[1]名無しさん@ピンキー 2008/06/28(土) 23:59:03 ID:NpAKL/3s 魔法少女、続いてます。  ここは、 魔法少女リリカルなのはシリーズ のエロパロスレです。 『ローカル ルール』 1.リリカルあぷろだ等、他所でのネタを持ち込まないようにしましょう。 2.エロは無くても大丈夫です。 3.特殊な嗜好の作品(18禁を含む)は投稿前に必ず確認又は注意書きをお願いします。   あと可能な限り、カップリングについても投稿前に注意書きをお願いします。 【補記】 1.また、以下の事柄を含む作品の場合も、注意書きまたは事前の相談をしたほうが無難です。   ・オリキャラ   ・原作の設定の改変 2.以下の事柄を含む作品の場合は、特に注意書きを絶対忘れないようにお願いします。   ・凌辱あるいは鬱エンド(過去に殺人予告があったそうです) 『マナー』 【書き手】 1.割込み等を予防するためにも投稿前のリロードをオススメします。   投稿前に注意書きも兼ねて、これから投下する旨を予告すると安全です。 2.スレッドに書き込みを行いながらSSを執筆するのはやめましょう。   SSはワードやメモ帳などできちんと書きあげてから投下してください。 3.名前欄にタイトルまたはハンドルネームを入れましょう。 4.投下終了時に「続く」「ここまでです」などの一言を入れたり、あとがきを入れるか、    「1/10」「2/10」…「10/10」といった風に全体の投下レス数がわかるような配慮をお願いします。 【読み手 & 全員】 1.書き手側には創作する自由・書きこむ自由があるのと同様に、   読み手側には読む自由・読まない自由があります。   読みたくないと感じた場合は、迷わず「読まない自由」を選ぶことが出来ます。   書き手側・読み手側は双方の意思を尊重するよう心がけてください。 2.粗暴あるいは慇懃無礼な文体のレス、感情的・挑発的なレスは慎みましょう。 3.カプ・シチュ等の希望を出すのは構いませんが、度をわきまえましょう。   頻度や書き方によっては「乞食」として嫌われます。 4.書き手が作品投下途中に、読み手が割り込んでコメントすることが多発しています。   読み手もコメントする前に必ずリロードして確認しましょう。 『注意情報・臨時』(暫定)  書き込みが反映されないトラブルが発生しています。  特に、1行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えることがあるそうです。  投下時はなるべく1レスごとにリロードし、ちゃんと書き込めているかどうか確認をしましょう。 リンクは>>2 [2]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 00:02:25 ID:NpAKL/3s 【前スレ】 ☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第75話☆ http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213890379/l50 【クロスものはこちらに】  リリカルなのはクロスSS倉庫  http://www38.atwiki.jp/nanohass/  (ここからクロススレの現行スレッドに飛べます) 【書き手さん向け:マナー】  読みやすいSSを書くために  ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5301/1126975768/ 【参考資料】  ・Nanoha Wiki   ttp://nanoha.julynet.jp/   (用語集・人物・魔法・時系列考察などさまざまな情報有)  ・R&R   ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/data_strikers.html   (キャラの一人称・他人への呼び方がまとめられてます) ☆魔法少女リリカルなのはエロ小説☆スレの保管庫  ttp://red.ribbon.to/~lyrical/nanoha/index.html  (旧)  ttp://wiki.livedoor.jp/raisingheartexcelion/d/  (wiki) [3]名無しさん@ピンキー<> 2008/06/29(日) 00:19:54 ID:JoB7D0Hd しかしぬるぽ [4]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 00:23:22 ID:zE9ZGB9E >>3を一応ガッして>>1乙 [5]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 00:38:07 ID:PchJO3Z7 >>1 乙っすー [6]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 01:32:11 ID:+GgtixOi >>1さん乙かれさんや。 ちょっとぐらいやったら私のこと好きにしてもええで? [7]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 01:34:22 ID:1ItoaC2G >>6 じゃあ、そのふかふかした尻尾をもふもふさせてください(*´Д`)/ヽァ/ヽァ [8]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 05:52:01 ID:3vWElRHZ ルルカリはなの!! [9] ◆6BmcNJgox2 2008/06/29(日) 10:47:24 ID:NBAnLL6y >>1新スレ立て乙です 前スレも殆ど容量限界寸前ですので…ちょいと前回の続きを書かせていただきます。 ・以前…「なのはが突然事故死して、そのショックでユーノは約十五年無限書庫に引きこもってたけど 美しい大人の女性に成長したヴィヴィオが現れて、彼女の頑張りでユーノは元気を取り戻して さらには結婚。後に誕生した子には『なのは』と命名した…。」って話を書いたのですが… 今回はそれからさらに時が流れたお話です。 ・そのユーノとヴィヴィオの間に誕生した方のなのはが主役のお話です。 ・事故死した設定の『高町なのは』と差別化する為に『なのはjr』と表記します。 ・で、なのはjrもまた管理局魔導師として働いてると言う設定でもあるのですが、 そこからさらに二人の仲間(もちオリキャラ)が登場します。 ・なのはjrがユーノとヴィヴィオの子供と言う設定である様に、その仲間キャラ二人も アニメ本編に登場するキャラと何かしらの形で関連のあると言う設定でもあります。 ・敵もオリキャラ。で、やっぱりアニメ本編と何かしら(中略) ・当然オリキャラ注意 ・非エロ ・最低SSを目指し、オリキャラ主役路線やって見たけど最低に成り切れない中途半端SS注意 ・一応長編もので、何回かに分けて書きます。 ・なのはjr表記について意見を頂きましたが、途中で変えるとそれはそれで こんがらがるのでこのまま通します済みませんorz [10]Nの系譜 5 ◆6BmcNJgox2 2008/06/29(日) 10:49:26 ID:NBAnLL6y あくる日、なのはjr・ジェーハ・機のはの三人は揃って非番だったのだが、 かと言って特にやる事も無い故、訓練場の空いている所で自主訓練に励んでいた。 訓練場の上空を三つの光が高速で駆け巡っていた。無論なのはjr・ジェーハ・機のはの三人である。 訓練内容は模擬戦形式の物で、その模擬戦もなのはjr・ジェーハ対機のはと言う物。 ニ対一と言う状況で一見不利に見える機のはだが…そう思わせない程彼女は強かった。 左右からのなのはjr・ジェーハの連続攻撃を左右の手で機用に捌いて行くのである。 三式機のは…。外見・言動共に薄気味悪い故に管理局内でも過小評価されがちであったが、 そう言った先入観を省いて真面目に見た場合、彼女程の魔導師はそういないかもしれない。 同じく諸事情により過小評価されがちであるが、真面目に見さえすれば管理局若手魔導師の中でも トップレベルに位置してたら良いなと思えるなのはjr・ジェーハの二人を軽くあしらえる 実力がその証明となっている。 一時して…訓練場の真ん中に座り込み、きつそうに息を荒くさせていたなのはjr・ジェーハと 何事も無かったかの様にその場に直立している機のはの姿があった。 「いや〜本当に機のはさんって強いんだね。」 「全く…しかも本気の半分も出してないってんだから…下手すりゃ教導隊より強いんじゃないか?」 『…………………………………。』 勤務中はなのはjr・ジェーハ共に管理局の各教官連中から戦闘技術を学んでいるが、 こうして今日の様に機のはから訓練を付けてもらう事も度々あった。 しかも機のはの訓練は不思議と教官連中よりも実践的なのである。 確かに二人が若手トップレベルの魔導師になれたのも、二人共に高い才能を持っていると言う事もあるが、 機のはに付けてもらった高度な訓練…と言う点の方が強いのかもしれない。 『…………………………………。』 機のはは言葉を喋らない。涙も流さない。ロボットだから。マシンだから。ダダッダー! それ故に…何度も説明した通り管理局内でも不気味がられていたのだが…だけど分かるぜ! 萌える友情! なのはjrとジェーハの二人に対しては不思議と温かかく、二人はそんな彼女が大好きだった。 特に人工授精児である故に両親のいないジェーハにとって機のはの存在は母親も同然だったのである。 「やあ、せっかくの休日なのに訓練熱心なんだね。」 「あ! お父さ……じゃなかったスクライア無限書庫司書長!!」 「今は別に勤務中じゃないから普通に父さんで良いよ。」 なおも休憩を取っていたなのはjr達の前に、なのはjrの実父であるユーノ=スクライア無限書庫司書長が やって来ていた。と、そこでジェーハがやや頬を赤くさせながらユーノの方へ近寄った。 [11]Nの系譜 6 ◆6BmcNJgox2 2008/06/29(日) 10:51:52 ID:NBAnLL6y 「ゆ…ユーノ司書長! あ…あの…この間自分が提出したリンカーコア作動式の 魔導師用義手義足に関する論文…読んていただけたでしょうか!?」 「勿論読んだとも。魔導師をやりながら技術者も…と言うのは大変な事だけど…僕は期待しているよ。 何しろ既に旧式化してしまったレイジングハート・エクセリオンをレイジングハート・エルトリウムに 最新鋭改装してくれたのは君なんだからね。それに君が目指す魔導師用義手も…完成する事が出来れば 事故等で手足を亡くした人も元の通り物を掴んだり歩いたり出来る様になるだろうし…頑張りなさい。」 「は! はい! ありがとうございます!!」 ジェーハにとってユーノは憧れの人だった。技術者と考古学者と言う違いはあるが…そんなの関係無い。 一人の人間として…ジェーハはユーノに憧れ…彼が大好きだった。と、こう表現すると 腐女子とかならばジェーハとユーノをカップリングしたBL的な何かを妄想するであろうが… 別にそんな事にはならないから安心して欲しい。 そして次にユーノは機のはの方へ向いていた。 「何時も二人に訓練を付けてくれてありがとう。僕の方からも礼を言うよ。」 と、笑顔で言うユーノだったが… 『……………………………………………。』 機のはは、なのはjr・ジェーハの二人に対する温かさとは打って変わって ユーノに対しそっぽを向くのみだった。それにはユーノもややショック。 「あらら…何で…僕…嫌われてるのかな…。まあとやかく言っても仕方が無い。 それじゃあ僕はもう行くから…三人とも頑張ってね。」 「うん!」 「司書長もお気を付けて。」 機のはからは相変わらずそっぽを向かれたままだったが、なのはjr・ジェーハの二人は 手を振りつつ、去って行くユーノを見送っていた。 ユーノが去った後で、なのはjrとジェーハの二人は機のはへ質問していた。 「機のはさんはどうして何時もお父さんに対してそっぽ向くの?」 「やっぱりユーノ司書長の事が嫌いなのかい?」 『…………………………。』 質問する二人に対し、機のはは無言で首を左右に振った。それ即ち、嫌いでは無いと言う事になる。 「嫌いじゃないならどうして何時もお父さんから目を背けるの?」 『…………………………。』 機のはは無言のまま…答える事は無かった。まあ基本的に彼女はしゃべらないのであるが… そんな時だった。 『非番なのに自主訓練に励んでるなのは=スクライア・ジェーハ=マチエティ・三式機のはの三名は 緊急の用がある為、管理局内第○○会議室へ出頭せよ! 繰り返す! 非番なのに自主訓練に励んでる なのは=スクライア・ジェーハ=マチエティ・三式機のはの三名は緊急の用がある為、 管理局内第○○会議室へ出頭せよ!』 と、突然その様なアナウンスがかかっていたのである。 「おや? 何かあったのかな?」 「とりあえず言ってみよう。」 『………………………………。』 呼ばれたのなら仕方が無いと、早速三人は指定された第○○会議室へ向かう事にした。 [12] ◆6BmcNJgox2 2008/06/29(日) 10:53:08 ID:NBAnLL6y とりあえず今回はここまで。 本編二回分しか書き込んでませんが、一応ここで一つ区切りが付く形なので…スマソセン ただ次は少しだけ長くなると思います。 [13]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 12:54:50 ID:FKDwmKMH この設定なら最初から最低狙わずに真面目に書いても良かったような気が。 もったいない。 [14]名無しさん@ピンキー<> 2008/06/29(日) 12:55:30 ID:Tzonhsbr つまらん [15] ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 13:58:18 ID:VeJfKWF6 連載始めて半年くらいになっちゃったのでペース上げていきたいと思います ・非エロです ・独自解釈を含みます ・sts開始前の地上本部をメインにした話なので六課の面々については察してください ・NGワードは「尊ぶべき愚者」で ・今回のは分量が少ない上にオリキャラしか出てきませんので独立した短編とでも思ってください [16]尊ぶべき愚者 十四話 1/8 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 14:00:22 ID:VeJfKWF6  今日も今日とて准尉は最近行動を共にする事が多い面子、つまりは執務官、そして外交官と一緒にいた。  といっても准尉の意思という訳ではなく通勤途中に確保されただけである。  乗り気ではなかったが外交官の一言で気が変わった。  曰く、 「お前をKOした女の家が分かったから今から行くぞ」  部隊長に欠勤の連絡を入れるとあっさり許可された。  どうも、周囲からは外交官の付き人か何かだと認識されているようだ。    道中、無言に堪えかねたのと情報を知りたかった事もあり幾つかの質問をする。 「会ってくれると彼女は言ったんですか?」 「んー、実はお前の事は話してないんだ。だから着いたら何とか押し切るしかない」  いきなり不安になるが、昨日の様子を思い返すなら事前に知られていると断られる可能性が高い。  ひょっとしたら外交官もその辺りを考慮したのかもしれない。  執務官は一緒にいた事を失念するくらい終始無言だった。  今回の件に直接関係ない上に、外交官の監視に来ただけだろうから当然といえば当然だが、今日は何処と無く不機嫌に見える。 「割と高級そうなマンションですね」  二十階はありそうなマンションを見上げる。  指先には嫌な汗が浮かび、胃は誰かに握られているような不快感がある。 「ただ、近々引っ越す事も考えているらしい。家賃がヤバいらしくてな」  住所だけならいざ知らず、何故そんな事まで知っているのかと准尉は尋ねようとしたが、今更だと考え改めた。  マンションに入る後姿の写真を見せられた気もするが、即行で忘却の彼方だ。  エレベーターに乗っている間にも指先や足先から血の気が失せていくのが分かる。  最悪の場合、倒れるのではないかという馬鹿げた想像すら浮かぶ。 [17]尊ぶべき愚者 十四話 2/8 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 14:01:49 ID:VeJfKWF6  とうとう玄関の前まで来てしまった。  准尉の緊張を極限にまで達し、仏頂面だった執務官も不安を和らげるように肩に手を置く程だった。  オートロックを解錠してもらう為にインターホンで会話したのは外交官なので准尉にしてみれば丸一日ぶりである。 「あー、やべ。眩暈がしてきた」  もし一人で来ていたなら玄関の前を行き来したりエレベーターの昇り降りを繰り返していただろう。  「行くぞ」  だが、無情にも外交官の指が呼び鈴に伸びる。  十数秒の間を置いて、扉が僅かに開き彼女の顔が覗く。  まず、視線が外交官に向き、続いて准尉に移るが途端に目を細め、一旦扉が閉じられる。  恐らく、覗き穴からは外交官の姿しか見えなかったのだろう。  一分程経ってから再び扉が開き、モノトーンのワンピースにグレーのカーディガンを着た少女が出てくる。 「お待ちしていました。ただ、聞いていたより人数が多いんですね」  言外に准尉が一緒にいる事に対しての非難を浴びせるが、外交官は柔和な笑みを浮かべたまま意味を理解していないように振る舞う。 「……立ち話もなんですからどうぞ」  通用しないと分かるや、さっさと終わらせる方向へ転換したらしい。  少女を先頭に外交官、准尉、執務官の順番で入っていく。  入ると廊下を挟んだ両隣に部屋があり、次にバスやトイレ、キッチンなどの水まわりがあり、その先にリビングがある。  リビングに案内された准尉は一人で暮らすには広いと思ったが元々は一人暮らしでない事を思い出す。   [18]尊ぶべき愚者 十四話 3/8 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 14:03:19 ID:VeJfKWF6 「お茶なら俺が淹れるが」 「いえ、一応、お客さんですから」   キッチンでの少女と外交官の問答を眺めながら、何故そうまで平然としていられるのかと疑問を持つ。  何もしないのは辛く、かといって、する事もないので仕方なくリビングの中央のセンターテーブルに着く。  気まずいまま数分待っていると湯気を立ち昇らせる四つのカップとポットをトレイに乗せた少女がやってくる。  准尉と外交官が並んで座りテーブルを挟んで少女が向かい合い、執務官はカップを持って部屋の隅に移動する。   「……」  沈黙が痛い。  外交官はシュガーポットから砂糖を取って紅茶に入れているし、少女も匂いを嗅いだりしているが、誰も言葉を発しない。  どうも彼女の顔を正面から見据える事が出来ず、視線を背後の壁や手前のテーブルに移してしまう。  だが、ここまで来てそんな態度では駄目だと意を決し、目に力を込め少女に向き合う。 「君のお姉さんの事は本当にすまないと思ってる。すべては管理局の不手際だ」  少女は無言で能面のように感情の浮かばない顔で准尉を見つめ返す。  一歩下がり両手を床に付き頭を下げるが、返答はない。  数秒、そのままの状態で待ってからちらりと顔を上げるが彼女の表情は最初から変わっていない。 「……うちの世界の出身者がとんでもない事をしてしまった。  こんな事で償いになるとは思っていないが、それでも謝罪をさせてほしい」    外交官も頭を下げ、准尉も再び頭を下げる。  しかし、少女が言葉を返す事なかった。 [19]尊ぶべき愚者 十四話 4/8 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 14:05:02 ID:VeJfKWF6  どうしたものか、と一歩下がった位置にいる執務官は紅茶を啜りながら思案する。  本来なら部外者である自分が口を出すべきではない。  出すべきではないのだが。 「……」  改めて状況を確認する。  外交官も准尉も頭を下げたまま微動だにしていない。  少女から動きがあるまであのままだろう。  一方の少女も時折視線を動かしているが言葉を発する事も身振り手振りで准尉達に行動を促す事はない。  その顔は一見無表情のようだが、どこか既視感が湧く。  裏にある悲しみや無力感を理解出来るのは、果たして幸運なのか不幸なのか。  それはさておき、放っておけばこの沈黙は永遠に続くだろう。  誰かが打破しなければならない。  何より、今にも泣き出しそうになっている少女をこのままにはしておけない。  見えないが准尉も同じような顔をしているだろう。 「はあ……」  自分以外の人間が辛そうにしているのは居心地が悪い。  ただでさえ夜中の事で精神的に余裕がないのにこれ以上は勘弁願いたい。  カップをその場に置き、彼女の前まで移動する。 「お嬢さん」 「何ですか? 許してやれとでも言いますか?」  きつい口調だが、彼女は執務官が部外者だと察したらしい。  尤も執務官も部外者らしく振る舞っていたのだが。 「そこまで横暴じゃない。ただ、このままじゃ互いに疲れるだけだろ。僕はそのうち帰るけど、いつまでもやってるつもりかい?」 「それは……」 「彼を家に入れたという事は謝罪を受け入れる気が少しはあったんだろ?」  彼女は頭を下げたままの准尉を見て、そして頷く。 [20]尊ぶべき愚者 十四話 5/8 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 14:08:16 ID:VeJfKWF6 「いつまでも引き摺ってうじうじしてちゃ駄目だとは分かってます」  一旦区切ると大きく息を吸い、 「他人を恨んでれば気は紛れますけど、それで行動を止めてちゃ何の為に生き残ったんだか分かりません。  許そうが許すまいがお姉ちゃんが生き返る訳でもないし、他人の言動にいちいち気を張っているのも馬鹿らしいし。  お姉ちゃん達が死んだ次の日に局員の方が大勢亡くなったとも聞いていますし、  皆さんが仕事を怠っていた訳じゃないと理解しています」  少女が想像以上に大人だった事に執務官は驚くと同時に妙な物悲しさを覚えた。  言い終えた少女はしかし、口を閉じず、ただ、と前置きし、 「それだけじゃ納得出来ない事もあります」 「理性と感情は正反対だからね。それでも良い。一ケ月で感情の整理が付いても、ちょっと薄情じゃないかとも思うし」  逆に十五年は少々引っ張り過ぎかなと表情に出ないように心がけ内心で笑う。  少女は再度准尉達を見て、目を閉じ深呼吸をする。 「……気持ちは分かりましたから、お二人とも顔を上げてください」  准尉と外交官はおずおずと顔を上げるがその表情は強張っている。 「さっきも言ったように、まだ納得出来た訳じゃないので、許す事は出来ませんが誠意は伝わりました。  そして、もう二度とこんな事がないようにお願いします」 「……ありがとう」  外交官は安堵して顔を綻ばせる。  だが、准尉は気持ちが沈んだままに見える。  少女もまだ笑顔を見せていない。 「あ、その、お茶がなくなってますね。また淹れてきます」  ぎこちない口調で少女はポットを持ってキッチンに引っ込む。 [21]尊ぶべき愚者 十四話 6/8 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 14:10:28 ID:VeJfKWF6  その間、准尉は情けなさに歯噛みしていた。  執務官の助け舟がなければ自分が顔を上げる事は出来なかった。  あの時と一緒で自分一人では何も出来ないのだ。  守られるだけで守れず、自分の思いも満足に伝えられない。  だが、咽び泣く訳にもいかない。  彼女が歩み寄ってくれたのに泣かねばならない道理はない。  そして、執務官には感謝しなければならない。 「執務官、さっきは……」  振り返ると執務官は無言で何かを眺めていた。  准尉が横から見ると視線の先にはケージがあり、その中には一匹のフェレットが横たわっていた。  怪我をしているのか包帯が巻かれている。 「少し前に拾ったんです。まだ目を覚まさないんだけど」  注ぎ口から白い湯気を出すポットを持った少女がキッチンから出てくる。 「ちゃんと獣医に見せた方がいいんじゃないかな。なんなら僕が連れていくけど」 「でも、御迷惑じゃ」 「構わないよ。それにこの手のマンションはペット厳禁じゃないのかい?」 「……それは、まあ。じゃあ、お願い出来ますか?」  執務官が頷こうとした刹那、新たな腕が伸び、ケージを掴む。 「じゃ俺が連れていく」  その際、秒にも満たない時間だが、執務官が敵意の籠った視線を外交官に向けたのを准尉を見た。 「いえ、僕が」 「お前、仕事で忙しいだろ?」 「一国の外交官よりは暇です」 「いやいや。俺は週休六日だから」 「これからしばらく仕事がなくなる筈ですから大丈夫です」 [22]尊ぶべき愚者 十四話 7/8 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 14:12:29 ID:VeJfKWF6  二人は表情こそにこやかだが、ケージを掴む手に力が入っている。  そんなにフェレットの世話をしたいのだろうか。  正直意外だと准尉は考えた。  二人はしばらく言い合っていたが最終的に執務官が勝利したらしい。  その後もテーブルを囲んでお茶を飲んだが、何処かぎくしゃくしており、  ポットの中身が再びなくなったのを契機に三人は帰路についた。 「……彼女、大人でしたね」 「……ああ。包丁で刺されるくらいは覚悟してたが。まあ、いいんだけどな。痛いのは嫌いだし」  一歩前進した筈だが准尉と同様、外交官の顔色は優れない。 「どうしたんです?」 「……いや、我ながら随分と偽善チックな事をしていると思ってな」 「偽善?」 「例えば、一人の人間が死んだ時はこうやって直接遺族に頭下げたり、  金策に走ったりしてるが、戦争や災害で何万人も死んだ時は、慰霊碑作ったり黙祷したりして終わりだからな」  外交官は大きく肩を落とし息を吐く。 「遺族に対して保障を出したりもするが、その程度だろ? 悲劇は大きくなっているのに対応は機械のように作業的になっていく」 「被害の規模が大きくなれば一人あたりへの対応は杜撰になる。当然ですよ」  フェレットの頭を撫でながら執務官が答える。 「……機嫌悪そうだが、何かあったか?」  外交官も執務官が今までと違う事に気付いたらしい。 「別に大した事では」  暗に何かあると執務官は答えた。  理由を尋ねて相談に乗るべきか、会って間もないのにずうずうしいかな、と准尉が悩んでいると執務官の足が止まる。  准尉も足を止めるとそこはレールウェイの駅の前だった。   「じゃあ准尉。夕方の訓練で」  一方的に告げてさっさと駅の中に入っていってしまう。 [23]尊ぶべき愚者 十四話 8/8 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 14:14:19 ID:VeJfKWF6 「なんか、変ですよね?」  外交官に同意を求めるが、外交官は首を僅かに傾げながら周囲をちらちらと見渡している。  間近で向き合っている人間しか気付かないほど小さい動きだが、瞳がぎょろぎょろ動くのは気持ち悪い。 「……何やってんすか?」 「いや、別に。それで何だって?」 「だから執務官の様子が変だって話ですよ」  外交官は考えも纏めるように沈黙し、右手に前髪を絡めたり解いたりをする。 「色々あるんだろ。小耳に挟んだ話だとロストロギア関連で一悶着あるらしいし」 「シェオルですか?」 「俺も詳しくは聞かなかったから、よく分からないし、当事者不在で盛り上がるのはあれだが、ミッド以外では結構大変みたいだぞ」  十五年前に滅んだという執務官の故郷。  その原因となったらしいロストロギア。  今は地上本部に保管してあるが一時的に預かっているだけで所有権は二十三管理外世界の人間にある。  当然、危険なロストロギアの保管を主任務の一つにする管理局は所有権の譲渡してもらう為に交渉を行った筈だ。  その過程で問題でも発生したのだろうか。  ミッドチルダではあまり話題になっていないのは難民の居住地がないからか。 「遺恨だの謝罪だので悩んでるのは俺達だけじゃないって事だな」 「そういう意味じゃ、対処する事件の被害の規模が大きくなりやすい本局の方が受け止めなきゃならない恨みも大きいんですかね」 「恨まれるのも仕事の内だ。彼女みたいに理解してくれる人間がいるなら我慢出来るが」  外交官や執務官の言うように被害の規模と一人あたりへの対応が反比例するなら直接会って謝罪出来た自分は恵まれているのだろうか。  そして、恨まれるだけで理解されない人間も存在するのだろうか。  存在したとして、何が彼等をそんな苦行に駆り立てるのか。  理由などなく、本人の意思ではどうしようもない事なのかもしれない。  だが、もし、仮に、自分の意思でそうなる事を選んだ人間がいたとしたら、何故そんな愚かとも言える道を選べたのか。  そんな思考が表情に出たのか、外交官は鼻を鳴らし、 「難しい事は考えるな。お前は実力もないし、権力もないし、金もない。そんな奴は目の前の問題だけ解決すりゃ良いんだよ」 「……はい」  彼なりの励ましだったのか釈然としないまま外交官と別れて地上本部に向かう。 [24] ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 14:16:15 ID:VeJfKWF6 以上です 本当は「夕方の訓練」にあたる話も書いてあるのですが、今回の話と繋がりがないので別々にしました その話となる十五話は夜に投下します [25]名無しさん@ピンキー<> 2008/06/29(日) 14:23:57 ID:9dcxdY9G つまんね 理想郷やNTにでもいってろ [26]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 14:31:50 ID:SblVnxQm >>25 お前書いてみろよ [27]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 14:36:46 ID:ZMU6BfaJ NTってなんだナノハ・タカマチか [28]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 14:37:08 ID:AHXbW97j まったく、日曜のこんな時間から両氏ともGJです。 >>26 ビチクソに触れんな、腐るぞ? 以降も荒らしはスルーしていこうぜ皆。 [29]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 14:39:32 ID:DN4fx21K 日曜に投下が多いのはあるべき姿と思うんだがw [30]名無しさん@ピンキー<> 2008/06/29(日) 15:43:08 ID:9dcxdY9G >>26 作者乙wwwwww [31]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 16:13:42 ID:r/pIE2ws 土日にリロードして平日に投下って感じだと思うがなぁ >>28 既にスルーではないぞ [32]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 18:10:16 ID:m0kjD9/+ >>24 GJです。 フェレット……というとやはりユーノなのか……? あとこのスレは休日だろうが平日だろうが全力全開って感じがする。 [33]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 20:05:15 ID:KIPEvn+1 最近は荒らしも適度にいじってやらないと加藤みたいに アキバで暴れられても困る氏ね… 物騒な世の中ですな… [34]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 20:12:24 ID:KjmKrKOL ネットでの荒らしはスルーでいいと思うけど… [35]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 20:39:18 ID:ej+wM3eA 前スレの埋めのフェイトそんの下着姿GJ! キチンと賭けの負けを払う貴殿に感動した! [36]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 22:10:35 ID:pWyxXgqf 前スレ最後、自重しろ。 専ブラ使って頭の弱い子をNGにすればいいのに・・・ [37] ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 22:47:51 ID:VeJfKWF6 これから予告しておいたのを投下します ・非エロです ・オリキャラ多数です ・独自解釈を含みます ・sts開始前の地上本部をメインにした話なので六課の面々については察してください ・NGワードは「尊ぶべき愚者」で [38]尊ぶべき愚者 十五話 1/6 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 22:49:55 ID:VeJfKWF6  ティアナが訓練の合間に小休止を取っていると執務官が剣の形に削られた木を抱えて訓練室に入ってきた。  服装はいつもの制服と違い、見覚えのない繊維で織られた服を着ていた。  故郷の民族衣装だろうか。  その奥には准尉の姿も見える。 「これから執務官が協力してくれるとさ」 「よろしく」  執務官はにこやかに答えて片手を上げる。 「あの、それって木で出来てますよね?」 「この訓練の間はもつと思う。よっぽど強力な攻撃を喰らいさえしなければ」  執務官は木刀を上段に構えてその場で右足を前に出しながら二度三度素振りを行う。  風を切る勢いだが振り下ろした木刀の位置が毎回同じなのを見て、  剣に関しては素人のティアナも見事な太刀筋なのだと瞬時に理解出来た。 「凄いですね」 「専門は槍だけど、武器の扱いは一通り学んだからね」 「へえ。ミッドチルダには教える所は余りないですけど何処で学んだんですか?」 「……故郷でね」  何故か執務官は言い淀んだ。 「さて、今度は准尉とペアでやってもらう訳だが。どう考える?」  問われて僅かに思案する。  二尉の性格や昨日の訓練、先程の素振りの事を鑑みるに執務官の近接戦闘の技術は相当な物だろう。  そして訓練室はそれほど広くない。 「……執務官と戦う事になった時点で負け、ですね」  そこには自分が目標とする執務官には強くあって欲しいという願望も含まれていた。 「そうだな。本当は罠を張り巡らせたり、もっと数を揃える必要がある。  ただ、まあ、仕方ねえな。設定としては准尉がへまでもしたんだろ」  准尉は何か言いたげにしていたが二人は無視。 [39]尊ぶべき愚者 十五話 2/6 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 22:51:17 ID:VeJfKWF6 「一番は撤退する事ですが」 「それが模範解答。だが今回はそれでも戦わなければならない状況を想定してみよう」 「戦うしかないなら中遠距離からの射撃」 「だな。消去法ってのがあれだが」 「救援の有無は?」  有るなら防御を重視して持ちこたえればいいが、無ければ隙を見付けて攻めに転じる必要がある。  それだけで難易度は大幅に変わってしまう。 「あー、そうだな、十五分持たせれば俺が加わってやる」  十五分。  楽しい時はすぐに過ぎると感じるが、訓練中は逆に何倍にも感じられるだろう。   ティアナと准尉が部屋の中心に立ち、執務官は部屋の端、壁を背にして待機する。 「開始!」  二尉の合図と同時にティアナと准尉は魔力弾を絶え間なく撃ちだすが、執務官は素早く横にステップ。  そのまま壁に沿って円を描いていく。  速い。  魔力で身体能力を水増しした様子は見られないのに、すぐに視界の端から端に移動してしまう。  多少のダメージを覚悟すれば一気に距離を詰められるだろうにそれをしないのは余裕の表れか。 「く」  弾幕はいつまでも続かない。  二発のカートリッジで撃ち出せる魔力弾には限界がある。  銃身を折り、使いきったカートリッジと新しいカートリッジを交換しなければならない。  今まで何千、何万と繰り返し慣れた動作なので数秒で完了する。  しかし、この戦いでは遅すぎた。  この期を窺っていたかのように執務官は一直線に距離を詰める。 「准尉!」  お世辞にも准尉の誘導弾の精度は高くない。  どうしても執務官の正面に撃ち込まなければならないが、単調な射撃は容易に木刀で切り払われる。  特殊な加工でもしてあるのか、欠けたりする様子はない。 [40]名無しさん@ピンキー<> 2008/06/29(日) 22:51:48 ID:9dcxdY9G 誰も読まないからさっさと消えろ [41]尊ぶべき愚者 十五話 3/6 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 22:52:46 ID:VeJfKWF6 「ちくしょう!」  一発命中するが、執務官がダメージを受けたようには見えない。  少なくとも速さを殺すには至っていない。  そして、既に執務官は間合いに入ってしまっている。  執務官は木刀を頭上に大きく構えて准尉の脳天目掛けて振り下ろす。  無駄の多い動きだとティアナは思ったが、すぐに手加減しているのだと気付いた。  准尉は辛うじて両手で持ったデバイスを額の前にかざす事で攻撃を防ぐ。  カートリッジの交換も完了し、執務官の足も止まったが准尉と近すぎて下手に攻撃出来ない。  ミッドチルダ式の准尉も肉薄された状態では反撃手段に乏しい。  その間に執務官は准尉の足を払う事でいとも容易く転倒させる。  すかさず手首を踏みつけ握力が弱った所でデバイスを蹴り飛ばす。  続いて、うつぶせになっている准尉の背中を踏み、延髄に木刀の先端を押し付ける。 「ランスター、デバイスを捨てろ」 「……!」  この状況下では当然の宣告。  続く言葉は、捨てなければ准尉の命はない。  どうせ模擬戦だからそこまではない、という思考が一瞬湧くがすぐに振り払う。   そして考える。  この状況を打開する方法を。  どうやっても自分の射撃より執務官の木刀が准尉の延髄を潰す方が速い。  仮にこちらの攻撃が速く届いたとしても一撃で昏倒させなければ准尉を道連れにされる。  木刀の方を破壊するという手段もあるが、よっぽど強力な攻撃でなければ無理らしい。  何とも曖昧な表現だ。  ヴァリアブルシュートなら可能かもしれないが、あれは時間がかかりすぎる。  二尉と戦った時のようなオプティックハイドとフェイク・シルエットの同時使用も成功率は低い。  オプティックハイド使用中は素早い移動は無理だし、向かい合った状況では幻術を使った事がばれる危険が高い。 [42]尊ぶべき愚者 十五話 4/6 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 22:54:04 ID:VeJfKWF6 「准尉なんか見捨てろ!」  二尉から激が飛ぶがティアナは動けなかった。  執務官は失望したように目を伏せ、片手で准尉の襟首を掴みあっさりと持ち上げティアナの方に投げつける。  成人男性を投げ飛ばす膂力には感嘆する他ないがティアナにその余裕はない。  受け止めるべきか、避けるべきか。  判断に迷い、体を硬直させた事が明暗を分けた。  准尉と激突し、視界は執務官から逸れ、バランスが崩れる。  次に見えたのは天井の照明だ。  それを知覚した直後、背中に強い衝撃が走り、肺の中の酸素が強制的に吐き出される。  何という事はない。  接近していた執務官に投げられ背中から床に激突しただけだ。 「訓練終了かな」  それぞれの手にアンカーガンと准尉のデバイスを持った執務官が覗きこんでくる。 「そうだな。当人達が一番自覚してるだろうさ」  足先の方から二尉の声が飛んでくる。  悔しいがその通りだ。  これが実戦なら殺されるか、情報を手に入れる為に拷問されるか、辱めを受けるかのどれかだろう。  痛みを我慢しながら起き上ると二尉が目の前まで来ていた。  眼光は猛禽類のように鋭く、無言のままで他者を威圧する。 「完全に生殺与奪を握られた時点で准尉は切り捨てなけりゃならない。  本来、一人の時は愚策だが、お前が躊躇ったせいで執務官は人質としての価値を見い出し、挙げ句があれだ」  実際そうやって負けたので言い返せない。  それに人質が有効な戦術だと思われれば無闇に多用される危険もある。  だが、ティアナは心の中で反感を抱いていた。  訓練開始前にも抱いたが、負けてみるとその気持ちが一層強くなった。 [43]尊ぶべき愚者 十五話 5/6 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 22:55:14 ID:VeJfKWF6 「しかし、戦力で負けていると分かっているのに撤退せずに戦えというのはかなり理不尽だと思いますけど」  執務官がティアナの気持ちを代弁してくれた。  自分達は自殺志願者ではない。  状況が不利なら撤退して戦力を再編しようとするのが当然だ。  けれど、二尉は飄々と笑いながら、 「俺も結構無茶かなと思ったが、よくある事だろ。俺やお前の任務にこういう理不尽な事は」  同意を求められた執務官は苦笑し肩を竦める。  肯定の意思表示だ。 「ええ。救援が来る時間が分かっていただけ精神的に楽ですね」 「それに来なくても勝つ可能性はあったろ?」 「はい。人質に取った時に准尉がもう少し奮戦してればランスターだけなら勝ってましたよ。准尉は運次第ですが」   「それってあれですか? 負けたのは俺のせいだと?」  横で倒れていた准尉が赤く腫れ上がった手首を擦りながら体を起こす。 「分かり易く説明してただろ、執務官が」 「ってか、みんな言ってるが、勝ち目が薄すぎだって。殆ど自殺行為だろ」  上官にも考えをはっきりと口に出せる准尉が羨ましいとティアナは思った。 「まあ、今回の訓練は上官の命令には絶対服従って事とこの世界にゃ理不尽な事が多々あるって事を教えるのが主な目的だからな。  実戦中に理不尽さを悟るより訓練で思い知らせておいた方がいいだろ」 「実戦で心が折れたら立て直しは難しいですからね」 「俺は十分知ってるけど。実戦の理不尽さは」 「誰もお前に教える気はない」  淡々と否定され、准尉の顔に青筋が浮かぶ。  二尉が煽って准尉が怒るのは昨日から見ていたので特別思う所はない。 「あーもう、やだやだ。この怪我、無駄かよ」  准尉は大の字に寝転んで呟く。 「加減したつもりだけど大丈夫かい?」 「骨には異常ないと思いますよ。執務官が敵じゃなくて本当によかった」 「はは。ひょっとしたら僕が敵になる事もあるかもよ?」 「そりゃ勘弁」 [44]尊ぶべき愚者 十五話 6/6 ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 22:56:49 ID:VeJfKWF6  准尉と執務官が楽しそうにしているのを一瞥しながら、ティアナは二尉に心中を暴露しようとする。  勇気が必要だったが、今の内に言っておかないと今後に悪影響が出ると判断したからだ。 「私は、どうもあなたを好きになれそうにありません」 「別にいいよ。俺も昔、自分の教導官に同じ感想を持ったし」  そこまではっきり言われるとそれ以上言葉が出ない。  嫌われる事を覚悟でやっている人間に嫌いだと言ってもただの一歩通行になるだけだ。  それに、二尉も心苦しく思っているのだろう。  話を聞く限り、二尉も執務官も今回の訓練とは比べ物にならないほど理不尽な目にあったようだ。  だからこそ、そんな状況でも冷静に対処出来るように訓練で叩きのめそうとしたのだろう。 「すいません。変な事言いました」  どうかしていた。  一時とはいえ、二尉が他人を苦しめて喜ぶような性根の腐った人間だと思うなんて。 「だからいいって。それより腹減ったから飯食いに行くぞ。執務官、お前来れるか?」 「大丈夫ですよ」  執務官は快然とした笑みで答え、准尉の腕を掴んで立たせる。  准尉は大仰に溜息を吐き、腫れが引いていない手首を擦る。 「後で医務室行こうかな」 「それ位で。実戦なら四肢を砕かれてたぞ」 「あんたが言うと説得力ありますね」  さっきまで怒っていた准尉が当たり前のように二尉の車椅子を押しているのを見て自然に頬が緩む。  昔はこういう和気藹藹とした雰囲気は苦手だったが、スバルと出会ってからは自然体で楽しめるようになった。 「おい、ランスター。何してる。早く行くぞ」 「はい。今行きます」  体は疲れているが心には穏やかな充足感がある。  夢に近付いているという喜びと信頼出来る人間と一緒にいる安心から来るものだ。  願わくば、この時間が長く続く事を。 [45] ◆Ev9yni6HFA 2008/06/29(日) 22:58:03 ID:VeJfKWF6 以上です このペースなら二十の前半くらいで完結出来るかな [46]名無しさん@ピンキー<> 2008/06/29(日) 22:58:54 ID:9dcxdY9G こんなのがあるなんてレベルが低いな [47]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:03:43 ID:lH3+mz8T >>45 GJ! その調子でファイト! >>46 IDという物があってだな(ry [48]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:14:23 ID:pWyxXgqf >>47 さわんな。 [49]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:14:40 ID:r/pIE2ws 今日のお子様は全部同じID? 構って欲しいんだねぇ。 いいよ、相手してあげるから、せいぜい注目されるようなネタを振りなさい [50]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:21:57 ID:i8YkyAzZ まあ作者の色が強すぎるな〜とは思うけどねぇー。 コメディとかなら人当たりがいいしあんまり気にならないけど、 ハードボイルド調だと敬遠したくなる気持ちも分からんでもない。 最近これぞエロパロ! っていうニヤニヤ出来る作品が少なくなっているのは事実だしなぁ。 [51]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:29:24 ID:/XXKYOOy >>48 荒らしは構ってちゃんだとスルーが一番だが、 ガキが気に食わないって理由だけでやってる時は叩いた方がいい場合もあるぜ まぁ、どっちがいいかなんてやってみなくちゃ分からないけどな >>50 お前の好みなんて誰も聞いてない チラ裏でやれ [52]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:30:22 ID:fxaPcQsE ただひたすらラブラブニヤニヤエロエロなSSが見たくはなる NTR?鬱?なにそれ的な [53]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:44:40 ID:lH3+mz8T ラブラブニヤニヤエロエロと鬱が半々くらいがオレは好きだぜ 誰かもっと鬱書いてくれ…… [54]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:44:55 ID:i8YkyAzZ >52 鬱とか納豆とか最低SSとか×レジアスとかネタに走りすぎて、 ディープな客層しか受けないSSが流行ってる流れがね。 ただひたすらラブラブニヤニヤエロエロなSSのようにライトな層に受けるSSが増えれば、 自然といい流れになって人も作家も増えると思うんだよな。 ネタなSSよりベタなSSというか、そんな感じで。 [55]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:52:47 ID:FKDwmKMH >>54 スレのためを考えられた卓見、謹んで拝聴いたしました。 素直に「俺はこんなのが好き」って言えばいいのに。 [56]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:53:26 ID:lH3+mz8T >>54 お前何スレか前にも沸いてたよな あの時も言ったが好きなジャンルが増えてほしいなら誰か書いてくれーって言うだけにしろよ なんで一定のジャンルを書きにくくするような事言うかね [57]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:54:40 ID:KfgoaSTr ネタが多すぎると食あたりを起こすのは同意。 だけど俺はもともと百合を求めてここに流れついたんよねー [58]名無しさん@ピンキー<> 2008/06/29(日) 23:54:41 ID:AQMY25vH 個人的には鬱や陵辱は苦手だが……まあ、どうこう言える立場じゃないしな。 読みたいのだけ読んで、GJを送ればいいのさ。 [59]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:56:05 ID:O+azrZHf このスレだけでも既に相当な作品数があるし、 放映やSSも終わってだいぶ経つから公式からの燃料補給もないし、 職人さんとしては新しいネタを考えようとすると 捻った作風になってしまうんじゃないかな 何にせよ未だにこれだけ投下があるって他スレと比べれば凄いことだし 職人さんたちには感謝してるから自由に書いてほしいと思う [60]名無しさん@ピンキー 2008/06/29(日) 23:57:24 ID:/XXKYOOy >>54 妄想もいい加減にしとこうな 迷惑。 [61]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:06:36 ID:r3kmzaiJ >>53 オレもニヤニヤSS、鬱系SS、両方大好きだわ。何というか 『スッキリした物ばかり食べてると、たまに油っこい物を食べたくなる』(その逆も然り)という感覚に似ておる まっ、お互い246氏が新作投下してくれる日を心待ちにしようや。 [62]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:15:29 ID:4mz14Ni/ 俺もちょいまえはちょくちょくとSSを投下してたけど、 ああ、ユーノSSなんだけどね。 こうやってたまに雑談したりしてると厨とか 56、60みたいに突っかかってくるレスとかにやる気をそがれて、もういいやってなる。 結構いると思うよ、そういう職人。 [63]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:17:20 ID:hW8ZAZ8s >>53>>61 べ、べつに鬱が嫌いってわけじゃなくて純粋にラブニヤエロが良いってだけなんだから勘違いしないでよね! [64]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:21:40 ID:aSIxZV9T 悟りを開き、卓越した妄想像力を得れば、 ギャグSSであっても抜けるようになる [65]名無しさん@ピンキー<> 2008/06/30(月) 00:23:45 ID:7HuUzoVq オリキャラによるオナニーとかうぜぇ [66]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:24:07 ID:KHguND2S >>62 でも>>54みたいな書き方しちゃうと 今度は鬱・納豆・最低・レジ等のSS書いてる職人さんが 投下しにくくなる恐れがある あと、必ずしも皆がラブラブニヤニヤエロエロばかり好きなわけじゃないし。 陵辱とか激しく好みが分かれるけど需要は決して少なくないジャンルもある [67]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:25:04 ID:uKPGTBXn >>62 ◆Ev9yni6HFA氏も毎回こんな調子だと本当に外部に行っちゃうかもな ってな訳で感想を >〜そんな状況でも冷静に対処出来るように〜 仲間に置いてかれて1体3になったりする状況ですね 分かります それと、最後の文って明らかに長続きしないフラグじゃないか [68]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:30:33 ID:XMaWUjBV >>62 「ああ、ユーノSSなんだけどね」 恣意的すぎるだろww [69]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:31:44 ID:s0w5dGWA >>68 どうみてもユーノ嫌いです本当にありがとうございました [70]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:32:28 ID:+noJWmkP >>62 いやいないと思うぞ >>54みたいな不快な書き込みは叩かれて当たり前だろう 言ってることおかしいし [71]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:34:01 ID:al6jT2Da >>45 GJ!!です。 ティアナ関連での二尉となのはの会話とか見てみたいw [72]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:34:51 ID:aSIxZV9T 読者風情がつべこべ言うな、とか作者が表だって言い出さないだけこのスレはまだまし [73]554 2008/06/30(月) 00:40:45 ID:k/bizRM+ >ラブラブニヤニヤエロエロと鬱が半々くらいがオレは好きだぜ レベル高すぎwwwwww でも246氏はそれを書ききっちゃうんだから、凄いんだよなあ。 というわけでエロになると途端に執筆速度が下がる私がお口直しに投下しようと思いますが、よろしいですかい? [74]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:40:49 ID:4mz14Ni/ >66 投下しにくくなるって言う点なら、そういうSSが流行っているほうが投下しにくいと思うだけどなあ。 >70 実際俺は書き手だったし。 不快っていうなら貴方のレスも相当不快だと俺は思ったりしますけどね。 そうやって頭ごなしに決め付けて、職人が減るという事実に気付いてない。 [75]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:44:11 ID:Z2g9uwDY 投下OK!! たっぷりぶち込んでくれい!! [76]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:46:28 ID:3qNaNZCf >>74 どうみても君のレスのが相当に不快 >>73 カモン! [77]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:48:06 ID:XMaWUjBV >>74 あのさ。元職人ってことは曲がりなりにも文章書いてたわけだよね。 そしたら、自分の書き込みに説得力があるかどうか、相手を不快にする文体じゃないか、それを客観視できないかい? >>73 GO-GO!! [78]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 00:48:24 ID:KHguND2S >>74 あなたが投下しにくいっていうなら、それは確かに残念です。 でも鬱SSが流行ってるのはちょっと…って書き方すると 例えば>>73が挙げてる246氏みたいな人が投下しにくくなっちゃうかもしれない というようなことを言いたかったんです。 ここは基本色んな傾向のSS職人さんがいてカオスだから 流れなんて気にせず何でも投下してくれよ!って個人的には思いますけどね。 >>73 よしきた、エロ?!ばっちこーい!!!!!!!!! [79]554 2008/06/30(月) 00:50:46 ID:k/bizRM+ 最初に謝っておきます。 今回は限界だったんだ。でもきちんと書ききるから、少しの間辛抱して欲しい。 ・カップリングはジェイル(あえてこう表記)×ウーノ ・スカの性格がかなり変化してます。それについては後に触れますが、気になる人はNGしてください。 ・なのはキャラはスカとウーノ以外はフェイトくらいしか出ません。しかもかなり後半。よってほぼオリジナルストーリー。 ・NGワードは「小さな町の小さな診療所 クリニック・F」です。 それでは原案の73-381氏に多大なGJを送りつつ、投下したいと思います。 [80]小さな町の小さな診療所 クリニック・F 2008/06/30(月) 00:53:19 ID:k/bizRM+  静かな家の中で、シャワーを浴びる水音だけが響き渡っていた。  ウーノは今、一人ダブルベッドの中で布団にくるまっている。  それだけなら特筆すべきことではないが、問題はその布団の中にある。 「落ち着かない……なんかスースーしますし……」 ○ 小さな町の小さな診療所 クリニック・F ○  身につけている物は何も無し。布団の生地がそのまま彼女の肌に触れていた。  ウーノはしばし微睡みに身を任せ、どうしてこんな事になったのかと思案する。  そうだ、あの時彼に恥を掻かせたくない一心で、自分の体を代償にして禁忌とも言える方法を試したのだった。  全てが自分のせいで、全てが自分の責任で、もはや言い逃れや誤魔化しなど効くはずもない。  ジェイルという男は一度言い出したら止まることを知らないと言うことを、ミッドチルダで起こした様々な事件(彼が言うところには実験らしいが)から身をもって知っている。  そして、事件だけでなく夜の方でも言い出したら止まらないという法則も既に身をもって知っている。自分は今晩あの人に完膚無きまでに征服され尽くされる、辱められ続ける。  ふと、痒みを憶えて太ももの付け根の辺り、つまり股の部分を手で触ってみると、ほんのりとだが手に水分が付着していた。  これはどういう事なのか。そうだ、この液体は以前に彼と行為を行ったとき、前戯と称して自分の秘所を執拗に攻められたときのものに似ている。 [81]小さな町の小さな診療所 クリニック・F 2008/06/30(月) 00:54:31 ID:k/bizRM+  ということは、自分はその時のことを思い出して、そしてそれを望んでいる。そういうことになる。  確かにその時は体の内から上り詰めるような気がして言葉では言い表せないような不思議な気持ちになったのは事実だ。  だがそれを私は自分から望んでいるというのであろうか。いや、まてまて。  第一あれは私が言い出したことではあるがそれは仕方がないことであったし、あの状況の中で彼の自尊心を傷つずに事を運ぶにはどうしたらいいかと考えたとき、それは最善の選択だったのだ。  だから決して私が自分でその……行為自体を望んだわけではないし、それを愉しんでいるなんてことが有るはずもない。そうだ、有るはずもない。  いや、でもそうするとあの時どうにも我慢が出来なくなって自分で自分を弄ってしまったときの説明が付かない。  あの時の感覚は今も必死に忘れようとしているが、一向に忘れられていないというのは私にとってあまり気持ちの良いことではない。  自分はあの人の捌け口でしかないはずなのに、それだけが私の存在意義なはずなのに、自分だけが行為に溺れるとは。  彼女は声を噛みしめながら洗濯するはずの彼のトランクスを片手に、だらしなく息を切らせていたときのことを思い出していた。 「どんなことを考えていると深刻そうな表情をしたまま顔を真っ赤に出来るんだい?」 「どどどどどドクター!?」  いつの間にシャワーから出たのだろうか。というのがウーノの頭中であるが、ジェイルにとっては”無限の欲望”の発動中ではあるが、いつものようにシャワーを浴びて寝室に戻ってきただけなのだが。  ジェイルは単にウーノのよく分からない表情を興味本位で聞いてみただけなのだが、思いの外大きな反応があり、驚きの度合いではウーノもジェイルもあまり変わらなかった。 「いや、これはですね、その……」 「……ほう」 [82]小さな町の小さな診療所 クリニック・F 2008/06/30(月) 00:55:18 ID:k/bizRM+  思わず起きあがって布団で赤くなった顔を半分隠すウーノ。その反応で、ジェイルは何かを悟った。 「つまり、だ」 「ど、ドクター? きゃあ!!」  ゆっくりとウーノの寝ころぶベッドに近づいたかと思うと、残像を残すほどの素早い動作で彼女に掛かっているベッドを引きはがして部屋の隅へと乱暴に投げ捨てる。  甲高い悲鳴と共に顕わになった彼女の裸体は誰が見ても綺麗だと形容するであろうほどに美しく、真っ赤になった顔と相まって本来なら衝動を抑えられないはずのジェイルが一瞬息を呑んでしまうのも、毎度お馴染みのことである。  彼女の知的なイメージを増幅させる長い髪を後ろに流し、体は冷や汗でも掻いていたのだろうか、しっとりと湿り気を帯びている。  その中で一点、他の場所よりも若干だが水気を多く纏っている部分があることに、ジェイルは予想通りだと言ったように意地悪くほくそ笑む。 「期待しているんだろう?」 「そ、そんなこと……」  そう言って首を振るウーノだが、ジェイルの言うように一部分だけが雨が降ったかのように湿っていた。布団には染みも見える。 「今夜は長くなりそうだ」  ウーノはおもむろにジェイルが呟くその言葉と、ギラギラとした目で自分の裸体を見つめるその金色の視線を感じると、また自分の秘部が熱くなるのを感じた。  部屋に設けられた小さな窓から、少しばかり欠けた丸い月が二人の様子をのぞき見るかのように、二人の部屋に光を差し込んでいる。  ジェイルはゆっくりと寝そべっているウーノに近づき、足下へと顔を寄せ、そして脹ら脛から膝、そして太ももへと、徐々に上へ上へと舌で彼女を撫で続ける。 [83]小さな町の小さな診療所 クリニック・F 2008/06/30(月) 00:56:55 ID:k/bizRM+  ウーノが乱れるそのベッドに腰掛け挑戦的な目をウーノへと放つジェイルであったが、ウーノ羞恥心などお構いなしだというように腰掛けたジェイルにベッドから降りて這いずり寄り、自らの顔を彼の顔へと近づけた。  ジジジ、という音と共にウーノが口で銜えたズボンのジッパーが下ろされ、パンツという緩衝剤など気にしないというふうに限界まで天井を向いて反り立っている彼の男根を口で器用に顕わにさせる。  口に入れるのがやっとという反則的大きさの男根を、顔を赤くしてさも愛おしそうに微笑みながら掴んで擦り、そして髪をかき上げるとまるでご馳走を頬張る子どものように、口へとその凶悪なモノを導き入れる。  まもなくウーノによる上下運動開始され、じゅぼじゅぼと粘性の高い音を奏で始め、ウーノの顔が羞恥に染まり、ジェイルの顔が苦悶に変わる。 「……ろう、れすか?」 「……いいよ、ウーノ」  鍛え抜かれた性技によって何度も何度も絶頂へと上り詰めそうになるジェイルだが、そこは現在の主従関係からそう簡単にはいかないと、理性と気合いでそれを止める。  対するウーノも早く上り詰めて欲しいと、更に速度を上げて口での上下運動を繰り返す。舌と涎が口内で混ざり合い、ジェイルへ途方もない快楽を与え続ける。  ただウーノは相手に快楽を与えているだけのはずだ。  それなのにウーノの顔は快楽を感じているかのように、普段のクールな彼女からは想像も出来ないほどに歪んだ笑顔に変えられ、彼に快楽を与えている事実を心底から悦んでいるようだった。  やがてウーノは、彼はそろそろ限界だと男根のふくらみ具合から判断し、より深い位置、喉近くでの奉仕を始める。  苦しそうに顔を顰めていたジェイルだったが、ウーノの更なる奉仕によって限界は更に近づき、自身の男根の高鳴り具合からもう我慢の限界だと悟っていた。 「……っ」 「んあっ……んちゅ……」 [84]小さな町の小さな診療所 クリニック・F 2008/06/30(月) 00:57:56 ID:k/bizRM+ >>83はミスです。 申し訳ない 「っぁ……っふ……」  細かく吐かれていただけの彼女の息が、徐々に粗く忙しないものへと変わっていく。  ジェイルにも確認できるほどに、それが声から喘ぎ声に変わる瞬間はすぐにやってきた。その間も、ジェイルは愛撫を続けることを忘れない。 「はふっ……ぅっ…………ふぁっ」  やがて、二本の指がウーノの秘部を割りながら差し込まれ、それがゆっくりと上下し、ぐちゅちゅと卑猥な音を立てる。  ジェイルの顔が期待の表れか、喜々とした表情で体と直角に反り立ったウーノの乳房の片方に吸い付いている。  ウーノは苦しそうな顔をしながらも頬は上気し、待ち望んでいた物を手に入れたときのような、そんな表情を浮かべていた。 「ああっ……ど、ドクター……」  ウーノの口から粗く息が吐かれたびにジェイルは責めを微弱なものにし、果てる寸前で止めるように胸と股の両方を延々と責め続ける。  そんな彼女の秘部からは止めどなく愛液が流れ出し、純白のシーツに粘々とした透明の染みを作り、彼女の体が否応なしに反応し続けていることが伺えた。  無限に続くかのようなその責めにウーノは耐えられず、なおも粗く息を吐き、涎を垂れ流しながら、まさしく懇願するかのようなとろけきった目でジェイルを見つめる。 「はあっ……ドクター! ドクター! ……んんっ……はや、く……あふぁっ」 「だったら自分でどうにかしたまえ。 ん?」 [85]小さな町の小さな診療所 クリニック・F 2008/06/30(月) 00:58:41 ID:k/bizRM+  ウーノが乱れるそのベッドに腰掛け挑戦的な目をウーノへと放つジェイルであったが、ウーノ羞恥心などお構いなしだというように腰掛けたジェイルにベッドから降りて這いずり寄り、自らの顔を彼の顔へと近づけた。  ジジジ、という音と共にウーノが口で銜えたズボンのジッパーが下ろされ、パンツという緩衝剤など気にしないというふうに限界まで天井を向いて反り立っている彼の男根を口で器用に顕わにさせる。  口に入れるのがやっとという反則的大きさの男根を、顔を赤くしてさも愛おしそうに微笑みながら掴んで擦り、そして髪をかき上げるとまるでご馳走を頬張る子どものように、口へとその凶悪なモノを導き入れる。  まもなくウーノによる上下運動開始され、じゅぼじゅぼと粘性の高い音を奏で始め、ウーノの顔が羞恥に染まり、ジェイルの顔が苦悶に変わる。 「……ろう、れすか?」 「……いいよ、ウーノ」  鍛え抜かれた性技によって何度も何度も絶頂へと上り詰めそうになるジェイルだが、そこは現在の主従関係からそう簡単にはいかないと、理性と気合いでそれを止める。  対するウーノも早く上り詰めて欲しいと、更に速度を上げて口での上下運動を繰り返す。舌と涎が口内で混ざり合い、ジェイルへ途方もない快楽を与え続ける。  ただウーノは相手に快楽を与えているだけのはずだ。  それなのにウーノの顔は快楽を感じているかのように、普段のクールな彼女からは想像も出来ないほどに歪んだ笑顔に変えられ、彼に快楽を与えている事実を心底から悦んでいるようだった。  やがてウーノは、彼はそろそろ限界だと男根のふくらみ具合から判断し、より深い位置、喉近くでの奉仕を始める。  苦しそうに顔を顰めていたジェイルだったが、ウーノの更なる奉仕によって限界は更に近づき、自身の男根の高鳴り具合からもう我慢の限界だと悟っていた。 「……っ」 「んあっ……んちゅ……」 [86]小さな町の小さな診療所 クリニック・F 2008/06/30(月) 00:59:17 ID:k/bizRM+  今まで苦悶の表情しか浮かべてこなかったジェイルが初めて声を上げて快楽に耐えている。  その事実をお互いに目で確認する。どんなサインかは、既に明白だった。  ウーノは先程よりも更に出し入れを激しくさせ、更に奥へと銜え込む。  それは既に彼女が嗚咽を上げるほどに奥へと突き立てられていたが、彼女は動じることもなく、むしろうっとりとした表情とも見える苦悶の笑顔でそれを受け入れていた。  ジェイルは今まで宙に浮かせていた自分の腕をウーノの頭へと伸ばし、来る放出の時に向けてウーノの奉仕を更に激しいものへと変える。  そして、限界の時が来る。 「っうあっ! い、いくぞ!!」 「んんっ!!」  弾けるその瞬間、ジェイルはウーノの頭を自分の方へと押さえつけ、剛直をウーノの喉奥へそのまま捻じ込む。  焼けるような喉の熱さに吐いてしまいそうになったウーノだったが、咳き込みはすれどジェイルの吐き出した欲望の固まりを自分の外へと出すことはしなかった。  ウーノの心の根底にあるものは、まずジェイルを慈しむことが行動指針の第一なのである。だから、彼のもの、ましてや生命に絡んでくるものとあれば吐き出してしまうのはあまりにも勿体ない。  長い放出が終わりウーノの涎にまみれた自身の剛直を引き抜こうとするが、ウーノの両手が両手をジェイルの腰に巻き付けてそれをさせようとしない。  彼女は喉奥から口内へと場所を移し、なおも男根を舐め上げ、そしてずちゅっ、ずちゅっ、と卑猥な音を立てながら美味しそうに、そして愛おしそうに、ジェイルの放出しきれなかった残り糟を吸い取っていく。  その間もこくっ、こくっ、と喉を鳴らしながら自分の涎と彼の精液が混ざった白液が喉を通り、ウーノの体へと満たされていく。  心底嬉しそうな笑顔で男根をしゃぶるその姿は、誰から見ても妖艶かつ淫らなものであった。 [87]小さな町の小さな診療所 クリニック・F 2008/06/30(月) 01:01:02 ID:k/bizRM+ 「さて、まだ行けるな?」 「ここで終わり、なはずはありません」  男根を口から離して自信たっぷりに言った後、誰もを魅了するかのような輝かしい笑顔で首を傾げる。 「ですよね?」  ジェイルの返答は言うまでもなく、もう決まっていた。 「もちろんだ」  不敵な笑みを浮かべた彼は当たり前だというように、浅く、頷いた。 [88]554 2008/06/30(月) 01:03:06 ID:k/bizRM+ うん、「ここまで」なんだ。済まない。 仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。 今回はここまでになってしまいましたが、次回は最後まで書ききります。 それまで全裸待機の方は一度ズボンを履いてお待ち下さい。 それではもう一度原案の73-381氏にGJをしつつ、投下を終わります。 [89]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 01:08:58 ID:XMaWUjBV >>88 もう本当に二人はこのまま幸せになりましたENDでいいよ。というか、幸せになれ。 いや、フェイトの出番無くなるか……困った。 GJ! [90]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 01:10:49 ID:KHguND2S >>88 わ、わっふるわっふる…! しかしこのウーノは可愛いな、GJ! [91]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 01:12:10 ID:Z2g9uwDY GJ!! このウーノはマジお嫁さんにしてあげたいな。 ってか、ちゃんと式挙げてやれよジェイル!! [92]73スレ381 2008/06/30(月) 01:20:29 ID:fphb9svM >>88 GJ! ウーノってこんなに可愛かったんだ。 氏のおかげで最近ウーノ株が急上昇だよ。お持ち帰りしたいくらいだ。 もう一回言っておこう、GJ! [93]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 01:44:37 ID:wjzPHTy+ >>88 まったく! またしても待たなければならないのか!! まぁ、もうすぐ夏になるからいいけどさ (裸的な意味で) ところで、 これから受精される子の名前は何になるんだろうか? [94]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 08:53:01 ID:eD+krXCR >>1乙 [95]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 09:39:28 ID:uKPGTBXn >>71 二尉はスタンドアローン前提でなのははチームプレイ前提で鍛えてるっぽいからその辺で対立しそうだな まあ、二尉はティアナを執務官にしようとしててなのははJS事件を解決出来る人材を育てようとしてたんだから当然といえば当然だが >>88 このウーノは凄い萌えるぜ [96]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 09:57:39 ID:IacSCmfR ふと脳裏に閃いた ロストロギアの影響で子供に戻ったユーノ君をなのはさんが喜び勇んでお持ち帰りするお話。 おとなのは×小ユーノはどうだろう? [97]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 10:10:07 ID:53XKetRO たまにはユーノ以外でのネタふりができないのか? [98]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 10:10:38 ID:0qEzp8DQ 自分的にはおとなのはさんが子供ユーノに蹂躙される話が見たいな [99]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 10:18:10 ID:eD+krXCR >>98 すごく興奮したオレは変態 [100]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 10:20:02 ID:P9xw8nuL >>96 マジレスするともう書かれてるぞ このネタってなのはさん幼女化のパターンは見ないな ペドじゃないから別に良いけど [101]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 10:34:58 ID:CGOH4a/P >>100 オチとして出てきたくらいだな [102]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 10:47:58 ID:0ZXbbPBJ 幼女化したなのはか。 ティアナに「お持ち帰りいぃぃ!」されそうだな [103]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 10:48:46 ID:gkFiAx/1 ロストロギアの影響でなのはさんが大中小の三人に分裂した話とかもあったな あと似たようなのではなのはさんがユーノに薬を飲ませてもて遊ぶ話や、タイムスリップしたなのはさんがちびユーノをもて遊ぶ話なんかもあったな。 [104]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 11:49:06 ID:P9xw8nuL >>102 じらいおうのなく頃に 頭冷し編 [105]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 13:21:32 ID:v0BUw19k ふと思ったんだが、「烈火の将は〜」のバットエンドで ティアナを殺した獲物はやっぱ「ハラキリブレード」なんかな? 個人的にはもっとシグヴァイが見たいです。 [106]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 13:48:54 ID:A5lx9CfB 普通にラブラブのエリキャロが見たいです。 なのフェイ、ユーなのと同じくらいメジャーなはずなのに何故か投稿数の少ないカプ… [107]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 15:02:50 ID:eD+krXCR ヴァイス変態三段によるリィン強姦モノ希望 [108]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 16:37:44 ID:al6jT2Da なのはとエリオも短編で一個ぐらいしかないなぁ。 エリオがS、なのはがMだと妄想して、訓練でエリオ達が厳しくなのはに指導される、 エリオがベッドで逆襲で昼間はよくもまぁ・・・この変態教導官が!な感じで、 なのははもっと虐められたいから訓練がどんどん苛烈にw [109]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 16:45:19 ID:EpMHusb8 エリスバ希望。 セクハラエスカレートな感じで。 [110]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 18:15:18 ID:jv4b8Fyp >>108 シチュは違うけどなのは受けのエリオ攻めは鬼畜王エリオであったな [111]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 18:52:26 ID:Frek3pGz >>107 アギトとユニゾンした姐さんにブッタ斬りにされそうだw [112]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 19:08:07 ID:s7hgeFmg 誰だよ「クロノ&エリオ&カレル×リンディ&フェイト&アルフ&エイミィ&リエラ&キャロ&フリード(♀)&ヴォル(♀)」なんて ハラオウン一家大乱交な電波送ってきたの。書けるわけないじゃないのそんなの。 [113]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 19:09:38 ID:vWR13wUb うるさい書け! [114]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 19:14:56 ID:nRHzSwSC >>112 よし、間引きしよう つ【カレル×リエラ】 THE・禁断愛! [115]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 19:16:14 ID:53XKetRO >>111 むしろユニゾン状態でシグナムごとアギトも篭絡済みなんだろうさ [116]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 19:21:46 ID:ILMVp/Qw >>114 この二人はキャラが立ってないしな。リエラはお兄ちゃん大好きなんだっけか? [117]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 19:37:18 ID:sgf74LaO >>108 >>109 どちらとも見てみたいカプだな… 特にSエリオはレアだから是非見てみたい! [118]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 19:39:54 ID:GSNbF1MF 幼女化シグナムと幼女化シャマルを読みたいとか思った。 [119]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 19:46:46 ID:IKyMTFWH ジョッキに注いだ媚薬の中にリィンとアギトを1時間漬け込み、程良く体が熱くなったところで 筆やら綿棒やらその他色々な道具やらで丹念にいじり回すシグナム、シャマルという 電波が届いた。 [120]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 19:57:14 ID:904WGQpi >>119 よろしい,ならばSS化だ. [121]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 20:09:59 ID:XMaWUjBV >>119 なんか、おおたたけしの絵が浮かんできたんだが… [122]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 20:23:05 ID:al6jT2Da >>119 何やってるんだよ、二人ともw シグナムはアギトに焼き殺されるぞ、なんか約束してた気がするしw [123]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 20:43:19 ID:fphb9svM >>115 ユニゾン状態でってのは見たことないな。 互いの快感が伝わり合うのかな? [124]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 20:55:16 ID:m23FSkn6 なんかヒッポリト星人思い出した、ガラス管の中で悶えてタール漬け [125]サイヒ 2008/06/30(月) 21:12:21 ID:fdBBHeVH 前スレでフェイトそんのパンニーが望まれていたようなのでやってきました。 前回書いたのと同じく相手の下着で自慰するフェイト&クロノですが、前回と違って二人が恋人同士になる前の話です。 [126]サイヒ 2008/06/30(月) 21:12:54 ID:fdBBHeVH 「こんなの、おかしいんだからぁ……」  呻き声が真っ暗な部屋で木霊す。 「下着をこんなことに使うのなんて……おかしいよ……」  答える者のない問いが、とめどなくフェイトの口から漏れていく。  隣の部屋では家族が寝ている。あまりに大きな声で喘げば、不審に思った家族が部屋を訪れかねない。  だが身体は意思を裏切り口が閉じられることはなく、ただ右手の中指だけを動かし続けた。  フェイトの右手が当てられているのは、最近履きだした黒いカラーのショーツ、その股間部分。男性に 比べれば柔らかさのあるフェイトの身体の中でも特に柔らかい肉の丘。フェイトの指は、ショーツの上か ら何度もその場所を擦っていた。  右手だけではない。残る手はしっかりと一枚のトランクスを握り締めて、顔へと押しつけていた。 「クロノぉ……」  今度は義兄にして愛する人の名を、フェイトは切ないかすれ声で呼ぶ。  家族で、いつも隣にいてくれるのに、一番いて欲しい恋人という位置には絶対に来てくれない人の名を。  最初は、ワイシャツだった。  洗濯の手違いで、クロノのワイシャツを寝巻き代わりに着ることがあった。密やかに想っている人の匂 いに包まれて眠る夜は、ひどく心を安らかにしてくれたものである。  次は、バスタオルだった。  クロノの次に風呂を使い、身体を拭こうとしてすでに湿っているバスタオルに触れた時、何気なく匂い を嗅いでしまいなにをやってるんだろうと頬を薄く染めた。  ここまでなら、相手が義兄であることを除けばまだ思春期少女の微笑ましい話で終われたはずだった。  しかし麻薬中毒者がどんどん強い薬を求めていくように、バスタオルの次はシーツ、その次は歯ブラシ と、フェイトの行為はエスカレートする一方だった。  今宵など、久々に実家に帰省したのをいいことに、こっそり義兄の下着を片手に自慰行為にふけってい る有様だった。 [127]サイヒ 2008/06/30(月) 21:13:54 ID:fdBBHeVH (男の人って、どうやってやるんだろう……)  罪悪感に胸を押しつぶされそうになりながら、脳は浅ましくもそんなことを考えていた。  保健体育の授業では、そこまで教えてくれなかった。自分のように指で入り口を擦っていたら出るのだ ろうか。下着を履きながらするのかしないのかも知らない。 (履いたまましてるのなら、これにクロノの精液が……)  フェイトにとって完全に未知の液体。ほとんど何も知らないが、子宮に注がれれば子供が生まれるとい うことだけは分かっている。  クロノと結ばれの恋人になって、結婚して、やがては母になる。妄想の中でしか許されない夢。現実は 彼の精を受けることなく、ただ暗い部屋の中で匂いを嗅ぐことを許されただけ。 「当たり前、だよね。お兄ちゃんを好きになっちゃうなんて……普通じゃないんだから」  一瞬だけ自虐で頭が冷め、フェイトは虚ろに己を蔑んだ笑いを浮かべる。  だがすぐに股間から上ってきた熱にうかされ、自慰行動を再開した。  秘裂をまさぐっていた指が、ついにもどかしさに耐え切れずびしょびしょに濡れた下着の中へと潜り込 んだ。ぐちょりと、生々しい音がした。 「あ、はぁっ!」  そろそろと指を上下させるうち、勝手に指が深く深くと埋め込まれていく。  だが散々愛液を分泌して受け入れる態勢を作ったはずの股間は快楽よりも痛みが大きく、ほんの一ミリ 進めるのにも大きく深呼吸しながらでなければ無理だった。  フェイトは自慰に慣れていない。処女膜を傷つけることを恐れて膣に指を入れることすらまれで、ほと んどは擦っているだけで終わらせていた。  それでも、明確に愛する人が胸の内に生まれてから、少しずつ快楽を求める衝動は強くなっていた。こ れまでのようなやり方では、身体も心も満足しないのだ。 「ひあっ……! あ、ああ……!」  痛みに喘ぎながら、少しでも薄れさせようとフェイトはいっそうトランクスに顔を埋めた。  染みついたクロノの匂いを嗅げば、ほんの少しだけ痛みと心が安らぐ。  触れ幅の大きい快感を持て余しつつも、確かにフェイトの身体は煮詰まりつつあった。 [128]着慰 〜前〜 2008/06/30(月) 21:14:52 ID:fdBBHeVH  親指がそろそろと、上部にある神経の塊である核へと向かう。  経験の少ない少女にとって、敏感すぎる場所に触れることは官能よりも恐れが強い。今までもろくに触っ たことは無かった。それでも、身体の中心を灼き続ける炎に燃料を加えるべく、フェイトは指を伸ばした。 「んっ!!」  こりっとした密やかな感触を指に覚えるより先に、びくりと身体が痙攣した。  あまりに一瞬で達したことに驚き、愕然とするフェイト。  指で秘芯を触っただけでこんなのなら、クロノの性器がここに入ればどれだけの快感がもたらされるの だろうか。  ぐっと瞼を閉じて現実を遮断し、顔に押し当てた布地に染みついた香りを頼りに、その時を脳裏に描い てみた。  場所は自分かクロノの部屋。あるいはどこかの高級ホテル。柔らかいシーツの上に、生まれたままの姿 となって横たわったフェイトを、同じく全裸になったクロノが温かく包み込んでくるのだ。  優しい手で愛撫され、やがては緩やかに交わっていく。快感よりも幸せに全身が浸りながら、やがて経 験したことのない高みで絶頂を迎えて。 「ああぁ! クロノっ!」  艶めいた声を上げながら、フェイトは片手で想い人を強くかき抱いた。一拍遅れて、股間の指が宝珠を ぎゅっと押しつぶす。肺が震えて、空気を残らず吐き出した。  しかし現実の手が抱きしめたのは痙攣する己が肢体だけで、男の精液など身体のどこにもありはしなかっ た。  空振った手が下着を離し、数度何もない虚空を握り、やがては顔を覆う。 「もう……こんなことするの、やだよ……。辛いよ……。クロノ、クロノぉ……!」  すすり泣きは、いつまでも止まなかった。           ※ 「くぅあっ……! ふ、フェイト!」  義妹の名を叫ぶと同時に、クロノは精を放った。身体が痙攣して、弛緩する。  快楽による目眩の時間が終わると、クロノは手の平に眼を落とした。そこにはべったりした熱く白い液体 が付着している。  忌まわしい汚物であるかのように乱暴に拭い捨てたクロノは、その手で頭を抱え込んだ。  ここ数ヶ月、クロノが性欲処理をする時に思い浮かべているもの。それは、血が繋がらないとはいえ妹 であるフェイトの痴態だった。  これまで自分では、性欲が薄い方だと信じてきた。不健全な雑誌や漫画を見ても興奮するより嫌悪の気 持ちが強かったし、自慰も半月に一回するかしないか程度ですんでいたものだ。  それが間違いだったと気づいたのは、義妹に対する感情が家族以上のものだと悟った時からだった。  フェイトの裸を想像しただけで、罪悪感より先に色欲が首をもたげてあっという間に股間がいきり立つ。 どれだけスタイルが良かろうが紙媒体やブラウン管でしか知らない相手と、その肢体以外の何から何まで 知り尽くした上で惹かれた相手との差だった。 [129]着慰 〜前〜 2008/06/30(月) 21:15:57 ID:fdBBHeVH 「…………なにが管理局でも指折りの指揮官だ」  自分の煩悩一つまともに制御できていない。  先日も、危うく変態じみた行為に走るところだった。  クロノの洗濯物の中に、なぜかフェイトの下着が混ざっていた。大人っぽい黒のショーツを手にした時、 クロノはそのまま何の反応も取れず数分間貫くように凝視し続けていた。  たまたまアルフがクロノの部屋を訪れたので慌てて表情を取り繕い、もう間違えないでくれと渡してな んとか事なきを得た。  もしアルフが来なかったら、果たして自分はその下着をどうしただろうか。匂いを嗅いだのか、手で握っ たまま欲望の化身を擦り立てただろうか。  今も脳の指図を受けない器官である陰茎は、フェイトの下着を思い出しただけで硬さを取り戻しつつあっ た。 「……くそっ!!」  喉の奥から怒声を搾り出し、クロノは布団を引っかぶった。  どうしようもない想いに目をつぶり、ひたすら疲労が睡魔を呼ぶ時を待ち続ける間に口をつくのは母へ の恨み言。 「母さん、どうしてフェイトを養子になんかしたんだ……!」  妹ではなく、ただ家で預かっているだけのフェイト・テスタロッサならば、こんな苦しみを抱え続ける ことなく素直に告白できたはずだ。それが残念な結果に終わろうとも、一区切りはついて夜中一人で布団 に潜ってのた打ち回るような無様なことにはならなかっただろう。  明らかに筋違いだと分かりつつ、リンディを恨まなければやっていけない段階にまでクロノの抑圧され た悩みは高まっていた。 意味を成さない呻き声は、いつまでも布団の中から聞こえ続けていた。           終わり [130]サイヒ 2008/06/30(月) 21:17:35 ID:fdBBHeVH 以上です。 こいつらの十ヵ月後が前回パンニー話。 劇的ビフォーアフター。 何を隠そうフェイトの自慰シーンを書くのはこれが四回目。 そして口移しで何かを食べさせたのは五回で、風呂場とか温泉でのエロは六回書いた。 絶望した!自分の引き出しの少なさに絶望した! でもクロフェで温泉エロをあと一回は書く予定。 つうか最近変態かマゾなフェイトさんしか書いてないんで、普通にラブラブでエロエロなクロフェが書きたい。 [131]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 21:20:26 ID:XMaWUjBV >>130 GJ! ……このスレに来て初めて、クロノに心から同情したぜ。 つらかろう。 あの人が義妹だもんな…… [132]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 21:28:23 ID:4bucgq/7 >>130 GJ [133]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 21:29:28 ID:Z2g9uwDY パンニーGJ!! ってか、さっさと本番やれよお前らwww [134]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 21:37:11 ID:YeRZH+0N >>130 GJでございます! >>133 お前は何もわかっちゃいない。 本番前の悶々とした気持ちを抱えながら忌避している自慰行為に図らずも耽ってしまう二人の葛藤が    【省略されました】 というわけだ。理解したなら俺と一緒に保管庫にあるサイヒ師父の作品を朝まで音読マラソンだ! [135]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 22:44:46 ID:a2Mzd4re >>130 GJであります! クロフェ派でカリムスキーな俺にとってあんたは神だ。 これからも頑張って下さい。 特にカリムは少ないので。 [136]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 22:54:14 ID:gkFiAx/1 >>130 GJです。禁断という言葉を甘美に感じさせてくれる楽しい作品でした。 [137]野狗 ◆gaqfQ/QUaU 2008/06/30(月) 23:07:36 ID:XMaWUjBV なんか今日、お昼ご飯食べてたら突然電波が来ましたよ。 というわけで、エリキャロものです。 「新婚初夜〜エリオとキャロ」 鬱?注意 レス数4 あぼんわーどはコテか鳥 [138]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:08:13 ID:CPfKDQCH >>130 GJです さて、コンビニという単語をコンビニーと聞き間違えて本気でコンビでオナニーってどういうシチュなんだろうと考えた俺に一言 [139]野狗 ◆gaqfQ/QUaU 2008/06/30(月) 23:08:22 ID:XMaWUjBV      1  エリオの結婚が決まった。  相手は当然というか順当というか、キャロである。 「結婚前に済ませることは済ませておかないとな」  そう言ってヴァイスがエリオを引っ張っていったのはいわゆる歓楽街、というか風俗街。 「ヴァ、ヴァ、ヴァイスさん、な、な、な、なにを!!」 「うるせー、エリオ、お前まさか、新婚初夜に童貞でございって顔で挑むつもりじゃあるまいな?」 「な、な、な……」 「ほほぉ、その反応、やっぱ童貞か。よし、今夜は色々レクチャーしてもらえるとこ連れてってやるからな」 「あ、ぁあああああ、あの、ヴァィスさん、僕にはキャロという立派な結婚相手が」 「だからキャロに失望されないようにだなぁ…」 「で、でも、それはちょっと」 「あ、あそこにするか、最近新興の超優良店、ミッドチルダの天国、ソープ・ナンバーズ」 「いや、あの、僕は」 「駄目か? じゃあ、ちょっとマニアックだがあっちのソープ・一期二期。ちとヤバイが、その筋の人にゃあ堪らないスジッ子揃いだ」 「だから、ヴァイスさん、人の話を…」 「じゃあその向こう、ソープ・ロッカー。その名の通り某局の第六課のそっくりさんばっかり集めたと評判の店だ。 もっとも、リサーチが出鱈目でどの辺りがそっくりさんなのかはかなり疑問だがな。 教導官もどきは17歳と言い張るし、執務官もどきは兄や〜とか言ってるし、部隊長もどきはごきげんようとかほざいてる」 「そんなこと僕に説明されても…」 「よし、じゃあ人気店って事でナンバーズ行くかっ!」 「あの、僕の意志は!?」 「ないっ!」 「ちょ、ちょっとぉ!!!」 [140]野狗 ◆gaqfQ/QUaU 2008/06/30(月) 23:09:13 ID:XMaWUjBV     2  ベッドサイドに腰掛けて、エリオはキャロを待っていた。  確かに、経験を積むというのは心強い。もし今夜が初めてだったらどうしていいものやらで混乱して、 キャロをリードどころか醜態を晒していたに違いないのだ。  キャロがシャワーを浴びている水音を耳にしながら、エリオは心密かにヴァイスに感謝していた。  あれから何度もヴァイスには遊びに連れていってもらった。あげくに最後には自分から通い詰めたのだ。 おかげでキャロをリードする自信もある。  少し貯金が乏しくなったけれど、それだけの価値は充分にあったはずだとエリオは納得していた。  水音が止まる。  エリオは思わずバスルームのドアに目を向けていた。   「…エリオ君?」 「キャロ、こっちだよ」 「そんなにじっと見ないで、恥ずかしいよ」  あの日、悪びれもせず男風呂に飛び込んできたのは誰だっただろう。  まったく、あのとき驚いたのはこっちのほうだって言うのに。  そう言いたいのを堪えて、けれど視線はそらずにエリオは意地悪く微笑む。 「だーめ。だって、キャロはもう僕のお嫁さんだもの」 「エリオ君……」  「さ、こっちにおいでよ。キャロ」  正直、エリオの期待は限界寸前にまで膨らんでいた。  今夜、大好きなキャロと一緒になるということ。未だに夢のような気がする。しかし、現実なのだ。  結婚式からこの瞬間まで、いつ夢が覚めるのかと不安に駆られもした。だけど、現実なのだ、これは。  夢じゃない。そこにキャロがいる。  手を伸ばせば、ほら、キャロの手に触れる。  この手に触れる、いい匂いのする肌がある。  キャロはエリオの手に逆らわず、そのままベッドサイドに座る。  身体に巻いたバスタオルもそのままに、エリオはキャロの肩を抱いた。 「よろしく。僕のお嫁さん、キャロ」 「うん。私もよろしく。私の旦那様」  照れ隠しも手伝って、エリオは少し強引にキャロを押し倒した。唇を合わせるキス。  キスは初めてではない。恋人自体から何度もキスはしている。だけど、このキスは初めて。  恋人としてではなく、夫婦としてのキス。これから何度も交わす、そして何度も震えるキス。 「エリオ……お願い、このままじゃ恥ずかしいよぉ。ちゃんとしようよ…」 「うん。わかったよ、キャロ」  エリオは一旦、キャロの身体から離れた。  キャロはそのまま、ベッドの上で体勢を整える。   「あの……準備できたよ、エリオ君」 [141]野狗 ◆gaqfQ/QUaU 2008/06/30(月) 23:10:45 ID:XMaWUjBV        3 「いいよ」  エリオの頭の中が真っ白になった。  え?  キャロ?  これって、一体?  あの……どういうこと?  何してるの?  ねぇ、キャロ。  エリオの前には、一糸まとわぬ裸体のキャロがベッドの上に。    四つんばいになってお尻をエリオに向けている。 「どうしたの? エリオ君」  不思議そうに振り返るキャロ。 「どうしたって……それ……」  なんでいきなりバックなんだよ。後背位なんだよ。   慣れてるのか。こっちに慣れてるのか。そうなのか。慣れてるのかキャロ。  いや、いいけどさ。こっちだって童貞じゃないし。というかこの日のために練習してたけど。  でも、そっちは練習結果じゃないよね。どう見ても初心者じゃないよね。慣れてるよね。百戦錬磨だよね。  ああ、そうだよね。別に結婚まで処女でいろなんて言うつもりはなかったけどさ。  でもさ、これってさ、ちょっとさ。なんか、夢も希望もと言うか、経験値の差というか。  あああああああ、こんなことならあのとき素直にルーテシア食ってれば……。  フェイトさんの誘いに乗っていれば……ティアナさんの誘いに乗っていれば……シグナムさんの誘いに乗っていれば……  シャマル先生の誘いに乗っていれば……なのはさんの誘いに乗っていれば……部隊長の誘いに乗っていれば……  ユーノさんの誘……いや、アレは忘れよう。  ウェンディさんの誘いに乗っていれば、チンクさんの誘いに乗っていれば………あああああああ  なんでいきなりバックなんだよ。後背位なんだよ。 「なんで?」  いや、キャロ、キャロ先輩。貴方が不思議がる理由がわからないですよ? 「……だって、みんなこうしてるよ?」  乱交ですかそうですか。みんなですか。  みんなの中には僕は入っていませんね、わかります。 [142]野狗 ◆gaqfQ/QUaU 2008/06/30(月) 23:11:35 ID:XMaWUjBV       4 「人間は違うの?」  そうだよ、人間は…… 「人間!?」 「うん。動物はみんなこんな風にしてるから」     「動物って、キャロ、動物の交尾の真似してるの?」 「……だって、どうすればいいのかわからないから……こうなのかなって……」  泣きそうな顔で語尾が消える。  そんなキャロをエリオは抱き締めた。ベッドに飛び上がって思い切り抱き締めた。  馬鹿だ。僕は大馬鹿だ。キャロを疑って、勝手に落ち込んで。なんて僕は大馬鹿なんだ。  こんなに純粋なのに、こんなに可愛いのに、こんなに大好きなのに!  御免よ、キャロ。僕が馬鹿だった。  翌朝。キャロはエリオより早く起きると朝食の支度を始めた。  支度とは言ってもホテルのルームサービスを頼むだけなのだけれど、結婚して初めての朝食だと思うと緊張する。  無事手配を終えると、シャワーを浴びるためにそっとバスルームに入る。  温かいお湯を浴びながら、キャロは昨夜のエリオを思い出していた。  エリオ君、嬉しそうだったなぁ。ヤッパリ男の人って、処女が好きなんだ。  ヴァイスさんに言われたとおりになんにも知らないフリして良かったぁ。  ありがとう、ヴァイスさん。お礼に、また遊ぼうね。  あ、そうだ、早くエリオ君にもバックのやり方を教えなきゃ。 [143]野狗 ◆gaqfQ/QUaU 2008/06/30(月) 23:12:28 ID:XMaWUjBV 以上、お粗末さまでした。 因みに僕はソープ・ロッカーでは執務官もどきを指名したいです。 嘘です。ソープ一期二期で関西弁を指名します。 ソープナンバーズ、勝手に使ってごめんなさい。 [144]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:13:04 ID:P9xw8nuL >>143 リアルタイムでGJ ヴァイス自重しろwwwww [145]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:14:51 ID:CPfKDQCH >>143 GJ割り込みすいません っていうかヴァイスwwwww [146]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:15:15 ID:Z0+SIlsb >>143 ヴァァァアイス!? あぁ、素直にGJって言いたいが何だ、エリオが少し不憫だなぁいやどっちもどっちなのか? とにかくGJ >ソープ一期二期で関西弁 やぁ、穴兄弟 [147]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:21:58 ID:53XKetRO >>143 GJ ……なんで声をリサーチしてるんだろ [148]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:22:34 ID:wjzPHTy+ エリキャロはええなぁ〜 こう、なんというか初々しくて…… あとヴァイス、 お前ちょっとこっち来い。 どんな遊びだったのか、お前の妹と執務官補佐同行のもとkwsk聴かせてもらう。 その結果、『発症』するかもしれんが、まあそれは自業自得と言う奴だ。 [149]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:22:44 ID:6Dvi7NKY >>143 悔しいっ…… キャロ萌えなのに、動物の交尾の真似をして尻を出すキャロというシチュを思いつけなかった自分がっ……! [150]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:24:47 ID:KHguND2S >>143 オチわろたwww GJです [151]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:29:09 ID:j0wnuPYA GJ だがアレだな。日付変わってから投稿した方がよかったんじゃないか。 [152]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:30:37 ID:kaRGzxuz てっきりキャロがローソクと鞭を用意してんのとばかり…GJ [153]名無しさん@ピンキー 2008/06/30(月) 23:37:30 ID:P9xw8nuL >どの辺りがそっくりさんなのかはかなり疑問 まぁ声では納得せんわなぁw [154]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 00:22:46 ID:U2BMwpoI >>143GJ うわぁ、地味にヴァイスが最低だ。うらやましい。 オチに笑いました。 あと こ の ロ リ コ ン め ! [155]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 01:33:51 ID:xR9ymNQG >>114 遅レスだが、興奮した俺は間違いなく変態 [156]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 01:53:15 ID:fsbvZU0j >>143 GJ! 俺はむしろソープ・ロッカーに行ってみたいw [157]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 11:28:34 ID:F6+ixPo8 >>131 まあ「義」妹は結婚するにあたってたいした障害はないんだけどな リンディの許可さえ得られればOK ただ当人たちの性格がそういうの思いっきり気にしそうだからなーw 個人的にはフェイトがクロノに初恋して、クロノもまんざらでもないんだけど、 だけど最終的にはやっぱり長年一緒にいたエイミィの方を選んでしまって、 そんな大好きなお義兄ちゃんと姉のようなエイミィを、少し泣きながらも心から祝福するフェイト みたいな美しくもちょっぴりほろ苦い初恋話が読んでみたいとです 意外にこういう話見かけないんだよな [158]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 11:32:18 ID:iBD9mQgS ソープ・ロッカーw シグナムが変な丁寧語喋りながらファントムフェニックス、シャマルが「ぶちまけろ」、ヴィータが「目から○○○!」か。 ティアナが「嘘だ!」、キャロが不味い健康ドリンク作るのか。 [159]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/01(火) 11:43:47 ID:3B79heJR かなり間が空いてしまいましたが、「熱き彗星」投下よろしいでしょうか? [160]( ゚Д゚) 2008/07/01(火) 11:51:33 ID:3B79heJR 上げるわ、コテ忘れるわ……すみません。ちょっと出直してきます。今日中には戻ってきます。 [161]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/01(火) 12:48:01 ID:/xmklSsG うぜえ [162]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 13:03:06 ID:U2BMwpoI そんなこと気にせずに投下すればいいのに [163]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 14:20:44 ID:k0MOr9tJ ミッド裏通販、新商品 ★リィンのハチミツ漬け★ Dr.Sの特殊処理により 愛液が止まらなくなっておりますw 楽しみ方はあなたの発想次第! 今晩投下期待してんよ [164]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 14:34:25 ID:sqQm9jKb GJ! でも純粋なエリキャロ好きとしてはもうちょっと注意書きが欲しかった… [165]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 14:48:54 ID:tj+xvHQC >>157 クロフェ派の某サイトが同人誌で出してたぞ。 HPでは途中までしか公開してないが。 [166]( ゚Д゚) ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:10:59 ID:3B79heJR 投下行きまーす。 注意事項 ・もう捏造がモンの凄い事になっています。 ・アリサTUEEE要注意。 ・準オリキャラ要注意 ・レジアス中将はモブか悪役だと思っている方は読まない方が懸命です。 ・管理局(本局)ヘイト分がやや含まれます。 ・あぼーんキーワードは「熱き彗星の魔導師たち」 [167]熱き彗星の魔導師たち 21-01/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:11:30 ID:3B79heJR 「入るよー」  機動6課隊舎・フォワード小隊オフィスルーム。 「わっ」  無限書庫司書長、アリシア・テスタロッサが室内に入ると、室内だというのに、2つの 光の魔法陣が展開され、駆動していた。  色は何れも、優しげな緑。だが一方は真円をベースとしたミッドチルダ式で、一方は正 三角形にその頂点に円が描かれるベルカ式のものだった。 「隠蔽の方法、痕跡……転移座標追跡」  軽く目を閉じたシャマルが、呟く様に言う。 「途切れ途切れだ……でも……うん、捕まえ、た」  椅子に座って、同様に目を閉じ、しかしいくらか険しい表情をしていたユーノは、そう 言って、斜め前に向かって広げていた手を、ぎゅっと掴む仕種をする。 「本当ですか?」  シャマルが、魔術式を駆動させたまま、目を開けて、軽く驚いたように問いかける。 「なになに? 何を捕まえたの?」  好奇心旺盛そうな声が、2人の中に割って入る。 「アリシア」 「アリシアちゃん」  よっぽど集中していたのか、2人はその時になったようやく、アリシアに気がつき、視 線をそちらに向けた。 「ちゃーす」  そう、アリシアはおどけた様子で改めて挨拶をしてから、 「で、何を捕まえたの?」  と、2人に問いかけた。 「“ナンバーズ”の、転送の形跡だよ」 「えっ」  口元で微笑みながら答えるユーノに、しかし、アリシアは急に表情を険しくした。 「“ナンバーズ”……つまり、スカリエッティの居所を探ってるって事!?」 「そう言う事になりますが……アリシアちゃん?」  肯定したシャマルだったが、アリシアの態度が険しいことに、心配げに声をかけた。 熱い彗星の魔導師たち〜Lyrical Violence + StrikerS〜  PHASE-21:Beginning of the end 「おーいヴィヴィオ、こっちこっちー」 「わー、ローウェル待てー!」  ひゅるるっ、と飛来したローウェルが、振り返って声を上げる。それを、パタパタとヴ ィヴィオが追いかけてくる。  機動6課隊舎、裏手の森の入り口。 「ほんで?」  その光景を見ながら、アリサはどこか不機嫌そうに声を出した。 「あの子をここに連れてきた、と」 「うん……あの子、私から離れたがらなくなっちゃって」  なのはは、少しだけ眉を下げた笑顔で、そう答えた。 「クロノ君も、事情を話したら良いって言ってくれたし、フェイトちゃん、後見人になっ てくれるそうだから」 「ふっ、ついにCheck mateね、クロノ・ハラオウン」  なのはの言葉に、アリサはニヤリ、と、意地悪そうに笑った。 [168]熱き彗星の魔導師たち 21-02/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:11:55 ID:3B79heJR 「うー」  なのはは、抗議するように唸り、顔を紅くした。 「でも、意外だな」  なのははアリサを見て、そう苦笑した。 「何がよ」  アリサは、口元を尖らせて訊き返す。 「アリサちゃん反対するんじゃないかなって思ったんだけど」 「まぁ、あんまし外聞は良さそうじゃないけど」  アリサはそう言って、軽くため息をついてから、ヴィヴィオに視線を戻す。 「ウェンディの話じゃ、どうもスカリエッティ側がこの子と、アンタの引き合わせをした みたいなのよね」 「うん」  アリサの言葉に、なのはは頷いて同意してから、 「だからこそ、私とヴィヴィオを、離して置いた方がいい──そう言われるかと思ってた」  と、言った。  それに対し、アリサは表情を険しくして、答える。 「それが正しいかもしれない。でもそうなったらスカリエッティは次に何をしてくるか? そこまで考えたら……ガジェットならともかく、XI系(量産型戦闘機人)が相手だとしたら」 「あ……そうか」  なのはは、口元に手をあてて、視線を俯かせた。 「だったら、下手な場所に置いとくより、ここのが安全じゃない? まぁ、ユーレイみた いなヤツがいるって話だけど、ここにはそうそう、ちょっかいかけられないでしょ」 「うん……そうだね」  アリサの言葉に、なのはは軽く俯いて、答えた。  ────それに。  アリサは、口には出さずに、付け加えた。  本局に隔離しておくという手段もないではない。だが、レジアスの言う本局内の妨害勢 力、それにウェンディたちから聞いた管理局内の親スカリエッティ勢力の存在などを考え れば、それはかえって危険だ、と。  それが、ユーノと一晩話し合った結果、行き着いた答えだった。  ヴィヴィオは、ローウェルと戯れている。ローウェルも意外に子供慣れしていて、付か ず離れず飛び回ったり、逆にじゃれつかさせたりしている。  ただ、ヴィヴィオはその間も、手に持っているオフロードカーのミニカーを、離そうと しない。 「なのはママー」  ヴィヴィオの声に、なのはは蔭を振り払って、顔を上げた。 「ヴィヴィオー」  なのはが手を振る。すると、ヴィヴィオはなのはに向かって、駆け出そうとした。 「危ない!」  ローウェルが、声を出すが早いか、ヴィヴィオは、脚をもつれさせて転んだ。 「あ……うぁ……っ」  ヴィヴィオの顔は、途端に、ぐしゃぐしゃに崩れる。 「うわぁあぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」  ヴィヴィオは涙を流しながら、転んだまま泣き声を上げ始める。 「ヴィヴィオ!」  なのはは、しかし、反射的に飛び出そうとはせず、険しい顔をヴィヴィオに向ける。 「泣いててもだめだよ、自分で起き上がって」  ヴィヴィオは、一瞬泣き止み、なのはを見た。 [169]熱き彗星の魔導師たち 21-03/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:12:20 ID:3B79heJR  しかし、 「うぇえぇぇぇぇぇぇぇぇんっ!!」  再び、その場で泣き声を上げ始める。 「ちょっ、未就学児に何言ってんのよ」  アリサは、言わんこっちゃないとでもいうように言いつつ、ヴィヴィオに向かって、走 り出す。  駆け寄り、ヴィヴィオを起こした。ヴィヴィオは素直に、自分の足で立つ。 「よし、いい子だ」  言って、アリサはヴィヴィオの顔を覗き込み、笑顔を見せて、頭を撫でる。 「ほら、痛いの痛いの、とんでけ〜、ってね」  ヴィヴィオの紅くなった膝に手を当てて、おどけた様に言った。 「まだ、この歳ぐらいだと、母親って絶対的な庇護者なんだから。本当に引き取るんなら、 そのつもりでいないと」  ぼやくように言いながら、ヴィヴィオの服に付いた土を、軽くはたいて落としてやる。 「意外と過保護だね、アリサちゃん」  なのはは背後に近寄りながら、苦笑してそう言った。 「そうよ、あたしは過保護なの」  アリサは、なのはを振り返らず、そう答えた。 「もう大丈夫よね? ヴィヴィオ」 「うん」  もう一度、ヴィヴィオの頭を軽く撫でてから、アリサは、すっと立ち上がった。 「こらこら、なんて顔してんのよ」  アリサが振り返ると、なのはは、どこか沈んだような表情をしていた。 「え? あ、うん、私、そんな変な顔してた?」 「ま、母親が娘の前でする顔じゃなかったわね」  なのはの問いかけに、アリサはふ、と軽くため息をついて、そう言った。 「なのはママ?」  ヴィヴィオが、くいくいと、なのはのスカートを下から引っ張っていた。 「ん、ごめんね、ヴィヴィオ。今度はママと、遊ぼっか」 「うん!」  ヴィヴィオは、満面の笑顔になって、なのはにそう答えた。  アリサは苦笑気味に笑って、それを見ていたが、ふと、それに注視する。 「ねぇ、なのは」 「? なに、アリサちゃん」  アリサがニュートラルな口調で声をかけると、なのははヴィヴィオとじゃれあったまま、 訊き返す。 「あたし、こっちにはそれほど長く滞在したことないんだけど、ここで、そんな形の車、 発売されてたっけ?」 「え?」  なのはは、訊き返してから、車、という単語に、ヴィヴィオが片時も手放そうとしない、 ミニカーに視線を向けた。 「ああ、うん、私もこんな型は見たことないよ。って言うか、地球の旧い車に似てるよね」  なのはは苦笑しながら、そう答える。 「地球の……旧い車……」  ふと、キーワードがひっかかったのか、アリサは呟くように、言葉を反芻した。 [170]熱き彗星の魔導師たち 21-04/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:12:45 ID:3B79heJR 『お姉様ぁ〜ん』  ────スカリエッティのアジト、ウーノの執務室。  事務机の上に展開されていた非実体コンソールの脇に、小さな、やはり同じく非実体の サブディスプレイが出現すると、セミロングの髪を2つに結った、眼鏡をかけた若い女性 が姿を現し、そう告げた。 『準備、完了しましたわ〜』 「そう、クアットロ、ご苦労様」  ナンバーズの一員、No.4クアットロの報告に、ウーノはそう言って、微かに笑う。 『全て予定通りと言うわけだな』  その後に、スカリエッティの言葉が紡がれた。 『せいぜい盛大なパフォーマンスにしてくれたまえよ』  妙に楽しそうな口調のスカリエッティ。 『はぁい。しかし明日のそれは、あくまでデモンストレーションなのではありませんでし たかしら?』  それに対し、クアットロは、視線を上に向けて考え込むようなポーズをとり、訊き返し た。 『確かに。しかし彼らの目をクラナガンに貼り付けておくのも目的だからね』  スカリエッティは、クク、と笑い声を交えながら、そう答える。 『特に……そう、レジアスと、奴の配下にいる“緑の盾”の目を、一時欺かねばならん』  スカリエッティの声を聞いて、ふ、とクアットロは、表情を怪訝そうにする。 『F計画のお嬢様は、いいのかしら?』 『ククク……』  クアットロの問いに、スカリエッティは可笑しそうに、くぐもった笑い声を出す。 『彼女にここへは辿り着けんさ。そう言う仕組みになっているのだからね! もっとも、 たどり着いたとしても……それは私の本望と言うものだよ! F計画の娘をこの目に見ら れるのだからね!』  スカリエッティは芝居がかった口調でそう言うと、哄笑を上げた。  F計画──プロジェクト“F.A.T.E.”の事を、スカリエッティらはこう呼んでいた。そ の娘、つまり──── [171]熱き彗星の魔導師たち 21-05/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:13:11 ID:3B79heJR 「主義じゃないんだけどなぁ」  『チンク・エント・チンク』のステアリングを握り、クラナガン首都高速を走らせなが ら、アリサはそうぼやいた。 「しょうがないよ。地上本部では、テロ対策でAAランク以上はデバイスを持ち込めないか ら」  助手席のユーノが、諌める様に言う。  公開意見交換会。アリサは会場内警備を指示され、アグスタの時同様、小隊メンバーか ら離される羽目になった。  さすがに、ドレスを着る必要はなく、制服姿だったが。  さらにシグナムも、はやての“お傍付き”と言う形で、会場内に入る。本来補佐役はグ リフィスであるが、彼は護衛官としての能力は皆無よりはマシという程度である。シグナ ムなら最悪徒手空拳でも無力と言うことはない。  付け加えるなら、グリフィスはここ数日、地上本部のデータストレージセンターにカン ヅメにされていた。オットーが一緒にいることがせめてもの救い、といったところか。 「それじゃあ、外の警備、よろしくね」 「うん、それは任せといて。レンもいるしね」  アリサが苦笑気味の笑顔で言うと、ユーノもまた、同じように苦笑しながら、答えた。  車は首都高速の環状線のインターチェンジを下りる。一般道からは交差点ひとつで、地 上本部のロータリーに入る。そこから、地下駐車場へと進む。  続いて、管理局制式の73式多用途車が入る。クロスオーバータイプのオフロード車で、 幌型の1台をはやてが公用に乗り回していたが、今回のはロングボディの8人乗りワゴンで ある。 「総員、降車ァ」  助手席から出てきたレンが言うと、小隊メンバーの4人が、後部座席から降りてくる。 「整列」  再びレンが言い、小隊ごとの縦列で、アリサの前に正方形に並んだ。 「確認。第1、第2小隊とも配置は地上本部本棟正面玄関前。あたしとシグナムは建物内に 入るので、それぞれ副隊長の指示で動くこと。基本的に動くのはロストロギア関連か、戦 闘機人が現れた時のみ、それ以外は陸士隊の要請がない限りは待機。個人行動は生理的欲 求の処理を除いて厳に戒めること。以上!」 「了解」  階級が一番高いウェンディが、復唱の声を出す。  全員直立不動の体勢だが、スバルだけは、アリサから視線を逸らしていた。 「行動開始!」 「了解!」  アリサが言うと、ユーノ、レンを含めた6人全員が、小走りで目的の場所へ向かった。 『あーあ、なんか、今日は退屈そう』  6人が去った後、アリサの胸元で、そんな気だるそうな声が聞こえてきた。 『早く事件でも起こらないかしらねー』  その声は、アリサの自身そのものだったが、当のアリサは、周囲をキョロキョロと確認 すると、首から2つ下げているペンダントのうちの一方を鎖を握って持ち上げた。 「黙りなさい! 縁起でもないこと言うんじゃないわよ」  涙滴型の、オレンジ色の宝石のようなペンダントに向かって、そう言って睨みつける。 『だって、退屈そうなんだもん』  ペンダント──デバイス『ホーンテッドクリムゾン』こと、アリサ・ローウェルは、拗 ねたような口調でそう言った。 [172]熱き彗星の魔導師たち 21-06/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:13:36 ID:3B79heJR 「それがいいのよ、今日は。何事もなく終わってくれれば」  アリサは、ペンダントの鎖を離し、不機嫌そうな表情のまま、ため息混じりに言う。 『こんなことなら、ヴィヴィオと遊んでればよかったなー』 「ほーぉ、デバイスが主人放って子供と戯れたいですと」  アリサのこめかみに、青筋が浮かんだ。 『It’s an unbecoming utterance as a device』 『ぐ、レイジングハートまで……』  それまで沈黙を保っていたレイジングハートだったが、さすがに呆れたのか、デバイス にあるまじき発言です、とたしなめた。  アリサは盛大にため息をついてから、エレベーターホールへと向かった。 [173]熱き彗星の魔導師たち 21-07/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:14:07 ID:3B79heJR  厳かに始まったかに見えた公開意見交換会だが、トップバッターである陸士総隊・地上 本部代表であるレジアスがその口火を切ると、報道が入っているにもかかわらず、激しい 口調で、現在の窮状と予算増額、増員を求め始めた。 「各管理世界の治安、わけても管理局の根幹を支えるここミッドチルダにおいてその重要 性は、管理局全体の正常かつ円滑な運営に対し重大な影響を及ぼす物であり、その維持に おいて資金及び人的資源の投入はどれだけの規模を持ってしても多すぎるということはな い! 然るに、現状の管理局は、地域紛争、次元犯罪、大規模破壊活動といったきわめて 闊大なる事件、事象にへの対抗に偏重し、なおかつ実力行使部隊である次元巡航警備部に その予算と人的資源の多くを投入し、我々陸士総隊は常にこれらの不足に喘いでいる。加 えて、先頃提案した人的資源の質的補完策であるプロジェクト・アインヘリアルは本局側 の強烈な反対に逢い事実上頓挫する形となった! この為、現在“次善策”にて応急的に 能力の維持を図っているが、限界がある! 小官は先述した事件、事象の解決への努力を 否定する物ではないが、しかし! ミッドチルダを始めとした各管理世界においての治安 維持活動は、末端から連鎖的に大規模な犯罪が発生することを抑止すると同時に、居住都 市圏の安全を確保することにより、これらを未然に防ぐ意味でも重要な意味を持つと考え る。そして、以上の理由から、我々が今回提示する予算増額案と増員案が受け入れられな ければ、小官は今後の時空管理局の円滑な運営を支えることは保障できないと言わざるを 得ないのである」  きわめて攻撃的なレジアスの演説が終わった後、今度は具体的なデータの提示が開始さ れる。レジアスの脇に座るオーリスがコンソールを操作し、メインスクリーンにグラフが 表示された。 「はぁ、レジアス中将も相変わらずやな」  会議室内でオブザーバー席に座っていたはやては、行儀悪く両腕で肘をつき、苦笑混じ りにそう言った。 「まぁ、あの御方が考えられるのはこの程度が限度でしょう」 「せやな」  傍らに控えるシグナムが、静かに言うと、はやいてはにたっと苦笑して、そう言った。 [174]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 15:14:09 ID:k0MOr9tJ 私怨だ! [175]熱き彗星の魔導師たち 21-08/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:14:35 ID:3B79heJR  同時刻──地上本部、最上階から1階下。機械室。  ゴウンゴウンと、大口径のファンが低速で回っているのが見える。  その室内の床から、すう、と、青いボディスーツ姿の人影が、浮き上がるようにして現 れた。  その身体と同じだけの大きさのありそうな、ボンベを抱えている。 「へへっ、襲撃の想定はしてても、さすがにいきなり中心部に入られるとは思ってなかっ たみたいだね」  ナンバーズNo.6──セインは、鼻の下を指で擦りながら、おどけたようにそう言った。 「さて、それじゃぁ……」  ボンベのホースを、ファンの吸気に向けると、ボンベのバルブを一気に緩めた。気化熱 で霧を纏いながら、放出されたガスが、空調の送風路に送り込まれていく。 「みんな、おやすみなさーい」  治安維持組織であれば、BC兵器に対する備えもなされていて当然だが、これほど大きな 建物となると、完全な対策は困難である。外気と屋内の接触を遮断する設備はついていた が、循環系を浄化するシステムは装備していない、と言うよりそもそもコストと規模の面 で不可能に近かった。  クラナガンは初夏であり、全館空調は基本的に冷房である。冷気は対流現象によって下 方へ向かうので、集中冷房の場合、その送風は建物の最下層に集中することが多い。  データストレージユニットが並べられたその部屋は、この建物の地下に存在していた。 「!?」  オットーは、グリフィスと共に、非実体コンソールの前で作業をしていたが、突然、何 かに気付いたように、天井を見上げる。 「……どうしました?」  目の下にクマを作り、やつれかけたグリフィスは、しかし、オットーの表情に緊張が走 ると、自分も表情を引き締め、訊き返す。 「ガスだ!」 「えっ!?」  グリフィスが訊き返すが早いか、オットーはポケットに持っていたハンカチで、グリフ ィスの口を塞ぐ。 「気休め程度だけど、こけで口押さえてて」  グリフィスにそう言いつつ、オットーは口腔に軽く貯めるように吸い込む。 「致死性を狙ったガスじゃない……良かった」  オットーはまず傍らにいるグリフィスの事を考え、そう言って胸を撫で下ろしてしまう。 「って、そうじゃないっ!!」  キッ、と表情を引き締めなおす。 「モンスーン、起動、システムチェック」 『System Check No Problem, Boot up』  オットーの、左手の中指に嵌められたプラチナ色のリングが、ストレージデバイスのシ ステムボイスを返す。 『Barrier Jacket Deployment』  青いぴったりとしたシャツの上に、白いショートジャケット、ジーンズ風の長ズボンの、 バリアジャケットが展開される。 『Round Guarder, Extend』 「オットー!?」  デバイス『モンスーン』の声と共に、グリフィスを中心として、ドーム型の光学防壁が 出現した。 [176]熱き彗星の魔導師たち 21-09/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:16:07 ID:/5Nlr/De 「悪いけど、グリフィスはそこから動かないで。ガスの効果も遮断されるし、攻撃もよほ どの物以外は防ぐから」 「えっ、オットーは?」  グリフィスが訊き返すと、オットーは、 「上の様子を……」  見てくる、と言いかけたとき、ズン、と、短く重い振動が、天井の更に上から響いてき た。 「行ってくる」 「無理しないで!」 「解ってるよ」  グリフィスの声に、オットーは、一度立ち止まって振り返り、答えてから、データスト レージセンターを出た。 「今のは爆発物……」  エレベーターは停止していた。階段を超人的な速度で駆け上がる。 「もっと、上層か、まさか!?」  オットーの“悪い推測”は、的中してしまっていた。  ガスの種類は、非致死性の催眠ガス。もちろん化学物質である以上、厳密に致死率はゼ ロでは無いが、健常者であれば、問題はない。  それが確認されるや否や、公開意見交換会が開かれていた大ホールでは、ガスを排出す る為、防火シャッターを下ろし、排煙装置を作動させた。  参加者達はとりあえずはわが身の安全に、一瞬緊張が緩んだ。  その瞬間。  ズドォンッ  ホールの壁が、外部から爆発物によって吹き飛ばされたのである。  即死者こそいなかったが、飛び散った壁の破片で、負傷者が出た。直ちに搬送しなけれ ばならない者もいた。 「なっ、なんて事だ、こんな、派手な……っ」  レジアスは一瞬、愕然として、破口をを見つめていたが、それもすぐに我に返る。 「陸士隊! 動ける物は要救助者の救助を行え!」  手を上げ、命令する。 「だが、このままでは、重傷者の搬出もできん……っ」  ギリ、と奥歯を鳴らす。 『Divine Clasher』  ズドンッ  下ろされていた防火シャッターのひとつを、オレンジ色の閃光が吹き飛ばした。 「みんな、だいじょう……ぶじゃないわね、これは」  駆け込んできたバリアジャケット姿のアリサは、一瞬、室内の惨状に身を引きかけた。 「バニングス!」 「あっ、シグナム!」  シグナムが声を上げると、アリサもその位置を確認した。 「これっ!」  シグナムに向かって、アリサは手に握っていた、待機状態のレヴァンティンを投げた。 「かたじけない!」  シグナムは言い、右手でレヴァンティンをキャッチした。 「レヴァンティン!」 『Ja, wohl』  制服姿だったシグナムも、一瞬にして騎士甲冑を展開する。 [177]熱き彗星の魔導師たち 21-10/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:16:36 ID:/5Nlr/De  その時、アリサは、飛行魔法を駆って、破口から飛び出していた。僅かに出たところで、 周囲を探る。 「ち、もういないか……」  建物は、公開意見交換会が開始される直前まで、繰り返し厳重に点検されている。爆発 物をセットするとしたら、それが開始されて以降だろうと推測したが、あからさまにそう 思わせるモノは存在しなかった。 「でも、その方が好都合だわ」  そこまでは、呟くように言ってから、 「シグナム、先に負傷者を運び出すわよ!」  と、まだ室内の床に立っているシグナムに向かって、声を張り上げた。 「ああ、そうしよう」  シグナムも同意の声を上げる。  その時──────── [178]熱き彗星の魔導師たち 21-11/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:17:04 ID:/5Nlr/De  オットーは、本来の持ち場である有事情報管理センターへと向かって、階段を駆け上が る。昏睡し倒れている局員を上手く避けつつ、廊下を駆ける。  センターの設置されている部屋の前にたどり着く。反射的に、まずは自動ドアの開閉ボ タンを叩いた。  だが、肝心のドアは、反応しない。 「ドアの動力が死んでる!?」  口に出してしまいつつ、無理もないか、と判断すると、停電時用の取っ手に手をかけて、 力任せに開く。  空気圧が抜けて動力が完全にニュートラルになるまで、若干時間を要する。その間、ド アを人力で開閉するのはかなり重たいのだが、オットーはそれを勢い良くバンッ! と開 いた。 「くっ、遅かったか!」  室内の局員は、ガスによって昏倒してしまっている。問題は、情報の収集・指令を行う システムの機器が、鉈か斧のようなものでメチャクチャに破壊されている事だ。この場所 の機能は完全に喪失されてしまっている。 「ガスといい、こうも手際よく……これは、セインか!」  ここへ来て、ついに、常にニュートラルに近いオットーの表情が、一気に歪んだ。  しかし、事態は待ってくれはしない。  ズドドドドドドッ 「なっ!?」  地響きのような振動。 「今度は、地下!?」  オットーが呟いたのとほぼ同時に、室内の照明が落ちた。  この地上本部も、この種の建物の例外ではなく、外部から供給されるライフラインの出 入り口は、地下に集中坑を設けて通している。そこを破壊されたのだろう。  非常照明用のバッテリーと発電機が備えてあるが、全館を賄う余裕はない。それにこれ らも地下に設置されている。非生命体を透過する能力『ディープダイバー』を持つセイン がいるとなると、それらも無事かどうか。 「もう、ここにいてもしょうがない、なら!」  オットーは踵を返すと、開かれたままの扉から、再度外へ飛び出して行った。 [179]熱き彗星の魔導師たち 21-12/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:17:27 ID:/5Nlr/De 「な、何が起きているの?」  アリサは、重力制御で瓦礫を撤去し、要救助者の救助と搬出に当たっていた。しかし、 再び轟いた爆発音に、顔をしかめる。 「今度は、地下で爆発が起こったようだ」 「なんですって!?」  シグナムが推測を声に出すと、アリサは反射的に、声を上げる。  しかし、この場を放り出すわけにも行かない。 『ユーノ、そっちはどうなってるの!?』  地上にいるはずのユーノに向かって、アリサは念話を飛ばす。 『今、地下駐車場! ガジェットと、XI型が出てきてる』 「なっ!?」  アリサは、思わず声に漏らしてしまった。  シグナムが、そのアリサを注視する。 『だ、大丈夫なの!?』 『爆発の混乱で、混乱してる。でも、何とかなりそうだから……アリサは、そっちに専念 して!』  アリサが訊き返すと、ユーノはそう答えてきた。 『解った、頼んだわよ……ユーノ』  アリサは口惜しそうに歯がみつつ、ユーノにそう伝えた。 [180]熱き彗星の魔導師たち 21-13/12 ◆kd.2f.1cKc 2008/07/01(火) 15:18:30 ID:/5Nlr/De >>167-173,>>175-179 今回は以上です。  オットーの性格が違う………… [181]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 15:35:02 ID:Z3MD+Lo3 GJ しかし、はやてやシグナムはレジアスを下に見てるなぁ [182]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 17:41:13 ID:MkqOz1JO >>163 電話番号を教えて下しあ 注文出来ません>< [183]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 18:51:49 ID:EuLzo4yY >>180 GJ 撹乱戦は傍から見てて楽しいなぁ [184]562 2008/07/01(火) 20:10:27 ID:6DSQVAUy 今夜は静かだな……だったら投下させていただきます。 注意事項 ・一応は1期の再構成になります ・高町家がアニメより、原作に近い設定になってます ・非エロだけど、百合注意 ・タイトルは『魔法少女リリカルふぇいと』 [185]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:12:03 ID:6DSQVAUy もうヤダ! こんなお手伝い、もう止める! ……と言いたい所ですが、すでに手遅れだよね。 きっと今頃、あの子は私を殺そうと……どうしよう? もう、あんな手は使えないし、本気で殺る気できたら。勝ち目無いよ。 と、とにかく、暫くの間は大人しくしておこう。 ジュエルシードが発動しても……スルーする。 ノコノコ出て行って、あの子とバッタリ! なんてなったら、バッドエンドだし。 技に目処がつくまでは、学校と家の往復だけ。 健全な小学生らしい生活を送ろうと思います。 それでは、消極的な気分で、魔法少女リリカルふぇいと、始ります 第6話 理解できない気持 [186]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:13:06 ID:6DSQVAUy 「って、ことで、わたしは、あの子に会いに行きたいと思います」 ここは、なのは達が借りているマンションの一室。そこで、なのはが今後の目的を宣言する。 「まず、会って、名前も知らないし、自己紹介して、それでデートに誘おうと思うの」 「うん。さすが、なのは。素敵なプランだ」 “話し合い”の結果、なのはとフェイトの仲を認めたアルフが同意する。 だが、彼女には、このプランの欠点を見つける。 「でもさ、どうやって会うの?」 「そう。そこが問題なの。どうやったら会えると思う?」 「う〜ん……今までジュエルシードを集めている最中に会ったから、ジュエルシードを集めてたら  その内、会えるんじゃない?」 「う〜ん、消極的だなぁ……だって、それだと何時会えるか分かんないし」 『マスター、ワタシに名案があります』 「ん? なになに?」 アルフは、レイジングハートのいう名案に不安を感じる。 『餌で誘き寄せるのです。ジュエルシードを発動させましょう』 「おお! なるほど!」 「待て待て待て!」 やっぱり、碌なことを言わなかった。 『何か問題が?』 「問題が? じゃ無い! そんな事したら大事になるだろ!」 『望むところです』 「アタシは望んでない!」 「え? アルフは嫌なの?」 「あ、あのね……」 これはヤバイ雰囲気だ。なのはが、その気になっている。ここは上手く説得しなくてはならない。 [187]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:14:10 ID:6DSQVAUy 「あ、あのね……プレシアが言ってたろ? あまり派手にやりすぎて人様に迷惑かけるなって」 「そ、それは……」 プレシアは、なのはを送り出す前、この娘の暴走で管理局に目を付けられたら面倒だと考え、 釘を刺しておいたのだ。 『まったく、あの方にも困ったものです。ワタシを作った当時のあの方は、もっと輝いておられた。  それに比べ、今の落ちぶれよう』 「アンタは黙れ」 「レイジングハート、お母さんの悪口言っちゃダメ!」 さすがのレイジングハートも、なのはにまで怒られて黙り込む。 「まあ、レイジングハートは無視して、他の手を考えよう」 「うん」 『お、お待ちください!』 マスターに無視されるのは堪える。何とか他の名案をと考え、別の手を考える。 『そ、そうです。学校です』 「ガッコ?……何それ?」 『はい。ワタシが仕入れた、この世界の知識によると、この世界では、マスターくらいの子供は  みんな学校というものに通ってます』 「そうなんだ?」 「うん。たしかに、なのはくらいの歳だと、この世界では学校に通うのが普通なんだ。  だから、昼間は、あまり出歩かないでくれって言ったんだよ」 なのはが、昼間出歩いていたら、補導の対象だ。危険すぎる。 もちろん補導する相手がだ。 「へぇ……」 『そこでです。あの金髪の少女は、マスターと変わらない年齢のはず。ならば普段は学校に  通っているでしょう』 「じゃあ、その学校に行けば!」 『ハイ。マスターの伴侶がいるはずです』 [188]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 20:15:09 ID:tYq9DZOK >>143 GJ!! ヴァイスてめえええええ!!! この後ティアナを寝取り返すエリオを幻視した [189]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:16:11 ID:6DSQVAUy ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇ 「うっ!……何? 今の悪寒は?」 フェイトは唐突な悪寒に震え、辺りを見渡す。 あの温泉から帰ってきてからというもの、度々だ。 「フェイト、帰るわよ……って、どうしたの?」 「いや、ちょっと寒気が」 「また? フェイトちゃん、温泉旅行から帰ってきてから、ずっとだよ?」 「そうね。風邪でもひいたのかしら?」 「風邪はひいてないから大丈夫」 多分、命を狙われてるからだよとも言えず、大丈夫だと誤魔化しながら教室を出る。 「ところで、今日は寄り道しない?」 「私は良いけど……」 「ゴメン……その……」 「何? 今日も訓練?」 「うん」 アリサとすずかには、魔法の事は教えていないが、御神流のことは伝えている。 すずかに関しては、姉が恭也と付き合っている関係で、フェイトより高いレベルの戦闘を見たことが あるし、アリサも将来はフェイトを専属のボディガードに雇おうなどと、本気で考えてる始末だ。 その点では、フェイトの最近の行動に関しても、修行の一環だと思って、深くは考えていないので、 下手なウソを吐かずに済んで助かっている。 「あんまり、無茶すんじゃないわよ」 「そうだよ……」 「うん。ありがとう」 優しい友の言葉にフェイトの心は温かくなった。 ……が、学校を出た瞬間、一瞬で氷点下になる。 [190]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:18:00 ID:6DSQVAUy 「見つけた!」 「こ、この声……」 幻聴だ。そうに決まっていると自分に語りかけるが、視界に入ったものが、それを否定する。 何時もの白いバリアジャケットでは無い。トレーナーとミニスカート姿の何処にでもいる女の子の 格好をしているが、間違いなくアレだ。 「ようやく会えた♪」 「あ……」 そう言いながら真っ直ぐに近付いてくる。 どう考えても逃げられない。もし、逃げられたとしても、一緒にいるアリサとすずかは? フェイトの代わりに攻撃される可能性がある。いや、そんなのは自惚れだ。彼女が、その気なら、 もう自分は死んでいる。生きているのは、何か理由があるのだろう。 もしかしたら、嬲り殺しにされるのかも知れない。 そして、目の前まで来ると、そっと花束を差し出し…… 「結婚してください!」 「「「はい?」」」 ナンカイッタ……相変わらず理解できない少女だ。ちなみにアルフがいたら予定と違うとツッコム ところだ。 そして、今日はアリサとすずかが一緒だった。2人とも呆然としてフェイトとなのはを見比べる。 「フェイト……知り合い?」 「結婚って?」 「いや、その……何て言うか」 本当に何だろう? もう理解の範疇を超えている生き物だ。その生態を説明しろと言われても困る。 それ以前に、何で殺気を感じないのに、例の悪寒は感じてるのか…… 「これが原因か」 フェイトは、ゲンナリとして呟く。 [191]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:19:07 ID:6DSQVAUy 「ねえ、ちょっと、アンタ何なの?」 「ん?」 パニックに陥っているフェイトを見かねたのか、アリサがなのはに突っ掛かる。 だが、それは危険だ。案の定、なのはの表情が変わる。 「誰?」 「それはこっちの台詞よ!」 「ああっ! ちょっと待ってアリサ!」 この2人はヤバイ。最悪の組み合わせだ。 歩く火薬庫と言える少女に、炎の少女バニングス。爆発するのは必然。 2人を引き離すためにも、怖かろうが、フェイトは彼女と2人だけで移動する必要がある。 「あ、あの……場所、変えようか?」 「うん♪」 「ちょっと、フェイト!」 「大丈夫だから……じゃあ、また明日ね」 フェイトは、翌日アリサとすずかに会うどころか、明日の朝日が拝める自信は無かった。 だが、それでも、笑顔で別れを告げる。 「フェイト……」 「フェイトちゃん……」 見知らぬ少女と並んで去って行くフェイトの背中を見送り、アリサとすずかは友の名を呟いた。 後に2人は語る。 あれは死に行く漢の背中だったと ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇ [192]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:20:10 ID:6DSQVAUy ユーノは、フェイトの部屋でノンビリと転がっていた。 これで良いのかと疑問に思わないでも無いが、何しろやる事がない。 少し前までは、白い魔導師の監視とジュエルシードの捜索があったが、現在はそれすら中止状態だ。 下手に動くのは危険だと、ユーノも認識している。今はフェイトが強くなるのを黙って待つしか なかった。 『ユーノ』 そして、おやつでも食べようかと思っていると、フェイトから念話での通信が入ってきた。 『フェイト? どうしたの?』 『今ね。あの子と一緒なの』 『あの子?』 『例の白い……』 『な、な、な、なんで!?』 青天の霹靂とはこのことだろう。 彼女と会うのを避けるために、移動は学校と家の往復だけにし、後はひたすら訓練に費やしてきた。 それも、全ては彼女に勝つため、生き延びるために。 『そ、それで、何て言ってきたの?』 『それが……プロポーズされた』 『は?』 何がどうなって、そうなるのか? ユーノは思考をフル回転させて回答を導こうとするが…… 『ゴメン、僕、これからおやつの時間だから』 『待って! おやつどころじゃないよ! もう、いいから来て!』 『な、なんで!?』 何て理不尽な事を言うんだろう。あの子とは関わりたくないのに。 『今の態度にムカついた』 『ゴメン。謝るから』 『拒否すれば、家まで押しかけるから!』 [193]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:21:42 ID:6DSQVAUy この家は君の家だと言いたかったが、今の様子だと、すでに錯乱してるようだ。 気は進まないが、このままだと本気で家に連れてくるだろう。 『と、取りあえず向うから』 『よろしく』 それを最後に念話を終えると、ユーノは溜め息をついた。 行くのは怖いが行かなくてはならないだろう。 「その前に」 ユーノは用意されていた、おやつに口をつける。 これが最後の晩餐になるかもしれないのだ。ゆっくりと味わいながら食べる。 心の何処かで、やっぱり来ないで良いよと連絡が来ないかなと祈りながら…… ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇ 「ねえ、さっきから誰と念話してるの?」 「え!?」 フェイトは、念話のことを聞かれ、どうするか少しだけ悩んだが…… 「ほら、ユーノ……あのフェレットを呼んだんだ。会いたいよね?」 「うん♪」 あっさりとユーノを売った。もう形振り構っていられない。 そして、ファーストフードでドリンクを買って向き合う。 最初は、人気のない公園にでもと思ったが、周囲に人がいないと逆に怖かった。 「それで、え〜と……」 「自己紹介が、まだだったよね。わたし、なのは。なのは・テスタロッサ」 「その……高町フェイトです」 「うん。フェイトちゃんだね」 [194]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:22:44 ID:6DSQVAUy 急にモジモジしだした。頬を染める仕草は女の子のものだ。 「フェイトちゃんか……す、素敵な名前だね」 「……あ、ありがとう」 だが、何だ? この甘ったるい雰囲気は? フェイトの全身に嫌な汗が滲み出す。なぜ、同性と甘い空気を纏わなくてはいけないのだろう? 周囲から好奇の視線を感じる。 何とか、空気を変えようと思うが、そもそも何を話せば良いのか分からない。 「あの、フェイトちゃんは……ご趣味は?」 良いタイミングで、なのはの方から話題を変えてくれた。 ここは、無骨なイメージでドン引きを狙う。 「はい。武術の訓練です」 「そうなんだ。わたしも魔法の訓練なんだ。気が合うよね♪」 「そうだね……って、あれ?」 何か、気に入られた。しかも、お見合いっぽくなってる。 もう嫌だ。いっそ、ジュエルシードが発動してくれないかと本気で願った。 「あ、そうだ。わたしデートでやりたい事があったんだ」 「で、でえと?」 何時の間にデートになったのだろうと思うが、口には出せない。 そして、何をやりたいのかと考えながら、なのはを見ていると、先ほど買ったドリンクの紙コップの 蓋を開けると…… 「えへへ♪」 ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇   ◇◇◇ [195]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:23:47 ID:6DSQVAUy ユーノは、フェイトの元に向っている途中で異変を感じた。 「ジュエルシード? クッ!」 かなり異様な力を発している。このままだと、大きな被害が出かねなかった。 ユーノは慌てて結界を張って、周囲に被害が出ないようにすると、ジュエルシードを探し出す。 「こっちだよ」 「え?……うわっ!」 ユーノが声に反応し、そちらを振り向くと、先日追っかけられた狼型の使い魔がいた。 逃げようと、後ずさりすると、狼形態から人型に変身して一点を指差す。 「襲いやしないさ。それよりアレ」 そこには、今にも発動しそうなジュエルシードが…… 「な、なんか、禍々しい感じが?」 「アンタも、そう思う?」 目の前にあるジュエルシードは、何か何時もと違う。こう触れてはならない危険性が増した感じだ。 「アルフゥ!」 「なのは」 「フェイ……ト?」 どう手を出せば良いか悩んでいると、なのはとフェイトがやってきた。 仲良く(?)手を繋いで。 その姿を、すっかり2人の仲を応援する気になったアルフが褒め称える。 「うん! お似合いだよ! なのは!」 「えへへぇ〜♪」 「デートは楽しかったかい?」 「うん。えっとね、ファーストフードで、1つのドリンクを、2つのストローで飲んだよ」 「お! 恋人の定番じゃん」 [196]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:25:29 ID:6DSQVAUy たしかに、1つの容器に入った飲み物を2つのストローで飲むのはバカップルの定番だが、 それをファーストフード店でやったらしい。しかも、女の子同士で。 相当辛かったのだろう、フェイトの目が死んでいる。 「あの、フェイト……」 「………………………………」 ユーノが呼びかけるが、反応が無い。だが、異様な負のオーラを発している。 そう。それは目の前のジュエルシードと同調していた。 (こ、これが原因か) どうやら、この異様な反応を示すジュエルシードは、フェイトの魔力に反応したようだ。 「それで、なのは……ジュエルシードなんだけど」 「うん。回収しようか」 『お、お待ちください。アレは何か変です!』 いくらレイジングハートでも、こんな怪しげな物体を体内に入れたくはなかった。 「う〜ん、たしかに様子が変だね」 『その通りです。ここは少し様子を見ましょう』 だが、レイジングハートは大事な事を失念している。自分の主が、なのは・テスタロッサである事を。 なのはは、ジュエルシードに近付くと、試すようにレイジングハートで叩いてみる。 「ていっ!」 『マ、マス……』 レイジングハートの悲鳴と共に、辺りを眩い光が包み込んだ。 続く [197]魔法少女リリカルふぇいと 2008/07/01(火) 20:26:39 ID:6DSQVAUy 投下終了です ついにレイジングハートに天罰(普通に人災です)が下された。 アリサとケンカしないので、今回は短く出来たけど、次は長くなりそうです。 なのはの里帰りから、戻ってからの戦闘、クロノ登場まで外せないイベントがある上に 壊れたフェイトを復活(?)させる学校での出来事とか書く事が多すぎる。 遅くなるかもしれませんが気長にお待ちください。 [198]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 20:28:32 ID:98G9SPCe >>197 リアルタイムGJ!相変わらず、なのはさんの思考回路はいい感じに捩じ切れてますなwww そして、なのはと一緒に逝くフェイトの姿にはドナドナがよく似合うに違いない!ファイトだw [199]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 20:37:25 ID:AAdCYJns >>197 なのはさんwwwww フェイト受難過ぎてワロタ レイハさんも気の毒に・・・ GJでした! [200]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 20:59:29 ID:4CBPCP7Z >>143 キャロがバックでおねだりだと!? カワユスなぁ……遅いながらもGJ! >>196 このなのはさんはある意味過激だww [201]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 21:42:56 ID:U2BMwpoI >>196GJ! なのはさんフリーダムですね ところでユーノ、素でパートナー見捨てようとするなよww 本当に「基本的にはよい子」なんですか?ww [202]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 21:46:49 ID:XPheIYn5 >>196 GJ!おもしろすぐるw >>201 お互い様じゃね?フェイトもユーノ売ってるしwww [203]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 21:55:39 ID:x/WLB1nG >>196GJ! フェイトの受難はどこまで続くのか・・・・・ これはあれだな、早くユーノを人間形態にして受難に巻き込むしかフェイトの苦労を軽減するすべはないな!! [204]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 22:01:20 ID:sD6Bg/jC >>196 正直、このなのはの相手がフェイトでよかったとはやて好きは思った …是非A'sでも暴れるところまで書いて欲しいwww [205]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 22:07:52 ID:MUCNSan7 わたしの嫁に何するの? と、シグナムに砲撃を入れるなのはを幻視した。 [206]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 22:08:33 ID:zWMOz+1b >>204 「この」フェイトだと、ヴォルケンとの初見で瞬殺されかねんw [207]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 22:23:32 ID:p96mfRMF >>206 その後、ヴォルケンは「この」なのはに滅殺されそうだがw 控室でヴィータが涙目になっている姿を幻視した。 「死ぬ、私7話(砲撃される回)で絶対死ぬ!」 [208]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 22:36:29 ID:zWMOz+1b そして「闇の書」事件無事解決。 ………あれ? [209]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 22:40:50 ID:Z3MD+Lo3 というか、悪魔呼ばわりされるのはどっちになるんだ? 原作だとなのはにヴィーダが襲うが、この話だとシグナムがふぇいとを襲うのか? [210]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 22:44:45 ID:9qjerZdx どっちにしろ助けに来た時 「仲間か!?」 「嫁だ!」 って応えそうだな、あれ逆か?そして必死に訂正するふぇいと [211]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 22:45:03 ID:zWMOz+1b >>209 A's冒頭、フェイトのピンチを助けに来たなのは! シグ「誰だお前は」 なの「フェイトちゃんの許婚なの…」 フェ「(ぼそっ)……あ……あ…くま……」 [212]名無しさん@ピンキー 2008/07/01(火) 22:56:55 ID:qW+OcdeC >>210 さてはキサマ、RAGさんとこの回しもんだな? [213]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/01(火) 23:02:25 ID:m2588JW1            ∧_∧                        (; ´∀`)           ______/| ヽ  l ヽ______  (∋     /  v   \|  ヽ      ∈)    ̄ ̄ ̄ ̄|  /     l    人 | ̄ ̄ ̄        / / ヽ ー   - / \\       / /  |    |   |   \ヽ      / /   ヽ       |     \     //    /  □■□■□■□■□■    /     |    ■□■□■□■□■□   /     /    / ヽ    \       | | ../     /    /   \    \     | | /   /    /       \   \    .|  | |   (    く          )   )   |  | |    \   \       ./   /   |   | |    \   \____/  /.    |   /  | _――-\  \   /  /-――___| /   |/   ⊂⌒__)  (__⌒つ    |/ [214]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 00:23:48 ID:YhPoPpdU >>143 エリキャロキタと思ったらとんでもねえ機雷付きだったww いやー、GJでしたよ!! >>197 おおう、こんな背徳感とは無縁の百合も久々だ…w(褒め言葉 このなのはさんはこのまま無責任に突っ走って欲しい。 GJっした。 [215]B・A 2008/07/02(水) 01:14:49 ID:KH9jB4pn 今は投下大丈夫ですか? [216]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 01:19:17 ID:WjwggvNI おk おkだ [217]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 01:19:34 ID:YqHw5htN >>215 よっしゃ来〜い!! [218]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 01:20:27 ID:jLcurgc1 おk でも毎回確認しなくてもいいんじゃない? 投下したい時にパパッと投下する感じでさ 前は大多数がそうだったと思うし [219]B・A 2008/07/02(水) 01:24:06 ID:KH9jB4pn >>218 割り込み防止になるかなと思ってやっているんです。 まあ、僕なりのスタンスみたいなものです。 注意事項 ・B・A版エリルー時空のお話 ・主人公はヴィヴィオ ・オリキャラが出ます ・非エロです ・sts本編から11年後の物語 ・フェイトが天寿を全うしております ・その他かなりの捏造多し ・タイトルは「Das Erbe zur Zukunft」 意味:未来への遺産 ・スーパー演説タイム ・エリオ、またしても・・・・・・・ [220]Das Erbe zur Zukunft@ 2008/07/02(水) 01:27:00 ID:KH9jB4pn 第14話 「想い、この身に込めたなら」 抜けるような青空とは対照的に、眼下に広がる錆色のドームは形容し難い恐怖感を振りまきながら膨張していっている。 その光景はまるで、巨大な胃袋の化け物が街そのものを飲み込もうとしているかのようだった。 その上空、空と陸の境界線ともいうべき場所で二人はお互いの顔を見合っていた。 片や、己の犯してしまった過ちを悔やみ、もう一度やり直すために。 片や、愛する人の障害を排除し、己の理想を実現させるために 譲れぬ思いを胸に秘め、ヴィヴィオとセリカは対峙していた。 「セリカちゃん・・・・・・・」 「・・・・・・・」 セリカは答えなかった。美貌を憤怒で歪ませ、手にしたRHを油断なく身構えている。ユーノの言う通り、彼女は自分と話をする気もないようだ。 ちょっとでもおかしな真似をすれば、即刻撃ち落とされる。いや、もうそうしようとしているのかもしれない。 だから、思うよりも早く体が動いていた。 お話をする前にやらねばならないこと。 戦う前に済まさねばならないこと。 自分の犯した過ちにケジメをつけること。 後悔を懺悔で塗り固めないために。 「なっ!?」 セリカからすれば、正気を疑う行動だったであろう。だが、ヴィヴィオからすればそれは至極真っ当な理屈であった。 その昔、古代ベルカではこのような逸話があったという。 『和平の使者は、槍を持たない』 ヴィヴィオは正に、それを実践してみせたのだ。 「正気? 敵を前にして、デバイスを待機モードにするなんて」 「本気だよ。私はまだ、セリカちゃんと戦うって決めたわけじゃない。私がここに来た理由は、たった一つ」 毅然とした佇まいに、RHを握るセリカの手に嫌な汗が滲む。 何かを企んでいる。不意を突く気でいるのなら、今の内に叩いておいた方が賢明かもしれない。そう思ってRHの柄を握り直し、その先端を改めてヴィヴィオへと向ける。 その瞬間、ヴィヴィオは何の躊躇もなく体を二つに折った。 「ごめんなさい!」 「・・!?」 敵を前にして武器を手放し、無防備にも視線を逸らして頭を垂れる。理解し難い行動に、セリカは片頭痛すら覚えた。 「あんた・・・・・」 「謝って済む問題じゃないってことはわかっている。何を言っても言い訳にしかならないこともわかっている。 私は何もわかっていなかった。セリカちゃんとは親友だから、わかりあえているものだって疑わなかった。けど違ったんだ。 セリカちゃんの悩みも、苦しみも、怒りも、何にもわかっていなかった。知ったような振りをして、呑気に笑って、セリカちゃんのことを傷つけているだけだった」 言葉にしなくても思いが伝わるのが、親友なんだと思っていた。 親友だから、思いを確認し合う必要もないと思っていた。 けれど違った。自分は何も知ろうとしていなかったのだ。ただ幻想にしがみついて、自分の見たい夢だけを取捨選択していただけだったのだ。 だから、セリカに裏切られたと感じた時、躊躇なく殺そうとしてしまった。 目の前にいるのは自分の親友ではない、自分を傷つけようとする人間が、自分の親友であるはずがない。 セリカ・クロスロードは絶対に自分を裏切らない。そう信じ込みたかったのだ。 [221]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 01:30:53 ID:YqHw5htN 支援 [222]Das Erbe zur ZukunftA 2008/07/02(水) 01:31:03 ID:KH9jB4pn 「ごめんなさい。傷つけて・・・・・苦しめて・・・・・悩んでいるのに力にもなれなくて・・・・・・その上私は、まだあなたのことを傷つけようとしている。 私は魔導騎士で、管理局の局員で・・・・・・そして、セリカちゃんと本当の親友でいたいから」 友達が悪いことをするのを見ていられない。 友達が誰かを傷つける姿を見たくない。 そのために戦わねばならないのなら、いくらだって戦ってやる。 例え千の傷を負い、万の罪を背負うことになろうとも、譲れないものがあるのだから。 「私が何もしなかったことが悪いのなら、それで良い。いくらだって恨んでくれても良い。傷つけたいのなら好きなだけ傷つけても構わない。 けれど、自分の正義に誰かを巻き込むことだけはしないで。わがままかもしれないけれど、お節介かもしれないけれど、私はセリカちゃんが誰かを傷つけている姿なんて見たくない ・・・・・・・・だから、私はセリカちゃんを傷つけてでも止める。だって約束したから、悪いことはさせないって。間違ったことをしようとしたら、必ずフォローするって!」 本当は戦うのは嫌だけど、戦わずに現実から目を逸らすのはもっと嫌だ。 だって、自分達は親友なのだから。 親友として過ごした二年間を無駄にはしたくないから。 あのかけがえのない日々を無為にしたくはないから。 だから、例え傷つけ合うことになってもセリカを止める。 どんな罪でも背負ってみせる。 嫌われることも覚悟している。 傷つくことも覚悟している。 必ず思いを届けてみせる。 必ず思いを受け止めてみせる。 「セリカちゃんがどう思おうと、私はまだセリカちゃんのことを親友だと思っている。大切で、かけがえのない親友だと思っている。 心の底から好きだって言える。だから、セリカちゃんの思いの全てを受け止める。同じ局員として、同窓生として、そして親友として、セリカちゃんを止めてみせる!」 不屈の誓いを胸に、ヴィヴィオは自分の思いを言葉に込める。 《Lady》 レイジングハートが警告を発するのと、ヴィヴィオの頬を魔力弾が掠めるのはほぼ同時であった。 「それが私の答えよ、聖王」 「セリカちゃん・・・・・・・」 「あんたの言葉は届かない、誰も私を止められない。あんたがどれだけ正しいことを口にしようと、私は中将に着いて行こうって決めたんだ。 だから、もうあんたを親友だとは思わない。倒すべき敵、排除すべき障害、その程度にしか考えない」 憤怒のこもった目でヴィヴィオを見つめる。 どこか羨むように、どこか蔑むように。 戻れないとわかっているから。 止めるわけにはいかないと知っているから。 あいつに譲れないものがあるように、自分にも譲れないものがあるのだから。 だから、これ以上言葉を交わすことは無意味だった。 「言いたいことは全部、あんたの体に叩き込んであげる。だから、死ぬ気で抗いなさい」 セリカは懐から無針注射器を取り出し、首筋に宛がって引き金を引く。 異物が体内に入り込む感覚に表情が歪み、全身の血管に熱いものが流れ込む。 同時に聖王の記憶が体内の聖王の因子を知覚し、セリカの体を聖王のそれへと造り替えていった。 [223]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 01:35:52 ID:YqHw5htN 再び支援 [224]Das Erbe zur ZukunftB 2008/07/02(水) 01:36:27 ID:KH9jB4pn 「ぐぅぅ・・・あぁぁっぁっ・・・・・・」 「セリカちゃん!?」 苦しむセリカの目からカラーコンタクトが剥がれ落ちる。その下から現れたのは、自分と同じ緑と赤のオッドアイ。聖王の証であった。 「それは・・・・・・」 「聖王化・・・・・・これで、後一回」 「セリカちゃん!?」 「何が正しいかなんて関係ない。私は、私が信じた道を行くだけだ。どんな犠牲を払ってでも、ミッドチルダを平和にするんだ。 私は、なのはさんみたいに奇跡を起こすんだ!」 「ママは英雄なんかじゃない。ううん、英雄なんてどこにもいない」 再びレイジングハートを起動させ、ヴィヴィオはセリカをまっすぐに見据える。 「奇跡はみんなで起こすもの。もしも英雄がいるのなら、人間みんなが英雄だ」 「あんたに何がわかるの! 何も知らないあんたが!」 「何も知らないから、知りたいんだ!」 意識を集中させ、アクセルスフィアを作りだす。 生みだされたスフィアの数は互いに三十二。虹色と灰色の光で空が埋め尽くされ、張り詰めた空気が一気に瓦解する。 「さあ、お話しよう。セリカちゃん!」 「聖王、あんたの正義を示しなさい!」 互いの言葉を合図にそれぞれの杖が振り下ろされ、二つの光が炸裂した。 □ 緊迫した空気の中、はやては次々と送られてくる情報をもとに状況の把握に務めていた。 事の始まりは三十分前、突如クラナガンの中心部とのあらゆる通信が途絶えたことである。 有線・無線を問わず、念話すら届かない。異変に気づいて駆けつけた現地の陸士隊が目にしたのは、まるで風船が膨らむように街を飲み込もうとしている錆色の結界だった。 ほぼ時を同じくして、結界内にいた首都防衛隊から最後の通信が届いた。 『うあぁぁぁぁぁぁ、くるなぁぁっ・・・・・本部、至急増援を・・・・・あぁっ、化け物・・・・あぁぁぁぁぁぁっ・・・・・・・』 その通信を最後に、結界内との連絡は完全に不可能となった。 「オーリス、状況は?」 「余り好ましくありません。バビロンの鍵の発動と共に、各地でロート・シルトらしき武装集団が暴動を起こしており、 武装隊はそちらの鎮圧に回さねばなりません」 「内部に突入させる人員は割かれへんってことか」 ユーノの調べが確かならば、バビロンの鍵は一度発動すると破壊しない限り停止は不可能であるらしい。 恐らく、ロート・シルトはそれを妨害するために各地で騒ぎを起こし、こちらの戦力を分散させるつもりなのだろう。 スカリエッティのプラントを利用してガジェットを大量生産していたのも、この作戦を実行するためだったのだ。 そして、要であるバビロンの鍵は精鋭揃いの首都防衛隊を全滅させる程の化け物に守らせているようで、柔な戦力を投入すれば無駄死にさせるだけだ。 [225]Das Erbe zur ZukunftC 2008/07/02(水) 01:38:40 ID:KH9jB4pn 「本部長、ハラオウン提督から通信です」 「すぐ繋いで! もしもし、クロノ君?」 『はやてか? すまない、バッドニュースだ』 「クロノ君、いったいどないしたん?」 『管理局上層部の決定が下った。本局はこの件に関して一切関与はしない』 「なんやて? ミッドの危機なんやで、何で本局が動けへんの!?」 『時空管理局の使命は、異なる次元世界の調停と秩序の維持だ。しかし、これからミッドで起きようとしているのはあくまで革命・・・・内戦なんだ。 それが世界の外へと飛び火しない限り、本局は動くことができない』 「例え、管理局発祥の地が次元世界から消えてしもうても?」 『広い目で見れば、ミッドも他の次元世界と変わらない。そういうことらしい』 「最悪や・・・・」 『すまない、僕の力が及ばなかったばかりに・・・・』 「クロノ君のせいやない。今は落ち込むことよりも、自分にできる精一杯のことをしよな」 『そうだな、君の言う通りだ。僕の方でも幾つか手を打ってみる。それに、グリフィスが・・・・・・を・・・・』 「クロノ君? よう聞こえへん、クロノ君?」 『だか・・・・安心・・・・・』 映像が砂嵐へと変わり、クロノとの通信が途絶える。同時に、はやては建物全体が結界に飲み込まれたことを感じ取った。 「どうやら、ここも結界に飲み込まれたようですね」 「このペースでいくと、ほんまに数時間でこの星全部を飲み込んでしまうかもしれん。何とかして手を打たんと・・・・」 その時、扉の向こうでリィンが今にも泣き出しそうな声で助けを求めてきた。 「は、はやてちゃーん」 「リィン? どないしたん、この忙しい時に・・・・・」 訝しげながら、はやては本部長室の扉を解放する。次の瞬間、まるでダムが決壊したかのように大勢の局員が本部長室に雪崩れ込んできた。 「本部長、本局からの増援がないっていうのは本当ですか?」 「他の街の部隊との連絡がつかないんです。それどころか、電話もテレビも使えなくなっている!」 「俺達は本局に見捨てられたんですか? 答えてください、本部長!?」 武装隊の隊長がいた。 魔力資質を持たない一般局員がいた。 戦いとは無縁な受付嬢がいた。 新人もベテランも、男も女も、子どもも大人も、現在クラナガンで起きている異変に対して不安を抱いている全ての局員がこの場に集まっていた。 [226]Das Erbe zur ZukunftD 2008/07/02(水) 01:41:18 ID:KH9jB4pn 「はやてちゃん、みんな言うこと聞いてくれないんですぅ」 「よしよし、リィンは一生懸命お仕事したんやな、えらいで」 泣きべそをかくリィンの頭を撫で、はやては集まった局員達と向き直る。 「みんな、自分らの仕事はどないしたん?」 「ミッドの危機に事務仕事もへったくれもありませんよ。本部長、いったい今、クラナガンで何が起きているんですか? ロート・シルトの連中は、いったい何をやらかそうとしているんですか?」 突きつけられる無数の視線を、はやてはまっすぐに受け止める。人の上に立つ者として、時には部下に絶望を告げねばならない。 あの人の後を継ぐと決めた時から、このような境遇に立たされることも覚悟していた。 「ロート・シルトの狙いは、ロストロギアを使って次元間移動を封じることや」 「次元間移動を?」 「そうや。転送魔法も念話も通せへん特殊な結界を張って、ミッドを次元世界から完全に隔離することが奴らの目的や」 はやての言葉を聞いて、集まった局員達はざわめきだす。無理もない、彼らの中には異世界出身の者もいるのだ。 「けど、いざって時は本局が何とかしてくれますよね?」 「そ、そうだ。本局からの増援があれば、あんな奴ら・・・・・」 「増援はない。この件に本局は介入せえへん」 増援はない。 その一言が、彼らに残されていた唯一の希望を打ち砕いた。 誰もが絶望に肩を震わせる。 孤立無援。 見捨てられたという事実。 どこにも逃げられないという現実。 それらが重石のようにのしかかり、重苦しい空気が場を支配した。 「勝てるんですか?」 誰かがそう呟いた。 「敵は魔法の通用しないガジェットと、魔導師なんかとは比べものにならない火力を持つ傀儡兵。最強の矛と盾を相手にして、俺達は勝てるんですか?」 「無理だ・・・・首都防衛隊は全滅したんだぞ。しかも敵は結界の中だけじゃない、外にもいるんだ」 「外部との連絡が取れなきゃ、まだ無事な部隊に指示を送ることもできないわ」 「エース・オブ・エースももういないんだぞ。降伏した方が、街の被害も少なくて済むんじゃ・・・・」 「別にあいつらは管理局をぶっ潰そうなんて考えてないんだろ、だったら・・・・・」 最早、パニックが起きるのは時間の問題だった。彼らとて、訓練された管理局の局員だ。僅かでも希望があるのなら、こんな弱気な発言はしなかっただろう。 しかし、孤立無援の状況下では、人はどうしてもその弱さを露呈してしまう。 外部との連絡の途絶。他者との繋がりを断たれただけで、人はこんなにも弱くなる。 [227]Das Erbe zur ZukunftE 2008/07/02(水) 01:45:29 ID:KH9jB4pn 「そやな、確かにそれも選択肢の一つや」 「はやてちゃん!?」 はやての言葉に、リィンは驚愕の声を上げる。傍らのオーリスも言葉にこそ表していないが、目を見開いてはやてのことを見つめていた。 彼女が口にしたのは事実上の敗北宣言だ。仮にも責任のある立場、それも地上本部の最高責任者がおいそれと口にして良い言葉ではない。 だが、はやては敢えてその言葉を口にし、そして聴衆の注意を自身へと集中させた。 「それも一つの選択肢や。けど、みんなもう一度よく考えてみ。自分が今、着ている制服が何なのか。何のためにここにいるのかを」 「そ、それは・・・・」 ミッドチルダ、引いては次元世界の秩序を守るため。 資質も家柄も関係なく、文字通り世界を守りたいと思う連中の集まり。 それが時空管理局だ。 「ロート・シルトが然るべき手段を用いてその目的を遂行するというなら、私は反対せえへん。思想の自由は誰にでも認められている権利や。 けれど、あいつらは周りの迷惑も省みずに、無理やり世界を閉ざそうとしている。自分達の考えを他人に押しつけようとしているんや。 私は一管理局局員として、これを許すわけにはいかへん」 はやての言葉はどこまでも静かで、情ではなく魂に語りかけてくる。 彼女はただ凛と前だけを向いて、管理局局員はかくもこうあるべきという姿勢を示していた。 「ここで降伏すれば、確かに被害は抑えられるかもしらん。けれど、一度でも例外を作れば同じことがまた起こってまう。 その次も、そのまた次も、一度成功しているなら、今度だって。その一言のためにミッドは何度でも争いに巻き込まれる。 その度に白旗を上げるんか? 被害を抑えるために、私らは戦わん道を選ぶんか? そうやな、それが一番被害を少なく済ます最善の手や。 けど0やない。争いの度に犠牲になる人が出てくる。それでええんか? 違うやろ。被害を抑えることも大切やけど、本当に大切なのは争いそのものをなくすための 抑止力になることやろ。もちろん、それが困難で不可能なことは百も承知や。けれど、それでもそうあろうとするのが私らの仕事と違うん? 私らは諦めたり負けたりしたらあかんのや。常勝不敗、私らは勝ち続けなあかん、あかんのや。何より・・・・・・・」 そこで一旦、はやては言葉を切る。そして、先程までとは打って変わって力のこもった声で言った。 「何より、私はあいつらを許されへん。みんなも知っての通り、私は第97管理外世界の出身や。ミッド生まれやない、異世界の人間や。 ロート・シルトはこの私から故郷を奪おうとしている。私だけやない、他にも大勢おる異世界出身の人々から、彼らは故郷を奪おうとしているんや。 許せるわけがあらへん。認められるわけがあらへん。私には向こうに大事な恩人がおる、大切な友達がおる。実家もあるし母校もある。 生まれ育った街がある。もう二度とそこに戻られへんなんてごめんや。けど、ミッドを見捨てるのはもっと嫌や。故郷とミッドのどちらかを選べなんて 私にはできへん。どっちも私にとって大切な世界や。だから私はその両方を守る。それだけやない、みんなの故郷とミッドを守る。それが私の意思や」 己の心の内を余すことなく言葉にして、その場にいた全員の心に染み込ませる。 訪れた沈黙を破ったのは、真っ先にはやてを問い詰めた武装局員だった。 「勝算なんて、あるんですか?」 「なくても作る。私がただ若くて美人なだけの本部長やと思うたら大間違いや」 「・・・・・・」 「言うてみ、私が誰なのか」 「それは・・・・八神はやて少将。時空管理局地上本部の本部長です」 「そや。そして、みんなの命を預かる責任が私にはある。だから、私は一度でもみんなに『死ね』なんて命令したことない。これまでも、これからも」 そう言い切った彼女の言葉には、確かな決意が込められていた。 絶対に負けないという決意。 決して諦めないという決意。 それがこの場にいる誰よりも、彼女を輝かせていた。その佇まいは正く地上に舞い降りた戦乙女。間違うことなきエースの姿だった。 [228]Das Erbe zur ZukunftF 2008/07/02(水) 01:47:18 ID:KH9jB4pn 「・・!」 最初に動いたのは、はやてを問い詰めた武装局員だった。彼はおもむろに彼女の前で跪くと、頭を垂れて誓いを立てる。 「俺は昔、あんたに命を救ってもらったことがある。もう七年も昔のことだ。死にかけていた俺の目には、あんたはまるで女神のようだった。 あんたに憧れてこの世界に入ったんだ。その時の気持ちを、今思い出せたよ。あんたが戦うって言うなら、俺も戦う。 俺はミッドの魔導師だが、今だけはあんたの騎士でいさせて欲しい」 それをかわぎりに、周りにいた全ての局員が彼に倣った。例外は一人もいない。いや、それどころか廊下の向こうで、窓の向こうで、 地上本部内の全ての局員が思い思いの形で彼女への忠誠を新たにしている。 「俺も一緒に戦わせてください」 「私もです。伊達に日頃から鬼教官にしごかれていないことを見せてやりますよ」 「わたしは戦えませんが、自分にできることを精一杯やって皆さんのサポートをします」 「俺も・・・・・」 「あたしも」 「わしもだ」 最早そこに、絶望に押し潰されそうになっている者は一人もいなかった。地上本部の全ての局員がその胸に希望と戦う意思を取り戻し、 まっすぐに前を見つめている。そんな彼らに、はやては高々に宣言した。 「よっしゃ、みんなの命私が預かる」 □ はやてとの通信が途絶え、クロノは重いため息を吐きながら艦長席に背中を預けた。 何もできない自分が不甲斐無かった。 昔の自分ならば、何だかんだで居ても立ってもいられずに飛び出していただろう。 死んだ義妹やその親友ならば、そもそも躊躇すらせずに飛び出していただろう。重く圧し掛かる責任が、今はとても憎らしかった。 [229]Das Erbe zur ZukunftG 2008/07/02(水) 01:49:36 ID:KH9jB4pn 「何が提督だ・・・・・・何もできないじゃないか・・・・・・」 出世と共にクロノが前線に出る機会は減っていった。当たり前だ。次元航行艦の艦長が最前線で戦うなど、前代未聞も良いところである。 彼の母であるリンディ・ハラオウンも優れた魔導師ではあったが前線に出ることは滅多になく、出ても精々後方支援に留まる程度だった。 艦長の役割はあくまで部隊の指揮であり、絶対に堕ちてはならない部隊の象徴である。部隊の命そのものと言っても良い。 今までは、そう言い聞かせることで納得してきた。自分が出れば迅速に解決できる事件も部下に任せ、一人歯痒い思いを堪えてきた。 だが、今回ばかりは違った。故郷の危機に、自分は何もすることができないでいる。次元航行艦隊の隊長といえど、所詮は前線部隊の責任者に過ぎず、 管理局の意思決定に関わっているわけではない。どれだけ正しいことがしたいと思っても、上層部の思惑次第でその動きを封じられてしまう。 (権力か・・・・・・・) 今のままでは駄目だ。また同じようなことが起きた時、同じように後悔することになる。 そんなのは真っ平ごめんだ。自分は後悔しないために管理局に入ったのだ。 こんなはずではない人生を送る人々の力になるために執務官となったのだ。 提督になって次元航行艦隊を率いているのも、全てはそのためだ。決して思いを腐らせるためではない。 (変えてやる・・・・・・僕がこの手で、僕とはやてで・・・・・・) はやてがそうしたように、自分もまた上を目指す。 前線で燻っていたのでは何も変わらない。 現状を憂うならば行動しなければならない。 それが自分のやり方だ。 目標に向かってひたすらに突き進むだけの愚直な生き方。それがクロノ。ハラオウンという男だ。 「ブリーフィングルームにティアナとディードを呼んでくれ。二人に話がある」 だが、今は行動することができない。だから、せめて自分にできることをしよう。 それが自分の役目であり、今打つことのできる最善の手なのだから。 □ 司令室は緊迫した空気に包まれていた。通信は断絶と回復を繰り返しており、 電子モニター越しにこちらが劣勢に追いやられていくのが素人にも察することができる。 それでも、そこにいる者は誰一人として絶望に屈していなかった。それどころか、希望の光を見出そうと各々の役目を全うしている。 [230]Das Erbe zur ZukunftH 2008/07/02(水) 01:52:20 ID:KH9jB4pn 「085部隊、556部隊と合流、122部隊と共に防衛線を構築します」 「235部隊、付近にまだ逃げ遅れた住民がいます。至急避難誘導を」 「204部隊、敵小隊とエンゲージ!」 「第三、第四区画の避難完了。続いて、第五区画のチェックを開始します」 「新たな敵影を捕捉! ガジェット十七、傀儡兵十五!」 通信士が必死で対応している姿を背景に、司令官席に座ったはやてもまた各所に指示を送っていた。 事は一刻を争うが、兎にも角にも混乱している指揮系統を立て直さねば何も始まらない。 その上でバビロンの鍵を見つけ出して破壊しなければ、ミッドチルダは次元世界から永遠に孤立してしまうことになる。 「そや、とにかく残存戦力をかき集めるんや。幸い、首都防衛隊以外の部隊は指揮系統が混乱しているだけで被害はそれほどでもない。 連携さえ取れれば、ガジェットや傀儡兵如きはどうとでもなる。伊達に対AMF訓練を受けていないわけやないやろ。 それよりも時間の方が心配や。このまま結界が広がり続けると、後四時間程でミッドが飲み込まれてまう」 「はやてちゃん、緊急回線を確保したです。結界内の各部隊との通信、問題ありません」 「ええ仕事や、リィン。これで、後は結界の外の機動六課と連絡さえ取れれば・・・・・」 「それに関しては吉報があります」 「オーリス?」 「騎兵隊の到着です」 □ 時間は少し遡る。 地上本部がバビロンの鍵の結界に飲み込まれたのとほぼ同時刻、機動六課隊舎では課長が一つの判断を下していた。 「これより、我々六課は独自の判断で動く」 震えの混じった課長の言葉に、他の面々もまた緊張した面持ちで頷いた。 機動六課には、緊急時に独自の判断で動くことのできる権限が与えられている。今回のような一分一秒の遅れが命取りとなる事件に対処するため、 課長の判断で面倒な手続きを省略することができるのだ。だが設立以来、六課は一度としてその権限を発動させたことがない。 機動六課において、それは正に初めての試みであった。 「諸君、これは六課が稼働して初めての事態だ。不安がないと言えば嘘になるだろう。だが、私は君達を信じている。 君達ならば、必ずやこの事態を乗り切ることができると。落ち着いて、いつものように各々の役目を果たすんだ」 「はい!」 信頼のこもった部下の頷きに、課長は瞼を閉じて沈黙で応える。 次に瞼が開かれた時、そこにいたのは彼らがよく知る昼行灯な部隊長ではなく、歴戦を潜り抜けた名指揮官へと変貌した課長の姿であった。 [231]Das Erbe zur ZukunftI 2008/07/02(水) 01:54:56 ID:KH9jB4pn 「隊長不在のスターズは私の指揮の下、結界外に取り残された残存部隊と協力して住民の避難と武装集団の鎮圧を行う。アルピーノ君は!?」 「既に、結界外周部にて待機済みです。通信開きます」 仮想ディスプレイが展開し、緊迫した表情のルーテシアの姿が映し出される。 その背後には、ぐんぐんと膨れ上がっている錆色の結界が映っていた。 『課長、ライトニング分隊はいつでも突入できます』 「了解だ、アルピーノ君。君達の任務は二つ、バビロンの鍵の捜索及び破壊と、シエン・ボルギーニの逮捕だ」 『他の連中は?』 「可能ならば逮捕してくれ。だが、最優先はあくまでバビロンの鍵だ。最悪、無視してくれて構わない。 それと、一度内部に突入すれば以後一切の通信が不可能となる。今の内に何か聞いておきたいことはあるかね?」 『エリオとの連絡は?』 「依然、音信不通だ。アルピーノ君、彼はいつも電話に出ないな。いっそのこと、右腕に発信機でも埋め込んでやったらどうかね?」 『考えておきます』 「うむ。では、彼のことは引き続き探させておく。幸運を祈る」 課長にルーテシアは敬礼し通信が切れる。 状況は絶望的だ。 エリオとヴィヴィオが行方不明、地上本部との連絡も取れず、結界の内部がどのような状態かもわからない。 それでも、行動しない訳にはいかなかった。機動六課は今日という日のために存在しているのだ。 奇跡の部隊の名前を冠しているのならば、世界の一つや二つは救ってみせねば失礼である。 「いこうか、諸君。世界を救いに」 故に、今は行動あるのみだ。                                                       to be continued [232]B・A 2008/07/02(水) 01:55:49 ID:KH9jB4pn 以上です。 ラストバトルと言っておきながらバトルが全然ありません。この調子だと、更に話が長くなりそう。 次回は順当にいけばルーテシアVSロデオが始まると思います。どちらも召喚師同士、とくれば当然・・・・・・・・・・。 それにしても、エリオはまたしても音信不通かw 支援ありがとうございました。 [233]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 02:58:53 ID:Z1FrUkT9 これでルーテシアかヴィヴィオが敗北寸前てところでエリオ登場なんてパターンだったら最悪だな 在り来たりすぎてつまらん [234]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 03:21:31 ID:dcj1cYk2 つまらない人間だな [235]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 05:47:19 ID:p+24RZBN 面白さというものを根本的に分かってない人間が吐くセリフだな 在り来たりじゃない話なんぞオナニーにすぎん [236]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 07:44:05 ID:b7vmF7T9 >>233 王道とワンパターンは似て異なるものですぜ? [237]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 08:15:15 ID:dTetzExZ 王道路線  →ほかにねのかよ、作者の頭の中身は、もう書くなボケwwww ワンパターン→王道にも劣るクソ展開、投下するなら日記帳にでもしてろwwww こうですか、わかりません>< >B・A氏 大分進んできましたね。 ラスト期待してます。 この連載終わったら、今度はハッピーエンドのエリ×アリが見たとか言っちゃ駄目ですか? [238]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 09:42:19 ID:3NdMX0B8 危機的状況にエリオが颯爽とかけつけたら、王道。 そのまま、ボロボロのヴィヴィオかルーテシアに変わって戦闘を継続、だったらワンパターンかもな。 さすがにエリオ活躍しすぎだし、B・A氏もエリオが他のキャラを食うのは、本意じゃないでしょ。 でもって>>233GJ!! 課長、カッコよすぎだろ・・・・・。 [239]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 09:51:32 ID:4ajDI+E1 >>197 GJ!! 相変わらず、なのは側はキャラが壊れてますね。(笑) このSSでは、あのヤバイ、レイハ姉さんをつくったのが リニスではなく全盛期のプレシアと聞いて、妙に納得してしまった。 [240]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 10:15:39 ID:6Jcum5NT 王道ってのはわかりきったパターンでも燃えるもんだよ ワンパターンってのは、単調で盛り上がらない [241]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 10:35:22 ID:A3cEofHZ GJ! とうとう待ちに待った最終決戦。 まずはルーテシアvsロデオか この二人も互いに負けられないだろうな。 片や夫を傷つけられ、もう一方はプライドを傷つけられた。 続きを楽しみにしてる! あれ、そういえば主人公エリオは… それと個人的には氏の書きたいように進めて頂くのが一番ではないかと思います。 [242]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 10:49:49 ID:Cj0W+/l0 夏が近いからか、このスレに入ってからだけでも変なのが結構涌いてるな 読者としてはスルーすればいいけど職人は書く気削がれて大変だろうな(荒らしはそれが目的なんだろうが) [243]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 10:51:27 ID:rEqwfw7U >>233 よかったね。今日はかまってもらえたねwww [244]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 10:57:11 ID:wDnniRgM まぁ、今は期末テストの時期だからな、変なのが出てくるのは仕方ない。 読み手も書き手もスルー力を高めねばならんな。 [245]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/02(水) 11:03:30 ID:Lz512wrG 嫌なら他に行けばいいし [246]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 11:08:17 ID:3CureGRZ 王道も使い古されればワンパターンに墜ちてしまうから、何らかの捻りは欲しいよね。 例えば、試合には勝ったけど、戦いには負けたとか、その逆とか [247]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 11:21:30 ID:mwnZ47XY ジャンルに百合が無いのは作品数が少ないせい?それとも女性キャラが多すぎるせいで一部のギャグは百合かどうか判断に困るから? [248]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 11:26:44 ID:KH9jB4pn 書くのが難しいというのは? 同性愛は俺、経験ないからイメージできないし。 [249]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 11:33:08 ID:1JnyK8GS >>246 確かにそう思うときが結構あるな。 終わり方がマンネリ化してるからかな。 [250]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 11:53:40 ID:rEqwfw7U >>248 や ら な い か ? [251]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 12:06:41 ID:Cj0W+/l0 >>247 よく知らないけど百合スレがあるからじゃない? [252]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 12:13:43 ID:WJsTeG6U >>165 確かそれ持ってた気がする [253]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 12:29:24 ID:oygBkmm6 >>248 異性愛すら経験のない俺に一言 [254]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 12:32:07 ID:BxexwllN >>247 普通に女×女タグで引けば事足りると思うから。 [255]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 13:04:29 ID:6Jcum5NT >>253 片想いでも恋愛だと思えば経験があることになるよ……多分 [256]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 13:20:39 ID:157J4gj0 >>255 片思いすら経験の無い俺終了のお知らせ\(^o^)/ [257]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 13:37:50 ID:x/oYi5/R 昔から、 面白いラブストーリーを書ける人は、本当の恋愛を「知らない」人だ。 という名言があってだな。 経験よりも妄想の産物の方が、求める人のニーズには合ってたりするんだよ。 [258]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 13:40:19 ID:rLKFyJhD >>256 誰かがお前に片想いしていた可能性があるので続行 [259]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 13:41:49 ID:RHEKkzle リアルな話ばっかりじゃ鬱になるだけだしな。 [260]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 13:54:19 ID:tySa5yF7 >>197 このライトさだとやっぱなのちゃん復活しそうだけど、どうプレシアと リニスを丸く収めるのか気になるなあ。 なのちゃんの就職先はたぶんあれで間違いないとは思うけど、本当にプレシアどうするんだろ… [261]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 14:49:45 ID:6Jcum5NT >>256 あーーじゃあ、ここにいる段階でなのはのキャラの誰かに恋してるってことで納得してください 二次元だがな [262]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 15:15:38 ID:XZcex/ap リアルな恋愛はドラマがなさそうだしな。 [263]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 15:44:29 ID:/A58EB/N 小説はエンターテイメントだしな ちょっと嘘くさくても面白くないといけないから [264]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 15:56:13 ID:iSThGEJz >>262 事実は小説よりも奇なりって言葉もあるんだぜ って、また雑談の流れになってるな……気をつけようorz [265]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 18:17:38 ID:m+fVm/xB >>260 「女の子同士なんて許しませんよ!」って珍しく母親らしいこと言ったプレシアに 「フェイトちゃんとの恋路を邪魔するものは、例えお母さんでも容赦しないのー!!」と、 全力全壊SLBぶっ放されて、お星様になるプレシアが見えたw なんだ、いつもどおりのなのはさんd(略 [266]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 18:26:52 ID:CXSd0azh しかしあのなのはさんの、 ・いつでもガチンコ ・友情は拳を交わせば生まれる って信念は、あれは一体いつ根付いたものやら。 お兄ちゃんもおねえちゃんも親父も、 確かに規格外ではあるが、 あそこまでハジケてなかったのに…… [267]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 18:27:56 ID:rEqwfw7U リリカルふぇいとの レイジングハート・エクセリオンはペニパン型だぜ! [268]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 18:42:39 ID:iSThGEJz >>265 アリサとけんかした時じゃね? [269]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 18:43:06 ID:iSThGEJz 間違えた >>265→>>266 [270]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 21:17:24 ID:5pgznreq ここって誰か一人の職人が特定カプを書き続けるとその職人以外に書く人いなくなる傾向ないかな? エリルー・ヴァイシグ・クロカリあたりとか。 他の職人さんが書いたこのへんのカプの話も読みたいなと思ってみたり。 [271]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 21:21:45 ID:acbhFDgl 正直、無理して自分が不得手のカプ書くくらいなら、上手い人に任せたい。 その方が互いもROM専も得だと思う。 [272]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 21:22:01 ID:jLcurgc1 >>270 いやー…… それは多分傾向がある訳じゃない 純粋にそのカプで書こうと思う人が少ないんだと思う [273]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 21:25:28 ID:xdTiSn1F でも逆に一人の職人があるキャラを主人公にして良作を書くとその主人公で書く職人が増えると言う不思議 [274]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 21:53:39 ID:TZghWvdO それだと他の職人が2煎じみたいじゃん、嫌がる人も居るとおもうけど [275]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 21:56:23 ID:cjaUfDQN あんま同じ主人公の・・・いや、なんでもない [276]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:00:27 ID:KH9jB4pn 男性キャラ被るのは仕方ない、人数少ないし。 問題は女性だ。ロングアーチでシリーズものを書ける人って果たしているのだろうか? [277]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:09:16 ID:TZghWvdO オレ未だにあの二人の区別がつかない…ナンバーズすら覚えたのにな [278]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:22:54 ID:jLcurgc1 ロングアーチってはやて、リインII、シャーリー、 アルト、ルキノ、捨丸、犬、ヴァイス、グリフィスか 書こうと思えば出来ないことはないんじゃないか? オレにはアルトとルキノの違いが分からないが [279]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:27:21 ID:oygBkmm6 逆手にとって アルトとルキノを取り違えてヤってしまうと言うシチュで誰か [280]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:28:31 ID:zvM1aeXR >>279 ありえんだろ。 [281]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:31:27 ID:acbhFDgl >>279 とりあえず、男がヴァイスであることは間違いないと思った。 [282]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:31:50 ID:6Jcum5NT アルトはわかるヘリ動かしてた娘だよね、ルキノって誰? ところでオットーとディエチの区別がつかないのは俺だけか? [283]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:33:44 ID:CBljutmH ヴァイス×アルトとグリフィス×ルキノでスワップですね わかります って言うかアルトとルキノの区別ぐらいつけてくだしあ… まぁ俺はセイン以降のナンバーズがたまにごっちゃになるけどね [284]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:35:46 ID:/A58EB/N 区別はつくけど、どういうキャラか説明しろって言われると困るんだよな [285]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:35:53 ID:TZghWvdO >>282 乳が無いのがオットーだ [286]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:36:35 ID:i8HLb1ds ルキノは声聞けばわかる リインと中の人一緒だから [287]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:38:13 ID:l7VGuWNH >>278 捨丸「たら〜ら!」 [288]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 22:57:55 ID:KH9jB4pn アルトorルキノで月9風味な恋愛長編って・・・・・・難しいか。 [289]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:00:42 ID:CBljutmH >>288 ミッドのアーバンライフを豪華絢爛に描いたトレンディドラマですね? [290]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:03:28 ID:oygBkmm6 スイーツ(笑)臭がプンプンするな [291]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:26:58 ID:6Jcum5NT ナンバーズについては昔はチンクとウーノ以外の区別は出来なかったんだよなぁ ところでラグナの外見がまったく思い出せないんだけど金髪だった様な気がするんだが? [292]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:27:54 ID:tzWD7roP スイーツ置いてる翠屋の娘さんがそこに・・・ [293]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:30:06 ID:157J4gj0 >>291 ラグナって茶髪じゃなかったか? [294]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:34:02 ID:oygBkmm6 ぐぐっても車はもとより FFのラグナやROばっか引っかかって困る [295]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:37:58 ID:6Jcum5NT >>293 眼帯付けてて両目の色が違う金髪の娘さんってのがぎりぎりの記憶なんです [296]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:38:01 ID:Yy0drMXY え……? ラグ……ナ……? ってなったのは俺だけではないはず [297]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:40:13 ID:zvM1aeXR >>295 違うキャラと混じってるぞ。 そしてそろそろ雑談自重。 [298]名無しさん@ピンキー 2008/07/02(水) 23:50:02 ID:KH9jB4pn >>291 赤っぽい茶色・・・・かな? 茶髪なのは間違いないんだが、普通のブラウンじゃないな。 youtubeにでも行ってくれとしか言えない。俺はそこで確認した。 [299]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 00:04:19 ID:as/ZRrxU >>232 GJ!! ルーテシアVSロデオ ヴィヴィオVSセリカ エリオVS???か まあエリオの決着のつけなくてはならない相手はどうしても一人いるが。 どういう結末になっていくのか非常に楽しみです。 わけのわからん荒しなぞ気にせず、自分のペースで頑張ってください! [300]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 02:39:37 ID:Z2NGgZEt 顔射して精液が目に入ったら最悪失明するという話をラグナ云々と結び付けて何か書けないかなとか思ってしまって、流石に自己嫌悪が止まらない…… ゴメンよー。 [301]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 03:30:00 ID:ueyiBCPF ヴァイスの精液が見えてる方の目に入って両目とも…ですか。 確かに鬼畜といわざるを得ない。 [302]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 08:47:12 ID:9PJfsE34 >>300 ヴァイスくん淋病かよw [303]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 11:23:39 ID:2f2x1Hn+ GJ! めっちゃ大好きなエリオ夫妻には是非無事に勝って欲しい… 予言の内容から予測すると、なのは親子がやばそうなんだよな… 続きが気になります! [304]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 18:23:54 ID:8wRrsVzh >>288 ぶっちゃけこの二人もさほどキャラが確立してるわけではないからねー コミックスとサウンドステージを持ってればある程度の情報は得られるけど 本編しか見てない人にはさっぱりだろう…… [305]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 18:43:28 ID:vb6ZP5HO >>304 そいやヴァイスが吹聴してるアルトの恥ずかしい過去ってなに? サウンドステージのねた? [306]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 19:03:44 ID:V8Tq/ZMz >>305 そう、SSのネタ 確か、男兄弟に囲まれて育ったアルトは 自分も男だと思ってて男子トイレで立ったまま小b(ry、とかそんな内容だった気が [307]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 19:25:33 ID:mIPWdP/f >>306 なんかのネタに使えそうだが、冷静に考えるとヤバいなw 親はどういう教育してたんだよw [308]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/03(木) 20:01:26 ID:CZHHcL8W (●●)クル━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━!!!! 点呼パック コモン…ヨイショ!我慢汁 アンコモン…893、片乳脇薄、小頭の御上批判、正義シリーズ、目安箱(影のレギュラー) レア…下手歌、氷運搬 スーパーレア…尾張様(名前だけ)、忠相の御白洲 ウルトラレア…尾張様(御本人)、シロクン(上様御用達の白馬) シークレットレア…ドM(上様の真属性)、マツケン分身殺法 パラレルレア…(●●) 論外…将門(不義は文化) [309]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 20:50:58 ID:CZHHcL8W 誤爆に気付くのが遅くなりました、ageてしまいすみません [310]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 21:06:47 ID:vYRZRZ5A ここから新しいジャンルが出て来るなんて、この時は誰も考えていなかった…… [311]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 21:08:45 ID:FgUnl53W >>232 ちょい遅レスですがGJ!! はやて、クロノ、課長とともに全員かっこいいです。 そしてエリオはまた音信不通ですか! まあ10年あまり刑務所で獄中生活してれば掴みどころがない行動になるのは仕方ないか [312]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 22:16:33 ID:a6faPjTE >>310 JS社、時空管理局共同開発のトレーディングカードゲーム キャラクターはJS社の美人スタッフ、ガジェット、管理局の有名局員など多種多様 シークレットレアにはあの大魔導師も……? 勝負はカードから現れる立体映像同士が闘います。 もちろん敗者には勝者のカード達から(エッチな)お仕置が!! こうですか?わかりません [313]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 23:08:30 ID:vb6ZP5HO >>306 それどういうシチュエーションでアルトは真実を知って、ヴァイスは何で知ってるんだ? ヴァイスとの付き合いの長さは知らないが、ヴァイスが指摘したのか? [314]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 23:12:47 ID:EmJ2MMxn RealSexualViolenceカードゲーム魔法少女リリカルなのはRSV 新パック続々登場! 新たなカードの力を君の目で確かめろ! [315]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 23:31:16 ID:9/zqR2VI >>313 SSといえどそこまでは言及されてない。 アルト兄が言いふらしたんじゃない? それと、ヴァイスとは訓練校からの付き合いなだけで幼少時の面識は無かったはずだが、どうだったろうか。 [316]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 23:31:23 ID:AZqvLmL9 ちょっと質問 ハートとかのタグを使うのはあり? [317]Nurupo 2008/07/03(木) 23:34:35 ID:W25365PX 静かですな。明日の朝方、■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■の続き投下するのでよろしく。 間が一週間以上開いてスマソ。暇な人は復習ドゾー↓ 第1話  http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213890379/348-359 第2話  http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213890379/373-383 [318]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 23:57:51 ID:N/fNCLLu >>317 >>間が一週間以上開いてスマソ。 って、そんくらいで書けるあなたを尊敬しますwww [319]名無しさん@ピンキー 2008/07/03(木) 23:59:15 ID:n63O1qjz >>316 率直に言えばNOだ [320]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 00:03:55 ID:wdEKrSxu >>316 テキストで採取するんでハートはせめて☆にして欲しいなあ。 [321]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 00:09:06 ID:JmXERr2Z 「♪」も使えたよな [322]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 00:23:41 ID:xsfqCENd >>319 >>320 了解。でもちょっと悔しいからパッと思いついたの文にしてみた。 海上隔離施設にて。 うららかな春の日差し受けてゴロゴロしてるセインのもとへと、 ウェンディが「へっへっへっ、これはいいモン手に入れたっス」的な顔してやってきた。 「へっへっへっ、これはいいモン手に入れたっス」 「? 何もらったの?」 「いや、拾ったっスよ。ロストロギアを」 「へぇ、すごい」 「あ、信じてないっスね」 まさに悪戯っ子という楽しげな表情でウェンディが差しだして見せたのは無骨で味気のない杖だった。 もう本当これ以上杖らしい杖もないほどに杖っぽい杖だった。 「杖じゃん」 「杖っス」 「これがロストロギア?」 「人の夢を覗いたりいじったりできるっスよ」 「マジ?」 寝っ転がりながらウェンディの手の中にある杖を眺めるセインだったが、ちょっとだけ興味がわいた。 「じゃあ夜中にチンク姉の夢覗いてみようぜ」 ↓ 『おかえり、ゼ♥ス♥ト♥』 『あぁ、遅くなった』 『本当に遅い……淋しかったんだから…な』 『スマン……』 『駄目だ。絶対許さない』 『どうすればいい?』 『ただいまのキスと……だっこぉ♥』 『む…しかしいくらか汗が』 『もう、そんな匂い、私は気にしない』 『しかし…』 『私がいいと言えば、いいのだから構うな。それとも、私を抱きあげるのは………嫌か?』 『……分かった。ほら、こい』 『えへへ。じゃあ夕食にしよう。もう、用意は済ませてある』 『先に食べていても良かったのだぞ?』 『お前と、食べたいんだ。一緒に』 『そうか……さ、お前も席につけ』 『やぁだ。ゼストの膝の上がいい』 『………分かった』 『ゼスト、あーん♥』 『そ、それをするならせめて膝から離れてくれ』 『なら……口うつし♥』 『………』 『………クスン』 『分かった……その、もらおう……』 すやすや眠るチンクの夢を覗きながら、ウェンディとセインは泣いた。 「ゼストと一緒にお風呂」のシーンに入ろうと言う所で二人はギブアップし、次の日の朝食、チンクにデザートを分けたりと言外に慰めるのだった。 [323]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 00:40:31 ID:1n9ZpmzT すげぇ、なにがすごいかって全俺が号泣したwww [324]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 00:44:50 ID:kBt71g+w >>317 イイヤッホオオォォ!待ってましたっ!! 明日の夜、家に帰ってPCをつけるのが楽しみです [325]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 00:47:59 ID:+XoiFjbu >>322 シリーズ化して続けて欲しいぞ [326]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 00:55:30 ID:Xq9u/NDq >>317 投下予告だけならいざ知らず、あざとい宣伝は自演並みに鬱陶しく感じるわけだが 復習したい人は自主的に読み返すだろうに [327]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 01:09:01 ID:v/weMm4+ ☆を見るとどうしても、 「中将、遂にアインヘリアルが」 「何ッ、出来たのか────☆」 とか想像してしまう。 [328]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 01:18:46 ID:WujLw5Ih ☆を見るとつのだ☆ひろが… [329]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/04(金) 01:27:54 ID:ohA7KQxa ハートの記号にはウザイほどの愛情が ♪の記号にはお馬鹿or外道な楽しさが ☆の記号には理解不能の電波がこもってるようなイメージがある [330]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 01:29:21 ID:ohA7KQxa sage忘れたごめん [331]ぬるぽ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:32:19 ID:c78i259e  では予告どおり。アム○、逝きまーす  ★閲覧者の方へ★ ・「ユーノ×なのは」の割と真面目っぽい話且つ純愛エロです。この組み合わせが嫌な人はスルーしてください。 ・今回は第3話です。 ・パソコンを閲覧しながらの飲食はやめませう。 ・>>326おっと、失礼したお(キリッ ・NGワードは『■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■』 第3話←今回ここ 第4話  わっふるわっふる 第5話  たけのこたけのこぼっきっき 〜〜前回までのあらすじ〜〜  運命的な出会いを果たしたユーノ・スクライアと高町なのは。 時空管理局に勤めるなのはは、ある時瀕死の重傷を負う。 なのはの大怪我をきっかけに、自分が彼女を支えていこうと決心するユーノ。 その過程の中で膨らんでいくなのはに対するユーノの想い。 だが、ユーノはなのはに告白することができず、彼女に対しての想いばかりを募らせる苦しい日々を送っていた。 ある日、二人っきりになった時に、とうとうその想いが爆発し、ユーノはなのはを押し倒してしまう。 ↓以下、本編スタート [332]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 04:34:00 ID:U/MkBSL1 >>180 GJ!! さてさて、 おおっ!ついに旧版、追い越した! 微妙にオットーに萌え。 なんか戦闘機人の描写カットが多いね。 今回6課の描写があんまし無かった。新人とか・・・・(涙) 今さらだが、このSSではナカジマ家はクイント生存に加え実妹もいるから キャラ的にスバルの熱血単純バカみたいな部分は逆に低いのか。というか、 本編と比べれば、ほぼ別キャラとみえる。 そうなると、繊細で余裕の無い描写も自然に思えるが、その分ティアナの 役どころが増えそうな気が。元からトーレとの対決フラグもあるし、後半の オリ展開に期待。 [333]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:37:24 ID:c78i259e  次の日。フェイトは朝からなのはの部屋を訪れた。 昨日のなのはの様子からして、ユーノとの間に何かがあったことは間違いない。気になった。 なのはとユーノを二人っきりにしてしまったのは自分であるし、その際に何かがあったのなら、 自分にも原因の一端がないとは言い切れないからだ。このあたり、生真面目なフェイトらしい考え方ではある。  部屋の呼び鈴を鳴らすと、瞼を重そうにしたなのはが現れた。 「あ、フェイトちゃん……」 「おはようなのは、朝からごめんね。ちょっといい?」  正直、今はあまり人に会いたくない。一人にしてほしいとなのはは思う。 だが、昨晩嘘をついてまでフェイトを追い返してしまったという負い目もあり、断れなかった。 仕方なくフェイトを部屋に上げる。昨日、フェイトに食べてもらうはずだったお菓子とお茶を出した。 「なのは、ありがとう。美味しそうだね」 「うん……」  フェイトが何か話しかけても、なのはは心ここに在らず、という感じである。 その様子に、やっぱり昨晩ユーノとの間に何かがあったのだといよいよ確信を深めるフェイト。 一段落したところで、フェイトは単刀直入に話を切り出した。 「ねえなのは」 「ん、なに?」 「昨日、ユーノと何があったの?」  昨日は、何かあったのか、なかったのかという、YES・NOクエスチョンだった。 だから、なのはにNOの答えで逃げられてしまった。 そういうわけで今日は、何かがあったというYESを前提にして、フェイトは質問したわけだ。 「えっ?!」  フェイトの言葉を聞いた途端、それまで右から左だったなのはが、ようやくまともな反応を見せた。 数秒ほど何も言えずに目を泳がせた後、やっとのことで出てきた声は掠れていた。 「……えっと、その……どういう、意味?」 「そのまんまだよ。昨日の夜、ユーノと何かあったんでしょ?」 「や、やだなフェイトちゃん……別に、何もなかったけど……」  親友のあまりにもバレバレなその嘘に、フェイトは、ふうっ……と大きくため息を一つつく。 「なのはは、嘘が下手だね」 [334]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:38:13 ID:c78i259e 「……っ」  逃げられない。なのはは咄嗟にそう悟った。フェイトは、自分が嘘をついているのを確信している。 「ねえ、何があったの?」 「…………」 「なのは、今何か悩んでるよね?私、なのはが心配なだけなんだ」 「…………」 「私にも話せないこと?」  ここまで言われてしまうと、いよいよ黙秘を続けることなどできない。 観念したなのはは、誰にも言わないで、という条件付で、フェイトに全てを話した。 ユーノに押し倒されたこと、力ずくで押し付けられてキスをされたこと、「やめて」と叫んでもやめてもらえなかったこと。 そして――それでも何故かユーノのことが嫌いになれないということ。  フェイトはなのはの話を黙って聞いていたが、心の中では大変に驚愕していた。 あの温厚で大人しいユーノが、ここまでやるとは思っていなかったからだ。 ユーノの行為は、女性の人格を踏み躙る最低最悪の行為だ。フェイトはユーノに対して強い怒りを覚えた。  だが、一通りユーノに対して憤慨し終えたところで、フェイトはそれだけでは済まないと感じた。 5年前、自分がユーノの告白を邪魔しなければ、こんなことにはならなかったかもしれない、と。 昨晩、自分が余計な気を利かせたりしなければ、こんなことにはならなかったかもしれない、と。 フェイトは少なからず、自分にも責任があると思った。 「フェイトちゃん……わたし、どうしたらいいんだろ……」  いつもの明るいなのはらしくない沈んだその声。親友のこんな深刻な表情など、見たことがなかった。 改めてユーノへの怒りがふつふつと湧いてくるフェイト。 自分にも責任はある。何より、なのはの力になってあげたい。そう思った途端、フェイトの心は決まった。 「私、ユーノのところに行ってくるよ。なのはは待ってて」 [335]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:39:44 ID:c78i259e  ユーノの住居には、なのはと一緒に数回行ったことがあった。 ユーノは時空管理局の無限書庫で仕事をしているが、管理局員であるなのはやフェイトとは違い、 立場はあくまで「民間協力者」である。 だから管理局の宿舎ではなく、自分で部屋を借りて暮らしていた(管理局からの家賃補助はあるらしい)。  フェイトが呼び鈴を鳴らすと、これまたなのは同様、重そうな目をしたユーノがのっそりと扉を開ける。 もっさりしたユーノの姿を目にした途端、フェイトは怒りでユーノを叩きのめしたい衝動に襲われた。 それでも懸命に自分を抑え、努めて冷静にフェイトは振舞った。 「おはようユーノ。ちょっと話があるんだけど、あがるよ」  なるべく今の感情を表に出さないようにしたつもりだが、少々声が尖っていたかもしれない。 ユーノの重そうな目が動揺したのをフェイトは見逃さなかった。 「あ、あ、その……ちょっと散らかっているから、少し待って」 「いいよ。私、そんなの気にしないから」  半ば強引に、ユーノの部屋に押し入るフェイト。いつもと違うフェイトの様子に、ユーノは本能的に恐怖する。 もしかしして、昨日のことがバレたんじゃないか……と。 とりあえずリビングまで続く廊下をフェイトと歩きながら、ユーノは震える声で言った。 「お茶、入れるよ。ちょっと待ってて……」 「ううん、いらない。だって――」 「なのはのところで、飲んできたから」  その瞬間、ユーノの身体がビクッと震え、足が止まった。廊下の温度が数℃、下がったような気がした。 背後から無言のプレッシャーを醸し出すフェイトに、ユーノは蛇に睨まれた蛙の如く、立ったまま固まってしまった。  先に沈黙に耐えられなくなったのは、ユーノだった。 ゆっくりと後ろを振り返り、乾いた口から、やっとのことで言葉を紡ぎ出す。 「……フェイト、もしかして――」  ばしっ 「ッッッ!!」  ユーノの頬に、強烈な衝撃が走った。フェイトに平手打ちを食らったのだとわかるまで、時間はかからなかった。 ジーンという痛みとともに、みるみる赤みを増していくユーノの頬。 フェイトに、なのはとのことがバレたということを、ユーノは知った。 [336]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:40:43 ID:c78i259e 「どうして叩かれたかは、わかるよね?」 「……ごめん……」 「謝る相手が、違うんじゃないの?」  フェイトのその言葉に、ユーノは何も言えなかった。先ほどまでのような、重い重い沈黙が再び流れる。 しばらくして、これ以上こうしていても無駄だと思ったフェイトは、ゆっくりと口を開いた。 「……で、ユーノはどうしたいの?」  5年前に告白を邪魔してしまったという負い目もある。 昨日、目の前の淫獣となのはを二人っきりにさせてしまったという自分の失敗(?)もある。 さらに、なのはを襲ってしまったユーノの気持ちも、少しはわからないでもない。 なにせ、ユーノがなのはのことを好いているというのはフェイトから見てもバレバレ、丸わかりなのに、 当のなのはは全く気が付いていない。周りで見ているこっちの方がもどかしい。 もちろん、告白する勇気のないユーノが悪いといえば悪いのだが、なのはも少しは気付いてあげてもいいと思う。 ユーノが爆発してしまったというのも、ほんの少し、本当にほんの少しだけ、フェイトにはわかる気がした。  だからフェイトは、ユーノに対して最後の救助ブイを投げた。 このチャンスをユーノがモノにできるかどうかは全くの彼次第ではあるが、 もしダメなら、所詮ユーノの器はその程度とフェイトは思うことにした。  ユーノはしばらくの間、一言も発せずに黙っていたが、やがてぽつりぽつりと喋り出した。 「……なのはに、謝りたい……」 「…………」 「なのはに会って、謝りたいんだ……」 「…………」  フェイトはあえて冷たく、しばらく無言を貫いた。 それはユーノにとっては紛れもない恐怖で――ユーノの顔がみるみる歪んでいく。 そんなフェイトに対し、恥も外聞も全て捨てて、ユーノは縋るかのように必死で訴えかけた。 「お願いだフェイト!もう一度、なのはに会いたいんだ!頼む、頼むよ!」  まるで、身体の奥底から全てを振り絞るような魂の叫び。 だが、ユーノの悲痛な懇願を耳にしても、フェイトは黙ったままだった。  なのはに話を聞いたとき、彼女は「あんなことされたのに、何故かユーノ君が嫌いになれない」と言っていた。 レイプ未遂をされても、なのははユーノのことをまだ信じているのだ。 そんな純真ななのはに、この淫獣は牙を剥いて襲い掛かった。 だから、この最低の男には、それなりの「おしおき」を加えなくてはいけない。 救助ブイは投げてやったものの、それに無条件で掴まらせてやる気は毛頭なかった。 「そうやってうまいこと言って、また、なのはに酷いことするんでしょ?」 「……っ!ち、違う!僕は本当に、なのはに謝りたいんだ!」 「あんなことしておいて、よくそんなことが言えるね。ユーノってホント、最低だね」 「……ッ」 [337]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:41:27 ID:c78i259e  フェイトの容赦ない言葉に、ユーノの顔が屈辱で紅潮する。 だが、親友を傷つけた最低の男には、このくらい言ってやらないと気が済まなかった。 散々ユーノを罵倒した後、ようやくフェイトはユーノを救助ブイに掴まらせてやった。 「……いいよ。なのはに、伝えてあげる」  うなだれていたユーノが一転、まるで神でも見たかのような、感謝を込めた眼差しで見つめてくる。 「フェイト……ありがとう……」 「でも、会うかどうかを決めるのはなのはだから」  フェイトは最後まで、冷徹さを貫いた。 「最後にこれだけは言っとくね、ユーノ」 「…………」 「今度なのはを傷つけるようなことしたら、絶対許さないから」  ピシャリとそれだけ言い終えると、フェイトはユーノの部屋を出て行く。 フェイトの凄んだその声に、ユーノは何も言うことができなかった。  なのはの部屋に戻ったフェイトは、全てをなのはに話した。ユーノが、もう一度なのはに会いたいと言っていること。 ユーノはなのはに、謝りたいと必死で訴えていたこと。 「なのは。どうしよっか?」  フェイトとしては、これで自分のやるべきことはやったと思った。あとは、なのはとユーノ、本人たち次第だ。 なのははしばらく迷っているようだったが、やがて意を決したかのように言葉を発した。 「……会う。会うよ。わたしももう一度、ユーノ君と話がしたい……」 「……なのはがそれでいいなら、私はいいけど……大丈夫?」 「うん」  フェイトの問いかけに、なのははコクリと頷いた。正直言って、フェイトはなのはがユーノと会うのは心配である。 だが、当の本人のなのはにこう言われてしまっては、フェイトとしてはこれ以上は何も言えない。 「私も、一緒に行こうか?」  せめてと思い、フェイトは一緒に行くことを申し出た。 なのはに対して再びユーノが何かをやらかすということは考えにくかったが、それでも物事には万が一ということがある。 だが、なのははゆっくりと、しかし確固たる意志を持って静かに首を振った。 「もう一回……もう一回だけ、ユーノ君を信じてみる……それに……」 「それに?」 「わたしも、ユーノ君に謝らなきゃいけないかもしれないから……」 「……なのは……?」 [338]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:42:13 ID:c78i259e  ユーノは不安に苛まれたまま家を出て、フェイトから伝えられた場所に向かった。 なのはがもう一度会ってくれるということをフェイトから聞いたときは、やったと思うと同時に、 言いようのない恐怖に襲われたことも事実だ。しかし、自分から言い出した以上、逃げるわけにはいかない。  約束の時間の30分も前に、ユーノは約束の場所に着いた。 万が一遅れたら洒落にならないし、自分を落ち着けるための時間も欲しかったからだ。 なのはを待つ間、ユーノはこれまでの人生で一番の恐怖と戦い続けた。  やがて――なのはがやって来た。  なのはは、来てくれた。あんなに酷いことをしてしまったのに、もしかしたら、また同じ目に遭うかもしれないのに。 さらに驚いたことに、なのはは一人でやって来た。ユーノはてっきり、フェイトと一緒に来るものだと思っていた。 驚いたと同時に、ユーノは改めて決心を固める。  もう絶対に、なのはを傷つけるようなことはしない――と。  まだ少し怖いのか、なのははユーノから少し距離を置いたところで立ち止まった。 ユーノが顔を上げると、なのはは慌てて顔を背ける。その表情にはやはり、どこか怯えがあった。 なのはも覚悟を決めてここにやって来たつもりだったが、いざユーノを目の前にすると、身体が強張るのを押さえられない。 「なのは……」 「……っ」  ユーノの声に、なのはの身体がビクッと震える。声を掛けただけで怖がらせてしまうなんて……。 だがこれも、全て自分のせいだとユーノは自分に言い聞かせる。 少々の沈黙の後、意を決したユーノは勢いよく頭を下げて叫んだ。 「ごめんなのは!本当にごめん!」 「…………」 「許してもらおうなんて思ってないけど……本当にごめん!!」 「…………」  なのはは俯いたまま、黙っていた。ユーノの言葉に、何も反応を見せなかった。 だが、ユーノはそのまま言葉を続ける。それが今のユーノのやるべきことだったから。 「僕はその……あの時、なのはのことを考えないで、自分のことしか考えられなくて……」 「…………」 「なのはの言う通り、僕は最低の人間だよ……」 「…………」  なのはに謝りながら、ユーノは再度、自分のやってしまった罪の大きさを噛み締める。 浅ましい欲望に負け、人間として最も卑怯で最低な行為をしてしまった。 拒絶するなのはに無理矢理自分を押し付け、彼女を力ずくで自分のものにしようとした。 その結果、なのはを酷く傷つけてしまったのだ。 これだけのことをして、許してもらおうとか、ましてや好きだなんて言う資格はないと、ユーノは自認した。 「……僕の言ったことは全部忘れて……」 「…………」 「僕みたいな最低な人間に、なのはのことを好きだなんていう資格はないから……」 「…………」 「本当に、ごめん……」  ユーノとしては、言いたいことはこれで全て終わりだ。あとは、なのはがどうするかである。 だが、なのはは相変わらず俯いたままで、一言も発しようとはしない。 [339]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:43:08 ID:c78i259e (やっぱり、ダメだったか……)  許してもらえるどころか、謝罪の言葉をまともに聞いてもらえるかどうかもあやしいとはユーノも思っていた。 だが、実際になのはの無反応の様子を目にすると、ショックだった。 (でも、これも全部……僕の自業自得なんだよな……)  もう、これ以上ここにいても無駄だと、ユーノは重い足を引きずって家への道を歩き出そうとした。 ――だが、その時だった。なのはの口が、ようやく開いた。 「ユーノ君、待って……!」  突然後ろから投げかけられたなのはの言葉に、ユーノは弾かれるように後ろを振り返る。 なのははまだ顔を背けたままだったが、それでもユーノに向かって喋り出した。 「その……わたしも、ユーノ君に謝らなきゃいけないかも……」 「……へ……?」  なのはの言葉の意味が一瞬わからず、頭の中で数秒ほど反芻した後、ユーノは狐につままれたような顔になった。 なのはに酷いことをしたのは自分であって、それなのになぜ、彼女が自分に謝る必要があるのだろうか。  フェイトがユーノの部屋に行っている間、なのははベッドに寝転がりながら一人考えていた。 「…………」  昨日は、あんなことをしたユーノに対する怒りや悲しみが心中のほとんどを占めていた。 だが、時間が経って落ち着くと、心の中にあるのは怒りや悲しみだけではないことに気が付いた。 なにより、あんな酷いことをされてもユーノのことを何故か嫌いになれない自分がいる。 (あんなことされたのに……わたし、どうしてユーノ君が嫌いになれないんだろ……)  形はどうあれ、男の子から面と向かって「好きだ!」なんて言われたのは生まれて初めてだった。 なのはは、ユーノとのこれまでをぼんやりと思い返してみる。  ユーノは昔から、本当に優しかった。 自分が魔法の力に目覚めてから初めて直面した大事件、『プレシア・テスタロッサ事件』でも、 その後に起こった『闇の書事件』でも、ユーノはいろいろと自分を気遣い、後ろからサポートしてくれた。 そして何より、瀕死の重傷を負い、もう歩くことすらできないかもしれないと言われて心が折れそうになった自分を、 ユーノは本当に一生懸命、献身的に支えてくれた。 彼がいなかったら、今の自分はまず間違いなく存在していない。  そこまで考えてみて、なのははハッと気が付いた。  自分の中におけるユーノの存在とか、そんなこと、今まで意識したこともなかった。 自分の周りに空気があるように、彼がいるのが当たり前、ましてや彼がいなくなるとか一度も考えたことがなくて。 灯台下暗し、身近な存在すぎて、逆に彼のことが見えていなかった。 それは、いつも自分を支えてきてくれたユーノに対しては、この上なく残酷な態度だったかもしれない。 昨晩のユーノの叫びが頭の中で蘇る。 『好きだっ!好きなんだ、なのはあぁっ!』 『好きなんだ、なのはのこと。好きで好きでたまらないんだ!』 『なのはのこと、好きで好きで仕方がないんだ!』  もしかしたら、ユーノは苛立っていたのかもしれない。 自分はユーノを見ているようで、結局は全然彼のことを見ていなかった、となのはは思う。 ユーノは、もっと僕を見てほしい、僕はここにいるんだと、そう訴えたかったのではないだろうか。  一度ユーノの存在を明確に意識しだすと、なのはは心の中で彼の存在が一気に大きくなっていくのを感じた。 [340]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:44:22 ID:c78i259e 「ユーノ君がいてくれるの、当たり前だと思ってた……」 「なのは……?」  ユーノの話を黙ったまま聞いていたなのはだったが、実は内心ホッとしていた。 フェイトの前では「もう一度ユーノ君を信じてみる」とは言ったものの、正直言って怖くなかったといえば嘘になる。 また、酷いことをされたらどうしよう、と。 だが、誠心誠意謝ってきたユーノを見て、なのはも自分の気持ちを素直に言う気になったのだ。 「ユーノ君がいつも優しいのも、当たり前だと思ってた……」 「…………」 「ホントは全然、当たり前なんかじゃないのに……」  これは一体……? と訝しげな顔をするユーノに、なのはは続ける。  闘いの時はいつも後ろから支えてくれて、背中が温かかったこと。 大怪我をして辛くて苦しかった時に、いつも傍にいてくれて本当に心強かったこと。 いつもいつでもどんな日も優しくしてくれて、嬉しかったこと……。  ユーノに対する今までのそういう気持ちを、なのはは連ねた。 「なのにわたし、いつの間にかそういう気持ちを忘れちゃってたのかもしれない……」 「…………」 「ユーノ君が近すぎて、ユーノ君の存在を見失っちゃってた、きっと……」 「…………」 「だからその……昨日のことは、そんな自分への罰が当たったと思っとく……」  風向きが思わぬ方向に変わっていくのにユーノは驚き、恐る恐る問い掛けてみる。 「なのは……許してくれるって、こと……?」  ユーノの言葉に、なのははゆっくりと頷く。ユーノは、全身から力が抜けていくのを感じた。 「……なのは、本当にごめん……ありがとう……」 「ん、よかった……いつもの優しいユーノ君に戻ってくれたんだね……」  まだ少しお互いの態度はぎこちなかったが、とりあえずはホッとした空気が流れる。 ゆっくりと歩み寄り、どちらからともなく手を握る。 そして――今こそ改めてなのはに自分の気持ちをキチンと伝える時だろうとユーノは思った。 決心したユーノは、一度大きく深呼吸をしてから、ゆっくりと口を開く。 [341]ぬるぽ 2008/07/04(金) 04:48:02 ID:q9PxfrbO 引っ掛かったので携帯から自分で支援(笑) [342]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:48:31 ID:c78i259e   「僕、なのはのことが、好きだ。なのはとずっと一緒にいたい……」 [343]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:49:09 ID:c78i259e   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 [344]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 04:49:33 ID:b9NKIv5J 支援 [345]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:50:11 ID:c78i259e  一年が経った。  あの謝罪の後、ユーノに告白され、付き合ってほしいと言われた時は、なのはは正直どうしようか迷った。 確かにユーノには好意を抱いていたが、それは「男性としての好意」とは程遠いものだった。 言ってみれば「友達としての好意」である。 だが、ユーノの真摯な態度もあり、結局彼の熱意と想いに押し切られる形で付き合うことを受け入れた。  ユーノと付き合い始めて半年も経った頃、なのはは自分の心境の変化に気が付いた。 (わたし、ユーノ君のこと、好きになってる……?)  今までは、ユーノのことを「友達」として見てきた。 付き合うようになってからは、ユーノを「男性」「恋人」として見るようになった。 すると、今まで「優しい」という彼の長所が、自分の「女性」の部分を強く惹きつけるようになったことに気が付いた。  ユーノと一緒にいると、彼が傍にいてくれると、安心する。 恋人として彼と話していると、今まで感じたことのない感情が自分の中に入ってくるのを感じる。 逆に、彼がいなくなってしまうと心がきゅっとなって淋しい感じがする。 彼が自分以外の女の子――例えば、親友であるフェイト――と一緒にいるのを見ると、そわそわしてしまう。  一般的に、女性に対して「どういう男が好き?」と尋ねると、「イケメン」やら「かっこいい」やら「金持ち」やら、 そういう回答が返ってくることが多かったりする。 だがしかし、なんだかんだで女性というものは「優しい」男に魅かれるものらしい。 ユーノは本当に、自分を優しくいたわってくれるのだ。それも、いやらしい下心とか、そういった感じはない。 ただただ純粋に、自分のことを好きでいて優しくしてくれる感じである。 ――その日も、ユーノとなのはは午後からデートをした。 適当にミッドチルダの街や公園を歩き、喫茶店に入ってお茶をしながらたわいもない世間話や雑談に興じた。 喫茶店を出て再び適当に時間を潰し、お腹が空く時間帯になったら、夜景の眺められる高級レストラン……ではなく、 そこらへんの店に入ってご飯を食べた。 正直言って、おままごとみたいなデートではあったが、それでも二人は十分楽しめた。  ご飯を終えたユーノとなのはは今、並んでミッドチルダの街を歩いていた。 別に目的地があるわけではない。なんとなく歩いているだけだ。 ちなみに――自動車の走る道路の歩道を二人で並んで歩く時は、ユーノが必ず車道側を歩く。 ユーノに言わせると、「車が突っ込んできても、僕がなのはの盾になれるから」だそうだ。 最初、なのははそれを聞いて思わず吹き出しそうになったが、そういうところに気を配るユーノの優しさに、 心が温かくなった。 「なのは、明日は休み?」 「うん、わたしは明後日からお仕事。もう一箇所くらい、どこか寄る?それとも、もう帰ろっか?」 「…………」 「……ユーノ君?」  急に思いつめたような表情で黙り込んでしまったユーノを見て、なのはの声が不安そうになった。 しばらくの間、ユーノは黙り込み、無言のまま二人は10mほどは歩いただろうか。 「ねえ、どうしたの?」  先に沈黙に耐えられなくなったなのはが、もう一度ユーノに声を掛ける。 それが引き金になったのか、意を決したかのようにユーノが口を開いた。 「それなら……ホテルでも、行こうか……」 [346]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:50:55 ID:c78i259e  ユーノも人間であり、男である以上、なのはを「オスの目」で見てしまうことは当然ある。 今まで彼女を散々『夜のおかず』にしてきたし、それが高じて1年前の『未遂』事件もあった。  だが、なのはと付き合うようになってから、ユーノは不思議となのはを「オスの目」で見ることが減った。 例の未遂事件の後、「なのはを傷つけるようなことは二度としない」と心に強く誓ったからか。 また、実際になのはと付き合い始めたことにより、彼女に対する「飢え」が薄まった影響もあるのだろう。 とにかく、ただ純粋に「なのはとずっと一緒にいたい・彼女を守りたい」と思うようになった。  それでもやっぱり――ユーノは男だ。大好きななのはをぎゅっと抱き締めて身体にたくさん触れてみたい。 もっと言えば、『してみたい』。そういう衝動に駆られることが時々あった。 「えっ、ホテルって、なんで?それなら家に帰……あっ……!」  怪訝そうな表情で疑問を口にしたなのはが、途中でユーノの言葉の真意に気付いて赤面した。 要するに――ユーノは自分とセックスをしたいと言っているわけだ。  なのはだって、もう子供ではない。いつかは『そういうこと』になるだろうと漠然とは考えていた。 だが実際、それに直面してしまった今、どういう反応を返したらよいか、咄嗟には思い浮かばなかった。 「…………」 「…………」  二人の足が、ふと止まった。 さっきまで楽しく会話をしていた雰囲気はどこへやら、一転して二人の間には気まずい沈黙が流れた。 「ご、ごめんなのは。冗談だよ、気にしないで……」  気まずい空気をなんとか払拭しようと、あ…ははは…と不自然で乾いた笑いを上げながらユーノは歩き出そうとする。 ユーノ君の変態!というなのはの罵りとともに、平手打ちの一つでも飛んでくるかと思ったが、 幸いにもそれがなかったことに、彼は内心安堵した――その直後だった。 なのはがユーノの腕を捉え、顔を伏せながら蚊の泣くような小さな声で呟いたのは。 「……いいよ」 「……へ?」 「ユーノ君とだったら、いい……」  頬を赤く染めてユーノを見上げてくるなのはの表情は、いつもより数段女の子らしく見えた。 [347]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:51:39 ID:c78i259e ――今、なのははユーノの部屋のシャワー室でお湯を浴びている真っ最中である。  結論を言えば、結局ユーノの部屋で『する』ことになった。 諸々の理由で――例えば、なのははそこそこ有名人だからとかホテルはマズイ――この場所ですることにした。  なのはは一つ、条件を出した。避妊はしてほしい、ということだ。理由は二つある。 一つ目は、単純に今妊娠してしまうのはまずいからだ。 なのはは今、管理局でバリバリに働いている最中。時空管理局も、彼女の力を大いに必要としている。 そんな彼女を妊娠でもさせてしまったら、まずなのは本人の人生計画が狂うだろうし、迷惑がかかる。 管理局の方だって、今なのはに「産休」やら「育休」を切り出されたら困惑するだろう。  二つ目は、親――特に母親――に昔から教え込まれて築き上げられた価値観のため。 結婚する前に子供を作るのはよろしくない、という親の考えとその意味を、なのははキチンと頭に置いていた。  そういうわけで、ユーノはなのはがシャワーを浴びている最中、引き出しの中をゴソゴソと引っ掻き回していた。 (本当に、これでよかったんだろうか……)  先にシャワーを浴び、トランクス一丁の格好で引き出しの中を漁りながら自問自答するユーノ。 もちろん、なのはと『できる』のは嬉しい。 だが、いざ『OK』を出されると、なのはのような自分には勿体無い女性を自分が汚してしまってもいいのだろうか、 という気持ちも同時に湧き上がってきたのも事実だ。 「あった……」  1年ほど前、とある悪友がからかい半分で、ニヤニヤしながらユーノにコンドームを渡してくれた。 いらないよ、と言ったのだが、持っておいて損するものじゃないから、という理由で半ば強引に受け取らされた。 まあ、使うことはないだろうと部屋の引き出しの奥に封印してあったと思ったが、やっぱりあった。 まさか、役に立つ日が来るなんてね……と自嘲気味に笑いながら、箱を破って中身を取り出しておく。 「ふう……」  ユーノは一つ大きなため息をつくと、どっかりとベッドに腰掛けた。 どうしても、先ほどから感じているモヤモヤを払拭できない。本当に、なのはとしてしまっていいのだろうか。 何回考えてみても思考は纏まらず、まるでケージの中でホイールをくるくる回しているハツカネズミのようだ。  そうして逡巡を繰り返しているうちに、寝室の扉ががちゃりと開いてなのはが入ってきた。 お風呂上りのその姿に、ユーノの心臓がドクンと高鳴る。 いつもサイドポニーに纏めている髪の毛をおろしている姿を見ると、随分と違う印象を持った。 なのはは身体にバスタオルではなくて、布団のシーツを巻いていた。 ユーノの部屋には身体を覆い隠せるような大きいバスタオルは置いてなかったので、 なのははクローゼットからシーツを引っ張り出して脱衣所に持っていったのだ。 「…………」 [348]ぬるぽ 2008/07/04(金) 04:54:05 ID:q9PxfrbO (苦笑) [349]■ ユーノ・スクライア逝ってよし! ■ ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:54:17 ID:c78i259e  なのはは無言でユーノの隣まで来ると、ベッドにちょこんと腰掛けた。 やはり、緊張した面持ちだった。当然だろう。今から「する」ことは初めてのことなのだから。 ユーノにも、なのはが緊張しているのがよくわかった。 こんな時は男である自分が何とかしなくては、と思うのだが、如何せんまだユーノは人生経験が乏しい。 口から出たのは、先ほどから感じている疑問だった。 「なのは……」 「ん……」 「……本当に、いいの?」 「え?」 「その……本当に僕でいいの?」  どうして、この期に及んでこんなことを言うのだろうか、となのはの表情が不安げになった。 そもそも、「しよう」と言い出したのはユーノの方ではないか。 「ユーノ君は……わたしのこと、好きじゃないの?」 「すっ好きだよ、もちろん!……でも……」  ユーノは慌ててフォローを入れた。やはり、こんなこと言うべきではなかったか、とも思った。 だが――今感じていることをきちんと伝えないまま行為に及ぶのは無理な気がした。 一度息を大きく吐き、気持ちを落ち着けてから再び口を開く。 「……なのはのこと、大事にしたいんだ」 「…………」 「さっきはその……場の勢いでついつい言っちゃったけど……」 「…………」 「これって大事なことだと思うからさ……勢いとかでやっちゃいけないと思うんだ……」 「…………」  ユーノの言葉を、なのはは黙って聞いていた。 「もし、なのはが本当は嫌だったら……今からでも遅くない。嫌だって言ってくれれば……」  心の中に抱いていた思いを喋りながら、一方でユーノは、自分は何を馬鹿なことを言っているのだとも思う。 なのはとエッチできる絶好のチャンスを得たというのに、なんでわざわざそれをフイにするようなことを言うのか。 だが、どうしても「本当はなのはは嫌がってないだろうか、無理に自分に付き合ってくれているだけではないか」 という疑問が最後には出てきてしまい、男の欲望に徹しきれない。  ユーノのそういう気持ちは、なのはにも敏感に伝わったようだ。 なのはは、ちょっと困ったな……というような表情をしばらく浮かべていたが、やがて―― 「っ!なのは……」  ユーノの隣にちょこんと腰掛けていたなのはが、ユーノにゆっくりともたれかかった。 「わたしは――本当に、嫌じゃない。……ううん、ユーノ君とその……したい。嘘じゃないよ」  なのはは本当に嘘をついてなどいない。正直な気持ちを、今述べた。 こういうシチュエーションになったら、男によっては本能丸出し、女に有無を言わさずむしゃぶりつくだろう。 女性側の都合など考えず、ただただ男の欲望を押し付ける――あの時のユーノのように――獣も少なくないはず。 だが、ユーノは自分が本当に嫌がっていないか、もっと言えば、自分の気持ちをキチンと尊重しようとしてくれる。 なのはは改めて認識した。自分は、ユーノのこういうところに魅かれたのだと。 「……わかった。ありがとう、なのは」  ユーノは覚悟を決めた。迷ったままなのはを抱いても気持ちよくないだろうし、第一なのはにも失礼だ。 自分にもたれかかってくるなのはの身体に手を回し、ぎゅっと抱き締めた。 [350]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 04:55:57 ID:b9NKIv5J 支援 [351]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 04:58:36 ID:wdEKrSxu 私怨11 [352] ◆6W0if5Z1HY 2008/07/04(金) 04:59:40 ID:c78i259e  今日はネットカフェからの投稿なので、改行数や連続投稿に引っかかりまくってgdgd……PC逝ってよし!! >>344ありがとう。読みにくくなって大変申し訳ない。疲れた……今回はここまで。もうねるぽ…… 第1話  http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213890379/348-359 第2話  http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1213890379/373-383 第3話  >>333-340 >>342-343 >>345-347 >>349 [353]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 07:35:11 ID:YpDpSE7R 作品は非常に楽しみなのですが、中の人の2ちゃん語が興ざめ感たっぷり。 [354]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 08:26:33 ID:XKC4MT4s なのはが、優しくされれば案外簡単にふらふらと他の男に行きそう [355]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 08:27:29 ID:+XoiFjbu >>352 なんでそんなに宣伝に走るか…… だからユーノ厨はうざいと言われるんだぞ [356]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/04(金) 08:42:43 ID:VqEBH9ZA 黙れ [357]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/04(金) 09:02:19 ID:G+nqbFlY いるよな 後書きで自分語りとかする奴 誰も聞いちゃいねーよ [358]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/04(金) 09:14:52 ID:k2XSs9MU >>355 ユーノがメイン張ったのを書いた→ユーノ厨という思考がすげえ。 ユーノ好きというわけではないが、その人たちにしてみれば一括りにされて 不快だろうな。 まあ、>>352の宣伝や語りが鬱陶しいのも事実だが。 [359]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 09:20:49 ID:tm8qE74w >>352GJですよ! フェイトもきっちり怒ってユーノをほとんど許さなかったのに好感が持てますし、ユーノの付合い方もあれだけのことをした後なのを考えたら実に良い付合い方です。 昨日の夜の宣伝行為(のつもりではなかったのでしょうが)は正直ないな〜と思ってたけど一気に文章に引き付けられました。 続きを楽しみにしてます。 >>357 そうか?少なくとも俺は好きな作品の後書きならどんな内容でも読むよ。 てか>>352は投下に障害が出た理由を少し説明しただけじゃん。 それを自分語りって…… [360]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/04(金) 09:30:17 ID:G+nqbFlY 誰が>>352の話だって言ったよwww [361]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 10:31:59 ID:JnnHUaJg つうか、読み手は職人さんが書きやすい環境を整えるのが最低限のマナーじゃないのかね? >>352 GJ!スケベシーン全裸で待ってる! [362]ぬるぽ@携帯からハロハロ 2008/07/04(金) 11:26:06 ID:q9PxfrbO  うあ、これはしまった……。 火に油かもしれんが、なぜ自分は『あんなこと』をしているのかを一応説明しておくと、宣伝のつもりではなくて @2・3月頃、作品が大量に投下され、3日で1スレ消費とかすごかった時期がありました。 あの時は自分自身、読み手として「この話、前回ってどんな感じで終わったっけ?」となることが多く、 大量に投下されているSSの中から「前回の話」を引っ張り出して「復習」とかしてたのですが、 大量に投下されているSSの中から「前回の話」を探すのが、正直面倒だと思ったことがありました。 そんなわけで、書き手の立場に立ったときは、「速攻で前回の話に飛べたら便利かも」と 自分なりに考えて『あんなこと』を始めた次第です。 投下ペースが落ち着いている今の時期はそんな配慮いらんやん、と思う方もいるでしょうが、 一度やったことは今回もやらないと気がすまないというか、そういう性格なもんで……。 Aもう一つ。ああやって投下した『地点』を整理しておくと、 ひょっとしたら保管庫業務の方の仕事を1%くらいは軽減してあげられるかもしれないなあ…と。 (実際はどうかわかりませんが) しかしアレか、過ぎたるは及ばざるが如しって感じもしてきた……。 とにかく、作品を読んでくれる方、いろいろと指摘してくれる方、ありがとうございます。 [363]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 11:33:42 ID:VwvblGtX きにしなくてイイよ! 毎日わいてる自宅警備員だから [364]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 11:43:15 ID:RNJ7y0Sp >>362 や、読み手のことまで気を遣えるのはすごくいいことだと思います。 今ぐらいのペースならと言いますが複数の作品を同時に追っていると内容がごっちゃになりがちなのでありがたいです。 [365]名無しさん@ピンキー<> 2008/07/04(金) 11:43:39 ID:VqEBH9ZA 続きを全然書かない人もいるしな [366]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 11:50:26 ID:SvT0gvrY >>362 おk、そういう配慮はいいと思う。 ただ、あなたも含めて自分が面白いと思ってるノリを SS以外で見せる職人にげんなりする層がいるのはわかってほしい。 >>363 スレの多勢だと思うとそれ以外を虫けらみたいに扱うよね、ここ [367]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 12:15:13 ID:XYIcY4Hc 大分前にユーノ系は散々たたかれて、主役貼るような話はほとんど追い立てられたからな。 今でもユーノメインを書くと即座に叩くやつがいるからなぁ。 ユーノスレのほうじゃ無いと、ユーの主役の話は書きにくい環境になってる。 [368]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 12:25:12 ID:mqZpJBmZ 第一期のアニメ見てないんでちょいと聞きたい。フェレットがなのはと一緒にお風呂に入ったり、着替の時おなじ部屋に居たり、一緒のベットで寝たりってイベントってあったかの? [369]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 12:29:30 ID:EL0lVyk/ 着替え時は確実に居た。 風呂はコミックで一緒にはいって(ry ベッドは憶えてない。 [370]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 12:32:48 ID:sbPV6f+i >>349 こいつは甘え! まるでチョコレートにハチミツをぶちまけるが如き甘さ!! いよいよ本番だぜ! 甘ったるいニャンニャンを俺たちに見せてくれぇ!! あと前回の紹介とか俺たちには不要です。 まとめWIKIがあるし、検索かければいいし、なんとでもなりますので。 [371]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 12:37:18 ID:nO2JvqwI 温泉でなのは以外の女性陣とも入ってたな [372]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 13:10:30 ID:nBVd7H6Y 正確には…… ユーノがいるのを承知の上で、なのはが着替えを始めた(なのははユーノの正体をまだ知らない) ユーノ、慌てて後ろを向く。 温泉での着替えの時、なのはがユーノを脱衣場に連れ込んだ(まだ正体知らない) ユーノ、男湯に逝くと申し立てるも、色々見てしまってノックダウン。そのまま女風呂へ連れ込まれる。 訓練終了後の風呂。なのはとユーノ、一緒に入ってる(すでに正体を知っている) ユーノ、姿はフェレットのまま。 一緒に寝てる描写はなかったはず。 ベッドに倒れてそのまま寝てしまったなのはに、シーツをかけてあげる描写はあったが、そのときだけ人間に戻って、またすぐフェレットになって自分はバスケットに戻ってる。 [373]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 13:10:55 ID:MaSMjway まあ八割がた無理やりだったんだけどなw [374]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 13:17:07 ID:UgHQ9BUY 一緒のベッドはなぁ…… 描写はないが、寝ぼけなのはにユーノが齧られたことがあるから 偶にはあったんじゃないかな 当然なのはが主導で [375]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 14:27:08 ID:tm8qE74w てかエリオより一つ下の9歳だぞ? とても仲いいんだぞ? ギャグとかでイジルならわかるけど本気で淫獣だと思ってる人はちょっとアレだよね [376]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 15:58:40 ID:JmXERr2Z 普通はラッキースケベくらいの意味だよなぁ [377]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 16:24:43 ID:2rE+p/32 >>375 しかしユーノ自身が意識してしまっている以上、淫獣と言われても仕方ないのかもしれない [378]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 16:29:29 ID:MuNSfGnk >>375 自分が人間だって明かしてないのに風呂に入ってったり一緒に寝てたりしたら 淫獣と言われても仕方ないと思うが [379]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 16:47:16 ID:nBVd7H6Y 本人は、なのはが正体知ってると思い込んでたからなぁ。邪な想いがあって意図的に隠してた訳じゃないし。 [380]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 16:57:15 ID:YpDpSE7R 淫獣って呼ぶのは妬み半分だろ、正直。 [381]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 17:38:15 ID:VD6HG9mM いやだなぁ、愛称に決まってるじゃないですか。 [382]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 18:07:34 ID:Z5miLGLc アニメキャラに本気で嫉妬してる奴なんているのか? いや、たまに見かけるけどさ。 [383]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 18:16:37 ID:GUp6hE6A こういったスレでアニメキャラだの二次元がどうの言う奴は自分が空気読めてないって自覚あるんだろうか [384]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 18:17:47 ID:VwvblGtX あいやーえいあーおあーいおー あいやーえいあーおあーいおー [385]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 18:18:10 ID:VwvblGtX 誤爆スマン [386]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 18:20:07 ID:VD6HG9mM どんな誤爆なんだ! [387]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 18:28:58 ID:J52ehfL9 >>382 ニコ動見れるならリリちゃプレイ動画8話〜14話見てみ。 とくに10話、11話、14話。 笑えるくらいに嫉妬の山。 [388]まさと 2008/07/04(金) 18:33:01 ID:Fi+ViwBe ムラムラしてます 女の子募集^^ [389]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 18:44:11 ID:WujLw5Ih なんか情熱大陸が聞こえた [390]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 18:44:25 ID:+qMQcIOy >>387 実に笑えました [391]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 19:33:25 ID:K5XRcjzl >>352 GJっした。 一つ疑問というか、違和感感じたのは、付き合い始めてから今回の展開に至るにあたって、ユーノの方から切り出したことかな。 強姦未遂までやらかして罪悪感一杯だったユーノの方から、そっち方面のアプローチかけるのはアレかな、と。 むしろ下手に手を出せなくなって、逆に自分の気持ちに気付いたなのはの方が、いつまでも関係が進まないことに悩む、とか。 まあ、個人的な意見は置いておいて……続きを期待してますぜ。 [392]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 20:23:11 ID:9BqPrGrv お前の違和感なぞ溝に捨てちまえ [393]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 20:37:46 ID:jjjkwFbF >>366 >>スレの多勢だと思うとそれ以外を虫けらみたいに扱うよね、ここ 当たり前でいいことじゃん。何か問題あるんか? [394]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 20:52:50 ID:nO2JvqwI >>393 自分が虫けらみたいに扱われたのが気に入らないんだろ? 相手しちゃいけません [395]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 21:01:31 ID:rAdC9MBd 最近はエリオものだろうが、ユーノものだろうがどちらとも荒らしみたいなのがでてるからな。 まあスルーするのが一番っしょ。 [396]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 21:12:21 ID:uSdqVuu0 >>392 いや、さすがにそれは言いすぎだと思うよ…… SSを読んでどう思うかなんて人それぞれ違うんだから…… [397]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 21:26:15 ID:MuNSfGnk なんか今日は変な雰囲気だな 単発IDで何度も書き込んでる奴いるだろ [398]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 21:27:40 ID:zH3IR2jR ここんとこ変な流れだよな止まっちゃいないけど、昔はこんな流れあったの? [399]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 21:33:13 ID:uSdqVuu0 >>398 まあこういう場所だし荒れる事は普通にあるよ このスレは途中で誰かの投下が始まる→鎮静するのパターンが多いから あまり荒れる印象が無いのかもしれないけど [400]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 21:33:16 ID:fMjrSibH なかったなあ。 こういう流れになりそうな雰囲気があってもスルーされてたし。 というか雑談が多くなってきたのもここ二十スレぐらいか。 去年までは作品の投下と感想が大半占めてて、600ぐらいで次スレ立ってた。 [401]399 2008/07/04(金) 21:34:42 ID:uSdqVuu0 あ、こういう場所ってのは匿名掲示板ってことね [402]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 21:37:41 ID:qeEGTd8c >>398 昔から時々あるよ? 言い換えると無かった日は無かったとも言える。 [403]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 21:45:55 ID:GUp6hE6A >>398 前から荒れるときは荒れるし荒れないときは荒れないって感じ 当たり前だけどさw 俺は3〜40スレ辺りのが雰囲気好きだったぜ >>402 言ってることおかしくないか?w [404]399 2008/07/04(金) 21:58:29 ID:uSdqVuu0 >>403 >>402は言語魔法の使い手なんだ [405]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 22:09:35 ID:nO2JvqwI >>395 とは言え、最近男キャラでその二人以外がメインの投下を見ないのはなぁ クロノとかヴァイスとかゼスト辺りがメインの作品も読みたいものです [406]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 22:19:05 ID:WujLw5Ih ウホッ分が足りない [407]名無しさん@ピンキー 2008/07/04(金) 22:21:42 ID:Hz7ASeFC クロノは多くないか? 最近の印象だが。 とりあえず、ゼスト、レジアスやゲンヤといったおっさんぶんを補給してくれ〜〜w [408]4の422 ◆h7y.ES/oZI 2008/07/04(金) 22:33:22 ID:bSwdQNm2  ご無沙汰すぎるご無沙汰です。4の422です。えーと、40スレぶりくらい?w  無事Jrは産まれました。女の子です。  というか、産まれたというより、すでに三ヶ月、0.25歳ですw  (那ノ花でも七瀬でも美由希でもはやてでも笛伊都でもB太でも斜理緒でも昴でも詠美衣でもありませんがw>名前)  「もう一人…」か「CherryLight・NEXT」を投下したかったんですが、  あまりにも間が空きすぎたので、リハビリを兼ねて全然別の物を書いておりました。  とりあえず  ヴィヴィオ自慰(?)  微エロ、後半少しだけパンニー(w  10レスほど使用しまーす。 [409]4の422 ◆h7y.ES/oZI 2008/07/04(金) 22:35:59 ID:bSwdQNm2   「じゃあ、ヴィヴィオ、私は帰りますから後のことはよろしくお願いしますね」 「はいっ! 今日もありがとうございました。アイナさん!」 「はい、さようなら」 「さよならー」  手を振ってアイナを見送ったヴィヴィオは、玄関の扉を閉め、鍵をかけるのももどか しく、脱兎のごとくリビングに取って返す。  たたっと廊下を付き抜けリビングへ、そのまま一気にキッチンまで駆けて行く。  目当てはアイナが作ってくれた今日の夕飯。  コンロの上に目標物を発見したヴィヴィオは、にっこり笑ってお鍋の前へ行くと、そ の蓋をぱかっと開けた。  途端、ふんわりと美味しそうな匂いがヴィヴィオの鼻をくすぐる。 「わっ! 美味しそう! えへへぇ、クリームシチューかぁ、なのはママ早く帰ってこ ないかなぁ〜  アイナさんのクリームシチューは私の好きな鮭とかベーコンが入っててすっごく美味 しいんだよねー……そう、ものっっっごく美味しいんだよ……うん、ほんとに……思わ ず味見しちゃいたいくらいに……おい…………しい……」  誰もいないはずの周囲をきょろきょろと窺うヴィヴィオ。 「……うん、そうだ! なのはママも大好きな味か確認しなきゃ! そう、決して私が つまみ食いしたいからじゃないんだよ。なのはママのためなんだから! うんっ!」  この行動は正義だと自分に言い聞かせ、ぬふふふふ、と、留守宅に侵入したこそ泥の ような笑みを浮かべると、ヴィヴィオはお鍋の蓋を一旦元に戻し、食器棚へと歩み寄…………  ・ ・ ・ 流し台の上にラップをかけられた白いお皿が一枚 ・ ・ ・ 「…………」  こそ泥の姿勢のまま、ヴィヴィオは顔だけ向いてそれを見つめる。  目をしばたかせながらも、ゆっくりとそのお皿に向き直り、そっとかけられたラップ を取り払うと、わずかな量のクリームシチュー。  それがお鍋の中身と同一であるのは火を見るより明らか。   『食いしん坊のヴィヴィオのための味見用です。 アイナより』  お皿を重石にして置かれたメモが、10歳のヴィヴィオの哀愁と涙を誘った。   魔法少女リリカルなのは  〜 A love affair in the bath  〜 [410]4の422 ◆h7y.ES/oZI 2008/07/04(金) 22:36:45 ID:bSwdQNm2 「まったくぅ! アイナさんってば、ヴィヴィオ食いしん坊さんなんかじゃないもん! 違うもんっ!…………美味しかったけど……」  ぶつぶつ文句を垂れながら、ヴィヴィオはテーブルの上に食器を並べていく。ちなみ にフェイトは先週から次元航行勤務のため、明後日まで帰ってこない。並べているお皿 はヴィヴィオとなのはの2人分である。  機動六課解散より数年後。  正式にヴィヴィオを引き取ったなのはは、そのヴィヴィオと、そしてフェイトと共に ミッドチルダに一軒家をかまえ、そこで暮らし始めた。  娘ができたことにより、なのはは教導の任務すら抑え始め、なるべくヴィヴィオと同 じ時間を過ごそうと勤めている。ほぼ毎日、定時とはいかないものの、夜になったな、 と思うくらいの時間に帰宅するのが、ある意味なのはの日課となっていた。  そして帰ってくるなのはを心待ちにするのもヴィヴィオの日課と言えた。 「よしっ、できたー♪」  とりあえずアイナへの怒り(?)を落ち着かせ、綺麗に並べることのできた食器達に、 うんうんと満足したヴィヴィオは思い出したように時計を見る。  と、時間はまだ6時半を少し回ったところ。 「なのはママが帰ってくるまでまだ1時間くらいあるなぁ……んー、どうしようかな…… 宿題はやっちゃったし、今日は見たいテレビもないし……、お風呂はなのはママと一緒 に入……ん?」  うーん、と頭を唸るヴィヴィオの脳裏にふと一つのアイデア。 (ただいまー、ヴィヴィオー) (なのはママー、おかえりなさーい。ねぇ、聞いて聞いてー) (ん、何何、どうしたの?) (えっとねぇ、今日は、魔法じゃなくて、1人でお風呂で頭洗えたのっ!) (ええっ?! シャンプーカードじゃなくて自分で洗ったの?!) (うんっ! ちゃんとできたよー。ほらほらー) (うわぁ、凄いね、ヴィヴィオ、いつの間にできるようになったの?!) (えへへー、だってなのはママの「むすめ」だもんっ!) (えらいえらい。もしかしたらフェイトママより上手かもしれないねー。よし、じゃぁ ご褒美にキャラメルミルク作ってあげるね!) (わーい、やったぁ!)   「……え、えへへ、それでもって、ヴィヴィオもお手伝いするー、って言って、なのは ママと一緒にキャラメルミルク作って、なのはママに抱っこしてもらってキャラメルミ ルク飲みながらお話して、それから一緒に歯磨きして、お布団の中でまたいっぱいいっ ぱいお話して、なのはママのおっぱいにお顔をぎゅ〜ってして寝るんだ、えへ、えへ、 だってなのはママのおっぱいってふよんふよんしてて柔らかくって、お顔をむにゅーっ てすると凄く気持ちよくって、あ! でも待って、後ろから抱っこしてもらって、頭の 上でなのはママのおっぱいを堪能するのも捨てがたいんだよね、頭にむにゅむにゅーっ ておっぱいが当たるのすっごくすっごく気持ちいいんだもん、えへ、えへっ、えへへへ …………はっ!?」  口元を伝うよだれの感触にヴィヴィオははっと我に帰る。 [411]4の422 ◆h7y.ES/oZI 2008/07/04(金) 22:37:41 ID:bSwdQNm2 「いけないいけない、最近なのはママのおっぱいのことを思い出すといつもこうなっちゃ うんだよね。なのはママのおっぱいって何か魅了の魔法でもかかってるのかな?」  齢10歳にして某執務官にでも教わったかのような、危なすぎる言葉(及び妄想)を 炸裂させるヴィヴィオ。  現状、その某執務官の若き日のごとく、頭を洗う間、目を開けていられないヴィヴィ オは、1人で頭を洗うことができなかった。  がんばってはみたのだが、シャンプーの泡の恐怖に固く目を閉じていると、シャワー がどこへ行ってしまったかわからなくなり、探す→滑る→転ぶ→号泣、の大惨事を引き 起こして以来、洗髪はもっぱらなのはかフェイトの役目。  それでも2人が一緒に入れない場合を考慮し、シャマル謹製のシャンプーカード(洗浄 魔法の込められた魔法カード)が高町家の浴室には常備してあった。  幼子にとって、「母親に誉めてもらう」、に勝るご褒美など存在しない。 「よぉーし、がんばって1人で頭洗ってなのはママに褒めてもらおーっと!」  初めての●●のごとく、幼女ヴィヴィオの本日の目標が決まった。  〜 〜 〜 〜  寝室のタンスから着替えの下着とパジャマを取り出すと、ヴィヴィオは急ぎ足でお風 呂場へと向かう。  脱衣所のドアを開け、「う゛ぃう゛ぃお」と書かれた籠にそれを入れると、えいえい と着ている服を脱ぎにかかる。  急ぎつつも、服を脱ぎ散らかすとなのはの「静かな怒り」が炸裂するので、洋服も下 着もきちんと畳んで洗濯籠に入れた。  そして素裸になったヴィヴィオはいつもの日課にかかる。  なぜか脱衣所に置いてある姿見に全身を写して、片手を腰に、もう片手を頭に置いて、 お尻を突き出して腰を捻るポーズ。そしてとどめにウィンクを一つ。 「これをやると「すたいる」がよくなるんだよ、ってなのはママが教えてくれたけど…… っていうか、これをやってる間、なのはママもフェイトママも(時には2人で)私を見 ながら「かわいぃーーっ」って叫んでるんだけど……私、騙されてないよね?」  常日頃の疑問を口にしつつも、反対側にお尻を突き出して腰を捻ってウィンク一つ。 これを2回でワンセット。それを3セット繰り返してヴィヴィオは本日の日課を終えた。  えいっと気合を入れて、ヴィヴィオはお風呂のドアに向き直り、ドアノブに手をかけ…… 「あ、そうだ、シャンプーどうしようかな……」  まだ自分のシャンプー持っていないヴィヴィオは、なのはかフェイトのを拝借しよう か、とも考えつつ、洗面台の下のドアの中に何か入ってないかと、なにげなくそのドア をぱかっとを開ける。  ちょっとした暗がりのそこにははたして目的に沿うようなものは入っていなかった。 なのはやフェイトの予備のシャンプー、歯ブラシや歯磨き粉の予備……そして…… 「んー……無いなぁ、やっぱりなのはママのを借りよ……ん? これ何だろ?」 [412]4の422 ◆h7y.ES/oZI 2008/07/04(金) 22:38:32 ID:bSwdQNm2  ふと目に入った小さな四角い袋(?)にヴィヴィオの視線が注がれる。  何気なく手り、そのパッケージに書かれた文字を読み上げる。 「えーっと……『発泡タイプ 薬用入浴剤 ミルクティーの香り』……あ! あの泡が ぶくぶくーって出るやつだぁ! へぇー、こんな袋に入ってたんだぁ」  時々なのはやフェイトが 「あ〜、このぶくぶくが背中に当たるのがいいんだよね〜。極楽極楽ぅ〜♪」  などとじじむさいことを言っていたのヴィヴィオは思い出し、もしかして、と思い、 改めてドアの中を覗くと、同じような袋がいくつも目に付く。  3つ4つ取り出して見ると薔薇の香りであったりハーブの香りであったりと色々。  あの普段凛々しいなのはやフェイトが、バスタブに浸かってほにゃ〜ん、という緩み きった顔をしていたのを思い出し、そんなにいいものなのかな思うにつけ、むくむくと これを使ってみたい衝動がヴィヴィオの中に湧き上がってくる。 「……1個くらいなら……いいよね。後でちゃんとなのはママにこれ使いました、って 言えば……うんっ!」  そうと決まればさて色々種類はありそうで、どれを使ってみようかヴィヴィオは迷う。 「……ん〜……どれにしよっかなぁ〜……とりあえず、これ……かな?」  やや迷ったが結局私が手にしたのは最初に見つけたミルクティーの香りのもの。 「……ミルクティーが美味しそう、とかそういうんじゃないからね、違うからねっ!」  誰に言うでもなく、1人突っ込みを展開すると、ヴィヴィオはその他の入浴剤を元の 場所に戻し、にこにこと浴室のドアを開け、少し背伸びをして入り口の横の保温ボタン を押す。  ピー、と軽い電子音がして、保温・洗浄魔法により、バスタブの水が浄化され、一気 に湯気が上がり始めた。  ヴィヴィオは湯気の上がるバスタブに歩み寄ると、洗面器にお湯を汲んで、ちょいちょ い、っと指先で温度を確かめる。ん、ちょうどいいちょうどいいと呟くと、ざばっと軽 く湯をかぶり、もう一度お湯を汲んで、そのお湯で軽く股間を洗うと、さてお待ちかね、 とばかりに、手にした入浴剤の袋をぺりぺりと破く。 「うわっ! すごい匂いっ!」  当たり前と言えば当たり前だが、薬の錠剤を大きくしたような形状のそれから、ミル クティーを凝縮した濃いミルクと紅茶の香りがヴィヴィオの鼻を突く。 「え、ええっと、た、確かこのままお風呂に入れるんだよね」  その匂いに思わずふらふらしながらも、ヴィヴィオはなのはがやっていた光景を思い 出し、それを湯船の中に落とし込む。  とぷんっ、と軽い水音を立てて、それはすーっとバスタブの底に沈んでいった。  そして湯船の中を覗きこむまでもなく、いっきに錠剤からぶわーーっと泡が出始める。 「うわっ、うわっ! うわぁっ! すごいすごーいっ! ほんとにぶくぶくしてるーっ!」  泡が水面でしゅわしゅわ弾ける音と共に、だんだんと浴室がミルクティーの甘い香り で満たされていく。 [413]4の422 ◆h7y.ES/oZI 2008/07/04(金) 22:39:05 ID:bSwdQNm2 「ん〜……い〜い匂〜い……」  2度3度、鼻で大きく深呼吸して、胸いっぱいにミルクティーの香りを取り込む。 「なんだか……ものすごく飲んでみたい気がしてきた……けど……飲んじゃだめ………… だよね、流石に」  えへへ、と頭を掻きながら、今一度洗面器にお湯をすくってみる。 「うわー……すごーい……」  錠剤のおかげでほんのり白く色づいたお湯が洗面器の中でゆらゆらと揺れている。  ヴィヴィオはえい、とそのお湯を肩からかぶり、身体からほんのり香るミルクティー の香りに酔いしれる。 「よぉーっし、そろそろいくよーっ! スターズ01・高町ヴィヴィオ、行きまーすっ!」  かつてのなのはの掛け声の口真似と共に、ヴィヴィオはえいと湯船に飛び込む。  なのはには常々危ないからダメだ、と言われてはいるが、飛び込んだ時にお尻当たる お湯の感触が楽しく、1人で入る時はいつも飛び込みを敢行しているヴィヴィオだった。 「うひゃぁっ! ひゃぅっ! くすぐったぁいっ!!」  と、飛び込むや否や、勢いでお湯が揺れ、錠剤があちらこちらと移動し、それに合わ せ、ヴィヴィオの足の裏やふくらはぎや太ももにぶくぶくと泡が当たり、思わずその口 から声が漏れる。 「あはははは、あは、あははは、お、面白〜いっ! あ、そだ、背中にもっ!」  なのはがやっていた姿を思い出し、ヴィヴィオは背中で泡の感触を楽しもうと、一旦 湯船の中で立ち上がり、足でバスタブの底で未だ元気に泡を出し続けている錠剤を背中 側に蹴り飛ばす。  コン、と錠剤がバスタブの端に当たる音と、錠剤の泡が弾ける音を頭の後ろに聞きな がら、ヴィヴィオはバスタブのふちに頭を置こうと、ゆっくりとしゃがみ込…… 「ひゃぁぅっっ!!」  叫び声と共に文字通り飛び上がるヴィヴィオ。 「なっ?! なにっ!? 何今のっ?!!?」  時間にしてほんの一瞬。  泡の粒の数にしたところで、ほんの数十粒……  背中に当たるかと思っていた噴き出す泡が、ほんの僅かにヴィヴィオの股間をかすめ た……ただそれだけで、  ばくばくと全力疾走したかのように心臓が激しく脈打ち、息も荒い。よく見ると足も 微かに震えている。  なにが起こったのかわからないヴィヴィオは、股間のすぐ下の水面で、ぶくぶくと弾 ける泡を、両手で身体をしっかと抱き見つめ続ける。 「お、お股のとこがびりびりって……な、なんだったの、今の……?」