 05:50:48 ID:QIZOmFlM 馬鹿野郎!シャマルさんは皆の癒しなんだぞ! 下品な親父エロじゃなくて、もっと芸術品のようなエロスじゃねーと納豆じゃねえ納得しないぞ! EDのまつげにマジビビリしたあの聖女の服なんて最高じゃないか! でももう一人の聖女の服の方が雰囲気的には合ってるぞ [519]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 06:52:42 ID:RBOgzKgj >>502 GJ!! 鬱状態からの復帰で新しい力を持ってくるのはいいな 王道だな 次回の新春ダブルデバイス祭りストラーダ&バルディッシュに期待 [520]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 07:50:26 ID:on5ahIdC >>510 脳内で『真赤な誓い』がエンドレス再生されちまったじゃないかw [521]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 07:57:39 ID:ghozJ7Z8 巡り巡って若本ヴォイスに声変わりしたざっふぃー引き連れたシャマルが 頭から離れなくなってしまったんだが。 [522]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 08:08:29 ID:KnqgwLNu >>502 GJ!!エリオかっけー!!すごいバルとストラーダのダブルデバイス!! 良質なSSだ。 [523]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:04:48 ID:f/8Uc/59 そして俺が今投下 注意事項 ・まぁ、初っ端からどえらい捏造です。 ・レジアス中将はモブか悪役だと思っている人は、読まないほうが吉です。 ・でも、フェイトファンには比較的毒が少なかったりします。 ・オリキャラがメイン張ってます。そして今回、その話が重点を置いている部分があります。 ・今回も場つなぎ気味、あるいは原作(と対になる)シーンの消化気味です。 ・あぼーんキーワードは「熱い彗星の魔導師たち」 [524]熱い彗星の魔導師たち 3-01/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:05:35 ID:f/8Uc/59  ミッドチルダの首都、クラナガンは、数十世紀の歴史を持つ古都でもある。  これはなかなかない例だ。  地球で古くからある首都といえば、フランスのパリ、イギリスのロンドン、イタリアの ローマだが、フランスの首都としてパリが今の形態になったのは15世紀、同じくロンドン は16世紀。ローマに至っては、もともとイタリアは都市国家のゆるい結びつきで構成され ていたに過ぎず、そこにバチカンの勢力も加わって混沌としており、ローマが今のような 首都機能を備えたのは、20世紀も半ばに差し掛かってからといっても過言ではない。  日本は少し事情が特殊だが、東京は江戸開闢1603年だから4世紀程度、正式に首都にな ってからは2世紀も経っていない。しかも、大正12年の関東大震災と、昭和19〜20年の米 軍による無差別都市爆撃で、過半数以上の建造物を失っている。  逆に、その前に首都だった京都は、11世紀近くにわたって正式な首都だったが、実際に は1192年に鎌倉幕府が開闢してからは、その首都機能は本来の首都ではなく、幕府の本陣 が持っていた。  クラナガンもまた、途中に聖王大戦という破滅的な歴史をはさむものの、続いて発生し た『旧暦崩壊の次元災害』では、ミッドチルダはそれ程極端な破壊は受けていない。  ただ、正式に地名として変わってはいないとは言え、建物の老朽化や、過剰な過密状態 を避け、都市機能をリフレッシュする為に、その中心部は数度、移転している。それに伴 い、活用が難しくなった地域を、犯罪抑止の観点から計画的に封鎖する。これを“廃棄区 画”という。  ほとんどの廃棄区画は、都市計画に沿って再利用されるのだが、その一画だけ、時空管 理局が、都市治安維持訓練の為に、確保していた。  その廃棄区画で、機動6課、高町なのは率いる第1小隊『スターズ』と、フェイト・T・ ハラオウン率いる第2小隊『ライトニング』は、日課である訓練をこなしていた。  もっとも、午前中は執務官として、巡航警備部の事務処理をしながらの待機になるフェ イトは、この場にいない。さらに、ライトニングの副隊長であるシグナムの姿も、ここに はなかった。 「よーし、ランニングここまでっ」  スターズ小隊の副隊長であるヴィータが、振り返り、そう告げた。 「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」  ティアナ達は腰をかがませ、息を荒くしている。唯一、スバルだけが、あまり息を上げ ていない。 「エリオ、あんた、人一倍食べる、んでしょ、へばって、ないでよ」  ティアナは、自分の息を荒くしつつも、コンクリートの上にへばっているエリオに、そ う言った。初日には、まだ身体の出来上がっていない、ライトニング小隊のエリオ・モン ディアルや、キャロ・ル・ルシエにはきついかとも思ったが、12歳のマギーが平然とあれ だけの高機動と射撃を繰り返しているのを見て、その考えは吹っ飛んでしまった。 「は……はい」  エリオは、そう言って、身体を起き上がらせる。 「今なのはがシミュレーターの準備してるから、それまで小休止だ。休んでていいぞ」  ヴィータは、少年のような笑みを浮かべて、そう言った。 「副隊長、ひとつ、質問良いですか?」  ティアナは、軽く手を上げて、ヴィータに問いかけた。 「あん? おぅ、いいぞ」  一瞬きょとんとしてから、ヴィータは笑顔で応じる。 「昨日の夜、レッドフレイム小隊の模擬戦風景を見てしまったんですけど……」  ティアナが言うと、ヴィータの表情が引きつった。 [525]熱い彗星の魔導師たち 3-02/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:06:04 ID:f/8Uc/59 「アリサさん……バニングス隊長とスクライア副隊長、とてもリミッターがかかってるよ うには見えなかったんですが……」  ティアナは、ヴィータの様子の変化には気付かず、そう問いかけた。 「あー」  ヴィータは、かったるそうに答える。 「まず訂正、あのフェレットはもう籍入れたそうだし、昔からファミリーネームで呼ばれ るの嫌いだったから、ユーノの方で呼べ」 「あ、す、すみません」  ティアナは顔を赤くして、慌てたように言った。傍らのスバルが、それを見て苦笑する。 「バニングスの公式ランクはC+だからな。換算7.5。お前らより低い」 「でも、非公式SS-とか言われてる人なんでしょ?」  ヴィータの答えに、わきから、スバルが聞き返した。 「あくまで非公式だしな。それに、リミッター自体は、魔法出力の制限でランクダウンを 図るシロモノだろ?」 「あ…………」  ヴィータが、不機嫌丸出しの表情で答えると、スバルは、口元を押さえたティアナと、 顔を見合わせた。 「もともとアイツの魔法出力は10万ちょっと。今はもうちょっと上がってるかもしんねぇ が、そんなヤツに、上限AA+の出力リミッターかけても、まったく意味ねー。ユーノは、 もともと今のあたしと同じAA。ウェンディ・ゲイズがB+、マーガレット・リーゼ・G・ア ルピーノがB+。レッドフレイムは余裕ありまくりなんだよ」  ヴィータはそこまで言って、一旦ため息をついた。 「アルピーノ二士、あれでB+なんですか!?」  ティアナは、スバルを押しのけるようにして、訊ねる。 「ああ。理由はしんねーけど、上の誘い断ってBのまんまにしてるらしい。本来ならその 気になればAAも余裕だろーけどな」  ヴィータの答えに、ティアナとスバルは顔を見合わせる。ティアナは小首をかしげ、ス バルは軽く肩をすくめた。 「ま、あたしとしては面白くねーが、連中のおかげで、あたしらも少し楽になってるから な」  ヴィータは、あまり愉快ではなさそうな表情で、そう言った。 「そうなんですか?」  ティアナが、訊き返す。 「大隊の保有制限は、小隊1個につき換算値50が上限だろ? ただ、大隊内で融通しても良 い事になってっからな。レッドフレイムは換算43.5だから、その分スターズとライトニン グの制限が緩められる。あたしが4ポイント貰ってA+予定がAA、他の隊長陣がそれぞれ0.5 貰って、シグナムがAA、なのはとフェイトはそれぞれAA+」  指折り数えるような仕種をしながら、ヴィータは説明した。 「ふーん……」  スバルは、納得したような、どこか気の抜けたような声を出した。 「副隊長、バニングス隊長と何かあったんですか?」  ヴィータの不機嫌そうな様子に、ティアナは訊ねた。 「ま、ちょっとあってな」  ヴィータはそう答えると、そっぽを向いて、なのはのいる方へ歩いていってしまった。 「みんなー、用意できたから、始めるよー」  そのなのはが、声を上げて、スターズとライトニングの小隊員を呼んだ。 [526]熱い彗星の魔導師たち 3-03/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:06:31 ID:f/8Uc/59 熱い彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜  PHASE-03:Discipline  機動6課隊舎、居住区。  1階はスターズとライトニング、それに後詰め及び3:00〜8:00の待機任務を行う第4、 第5小隊が、2階は本部小隊『ロングアーチ』と支援小隊『ミーンズ』、それにやはり後詰 め部隊である第6小隊が入る。  レッドフレイムは3階、当初はミーティング用の会議室に使用する予定だった部屋を住 居に小改装して使用している。急遽居住室に転用した為、鍵が魔術コードキーではなくド アノブ一体の物理錠だったり、インターフォンの配線がむき出しだったり、空調の吹き出 し口がインテリアタイプではなくオフィス・大規模店舗向けの典型的な集中空調用のもの だったりするが、調度品も運び込まれ、そのものは下の居住フロアのものと変わらない簡 易システムキッチンも作りつけられ(ただし、換気扇は窓付け用だったが)、居住施設とし ての設備は整っている。  アリサは夜間待機明けの睡眠中、もそっとベッドから抜け出した。  2段ベッドの上段から、はしごを伝って降りる。  その軋みと物音に気付き、ユーノがぼんやりと眼を覚ました。 「アリサ、どこ行くの?」 「おトイレ」 「あー……」  お互い、寝ぼけた口調で、そう交わす。それから、アリサは、ブラインドの下ろされた 薄暗い室内から、出て行った。 「んー」  明るい廊下を、ピンク色の上下のパジャマで、歩いている。  バンバラバラバラバラバラバラバラ……  ────ヘリ? ヴァイス陸曹かディエチ二曹?  しかし、ヴァイスが任されているタンデムローターのJF705とも、ディエチが預かって いる交差パラレルローターのJFM165とも、比べて、音が軽いような気がする。 「? 民間のヘリ?」  民生用の白っぽいヘリが、北棟の上空を通過していくのが、居住区の南棟の窓から、見 えた。 「新聞社……?」  ヘリの底部には、アリサも何度かは聞いたことがある、スポーツ紙のロゴが入っていた。  ぼんやりと、その光景を見ていたアリサだったが、ふと北棟の屋上を見て、ばっと眼を 開き、窓に飛びつく。  その、北棟の屋上では…… 「シグナム副隊長は、訓練に参加しないんですか?」 「ああ」  本部小隊『ロングアーチ』所属、デバイス技術官兼『スターズ』小隊通信・情報支援担 当のシャリオ・フィニーノ一等陸士は、屋上のベンチで湯飲みに入れられた緑茶をすすり ながら、のんびりとしているシグナムに、やはりのんびりとした様子で、微笑みながら問 いかけた。 「私は人にモノを教えるという柄ではないからな。それに、スバルやエリオの近接戦闘も、 現代ベルカ式で、私とは少し、勝手が違う」 「ふーん、そうなんですか」  そう、2人がのんびり会話を交わしていると。 [527]熱い彗星の魔導師たち 3-04/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:07:00 ID:f/8Uc/59  コツンッ 「あたっ」  何かがシャーリー(シャリオ一士の通称)の、おでこに命中した。 「!?」  シグナムは、緩んでいた表情を引き締め、それが飛んできた方向を見やる。  ────南棟……しかし屋上には、それらしい気配は…… 「んー、なんか書いてありますよ、これ」  赤くなったおでこをさすりながら、シャーリーは、コインを何枚かくるんだその紙を、 広げる。 「『サボるなら建物の中でやれ!』だ、そうです」 「? ……!」  シグナムは、ようやくそこで、ピンク色のパジャマを着たアリサが、3階の窓を開け、 こちらを見て、上を指差しているのが見えた。 『バカシグナム! 上空! 報道ヘリ!』  アリサは、念話で怒鳴りつけてきた。 「何?」  バンバラバラバラバラバラバラバラ……  シグナムが上を見ると、廃棄区画と6課隊舎の上空を旋回していた、小型ヘリが、ロー ター音にドップラー効果を残して、去っていくのが見えた。  夕刻。 『激写! 管理局特別部隊の午前中。これならクラナガンの治安も安心だ』  シグナムとシャーリーが屋上でのんびりとお茶を啜っているところを捉えた写真が、大 伸ばしにされ、ゴシップ系のスポーツ紙の三面記事をでかでかと飾っていた。 「ふんっ!」  陸士総隊・ミッドチルダ地上本部の治安防衛長官室で、レジアスはそのスポーツ紙を引 き裂くと、ぐしゃぐしゃに丸めて、ゴミ箱に放り込んだ。円筒形のゴミ箱は、勢いでガラ ンガランと揺れた。 [528]熱い彗星の魔導師たち 3-05/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:07:33 ID:f/8Uc/59  ──20:00(MSTC)。 「スターズ小隊、待機任務をレッドフレイム小隊に引き継ぎます」 「同じくライトニング小隊、待機任務をレッドフレイム小隊に引き継ぎます」 「レッドフレイム小隊、待機任務引継ぎ了解しました」  なのはとフェイトが横に並び、敬礼しながら言うと、アリサも敬礼しつつ、返答した。 「で、なのは、アンタどうして航空戦技の制服着てるワケよ」  手で敬礼したまま、アリサは、呆れたような眼で、そう言った。 「えっ?」  ドキッ、としたように、なのはは言い、キョロキョロと、自分の肢体を見回す。 「えっと、こっちの制服の方が着慣れてるし、訓練で動きやすいから……」  なのはが戸惑いがちに言うが、アリサに納得した様子はない。  はぁ、と、盛大にため息をついてから、アリサはなのはを睨み、 「あのね、ここは一応、巡航警備部本部の管轄って事になってんのよ! 任務中に、バリ アジャケットでもない他所の制服着てるだなんて、昼間のシグナムと言い、陸がツッコミ 入れる口実になるわよ!」  と、憤りの表情で、乱暴に言う。 「で……」 「まぁまぁ、アリサ、その辺にしてあげて」  なのはが何か言おうとしたのを、フェイトはとっさに遮って、アリサを宥めるようにそ う言った。 「シグナムの件は、私の責任でもあるし、これから注意する」 「ん、お願いね。まぁあんなゴシップ紙、レジアス中将は、直接は読んでないと思うけど」  ため息交じりに、アリサはそう言った。さすがにアリサも、その予想が外れているとは、 思っていなかったが。 「フェイトちゃん……でも」 「なのは、今のはアリサが正しいよ。明日からは巡航警備部の二種制服か、その制服を着 続けるんなら、はやてとの口約束じゃなくて、正式に特別許可を申請して」  困惑気な表情で反論しようとするなのはに、フェイトはしかし、険しくもないが、優し くもない、ニュートラルな表情と口調で、そう言った。 「うん……フェイトちゃんもそう言うなら、そうする」  なのはは、俯き加減に、渋々とした表情で、フェイトに向かって言った。 「それじゃ、小隊員を慣らしてくるので、あたしはこれで失礼」  アリサは、少し不機嫌そうにしながら、オフィスを出て行った。バタン! と、ドアは 乱暴に閉められる。 「アリサちゃん、やっぱり、私の事、もう、お友達だと思ってないのかな……」  なのはは、アリサが出て行ったドアを見ながら、悲しそうにそう言った。  フェイトは、困惑気な、複雑そうな表情で、なのはとドアを、交互に見た。 [529]熱い彗星の魔導師たち 3-06/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:08:39 ID:f/8Uc/59 「さーて、じゃ、今夜はぼちぼちチーム戦の模擬戦やってみますか」  20:45────6課隊舎裏の廃棄区画。  強烈なライトが照らす下で、アリサはそう言って、シミュレーターの設定の為、非実体 の光学コンソールを呼び出す。 「スタイルは、……スカリエッティ型傀儡兵、2足歩行型。で良いかしら?」  アリサはそう言って、思わず、といった感じで引きつってしまう表情を、解してから、 ウェンディとマギーを見た。 「良いんじゃないっスか?」 「私も、構わないわよ」  ウェンディはさらりと言い、マギーも即答した。 「僕も、それで良いと思うけど」  苦笑気味に、ユーノも同意した。 「それじゃ……」  アリサが、設定作業に戻ろうとしたとき。  ガサガサッ  背後の森から、誰かが出てくる。 「?」  さすがに、場所的に犯罪者の類ではないだろうと思ったが、4人は、音源の方に注視し た。 「ありゃ」  アリサが間の抜けた声を出す。  光の下に姿を現したのは、ティアナとスバルの、スターズ小隊の2人組だった。 「すみません、バニングス隊長」  ティアナは、落ち着いた態度で、そう言った。 「別に良いけど、なに? 見物にでも来たの?」  嫌味や皮肉というわけではなく、アリサは笑顔で、そう訊ねた。 「ええ……できれば、一緒に参加させてもらえたらと思ってますが」 「ちょっ、ティア、本気なの?」  スバルが、驚いたような声を出して、ティアナを見た。 「それじゃ、スバルはそう言うつもりじゃなかったわけだね」  ユーノが、聞き返すように言った。 「んじゃ、今日のところは、あたし達が何やってるか見学、ね」  アリサはそう言うと、コンソールに向き直る。 「それじゃ、出力A-相当に設定するわよ、今日のところは、A.M.F.はなしで、2体ずつの 2packs、出現位置は、半径200mで、フルランダムと」  光学キーボードを叩きながら、アリサはそう言った。ディスプレィには、3年前の事件 前後にスカリエッティが使用していた、無骨なロボットが表示されている。 「それじゃ、今日のところは、マギーとユーノでfirst pack、あたしとウェンディでbehind packで行くわよ」  そう言って、アリサはカウントダウンタイマーを設定すると、レイジングハートを握り なおす。 「了解っスー」 「O.K.よ」  ウェンディとマギーも、アンダウンテッドアイアスとWS-Fを握り、返事を返した。 「!?」  その様子に驚いて、ティアナとスバルは顔を見合わせた。 [530]熱い彗星の魔導師たち 3-07/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:09:08 ID:f/8Uc/59 「ちょ、ちょっと待ってください!」  ティアナは慌てて、前に出て、アリサを呼び止めるように、声を出す。 「バニングス隊長とユーノ副隊長も、模擬戦に参加するんですか?」 「? 当たり前じゃない」  アリサは、なんでそんなことを、というように言うと、ティアナに向き直る。 「4人揃っての小隊なのに、チーム戦であたしとユーノが参加しなかったら、何の意味も ないでしょーが」  アリサが当然のように言った。  ティアナは、スバルを振り返る。2人して、円くなった眼で、顔を見合わせた。 「それじゃ」  アリサが、コンソールのキーを押すと、非実体コンソールは一旦その姿を消した。変わ りに、大型の、非実体ディスプレィが、3面、出現する。自動追跡で、レッドフレイム小 隊の行動状況を映し出すように設定していた。 『Ready』  電子音声のような声が、それを告げる。  レッドフレイム小隊の全員が、デバイスを構えなおす。 『Start!』  そう告げられるが、仮想敵は、すぐには姿を現さない。  4人は、廃棄区画のさらに内部に繋がる扉の両側に、張り付いた。  ユーノが、アリサに視線を走らせると、無言で、アリサが頷く。ユーノがドアの正面に 向き合うと、ドアを蹴り開けた。 『Protection, Reactive mode』  それと同時に、アンブロークンイージスに、攻勢防壁を展開させる。しかし、ドアの外 から見える範囲には、仮想敵はいない。ユーノは、攻勢防壁の駆動を停止させる。  マギーがその後から外に出て、ユーノより前方に出る。 『Lighting』  WS-Fの声が響き、30W蛍光灯程度の明かりを生む。  魔導師以外か、Dランク程度までの魔導師を相手にするなら、明かりをつけるなど、文 字通り“闇夜に提灯”だが、相手が傀儡兵のような自律魔導機械や、高ランク魔導師なら、 それを気にかける事はあまり意味がない。  アリサとウェンディが、ドアの後ろ側に注意しつつ、出てくる。 「検索、あたしがいくっスか?」  アイアスを構えたウェンディが、アリサに訊ねる。 「ううん、あたしがやるわ。最近使ってなかったし、もともと得意じゃないから、錆び付 いてるかも」  言って、アリサは、両手でレイジングハートを握る。軽く眼を閉じた。 『Area search』  アリサの足元を中心にして、鮮やかなオレンジ色の魔力光の、魔法陣が駆動を始める。  ウェンディは、そのアリサに寄り添う位置に移動し、フローターボードを増加装甲とし て連結したままのアイアスを、掲げるように構える。 「接近……方向は……ウェンディ!」  アリサが顔を上げたのと同時に、暗闇の中に、ぼっと魔力弾が現れ、アリサ達の方向に 向けて迸る。 『Round shield』  アイアスの前面に、2人を覆える赤紫の光の盾が、出現した。 「バックアタックぐらいじゃ、そう簡単には貫(ぬ)けないっスよ!」  自らのシールドとぶつかり合い、火花を散らす魔力弾を受け止めながら、ウェンディは そう言った。 [531]熱い彗星の魔導師たち 3-08/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:09:42 ID:f/8Uc/59 「くっ、そっちか」  ユーノが良い、マギーとともに、アリサ・ウェンディと入れ替わろうとする。 「待って! マギー、そっちにも居る!」 「!」  アリサの声に、それが完全に言い終わる前に、マギーは後ろを振り返っていた。 『Round shield』  ガキィィンッ  ベルカ式アームドデバイスを模した、大型ファルシオンが、マギーに向けて振り下ろさ れる。マギーの張った、穏やかなオレンジ色の魔力光のシールドが、それとぶつかり、魔 力がぶつかり合って火花を散らしながら、凌ぎあう。 「ぐぅっ……」 『Load Cartridge』  ドン、ドンッ  WS-FのCVK-896Bの機関部が、2発のカートリッジを撃発させると、シールドの輝きが増 し、質量で圧されかけていたマギーが、少しずつ圧し戻し始める。  ドンッ  イージスの機関部から、撃発したカートリッジが排莢されると、ユーノはイージスの下 端部を水平より上に上げ、射撃位置に構えた。 『Divine Clasher』  緑の、光の槍が飛び出すと、マギーと凌ぎあっていた傀儡兵を、その真正面に捉える。  昼白色の、ベルカ式のシールドが現れ、それに備える。だが、ユーノの射撃はそれを簡 単に砕き、撃ち抜いた。 『Load Cartridge』  ドンッ  正面の傀儡兵が擱座すると、マギーはWS-Fを振り上げつつ、カートリッジをさらに1発、 撃発させる。  ザッ、と足元を踏みしめ、WS-Fを、突き出すように構える。 『Braze Canon, Break shot』 「ハッ!」  オレンジ色の魔力弾が集束したかと思うと、散弾状に迸る。  ドンドン、ドンドンドンッ!  背後にもう1体いた、別の傀儡兵の周囲に、それが着弾する。1発がシールドを抜いて傀 儡兵の右脚に命中した。完全には破壊されなかったが、駆動機構が損傷し、軋みを上げな がら、動きが鈍る。 『Break slash』  翼の飾りの部分から、オレンジ色の魔力刀が出現し、WS-Fは長巻を模る。 「ヤッ!」  飛行魔法を併用して放物線を描きながら、動きの鈍った傀儡兵ほ、マギーは袈裟斬りに した。  魔力素の霧を吐き出しながら、傀儡兵は擱座する。  ────その、マギーとユーノの動きと、並行して。 『Detached Floater board』  アイアスはフローターボードを切り離す。その間にも、大型ファルシオンが、2人めが けて振り下ろされる。 『Protection, Dual exercise』  ガキィンッ  二重に発生した、赤紫の光の盾が、それを凌ぐ。 [532]熱い彗星の魔導師たち 3-09/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:10:07 ID:f/8Uc/59 「こんななりでも、馬力じゃ負けないっスよ〜」  ウェンディは妙に楽しそうに笑い、カートリッジもなしに、悠々とそれを支える。 「アイアス!」 『Shield explosion!』  ドォン!!  ウェンディの張ったシールドが、大爆発を起こす。 『Load Cartridge』  爆煙が晴れると、ファルシオンは無残に折れ曲がり、武器としての性能を大幅に損ねて いた。  カートリッジを1発、撃発させたアイアスを、腕と平行に構えて、下端部の射撃端子を、 仰角で傀儡兵を狙う。 『Divine Clasher』  赤紫の魔力弾が、端子に集束すると、傀儡兵の胸元めがけて、発射された。  黄緑がかった金色のシールドが発生し、その射線を妨げる。  ビシッ  シールド自体は貫かれたが、魔力弾も減衰し、物理装甲で弾かれる。 「これで、どうっスか!?」 『Edge slash』  間髪入れず、ウェンディは傀儡兵の懐に飛び込む。射撃端子を中心に魔力光のシャープ エッジが出現する。  ガコン!  首元に叩き込まれ、そこでバチバチと火花を散らす。傀儡兵は首を仰向かせ、そのまま 動力を失ってその場に擱座した。 「ウェンディ、飛べっ」 「!?」  アリサの言葉に、ウェンディは眼差しを険しくしつつ、跳躍する。そのまま、フロータ ーボードの上に飛び乗り、さらに上昇する。  ウェンディが一瞬前までいた領域を、残る1体の傀儡兵の砲撃が薙ぎ払った。 『Fire slash』  レイジングハートが、鮮やかなオレンジ色の魔力光を帯びる。 「はっ」  アリサが、上段から斬りかかるが、赤みがかった白色のシールドがそれを遮る。レイジ ングハートが帯びる魔力とぶつかり、反発して激しく火花を散らす。 『Ray Lance, Homing shot』 「アリサ!」  アイアスの射撃端子から、青白い魔力弾が放たれる。それは、初速はアリサが多用する レイ・ランスより遅かったが、弾道は捻りを加えて、傀儡兵の背面に回りこんだ。  バチバチバチバチッ  その着弾点にも、シールドが発生し、ウェンディの魔力弾を受け止める。ウェンディの 魔力弾は、すぐに霧散してしまう。 「だりゃあぁあぁぁ!!」  レイジングハートを受け止めていたシールドが砕け、魔力素の霧となって霧散する。レ イジングハートが傀儡兵のボディ本体を叩くと、帯びていたオレンジ色の魔力光が、波紋 のように、傀儡兵のボディに伝わっていった。  バツン、ボスッ!  傀儡兵の関節に火花が散り、首からひときわ大きく黒煙を吐き出すと、動力が停止し、 その場に擱座する。 [533]熱い彗星の魔導師たち 3-10/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:10:32 ID:f/8Uc/59 「アリサ!」  マギーが2体目の傀儡兵を倒したのを確認したところで、ユーノはイージスの射撃端子 を構えたまま、アリサ達の方を向いた、その時。 『Situation completed』  電子音風の音声が響き、周囲を魔力光の照明が照らし出した。 「状況終了、か」 『Yes, Master』  レイジングハートが答える。 「それじゃ、引きあげましょっか」  にこっと笑って、アリサはそう言った。 [534]熱い彗星の魔導師たち 3-11/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:10:57 ID:f/8Uc/59  最初にくぐった扉を反対に通り抜け、6課隊舎裏の森に出る。  そこには、立ち尽くしたまま、ぽかーんと、3面のモニターを見つめている、ティアナ とスバルの姿があった。 「なんだ、座って見てれば良かったのに」  アリサは、そう言いつつ、非実体コンソールを呼び出す。  キーを操作すると、擱座していた、4機の傀儡兵が、アナログテレビの非受信チャンネ ルのような砂嵐のシルエットになり、そしてそれが薄まって、消えた。 「いつも、こんな実戦的にやってるんですか?」  3面の大型モニターも消えると、ティアナが割れに返って、アリサにそう訊ねた。スバ ルは、まだ呆けている。 「まぁ、待機任務入り始めの準備運動みたいなものだし、勘を鈍らせない程度にね」  アリサは苦笑交じりに、そう言った。 「あ、マギーとウェンディ、先にシャワー浴びちゃって」  アリサは、2人にそう言ってから、ユーノの方に視線を向ける。 「あたし達は後からでいいわよね? ユーノ」 「うん、構わないんじゃないかな」  ユーノも、穏やかに笑って、そう答えた。 「はいっスー」 「お先に失礼するわね」  そう言って、ウェンディとマギーは、6課隊舎に戻っていった。 「あ、あの、バニングス隊長」  片付けを終えて、隊舎に戻ろうとしたアリサを、ティアナがまた、呼び止める。 「ん、なに?」  アリサは、何気ない感じで、ティアナを振り返る。 「私も、その、明日から、参加させてもらえませんでしょうか? 自主的に……」 「ティア?」  軽く驚いたように、スバルが、ティアナを見る。 「それは予想してたんだけど、うーん、基本的に、2onのPacksでやってるから、ティアナ 1人だと……あたしとユーノが、交替で抜ければ良いのかな」  アリサはそう言って、顎に手を当てて考え込む。 「あ、そ、それなら、あたしも参加します!」  はいはい、と、手を上げるように、スバルがティアナを押しのけるように身を乗り出し て、そう言った。 「んー、ま、それなら丁度いっか。2人ともBランクだし、危ない事はないっしょ」  アリサは、笑顔で、そこまで言ってから、右手のひとさし指を立てて、 「ただし、2人の参加は23時がLimitね。それ以上は、翌日の勤務に支障が出るから、だめ」  と、言い聞かせるように、言った。 「は、はい、判りました!」  ティアナとスバルは表情を明るくして、そう言い、そして、声をそろえながら、アリサ に深々と頭を下げる。 「ありがとうございます!」 [535]熱い彗星の魔導師たち 3 設定1/2 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:14:32 ID:f/8Uc/59 こうした設定は本来は本文中に織り込むもので、資料として出すものではないというのが信念なんですが、 押し込めるかどうか判らないので、ここで一部設定を書かせていただきます。すみません。 管理局認定試験における魔法出力値制限(足切り)  F:認定試験なし。登録のみ  E:なし  D:平均15万もしくはピーク30万  C:平均30万もしくはピーク60万 ←つまり、アリサは、認定試験だと本来Cランクも受験不可能。  B:平均40万もしくはピーク80万  A:平均55万もしくはピーク110万  AA:平均90万もしくはピーク180万  AAA:平均120万もしくはピーク240万  S以上:平均120万もしくはピーク240万 + 魔力総合適正測定 保有数計算係数(換算値)  F=1  E=3  D=5  C=7  B=9  A=13  AA=17  AAA=21  S=27  SS=33  SSS=39 ティアナ…… 9 スバル……… 9 ヴィータ……21.5(制限時/アリサ参加前:A・13 アリサ参加後:AA・17) なのは………27.5(制限時/アリサ参加前:AA・17 アリサ参加後:AA+・17.5) スターズ合計:67(制限時/アリサ参加前:48 アリサ参加後:52.5) キャロ……… 8.5 エリオ……… 9 シグナム……26.5(制限時/アリサ参加前:AA-・16.5 アリサ参加後:AA・17) フェイト……27.5(制限時/アリサ参加前:AA・17 アリサ参加後:AA+・17.5) ライトニング合計:71.5(制限時/アリサ参加前:51 アリサ参加後:52) マギー……… 9.5 ウェンディ… 9.5 ユーノ………17 アリサ……… 7.5 レッドフレイム合計:43.5(4.5をスターズに、1をライトニングに、0.5をロングアーチに融通) 大隊の保有制限は、小隊1個に付き換算値 50が上限。 同一大隊(課)内で融通可能。ただし支援小隊からの融通は禁止。 (そうしないと低ランカー集めた支援小隊を作ってフォワードに高ランカーを集めることができてしまう) [536]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 09:22:07 ID:0Gav09l7 sien [537]熱い彗星の魔導師たち 3 設定2/2 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:24:01 ID:f/8Uc/59 6課の編成について補足 原作では「交替部隊」について詳しくは言及されていませんでしたが、 ・3交代制 ・日勤1〜2個小隊 ・夜勤1個小隊 ・深夜勤1個小隊 ・週1〜2ペースで休暇  の条件を織り込むと、6個小隊が最低必要となるため、フォワード3小隊+ビハインド3小隊を確定しました。 支援小隊「ミーンズ」 ・輸送、補助小隊。 ・ディエチの他に、ヴァイス、ザフィーラもここに所属。 ・名義上の小隊長はシャマル。 ・「ロングアーチ」は“本部小隊”。 機動6課大隊の編成 ・第1、第2のフォワード小隊、第4のビハインド小隊、支援小隊、本部小隊は八神はやてが中隊長兼任の直率。 ・第3のフォワード小隊と、第5、第6のビハインド小隊はアリサ・バニングスが中隊長兼任。(陸からの捻じ込みではなく、他に佐官がいない為の措置) JF705型ヘリ ・タンデムローター。(ボーイングCK-47『チヌーク』などと同様の形態) ・クラスとしては原作のJF704とほぼ同一 ・浮遊魔術式ジャイロを組み込んでおり、空戦可能なほどの機動性を持つ JFM165型ヘリ ・交差パラレルローター。(カマンK-MAXと同様のローター配置) ・型としてもJF705型よりやや古いが、やや小さくカテゴリ自体が別。 ・ただしディエチに与えられたのは正真正銘、陸からの中古品。 [538]熱い彗星の魔導師たち 3 PHAS02訂正 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:26:40 ID:f/8Uc/59 普段、投下したSSの文章はよほどのことがない限り訂正しないのですが、 前回はあまりにひどかったので、予め修正をお願いしておきます。 保管される方、お手数おかけします。 “アルピーヌ”(誤)→“アルピーノ”(正)  06/11(>>206)20行目  07/11(>>207)06行目  11/11(>>211)09行目   02/11(>>201):×「それぐらい別ってるっスよ〜」→ ○「それぐらい判ってるっスよ〜」 06/11(>>206):×「あたしが生まれたてしばらくたった頃、…… → ○「あたしが生まれてしばらくたった頃、 08/11(>>208):×「〜、ちょろっと文字戦でも…… → ○「〜、ちょろっと模擬戦でも……」 11/11(>>211):  × 自主トレと称して、夜中の森に軽いランニングに出たティアナは、それを見て、呆然と してしまった、    ↓  ○ 自主トレと称して、夜中の森に軽いランニングに出たティアナは、それを見て、呆然と してしまった。  他に句読点の打ち方がおかしい(“、”であるべきところが“。”になっている)ところを、  携帯で呼んでいたときに発見していたのですが、見つけられなくなってしまいました。  お気づきの方、お知らせください。 [539]熱い彗星の魔導師たち 3 15/11 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/22(金) 09:28:23 ID:f/8Uc/59 >>524-535,>>537-538 今回は以上です。 だんだんU-1色が強くなってきたかな…… 次回あたり大暴発しそうです。 [540]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 09:34:31 ID:ihrn6gh6 凄い勢いで魔王フラグ……ティアナの明日はどっちだ。教導隊流とアリサ流の激突に期待。 でもこの様子だとなのははW型に落とされてない予感。 過去に落とされてて今のアリサとなのはの関係なら薄情すぎる…… [541]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 10:01:45 ID:ghozJ7Z8 GJ!というか、シグさんここでもニート扱いカワイソス(ニヤニヤ [542]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 10:19:22 ID:wi5YSrnt 夜寝て、朝起きたら未取得レス数が70超えてるし……何と言う戦場。何と言う地獄。 [543]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 10:29:31 ID:thdMo8wO >>502 正直言ってエリオがカッコよすぎるぜ!!!!! テンションもうなぎ登り! 覚悟を決めたエリオ・・・最高だ! 今の彼はルーを狙う敵には絶対に負ける気がしない。 [544]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 10:45:51 ID:UTCUNs+h >>539 GJ、本編だとスターズやライトニングの連携がFWメンバー、隊長陣で分かれてる様に見えたから、小隊としての連携が面白い そしてシグナム=ニートは最早デフォなんだなとw [545]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 11:07:03 ID:D9mssuUY >>539 漫画版パトレイバーを読んだクチですか?と、野暮なツッコミをしてm(ry ともあれGJ、確かにちょっと独自色が濃くなってきたかな?とも思いますが基盤がしっかりしている分そこまで酷いとは感じませんでした むしろオリジナル要素によって展開に幅が出てきてこれからの展開が楽しみに。無理しない程度に次も頑張ってください、待ってます [546]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 11:29:33 ID:mKDuagxl >>539 GJです。確かにベクトルとしてはそう見えなくも無いですかね<U-1 ここまで改変したんだから、どうしても本編基準部分で無理が出てしまうと言うことでしょうか? お話しとしては、本局基準で、聖王教会すら抱き込んで動いてる(実際はカリムからの要請)6課主要メンバーと 本局や教会の介入が面白くない地上本部とその協力者アリサたち、どちらもそれぞれの思惑があるので 善悪の区別は当然ありませんね。そういえば対AMF戦闘の予算とかどうなったんだろう?(見逃してたらすいません) これがあると無いとでは6課の存在意義そのものに影響するし、戦闘機人のデータと現物も手に入ったんだから 対策くらいできるだろうし、ここら辺が良く分からんかった [547]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 12:15:01 ID:OGkcYN3i ガタゴトチューチューガタゴトチュチューガタゴトチューチューガタゴトチューチュー 〜規制で社窓から〜 ちょっと投下させてくださいな ふ、ソラノカケラのひとつ前のSSに、或る執務官の姿あり などと前々スレでも妙な高打率っぷりを更新しつつ、それはともかく ちょっと思いついた、たあいのない話です 短かったので本編をつけてみました…あれ? 捻れた次元軸のお馬鹿フェイトさんです、御注意ください ユーノは出てきません、しまったザフィーラ忘れたどうしましょう 残業中のフェイトさんの布団がわりにされていました、と目撃証言 エロ味も入れ忘れました、すいません [548]或る執務官の空気枕 2008/02/22(金) 12:17:01 ID:OGkcYN3i それは、遠い記憶。 毎日会いに来てくれて、服を着替えさせてくれたり、優しく撫でてもらったり、 色々なお話をしたり、ちょっと恥ずかしいお手伝いとかまでしてもらった記憶。 歩行訓練の時とか、手をとって、身体を支えてくれて、それでも転んでしまった私を、 柔らかく抱きとめてくれて、嬉しくて、ついしがみついたまま離れ難くなって、 「えーと…なのは、大丈夫? どこか痛くした!?」 「にゃはは、そういうわけではないのですが…」 甘い香りに、意識が遠くなる。 だから、エクシードモードの設定の時、バリアジャケットも新調する事になって、 ちょっとした思い付きで、インナーのカラーリングには、黒を選択した。 傍に居てほしい、ただそれだけの想いを込めて。 [549]或る執務官の空気枕 2008/02/22(金) 12:17:47 ID:OGkcYN3i 『或る執務官の空気枕』 JS事件も終息した機動六課にて、薄明の会議室の光学パネル、 かの聖王のゆりかご内部における戦闘の、記録映像が映し出されていた。 室内に居るのは二人、古代遺物管理部機動六課部隊長である八神はやてと、 ライトニング分隊の隊長であるフェイト・T・ハラオウン執務官である。 連日連夜の残業、本日の部、8時間目を突破したところであった。 これぐらい無限書庫では日常茶飯事だぜ、とサムズアップしたのは2時間前の話である。 次に会った時には、スクライア司書長に優しく接してやろうと心に決める二人であった。 「やっと…終わったわぁ……」 6時間前、あまりの仕事量に地蔵変化して現実逃避していた部隊長が、溶けながら呟いた。 「あとは、この映像をチェックして…終わっていいんだよね?」 「うんうん、そして360分の休憩や、誰にも文句は言わせへん……」 立場上規定されている睡眠義務を、連日違反し続けていた2人であった。 それはJS事件の残務処理、隊舎の再建なども含むその苛烈な分量に対して、 隊員はかなりの数が負傷療養中という、気が遠くなるような状況下での惨劇である。 そのような修羅場を象徴するかの如く、映像の中では白いバリアジャケットの同僚が、 壮絶な親子喧嘩を繰り広げながら砲撃で壁抜きをしたりと、問答無用の大暴走進行形であった。 そんなパネルを見つめている二人の視線が、一点に注がれている。 虚ろな瞳で、表情で、やさぐれきった雰囲気を醸し出しながら、 ずるずると出涸らしの番茶を啜りつつも、視線を外さない。 [550]或る執務官の空気枕 2008/02/22(金) 12:18:34 ID:OGkcYN3i 揺れていた。 たまらぬエクシードモードのバリアジャケットであった。 「揉もか」 「揉もう」 そういうことになった。 翌朝。 医務室へと訪れたスターズ分隊隊長を、有無を言わさず、揉んだ。 後ろから金色が、寄せて上げるように絞り上げ、有り難く頂くは、正面。 制服の上から揉むと、意識が消え、次の揉みで戻る。 ともかく、私の腕は、まだなのはちゃんを揉んどるらしい―― 触。 「健全なバストアップに貢献したと思うてる」 胸を張って宣言した。 揉。 「そんな面白そうな事、誘ってくれなきゃ――」 3人で顔をつき合わせて、笑う。 摘。 「幸せに…したらなあかんのに!」 祈りは天に届かず、叫びは地に響かねど、思いは。 揉。 「(ほんまは、寝てる時に触ってんのやけどな)」 家族の腕の中で幸せそうに、ほくそ笑んだ。 おっぱいソムリエの意識が昔へ飛んでいる。 ひたすらに揉み続けている。 実は、揉ませているのは高町なのはだ。 彼女が、2人に揉ませている。 撃たれる。 あ、駄目や、視界が狭く―― 魔力光に包まれ、意識を手放して倒れる。 い  まだ ま わた  の夢 じま た か  。 魔力ダメージでノックアウトされる、たまらぬ部隊長であった。 [551]或る執務官の空気枕 2008/02/22(金) 12:19:16 ID:OGkcYN3i 「だ、だからなんで獣の臭いを漂わせながら問答無用で揉んでくるの!?」 至極当然の疑問ではあったが、今日のフェイト・T・ハラオウンもまた、答えるよりも先に、 行動で全てを示す実践派な精神状態であり、故に無言で、後ろから揉み、揉みしだいた。 「あ…あのねあのねフェイトちゃん、こんな、ところでっ…ちょ……あっ」 「………なのはが、いけないんだ」 ぼそりと、聞こえてくるから、と彼女は囁いた。 「エクシードモードの胸が、揉んで欲しいって五月蝿いんだあああぁぁぁ!!」 「そんな想いを込めた憶えは無いの!!」 教導官の背後にべったりと引っ付く幻聴患者の姿をよく観察してみれば、 なんと表現するべきか、爛々と輝く目の焦点が、いまひとつ、何処にあわせているのか。 あきらかに常軌を逸している有様に、揉まれながらも心配して、意思疎通を試みる。 「えーとね…フェイトちゃん、大丈夫? ちゃんと寝てる?」 「大丈夫、ほとんど寝て無いから、今月!」 「今月!?」 普段の優しげな笑みとは甚だしく異質な、無意味に力強い、良い笑顔での返答に驚愕する。 「それで今日もまだ少し書類残ってるんだけど、斬っていいよね、いいよね!!」 「だ、駄目! 斬っちゃ駄目!!」 「じゃあ、報告書に『来た見た斬った』としか書いてなかったどこかの副隊長とか、  リボルバーナックルをはめたまま書いたようなミミズ文字の使い手なら良いよね!!」 「あとで注意しておくからシグナムさんだけにしてあげて!」 「というかなんでプリンター使わないんだろう、だろう、だろうか!?  これって斬って欲しいって意思表示だと思う射手座午後九時どびんれーい♪」 「誰か、フェイトちゃんが、フェイトちゃんが壊れたああああぁぁぁ!!」 「えーい、こうなったらフェイトスペシャルだぁ」 フェイトスペシャルとは、S・ヌエラの聖王卍固めをより複雑にした、 なんだかよくわからんホールドである。 「た…タップタップターップ!!」 「Zzz…」 「こんな姿勢で眠らないでええええぇぇぇ!!!」 不可解な固められ方をした教導官が救出されたのは、それから30分後の事であったと言う。 隊長陣より半日早く、書類仕事に忙殺されて医務室送りになっていたギンガ・ナカジマは、 後日、妹に「ミッドペンの巫女ちゃん」のバインダー式テキストを買ってあげたそうだが、 それは何の関係も無い別の話。 [552]或る執務官の空気枕 2008/02/22(金) 12:19:56 ID:OGkcYN3i (余談:常春の国) 頬を緩めながら、医務室で両手の感触を思い出す懲りない部隊長の姿があったと言う。 何某かの満足を得た至福の表情で、緑色の医務官におどけて、愚痴る。 「しっかし、なのはちゃんもフェイトちゃんも、大きいて羨ましいわぁ」 特に金色、知り合った頃は仲良く平面やったと言うのに、なんやあの税金かけたくなる大きさは。 思えば昔からシグナムとよう模擬戦やっとったけど、その時に何か吸収したんやないかと小一時間。 考えてみれば、それか? 私がこんなんな理由は、もしかしてヴィータやリインと一緒にゴロゴロしとったせいか? そういえば大きくなったヴィヴィオちゃんも、母親に揉まれて眠るだけあってえらい大きさに。 うわ、新発見や、揉んで大きくするだけやない、乳は伝染るんや! 今日もまた、おっぱいソムリエとして一歩前進してもうた、自分が怖いわ。 などと自画自賛をしていると、ぽつりと、一言が耳朶を打つ。 「あれ、でもはやてちゃんとフェイトちゃんの胸囲、数値上はそんなに違いませんよ?」 「へ、そうなんや」 ………今、随分とおかしな事を聞いたような。 いや待て、あの金色の執務官と自分との乳的格差社会は、見るからにあきらかや。 しかしながら、胸囲には僅かな差しか存在しないと言う事は、つまり―― 立てばビヤ樽、座ればタライ、歩く姿はドラム缶。 はやての脳内で、そんな言葉の似合う少年国王が、 童謡の節に合わせて音頭を踊っていた。 「は…はやてちゃん?」 唐突に、電源が切れたかのように静止した主の安否を気遣い、湖の守護騎士が声をかける。 。 ぬ。 たぬ。 はやては答えなかった、無明の闇を見ていた。 (終) [553]或る執務官の空気枕 2008/02/22(金) 12:20:28 ID:OGkcYN3i あとがきー いや、エクシードモードのバリアジャケットを眺めていたら、 あの胸は揉まれるためにあるんやないやろうかと、心の中のはやてが囁いたのです それだけでした 猫姉妹の金髪変化大作戦 ユーノ・スクライア3度死す(性的な意味で) 〜教導官曰く、フェイトちゃんは何人居ても構わないの〜 を書き忘れたのは秘密です [554]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 12:30:18 ID:ihrn6gh6 最初いい話と思ったらやっぱりそっちに話流れたかぁぁぁあぁぁぁあ!! まぁうん、エクシードがばいーんなのは認めざるをえないというか なのはさん回を追うごとに増量してた気がする。同衾だからか。にゃんにゃんしてたのか。 ともあれGJ!! 次回も楽しみにしてます [555]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 12:37:56 ID:on5ahIdC >>553 GJ 銀河歌姫憑依ワロタw このままミッドチャートの上位独占しちゃえw [556]名無しさん@ピンキー<> 2008/02/22(金) 12:39:50 ID:csV+RQDs >>540 たしかに。 テスタロッサ姉妹とは、そこそこ付き合いがあるのに、 なのは撃墜事件あり、でアリサとなのはが接点無いまま というのはやや不自然な希ガス。フェイトは執務官試験にも影響してるし。 あるいは、更に疎遠になった要因かも。 (勝手に妄想鬱) [557]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 13:04:42 ID:AktsEEGZ >>553 GJ! 要所要所で獏文体があって笑ったw >立てばビヤ樽、座ればタライ、歩く姿はドラム缶 最終的にはやては指が太い、足が太いと表現されるようになるんですね? [558]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 13:08:26 ID:XOj/VJsr >>539 U-1色に関しては大丈夫…というか料理次第。 そもそも都築氏もU-1くさい設定の山を貼り付けるタイプだし。 設定を扱いきる自信あるなら綿密な構成のもと縦横無尽に 取り回してもいいし、せっかくの細かい設定でも調味料程度しか 触らずに1期のように叙情ドラマを中心に据えるのも一つの手。 中途半端にやるとStS本編みたいに収拾に追われて強調やメリハリ付けも ままならないままあれこれしてる内にU-1の臭いが顔を出し始めるから気をつけて。 [559]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 13:23:45 ID:WnbzF9T2 >>539GJです 小隊単位での訓練・作戦行動、当たり前すぎますねw 原作は部隊の柔軟な運用と言えばそうかもしれませんが。 しかしなのはさん、本来陸側のアリサが陸にツッコまれないようにフォローしているという優しさになぜ気付かない。 アリサは自他共に厳しいのでしょうね ところで、一つ難を言わせて貰うとシグナム=ニートという「ネタ」をシリアスな話でそのまま使うと言うのはどうなんでしょう? 彼女も教会への連絡など目に見えない仕事をしていた訳ですし、仕事をしていない訳ではありません。 ツッコミを入れるとしたら、その仕事が小隊の副隊長がやるべき仕事なのか?という方だと思います [560]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 14:13:06 ID:gRwOi8FH >>553 ! J! GJ! [561]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 14:34:43 ID:on5ahIdC サボりうんぬんは比喩で、単に小休憩を取ってて、それがたまたまゴシップ記事のネタになっただけだと思うんだ。 ほら、警官が制服姿でお茶飲んでたりしたら向こうは正式な休憩だったとしてもサボってるように見えない? と、少し擁護してみる [562]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 15:23:53 ID:fp/NCPE6 >>559 注意と言うには感情が出過ぎてたからだろ。あの態度じゃ、注意・苦言というよりなのはへの嫌悪感が先に立つ。 アリサとなのはが疎遠になってるという状況を表すにはいいのかもしらんが、何というかアリサらしくない。ああ、あくまで原作のアリサであって、この作品のアリサはそれが普通なのだろうけど。 [563]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 15:49:54 ID:TlAUP7h0 >>553 GJ! はやても責任に押し潰されて横に大きくなったんだろうか? [564]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 15:52:37 ID:+87YtAJW >>553 中のはやて自重しろw まったく関係ないがリインUスレに貼られてた画像がピンポイントで心を直撃した この衝撃を今から電波にして送るから誰か受け取って形にしてくれ……! [565]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 15:58:37 ID:SYQM1k1E というかなのはって機動六課に配置換えしたんじゃなくて出向してるんじゃなかったっけ? 出向って所属は変わらないまま別の部署で働くものだったと思うけど。だったらなのははあくまで教導隊の身分のままだから、教導隊の制服来てるのって別におかしくないどころか当然なんだけども。 あれ、出向の定義間違ってる? [566]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 16:21:26 ID:Phnygv/P 出向、 従業員が自己の雇用先の企業に在籍のまま、他の企業の事業所において 相当長期間にわたって当該企業の業務に従事することらしい。 [567]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 16:43:40 ID:ghozJ7Z8 あー、すまない。シグナムにニートって言ったの俺だ。 ジョークなので本気にしないでw でも、制服を着てるときの公務員ってのは気をつけないと ゴシップ大好きなマスコミの格好のえさになっちまうんだぜ・・・・・・。 [568]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 16:49:16 ID:3Nxy6Rq4 >>546 データは手に入れてないぞ。プロローグで、スカと1〜5が情報処理装置ごと破壊したとある。 実機も手にはいったのは8、10、11、12だけで、うち12は未完成だったっぽいからな。 [569]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 17:59:36 ID:pZW2bYk7 >>567 そもそも隊舎の中を写せるような場所を報道ヘリが飛んでるとかあるんだろうか? 自衛隊の駐屯地やら基地やらの上空を無断で報道ヘリが飛んでるようなもんだし [570]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 18:06:32 ID:KrmhPN57 >>562 無意味な突っ込みを入れるなよ いい加減「本編の何々なら…・設定では…」は無意味だと理解しろ 本編からキャラと設定の名称だけ借りた別物だと割り切れ [571]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 18:14:44 ID:oCHs31Df >>570 お前も相当意味ない事言ってるがな。 先の伏線だと思って生暖かい眼で見守る気はねーのかおめーら。 >>569 管理局は軍隊でもあるが警察みたいなところでもあるからな。 警察署の上空はそれほど厳しくあるまい? 他所の国では知らんが…… [572]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 18:25:07 ID:pZW2bYk7 >>571 日本でも警察署上空の飛行はともかく警察署内を勝手に撮ったら普通に駄目だと思う [573]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 18:35:29 ID:KrmhPN57 >>572 日本では駄目かも知れんがこの作品世界ではOK これで満足か? [574]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 18:53:16 ID:eoxc1ldJ なんでおまえらそんなにカリカリしてるの? そんなことより楽しくSS読もうぜ!!!! [575]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 19:10:30 ID:dIDpbDd5 無駄に設定に拘ってるからこそツッコミが入るんだけどな [576]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 19:16:15 ID:E96LFrTI >>572 この場合の「警察署内」が「警察署の建物内」だったら何ら問題無い気が。 [577]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 19:18:33 ID:pkSD8ZCE >>539 支援!うpありがとです!  このスレで一番楽しみにしてます。続きも期待してますですよ! [578]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 19:23:04 ID:ggJyxT4c >>573 お前だけ唯々諾々とマンセーしてりゃいいんじゃね [579]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 19:25:33 ID:TuHunIDV いつも思うんだけど、◆kd.2f.1cKc 氏を批判するレスはほぼ必ず単発IDなのはどうして? [580]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 19:30:47 ID:on5ahIdC 気にしない方がいいと思うよ? [581]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 19:32:18 ID:Og00/T31 流石にそれは穿った見方ではないかな 一日に何度もチェックするような類の板ではないし単発が多いのはむしろ当然では? いちいちID見ないから判らんけど [582]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 19:32:37 ID:IG5mPfb3 >>579 そういう状態だと何か不都合でもあるので? [583]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 19:44:52 ID:dIDpbDd5 作者が自演するからID気にしてるんだろうよw [584]44-256 2008/02/22(金) 20:26:40 ID:3nzz1g/w >>553 GJです。はやてとフェイトのバカっぷりがなんともいえない。 自分も投下したいのですが。 [585]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 20:26:50 ID:uJHl5IgX コテハンにトリップ付ける意味が解らん [586]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 20:31:00 ID:IG5mPfb3 >>584 ドゾー >>585 なりすまし防止(ただまあ念のため程度?) [587]44-256 2008/02/22(金) 20:32:14 ID:3nzz1g/w それでは投下します。 ・非エロです。 ・時系列はヴィヴィオが魔法学院に入学して半年たった頃です。 ・登場人物はユーノとヴィヴィオです。 [588]司書長室での小会話 1/3 2008/02/22(金) 20:33:57 ID:3nzz1g/w 「ねぇ、ユーノパパ」 「何だいヴィヴィオ?」 何10冊も分厚い魔導書を宙に浮かせて、机で作業をしていたユーノはヴィヴィオに振り向きそう応えた。 しかし、手はブラインドタッチかつ猛スピードで報告書を打っている。 ここは無限書庫の司書長室。なのはが遠くの世界へ演習に出かけている間、ユーノはヴィヴィオ の面倒を見るようになっていた。最初はパパと呼ばれることに戸惑いを感じていたが、クロノや エイミィ、はやてフェイトに「本当にヴィヴィオのパパになる前の予行演習だ」と後押しを受け、 今ではすっかりそう呼ばれることにも慣れてしまっている。 ヴィヴィオも最初は分厚い本だらけのこの部屋にきたときは少し怖いと思ったが、今では本の 出し入れなどユーノの手伝いをしてくれるようになっていた。 もちろん魔法で本を一瞬に出し入れしてしまうことも出来たが、ヴィヴィオの精一杯の好意に 甘えることにしていた。 「無限書庫ってすごいんでしょ!?」 「そう思うかい?」 「うん、さっき廊下ですれ違ったヒトが言ってたよ『無限書庫の役割はすごい。我々、管理局の 行動は常に真実であり正義である』って」 ヴィヴィオは台詞だけでなく言った人物の行動も演じているのかエッヘンとばかりに胸を張っていた。 「そうか・・・」 ユーノは魔導書を全て閉じた。宙に浮いた本が全て棚にしまわれていく。 代わりに2冊の本を新たに取り出した。 「ヴィヴィオ僕の近くにきてごらん」 「うん!」 そうしてユーノは近くに来たヴィヴィオをひざに抱き上げた。 [589]司書長室での小会話 2/3 2008/02/22(金) 20:35:00 ID:3nzz1g/w 「ヴィヴィオ、これはね。辺境の次元世界に伝わる昔話なんだ」 ユーノが取り出した本の内容はこうだ 1、 『昔、オーガと呼ばれる怪物がいました。オーガは人々に暴力をふるっていましたが、 あるとき神々は人々に邪気を払う豆を与えました。その豆を炒ってオーガにぶつけて恐れお ののかせ、最後に闇の世界へ封じ込め、悪さを出来ないようにしました』 「めでたしめでたしだね♪」 ヴィヴィオそういって振り向くと、ユーノは微笑んだ 「うん、そうだね。でもね、こんな話もあるんだよ」 そうしてユーノはもう1冊の本をめくる 2、 『昔、不正や怠惰を許さない神様がいました。 しかし、あるときその厳しさに耐えかねた一部の人々が他の神様と手を結んで その神様をはめ、闇の世界へ閉じ込めたのです。 その時、出口の前に芽が出ないように、あらかじめ炒った豆をまいてこう言いました。 “その豆から芽が出たとき、あなたは闇の世界を出てまた人間を正すことができる”と 神様はその人間の言葉を信じて待ち続け、そうして年をとって死んでしまいました』 「グスッ、神様かわいそう」 「ご、ごめんヴィヴィオ!泣かすつもりじゃなかったんだ。でもこの2つの昔話は面白い 点があるんだ」 [590]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 20:35:15 ID:180j0SVN ここは原作版なのはとハーヴェイの話は投下OKなんですか? [591]司書長室での小会話 3/3 2008/02/22(金) 20:35:51 ID:3nzz1g/w 「実はね、このオーガと神様は同じななんじゃないかといわれているんだよ」 「えっ?神様が悪魔なの!?」 「オーガと神様は両方とも『豆』と『闇の世界」という共通点があるだろ?この昔話が伝わる 場所は別々だけどほとんど同じ時代につくられていてさ、だから同じなんじゃないかといわれ ているんだ」 「へー、そうなんだ」 ヴィヴィオは眼をキラキラさせて関心した顔をユーノに向けた。 知的好奇心が旺盛な子だとユーノは思った。 まるで魔法と出会ったばかりの頃のなのはを思い出させる。 「無限書庫には確かに多くの文献や資料がそろっている。でも、この2冊の本のように全て 本当ことがかかれているとは限らないんだ。だから無限書庫がすごい、絶対の真実というわ けじゃないんだよ。それに真実を見つけるのは本当に難しいんだ」 そう、夜天の書にしても被害や否定的な意見の書かれた本が非常に多く、本当の由来や目的を 解析した文献がいかに少なかったことか。 ゆりかごや聖王にしても神聖視した書物や、英雄譚は多く見つかったが、これもまた闇の書と 同じであった。 「それに簡単に本当の事や答えがわかっちゃったら面白くないだろ?」 「う〜ん、ヴィヴィオは学校の問題は難しいから答え知りたいな」 「そ、そうか〜、ヴィヴィオにはまだ難しすぎたかな?」 そうしてお互いに笑い合っていると、司書がなのはの来訪を告げた。 そしてユーノは膝からヴィヴィオをおろした。 「ママが来たみたいだね。表まで迎えに行こうか」 「うん!!」 そうして2人は手をつないで司書長室を出て行った。 (ヴィヴィオ、君はこれから色んな人に会って、色んなことを学んでいくんだろうけど 本当のことを見失ってはいけないよ。そこには悲しいことも別れも、眼をそむけたくなる こともあるだろうけど、逆に嬉しいことや、出会いもたくさん待ってるはずだから・・・) end [592]44-256 2008/02/22(金) 20:36:51 ID:3nzz1g/w 以上です、ユーノの話した2つの昔話は節分の豆まきをモチーフにした完全に作り物です。 あと依然シガー氏の容姿に関するレスがありましたが、自分もシガー氏は筋骨隆々で 黒い革ジャンを着てそうなイメージが・・・違ってたらごめんなさい(>_<) [593]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 22:09:17 ID:UYKGrcWW メディアリテラシーGJ!!!! [594]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 22:15:39 ID:tV7pa4wD >>585 コテだけだと、成りすまして色々言ったりして、嫌がらせされたりとか…。 でも昔、誰かトリップ抜かれてたな。 >>592 おつー。和んだぜ。 [595]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 22:18:42 ID:zcOnU1o8 >>592 GJ。 たまにはこう、ほのぼのなのもいいよ。 [596]B・A 2008/02/22(金) 22:31:28 ID:IKjjmF0J 僕のIDは1日ぐらいで勝手に変わっちゃうですよ、何故か。 >>592 GJ。 ヴィヴィオが可愛くてユーノがパパしている。 ここ最近の傾向・・・・・言えた義理じゃないですけど、こういうの減ってますからねぇ。 そして、更に減ってしまうけれど投下したいと思っている今日この頃。 [597]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 22:35:03 ID:Fj40cshU 待っていたいと思っている今日この頃 [598]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 22:37:38 ID:gdChBwtD 楽しみにしている今日この頃。 [599]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 22:37:40 ID:Og00/T31 どんどん投下される健全なスレ [600]B・A 2008/02/22(金) 22:43:13 ID:IKjjmF0J 投下しておきながら、ここはエロパロ板ですよね? と小一時間問い詰めたくなる今日この頃。 ・20歳verエリオ×ルーテシア ・非エロ ・「Ritter von Lutecia」要読 ・前作から10年後、故に捏造のオンパレード ・おっきなエリオキュン、ルー子、ヴィヴィオが見たくない人にはお勧めできません ・けど、もう4話ほどヴィヴィオの出番がありません。そして、今回も。 ・強引、無理無茶無謀な王道展開。必殺技は使うためにあると思う。 [601]Nach dem eines Speerritters 第9話@ 2008/02/22(金) 22:46:00 ID:IKjjmF0J 日が傾き始め、少しずつ西空が茜色に染まっていっている。夕日をバックに駆け抜けるエリオの姿は、 さながら西部劇のガンマンだ。跳ね馬のように戦場を縦横無尽に駆け抜け、両手の武器を一閃させて攻撃を繰り出す。 「うぉぉぉぉぉっ!!」 バーニアを噴かせ、遠心力をつけた一撃が巨大傀儡兵を捉える。だが、ストラーダの穂先は堅い装甲を貫くことはできず、 耳障りな金属音を立てただけだった。 直後、エリオ目がけて小型傀儡兵が魔力弾を撃ってくる。咄嗟にエリオは巨大傀儡兵の胴体を蹴飛ばし、その勢いを利用して魔力弾を避けた。 数発の魔力弾が巨大傀儡兵の胴体に着弾するが、やはり傷一つつかない。恐ろしいまでに頑強な装甲だ。 『サー・エリオ、お伝えせねばならないことがあります』 「なに、手短にね!?」 加速魔法を発動して背後に回り込み、巨大傀儡兵に斬りかかる。結果はさっきと同じだった。 『デバイスの機能をベルカ式に合わせてエミュレートしましたが、そのせいで私の機能を一部使用できません』 「何が使えないんだい!?」 『ライオットとソニックフォームです。それと潜在魔力値の違いから、フルドライブもスペックの6割ほどしか出力を出せません』 「それだけあれば十分だ!」 繰り出された拳をバルディッシュで受け流し、後退する。何発打ち込もうと巨大傀儡兵は揺るがない。 だったら、先に邪魔な雑魚を片付けた方が得策だ。 [602]Nach dem eines Speerritters 第9話A 2008/02/22(金) 22:48:06 ID:IKjjmF0J 「バルディッシュ、カートリッジロード!」 『Load Cartridge』 「ストラーダ!」 『Blitz Rush』 シリンダーが回転し、バルディッシュの内部で魔力が爆ぜる。同時に、エリオが駆け抜けた後に5つのスフィアが形成された。 「プラズマランサー・・・ファイア!」 コマンドとともに5本の雷の槍が射出される。槍は鋭角的な軌道を描き、動き回る小型傀儡兵を悉く撃ち貫いていく。 「ぬうっ!?」 至近距離での爆発に驚きながらも、召喚師は冷静に防御魔法を展開して爆発から身を守る。粉塵が召喚師を包み込むように舞い上がり、 爆散した傀儡兵の破片が飛び散るが、彼は傷一つ負わなかった。そして、新たな傀儡兵を召喚しようと術式を練る。 その瞬間、召喚師の首が思い切り締め上げられた。 「ぬぐぅっ!?」 いつの間に回り込んだのか、ガリューが背後から召喚師の首を掴んでいた。 更に、彼の眼前には漆黒の短剣が無数に突き立てられている。 「チェックメイトよ」 込み上げる吐き気を堪えながら、ルーテシアは微笑んで見せた。女神のような微笑みだったが、 今の彼女の気分は最悪だ。妊娠しているのに無理をし過ぎたせいかもしれない。 「そうか・・・・さっきの攻撃は・・・爆発で私の目と耳を奪うために・・・・」 「ええ。あなたが反応できない状況を作れば、ガリューがあなたを捕まえてくれるから」 「だが、いつだ・・・・いつ示し合わせた?」 2人が戦術について話し合っている場面は一度としてなかった。予め想定されていたにしても、合図らしきものすら発していない。 そんな状況であれだけ完璧な連携を行うことなど不可能だ。 [603]Nach dem eines Speerritters 第9話B 2008/02/22(金) 22:50:10 ID:IKjjmF0J 「偶然よ」 その一言で、ルーテシアは片づけた。確かに偶然だった。エリオがプラズマランサーを放った瞬間、何の示し合わせもないというのに ルーテシアは彼が何を求めているのか察していた。正しく阿吽の呼吸、2人の絆の力としか、言い表しようがなかった。 「そうか・・・・ふざけるのも大概にしろよなぁっ!!」 叫びとともに召喚師は自身の魔力を圧縮し、衝撃波を放とうとする。だが、それに気づいたガリューは脊髄を殴って術式を阻害し、 もんどりを打つ召喚師を地面に組み伏せた。 「ぐはっ!」 「あなたの負けよ。さあ、傀儡兵を止めなさい」 「無理だよ、あれは一度動き出せば内部動力が切れるまで止まらない。そうプログラムされていたため、 我々もさっさと売り払おうとしていたのだ。だから、あれは誰にも止められない。奴の装甲はAAAランクでも抜けんよ」 「・・・ガリュー!」 「!」 召喚師の首筋に手刀を打ち込み、気絶させる。そして念入りにバインドを施した後、後ろにいた青年局員に呼びかける。 「こいつと後ろにいる有象無象を安全なところにまで下げて。また魔法を使われたら厄介だから、 目を覚ましたら何をしても良いからもう一度気絶させなさい。それから、陸士隊と協力して結界を形成して」 「はっ・・・・あの、お2人はどうなさるのですか?」 「あいつを止めるわ・・・・・・行きなさい」 「ご武運を」 敬礼し、青年局員は召喚師を連れて後ろに下がる。 既にガリューはエリオと合流し、畳みかけるように巨大傀儡兵を攻撃していた。 だが、堅牢な装甲の前に2人はかすり傷1つつけることができなかった。 [604]Nach dem eines Speerritters 第9話C 2008/02/22(金) 22:52:56 ID:IKjjmF0J 『あいつの装甲、固さだけならフロイライン・ヴィヴィオと良い勝負だ』 『だが、あれが金属なら破壊は可能です』 「そういうことだ。いくよ、ストラーダ、バルディッシュ!」 『Jawohl』 『Yes, sir. Haken Form』 カートリッジを消費し、バルディッシュが巨大な魔力刃を持つ鎌へと変形する。 そして、雷光を纏わせたストラーダと交差させるようにその刃を一閃させる。 「紫電一閃!」 『Haken Slash』 振り抜かれた光速の刃が傀儡兵の巨体に十字を刻む。更に駄目押しとばかりに ガリューの神速の乱撃が叩き込まれ、その巨体が大きく傾いた。 コンクリートの破片をまき散らしながら、巨大傀儡兵は転倒する。 思った通り、攻撃が通らないわけではない。的が大きい分攻撃も当てやすいし、 ヴィヴィオと比べれば御しやすい相手だ。問題は、生半可な攻撃ではあの装甲は傷一つつかず、 攻撃が通ったとしても表面に僅かな傷をつけるのが精一杯だということだ。 「エリオ、勝てそう?」 「1人じゃ無理だ・・・・・けど、2人でならやれる」 [605]Nach dem eines Speerritters 第9話D 2008/02/22(金) 22:54:47 ID:IKjjmF0J ライトニングバインドで傀儡兵を拘束し、ルーテシアの手前まで下がる。 これが2人の定位置だった。エリオが戦い、ルーテシアが守る。背中に愛する人がいるからエリオは誰よりも強くなれるし、 愛する人が全力で戦えるようにルーテシアは最善を尽くす。10年前から、この立ち位置は決して変わらない。 「辛そうだけど、大丈夫?」 「最悪・・・・・これが終わったら、今度は私が休む」 「OK、迷惑かけた分はしっかり働くよ」 バルディッシュのコッキングカバーを開き、空薬莢を排出してシリンダーにスピードローターを嵌め込む。 初めてにしては、中々の手際の良さだった。 「ストラーダ、バルディッシュ・・・フルドライブ!!」 『Jawohl Unwetterform』 『Yes,sir Zamber form』 唸りを上げて魔力が膨れ上がる。リンカーコアごと根こそぎ魔力を持っていかれたかのような錯覚に、エリオは一瞬よろめいた。 (母さんは、いつもこんな苦しい思いをしながらデバイスを振るっていたのか) 改めて、彼女の偉大さを実感する。これだけのじゃじゃ馬を使いこなせる魔導師はそういない。 誇るに値する人だ。彼女は・・・・自分の母は・・・・フェイト・T・ハラオウンは。 [606]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 22:55:01 ID:Ot88ZVA6 支援します。 [607]Nach dem eines Speerritters 第9話E 2008/02/22(金) 22:58:25 ID:IKjjmF0J 「アスクレピオス・・・・マジックブースト、フルドライブ」 『Auftrieb auf』 詠唱とともに、アスクレピオスから放たれた紫の光がストラーダとバルディッシュに吸収される。 『Empfang』 『Reception』 エリオの全身を駆け巡る魔力が赤い髪を逆立たせる。ルーテシアの補助魔法と、 ウンヴェッターフォルムとなったストラーダによって彼が持つ魔力変換資質「電気」が 極限まで強化され、溢れた魔力が大気を震わせた。 ともすれば暴走寸前の魔力を2つのデバイスの補助を受けながら、エリオは術式を組み立てる。 かつて義母が切り札とした砲撃。それを近代ベルカ式にアレンジした極大の斬撃を。 一閃させたストラーダを地面に突き刺し、ベルカ式魔法陣を展開する。 「雷光一閃ッ!」 両手に持ち直したバルディッシュが装填された全てのカートリッジを炸裂させる。 同時に大気中の電気がストラーダを介してバルディッシュの刀身へと集まり、振り上げた魔力刃が急速に膨れ上がった。 その一撃に集中するあまり、巨大傀儡兵を拘束していたバインドが解けてしまう。だが、自由を取り戻した巨大傀儡兵が 起き上がる寸前で、ガリューが全体重を乗せた肘打ちを放ち、再び地面に昏倒させた。 ほぼ同時に、バルディッシュの魔力回路が限界まで駆動し、極大の魔力刃が完成、膨大な魔力を御しきれずに 倒れそうになるエリオの体をルーテシアは支え、柄に自分の手を添える。 一瞬だけ2人はお互いを見やると、柄を握る手に力を込め直し、最後の激発音声を叫んだ。 「「プラズマザンバァァァッ、ブレイカァァァッ!!!」」 金色の閃光が視界を染め上げ、衝撃で2人は大きく後退する。 解放された雷は渦を巻きながら空間を侵略し、その奔流が射線上にいた巨大傀儡兵を飲み込んでいく。 AAAランクの魔法にも耐えられると豪語された装甲が歪み、その身を構成する部品は焼き尽くされ、 極大の斬撃によって一刀の下に両断された体が轟音を上げて崩れ去った。更に斬撃はそれだけに留まらず、 衝撃の余波がその背後の空間をも圧倒し、静寂だった海を真っ二つに引き裂いて眠れる海底を露にする。 「・・・・・・・・・・」 あまりの威力にエリオはポカンと口を開けたまま呆けていた。 これで出力60%? なら、100%を引き出すことができたらいったいどうなるのだろうか? 今更ながら、背負った責任の重さを痛感する。これは・・・・・・危険な力だ。 [608]Nach dem eines Speerritters 第9話F 2008/02/22(金) 23:01:03 ID:IKjjmF0J 「エリオ・・・・」 不意に、ルーテシアは彼の名を呼んだ。そこで初めて、エリオはルーテシアに抱きしめられていることに気がついた。 驚きのあまり、手にしていたバルディッシュを取り落としてしまう。 慌てて離れようとするが、彼女はそれを許さなかった。 「さっきの告白・・・・・ムードなかった」 「うっ・・・・・」 確かに、戦闘中に結婚を申し込むなんて前代未聞だ。正気かどうかも疑わしい。 いや、そもそも自分はとっくの昔にルーテシアという人物に狂わされているのだから、そういう意味ではもう正気ではない。 「その・・・・ごめん」 「良いよ・・・・だから、もう一度言って」 どこか甘えたような声に、エリオはむず痒さを覚えた。そして、ゆっくりとルーテシアから離れ、深呼吸をして心を落ち着かせる。 周りにいる部下や陸士隊の隊員たちの姿を視界から排し、ただルーテシアだけをまっすぐに見つめる。 「ルー、僕と結婚して欲しい」 僅かに声が震えていた。 緊張で頬を赤くするエリオの顔を愛おしげに見上げ、ルーテシアはそっと彼の胸に顔を埋める。 返事は、潮騒とともに彼の耳に届いた。 「はい・・・・喜んで」                                        to be continued [609]B・A 2008/02/22(金) 23:03:42 ID:IKjjmF0J 以上です。 えぇー、エリオがPZB使えるのかという突っ込みに関しては、サンダーレイジと同じく魔力付加攻撃に構成し直し、 ストラーダのフォルムドライで魔力変換資質「電気」を強化すればできるんじゃないかという捏造を行いました。 むしろ、ハーケンスラッシュと紫電一閃を同時に使ったあたりの方が突っ込まれないかビクビクしていたり。 そして、支援ありがとうございます。 [610]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:05:33 ID:E2no/xK3 GJ!待ってました! [611]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:09:22 ID:Og00/T31 GJ! ついに二人が結ばれましたね [612]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:10:17 ID:3nzz1g/w >>609 GJです!なんというベルカ式PZB、映像化してほしいくらいにカコイイです! 次回で最後ですかね・・・ [613]名無しさん@ピンキー<> 2008/02/22(金) 23:11:36 ID:T9grO07p <<609 GJです。 確かに槍も斧も大鎌もザンバーも両手持ちなのでそれを片手ずつで持って戦えるのか? とか思いますがその辺りは展開とか流れが良いのでKIAIでどうにかなったということで [614]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:12:20 ID:krOSB9VD エリオカッコいいよエリオGJ つかたまに投下中に『支援』とかする人もいるけど、これは割り込みに入るのか?たまに気になってたんだが [615]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:12:44 ID:IG5mPfb3 >>590 おkのはず >>609 GJ!! [616]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:13:32 ID:pZW2bYk7 >>614 連投規制に対する対策 [617]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:17:42 ID:krOSB9VD >>616 理解したサンクス しかしエリオも果報者だなぁ……羨ますぃ [618]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:18:35 ID:uJHl5IgX >>616 支援の意味初めて知った >>609 GJ!戦闘シーンカコイイ [619]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:19:28 ID:/dCpNDck >>616 支援されたことあるが、一分間隔で投下すれば問題は起こらないので、 ぶっちゃけこの板ではいらなかったと思ったのはココだけの秘密…。 [620]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:23:57 ID:pZW2bYk7 >>619 まぁ、エロパロ板だとあんま意味は無いね ただ慌てて投下してしまったり、不運にも引っかかるウザいからw たしかに殆どの場合は必要無いだろうけど [621]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:24:16 ID:72+Nc/3h >>615 トラは設定が混じったようなのはあった気がするが、まんま向こうのリリカルってアリだったっけ? [622]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:30:04 ID:Og00/T31 それどうなんだろうね? とらはそのものならスレ違いだろうけどリリカルおもちゃ箱そのものとかだとどうなるんだろう? 見たこと無いからどう違うか知らんが [623]名無しさん@ピンキー 2008/02/22(金) 23:34:07 ID:TtAZR3qU オリキャラが禁止じゃない以上禁止はできないだろうけど、 「とらハ」とか「リリちゃ」とか名前しか知らない人間でも読めるように書いてね、 と思う自分はアニメしか知らない人。 [624]590 2008/02/22(金) 23:52:45 ID:180j0SVN わかった、なるべくリリカル知らない人でも受け付けられるように努力します。 ありがとう! [625]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 00:01:13 ID:/dCpNDck wktk [626]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 00:22:44 ID:mwkUUqWg >>609 素晴らしい、もうルーが可愛すぎっす。 ちゃんとプロポーズもして残すは結婚式のみ、既に今からウェディングドレス姿のルーを想像して興奮が止まりません。 そして早く二人の子供が見てえ。 何はともあれB・A氏GJです、次回を期待してお待ちしております。 [627]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 00:39:19 ID:SX+UN//J だめだ…どうしても真っ赤な誓いが頭の中に流れるw [628]アルカディア ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:08:30 ID:aXENTUfU じゃあ、こっそりと次投下してもいいですか? [629]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 01:10:58 ID:Chh5uet6 >>628 どうぞ。 [630]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 01:12:44 ID:mwkUUqWg 早く投下してくださいませ!! [631]アルカディア ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:27:45 ID:aXENTUfU Little Lancer 九話です。その裏側では……☆編です。 何時も通りの、お約束通りの平凡な展開です。         注意事項  ・非エロ  ・原作IFもの  ・エリオ主人公(むしろクアットロ)  ・軽くとらは3の設定を流用  ・少々の鬱展開有り。  ・展開の、原作からの矛盾点などは虚数空間へスルーして下さい。  ・NGワードは「Little Lancer」でお願いします。 [632]アルカディア ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:37:51 ID:aXENTUfU 済みません、アクセス規制食らって [633]アルカディア ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:38:56 ID:aXENTUfU あ、何とかなりました。時間を掛けて申し訳ありません、次から行きます [634]Little Lancer 九話 01/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:40:04 ID:aXENTUfU  その部屋は、この世界のあらゆる文明を凌駕する技術を有するスカリエッティのラボに於いて、最も原始的な場所だった。  鉄格子で囲い、外から施錠しただけの簡素な部屋。  その部屋の名は、『牢』という。   これが、古今東西に於いて古くから変わらぬ、囚人を閉じ込めるという機能を最もシンプルな形で実現した場所である。  だが、牢の中に幽閉されているのは囚人と呼ぶには、余りに気品高い二人の淑女だ。  彼女達は手足を鎖に繋がれ、汚れた牢の中に下着姿で転がされながらも、尚凛烈な美しさを保っていた。 「アリサちゃん、すずかちゃん、残念ねぇ、貴方達のお友達のはやてちゃんは、貴方達より自分の立場とお仕事の方が大事なんですって。  ―――解り易く言ってあげるとねえ、貴方達ははやてちゃん達に見捨てられたのよ」  猖獗極まる戦闘機人の狂女を前にして、二人の意志の強い瞳は翳り一つ無い。  彼女達の双眸は、地に這いながらも挑むようにクアットロを見上げている。  アリサは口の端を吊り上げた。 「貴方こそ残念ねえ、眼鏡のお姉さん?  あたし達がはやてやなのはと、どれだけ長い付き合いか知ってる?  あの子達が、どれだけ底抜けに、馬鹿がつく位のお人良しか、あたし達は知ってる。  はやてやなのははね、あたし達が見捨ててって言ったとしても、見捨ててくれない馬鹿正直のお人良しなの。  そのあの子達があたし達を見捨てたんなら、―――きっと、あんたが罠に嵌めたのね? 違う?」  クアットロは不愉快そうに眉を寄せると、短い紐のようなものを取り出した。  鞭、である。  彼女は鞭を振り上げるや否や、有無を言わさずアリサの背中に叩き付けた。  短い苦悶の悲鳴が上がり、アリサの背中に朱線が浮かび上がる。 「……ふん、人攫いよりSMクラブの女王様の方が、よっぽど似合ってるんじゃない?  眼鏡のお姉さん?」 「ふふ、その強がりが何時まで続くかしら―――  何にせよ、貴方たちは見捨てられたの。これらず〜〜っと、この檻の中で私のおもちゃとして暮らすの。  資産家のお嬢様方には中々味わえない、素敵な体験じゃないかしら」 「あたしは―――はやて達があんたに騙されてることを願うわ。  もし、もしもあの子達があたし達を見捨てなきゃいけないような決断を迫られたなら―――  あの子達、きっと今頃は、自分を責めて泣いてるから。  それに、確かにこれは素敵な体験ね。  あたし、今まで、なのはやフェイト達が魔法の世界で仕事をしてるって聞いても、どんなものなのか今一ピンと来なかった。  でも、今回の事で漸く解った。あの子達は、あんたのような腐れ外道を退治する、立派な仕事をしてるんだって。  これで、あの子達の事、前よりもっと尊敬できるようになったわ―――本当に、ありがとう」  クアットロは不愉快げに目を吊り上げて、鞭でアリサを滅多打ちにした。  毅然とした態度を失わないアリサだが、問答無用でぶつけられる痛みの暴風は、彼女の気勢を削ぐには十分だった。  アリサは目尻から涙を零しながら、体を丸めて背中で鞭を受ける。  すずかは、牢の隅で自身の体を抱いて、ガタガタと体を震わせていた。   凄惨な光景から目を背けてひたすらに怯えるその姿は、滑稽ですらあった。  楽しげにアリサを痛めつけていたクアットロは、目敏くその姿に興味を示したようだ。 「あら、すずかちゃん、どうしたの? お友達は痛い目にあってるのに、すずかちゃんは牢屋の隅っこでかくれんぼ?」  ひっ、と短い悲鳴を上げて、すずかは尚も体を縮こませた。  クアットロは持ち前の嗜虐心に火をつけて、すずかの耳に息を吹きかけた。 「ねえ、すずかちゃん、アリサちゃんがあんなに痛い目にあったんだから、今度はすずかちゃんが痛い目に合わないと不公平だと思わない?」 「お願いです、助けて下さい! 痛いことしないで、お願いだから痛い事しないで、お願いです―――」  クアットロはアリサを打った時より遥かに加減をして、すずかの背中を一度だけ打った。  すずかはひいっ、と声を上げて、小動物のように怯える。  床に生温い液体が広がった。すずかは―――失禁していた。  すずかは、クアットロの足に縋りつくようにして哀願した。 [635]Little Lancer 九話 02/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:40:59 ID:aXENTUfU 「お願い……もう止めて、虐めるならアリサちゃんにして……わたしだけは助けて……」 「……すずか」  アリサが、少しだけ寂しげな表情を見せた。  クアットロが満足げな表情で肯く。 「すずかちゃ〜ん、自分だけ助かろうなんて、悪いこと考えちゃダメよん?  それに、お友達は大切にしないとね。……そう、悪い子のすずかちゃんには、ちょっぴりお仕置きが必要ねん♪」  クアットロは、今度こそ呵責の無い勢いですずかに鞭を振り下ろす。  すずかの絶叫が牢に響き亘る。  クアットロは、アリサを打つ時よりも遥かに楽しげな表情ですずかを延々と打ち続けた。  すずかは延々と哀願を続けるも、一切耳を貸そうとはしない。  加熱する拷問にすずかの泣訴は勢いを増し、アリサやはやて達を罵倒する言葉さえ口にした。 「じゃあ、すずかちゃんの本音が聞けたところで、今日はこの位にしてあげる」  そう言って、クアットロは鞭を収めた。  本音を言えば、すずかの精神や肉体を壊し過ぎてしまうと、娯楽が減ってしまうという理由での加減だった。  すずかは顔を押さえて嗚咽を漏らしていたが、クアットロが退出したのを確認すると顔を上げた。 「アリサちゃん、体は大丈夫?」    その瞳に、先程までの怯えきった弱々しさは微塵も感じられず、アリサより遥かに酷く打たれた自身の傷など省みず、アリサを心配げに見つめている。  アリサは、その瞳を正視した瞬間に、全てを理解した。 「すずか、……あたしを庇って……ごめん、なのにあたし、すずかを疑った、すずかに裏切られたって勝手に思ってた―――」 「ううん、わたしも、裏切り者なの」  そう告げて、すずかはアリサに背を向けた。  すずかの背のは、縦横無尽に鞭の痕が濃く残り、皮が裂けて血が流れ出している。アリサは思わず目を背けようとしたが――― 「見て、わたしの傷」 「……―――薄く、なってる」  ほんの少しずつだが、アリサの傷から腫れが引き始めていた。 「ごめんなさい、これが、アリサちゃんにずっと隠してたわたしの秘密。  わたし、小学校の頃から本の虫で、あんまり外で遊んだりしなかったのに、体育の成績が凄く良かったでしょ?  変だと思わなかった?  本当は人に話しちゃいけないことだったんだけど……  これが、わたしの家系の、体質みたいなものなの。普通の人より運動神経が良くて、傷の治りが早い。  わたしは家系の中でも、その特徴が凄く薄い方なんだけど……それでも、アリサより、傷が治るは早いから」  すずかは、優しく微笑んで、任せとけとばかりに胸を叩いた。  アリサは、すずかの言わんとする事をすぐに理解した。 「何を言ってるのよ! すずか! 幾ら傷が治るのがちょっと早くたって、痛いのは同じなんでしょ!?  そんなこと、出来るはずないよ……それに、そんな秘密どうでもいい、すずかはすずかじゃない!  すずか……あんた、馬鹿だよ」 「アリサ、二人でここから出て―――また、みんなで遊ぼうね」  二人は涙を流しながら、冷たい牢の中でお互いの体を抱き締め合った。 [636]Little Lancer 九話 03/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:41:56 ID:aXENTUfU 「随分と上機嫌ね、クアットロ」  ナンバーズの長女、ウーノが上品そうにクアットロに声を掛けた。  現在クアットロに与しているメンバーズ、ウーノ、トーレ、クアットロ、セッテの四人が集合していた。  人質交換によって解放された三人は、基本的に効率を優先とし、会話に洒脱を交えない面々である。  その中で、鼻歌でも歌い出しそうなクアットロの様子は、一際目立っていた。 「ええ、ここの所、楽しいこと続きで堪りません。  お姉様方は帰って来られたし、牢屋のおもちゃ達は可愛いし……」 「また、牢屋の捕虜を虐待していたのか。連中にはまだ使い途がある、遊びは程々にしておけ」 「トーレ姉様、そうお固い事言わずに。可愛い子達とちょっと遊んでるだけですわ。  特にあのすずかちゃんって子が可愛いらしくって。  裏切ったフリをして友達を庇う所なんて最高ですわ! いつその言葉が本音になるのか、楽しみで楽しみで……」 「付き合ってられん。それに、すずかという子は『夜の一族』ではなかったのか?」 「ええ、確かに『夜の一族』の血を引いてるようですわ。  でも、有する血も常人と同程度で、サンプルとしての価値は無いとドクターも仰ってますわ。  それに、『夜の一族』のサンプルはもう十分に集まってるんです。  私達が自動人形を製作できると知った途端、向こうからコンタクトを取って来ましたわ。  まるで砂糖に集る蟻みたいで凄く滑稽」  クアットロは口許を押さえてクスクスと微笑を漏らす。  トーレは不機嫌そうにそれを一瞥したが、それ以上の追及はせずに本題を切り出した。 「それより、私達の装備はまだか? 私もセッテも、固有武装抜きでは碌な働きが出来ないからな。  早急に、私達の新しい固有武装を用意してくれ」 「勿論ですわ。敵は強大です。固有武装は勿論ですが、トーレ姉様の新しい固有技能の強化も考えているんですが……」 「ライドインパルスも強化されるなら、それに越した事はない。スペック案を見せてくれ」  クアットロは、新しい固有武装と固有技能の強化案を表示した。  トーレは眉を顰めた。 「何だ、この武装と強化案は? こんなスペックでは、私の素体の基礎フレームの方が耐えられない、内部崩壊を起してしまう。  クアットロ、お前は私を殺すつもりか?」 「うふふ、勿論これはまだ『案』の段階ですわ。お姉様方、まだ帰って来られたばっかりですもの。  まず最初に、搭載可能な最高出力を試算して、それから制御可能でかつ性能を上昇できる折衷点を探す予定なんです。  ですから、もう少しだけお待ち下さいね。ドクターにも相談して、お姉様にぴったりのスペックで仕上げて見せますわ」 「ああ、宜しく頼んだ」  ウーノがクアットロに小さく微笑みかけた。 「クアットロ、貴方はこの三年間でドクターの右腕として随分成長したようね」 「ウーノ姉様にお褒め頂き光栄ですわ」    クアットロも賞賛を微笑みで返す。  トーレはティーセットを手に席を立った。 「じゃあクアットロ、私はドクターにお茶を届けてくるから、引き続き二人の武装の設計をお願いね」 「はい、お任せ下さい! ウーノ姉様!」  その背中を、クアットロは慈愛を含んだ笑顔で見送った。 [637]Little Lancer 九話 04/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:42:42 ID:aXENTUfU  当局は、『人質交換は問題なく成功、指定世界に於ける現地協力者は無事に解放された』と発表した。  クロノの演説の効果により、世論は人質の解放を願う方向に傾いてはいてが、犯罪者との交渉に応じるべきでは無いという意見も根強くあった。  スカリエッティ一味に罠に嵌められ、犯罪者を解放した上、人質も奪われたとあっては当局の無能を晒し、反対勢力を増長させる原因に成り得る。  ……ごく当然の結論である。  その当然の結論に耐えられず、涙に暮れる女性がいた。  機動六課の部隊長、八神はやてである。  クロノ・カリムらの大きな尽力を受けたにも関わらず、罠に嵌められ、親友達を救うことも出来ず最悪の可能性に終ってしまった今回の作戦を悔い続けていた。   「いやや、もういやや……」  その隣席には、同様の沈痛な表情でなのはとフェイトが座っている。  はやての僕であるヴォルケンリッター達も押し黙ったままである。  沈黙に耐え切れなかったのか、シグナムが口を開いた。 「今回のアリサさんとすずかさんを模した人形―――事前に何らかの魔術操作を受けていないかの確認を行いましたが、魔力反応は有りませんでした。  メカニックマイスターのマリエル・アテンザの検分によると、あれは第97管理外世界の技術をベースに戦闘機人の機構を組み込んだ戦闘用の人形です。  個体の能力は大したことはありませんが、……魔力による戦闘を主とする我々に不意打ちを行うには、最高の傀儡です」 「ごめんね、今回わたし達何も出来なくて……シグナムとヴィータちゃんに助けてもらっちゃった」 「礼には及ばねえよ。こういう時の為のあたし達だ。  それにしても、アリサとすずかの顔した人形だなんて、あの糞女、どこまで腐ってやがる―――!」  ヴィータは  はやては、そんな遣り取りにも興味を示す事無く、ただ泣きながら己を責め続ける。  小さな子供に還ったかのような泣き方だった。 「うちのせいや―――みんな、うちのせいや―――うちのせいで、みんな死んでまう……  アリサちゃん、すずかちゃん……」 「はやてちゃん、アリサちゃんと、すずかちゃんは、きっと、大丈夫だよ」  少しでも安心させようと、そう告げてはやての肩を叩いたなのはの手を、猛烈な勢いではやてがはらい飛ばした。  はやては流れる涙を拭うともせず、喰い付くようになのはを責め立てた。 「気休めは止しいやっ! あの女が、何の躊躇いもなく人を殺せる奴言うんは、なのはちゃんも知っとるやろ!?  現に、エリオも殺されてもうたやないかっ…… きっと、二人も……  いやや、もういやや―――辞めたい、六課の隊長なんて、するんや無かった―――」  乾いた音が響く。  シグナムが、はやての頬を平手で打っていた。 「主はやて、ご無礼お許し下さい。僭越ながら申し上げます。  今、主の成されるべき事は、過ぎたことを悔いて涙を流す事では御座いません。  状況を鑑みるに、ご友人方が殺害された可能性は低いと考えられます。  クアットロは、狂人ではありますが、行動には一貫した方向性が有ります。  あの女は、自分の嗜虐心を満たす最高の方法を求めて行動します。  不吉な事を申すようですが、人質の代わりに人形を置く程度ではあの女の中のサディズムを満たす事は出来ません。  あの女がご友人を殺害しようとするなら、エリオの場合同様、我々にその様子を見せつける可能性が極めて高いと予想されます。  ―――まだ、ご友人の生存の可能性は消えた訳ではありません! 可能性が僅かでもあるなら行動に移すべきです!  主はまた、三年前の後悔を繰り返すおつもりですか!」  13年という長い付き合いの中で、初めて受けたシグナムからの厳しい叱責にはやては驚いた顔をしていたが、涙を拭って肯いた。 「そうやな。シグナムの言う通りやな……うち、ちょっとどうかしとった。諌めてくれてありがとな、シグナム」 「いえ、僭越な事を申し上げました。ご無礼、重ねてお詫び申し上げます」  その場に、安堵の空気が流れた。  何かを思案していたなのはが立ち上がる。その張り詰めた表情に、フェイトが声を掛けた。 「なのは、どこに行くの?」  「マリエルさんのとこ。あの人形の、私達の世界の技術、って所がちょっと気に掛かって。  ―――もしかしたら、凄く頼もしい助っ人さんに来てもらうことが出来るかもしれないから」 [638]Little Lancer 九話 05/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:43:38 ID:aXENTUfU  作業台の上には、一糸纏わぬ女性の裸体が横たわっていた。  均整の取れた目鼻立ち、染み一つ無い白い肌、美しいボディラインと豊満な乳房。  言葉なく作業台の上で目を閉じている女性は、機動六課に於いて蛇蝎以上に忌み嫌われるナンバーズ4のクアットロである。  彼女を憎む六課の面々にこの姿を見せても、この女性をクアットロと認めないかもしれない―――  そう思わせるほど、彼女の姿は彼女の振る舞いとは掛け離れていた。  だが、男を忽ちのうちに虜にするだろう魔性の肉体は、魔性の女クアットロには似つかわしいものかもしれない。 「本当にいいんだね、クアットロ」  彼女に声を掛けたのは、彼女を超える魔、そのものである狂気の科学者ジェイル・スカリエッティである。  クアットロは目を閉じたまま、静かに肯いた。  彼女の隣に、もう一つの女性の裸体が横たえられる。  その女性の裸体も、クアットロと同格の美を誇る完璧な肉体である。  だが、その裸体に性的な欲望をそそられる男は皆無だろう。  その肉体の胸に袈裟掛けに走る深い傷跡と、青み罹った肌が、その肉体が既に死体のそれであることを示していたからである。  三年前、レジアス・ゲイズ中将を殺害した末に騎士ゼストによって討たれたナンバーズの2、ドゥーエの肉体だった。  ドゥーエは、ライアーズ・マスクという、管理局や主要世界のほぼ全ての身体検査を欺ける驚異的な変身偽装能力を持っていた。   「繰り返すようだが、クアットロ、初期型の先天固有技能は基本的に移植は不可能だ。  ドゥーエのライアーズ・マスクは、移植相手に変形させることで例外的に移植が可能になるが、それでも失敗率は高い。  確かに、シルバーカーテンの上にライアーズ・マスクを得れば、お前は最高の偽装能力を得るだろう。  だがクアットロ、ライアーズ・マスクを移植したら最後、お前は永遠に自分の顔ではなく、自分の顔を偽って生きていくことになる。  お前はそれでいいのかな、クアットロ?」  スカリエッティが歪んだ笑みでクアットロに問う。  それを、クアットロは心からの純粋な笑みで答えた。 「自分の顔を偽って生きるなんて、今までの人生とどう違うんですの? ドクター」  スカリエッティは破顔した。 「それでこそ、我が娘だ」 「今は、貴方の母で妻でもありますわ」 「そうだったな」  スカリエッティは苦笑しながら、クアットロに口づけをした。 「では、この施術が終ったら、皆にも告げてある通り、私はまたラボの奥に篭るよ。  解ってるね? 喩え何があっても連絡は不要だ。  私が不在の間の判断は、クアットロ、お前に任せる」 「はい、お任せ下さい、ドクター」 「いい子だ。では、施術を始めよう」 [639]Little Lancer 九話 06/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:44:43 ID:aXENTUfU  ウーノは、脇目もふらずにコンソールを叩き続けていた。  ナンバーズの長女で有る彼女は、姉妹達の中で唯一戦闘用装備を持たない、完全なスカリエッティーの秘書としてのモデル。  彼女は常にスカリエッティを支え、妹達を率いてナンバーズを束ねてきた。  ウーノは『スカリエッティに付き従う事以外に生きる理由は無い』という理由で刑期短縮を断る程のスカリエッティの信奉者でもある。  彼女はスカリエッティを愛し、自身の妹であるナンバーズを愛していた。  そのナンバーズも、現在は僅かに4名を残すのみである。  彼女もクアットロと同様に、敵に与した妹に未練など無いが、拭い去れない一抹の寂しさがあった。 「どうぞ、ウーノ姉様」  脇からそっと、紅茶の満たされたティーカップが差し出された。  振り返れば、クアットロがティーセットを手に微笑んでいた。 「余り根を詰めすぎると、お体に障りますよ」  己がやるしかないという思いに急かされてきた緊張が、すっと解けた気がした。  ウーノはクアットロに礼を述べつつ紅茶を手に取った。  芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。  唇をつけると、口内に独特の甘みが広がり、幸福感に満たされる。 「ありがとう、クアットロ、とても美味しいわ。この三年間、私に代わってドクターにお茶を差し上げてきただけあるわね」 「いえ、私なんてウーノ姉様に比べればまだまだ未熟ですわ」  ウーノは紅茶を楽しみながら、親愛を籠めてクアットロに語りかける。 「いいえ、貴方はもう十分に一人前よ、クアットロ。  姉妹達が揃っていた時から、戦闘で表に出ない情報担当は貴方と私の二人だけだったわね。  今思えば、ドクターの一番お側に居たのは、私と貴方だけだった気がするわ。  私達は、他の姉妹と違って表立った戦闘で役に立つ事はできない。でも、ドクターを一番お側で支える事が出来る。  私は妹達を皆愛してる。でも、一番私に近しく感じてるのは、クアットロ、貴方かもしれないわね」  彼女は紅茶の香りを嗅ぎながら、至福の笑みを浮かべた。  真に心を開いた相手の前でだけ浮かべる、無防備な笑みだと浮かべる。  クアットロもまた笑みを浮かべた。万感の思いを籠めた笑みだった。 「ええ、ウーノ姉様。実を言いますとね、ウーノ姉様。  私も―――貴方だけは、この手で殺したかったの―――」  クアットロは会心の笑みを浮かべて、未調整のトーレの装備、インパルスブレードでウーノを背中からばっさり斬りつけた。  トーレは、何が起きたのかも理解できずに、椅子から倒れ地に伏せた。  クアットロは心からの憎悪の表情を浮かべる。  どうすれば、ここまで醜悪な表情を形作ることができるのか、と思わせる程の憎悪の表情。  それが、虚言を弄し多くの人間を愚弄してきたクアットロの、本心からの憎悪の表情だった。 「ウーノ姉様、貴方は何時だって私の邪魔ばかり……  お生憎さま。私は貴方が憎くて堪らなかったのよ。  いつもベタベタドクターにくっついて、何様のつもり?  お茶汲みやドクターの散髪なんてしちゃって、ドクターの新妻にでもなったつもりだったのかしら?  私がドクターの母となり妻となった今、貴方はとっくにお払い箱なの。  安心して死んで頂戴。  そうそう、貴方が今飲んだお茶、ドクターはパーフェクトだと言って下さったのよ」 [640]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 01:49:03 ID:O3GH5PBX しえん [641]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 01:50:09 ID:oP0GfIV8 支援 先生、トーレが椅子から倒れ地に伏せてますよ…… [642]アルカディ亜 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:51:45 ID:aXENTUfU 連投でひっかかってたので支援サンクスです。 うわああ、トーレになってるの脳内修正お願いします [643]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 01:52:01 ID:o9Ntx+cg 支援 [644]Little Lancer 九話 07/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:52:44 ID:aXENTUfU  警報機が鳴り響く。  その部屋に駆けつけたトーレとセッテが最初に見たものは、血塗れで倒れ臥すウーノの姿。  次に見たものは、血塗られたバルディッシュを構えたフェイト・T・ハラウオンの姿だった。  トーレの感情は、一瞬で沸点に達した。 「貴様ぁぁぁぁぁぁっ!」    インパルスブレードで斬りつけようとするも、固有武装はなく、身体能力自体もリミッターが掛けられている。  仕方なく殴りかかるも、フェイトはそれを余裕の笑みを浮かべてかわしきった。  そのまま、バリアジャケットを翻し、一目散に去っていく。 「待て、フェイト・テスタロッサ」  トーレは必死に追いすがるも、リミッターが掛けられている現在の身体状況で追いつける相手ではない。  侵入者迎撃システムの起動を行い、追跡用に戦闘人形数体を放ったが―――そんなもので対処で相手では無いことが、過去に戦ったことが有る自分自身がよく理解していた。  間違いなく、侵入者は逃げ遂せるだろう。  現在は―――ウーノの方が先決だ。 「ウーノは!?」  駆け戻り、セッテに問うたが、彼女は無言で首を振った。  トーレはウーノを抱き上げるも、ナンバーズの長女はとっくに事切れた後だった。 「畜っ生!!」  背中から肋骨フレーム等を切り裂き心臓などを重要臓器を両断した鮮やかな切り口。  自身の装備、インパルスブレードに酷似する断面は、フェイトのデバイスのサイズフォームによるものに間違いないだろう。  トーレは、温かみを失って行くウーノの亡骸を抱き締めて、雄叫びを上げた。 「何があったんですか!?」  騒動を聞きつけたクアットロが駆けつけてきた。  彼女は、ウーノの姿を見ると血相を変えた。 「ウーノ姉様!? どうされたんですか、ウーノ姉様、しっかりして下さい、ウーノ姉様!、ウーノ姉様!  ああ、何てこと! 一体誰がこんな酷いことを!」  クアットロは、ウーノの亡骸に縋りついて滂沱の涙を流した。  震える手で必死にウーノの体を抱き締める。  とうにウーノが事切れている事に気付いているだろうに、それを否定せんとでもするように、クアットロはウーノの体を揺さぶり続ける。  見かねて、クアットロの肩をトーレが掴む。 「もういい、クアットロ。ウーノにこれ以上心配をかけるな。  よく聞け、ウーノを襲ったのは、フェイト・テスタロッサだ」  クアットロは驚愕の声を上げる。 「あのフェイトが!? 一体どこから!?」 「フェイト・テスタロッサはあの機動六課の中でも最も高い機動速度を持っている。  奴なら、恐らく、この施設の警備を掻い潜って侵入することも可能だ。  以前矛を交えた私には解る。見間違えじゃない、あの女の仕業だ」 「それで、フェイトは今何処に!?」 「逃亡した……今の私のスペックでは奴への対抗は不可能だった。既に脱出も完了している頃だろう。  くそっ、私に力があれば……」 「そんな―――」    悔し涙を流すトーレと呆然と涙を流し続けるクアットロ。  セッテは普段と変わらない無表情でウーノの亡骸を見つめていたが、その感情は伺い知れない。 [645]Little Lancer 九話 08/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:53:42 ID:aXENTUfU  クアットロは、ウーノの体を横たえるとその手を胸の上で組んだ。   そのまま、涙の雫を垂らしながらウーノへと語りかける。 「―――ウーノ姉様、姉様は、いつも私達を導いてくれました。  私達はみんな、ウーノ姉様のことが大好きでした……  ウーノ姉様、今まで、本当にありがとうございました。  これからは、私達三人で力を合わせてドクターを支えて行きますので、どうか安らかにお休み下さい―――」  そう言って、再び顔を伏せたが―――  きっ、と怒りに目を剥いて立ち上がった。 「あの牢屋の捕虜達―――殺してやる」 「止めろ、あの捕虜にはまだ価値が有る。感情に走ると仇討ちの機会すら無くすぞ」  それを諌めたのは、トーレだった。 「それよりも―――クアットロ、例の武装と技能強化を私に施してくれ。今すぐだ」 「まだ、出力の調整が終っていませんわ」 「構わん、最高出力のままで私に装備してくれ」  クアットロは顔色を無くしてトーレに縋りつく。 「いけませんわ、トーレ姉様、ご覧になったでしょう! あのスペックを!  最高出力のままであれを装備すれば、確実にお命に関わります!  どうか、お考え直し下さい!」 「私の命など、どうでもいい! 私は、あのフェイト・テスタロッサを討つ!  三年前のように生け捕りなど望まん! 正義面をしてウーノを闇討ちした外道は、この手で斬る!  この命を賭けて、ウーノの仇は必ず討つ!」  クアットロは血涙を流しながら哀願した。 「ウーノ姉様も、ドゥーエ姉様も亡くなられてしまって、……私にとって、お姉様は、もうトーレ姉様だけなんです。  トーレ姉様まで亡くなられてしまったら、私、私……」  トーレは、優しげな顔をクアットロに見せた。  ナンバーズの戦闘リーダーであり、その苛烈な気勢を持って最前線に立ってきたトーレが初めて見せる表情だった。  トーレは幼い子をあやすように、クアットロの頭を撫でる。  クアットロは、トーレの初めて見せる優しげな行為に呆気にとられた。 「クアットロ、ドクターを三年間支えてきたお前は十分に一人前だ。自覚を持て。  私がウーノの仇を討った後、お前がナンバーズの長女だ。……ドクターと、セッテの事を頼む」 「……―――トーレ姉様ぁっ!」  クアットロはトーレの胸に顔を埋める。  彼女は今、苦しんでいた。  ―――腹の底から湧き上がる喜悦を抑えるのに必死で、苦しくて堪らなかった。 [646]Little Lancer 九話 09/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:54:36 ID:aXENTUfU  ルーテシアは、今日も団子虫のように布団の中で丸まっているルームメイトに蹴りを入れた。  もぞり、と布団が動き沈んだ顔をしたキャロが顔を出した。 「……ルーちゃん、痛い」 「今朝も、キャロが起してくれなかったせいで、訓練に遅刻した」 「……知らない」  再び布団に顔を埋めようとするキャロの首根っこを、ルーテシアが掴んだ。 「キャロの淹れたコーヒーが飲みたい」 「ルーちゃんが、自分で淹れればいいよ」  ルーテシアは細く嘆息した。  数日前、ほぼ日課と化しているシグナムとの教導から帰ってきて以来、ずっとこの様子である。  フェイトも随分気を揉んで見舞いに来ているがが、キャロの様子に変化は無い。 「キャロ、あなたはこのままでいいの?」 「……いいよ」 「本当に?」 「本当に。もう、疲れちゃったよ」  ルーテシアはキャロの顔をじっと見つめる。疲れきった口調、死人のような瞳。  その顔に、昔日の爛漫な笑顔は無かった。  この三年間、キャロは全速力で走ってきた。  本来なら彼女には到底出しえない筈の速度で、一度も立ち止まらずに走ってきた。  だが、彼女は立ち止まった。  ガス欠を起した訳でも無い。  石に躓いて転んだ訳でも無い。  喩えるなら―――彼女は、走るべき道を見失った。  自分が信じて走ってきた道そのものが、最初から存在しなかったのだと知ったのだ。  そうして、立ち止まった彼女は倒れ伏せた。  オーバーヒート寸前を保って走り続けてきたキャロには、冷たい布団は至極心地が良い場所だった。 「聞いてるでしょ。ドクター達がまた現れた。また、戦いが始まる。  私達フォワードメンバーも、すぐに前線に出ることになる」 「もう、わたしには、関係ないもん」  拗ねたように布団に潜り込もうとするキャロを、ルーテシアは力任せに引きずり出した。   「ルーちゃんやめっ……」 「関係無いなら、それ、私に頂戴」  ルーテシアは、キャロの右手首に巻かれた待機状態のストラーダに手を伸ばした。  ぐったりとしていたキャロが、びくりと体を震わせて右手首を庇うように抱え込んだ。 「ダメ、これだけは絶対にダメっ!」 「どうして? キャロが持ってても、もう使わないでしょ?  だから、代わりに私が使ってあげる。  私じゃとても使いこなせないけど、こんな所でキャロの団子虫につき合わせとくよりも、よっぽどいいから」  キャロは低く唸りながら、ルーテシアを睨んだ。  手負いの目だった。  ルーテシアは、そんなキャロを一瞥すると、二段ベットの梯子に足を掛けた。  彼女は部屋を去りながら、こう言い残した。 「……キャロが戦う理由を見失ってるのは、みんな知ってる。  でも、キャロがこの三年間で身に着けた、戦う力はまだ失ってないでしょ。  そして、そんなキャロの力を必要としてるみんながいる。  キャロ、本当にそれでいいのか、自分の心とストラーダに聞いてみれば?」 [647]Little Lancer 九話 10/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:55:16 ID:aXENTUfU  少年は、時折まどろみの中で自分の記憶ならざる記憶を見ることがある。  例えば、空を雲霞の如く飛び交う球形の機械兵器であったり。  例えば、空を駆ける光の弾丸であったり。  例えば、二つの月が天に浮かぶ夜空であったり。  現実離れした、荒唐無稽な光景ばかりである。  だが、夢の中の自分はそれらを荒唐無稽と思わずに、日常の一部として冷静に見つめている。  見知らぬ人物の姿も何度も現れた。  それは、両手に銃を構えたツインテールの女性であったり、巨大なヘリコプターを駆る若い男性であったりした。  オッドアイの幼い少女や、青い毛並みの大きな犬、巨大なハンマーを持った赤毛の少女も居た。  この間の夢には、歪んだ笑顔で高笑いをする眼鏡の女性も現れた。……よく覚えてはいないが、悪夢だった気がする。  どれも見覚えがある気のする人々だが、彼らが自分とどのような関係のある人物なのかはついぞ思い出す事は出来なかった。  それらの中でも、殊更繰り返し夢に現れる人々が居た。  それは、炎の剣を構えた玲瓏な女性であったり、美しい金髪の優しげな女性であったりした。  だが、最も多く夢に現れるのは、まだ幼いショートカットの少女だった。  彼女は肩に小さな竜を乗せ、満面の笑みで自分の名を呼ぶのだ。  そう、彼女はいつも微笑んで、ぼくのことを――― 『……リオく―――』 「ランスお兄ちゃん〜! 朝〜 あ・さ・で・す・よ〜〜!」  少年は、胸の上に重圧感を感じ、息苦しさに目を覚ました。  息苦しいのも当然、胸の上に雫が女の子座りをして体を揺すっていた。  雫が少年を起すのは毎日の恒例である。  それは、別段少年の寝起きが悪いという話ではなく、純然たる雫の趣味であった。 「あ、目を覚ました! おはよ! ランスお兄ちゃん!」 「お……おはよう、雫。起きた、起きたから、降りてくれないかな……?」    うん、と雫は素直に肯くと子猫のように身軽にベットから飛び降りた。  やっと胸の閊えがとれたのに安堵し、深呼吸をする。   「お兄ちゃん、今日中々目を覚まさなかったね。……何か夢でも見てたの?」 「……夢? ―――見ていたような、見ていないような、……ごめん、よく覚えてないや」 「ぶー、つまんない」  雫が口を尖らせる。  少年の夢は、いつもこうだった。  何か夢を見ていた気がしても、全て暁にはまどろみと供に消え去ってしまう。   それは凄く大切なものだったような気がする場合もあるし、二度と思い出したくない苦痛の記憶だった気がする場合もある。  どちらにせよ、少年の夢は覚醒と同時に幻の如く消え去ってしまうのだ。 「おはようございます、皆さん」 「……おはようございます、ランス様」 「おっはよー、ランス! 今朝はランスの大好物のオムレツだよ〜」  その日も、何時もと変わらない平和な朝食が始まる。  少年は、笑顔で食卓に着きながらも、もう思い出せない今朝の夢を回想する。  胡乱にぼやけるその光景に落胆しながら、だれにも聞こえない声で呟いた。 「僕は―――誰なんだろう」 [648]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 01:55:48 ID:SX+UN//J >>644 ×フェイト・T・ハラウオン ○フェイト・T・ハラオウン 支援 [649]Little Lancer 九話 11/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:55:57 ID:aXENTUfU  変化が訪れたのは、朝食後の日課の訓練の時だった。  恭也が、厳しい顔でこう切り出したのだ。   「ランス、お前には今日から御神流を学んでもらう」  少年は狼狽した。 「えっ!? あの、僕には小太刀二刀は遣えません。それに、僕に御神流の才能は無かった筈じゃあ……」 「言い方が悪かったな、御神真刀流、というより、永全不動八門一派の武術を学んでもらう、と言った方が正しいか」 「どういう意味ですか?」 「確かにお前に御神流の才能は無い。お前のような槍で真っ向勝負を挑むような奴に、暗殺剣は学べない。  だがな、御神流の剣は遣えなくとも、永全不動八門一派の術理を学ぶことは出来る筈だ。  現に、お前が俺から盗み取って使ってる技―――」 「盗み取ってるって……」 「別に咎めてる訳じゃない。あの衝撃をダイレクトに伝える斬撃は、御神流の『徹』という技術だ。  同じように、御神流の術理で、お前の槍に応用できそうなものは端から教えていく。  お前なら、すぐに飲み込める筈だ。それを、どう使うかはお前に任せる」  御神流の剣技の奥深さを知っていた少年は喜びつつも、次第に疑問へと変わっていった。  「でも、恭也さん、どうして急に御神流を教えて頂けるようになったんですか?  今までは、絶対に教えて頂けなかったのに?」  恭也の顔が曇る。やれやれとばかりに嘆息し、彼は少年にその理由を告げた。 「ああ、本当は門外不出の筈なんだけど、どうもそう甘い事を言ってられなくなってな。  最近しょっちゅう倒して回ってる自動人形があるだろ?」 「ええ、あの凄く手ごわい殺人人形ですね」 「あれが、大群を成して出てくる可能性が有るらしい。  ―――それどころか、今倒してる人形がメじゃ無い位の凶悪な人形が、登場するかもしれないって話だ。  自動人形を所有していた一族が何人か行方不明になってる。  裏の世界じゃ、途轍もなくヤバイことが起こるかもしれないってザワついてる。  ってな訳で、お前には独りで自動人形の一体二体は倒せる位に強くなってもらう事にした」  少年の顔が青ざめ、頬が引き攣る。  恭也は少しだけ意地悪そうに笑った。 「どうした? 怖くなったか?」 「い、いえ、大丈夫です! 皆さんの為なら、僕は何だってします!」 「よし、その意気だ。  じゃあ、相手の防御や見切りをこちらが見切り、そして攻撃を通す『貫』って技術を教えるぞ。  初っ端からレベル高いから、しっかりついて来いよ!」 「はいっ!」  そして、二人の稽古が始まった。 [650]Little Lancer 九話 12/12 ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 01:57:00 ID:aXENTUfU  ―――だが、その稽古は数日も経たないうちに終わりを告げた。  忍の妹すずかが、その友人のアリサと共に拉致されたという連絡が、なのはから飛び込んだのである。  それも、拉致した相手は件の人形の製作者らしい。  恭也と忍と少年の三人は、急遽海鳴へと飛ぶ事になった。 「みんな、行っちゃうの……?」  雫が涙目で家族を見つめる。仕事柄家族が家を空ける事は少なく無かったが、今回は直感的に何か尋常でないものを感じてのだろう。   「大丈夫よ、雫。私もお父さんもランスも、すぐに帰ってくるからね。ノエルの言う事を良く聞いていい子で待っててね。  ―――ノエル、雫の事、宜しくね」 「……対自動人形の戦闘ならば、私も多少なりともお役に立てますが」    ノエルの言葉に、忍は静かに首を振る。 「ノエル、貴方は確かに『夜の一族』が作った自動人形の中では現在最強よ。でも、今回の敵は貴方が居ても焼け石に水にしかならない程強大。  大丈夫、私達もガチンコ勝負には行かずに出来るだけ参謀役に回るから。だから、私達が居ない間、雫の事を宜しくね」 「……了解致しました。旦那様、忍奥様、エリオ様、行ってらっしゃいませ。  お帰りを、お待ちしております」  ノエルは完璧な礼法で頭を下げる。  雫がランスへと抱きついた。 「ランスお兄ちゃん、これ、あげる」  ぽとりと、雫は少年の掌の中に小さな石を落とした。  形は均整がとれているのに、表面は赤黒く凝固したような、奇妙な石だった。   「……これ、何かな?」 「ランスお兄ちゃんと出会った所で拾った石。何だか変な感じでしょ? お守りにして!」  少年はくしゃくしゃと雫の頭を撫でた。 「ありがとう、すぐに帰ってくるから、いい子で待っててね」 「うん」  少年は、ぶんぶんと大きく手を振る雫に手を振り返しながら、旅立った。  恭也が少し拗ねたような顔で、早く来いと言っていて、その隣では忍が苦笑をしている。  少年は海鳴へと旅立つ。  ―――自身の過去と再開する為に。 [651]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 01:59:29 ID:o9Ntx+cg あ、エリオ様って言っちゃいましたね [652]アルカディア ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 02:00:56 ID:aXENTUfU  皆様、多大なご支援有難うございました。  今日に限ってアクセス規制だの連投規制だの食らって、あたふたしてましてが、ご支援のお陰で何とか投下をおえられました。  心よりお礼申し上げます。  ・  前回頂いたレスの半分近くが「クアットロ死ね」だったのでビックリでした。  クアットロちゃん、あんまりにも可哀相です……(´;ω;`)  今回は、悪役が板についてしまったクアットロの、可愛いところを見てもらおうと思います。  ドクター大好きで、お姉様思い、ちょっぴりヤキモチ焼きな萌え萌えクアットロちゃんです。  (前回やり過ぎだとお叱りをもらうかと思ったら、もっとやれって米のが多くてビビりました) [653]アルカディア ◆vyCuygcBYc 2008/02/23(土) 02:04:44 ID:aXENTUfU >>651 しまったぁぁぁぁぁ! 今日は何の厄日だ、って明らかに私が招いた人災なので、頭を冷やして出直して参ります。 本日は誠にご迷惑お掛けしました。 [654]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:05:44 ID:UYXg37GF あれだな、最大の賛辞としてこの言葉を言い渡そう。 「クアットロ、死んでしまえ」 よもやクアまでヤンデレになってしまうとは・・・・・恐るべきGJ。 [655]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:06:06 ID:Wy4q2k2z いい感じに悪人の王道を突っ走るクアットロが素敵ですね。 続き期待しています。頑張ってください。 [656]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:08:24 ID:9P7l267l >>652 次回はついにエリオと6課が再開かな? エリオに大怪我を負わせたトーレとウーノを殺した(ことになっている)フェイトの 互いに只では済まなそうな激突にも期待してます。 とにかくGJ! [657]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:10:10 ID:O3GH5PBX >>652 マテw 貴方の感性は何処かがおかしいw まあ、何はともあれGJです。萌え萌えクアットロちゃんかわえ……え訳ないだろおおおおお! これほど胸糞悪くなる(褒め言葉)悪役がかつて居ただろうか、いや居ない。 ついにエリオが参戦ですか。楽しみです。 恭也お兄ちゃんが、エリオを鍛えたのが妹だと知ってショックを受けるシーンが今から楽しみなのは秘密。 [658]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:10:10 ID:IUfuJLo4 GJ! クアットロは見事なまでに悪役だな クアットロ死ね、もっとやれw [659]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:10:19 ID:mwkUUqWg まず言っておこう、クアットロ最っっっっっ高!!!!! そうだよ、こいつはこういう女だよ。 同じ戦闘機人の姉妹であろうと純然たる道具以下にしか見下さず、スカリエッティの隣にいるウーノを疎ましく思い。 抵抗する術を持たない少女を嬲って心の底から愉悦を感じるような真性のドグサレ。 敵としてこれ程殺し甲斐のある奴がいるか? もう興奮が止まらねえぜ。 最高にGJですぜ兄貴!! という訳で、次回も心からお待ちしております。 [660]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:10:49 ID:WqjzH1hp リアルタイムGJ!! あと、前々からもしやもしやと思っていたが、今回で確信した……アルカディア氏は究極にクアットロ萌えに間違いない! ………もちろん私も大好きなのでもっとやってくだs(傷心の六課陣に消し飛ばされました) [661]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:10:58 ID:avFvi8dJ なぜだ、欝であるというのに クアットロが終わったようにしか見えない [662]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:12:54 ID:cEYlZ6vl >>652 GJ! だけどクアットロは死ね。氏ねじゃなくて死ね つーか管理局も六課だけに任せずにもっと人員回してやればいいのに [663]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:13:28 ID:oP0GfIV8 クアットロしねぇ [664]名無しさん@ピンキー<> 2008/02/23(土) 02:15:10 ID:aiZDzePP クワットロ邪魔 [665]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:16:49 ID:UacznQxg >>652GJでした 恋する妹は切なくて、お父さんを思うとすぐブッチしちゃうの状態のクワットロ、いい悪役ですよね スカ博士とクワットロの悪役適性は異常ですねw ところで怒り心頭の東レさん、闇討ちだの外道だの仰ってますがあんた人質の身代金として助け出された挙句 クワちゃんの捕虜虐待を軽くスルーしていて闇討ち(=奇襲)よりよっぽど外道じゃないですかw [666]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:18:45 ID:wCY3rmoP >>652 GJ そしてクアットロ死ね。 あちこちでボロボロにされたエリオが、 今度はあちこちで最強になって絶賛復活中だな。 [667]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:31:22 ID:UYXg37GF >>656 僕個人としては、トーレは恭也と戦うんじゃないかと。 神速ならライドインパルスにも対抗できそうだし、何より命のやり取りはなのはやフェイトよりも年季が深い。 [668]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:31:46 ID:V2SDkgKk >>>666 ここのランス君は魔法使えないみたいだからちょうどいいんじゃね? まぁこの先復活する可能性もあるが [669]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:33:42 ID:V2SDkgKk >>667 流石に常時超高速で飛び回る相手は辛いと思うが [670]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:34:10 ID:MmT4rPcA ……「徹」をおぼえたら、つまりそれはスバルの振動拳と同種の、ナンバーズには 天敵と言える技能を得たことにならんか? 根本的に違うかなぁ? [671]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:55:53 ID:Chh5uet6 本編でもこのぐらいの「悪」に徹して欲しかったな。 >>652GJ。次回も期待しています。 [672]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 02:57:00 ID:ibFEQOBv >>609 ようやく結ばれたか!全くどれだけおじさんが心配したと(ry ルーテシアかわいいよルーテシア。エリオのPZBもかっけえよ。 二人ともお似合いだよ!実にGJ!! >>652 GJ!! やっほう、ついにエリオ再開か!? 機動6課メンバーの反応が実に気になるところ。 そしてあいかわらず眼鏡がすごい素敵です(悪い意味で) [673]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 03:03:55 ID:3tTQWUrF >>644 サイズフォーム(バルディッシュ)→ハーケンフォーム(バルディッシュ・アサルト) いや、細かいのは分かってるけど気になった [674]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 03:04:00 ID:BuoPeOhU >>671 逆に言えば、本編での描写が温かったから ・復活したドゥーエに泣いて縋る、本当は寂しがり屋なクアットロ とか ・自分の死を偽装して自由の身になり、姉妹もドクターも元六課メンバーも知ったこっちゃねーやとギャンブラー自己中心派になっちゃうクアットロ とかも出てくるわけだw [675]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 03:34:57 ID:UYXg37GF >>669 神速は高速移動じゃなくて感覚の鋭敏化だからいけるかと思ったんだけどなぁ。 トーレも基本、殴る蹴る切るの3つしかできないわけだし、カウンターで薙旋決めれば一発だと妄想したんだが。 [676]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 03:39:32 ID:wTQK8ZiZ >>675 ただの人間なので防御が皆無なのが厳しすぎる [677]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 03:43:51 ID:U3z+TPj6 これはGJ 4期がこのストーリーなら確実に売れる まぁクアットロのせいで放送規制かかるだろうけどw [678]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 03:47:27 ID:CQv4DMDR >>652 素晴らしい、GJです。 なんとも胸糞悪くなる内容でしょうか(クア姉言動および行動が主原因) 人質2人の監禁シーンで各種二次創作の影響でバーニングに覚醒するアリサ、 プッツンして大暴走の吸血種すずかとかを妄想して、かつこの後、エリオの活躍や 怒れる夜天の主のオーバードライブで消し炭にされるであろうことを言い聞かせな がら読まないとやばい位にイライラがw 素晴らしいき悪人、憎むべき外道、倒されるべき巨悪に相応しいw [679]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 03:52:23 ID:unYbciXD >>676 御神流は銃弾も回避するチート集団(参考:OVAとらハ)ですが、 ただの人間なので無力です(魔法少女的に)、ということか まあ、アレだよね 昔から原作の話題は知ってる人と知らない人で温度差激しいし、取り扱い注意ってことなんだよね >>652 そろそろ俺の嫁であるファリンの濡れ……見せ場かと思ったのにっ スーパークアットロタイムが楽しすぎて浮気しちゃいそうだ [680]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 03:56:03 ID:avFvi8dJ 俺は今回で終了フラグがついたと思ってる所為か胃が痛くならないなぁ・・・ クアは仲間を置いた上で外道に走るからこそ良いと思うんだよね 仲間をどうとも思わないのならただの外道だと 『さっき おまえの目の中にダイヤモンドのように固い決意をもつ「気高さ」を見た・・・堕ちたな・・・・・ただのゲス野郎の心に・・・・・・・・・・・!!』 とあの人の声が再生されたさ 安らかなフルボッコタイムをお待ちしております・・・ [681]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 04:03:15 ID:wTQK8ZiZ >>679 原作は知ってるよ 防御は回避ではなく万が一攻撃が当たった場合の耐久性が皆無って話 [682]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 04:12:28 ID:wkQ2w3uO ソルテッカマンみたいな感じに何とかしてBJ程度の防御力と BJを抜ける程度の攻撃力(出来れば平均レベルの身体強化魔法も) を付与させる必要はあるな。 そういうブーストをかければナンバーズでもバッサバッサと斬り捨ててもOKだと思う。 御神なら。 [683]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 05:00:05 ID:h4V2o6pb オーガ…… 「時空管理局魔導師……そそられるッッ!!」 [684]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 05:14:59 ID:Chh5uet6 なのはさんがオーガニズムに達しました。 性的な意味なのかそれとも出力的なものかはさておき。 [685]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 05:24:53 ID:/fBR1eiT >>682 ああいう強化装備が無いと魔力無い人間が魔力持ちの相手は厳しそうだよね 干渉スペクトル砲みたいな特殊装備でも無い限り [686]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 05:35:15 ID:yPU5bC0p 今書いてるのが思い切り御神の活躍するものな自分は 興味深く読ませてもらってます。 魔法や機人相手にどこまで戦えることにするのか、 参考にさせていただこうと思ってます。 ところで、ここ大本からの改変ってありですか? 恭也の嫁が違うとか。 [687]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 05:39:23 ID:ASYAx8ln >>686 嫁が違ってもいいんじゃね? なのは世界だと忍で確定みたいだけど、みゆきちやノエルやフィリス先生というのもまた一興 …実は昔、恭ちゃん×なのはというフェイトさんが聞いたら怒り狂いそうなCPを考えてたこともあるんだ俺 [688]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 05:41:21 ID:Chh5uet6 クロスじゃないからおkじゃね? [689]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 06:30:20 ID:WqjzH1hp クアットロがこのスレ見ていたら皆の死ね死ねやフルボッコ希望反応見て、恍惚な笑みを浮かべ俺逹を嘲笑うかのようになのはや恭也逹をフルボッコにする……そして最後に俺逹に向け 「みっなさ〜ん、希望通りフルボッコにしてあげましたよ〜♪」 と素晴らしい笑顔で胸クソ悪くなるようなメッセージを送るという電波を夢想した。そんな俺はM野郎に違いない [690]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 06:56:10 ID:9b7OCDyu クアじゃ無理 [691]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 07:09:46 ID:Aywf2Abq 最悪な奴に最悪の能力が与えられたな… だがしかし、敵がクソであればあるほど燃えてくるぜっ! [692]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 08:22:59 ID:gzhegZHU >>609 夫婦初の共同作業はウェディングケーキのカットではなくロストロギアのPZBでのカットでしたかw 次回も期待してますね >>652 クアットロが腐れ外道ですね^^^^^^ クアットロはウーノ姉さんを殺したことバレてトーレ姉さんに切られて死んでください^^^^^ [693]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 08:45:10 ID:UBYdc+ow >>652 乙 奴の最後が楽しみだ。 でも「もっとやれ」のコメは全体で見れば、少なかったような……。 [694]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 09:08:15 ID:DthNqgyJ 乙。 いくらクアットロが姿を変えようと 気配をよむ恭也なら見破れそうだな。 [695]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 09:35:52 ID:xcCsKFI8 ナンバーズ人気ランキング クアットロ急上昇中 [696]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 09:37:55 ID:qJCakubi >>652 GJ!!何というクアットロ。ここまで悪役やってくれるとは腹が立つを超越して すごいと思います。 あとさりげに原作設定混ぜてるのもGJです。 [697]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 09:44:17 ID:Et/vMPHN クアットロ氏ね(←GJ!!という意味) [698] ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 09:59:07 ID:2WeNgi2V これから尊ぶべき愚者を投稿したいと思います ・オリキャラ多数です ・sts開始前の地上本部をメインにした話なので六課の面々については察してください ・キャラの登場頻度に関して本編とこのSSで反比例の関係にあります ・今回はマジでオリキャラだけです ・NGワードは「尊ぶべき愚者」で [699] ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:00:40 ID:2WeNgi2V  その部屋に人影は一つしかなかった。  しかし、いくつものモニターが浮かび、そこに顔が映し出されていた。 『此度のミッドチルダでの事件は誠に遺憾でした』 『心のこもっていない挨拶などどうでもよい。それと、上級大将、任務ご苦労』 「いや。結局なにもしていない」  今回の艦隊派遣は地上本部の脆弱さを露見させ、本局主導にする為だったが、艦隊を任務途中で撤退させてしまった。  上級大将としては自分の思惑に沿っていたが他は面白くないだろう。  なので攻撃の的になると覚悟していたが、意外にも非難の声はさほど上がらなかった。 『仕方ないでしょうな。報告通りなら艦隊を留まらせていても損害が増えていただけ。  戦力を温存しつつ戦う姿勢を見せた提督の行動はベターだったと考えますよ』 『どっちみち、地上本部の損害は大きい。付け入る隙は十分に出来た』 『佐官にも死傷者が出たようなので、我々の息の掛かった人材を送り込めます』 『そういう事だ。それより犯人の侵入経路の特定は終了したのか?  早急に調査せねば陸の連中から抗議が来るぞ』 『それはうちの部隊で現在調査中です。恐らく、観光客として入ってきたのではないかと』 『それならば陸の不手際だな。観光客までいちいちチェックする余裕は海にはない』 『はい。しかしそれでゲイズ中将が納得するかどうか』  一様に溜息がもれる。  彼等にとってレジアス・ゲイズはそれ程に目障りな存在だった。  裏を返せば有能な人材と認めているという事なのだが。 『件の中将から何か連絡は?』 『今の所は特に』 『抗議が来たなら私の所に回せ。E計画の予算を盾に突っ撥ねる』 [700]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 10:01:26 ID:7lNPXFsS キャモン! 支援 [701]尊ぶべき愚者 七話 2/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:02:12 ID:2WeNgi2V 『よしなに。では次の議題です』  それぞれのモニターにカプセル状の機械の画像が表示される。 『ガジェット、か。これがどうした?』 『先の戦いにおいてこのガジェットドローンの出現が確認されています。しかも地上部隊を助けたようで。  他にも未確認情報ですが戦闘機人の存在も』  ざわめきが波のように広がる。 『地上本部が犯罪者と繋がりがあると?』 『確定事項でありませんが。可能性はあるかと』 『確か、E計画の中には指向性のAMF発生器の量産もあったが……成る程な』 『ゲイズ中将も耄碌したな。まさかこんな暴挙に出るとは』 『それだけ必死なのでしょう。なにせ我々に人員を吸い上げ続けられているのですから』  押し殺した笑みが漏れる。 『しかし、それは私達も同様だ。海の戦力が衰えれば複数の次元に跨るような事件や災害は防げまい』 『正直、悪いと思ってますけどね。ですがこればっかりは譲れませんね』 『あれもこれもと規模を広げすぎた弊害だな。規模の縮小も視野に入れた方が良かろう』 『ですな。動物を守って人が守れないのでは意味がない』 『……争点がずれ始めているようですが、結局の所、どうします?』  空気が一旦停止する。 『調査は当然すべきだろう。ただ……』 『確たる証拠を掴んでもすぐに公表は避けるべきですね』 『陸を海の傀儡にするのに使えるとも思ったが少々スキャンダラスすぎるな。  陸の不要論でも出れば元も子もない』 『本局にあらぬ疑いを掛けられても困ります。まあ元々真っ黒ですが』 『査察部としては気が重いですが、まあ仕方ないですな。  政財界との繋がりの深い中将が捕まると来期予算にも響きますし』  モニターの中の人影が一斉に頷き、それを合意の合図とする。 [702]尊ぶべき愚者 七話 3/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:03:04 ID:2WeNgi2V 「少し、良いだろうか」  最初の発言以降、静観していた上級大将が口を開く。 『どうしたね、上級大将。いつになく無口なので妙だと思っていたが』 「先の調査だが、私の部下にやらせてほしい。表向きはあの事件の調査という事で」 『君の? ……ああ、あの彼にか。別に構わんよな、諸君?』  異論なし、と頷きが返ってくる。  事実を秘匿すると決まった以上、査察部が正式に調査をすると都合が悪い。  そして、どこの部署も手一杯な上に政治的な慎重さが要求される陸の調査などやりたくないのだ。 『続いて陸が回収したというロストロギアについてです。皆さんには資料が送られていますよね?』 『十五年前の事件の発端になったあれか。遺物管理部としてはどうかな?』 『面倒ですね。世界そのものは滅んでいても生き残りがいるなら代表者と交渉しなければならない。  そういう役は航行部に任せたいですね。丁度、当事者もいるようですし』  幾つかの視線が自分に向くのを感じたが上級大将は無視。 『それに今、管理部には火急の用がありまして』 『小耳に挟んだが、あの件か』 『大失態だな』 『気の緩みがあったのではないかな?』 『地方に貸し出していたロストロギアを盗難されるとは』 『何人の首が飛ぶやら』  せせら笑いが部屋中に満ちる。 [703]尊ぶべき愚者 七話 4/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:03:55 ID:2WeNgi2V 『……とにかく。我々は手一杯です。他にも三提督から新部隊の件で圧力をかけられていますし』  心底忌々しそうに吐き捨てる。 『ご老人がたにも困ったものだ。宗教家の言葉を真に受けるとは』 『あの預言、細部こそ違えど今回のミッドチルダの事件に一致しているし、解釈次第では私が半年前に扱った事件とも合致する。  まあ、その程度の信用度だな』 『教会は各方面への影響力が大きいから関係を悪化させないために一応は目を通してるが』 『十年前の事件で失った威信を取り戻したいのだろうが、どうもねえ』  十年前という言葉に何人かが反応し嘲りの言葉を口にする。 『結局、あの事件はどうなったんですか? 私は長期任務で管理外世界にいたので顛末は知らないのですが』 『研究機関を三つ潰す破目になった。で、回収した被験体の中で能力の高い個体は整形して管理局で引き取り、そうでないものは孤児院だ』 『では、事件は終結したという事ですか?』 『いや。聖遺物を盗んだ犯人がまだ捕まってない。だから、研究は続いているかもしれないし、こちらが把握していない個体もいるかもしれない』 『……カイゼル・ファルベを発現可能な個体がな。もし居るとすれば聖王教会発足以来の大事件になるな』 『くだらんな。聖者だか何だか知らんが、小娘に管理局や教会が引っ掻き回されるようでは』  その発言にすぐさま言葉が返ってくる。 『年甲斐もなく人形遊びに夢中な技術部が言っていい台詞ではないな』 『……人形遊びとは心外だな。実用化されれば戦力の底上げが可能だというのに』 『君達が改造した機人は拒絶反応やメンテナンスの問題で通常任務には使えないそうじゃないか』 『生まれる前から措置を施せば解消出来るとも聞くが、実行しないでくれよ。非難が殺到するだろうからな』 『それに、問題をクリアした戦闘機人、何と言ったか。性能が高い方でもランクAだそうだな。  倫理を無視してもその程度では。はっきり言って予算の無駄だ』 『それなら管理世界から人材を発掘した方がまだマシというもの。二十人集めれば一人は高ランク魔導師が手に入る』 『貴様等、デバイスをメンテナンスに出す時は注意しておけ。誰にでも失敗はあるからな』   [704]尊ぶべき愚者 七話 5/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:04:44 ID:2WeNgi2V  あまりに子供じみた言い合いに上級大将はそろそろ退席を考え始める。 『どうした?』 「こんな不毛な会話を続けるのはどうかとな」 『不満か? 私は楽でいいぞ。自分の決断に人命がかかっている任務と違って、思っている事はただ言えばいいのだからな。  それに誰もが他人の粗を指摘して優越感に浸るのが好きなのだ。まあ、確かに少々ぐだぐだしてきたな』   ゴホンと咳払いが一つし、言い争いがやむ。 『次の話に移れ』 『では。次は市民団体からの意見書です。無視してもよいのですが、かなりの数になっているのでそろそろ公式な回答が必要かと』 『要約しろ』 『「犯罪者を局員として採用するのは如何なものか」です』  部屋の中にどよめきが生まれる。 『またか。月一で似たような内容が来るな』 『週一です』 『彼等は犯罪者を使ってでも人員を補わなければ自分達の生活が脅かされる事を理解しているのでしょうかね?』 『理解していればこんなものは送りつけないだろ』 『犯罪者上がりの局員などは最前線で使い潰せばいい』 『……マスコミなどの前では控えてくださいね』 『皆も内心では同じ事を考えているだろ? それくらい冷遇しなければ一般の局員が納得せん』  皆が黙り込む。  人材不足とはいえ元犯罪者を部下をするのは管理局内からも抵抗がある。  しかし、 『……犯罪者といえば、先日壊滅させた犯罪組織の構成員を採用すると聞きましたが、配属先は決まりましたか?』  なりふりをかまっていられるほど悠長ではないのだ。 『いや。まだだが』 『でしたら、是非うちの部署に配属させていただきたい』 『待て。それならこっちが優先的だ。私達がどれほど少数の人員で今までやってきたと思っている』 『自分だけが特別だという物言いはよしてもらおう。こちらとて、十分な人材があればどれだけの事件を未然に防げたか』 『諸君等は前回の予算会議では私達がかなり譲歩したのをお忘れか? 金だけでなく人員までも優遇する訳にはいかないな』    またか、と上級大将は溜息を吐く。  基本的にこの会議はスムーズに進むし、意見が対立しても一対多になる事が多いが、人員と予算の話になると途端に紛糾する。  人員と予算には限りがあるのでどのように分配しても不満は出る。  なので熱を入れるのはどうかと思うが、そういう感想を抱くという事は自分の所が割合充実しているからなのだろう、と結論づけ口を挟まないようにする。  思案している間に人事の件は次回に持ち越しになったらしい。 [705]尊ぶべき愚者 七話 6/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:05:27 ID:2WeNgi2V 『ああ、最後に。取り上げるべきか迷いましたが、一応話すべき事が』 『何か』 『ここ最近、無限書庫司書長であるユーノ・スクライア氏の消息がまったく掴めておりません。  対外的には有給休暇中という事になっていますが』 『請求中の資料を無視して休むとは思えんな』 『若輩とはいえ、なかなか責任感に溢れた青年だからな』 『……仕事柄、面白くない事も知っているだろうし、危ういかもな』 『で? どうする。捜索しようにも情報がないなら人員は割かんぞ』 『事件に巻き込まれたという確証もないですが、心に留めておいてください』  モニターが次々に掻き消えていく中、上級大将は引っ掛かる物を感じていた。  司書長が行方を眩ませたのはあの事件の日だ。  そして、自分は彼に事件との関係が疑われるロストロギアの資料の調査を依頼していた。  偶然というにはあまりにも出来すぎている。 「やはり、鍵はミッドチルダとエイドスクリスタルか」  一人呟いた後、通信を終了する。   [706]尊ぶべき愚者 七話 7/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:06:07 ID:2WeNgi2V  あの事件から一ヶ月。地上本部は人的、物的ともに多大な被害を被り、復旧が急務とされた。  近々本局と合同で行われる予定だった大規模演習も延期、ないし中止になるだろうと上官がこぼしていた。  そういう訳で局員は休日返上で仕事に当たり、纏まった休みが取れるまで一ヶ月を要した。  そこはクラナガンにある病院だった。  ドアをノックし、名前を名乗ると少しの間を置いて、入れと声が返ってきた。  失礼します、と断り中に入ると、二尉はベッドから上半身を起こし窓の外を眺めていた。  その為、表情を窺う事は出来ない。 「やっと見舞いに来たか。というか制服で来るな」  自分の姿は窓に映りこんでいるらしい。 「今の地上本部は大変なんですって。いつ非常の呼び出しがあるかも分からないし」 「毎日来る奴もいるが」  言われて病室内を見渡す。  花や果物、お菓子類など見舞いの定番品が所狭しと置かれている。 「まあ、いい。花瓶の水を変えてくれ。愛でる趣味はないが折角もらったものだからな」 「はいはい」 「それで、体の調子はどうです? 看護士の人には安静にさせておけと言われましたけど」  准尉自身、骨折等で大変だったが、二尉はその比ではないだろう。  なにしろ三週間の間、ICUに入りっぱなしだったのだ。  管理外世界では分からないが、ミッドチルダで三週間のICU入りは相当な重傷である。 「治るもんは大体治った。ただ、医者の話ではリンカーコアの損傷が激しく魔力も以前の数分の一だとよ」 「ずっと?」 「ずっと」 「じゃあ、魔導師としての仕事は?」 「あん? 続けるに決まってるだろ。  ランクは下がるし戦闘時間も減っちまうが空は飛べるし砲撃も撃てる。魔力刃で斬る事も出来る。  それに、俺は十代の頃から学校にも行かず魔導師やってんだぞ。  今更他の仕事に就ける訳ないだろ。こんな三十過ぎた障害持ちの野郎なんてよ」 [707]尊ぶべき愚者 七話 8/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:06:51 ID:2WeNgi2V  障害、と言われて、ベッド脇の車椅子の存在に気付く。 「足、ですか?」 「ああ。一生歩けないと室長からもお墨付きを貰った」 「リハビリしてもですか?」 「あいつが一生歩けないって言ったんだ。なにしても無理だろ。  まあ、足をぶった切って義足に変えれば歩けるとは言っていたが、どうも抵抗があってな」 「抵抗があるって言っても歩けないよりは……」  歩けない。  それはとんでもないハンディキャップだ。  就職はおろか、日常生活すら満足に送れなくなる。  それを考えれば義足に変えるのも止むを得ない筈なのだが。  そんな准尉の考えを読み取ったのか、二尉は鼻を鳴らして笑う。 「室長も同じ顔してたよ。こっちの義足は高性能みたいだから以前と変わらない生活が出来るだろうな」 「だったら!」 「俺さ……」  准尉の激昂を二尉は静かな声で遮る。  「昔、大切な人を目の前で亡くしたんだ」 「……」 「魔法に出会う前でな、俺には何も出来なかった。  今でも時々考えちまう。あの時、俺に力があれば助けられたんじゃないかって」 「……」 「多分、助けられただろうな。一生歩けないと宣告されても手術さえすれば歩けるんだから。  ……だからこそ、こんな重傷があっさり治っちまうと遣る瀬無くなる。  何故もっと早く出会えなかったのか、何故存在を知らないままでいられなかったのか」  室内に重苦しい空気が流れる。  准尉は言葉を失ってしまった。  ミッドチルダに生まれた自分にとって魔法とは当たり前のものだった。 「魔法との出会いは不幸だったかもしれないな。……まったく、恨むぜ、ライミーの旦那」  だから、魔法をこんな風に考える人間がいるなんて。 「准尉、お前もそのうち体験するだろうから、今のうちに言っておく。魔法だけじゃ救えないものもある。  その時に救いたいと願うなら、まあ、みっともなく足掻け」 「……あんまりアドバイスになってないですよ」  多分、二尉も未だに分からないのだろうなと邪推する。 [708]尊ぶべき愚者 七話 9/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:07:31 ID:2WeNgi2V 「しかし、まさか俺が車椅子生活とは。これも因果応報かな」 「……何かやらかしたんですか?」  二尉が意気消沈しているこちらを気遣ったのだと思い、准尉は続きを促す。 「十年くらい前の話なんだが、野郎三人と猫二匹で車椅子の女の子を襲う計画を立ててたんだ」 「こ、この性犯罪者が!」  ナースコールに右手を伸ばす。  だが、二尉は慌てるなと言いながら開いた手を揺り動かし、准尉を静止する。 「俺は最後まで乗り気じゃなかったぞ。計画が中止になった後も暴れる馬鹿を取り押さえたり」 「そんなにやる気満々なのが!?」 「つーか、未だに諦めてないみたいなんだよな。一ヶ月前に会った時も仮面に変なマント着けてドゥリンダナ渡せとか言ってきやがって」  しつこい男は嫌われるのにな、と二尉は苦笑する。 「ん、ああ、そういえばこの話題、管理局の中でもトップシークレットだった」 「…………え?」 「この話、他言無用な。下手に言いふらすと本局から黒服の男達がやってくるぞ」  二尉は両手を合わせて悪い悪いと謝る。 「いやーうっかりしてたぜ。そういやお前、この後も時間あるか?」  うっかりで消されたら堪らねえよ、と内心で愚痴る。 「呼び出しさえなければ暇ですよ」 「丁度いい。ちょっと出掛けるぞ。一人だと外出許可が下りなくてな」 「外出許可もなにも、安静にしとかないといけないんじゃ?」 「ここの医者にはそう言われたがな。室長から二人以上なら外出していいと言われてる。さあ、行くぞ」  基本的に拒否権はないらしい。  なんと素晴らしき階級社会。 [709]尊ぶべき愚者 七話 10/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:08:13 ID:2WeNgi2V  緑の芝生の上を二尉を乗せた車椅子を押していく。 「それにしても随分と買いましたね」  二尉は両手一杯に花束を抱えている。  どういう訳か代金は准尉持ちだ。 「暫く来れなかったからな。それにあの花屋の次男が結婚するとかしたとか」 「ああ、そんな話もありましたね」  二人がやって来たのはミッドチルダ西部、エルセア地方にあるポートフォール・メモリアルガーデン。  集団墓地である。   「で、目的の墓はどの辺なんです?」 「19号第5区画だ」  二尉の指示に従いながら移動し、一つの墓の前で車椅子を止める。  墓石にはティーダ・ランスターと刻まれていた。  立ち上がれない二尉の代わりに准尉が花束を置き、二人して手を合わせる。  そこに眠っているのは二尉の知人らしいのだが詳しい事は話したくないらしい。 「ん?」  何かに気付いたのか二尉が横を向く。  准尉もつられて振り向く。  そこにはオレンジ色の髪をツインテールにした少女が驚いた顔で立っていた。  准尉に見覚えはないが二尉の頬が緩んだので彼は知っているのだろう。 「准尉、悪いが少しの間、外してくれ」 「はいはい。ちょうど俺も行きたい所があるんで」  二尉の膝の上から花束を二つ取り上げる。    「残念ながらお友達には断れたが、君はどうする? 悪い話ではないと思うが」  准尉がどこかに行った後、二尉は少女、ティアナ・ランスターに問いかける。 「相変わらず執務官志望なんだろ? 元教導隊の俺が直々に訓練してやるが」 「なんで……」 「ん?」 「なんで私をスカウトするんですか?」 「君は訓練校首席卒業の才女だろ? それを水撒きに使うのは適材不適所だ。  俺としても自分が空けた穴くらいは埋めたいからな」 「……少し考えさせてください」 「出来るだけ早くな」  一礼し、去っていくオレンジの髪を見送り二尉は嘆息した。 「そういや、あいつ、誰の墓に行ったんだろ」 [710]尊ぶべき愚者 七話 11/11 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:09:03 ID:2WeNgi2V  探していた墓は意外に速く見つかった。  ただ、誰もいないと思っていた墓の前には一人の少女が立っていた。  年齢は十五歳くらいか。 「その制服、管理局の人ですか?」  こちらに気付いたのか少女が振り返る。  その表情はまるで幽鬼のようだった。 「ああ。そうだけど、君は?」  パシィンと渇いた音が鳴る。  准尉は最初、何が起こったか分からなかった。  振られた少女と手のひらと頬の痛みで叩かれた事は理解出来たが思考がそれより先に進まない。 「どうして……」  少女の声は震えて上擦り、目には涙が溜まっている。 「どうしてお姉ちゃんを助けてくれなかったんですか!」 「お、お姉ちゃん?」 「お姉ちゃん、結婚も決まって、これからだったのに!」 「……」    腕から力が抜け花束が地面に落ちる。  言葉が出なかった。  しかし、よく考えれば分かる事だった。  あの被害者にも家族がいて当然なのだ。  そして犯人が捕まらなかった今、遺族の悲しみや憤りの矛先が何処に向かうかも。 「……」  叩かれた頬がヒリヒリと痛む。  少女は既に走り去ってしまった。  追いかけようとしたが、遠ざかっていく小さな背中にかける言葉が思いつかなかった。 「くそ!」  そんな自分が情けない。  自分はあの少女に何が出来る?  あの少女の為に何をすればいい?    問いかけに答える者は誰もいなかった。 [711]尊ぶべき愚者 ◆Ev9yni6HFA 2008/02/23(土) 10:10:03 ID:2WeNgi2V 以上です このSSじゃあんまり本局側からの視点はなかったので前半でやってみました 今まで地上本部視点だったので本局を悪く書いてましたが本局も色々大変なんですよ、多分 しかし、モニター越しの会議とか書きづらいな ナカジマさん家の次女は救助隊志望だし恩人もいないのでヘッドハンティングには失敗しちまいました [712]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 10:20:20 ID:avFvi8dJ GJ いやwなんだか和やかな本局上層部だなぁwwww 嫌われもんだけどちびだぬきでも普通にやっていけそうじゃないかwww [713]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 10:29:19 ID:qJCakubi >>711 GJです。上層部がブラックすぎるw 前々から思ってたんだが、◆Ev9yni6HFA氏はもしかしてTム・クランシー氏のファン? [714]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 10:31:52 ID:7lNPXFsS >>711 さすが隠蔽は本局のお家芸だな! ユーノ、無茶しやがって……AA略 しかしこれはヴィヴィオが来るのか? それとも別のクローンか。三脳がヴィヴィオ以外に居るみたいなこと言ってたし どっちにしろwktk しかし、氏の作品だけじゃなくここの長編ってハードな設定が多いな 好きだからいいけど [715]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 10:40:31 ID:xcCsKFI8 エロの大長編って中の人が死にそう [716]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 10:45:49 ID:7lNPXFsS >>712 無理だろうw 六課部隊長で教会と親しくて前科持ちだぜ 三拍子揃ってるし そういえば作中で偉そうな人が言ってたがカリムの予言ってマジで使えないよな 文章が曖昧だから何とでもこじつけられるし 実際こじつけられてたし [717]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 10:55:37 ID:IUfuJLo4 カリムが予言にあわせて裏から犯罪を牛耳っているという電波を受信した [718]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 10:56:49 ID:kZLR+nQI >>717 言いすぎだぜ [719]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 11:04:17 ID:+rbawhNs >>717 カリム自身がやってなくても教会の腹黒そうな連中が 教会の利益のために暗躍してるってのはありそう [720]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 11:05:31 ID:avFvi8dJ どうにでも解釈できる こじつけもできる 事がある程度起こらないと何の事だか意味不明 しかし無視できない スルーすると「だから言ったじゃねえかこのダラズ」と教会からブーイング どうみても孔明の罠ですwwwwwwww [721]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 11:07:28 ID:kZLR+nQI 気を悪くするかもしれないが、憶測の域をでんなあ。 [722]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 11:49:56 ID:HYQOGgLW >>711 GJです。現実には絵に描いたような悪の組織は存在せず、 利益や主張の違いでのぶつかり合いが殆どですからね 黒いのも組織なら普通であるそう感じさせてくれる作品ですw >>716 自分で言ってるからなw 良くあたる占い位だと >>721 二次創作なんてそんなモンですよw ネタにされてる、百合や魔王だって公式ではない憶測ですから その憶測を自己の作品のなかで如何に説得力を持たせるか、とか その設定を活かしてどう面白くするか、が問題なのであって、その設定自体が 間違ってるから使ってはいけないと言うのはない、ただし、説得力が無かったり 活かせなかったり、ただそのキャラや作品を卑下したいだけだったりすると袋叩きだけどね [723]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 11:59:06 ID:o9Ntx+cg >>635 >ほんの少しずつだが、アリサの傷から腫れが引き始めていた。 これはアリサ→すずかですか? [724]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 12:39:02 ID:4ALcpqnn >>720 カリムの予言は識者の意見のひとつという扱いで、そこまでごり押しできるものではないかと。 後、予言ははっきりと使えるか微妙だが、使えないかというとそれも微妙だと思う。 あくまで識者の意見扱いなんだと思う。 [725]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 12:45:57 ID:xcCsKFI8 それにしてもカリムのエロが無い ここは占いが外れて責任取れって逆切れされた高官達に レイープされるってのはどうよ? [726]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 12:54:42 ID:mwkUUqWg カリムですか、今のところメインのエロが2本書かれたくらいの不遇っぷりですからな。 輪姦陵辱が似合いそうなのに惜しいっすね、誰か書かない? [727]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 12:59:25 ID:ubGvqIL8 ギンガやシャッハのエロもさっぱりない。 何故だ!? [728]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:05:01 ID:U4UO5PKJ 単純に相手役が思いつきにくいからじゃね? [729]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:06:40 ID:AVsMEcj5 そもそもエロ自体が欠乏気味な件。 保管庫のスレ別著作一覧で最新更新分の51スレみたら、 投下されたSSのうち4分の3が非エロだったというw [730]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:07:10 ID:mwkUUqWg ギンガは男っ気皆無にしてアニメ本編での出番が極端に無かった。 シャッハも同じくアニメ本編での出番が少ない、そしてチンコ要員候補がヴェロッサ一人しかいない(ヴェロッサはシャッハよりはやて絡みのSSの方が多い)。 なによりオッパイ成分があまりに貧弱!! [731]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:09:20 ID:avFvi8dJ エロ自体が少ないのはあまり良い事とは思わんのだが非エロの職人さんレベル高いしなぁ・・・ エロのほうが場違いとか思われてんじゃないか? [732]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:11:29 ID:xcCsKFI8 ザ・空気 セッテ [733]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:11:40 ID:mwkUUqWg >>729 それは“もっとエロいSSを書きやがれ”という意見と受け取ってよろしいのかな? ならば俺は頑張らねばならないが。 [734]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:13:34 ID:AVsMEcj5 >>733 書いている最中に抜きすぎて干からびない程度に頑張ってくれい! [735]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:15:27 ID:IUfuJLo4 非エロ職人レベル高すぎるんだよな エロが無くても満足してしまうw [736]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:18:11 ID:6k0HyRED >>729 逆に考えるんだ。4分の1はエロなのだと…… エロでも非エロでも、投下してくれる職人さんがいるのはありがたいことだぜ。 ろくに作品が投下されないスレなんて腐るほどあるしな。 でも、もう少しエロが読みたいんだお…(ヽ'ω`) [737]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:20:42 ID:avFvi8dJ 足りないのはワッショイだ!!! そう言えばショタ多いのになんで無いんだ?というか需要はあるのか? [738]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:21:52 ID:7lNPXFsS >>736 俺も同感だが、読む専門だしあんまり偉そうな事は言えないしな〜 [739]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:24:35 ID:UacznQxg >>731 まさか、歓迎されるに決まってんじゃねーか ただ、エロは誰でも書ける訳じゃないからね(非エロが簡単だと言ってる訳じゃありません) [740]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 13:29:26 ID:AoGBMTWp 魔法使いの俺にとっては、魔法戦とかはリアルだから書けるけども セクロスなんてファンタジー、想像もつかないし書けないよ! [741]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:01:58 ID:oP0GfIV8 エロはマジ難しい。喘ぎ声とか濡れ場の描写とかは書かないと本当に身につかないが、 強心臓じゃないと少なくとも最初のうちは恥ずかしさに身悶えてしまってなかなか筆が進まない エロい人はマジ変態だよ [742]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:02:58 ID:D+qaJTFW >>740 ちょwwwww誰がうまいこと(ry [743]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:04:25 ID:mwkUUqWg >>734 >書いている最中に抜きすぎて〜 っておい!! あんたエロSS書いてる最中に抜いてるのか!? [744]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:17:24 ID:AVsMEcj5 >>743 あ、あるぇ〜(・з・) 以前、一回だけ頑張ってエロ書いたんだどもな、その場面を想像している内に、 鼻息がどんどん荒く…えらいことになっちゃたりしたのは俺だけなのか…? 色々体力つかいすぎて、もう二度と書くまいとwwwww [745]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:18:56 ID:M3A5EZNF 俺もエロ書いてるときに普通に勃起して性欲をもてあますことあるぜ お陰で筆が進まない まぁ、変な表現になってないか度々読み返すせいもあるが [746]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:19:39 ID:avFvi8dJ 人生初めてのエロSSはゲロレズだった俺はどうすればいい しかも童貞なのに [747]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:28:02 ID:mwkUUqWg >>746 まあ、なんだ……気にするな。 っていうかどんなSSなのか気になるぜ。 ちなみに俺の初めてのエロSSはリンディさんのエロだったけど(なんかこれだけで誰か特定されそうだが)。 [748]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:31:56 ID:UYXg37GF 僕も書いている内にヒートアップしてディスプレイの前で悶えたことあったっけ [749]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:34:25 ID:UIHHLYy7 みんなと逆かもしれん。 抜く気になる→想像をふくらませて、脳内映像をメモっておく→トイレにかけこむ→出てくる→冷静になって執筆。 [750]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:35:20 ID:YXp0lG4h そして俺が今投下 注意事項 ・まぁ、初っ端からどえらい捏造です。 ・正直ユーノ強すぎ。どこの跳躍系だ。 ・レジアス中将はモブか悪役だと思っている人は、読まないほうが吉です。 ・オリキャラがメイン張ってます。 ・ややなのはヘイト気味。この言葉だけでも反応する方は読まないでください。 ・あぼーんキーワードは「熱い彗星の魔導師たち」 [751]熱い彗星の魔導師たち 4-01/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:36:27 ID:YXp0lG4h 「…………」  不機嫌そうな顔のアリサが、無言で自分用の端末の、光学キーボードを叩き続けている。 「あ、あの、アリサ?」  オフィスの、自分の端末の前にいたマギーが、空気に耐えられなくなり、おずおずと声 をかける。 「ん?」  アリサは非実体ディスプレィから顔を上げ、訊き返す。 「やっぱり、私も書こうか……その、発見したのは私なんだし」 「え、あ」  気まずそうに苦笑しながら言う、マギーの言葉に、アリサは、慌てて、態度を取り繕い なおす。 「い、いいって」  苦笑するように、そう言ってから、 「今回は、あたしの判断ミス。最初からあんなモンがあると想定してりゃ、とる手段はい くらでもあった」  ため息交じりに、自嘲気味に脱力した態度で、そう言った。 「不可抗力だと思うけどね、僕も」  副隊長席でユーノは言うが、しかし、アリサは軽く、首を横に振る。 「ユーノの結界技術がなかったら、半径400mは更地になってた。それで不可抗力ですって 言っても、誰も納得しないわよ」  言いながらも、アリサの手は、キーボードを叩いていく。 『始末書 時空管理局執行部長殿 遺失文明遺物管理部機動6課 第2中隊長・第3小隊長 アリサ・バニングス特別三等陸佐』 熱い彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜  PHASE-04:First mobilization  約5時間前────21:40(MSTC)  機動6課隊舎裏手、廃棄区画に取り込まれた、訓練用の森。 『Divine Clasher, Burst……』 「そこまで!」  ユーノの言葉に、アリサは発動しかけていた射撃魔法の術式を、レイジングハートに停 止させる。レイジングハートの圧力逃し弁が開き、水蒸気とともに余剰圧力を放出した。 「うし、とりあえずなのはが惚れ込んでるだけの事があるわねー」  アリサは、汗を拭うような仕種をしながら、笑って、そう言った。  ティアナは口元で笑みを浮かべ、楽しそうな笑顔のスバルと、顔を見合わせる。  とりあえず実力がどれだけなのか見る、と、アリサは2人と、1対1の模擬戦を行ってい たのだ。 「まずスバル」 「は、はいっ」  アリサが呼びかけると、笑顔で、スバルは返事をした。 「概ねBランク超ね。次の認定試験のときはAランク簡単に受かるんじゃないかしら。ユー ノはどう思う?」  アリサはそう言って、ユーノにも判断を振る。 「僕も、同意。ただ、認定試験までしばらくあるから、伸ばせるんなら、一足飛びにAAで もいいかな」  ユーノは、穏やかに微笑みながら、そう言った。 [752]熱い彗星の魔導師たち 4-02/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:36:51 ID:YXp0lG4h 「あっ、ありがとうございます!」  スバルは眼を輝かせて、手を祈るように組みながら、元気の良い声でそう言った。 「わ、私はどうですか? バニングス隊長」  ティアナは、そのスバルを押しのけるようにして、聞いた。 「うん、ティアナは……」  アリサは、困ったような苦笑をした後、ユーノを見る。ユーノも、あまり芳しくなさそ うな表情で、頷いた。アリサの表情は、さらに険しくなる。 「正直、支援射撃なら充分いけるし、Two Man CellならAも難しくはないと思うんだけど ……」  苦笑しながら、アリサは、言い難そうに、言った。 「けど? その、構いません、続けてください」 「なら、言わせて貰うわね……」  言い、アリサはさらに表情を渋くする。 「Physicalなクロースレンジがまったくダメなのは、ミッドチルダ式だとAAランカーでも 結構居るんだけど、ティアナの場合、近接射撃も遅いのよ……狙いと誘導はいいんだけど ね。Soloでやるのは、ちょっと無謀。スバルとのコンビネーションなら、何の問題もない けど」  困ったような、渋い苦笑を浮かべるアリサの言葉に、ティアナは絶句し、呆然とする。 「陸なら問題ないけど……ティアナ、執務官志望だったわよね?」 「え、あ……はい」  アリサが声をかけると、一瞬、暗くなった目の前から、ティアナは、ようやく帰還する。 「巡航警備部でも、執務官は、Solo戦も多いから、今のままだと厳しいかしら……あるい は、スバルが先に執務官になって、補佐で引っ張り上げる方法もあるけど……」  アリサは、顎を抱えて、呟くように言い始めると、スバルのほうを見た。 「その戦法でいくと、最終的にスバル、提督まで行くことになるしね」 「え、……まぁ、……ティアのためなら」  スバルも俯きがちに、そう言いかける。  しかし、 「ちょっと、パートナーならともかく、アンタが上司になって引っ張り上げてもらうなん て、私は冗談じゃないわよ」  と、ティアナは言い、スバルに食ってかかった。 「ティアナ本人も改善の余地ありだけど……そう、あの爆裂弾、どこで習った?」  アリサは、そのまま言い辛そうに、そう訊ねた。 「え、あ、その……我流です」  ティアナはアリサのほうを向き直し、言う。 「A.M.F.戦闘に、必要だから、開発したんですけど……」 「んー、カートリッジ積んでるんなら、デバイスにA・A.M.F.術式組み込むか、力技で押 し切っちゃったほうが早いわよ。Charge TimeがLossになり過ぎ。スバルとか、Front attacker が前に出てれば、威力も強いし、支援射撃用にはもってこいだけど」  アリサは難しそうな顔をして、腕を組み、頭を捻りながら、そう言った。 「そ、そうですか……」  ティアナは、いっそうしょげたように、視線を落とした。 「どっちにしても、問題はデバイスの方よね」 「うん」  アリサが訝しげな表情で言うと、ユーノが、それに同意して、頷いた。 「ティアナ、ハンドガン形態に何かこだわりでもあるの?」  既に2機のワンオフデバイスを組んだ経験のあるユーノが、ティアナに問いかける。 [753]熱い彗星の魔導師たち 4-03/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:37:17 ID:YXp0lG4h  アリサも、ティアナに向かって、視線を上げた。 「えっと……何か問題でもあるんですか?」  答え辛くなったのか、ティアナは、そう、聞き返した。 「単純な質問に質問で返さない」  アリサはそう、叱るように、指を振って言ってから、さらに、続ける。 「Hand gunって、基本的にクロースレンジ用の武器なのよ」 「えっ?」  アリサの言葉に、ティアナは戸惑いの声を出した。慌てて、右手に握られていた、ハン ドガン形の自らのデバイス、クロスミラージュに、視線を向ける。 「これからも中遠距離の射撃をメインで行くなら、よりBarrelの長いGun Formにした方 がいいし、Soloを考えるなら、より近接戦闘向けのデバイスを考えた方がいいんだけど… …それインテリジェントデバイスでしょ?」 「AIとの相性とか、こだわりとかあるからね。ウェンディがアイアス使ってるのも、そう だし」  アリサの言葉に、ユーノが続けた。 「え、ええ、そうですけど……ただ、これは、6課に来てから受領したものなので……」  ブッ  ティアナの戸惑いがちな答えに、アリサとユーノが、揃って吹いた。 「持込じゃないの!? インテリジェントなのに!?」  アリサは眼を円く剥いて、聞き返した。 「はい、なのはさん……高町隊長が、ロングアーチと一緒に、用意してくれたものでして ……」 「それじゃあ、今までのは?」  困惑気に答えるティアナに、ユーノが、さらに訊ねる。 「あ、いえ、以前使っていたのも、ハンドガンタイプなんです。簡易ストレージでしたけ ど」  ティアナの答えに、アリサとユーノは、顔を見合わせる。  簡易ストレージデバイスとは、近年、自作デバイスに出現してきたもので、カートリッ ジシステムと、管制装置に、簡単なオプション類を追加した、ミッドチルダ式射撃魔法向 けの簡素なデバイスだ。  本格的なデバイスとは異なり、物理戦闘はほぼ不可能、術者の魔力増幅も中途半端だが、 カートリッジシステムを安易に使用できることと、小型軽量であるというメリットがある。  ちなみに、紛らわしいが、L4Uやアンブロークンイージス、アンダウンテッドアイアス の『簡易インテリジェントデバイス』は、ストレージデバイスの部品を使用して管制用AI を組み込んだ形態のことであり、デバイスとしては完成度は高いものが多く、『簡易スト レージデバイス』のように、“デバイスとして簡易”というわけではない。 「ふーむ……」  アリサは少し考え込んだように唸ると、おもむろに、非実体コンソールを呼び出した。 「リニス、まだ起きてるかな」  海鳴市の、ハラオウン家を呼び出す。 『あいよー。って、アリサか』  モニターに出た、長身にピンクがかった赤毛の女性は、その姿を見るなり、そう言った。 「アルフごめん、起こしちゃった?」  アリサは、少し申し訳なさそうに、そう言った。 『んにゃ。あたしとリニスも、帰ってきたとこだし。アリシアがまだだからね』 「それならいいけど。そう、そのリニス呼んでくれるかな?」 『あいよー』  そう言って、モニターの向こうから、狼の使い魔の姿が、一旦消える。 [754]熱い彗星の魔導師たち 4-04/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:37:40 ID:YXp0lG4h 『どうしました? レイジングハートかホーンテッドクリムゾンに異常でも?』  リニスは、アルフと代わるなり、そう、アリサに訊ねてきた。 「えっと、そうじゃないんだけど……ごめん、簡易インテリジェント、1機フレーム組ん どいてもらえないかな」  苦笑交じりに、アリサは、リニスに向かって、そう言った。 『簡易インテリジェント、ですか? 必要なら、上位インテリジェントも用意できますけ ど?』  少し怪訝そうに、リニスは聞き返してくる。 「できるだけすぐ使いたいし、すぐ慣れさせたいのよ。それに、無駄になっちゃう可能性 も高いし」 『判りました。それじゃあ、できるだけ頑丈な子を』 「うん、できるだけプレーンな形態で、近接戦闘と射撃、両方使えるフレームにしといて もらえるかな。あ、あと、無駄になるかもしれないから、AIはまだ積まないどいて」 『了解です。承りましたよ』  アリサの申し訳なさそうな表情に向かって、お互いモニター越しのリニスは、優しげに 微笑んで、それに応じた。 「それじゃ、よろしくお願いするわね」 『はい、お休みなさいませ』  そう言って、通信を切ると、アリサは、非実体コンソールを格納した。 「って、まさか、私の為に、ですか?」  ティアナが、驚いて、アリサに向かって一歩飛び出し、訊き返す。 「あ、うん。一応、用意だけしとこうと思って。ティアナがそれ1本にこだわるなら、無 駄にしてもいいし。簡易インテリジェントだから、他に回すこともできるから」  アリサは苦笑交じりに、言う。 「はぁ…………」  ティアナは、己の右手のクロスミラージュを見て、呟くように、答えた。  クロスミラージュは、何も言わない。 「まったく、マスターのフォローもできないなんて、インテリジェントデバイスらしくな いわね」  バリアジャケット姿のアリサの胸元にかけられていた、オレンジ色の涙滴型の宝石が、 そう言った。かと思うと、それは重力に逆らって浮かび上がり、ポンッ、と、コビトサイ ズの人間形態になった。 「主人に迷惑かけまくってるアンタが言うんじゃない!」  アリサはそう言いながら、左手でローウェルを引っ掴んだ。  今夜もまた、ギャアギャアと言い争いを始める。 「ま、まあインテリジェントデバイスだと、マスターとの関係も、千差万別、だよね」  ユーノは、苦笑しながら、そう言った。 [755]熱い彗星の魔導師たち 4-05/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:38:05 ID:YXp0lG4h  22:00────機動6課隊舎、第3小隊『レッドフレーム』オフィスルーム 「あー」  小隊長席で、アリサはうだうだと声を上げる。 「ティアナへのフォロー、ちょっと、したりなかったかしら……」  それをいまさら悔いるように、アリサは呟く。 「でも、ああいう場面で本音言っちゃうのが、アリサらしさだからね。それが、いいトコ でもあるし」  これが、他の人間か、あるいは3年前までの関係なら、 『それ、褒めてないわよね?』  と、言って、相手を睨みつけるところだが、今のアリサは、ユーノにそう言う事はしな い。 「ユーノから、全部、言ってもらえばよかったかなぁ」 「いや……下手に濁すと、彼女の事だから、後で怪我する原因になるかも」  後悔を口に出すアリサに、ユーノは、さっとフォローを入れる。  しかし、アリサの表情は、晴れない。 「彼女、あの時の事、まだ知らないんだよね? 3年前の……」 「うん」  ユーノが、声のトーンを落として聞く。すると、アリサは、力なく頷き、言う。 「告別式には行ったんだけど、喪主、ティアナじゃなくて、親戚の人だったし」 「そっか……」  ユーノも、どこか苦い笑顔になる。  ビーッ、ビーッ、ビーッ、…………  唐突に、警報が鳴り響き、オフィスに設置されている、赤い点滅灯が点く。  アリサは、はっと我に返ると、バチン、と、手で両頬をひっぱたいてから、立ち上がっ た。  非実体ディスプレイが、小隊長席の前に現れる。ディエチの姿が、そこに移った。 『一級ロストロギア輸送中のトラックが、何者かによって強奪されたとの事です。襲撃者 は、スカリエッティ型傀儡兵を伴い行動中。なお、実行犯の1人は……』  ディエチはそこまで行って、ゴクリ、と、息を呑んだ。 『スカリエッティ製戦闘機人と、思われます』 「!」  レッドフレイム小隊全員の表情が、険しくなる。  特に、アリサ、そしてウェンディの表情が、硬かった。 「ディエチ、誰だかは判らないんスか?」  ウェンディが訊ねる。 『残念ながら、映像データの入手にも失敗した』 「そうっスか……」  幾分気落ちしたように、しかし、表情はさらに険しくして、ウェンディは言った。  ウェンディ、ディエチ、そしてオットーも、もともとは3年前の事件で、管理局に“保 護”された、スカリエッティ製戦闘機人である。  だが、古参の5機ほど、スカリエッティに対する精神的依存が高くなかった。その為、 社会適合の為の短期講習の後、管理局所属の魔導師として、別の道を進み始めたのである。  No.8オットーは、その能力ゆえに社会適合性が高く、短期講習の後に、自立し、レック ス姓を名乗り、ボディの整備を管理局に依頼している以外は、ほぼ1人立ちしている。  No.10ディエチは、レティ・ロウラン予備役提督に引き取られ、巡航警備部武装隊で働 いていた。 [756]熱い彗星の魔導師たち 4-06/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:38:29 ID:YXp0lG4h  No.11ウェンディは、レジアス・ゲイズ中将に引き取られ、陸士総隊、陸士第5部隊に所 属。  そして、同時に確保されたNo.12ドゥーエは、未完成だったこともあり、戦闘機人とし ての能力を完全に封印して、一般人の中で生活するようになった。クイント・ナカジマが 後見人を務めているが、ナカジマ姓ではなく、ファーストネームも、まったく別の名前を 名乗っている。ボディの整備のために地上本部医療センターに通うのが、唯一一般人と違 う点であり、数少ない管理局との接点である。 「輸送に当たっていた陸士隊員は?」 『素っ裸にひん剥かれていましたが、かすり傷程度です』  アリサの問いに、ディエチは澱みなく答えた。 「ほっ、よかったっス〜」  ウェンディが、胸を撫で下ろす。  しかし、アリサの表情は、晴れない。 「まぁ、当然だけどね。死体出ると、処理が厄介だし」  そう、言ってから、 「総員、出動準備!」  と、ビシッ、と、指をさす仕種をして、号令をかけた。 「了解!」  3人が、各々、動き出し、オフィスの外へ、いそいそと、出かけようとする。 『バニングス隊長、ヘリは使うか?』 「そうね……すぐに出せるの?」 『当然です』  ディエチの言葉に、アリサは、わずかに逡巡してから、答える。 「それじゃあ────」 [757]熱い彗星の魔導師たち 4-06/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:38:56 ID:YXp0lG4h  レリック。  魔力素を魔術駆動式から直接物理的、もしくは精神的・生物学的なアタッチに使うので はなく、圧縮してクリスタル状の結晶体とした代物。  かのジュエルシードと同じく、過去に存在した高度な文明において製造されたと思われ るが、アストラル物質である魔力素をターディオン(タージオン)物質に圧縮してある為、 とにかく不安定でかつ、破滅的なエネルギーを秘めている。  レリックは、その解放速度を減速する“炉”で、そのエネルギーを何らかのエネルギー に変換して動力とすることが考えられていたとされ、古代ベルカにもその痕跡がある。だ が、現在の技術ではそれは実現性に乏しく、今となっては爆発しないよう封印しておくか、 虚数空間にポイしかない。 『たしか、昼間のレールウェイ襲撃もレリック目的じゃなかったかしら?』  ディエチに向かって、アリサが訊ねてくる。 「そうです。ただ、襲撃していたのは傀儡兵だけのようですね」 『と、なると、昼間のは陽動、ってわけね』 「断定は危険ですが」  ヘリを操縦しながら、ディエチはアリサに答えると、アリサが『Corydoras』(コリドラ ス。ナマズ科の熱帯魚の一種)と呼ぶ、交差パラレルローター、双テイルブームの中型カー ゴヘリ・JFM165の、操縦席右側のガルウィング型コクピットドアを開放する。 「『ライトニングストーム』、セットアップ、ライオットフォーム」 『Yes, My commander』  ディエチの首にかけられていた、小型の、デォルメライズされていたミニチュアのサー ベルが、柄が長めの、本来のサーベルらしい姿になる。 『Storm wave』  その切っ先に、正三角形の頂点に円を描く、光の現代ベルカ式の、穏やかなオレンジ色 の魔法陣が現れたかと思うと、刀身が帯びた魔力光が、鎌のような衝撃波となって、打ち 出された。  それは、地上の、廃ビルの1棟の屋上に、“吸い込まれて”行った。  途端に、その屋上から、影が、ひとつひとつ、魔力光を発しながら、飛び上がってくる。 かつてプレシアも使用した、飛行形、ワイバーン型の傀儡兵。しかし、プレシアのそれの ような有機的なデザインは一掃し、翼は航空機のような直線的なものになっている。  さながら蜂の巣をつついたような状態になり、次々に飛行形傀儡兵が、ディエチの操る JFM165に、襲い掛かってくる。 『Load Cartridge. Revolver set』  ディエチは、『ライトニングストーム』の峰に装着された、CVK-891R カートリッジシ ステムのカートリッジを撃発させると、ヘリを器用に滑らせつつ、精密連続射撃で傀儡兵 を1体ずつ、落としていく。 『時間、稼げそう?』 「なんなら、上の連中は全部落として見せますが」  ディエチはアリサからの通信にそう答えつつも、時折。くっ、と表情をゆがめつつ、操 縦と射撃を並行してこなしていく。 [758]熱い彗星の魔導師たち 4-07/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:40:00 ID:2DE0pZGe 「りょーかい、それじゃあ、そろそろ行きますか」  言うと、アリサは、鉄蓋を持ち上げた。  マンホールから、わずかに眼を覗かせ、周囲の様子を確認してから、蓋を横にずらして、 完全に開ける。  アリサが、フロアに上がると、廃ビルのホールになっているそこに、陸士総隊が使用し ているシングルタイヤ6輪の輸送トラックが見えた。 「上でディエチが騒ぎ起こしてくれてるとは言え、無防備ってのも変な話ね」  周囲に気を配りながら、アリサは言う。 「よっぽど間抜けがあたったんスかね」  ウェンディが、そう軽口を叩きながら、マギーとともに上に上がってきた。  その時。 「Over Detonation」  少女の声が、しかし、低く、聞こえてきた。 「! イージス!」 「アイアス!」  ユーノと、ほんの一瞬だけ遅れて、ウェンディが、声を上げる。 『Round Guarder』  緑と、赤紫のバリアが、4人をドーム状に覆う。 突如として、周囲に出現した、無数の投げナイフが、4人に向かって、迸る。  ドカドカドカドカドカドカ!!」  それは、ユーノのバリアに遮られるなり、そこで、1本1本が、大爆発を起こした。バリ アは、たちまち爆煙に包まれる。  さしもの、ユーノのバリアも数箇所、ヒビが入り、砕けかけた。だが、その内側に張ら れた、ウェンディのバリアまでは、有効な打撃を与えられない。 「なるほど、その実力ならば、こちらを間抜け呼ばわりも理解できないでもないな」  爆煙が晴れると、そこに、1人の、小柄な少女が、立っていた。  見た目は、ローティーン程度か。しかし、無骨な黒いアイパッチが、愛らしいといって よい姿の、そのイメージを崩している。  ところどころ、鈍い銀色の装甲材が張り付いた、青いレオタード状のスーツに、全身を 包んでいて、その外側から、さらにコートのようなものを着込んでいる。ネックガードに は、“V”の刻印。 「No.5……チンクっスね。あまり覚えてはないっスけど……」 「誇り高きナンバーズが、管理局の犬に堕ちるとはな……」  ウェンディが、身構えながら焦れたような声で言い、チンクと呼ばれた少女は、そう言 い返した。 「なんとでも言えっス。No.12ウェンディ、いかに親とは言え犯罪者に義理立てて、恩義 を忘れるほど、道理から外れるよーなことは出来ないっスよ」  そう言って、ウェンディは、アイアスを引き寄せる。 「これがドゥーエかクアットロなら、出来の悪い妹の仕置きに集中するところだろうが」  チンクはそう言って、自らに向かって構えるウェンディから、視線を移したのは…… 「3年ぶり、だね」 「ああ……」  ユーノが言い、チンクが頷いた。 「ユーノさん!?」  ウェンディが驚いて、素っ頓狂な声を出す。 「右目、直らなかったの?」  ユーノは、少し申し訳なさそうな表情になって、そう訊ねた。 [759]熱い彗星の魔導師たち 4-09/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:40:51 ID:2DE0pZGe 「直せないわけではないがな……貴様に手傷を負わされた屈辱、忘れない為に、このまま にしてある」 「そう、なんだ」  ガチャン、ガチャン……  4人の背後から、金属の足音がする。  アリサとマギーが振り返ると、そこに、歩行型の傀儡兵がにじり寄っていた。スタイル は、相変わらず無骨だが、3年前までの機種よりは、洗練された人間型に近づいている。 「ごめんアリサ、どうも彼女は、僕とやりあいたいみたいだ」  ユーノは、申し訳なさそうに、アリサに言う。 「O.K.……ウェンディ、ユーノの援護できる?」  アリサはユーノに言ってから、ウェンディに訊ねる。 「やれるっスよ」 「じゃ、後ろのはあたしがやる。マギー、トラックの中を抑えて」 「了解」  ウェンディの答えに、アリサが言い、マギーも同意した。 「Detonation Stinger」  チンクが動きを見せたのと同時に、4人は各々の行動に移った。 『Round Shield』  緑色の光の盾が現れると、チンクが放った複数の短剣を、受け止める。  ドン、ドン、ドン、ドン……  着弾の度に、シールドの表面で爆発が起きる。 「この……っ」  シュッ  チンクは、ユーノに向かって、さらに短剣を投げつける。その短剣も、ユーノのシール ドに当たるなり、爆発を起こした。  ガシャァンッ……堅牢を誇る、ユーノのシールドが、しかし、ついに砕かれた。 「貰った」  チンクは、右手に2本のナイフを構えると、ユーノの方へ向かって飛び出しかける。  だが、その瞬間。 『Edge Slash』  ガキィィンッ  イージスの魔力斬撃を、とっさに振り返ったチンクのナイフが、受け止めた。 「技そのものの力に頼るばかりが、能じゃないって、3年前も言ったはずだよ」 「黙れ!」  優しげなユーノの言葉に、チンクは激昂したような声を上げる。  だが、 『Load Cartridge』  先に動いたのは、ユーノの方だった。 『Divine Clasher』  緑色の砲撃を、チンクは渦巻きのような術式を描くシールドで、受け止める。  ミシッ  しかし、バリア貫(ぬ)きの効果を与えられている魔力弾は、それをさらに、貫こうとす る。 「やっ!」  チンクは右手に持っていたナイフを、魔力弾に向かって叩きつける。そのナイフは爆発 し、ユーノの魔力弾を、砕いて、霧散させた。 [760]熱い彗星の魔導師たち 4-10/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:41:16 ID:2DE0pZGe 「動きは若干よくなってるけど、プレシアの傀儡兵に比べたらまだまだね」  2対1にすこし、冷や汗をかかされたアリサだったが、得意の高速射撃と残撃で、2体の 傀儡兵を、無難に擱座させた。  そこへ、 『アリサ! レリック発見! でも、なんかおかしい』  と、トラックの中のマギーが、念話で言ってきた。 『おかしいって?』 『ケースに、何かくっついてる。時計みたいなもの……文字が、ミッド字に似てるけど、 ちょっと違う』  アリサが聞き返すと、マギーは、そう答えた。 「まさか……」  嫌な予感がする。アリサの表情から、血の気が引いた。  大急ぎで、自分もトラックに向かう。マギーが炎熱魔法でロックを破壊した後部ドアか ら、中に乗り込む。 「アリサ! こ、これなんだけど!」  マギーはそう言って、レリックケースの前からどいた。  アリサがそれを覗き込む。果たして、レリックのケースには、地球製と思しき7セグデ ジタル表示機のついた、ペンケースほどの黒い箱が、取り付けられていた。デジタル表示 は、秒単位の、カウントダウンを続けている。  アリサは、息を呑みつつ、そっと手を伸ばした。カバーが外れる。秋葉原でも入手でき るような、ICとコンデンサの付けられたユニバーサル基盤があり、そのさらに下には、リ チウム乾電池と、固いゼリー状の塊。アリサはすずかやユーノの予備知識をさらに間接的 に覚えただけだが、このシチュエーションなら間違いない。ニトロセルロース系コルダイ ト、別名──── 「プラスチック爆弾!!」  冗談ではない。唯でさえ不安定なレリックを、プラスチック爆弾で叩けばどうなるか、 周囲400m四方は更地になり、さらに1km四方に被害をもたらすだろう。  このビルは廃ビルだが、廃棄区画ではない。周囲には、一般人が居る。  タイマーのカウントダウンは、5分を切っていた。 「陸士隊に、爆発物処理班を……ダメだ!」  残り5分ではとても間に合わないし、間に合ったところで、管理局の一般的な部隊には、 地球製の化学爆薬を処理するノウハウはない。  ザザッ  イージスとチンクのナイフ、幾度かの交錯の後、2人が向かい合って、身構えたとき。 「うぉらーっス!」 『Divine Clasher』  それまでユーノの背中を掩護していたウェンディが、雄叫びを上げた。アイアスが、赤 紫の魔力弾を放ち、チンクを狙う。 「ウェンディ!?」  ユーノの疑問には、念話越しに、アリサが答えた。 『ユーノ、えらい事態になってる! 悪いけど、ウェンディと代わって、こっちに来て』 『アリサ!?』  アリサの言葉に、ユーノは、トラックを振り返った。 「この、余所見をっ」 「させないっス!」 『Round shield』  ユーノを狙った、チンクの投擲は、しかし、ウェンディのシールドに、遮られた。 [761]熱い彗星の魔導師たち 4-11/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:41:43 ID:2DE0pZGe 『チンクちゃん、もう、タイムリミットですよ〜。戻ってきなさい』  今度は、チンクの頭に、別の念話が飛び込んできた。 『クアットロ!? 待て……』  チンクは身構えたが、足元にミッドチルダ式の円い魔法陣が現れると、チンクの姿は、 光になって消えた。 「タイマー、分解できないかしら?」 「だめだ、基盤剥がしただけでも爆発するように出来てる」  レリックケースに取り付けられた時限爆弾を見て、ユーノは言う。 「すずかなら別だろうけど、僕の技術じゃ……」 「じゃあ、どうしたらいいのよ! このままじゃ……」  ユーノが口惜しそうに言うと、アリサはヒステリックに声を上げた。 「レリック相手じゃ、強制転移も危ないし……ここで、爆発させよう」  ユーノは、険しい表情で、しかし、静かに、そう言った。 「はぁ!? 本気で言ってるの?」  アリサは、一瞬、ユーノがトチ狂ったのかと思い、驚いて、聞き返した。 「ラウンドガーダーで、何重にも覆って、出来るだけ、威力を殺す」 「…………それしか、ないか……」  ユーノの提案に、アリサは、渋々と、しかし、それを決断した。  そして、2人は、トラックから飛び出す。 「小隊集合!」  4人は、窓を破って、廃ビルの外に飛び出す。  ビルの3階ぐらいの高度で、アリサと、ユーノ、マギーは、空中に立ち、ウェンディは、 フローターボードに乗って、その傍らに漂う。 『Load Cartridge』  ズドン!  レイジングハートのCVK-695Dが、2発のカートリッジを、一気に撃発させた。他のメン バーのデバイスも、2発ずつ、連発でカートリッジを撃発させる。 『Round guarder, Dual exercise』  穏やかなオレンジ、赤紫、鮮やかなオレンジ、そして一番外側が、緑。二重のバリアが、 それぞれ、内側から外側を護るようにして、八重(はちじゅう)のドーム状に、廃ビルの1 階を覆う。 「爆発……今!」  マギーが言う。  ゴゴゴゴゴゴゴゴ……  不気味な振動とともに、ビルの1階部分が文字通り粉砕され、光に飲まれる。その光が、 さらに、圧力となってバリアにのしかかった。 「ぐぐぐっ……くっ……」  全員の駆動式に、負荷がかかる。 「くっ、もう……だめっ!」  マギーのバリアが、砕け散る。 「あたしのも……くっ、限界っス!」  ウェンディのそれも、亀裂だらけになり、そして、消えた。 「くぅぅぅぅぅぅっ……このっ、くそぉっ!」  アリサのバリアは、ドミノ倒しを幾分、堪えたが、やがて、消滅した。 「…………堪えるんだ……イージス!!」 『Yes, Load Cartridge』  残り2層となったバリアを、ユーノは維持し続ける。イージスがさらに1発、カートリッ ジを撃発させ、緑の光のバリアは、なおその輝きを増した。 [762]熱い彗星の魔導師たち 4-12/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:42:06 ID:2DE0pZGe  時間は下って────翌、8:30 「申し訳ありませんでした」  機動6課、課長大隊長室。  アリサは、執務机に座るはやてに向かって、しょげきった表情で、深々と頭を下げた。 「ま、まぁ気にせんでな。不可抗力みたいなモンやし、あたしらが出張っても、なんとも ならへん状況やったし」  はやては、少しやり難そうにしつつも、苦笑しながら、そう言った。 「すみません。失礼いたします」  アリサは気落ちした顔で、そう言うと、踵を返した。 「あー、今度からは、別に時間待たへんでも、始末書ぐらい、時間外決済書類のホルダー に入れといてくれればええからな」  ぴくっ、と、一瞬、アリサは動きを止めたが、しかし、すぐに、部屋を出て行った。扉 を閉める勢いも、弱い。  しばらくして、代わりに、6課の制服を来た、長身の女性が、入ってきた。長いストレ ートの銀髪に、吸い込まれるような澄んだ紅い瞳。 「バニングスが来ていたようですが、どうしたのですか? 彼女は」  ドア越しにアリサの歩いていった方を振り返り、リインフォースは、はやてに訊ねる。 「ん、まぁ、ちょっとあってな……────」 [763]熱い彗星の魔導師たち 4-13/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:42:32 ID:2DE0pZGe 「あーあ、ティアナにエラソーな事言っといて、あたしがこれじゃあ、しょうがないわよ ね」  ため息をつきつつ、アリサは、6課隊舎の外、裏手を、ぼやきながら、歩く。 「ティアナ、か」  気晴らしをかねた見学のつもりで、アリサは、廃棄区画に脚を進めた。  浮遊魔法で、空中を進む。 「あ、いたいた」  青い筋が、糸のように空中につむがれる。  スバルの空間移動魔法、『ウィングロード』だ。 「…………え?」  アリサは、それを見て、眼を疑った。  無数の『スティンガースナイプ』の、桜色の魔力弾が、空中のなのはを中心として、周 回している。そして、それのいくつかが、ウィングロードで逃げ回る、スバルを追いかけ ていた。 「こ、こんな訓練してるの……待機任務なのに……」  アリサは言い、ゴクリ、と、息を呑み込んだ。  だが、スバルの行動そのものは、合理的なものと理解できた。なのはに接近し、その度 に、スティンガースナイプの魔力弾を、ひきつける。陽動だ。 「と、すれば、ティアナは」  アリサがキョロキョロと、訓練エリアを見回す。  アリサが見つけるより、早く。 「はっ」  なのはが、それに気付いて、顔を上げる。  ビルの屋上に、ティアナが、クロスミラージュを構えて、立っていた。 「いけない、レイジングハート!」 『O.K. Set up』  遅れて気付いたアリサが、レイジングハートに起動を命じる。  しかし、アリサがバリアジャケットに包まれたとき、ウィングロードがなのはに向かっ て伸びた。 「でぇりゃあぁぁぁぁっ」  スバルが、なのはの正面から、リボルバーナックルを構えて、突っ込んでくる。  バシィィィィンッ!  スバルの『リボルバーキャノン』が、なのはのラウンドシールドとぶつかり、火花を散 らす。  なのははスバルの攻撃を抑えながら、ちらり、と、ティアナの方を見る。  スティンガースナイプの魔力弾が、ティアナを撃ち抜いた……ように見えた。  だが、桜色の魔力弾は、すっとティアナを、まったくそこに何もないかのように、通過 する。そのティアナは、ふっ、と、消滅した。幻術魔法による像だ。 「たぁぁぁぁぁっ!」  上方から、クロスミラージュの銃口部分に、魔力刀を発生させ、ティアナが、なのはに 飛び掛る。 「やった!」  アリサは、ティアナに向かって、歓声をあげた。  しかし…… 「L4U、モードリリース」  低い、くぐもった声で、なのはは小さく、そう言った。 [764]熱い彗星の魔導師たち 4-14/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:43:09 ID:2DE0pZGe 「えっ!?」  スバルと、同時にアリサが、声をあげた。 「2人とも……どうしちゃったのかな……なんで、訓練通りに、できないのかな……」  なのはは、ティアナの放った一撃を、指先で受け止めていた。さすがに血が滲んでいる が、訓練用リミッターがかかっているため、それ以上は、刺さらない。  ボソボソと、なのはは言った。アリサには、それは聞こえない。 「頑張ってるのは判るけど。模擬戦は、喧嘩じゃないんだよ……訓練のときだけ言うこと 聞いてるふりで、本番でこんな危険な無理するんじゃ……意味ないじゃない。ねぇ、私の 言ってること、私の訓練、そんなに、間違ってるかな?」 『Dagger Blade, Release』  クロスミラージュが、魔力刀を消す。ティアナは跳躍すると、背後の、スバルが張って いたウィングロードに、着地する。 「私は! もう誰も、傷つけたくないから! 失くしたくないから! 強くなりたいんです!」  涙混じりに、ティアナは言った。クロスミラージュのトリガーを引き絞り、カートリッ ジを撃発させる。 「少し……頭、冷やそっか……?」  言うと、なのはは、ティアナに指を向ける。その先に、桜色の魔力弾が、集束した。 「うそでしょ……なのは!?」  アリサは、我が目を疑い、呟いた。 「クロスファイアシュート」  複数の魔力弾が、スパイラルを描き、ティアナに向けて、発射される。 『Phantom bla……』  クロスミラージュが、射撃魔法を放とうとしたが、集束した魔力弾は、桜色の魔力弾に、 消し飛ばされる。  そして、そのまま、ティアナに、クロスファイアシュートは、命中した。 「ティア!!」  スバルが、悲痛な声を上げる。思わずというふうに、飛び出しかけた。  だが、そのスバルを、桜色のストラグルバインドが捕らえる。 「あっ!? バインド!?」  スバルは、突然のことに、対応しきれず、拘束されてしまう。 「じっとして、よく見てなさい」  なのははそう言うと、さらに、クロスファイアシュートを、発動させる。 「なのはさん!!」  スバルが、悲痛な叫びを上げるが、なのははそれを、止めようとしない。  ギリッ……  その、歯を食いしばる音に、しかし、誰も気付かなかった。  ティアナは、魔力ダメージで、ふらふらの状態になっていた。眼は空ろで、バリアジャ ケットも、擦り切れたようになっている。 「シュート……」  なのはが、そのティアナに向けて、容赦なくクロスファイアシュートを撃ち込んだとき。 『Protection, Dual exercise』 「えっ!?」  廃棄されたビルの屋上から、その様子を見ていた、ライトニング小隊の2人と、フェイ ト、ヴィータが、驚き、目を円くした。  ティアナのそれより、さらに澄んで、鮮やかな光の二重盾が、なのはのクロスファイア シュートを、散らす。 [765]熱い彗星の魔導師たち 4-15/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:43:39 ID:2DE0pZGe 「アリサ……ちゃん……?」  なのはもまた、閃光が晴れたその空間に、白いバリアジャケットを着て、ティアナを庇 うように現れた相手に、一瞬、呆然とした。 「この」 『Phantom blazer』  レイジングハートの刀身が、オレンジ色の魔力光を帯びたかと思うと、それは切っ先か ら、鋭い光の矢となって、なのはに向けて、撃ち出された。 「バカチンなのは〜!!!!」  アリサの得意とする高速直射弾は、バリアジャケット以外に防御の方法がないなのはを、 そのまま、撃ち落した。 [766]熱い彗星の魔導師たち 4-補足/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:47:55 ID:9QIrUBt7 前回>>565氏から指摘のあった、出向時の制服についてですが、 東京都特別区職員である母に、確認したところ、 「特別区の職員であっても、出向時には、業務に携わる出向先の制服を着用する義務がある」  とのことでした。  この特別区とは足立区のことですが、システム的に、23区のほかの特別区、及び東京都も同じかと思います。  ただ、あくまで東京都のものであって、時空管理局とは違いますが。 [767]熱い彗星の魔導師たち 4-17/15 ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 14:53:49 ID:9QIrUBt7 >>751-765 今回は以上です。 レス番ミス。>>757は07/15、>>758は>>08/15です。 >>750でのコテトリ付け忘れも失礼しました。 …………とぉとぉやってしまいました。 や、どうしてもやっぱ8話9話は納得できませんって。 現実の軍隊とかだったら良いんでしょうけど、娯楽アニメ、しかも魔法少女モノ(一応)でこんなのやられたら、 たまらないっス。深夜だから良いけど、子供見てたら根性歪むっス。 今回ちょっと長くなったのは、魔王様降臨シーンのせいですが、 ここで話を切りたかったので、無理に押し込みました。 (でないと中途半端になるし) 次回、アリサがどーしてなのはに対し苛ついているのか、魔王様撃墜の暴挙に出たのか、明らかにする予定です。 あとユーノ強すぎ。そしてかっこ良過ぎ。 ゼストの代わりにチンクの過去の遺恨になっているとは言え、ちょっと今回やりすぎたかな。 司書長ファンの皆様、そしてチンクファンの皆様、申し訳ありません。 <ボソ>そろそろスカ側の行動も明らかにしないとな〜<ボソ> [768]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:56:32 ID:HYQOGgLW >>766 お早い更新ご苦労様です。アリサとなのはの教育方針の違い?が出たのと ユーノはゼスト以上の兵として成長&チンクともフラグが(ry しかし、アリサ君、注意は分かるがなのはと同様に問答無用で攻撃ですか、 少々違和感を感じますが、心情やらなにやらの説明は次回ですかね。 さてどうなるのでしょうか? [769]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 14:59:46 ID:AoGBMTWp >>767 GJっす。 あの部分は賛否両論分かれるシーンですし、注意書きでもそれっぽいことは書いてますから 問題はないと思います。 しかしこのユーノ、かなり強いな。 [770]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:05:27 ID:rMPo6IHs >>767 GJです ちょっと誤字を幾つか発見したので報告です >>そして、同時に確保されたNo.12ドゥーエは、 12はディードです、ドゥーエは2番です >>なんとでも言えっス。No.12ウェンディ ウェンディは11ですね [771]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:06:43 ID:gzhegZHU 次回は魔王vsアリサかw これはwktk [772]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 15:08:09 ID:9QIrUBt7 >>770 うぉぉぉぉっ、またやっちまったぁぁっ orz ×そして、同時に確保されたNo.12ドゥーエは、  ↓ ○そして、同時に確保されたNo.12ディードは、 ×なんとでも言えっス。No.12ウェンディ  ↓ ○なんとでも言えっス。No.11ウェンディ  が、正解です。申し訳ありません(にしても、痛い間違い方だ……) [773]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:09:15 ID:mwkUUqWg ナンバーズはややこしいという事か。 [774]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:10:52 ID:oP0GfIV8 続きに期待 (設定を補完しに走る余り、ガッチガチの話になりませんように) [775]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/02/23(土) 15:12:53 ID:9QIrUBt7 しょーじき、4番と11番以外の、喋り方とか特長とか、掴みにくいっス。 だれかアドバイスくださいっス。 [776]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:17:31 ID:mwkUUqWg 漫画版を読む(俺は読んだ事無いけど)、サウンドステージを聞く、他氏のSSを参考にする、後は妄想。 っていうか未だにセッテの話し方や言葉遣いが分からない。 なんであいつを更正組みに入れなかったんだ!! と、ふと怒りが湧いてくる。 [777]38 ◆KHEtQ2j5Nc 2008/02/23(土) 15:22:02 ID:oDdFqWUW >>775 大丈夫ですよ、ドゥーエの口調が分からないけど出したい。 なら秘書にすれば丁寧語がデフォになるから誤魔化せね? って思考でドゥーエさん出した俺がいますからw こちらも投下行きます。 ・ユノなのエロあり ・ちょっと鬼畜含んでるか? ・適当な文明捏造 これが嫌な人はコテトリをNGに設定してください。 では、行きます。 [778]38 ◆KHEtQ2j5Nc 2008/02/23(土) 15:22:52 ID:oDdFqWUW ……なのはは、歩いていた。 その目は完全に決心するように座っていて、足取りも確か。 その腕の中には、きょとん、とした表情のヴィヴィオが抱えられていて。 「……なのはママ? どこにいくの?」 「ユーノ君の所だよ」 そう、ヴィヴィオに微笑みかけると、なのはは無限書庫へと歩みを進める。 思いに決着を付けるため、全てを、進めるために……。 魔法少女リリカルなのはLOVERS SCENE4 止まっていた恋の時計、動き出す [779]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:23:16 ID:AVsMEcj5 まった!次スレたてるからちょいまって [780]38 ◆KHEtQ2j5Nc 2008/02/23(土) 15:23:24 ID:oDdFqWUW 「高町さん、こんにち、っ!?」 「ユーノ君は何処ですか!?」 無限書庫にやって来たなのはに、それを見つけた女性司書が声をかける。 次の瞬間、思い切り引き寄せられ、その女性司書は目を丸くした。 「し、司書長なら司書長室にいると」 「ありがとうございますっ!」 なのはのあまりの剣幕に少し震えながらその司書が答えると、なのはは礼を言って飛び去る。 それを半ば呆然と見送って、その司書は呟いた。 「……司書長、一体何をやったのかしら……」 一方、司書長室では。 「古代エスティマ文明の資料をあるだけ持って来い……ね。ふざけてるの?」 『別にふざけてなどいない。次のパトロール先の管理外世界に古代エスティマ文明の遺跡が……』 そう言うクロノに、ユーノは青筋を立てる。 「言い方を変えてあげるよ。ふざけてるとかじゃない、不可能だ」 『……何だと?』 やる前から出来ないなど一回も言った事の無いユーノの言葉に、クロノは目を丸くする。 と、そんなクロノに、ユーノは続けて言った。 「古代エスティマ文明ってね。数千の都市国家が互いに全く違う文化を営んでいたんだ。  その文明の資料を全て? ……クロノの部屋に入り切らないね。まず間違いなく」 そう言われ、クロノは言葉に詰まる。 それを見て、ユーノはさらに言葉を続けようとして……、 司書長室のドアが、ノックされた。 「あ、ちょっと待っててくださーい!」 そうドアに向けて叫ぶと、ユーノはクロノに言う。 「だから、せめてどの都市国家の遺跡か突き止めてから依頼してくれ」 『……ああ、分かった』 そう言って、クロノが通信を切ると、ユーノは立ち上がってドアに向かう。 そして、ユーノがドアを開けると、 「なのは?」 そこには、高町なのはが立っていた。 [781]38 ◆KHEtQ2j5Nc 2008/02/23(土) 15:23:50 ID:oDdFqWUW 「ああ、ヴィヴィオ預けに来たの?」 そうユーノが聞くが、なのはは首を横に振る。 「今日は、お休み取ったよ。……ユーノ君にお話があって来たの」 「僕に? ……まあ、取りあえず入ってよ」 そう言うと、ユーノはなのはとヴィヴィオを招き入れようとする。 それに頷いて、なのはは部屋の中に入り……、 「……ヴィヴィオ。悪いんだけど、外で待っててくれる?」 「どうして?」 「ママね、ユーノ君と2人で大事なお話をしたいの。……だから、待っててくれる?」 「あい!」 そう言って、ヴィヴィオを部屋の外に残すと、なのはは扉を閉じ……、 扉が閉まった瞬間、なのははユーノを思い切り抱き締めた。 「な、なな、なのは!?」 「……」 ユーノは思わず真っ赤になるが、なのははそんなユーノをぎゅっと抱き締めたまま。 すると、なのはがゆっくりと口を開いた。 「……ユーノ君……あったかいね……」 「え? ちょっ、何言って……」 「どうしてだろうね。私、ユーノ君といると心が暖かくなる事に気付いてた。  ……でも、『どうして暖かくなるのか』には気付いてなかった。  ……ううん。気付きたくなかったの。気付いたら、この暖かさが消えちゃうかもしれなかったから。  消えて欲しくなかったの、この暖かさが」 そう言ったなのはに、ユーノは呆然とする。 自分がなのはにとってそんな存在となっていたと言う事に、全く気付いていなかったから。 そんなユーノを抱き締める腕の力を強くして、なのはは言った。 「でもね、私、勇気を出すよ。ユーノ君との時間、進めたいから」 そう言って、なのはは一度深呼吸をすると、ユーノと視線を合わせた。 「私は、高町なのはは、ユーノ君の事が、大好きです」 [782]38 ◆KHEtQ2j5Nc 2008/02/23(土) 15:24:12 ID:oDdFqWUW そう言うと、なのはは腕を解き、ユーノと距離を取る。 そして、後ろを向きながら口を開いた。 「答えはね、聞かなくてもノーだって分かってるんだ。  もしイエスだったら、あんな声明出さないもんね。  ……でも、言わないと、私は前に進めなかったの。ごめんね? ユーノ君」 そう言うと、なのはは扉を開けようとして……、その瞬間、ユーノに抱き締められた。 「ゆ、ゆーのくん!?」 「……なのは……」 慌てるなのはの肩口に顔を埋め、ユーノはなのはの名前を呟く。 その声色がとんでもなく怒っている時の物だと言う事に気付き、なのはは硬直する。 すると、ユーノはその口調のままで、口を開いた。 「……ねえ、なのは。桃子さんに教わらなかった? 『人の話は最後まで聞く』って」 「お、教わったけど……」 「だったら、何で僕の話、聞いてくれないのかな?」 そう言ってくすくす笑うユーノの声を聞いて、なのはは身体を縮こまらせる。 後ろから抱き締められているため顔は見えないが、邪悪な笑みだと言うのは分かったため。 すると、そんななのはの耳元にユーノは唇を寄せ、囁いた。 「……僕だって、好きだよ。なのはの事。  あれはね、なのはの迷惑になるんじゃないかな? って思ってああ言ったんだよ。  ……僕の本当の気持ちは、なのはと同じなんだ」 そう言われて、なのははぱああっ、と表情を明るくして、 ……次の瞬間、真っ青になった。 「……まあ、それはそれとして……、話を聞かないなのはには、お仕置きしなくちゃね?  恋人同士だからこそ出来る、全力全開のおしおきを」 そう言われて、なのはが真っ青になるのも無理はない。 10年前、なのはが寝惚けてフェレットモードのユーノをかじった時は、1日中念話で説教をされたのだ。 それ以上のお仕置きが想像出来ず、なのはが硬直していると、 「……うにゃあっ!?」 ……急に服のボタンが外され、なのはは悲鳴を上げた。 [783]38 ◆KHEtQ2j5Nc 2008/02/23(土) 15:24:34 ID:oDdFqWUW 「ゆ、ゆーのくん!? 何して」 「何って……、恋人同士だから出来る、えっちなお仕置きだけど?」 そうあっけらかん、と返され、なのはは口をぱくぱくさせる。 と、その間に服のボタンが全て外され、 「にゃああっ!?」 ……ブラウスの中に手を突っ込まれ、胸を刺激された。 「ま、待って! ユーノ君、お仕事が……!」 そうなのはは叫ぶが、ユーノは全く気にせずに胸を刺激し続ける、 すると、少しずつ暴れていたなのはの動きが鈍くなり、息が荒くなって来た。 「……なのは、感じて来たの?」 「そ、そんな事ないも、ひゃあんっ!」 「……ここ、こんなに固くなってるのに?」 そう言って、ユーノがなのはの胸の先端を下着越しに摘むと、なのはの身体が跳ね上がった。 そのままひくひくと震えるなのはを見て、ユーノは下着をずらした。 「やっ! だ、あああんっ!」 直接胸の先端を弄ってやると、なのはの声が一気に甘い物に変わる。 それを聞いて、ユーノは下半身の方に手を伸ばした。 「……ふふっ、もうびしょびしょ」 「や、だ、めえええっ! そこだけは、いや、ひゃああっ!?」 「……上のお口は嫌がってても、下のお口は喜んでるみたいだよ?」 首を横にぶんぶん振るなのはを無視して、ユーノはなのはの秘所を擦り上げる。 あまりの快感に膝ががくつき始めたなのはを見て、 「きゃひいいいっ!? やぁっ、らめ、もっ……ひゃはあああっ!!!」 ……ユーノは一気に手の動きを早め、なのはは一瞬で限界に達した。 [784]38 ◆KHEtQ2j5Nc 2008/02/23(土) 15:24:59 ID:oDdFqWUW 「……ぁ……ひゃぅ……」 力が入らなくなって床にへたり込んだなのは。 ユーノはそんななのはを抱き抱えると、ソファの上に四つんばいにさせた。 「……ゆーの……、くん……?」 完全に自分の意思が飛んでいるなのはのスカートを捲り上げ、ショーツを下げて秘所を露出させる。 そしてそのまま中に指を差し込んでやると、なのはの身体がまた跳ね上がった。 「ふあああっ! ら、め、わたし、びんかんにぃっ……! きひいいいっ!」 なのはの中で指を軽く掻き回してやると、それだけでなのはは感じまくる。 そんななのはを見て、ユーノはにっこりと微笑むと、なのはに囁いた。 「……なのはって、本当に感じやすいんだね」 「いああっ!! そ、れ、らめええええっ!!!」 その言葉と同時に親指で秘所の上の突起を押し潰してやると、なのはは絶叫する。 ぷしゃぷしゃと愛液を滴らせるなのはを見て、ユーノは微笑むと、言った。 「……また、イっちゃったの?」 「……ぁ……ぁ……」 完全に脱力して、ユーノの言葉にまともに答える事も出来ないなのは。 下半身だけを突き上げた状態で荒い息を吐くなのはに、ユーノは自分の理性の糸が切れるのを自覚した。 「……ごめん、なのは。指で弄るだけにするつもりだったんだけど……、  我慢、出来そうにないや」 「……ふ、ぁ……?」 荒い息を吐くだけのなのはをひっくり返すと、ユーノは自身をなのはに宛がう。 そこまでなって、半分程意識を飛ばしていたなのはも、ようやく我に返った。 「え、あ、ゆーのくん? その……」 わたわた慌て出すなのはだったが、その行動も、ユーノの理性を煽るだけで。 「……ごめんっ!」 そう言って、ユーノは自身をなのはの中に叩き込んだ。 [785]38 ◆KHEtQ2j5Nc 2008/02/23(土) 15:25:55 ID:oDdFqWUW 「ひ、ぎ、あああっ!?」 その瞬間、びくん、と身体を跳ね上げるなのは。 その目の端には涙が浮かんでいるが、表情は快感に蕩けていて。 「ひああっ!? きゃああんっ!」 そのままユーノが腰を動かし始めると、残された僅かな痛みも快感に埋め尽くされた。 「なのは、大丈夫?」 「はふううっ! ふにゃあっ! あっ! あんっ!」 「大丈夫、みたいだ、ねっ!」 心配そうにユーノはなのはに声をかけるが、なのはは快感に翻弄されるだけ。 そんななのはを見て、ユーノはほっとしたように笑うと、一気に腰の動きをトップギアに引き上げた。 「あっあっあっあっあ! ら、こわ、おかひっ、くううううんっ!!!」 「……いいよ。いっぱい、おかしくなっちゃえ!」 まともに喋る事も出来ていないなのはに、ユーノは微笑みかける。 と、腰の動きと一緒にたぷたぷ揺れる胸に目が行き、ユーノはその先端に吸い付いた。 「い、ひ、あー!!!」 その途端、白目を剥いて達しまくるなのは。 ぎゅうぎゅうと締め付けられる自分自身に、ユーノも耐え切れなくなって。 「な、なのは! そろそろ……!」 その声に、なのははほんの微かに首を横に振るが、ユーノはそれに気付かず。 「なの……はっ!」 「―――っ!!!」 熱い何かが注ぎ込まれる感覚を最後に、なのはは意識を手放した。 [786]38 ◆KHEtQ2j5Nc 2008/02/23(土) 15:27:19 ID:oDdFqWUW これで終わりです。 どう見てもレイプです本当n(ry この連載ですが、ユノなの編だけで終わらせる事にします。 ただ僕の粘着アンチがいる、だけなら無視して投下を続けたんですが……、 640氏まで出張って来る大事になってしまいましたので……。 そしてアンチの人に一言。 これと後1話でこのスレに投下するのは止めるので、もう何も言わないでください。 あなた達の目的は僕をこのスレから追い出す事なんでしょう? それならもうすぐ達成される事なんですから。 >>779 すいません、全然気付かなかったorz まあ、俺ですし、荒しが反応しにくい最後の方で投下、はこのスレ的にもいいかと。 [787]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:27:21 ID:AVsMEcj5 割り込み失礼 取り急ぎ 【次スレ】 ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第55話☆ http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203747893/l50 [788]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:32:31 ID:bLuHkzzd 作品投下乙 スレ建てさんも乙 エロはあれだ非エロ作品の投下は保守レスと考えるんだ!!! [789]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:39:05 ID:V5VYLqlY >>786 当て付けがましい >>1の指針を読んでの発言と考えると立派に荒らし予備軍になるから… あと出張る云々の発言は暗に作品続けられないのは640氏のせい、と言ってるに等しいんだがただの責任転嫁じゃないか [790]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:55:43 ID:O3GH5PBX あー……、一応、38 ◆KHEtQ2j5Ncの擁護派だったんだが、>>786のレスで一気に冷めたわ。 盗作が誤解にせよ真実にせよ、実際に疑惑があったのだから、俗に言う「その経験をバネに頑張る」姿勢で再起するならともかく、 開き直ったり逆ギレしたり……。どういう了見かと。 [791]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 15:59:47 ID:8jSINekW >>786 何で要らぬ火種を蒔いて行くかなぁ。 [792]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:00:02 ID:M3A5EZNF 誘い受けうざい スレ最後がこんなのか… [793]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:00:40 ID:e6DPHIdp でもROMってるだけのやつに文句いわれてもなあ [794]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:00:49 ID:HYQOGgLW はいはい、気に入らないからって罵詈雑言ならべてレスしない。 [795]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:03:11 ID:oCYEFRds >>786 空気を読まずに…… また読んでみたいな。 [796]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:03:38 ID:AoGBMTWp ギンガ「ロストロギア<納豆>を食べれば私にも出番が来るでしょうか。」 カリム「じゃあ、この納豆触手を私が股間から生やしてギンガさんをアッー!すれば 万事解決ですね。イボイボな金のツブがセールスポイントですよ。」 ラグナ「じゃあ私はこれでお兄ちゃんを掘ってきますねノシ」 こうですか、わかりません [797]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:05:13 ID:cgfQzXVY @うめちゃいます       / /           ヽ \       / /             ヽ  \      /  |  ●       ●  |    \     /   |              |      \    /    |              /       \   /     \    ━━━    /          \                    「・・・・ミンナトモダチ・・・」 [798]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:06:09 ID:cgfQzXVY @         lヽ  ,、,、 /l.         <)' ~´ハハヾ>         | イノリノハ)))| <このデバイスはわたしのおごりだ        ノ.人l|゚ -゚ノlハ   シュッ         (つ   と彡 ./             /  ./            /   ./          /    /         /      /       / ///   / ツツー      /  ▽   /    /       ./ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃           )                     ┃ ┃         ' ´.⌒.^ヽ  今日はここまで読めた!   ┃ ┃   ,_ _ _   | 〈从从))) _ _ _                  ┃ ┃ /   `."! lz゚ ヮ゚ノz|ノl/     ヴィヴィオ専用しおり ┃ ┃'"'⌒`~"' ノ⊂)卯!つ''"ー"``                 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 【次頁】 ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第55話☆ http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203747893/l50 [799]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:06:45 ID:b2Jr5ef7 >>767 遂に悪魔と対決か…。 自分はこのユーノでも問題ないと想いますよ? 寧ろチンクとの因縁フラグに燃えている。。。 [800]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:06:52 ID:PRPNpJoY >>793 さんざん言い続けられている議論だがそれでも蒸し返すかね。不毛だよ?>ROM [801]名無しさん@ピンキー 2008/02/23(土) 16:07:25 ID:cgfQzXVY \ \   ∧ ∧   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ \./\( ゜∀゜) <  スレが加速してく :::::\@\ .\uu    \______ ::::::::::\ ..\/ :::::::::::::::\@          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ::::::::::::::::::::\  ヽ( `Д´)ノ<  なんかちょいヤバですぅ!! :::::::::::::::::::::::::\  ( )    \ ::::::::::::::::::::::::::::::\@        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ :::::::::::::::::::::::::::::::::::\ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\   | .r-、`.ー-、_.: : : :/: : : : : .:|: : .:ト、: : :l: : : : :|: : : :__,,, -ー'_'".-ァ /   .ヽ!、__,ゝo //.`ヘ、_ : : : : : .:|: : .:| .|.: .:ト、: : : |,, -'" `i`i 9<_,ノ/ \    .{ .r 、 o{ {     ヽ、 .:/q : / !: :p ._,,-'"     . } } .o_,,,,_ }: : : : |     ヘヽ、_`ァ`.\rー-. 、_ .\ \ |// _,,, -─┐//<ニ.、ノ.,ノ、.: : : !      ( .,-.、_o .`{|/  レ'.\ ヽrーャ'"_/レ'  .l: :| p,,,,,,_  }| : :ヽ: : |     ゝ丶_,.フ,、.||..xfT¨¨丁.\.|∩|.j'.イ丁¨lfヽ. !: :|oゝ、_ノ ,ノ| : : :|: : |       `i .r- `'_.iく 込ェrリ   .}|∪|{ 込ェrリ 〉|: /.__,,_ .i'": :|: : :|: :/        .\ー-'"o`-.、,,____,,,,,,ノ.|.o.|`ー 、,,,,,___,,,ノo`-、ノ ノ .:|: :|: : :レ'           !、.l二ニフ_,9iて,,__,/.!,,,!`ヽ、_,,) .9 =ニン /".: /| /.: .: !  変態でいいよ。          |:`--ァ<ニz'ーァ/┌─┐ . \<`-ミi.ャ-'" |: /: レ: : : .:|       皆そう呼ぶから。         .,r=ニニ,.9-ニニ-"  `ー '    /`-ニ-i9==.、: .: .: : : :.:|       ./"  .//  .|`  .       .ィ´  |: : : | ヘ.!,_  \ : : : : |     .∠'===--'"|  .|   ` ー‐'´ j、  |: : : i  |ー-==,_ゝ: : /         \ : \ノ \         / ト、 j.: .:/   ! : : : .: : : : /        _ -‐>、: :\  ` ー‐ァ-イ   | //、  |: : : : : : : / . -‐‐…' ´  /   `ト-ヽ   ∧__∧.  |/  |` ー- 、__ : : /          ./     |\.   / | |. ヽ !     |     ` ー-、 【次スレ】 ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第55話☆ http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1203747893/l50