第2章 捕縛 中編

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黒い、いかつい形をしたバイブレーター。
それも胴回りにイボ状の突起がびっしりと付いた、見るからに淫猥な形のものだった。
それに慣れた女なら、見ただけで欲情するような代物だろうが、
美香にとっては不気味な威圧をはらんだ得体の知れないものだった。

「いや……」
思わずそう言うと、あとずさりしてしまう。
男は、それにコンドームをかぶせている。
そういえば、なにかで読んだことがあった。バイブにも、ゴムを着けるべきだと。
あれは、どこのどんな雑誌だったか……
「こいつで、気持ちよくさせてやるよ……」
男はそれをかざして、美香の頬に擦りつけた。
「……いや……。いや……。やめて…………」
ゆっくりと首を振りながら、美香は欲情を上回る嫌悪感に苛まれた。
ある意味、男の性器で犯されるよりも遙かに屈辱的なことに思える。

それに、バイブレーター自体を見るのもはじめてだった。
こんなものを入れられたら……
いったい、どうなってしまうのか……。
正体の皆目わからないものだけに、美香の恐怖感は大きかった。
……でも、男に逆らうことは……。
男は、美香を横たえさせ、上から自分の身体をのしかからせてきた。
男の体重がかけられ、美香はか弱く抵抗するだけだった。
「いやぁ……!いや……。お願い、そんなの、いや……」
なぜだか、最初に電車内で犯されかけるよりも嫌だった。
そんな彼女の抗いも、男の前にはほとんど意味をなさない。
かえって、それが男を高ぶらせる。
「なんだ……これが、いやなのか?」
意外そうに、美香の拒絶を見て男は言った。
「バイブ使うのは、初めてなのか?」
うつむいて何度もうなずく美香に、男は嗜虐心をそそられたようだった。
「テクニックの割には、随分とウブなんだな……」
美香の言い分を信じていないかのように、畳みかける。
「それじゃ、こいつが初体験なわけか。どういうものだか、味わってみるのもいい勉強だぜ……」
美香の膝の裏側に乗り、脚をぐっと広げさせてそのものを宛う。

嫌がる言葉と裏腹に、そこはさきほどまでの指の愛撫で濡れきっていた。
「いやぁっ!お願い、やめて……。やめてぇ!」
叫ぶ美香の声を無視して、男はバイブを美香に挿入した。
「いやあぁぁ…………」
冷たい、硬い異物が侵入してきた。明らかに、男根の感触とは違う。違いすぎる。
あたたかみのない、硬質な刺激がぐっと奥まで与えられた。
「いやぁ……」
力ない声は、半泣きに近くなっていた。目に、うっすらと涙が浮かぶ。
男がバイブを前後に動かし、内部をかき回す。
馴染みのない感触が、快感とはほど遠い違和感しか生まなかった。
「どうだ…?こんな物を入れられてる気分は……」
「やめて……!もう、やめてください……」
泣き声になりかけながらそう言っても、男はやめてくれなかった。
「こうしたら、もっと気持ちよくなれるぞ……」
それまでは、ただ手で動かすだけだったのが、スイッチを入れられて急に振動が加わった。
「あああっ…………!」

男性のものとは違う、機械的な、ありえない動き。
膣内をぐるりと旋回するような運動が、いやな振動とともに繰り返される。
それが美香にとっては、不快きわまりないものでしかなかった。
「いやぁあああ!!こんなの、いやぁ!!
やめて、やめて!お願い、もうやめてぇ……!!」
美香は、それまでにない悲痛な叫び声をあげ、男に懇願した。
涙が頬を伝わって、こぼれてくる。どうしても、これだけは耐えられなかった。
美香の声の調子が、本気で嫌がっているのを察したのか、男はそこでバイブを止めて引き抜いた。
縛られていた腕も、すぐにほどかれた。
「……どうした?大丈夫か……?」
さすがに心配そうに、美香の肩に手をかけて尋ねる。
美香は答えることもできず、ただしゃくりあげていた。
「そんなに、嫌だったのか?」
潤んだ美香の瞳からこぼれる涙を、男の長い指が拭った。
「悪かったな……。もう、しないから。泣くな……」
まるで痴話喧嘩して機嫌を損ねた恋人を慰めるように、優しく抱きしめられる。
そこで、初めて美香は男の胸の暖かさに気づいた。

そのままで、暫く抱きしめられていた。
「……落ち着いたか?シャワーを浴びてきたらどうだ?」
そう言われて、美香は素直にそうするようにした。
バスローブを持って、浴室にそそくさと小走りに入っていく。

美香はざっとシャワーを浴び、バスローブを羽織ってベッドルームへ戻った。
男は、布団を半分まで掛けて眠っているようだった。
美香は冷蔵庫を開けて、一気に冷えたお茶を飲む。
泣いて、叫んで、喉がカラカラになってしまっていた。
手首には、縛られた痕跡のやや赤い線が幾条も残されていた。
それを見ると、美香の顔も羞恥で紅く染まる。
バイブを入れられて、どうしようもない不快さを感じてしまった。
それは、つまり……。

他ならない、この男のものが美香にどれほどの愉悦を与えてくれるものか
今更に思い知らされた。
最初に犯された時にすら、あんなにも感じていた……。
柔襞をめくり、突き入ってくる時の快感。
深奥近くまでを突つき、そしてまた引き抜く寸前にまで戻される。
思い出すだけで、新たな愛液が滲み、腰が震えるほどの……。
……正直なところ、また抱いて欲しかった。
さきほどの美香の取り乱し様を見て、男は醒めてしまったのか……

「来たのか?」
眠っていると思った男が、明瞭な声をあげた。
美香がベッドの近くに寄ると、男は起きあがり、美香の両手をとった。
赤く痕が残るそこを撫で、「痛かったか?」と訊く。
「いいえ……」
痛い、というよりも、痛がゆいという方が正しかった。
手首がむずむずと熱を持ったように感じて、掻きむしりたくなる。
「……次からは、痛くならない素材でしてやるからな」

……次から……?
美香は困惑したまま男の瞳を見つめると、彼は微笑んだ。
それまでとは違う、優しげな笑い方に、彼女は戸惑いを隠せなかった。
言いながらも、男は美香を抱き寄せると唇を奪った。

最初は優しく、唇の表面だけを合わせるように。
そして徐々に舌先だけを唇の外側に這わせ、美香の口内にゆっくりと侵入させる。
柔らかな舌が美香の舌を捉え、微細な動きを加えながら滑らかにかきまわされる。
ときおり、舌のからみあう淫らな水音が響く。
思わずうっとりしてしまうほどの、甘く長いディープキス。

数分間が過ぎた後に男の唇が離れると、美香は涙を流したせいで霞んだような
視界の中にいた。
男が、黙って美香にバスローブを着せ掛けてくれた。
「怖かったか?」
そんなことを訊かれ、彼女はただ下を向いて何も答えなかった。
「悪かったな…まさか、初めてだとは思わなかった。
今時、バイブの経験もなかったなんてな」
美香はそれを聞いているだけで、恥ずかしくて消えてしまいたくなる……。

レイプされている時よりも、あの時がもっと嫌だった。
うつむいて、顔を上げられない美香の唇に、そっと男の指先が触れた。
その瞬間、ビクッ、と体を震わせてしまう。
そんな美香を見て、男がふっと笑う。
「口紅が、だいぶ取れてきてるな……」
親指で唇の上をなすり、残りの口紅もふき取るようにされた。
「俺が、いいものをやるよ」
そう言うと、男はまた自分の手荷物を探りに行った。
美香の不安そうな視線に気づいて、笑いながら振り返る。
「怯えるなよ……もう、あんなものは使わないから」
そうは言われても、また何をしてくるのかわからない。
いきそうになっていたのに、性行為を中断させられてしまった不満の気持ちもあった。

男が、何か手に持ってこっちへ戻ってくる。
美香はまだ体を少しこわばらせて、男の手許を見つめた。
男は、どこかで見たような小さな黒い箱を美香に手渡した。
……それは、シャネルの口紅だった。
「開けてみろよ」
男に言われて、箱を開けてキャップを外す。
その色は、鮮やかな赤にややオレンジ味が混じったような色合いだった。
ルージュ・ア・レーブルの22番。
真新しい、鮮やかな色の口紅を手にして美香は言った。
「これ……」
貰ってもいいの、と言いかける。

「泣かせた、お詫びだ」
そう言うと、美香の手から、男が口紅を手に取った。
「俺が、きれいに塗ってやるよ……」
美香の頬を手で自分の方に向ける。
「ほら……口を、少し開け」
多分、その方が塗りやすいからだろう。
美香は言われた通り、やや唇を開き目にして男を待った。
上唇から、ゆっくりと滑らかに紅を引かれる。下唇も同様に、男が口紅を塗る。
美香はただ、男のなすがままにされていた。
男性から口紅を塗られるという、不思議な……官能的な行為。
こんなことも、美香にはもちろんはじめての経験だった。
無意識のうちに、いつも自分でやるように上下の唇を引き締めて、ムラにならない
ようにする。
鮮やかなルージュを塗られた美香の艶やかな唇を、男は満足そうに見ていた。
「ピンク色もいいけど、おまえには、こんな赤が似合うな……。ぐっと、色っぽくなる……」
男にそう言われて、美香はなんとなく気恥ずかしくなる。

「そんな色っぽい口で、ちんぽしゃぶられたら……。もっと、感じてくるんだよ……」
一度は萎えていた男のものが、既に半立ちになりかけている。
美香は男の行為に含まれていた邪心を感じ、はっとした。
「口紅の礼を、返してもらおうか」
笑いを含んだ声でそう言われ、美香の前に男が仁王立ちになった。

顔をそむけようとする美香を、男が軽々と抱き上げてベッドへと落とした。
「やっ……」
美香の身体はその勢いで弾み、くの字型に曲がった形で横たわった。
起きあがろうとするその上に、男の大きな身体がのしかかってくる。
「やめて……!お願い、乱暴にしないで……」
美香は咄嗟に叫んだ。
男の体重で身体が自由にならない怯えが、また蘇ってきてしまう。
「乱暴になんか、しないさ。おまえも、俺も……さっきまで、イク寸前までになって
たんだぜ?……このままじゃ、お互い消化不良だろう」
男はそう言うと、美香に着せていたバスローブの前を開かせ、乳房を舐めた。
「あっ……」
男のぬめる舌が、醒めかけていた欲情を再びかきたて始める。
乳首の先を、そっと触れるか触れないかくらいに優しくこすられる。
あくまでも優しく、乳房全体を両手で大きく撫で回される。
唇の中に乳首を含み、軽く歯を立ててこすられた。
「はぁ、あっ……」
思わず美香の唇から、せつない声がもれる。
情けないほどに、肉体は如実に愛撫に馴らされ、反応していく。
乾きかけていた秘部が、泉が湧き出るように潤っていってしまう。
男の舌と唇が、美香の腰の力を奪い、抵抗もできなくなるほど感じさせていった。

力を失ったように横たわる美香を見下ろしながら、男はほくそ笑んだ。
「もっと、いいことを考えたぜ」
「…………?」
男の言う意味を測りかねて、美香は次の言葉を待った。
男は、ベッドの上に転がしてあった口紅を再び手に取った。
キャップを取ると、美香にそれを見せつけるようにして目の前にかざす。
「こうするんだよ……」
そう言うと、美香の乳房を左手で揉み、右手に持った口紅で彼女の乳首に…乳輪に塗り広げた。
「あっ……!」
男の舌とはまた違う新たな刺激に、美香は快感を見いだして喘いだ。
そうして、反対側の乳房にも、同じようにして口紅を塗られてしまった。
ピンクがかった薄茶色の乳首が、鮮やかな赤に変わる。
色白の美香の身体に、そこだけが二つ、小さな薔薇の花のように色づいていた。

「ほうら、ここも綺麗に化粧してやったぜ……」
男が言いながら、乳首の先を唇で弄ぶ。
「いやっ……。そんな…………」
美香は、激しい羞恥心に見舞われていた。
唇に、口紅を塗られた時は、戸惑いながらもときめきを感じていた。
でも、今は……
まさか、男がこんなことまでしてくるとは……。
途轍もなく淫靡な、今まで美香の知らなかった世界を、男によって見せつけられる
思いだった。
「いやなのか?」
男が、わざと美香にそう尋ねる。
美香が無言で同意すると、それを察して男はうなずいた。
「それじゃ、きれいに拭ってやるよ……俺の、唇でな……」
すぐに、男の舌が乳首を舐めにくる。
「あ………」
舌先で、何度も何度も乳輪と乳首を往復させて、赤いルージュを唾液で溶かすように
して、舐め回される。
美味しそうなアイスクリームを食べるように、音をさせてすすり立てる。
「ああ…………」
それを聞いているだけでも、勝手に膣口がうずいて、締まる。
濡れていく。また、欲しくなっていく……。

右の乳房を舐め終わると、男は顔を上げた。
「こっちも、きれいにしなくちゃな」
残る左の乳房にも、たっぷりと男の唇が這った。
舌を大きく突き出して、舌先を立てて乳首から責める。
男の顔が、胸の下の方から美香の方に向けられている。
まるで自分が舐めている様子を、彼女に見せつけるように派手に舌を出し、舐めている
音もさせる。
美香は、自分の乳房にむしゃぶりつく男の姿を盗み見た。
見ているだけで、あまりの淫らさに腰が熱くなっていくような光景。
端正な男の口許が、赤く塗られたルージュの色をすくい取っていく。

ふと、男と目線が絡みあった。あわてて目を伏せても、男はそれを見逃すわけもない。
「見てたのか?俺が、舐めるところを……」
美香は、唇を噛んで首を振った。
「口紅を塗られた自分のおっぱいを、見たくもなるだろう。
どうだ?舐められるところ見てて、感じてきたんじゃないのか?」
また、男は言葉嬲りを始めた。
「感じてるんだろう…?正直に言えよ」
そう言うと、また乳首を舐められた。
「あっ…………」

「足を、開け」
男が美香の両方の太ももを掴み、そう命じた。
美香は、少しずつ足首のほうから、開いていった。
男の秀麗な顔が、淫猥な笑みに崩れる。
「こんなに、とろとろになってるじゃないか……。
かわいそうにな……欲しい、欲しいってヒクヒクしてるぜ……」
卑猥な言葉を浴びせられても、美香は反論もできない。
「けど、まだまだ…突っ込んではやらないぞ。おまえが何度もイクまで、許してやらない
からな……」

ひどい……。
美香は、そう胸の裡で呟いた。
「そうだ。ここにも、塗ってやるよ……。
おっぱいだけ塗って、ここにもしてやらないと、不公平だからな……」
男の言葉を聞いて、また美香の秘所は疼いていった。
「ほら……」
男は美香の秘所…陰唇の部分から、塗っているらしかった。
指とは違う、滑るような動きがそこに加えられる。
「あっ……。ああっ……」
美香は喘いで、身体を反らしながら恥ずかしさに耐えようとした。
「起きろ……。身体を、起こせ」
男に腕を掴まれ、そこから起きあがるようにせっつかれた。
「ベッドの背もたれのところまで、下がれ」
言われた通りにして、背もたれに上半身を預けた。
「膝を立てて、足を開け。大きく開け」
快感で、下半身に力が入りきらない状態の中、男の命令には従わざるを得ない。
男に向かって大きく開脚し、濡れきったあそこを男の目にさらす。
「自分の指で、あそこを開いてみろ。俺に見せろ」
おそるおそる、自分の秘所に指を這わせていく……。

そこはもう、太もも近くまでが愛液に濡れていた。
秘唇をそっと指で開き、目を閉じて男から顔をそむける。
ここを、男の視線が犯している……。
「自分から、俺に開いて見せてる……。俺以外にも、こんな風に広げて見せたことが
あるんだろう?」
男の目が、欲情と嗜虐に光っている。
「そんな……そんなこと、ありません……」
「それじゃ……俺だけか?俺だけに、こうして見せるのか?」
心なしか、男の声もうわずってきている。
「……はい……。あなただけ、です……」
「おまんこに、口紅塗られて…気持ちよかったか?」
「…………はい」
「違うだろう」
男はそこで、自分の言った通りに彼女が復唱することを強制した。

「……おや?中までは、まだ塗られてないな……」
嘲るような調子で、わざとらしく男は言った。
「中まで、ちゃんと真っ赤に塗ってやる……。
そのままで、いろよ。自分であそこ、広げたままでいろ」
羞恥心は、激しく湧き出ていた。
けれど、それ以上の妖しく体奥を痺れさせる愉悦が美香を支配していた。
あそこが激しく脈打つようにひくつき、早く男根を呑み込もうと喜悦の涙をこぼしている。
そこに、男がまた口紅を持って近づいてきた。
「俺が、塗るところを見ろよ」
美香の目を見据えて、男はそう命じた。
「クリトリスにも、ちゃんと塗ってやろう……目をそらすなよ。
見るんだ。自分のおまんこが、口紅に犯されてるところをな……」
言いながら、美香の指をもっと広げさせ、大きく勃起したクリトリスへもルージュが
引かれた。

「どうだ……?ピンク色のここが、赤くなったぞ……」
そんなことを言われ、
「ん、うっ……」
美香は、その瞬間にいきそうに感じてしまった。
「どうした……?ほら。これが、感じるか……?」
また、男が口紅でクリトリスをこすりつけるようにする。
「あっ……。ああ……。はあ、ああ……。だめ……。ああ、だめ…………」
美香は、もういきそうになってうわごとを繰り返した。
「いいのか……?ん?これが、いいのか……」
男の声にも、興奮の色が隠せない。膣口の中に、口紅の先が入り込んだのを見た瞬間
美香は声をあげて絶頂に達していった。
「あああ…………!」
美香の全身がふるえ、のけぞるようにして達していく。
同時に、愛液がそこからどっと溢れてくるのも自分自身でわかる。

イった直後なのに、まだ男の指がクリトリスの周囲をまさぐっている。
そんなことをされていると、また美香は感じてきてしまう…。
一度イったあとに、すぐ2度目もイける美香の性質を知っているからか
男はなおも執拗に美香のそこを責めた。
クリトリスと膣口を同時に責められると、美香はきれぎれに声をあげて首を振りたくった。
「ああ……。ああ、そこ……。ああ…………
だ、め…………。ああ……。ああん…………」
甘く鼻にかかるような声が、次第に切迫したものに変わる。

「ここに、ついてるのも舐めてやるよ……」
男は、舌を伸ばして美香の最も感じる小さな膨らみを舐めた。
縁に沿って、微妙に舌先を上下させるところまで、美香は見ている。
「目を、そらすな。見ていろ。自分の大事なところを舐められてるのをな……」
そんなことを言われるまでもなく、美香は男の淫らな責めを
見せつけられることで、いっそう興奮していた。

あんな、ところを……。
こんな、いやらしいことをされてる……。
「おまえは、入れられながら、クリトリスいじられるのが感じるんだな。
そうしてやるよ。気持ちいいだろう?」
そう言うと、男は舌先を入り口に忍ばせてきた。
同時に、指と口紅の先で敏感なクリトリスをそっと刺激される。
膣の中で蠢く男の舌を感じ、意図的に締め付けた瞬間、美香はまた昇りつめた。
「ああっ……!もう、もうダメ……。ああ、いくぅっ…………!」
目をかたく閉じて、与えられる快楽に集中する。
股間から、全身を貫くような強烈な愉悦が駆けめぐる。
腰に、力が入らない。男によって下半身の自由を奪われてしまっている。

焦らされた挙げ句での、美香のこれまでの性体験からは想像できないほどの淫らな
性戯を施されてしまった。
そんなことをされて、感じるな、というのが無理だった。
美香の脚は力を失い、膝を立てていることができなくなった。
まだ、自分の蜜がこぼれてくるのを自覚している。

まもなく、男がようやく身を起こす。完全にベッドに横にさせた美香の顔をまたぐように
してくる。
喘ぐ美香の口許に、熱く息づくものを押しつけた。
「ん……」
唇にそのものが触れると、また腰の奥が燃えてくる。
「いや…………」
わざと拒否してみせて、男の淫虐心を煽りたてる。
「いやじゃ、ないだろう?好きなんだろう?これが……」
言いながら、男が美香の唇からそれを外すと、頬にも、目許にも顔中になすりつけてきた。
「いやぁ……。い、や……」
拒否する声も、弱く、男に甘えるような調子になる。
男のものでさんざんに顔をいたぶられたあと、口許にそれが戻ってくる。
「俺のも、気持ちよくさせてくれてもいいだろう?……しゃぶれ」
命じられて、美香は弾力のある亀頭を味わいはじめた。
吸いながら、手を添えて陰嚢もまさぐる。
既に先走りの粘液で濡れる先端を、丹念に舐めてすくい取る。
男が、ゆっくりと腰を沈め、美香の唇に根元近くまでを侵入させる。
……男が、顔面騎乗する形でイラマチオを仕掛けてくる。
「んっ……。ん……」
懸命に舌を遣い、男を歓ばせようとしながら、口を犯されている。

この体勢が、美香に被虐の快楽を呼んでいた。
男が美香の唾液にまみれた男根を引き抜いた。
「あ…………」
奉仕を続けようとしていた美香は、思わず落胆の声をあげてしまった。
「そろそろ……入れてやるよ。欲しいだろう?」
美香の身体に覆い被さるように、男は体勢を変えて言った。
二度も立て続けにイかされ、あげく唇までも犯された。
当然、美香の秘所は洪水のように愛の蜜が溢れかえり、男の突きを待ち望んで
ひくついている。

無言のままでいる美香を尻目に、男は素早くコンドームを着けた。
ちゃんと、避妊をしてくれる。だからこそ、この男に身を任せていても
抵抗を感じずにいられるのかもしれない。
それよりも、惹かれている。今までにない快楽を与えてくれるこの男に……

「ほら。足を開け……」
美香は、男の言うなりになった。
早く……早く、来て。
もう、待ちきれない……早く。あなたのを、思いきり感じたい……。
広げられ、無防備になっている秘所に、男のものの先端が当てられた。
熱い……。
熱くて、芯が固いくせに、表面の弾力がある。
それを感じただけで、溜息をついてしまう。

ゆっくりと、男が先端を当てたまま、こすり始めた。
「ああ…………」
美香はのけぞって、喘ぎをもらした。
「凄い濡らし方だな……。そんなに、俺にされてることが気持ちいいのか?」
男は満足そうに美香を見下ろしながら笑った。
濡れて開いている淫らな狭間を、男のものが擦りつけてくる。
美香の分泌し続ける粘液のせいで、ぬらぬらと滑る。
クリトリスを擦るかと思えば、浅く亀頭の先だけがもぐりこむ。
そんな卑猥な責めをされているだけで、たまらなく感じて濡れていく。
「こういうのが、感じるんだろう?」
わかりきっていることを、敢えて美香に尋ねてくる。

彼女の口からいやらしい言葉を言わせ、一見清楚な美香の中に潜む淫乱な欲望を
引きずり出す。
「あそこが……もう、洪水みたいに溢れてきてるぜ。ほうら……」
男が美香のそこを指でさぐると、愛液が糸を引いて付着する。
「これが、おまえが感じてる証拠だ……」
美香の唇に、その指をなすりつける。
「いやぁ…………」
思わず顔をそむけると、指は美香の艶めかしい唇に入ってきた。
「舐めろ。ちんぽしゃぶるみたいに、丁寧にしゃぶれ」
「んっ…………」
男の指を、言われたように舌と唇で愛撫する。
さすがに自分の愛液を舐めることに抵抗はあった。
でも、それはほとんど無味、無臭に感じる。わずかに、甘みも感じられる。
「どんな味がした?」
男は含み笑いを浮かべながら、美香の感想を待った。
「あまり……味は、感じません……」
「そうか?」
美香の股間に再び男の指が入り、液をすくい取る。
それを美香の目に見せつけながら、舐めてみせる。
「おまえのは、甘い味がする……」
なぜか、それを言われると美香は嬉しくなった。
そんなことをされたことも、言われたこともない。

「これが、感じるんだろう……もっと、してやるからな」
さきほどから続けられる、男根で秘所を愛撫する行為。
挿入するわけでもなく、ただ美香を感じさせながら焦らし、性感をよりいっそう高めていく。
クリトリスと膣口を往復させるやり方に、美香が感じるのを知り尽くしたうえで、嬲りを
加えている。
男性のものを受け容れ、引き込もうとして秘唇が蠢く。
それは結果として、美香の欲情を昂揚させていく一方だった…

「ああ…………。あ、あ……ん……。は、あ……あ…………」
美香は臆面もなく喘ぎながら、男の責めに反応した。
犯されるようでいて、犯されない。
美香は、亀頭でこすられているだけで、もう達しかけていた。
「あ……。ああ…………。だめ……。また……。あっ、あ……」
「ふふ……これだけで、イきそうなのか?」
美香の高まりを見ながら、男はそのまま擦り続けた。
男の声を聞いた途端、急速に快感の波が押し寄せてきた。
「あっ………ああ、ああ………。いや、いっちゃう………。
ああ、いっちゃう……。ああ…………!」
半分泣いているような声で、美香は男に絶頂を訴えた。
「ああ…………」

挿入もされていないのに、こんなにも感じて、イかされた。
男の技巧に酔いしれながら、美香は余韻に浸って横たわっていた。
美香の息が少し整うと、男が唇を重ねてきた。
「ん…………」
積極的に舌で応じながら、男の肩に手をかける。
乳房も揉まれ、少し力を入れて掴むようにされる。
そうされただけで、また呼吸が乱れて感じていってしまう。
また、男のものが美香の秘部に当てられた。
「こいつが、欲しいか?」
答えを引きだそうと、先端でツン、ツンとつつかれる。
「ああっ…………」
答えるかわりに、興奮でうわずった淫らな声をあげてしまう。

感じる……。また、あそこが勝手に締め付けられて、濡れていく……
「答えろ。言わないと、やめるぞ……」
美香の潤んだ瞳を見つめる男の目も、情欲で底光りしている。
「欲しいか?」
「……ほしい……欲しい、です……」
「犯して、欲しいか?」
男が、美香に決定的なセリフを言わせようとしていた。
美香は、恥辱を振り払って答えた。
「……犯して……。犯して、ください…………」
恥ずかしさのあまりに、身体が燃えるような気になった。
「言ったな……。自分から、犯して欲しいと」
男は、喉の奥でくくっ、と低く笑った。
おかしくてたまらない、といった様子で。
「いいだろう……。犯して、やるぜ。おまえのお望み通りにな…………」
美香の両足を抱え込むようにして、男は腰を上げた。
その瞬間、美香は目を閉じて男の侵入を待った。待ちわびた。

熱い火の柱のようなものが、美香の内部を貫いた。
「はああっ…………」
思わず、声をあげずにいられないほどの感触。
ぐうっと根元近くまでを、一気に突き入れられてしまう。
受け容れる膣の中も、待ちかねていたように激しく収縮する。
そこから、男はゆっくりと出し入れをしていく。
美香の好む、子宮口の近くの奥深くから、膣の入り口まで
戻すやりかた。
「あああっ……!ああっ……!ああんっ…………」

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