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[214]聖 2006/03/06(月) 20:48:47 ID:HiXta/BC
[215]聖 2006/03/06(月) 20:49:51 ID:HiXta/BC
[216]聖 2006/03/06(月) 20:51:49 ID:HiXta/BC

自慰

 自分でも理解しているつもりだった。こんな事はいけないと、頭の隅に追いやられている理性が言っているのも分かる。
 それでも、フェイトは我慢出来なかった。
 自室に飛び込み、勢い良く鍵を閉める。軽い金属音が室内に響いた。
 酷く後ろめたい気分になる。それはそうだ。彼の――一緒に住んでいるクロノ・ハラオウンのアンダーウェアとなっている
タンクトップを洗濯物の中から強奪して来たのだから。
 荒い動悸。喉は乾き、水分を欲している。頭の中は真っ白になっていて、巧く思考が動かない。
 そんな中で、フェイトは覚束ない脚でベッドに向かう。腰掛けて、胸に大切に抱えていた衣服に視線を移した。
 汗と彼の匂いが染み込んだタンクトップ。洗濯物を入れておく籠の一番下で潰されていただけはあり、随分とくたびれた
様子だった。
 そのせいなのか、匂いも一入だ。

「………」

 フェイトは無言のまま、無意識にタンクトップに顔を近づ、匂いを嗅ぐ。
 それなりにきつい汗と、持ち主であるクロノの匂いが鼻腔をくすぐった。普通の人間ならばすぐに洗濯しようとするだろう
が、フェイトは違う。彼女にとって、その匂いは激しい邪欲を駆り立てて余りある物であり、如何なる華よりも香しい匂いな
のだ。
 頭の隅の小さな理性が、匂いを一回嗅ぐ度に緩慢な速度で解けて行く。濃霧の向こう側に飛んでしまっている思考が
完璧に停止した。
 本能が少女の小さな身体を支配する。脚の小指の末端から、五感、思考、そして邪欲までもを。
 タンクトップを顔に押し付けたまま、フェイトはベッドに寝転ぶ。スプリングが軋み、サイドボード上に置かれたいくつか
のぬいぐるみが軽く揺れた。

「くろの……」

 甘い甘い言葉が漏れる。本能に従って、フェイトは想像する。
 自分を優しく抱き締めてくれる彼を。
 耳元で甘い言葉を囁いてくれる彼を。
 髪を撫で、首筋に激しいキスを繰り返す彼を。
 楽しむように服を一着ずつ脱がせてくれる彼を。
 想像が過激になればなるほど、現実に彼にそうしてもらいたいと思えば思うほど、フェイトの身体は熱くなって行く。製
鉄所の溶鉱炉のように。
 タンクトップを力いっぱい抱き締めて、顔を埋める。
 籠もる熱。身体の内から溢れ出る熱は、徐々に少女の下半身に集中して行く。
 指が動いた。片手でタンクトップを抱え、スカートの上から股の間を擦る。
 ぬめりとした感覚。何も考えられない頭の中を、電気のようなものが走った。

「くろの……くろのぉ……」

 切なげな呟きが小さな口からこぼれた。愛しくて愛しくて堪らない彼の名前を静かに連呼しながら、フェイトはベッドの
上で身を捩った。
 スカートの上から股を擦っている指がその速度を増す。電気が何度も頭の中を駆け巡り、一度擦る度に快感が身体を
蝕んで行く。
 動悸がさらに酷くなった。荒い呼吸を細い肩で繰り返して、指の動きを激しくして行く。スカートの生地がもどかしくなっ
て来た。こんな淫らで変態的な行為に耽っているので、羞恥心はすでに忘却の彼方である。フェイトは荒々しくスカート
をめくると、シンプルな白いショーツの上から秘部に指を這わせた。
 スカートの上からでは分からなかったが、ショーツの秘所はすでに湿り気を帯びていた。そこを擦る度に、先程までとは
桁違いの甘く、淫らな快感が少女を蝕んで行く。

「あああ……」

 想像の中で、フェイトは幾度と無くクロノに抱かれ、果てた。時には優しく、時には激しく、何度も何度も彼はフェイトを
犯す。蹂躙する。
 室内に静で卑猥な水の音がするようになるまで、時間は必要無かった。
 下着の上からでもすでにもどかしくなった。痒い所に手が届かない感覚。フェイトは何の躊躇もせず、ショーツの間か
ら指を中へ滑り込ませた。湿っていた指が潤滑油のように肌の上を滑り、秘裂に到達する。
 くちゅ、という音がした。指先に堅い何かが当たる。小さな小さな感触。フェイトは本能的にそれを指で挟み、剥き、
挟む。

「はぁぁッ……」

 嬌声。感じた事の無い快感が頭を貫き、身体を震わせる。
 フェイトは酸素を求める金魚のように口を開け閉めして、彼のタンクトップに顔を押し付ける。今、想像の中のフェイト
は、クロノの下半身のそれを貪っていた。
 鉄の棒でも入っているような堅い堅いそれを唾液で濡らし、キスをして、しゃぶり付く。唾を垂らして、だらしなく口に
咥える。そうする度に、彼は何かに耐えるように呻き声を漏らし、フェイトの髪を撫でる。そうされるのがたまらなく嬉しく
て、フェイトは行為に没頭した。自分の稚拙な行為が彼に快感を与えていると思うと、何もかもを忘れてずっとしゃぶっ
ていたいとすら思う。
 だが、それも想像の中の事。フェイトは彼のそれの代わりに、タンクトップを噛んだ。枕に頭を突っ込むような姿勢にな
って、お尻を天井に突き出し、秘裂に指を少しずつ挿入して行く。

「んんんッ!」

 言葉に出来ない異物感。だが、それも今のフェイトには一つの快感でしかない。沈めた指で中をゆっくりと掻き回し
ながら、親指で堅くなった豆を刺激する。
 行為はすぐに激しさを増した。快感の果てにある絶頂を目指して、フェイトは一心不乱に指を動かす。視界と嗅覚と
覆っている彼のタンクトップが加速機の役割を果たしているのは言うまでもない。
 想像もそろそろ最高潮を迎えている。彼に貫かれたフェイトは、嬌声を上げ、彼になされるがままになっていた。正面
から、後ろから、下から、あらゆる方向から腰を打ちつけられる。少女の身体のあちこちには、すでに白濁色の粘り気の
ある液体がついていた。未発達の胸、細い腰、引き締まった太もも、そして顔。全身が生暖かい彼のモノを浴びている。
 彼と同様に、想像の中のフェイトは何度果てたか分からなかった。何度キスをしたのかも分からない。

「くろのッ! くろのッ! くろのぉッ!」

 タンクトップを解放して、フェイトは身を強張らせる。始めた時とは非にならない速度で出し入れしていた指を、一際大
きく突っ込む。その瞬間、高められていた快感が爆発した。独特の匂いがして、秘所から大量の淫水が吐き出される。
 想像も終焉を迎えた。限界まで沈められたクロノのそれが、内膣で激しく脈打った。容赦なく打ち込まれる熱い熱い
液体を、フェイトは恍惚とした気持ちで受け止める。これ以上無い快感だった。

「あ、ああああ……」

 頂点を過ぎた快感が波のように引いて行く。眠気すら覚える虚脱感が身体を包んだ。
 果てたフェイトは汚れたベッドに身を沈める。ほとんど裸同然の下半身が小刻みに痙攣をしていた。腹の底、想像の
中で彼の射精を受け止めた内膣が熱く火照っている。余韻は完璧に残っていた。
 荒かった息が徐々に整って行く。同時に、忘却の彼方に追いやった理性も戻って来た。
 重い身体を引き摺るように起こして、乱れた自分の身体とベッドを見る。枕にはタンクトップが押し付けられるように
あった。

「………」

 彼の洗濯物を盗み、その匂いを嗅ぎながら、我も忘れて自慰行為に耽ってしまった。変態も良い所だ。どうしようもな
い。そもそも本能を止められなかったのが情けない事この上無い。
 フェイトはまだ余韻が残っている腹を抑えながら、後始末をする為にベッドを降りた。が、すぐに視線はベッドに戻る。
いや、正確には枕の上にあるタンクトップに戻った。

「………」

 早く戻さないと。アンダーウェア一つ無くなったくらいで困らないだろうが、几帳面な彼の事だ。きっと訝しがるに決ま
っている。
 それでも、フェイトはこのタンクトップを戻したくはなかった。こんな最高のオカズ、そうは手に入れれないのだから。
 ベッドに歩み寄り、タンクトップを取る。この部屋はフェイトの自室だが、アルフと兼用である。目立つ所に放置して
おくと絶対に気付かれる。
 フェイトは少し迷った末、クローゼットの中にある下着等を収納しておくプラスチックケースに入れる事にした。いくら
アルフとは言え、無遠慮に下着の入ったケースを漁るような真似はしないだろう。
 結局我慢をする事が出来なかった。フェイトは重たげに溜め息をつくと、そそくさとタンクトップをプラスチックケースの
中にしまった。


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