call my name
二十人弱の隊士と土方、沖田がと剣を交えて敗れたその日の夜、近藤は局長室に副長土方と一番隊隊長沖田、そして監察方隊長を集めた。は局長室の戸を叩いた時、既に中には土方と沖田の姿があった。
「失礼します」
は音も立てずに戸を開けてから戸口近くに腰を下ろす。忍装束を着替えて隊服を着ていた。
「おう、、今日はすごかったなァ」
自分の盟友や仲間が敗れたというのに近藤は機嫌が良かった。道場主として様々な剣人を育てた者として、また剣を持つ一人として、強い者を素直に認めることの出来る性質の持ち主だった。
「…ありがとうございます」
はすっと頭を下げる。土方は長く喫っていた煙草をもみ消して、新しい煙草に火をつけた。
「戦姫の名は俺も聞いたことがあるが、これほどまでとはな、なァトシ」
「……あぁ」
土方は短く頷いただけだ。
「お姫さんは、負けたことはないんですかィ?」
が沖田に剣を突きつけたとき、は『戦姫は負けられない』と言った。複雑な表情で。
「……負けたら、そこで殺されますから」
負けた忍を取り戻すことに新しい労力を費やしたりしないし、情けをかけることもしない。忍の掟は冷たいものだった。
「さすがお庭番衆ともなると厳しい世界だなァ。だが、真撰組にきたからには大丈夫だ。仲間のことァ絶対に見捨てねェし裏切らねェ。それが俺たちの掟だ」
近藤は白い歯を見せてにっかりと笑う。もつられて微かに微笑んだ。
「局長、ちょっといいですか」
外から隊士に声を掛けられて、近藤は部屋を後にした。土方、沖田、が残される。
「……オイ」
土方の低い声にははい、と答えた。
「近藤さんがああ言う以上、お前も仲間を見捨てたり裏切ったりするようなマネはするなよ。もししたら──俺が斬る」
「…分かりました」
そう答えたは無表情で、土方には腹が読めない。
「今さっき姫に負けた土方さんが姫を斬れるんですかィ?」
「お前は後で斬ってやるから待ってろコノヤロー」
沖田と土方が言い争っているところに近藤が戻ってきた。
「すまねぇな。…それはそうと、はその隊服で良かったのか?とっつァんが女物を張り切って用意してたってのによ」
隊服はそれぞれ各自採寸して作ったものだが、周りの意見に反してはスカートでなくズボンの隊服を選択した。がっかりした隊士が多いことはの知らぬところだ。
「せっかく黒くて闇に紛れる服ですから、出来るだけ肌が出ない方がいいんです」
の忍装束は紺色で裏地が白い。膝上のスカート状になってはいるのだが、脚半が膝まである長いものなので、やはり肌が出る部分は少ない。
「がそう言うならもちろん構わねぇが、たまには娘さんらしい格好も見てみたいもんだ。妹が出来たみてぇでよう。なぁ、トシ」
「…別に俺ァどうでもいいけどよ」
土方は心底どうでも良さそうに答える。
「…女物の着物も持ってはいるんですけど、変装用ですから」
「変装用?忍の仕事で使ってたやつか」
「ええ。女中さんにでもホステスさんにでもなりますよ」
本当は女郎の格好もして真似事もする。しかし、見るからに純朴そうな近藤にそういうことを言うのも悪いか、とは口をつぐんだ。
「私服は持ってんのかい?」
「…今までお休みをもらったことがなかったものですから、そのような服は…」
忍の仕事を請け負って、任務中に暇な時間が出来ることはあっても、任務中なので私事は一切やらない。任務が終わればまた次の任務、及びそのための調査が待っており、休んだことはほとんどなかった。
の言葉に土方はすっと眉を上げ、沖田はの顔を注視した。近藤は見るからに驚いている。
「休みをもらったことがない?今まで?」
「ええ。ですから、私服を着る場面が一切ありませんでした」
この際、問題はの私服ではなく、の勤務状況なのだが、は今までの生活を当然だと思っているので、些かも疑問を抱いていない。
「大丈夫だぞ、ちゃんと非番は取らせるから。せっかくだ、明日非番を取ったらいい。まだ忙しくはないだろう?」
「はい。でも、どうせなら、下の隊士に先に非番をあげてください」
近藤はの言葉に首を振った。
「駄目だ。今まで休んだことがないというのなら、尚更駄目だ。総悟」
「へィ」
「俺とトシは仕事があるから、がきちんと明日休めるようにしてこい」
「はいよ」
沖田は立ち上がっての腕を取る。
「そういうことだから、俺らは出てましょーや」
「局長、副長、失礼します」
は引きずられながらも頭を下げ、局長室を沖田と共に後にした。沖田はすたすたと自室に向かう。
「ちょっと、隊長」
沖田も隊長ならも隊長なのだが、沖田をどう呼んでいいか分からず、は近藤たちのように役職で呼んだ。
「総悟ですぜィ」
「…名前なら知ってるけど」
真撰組になる、母体の浪士たちの名前や特徴は松平に言われて覚えている。
「見たところ、姫さんは俺よか年上だ。年上の姉さんに敬われるほど俺ァ出来た人間じゃねぇんでさァ」
沖田の自室の前にある縁側に腰を下ろす。も隣に腰を下ろした。
「分かったわ。総悟、ね」
「そうですぜィ。ところで姫さんは」
「」
今度はが沖田の話を遮った。
「さっきも言ったけど、あまり戦姫の名前は出さないで。ここに戦姫がいることが分かったら、皆を巻き込みかねない」
はみんなの治療をしながら、戦姫という名前を屯所外では一切口外しないように頼んだ。親兄弟、心を許した友人知人、恋人であっても一切他言するなと。そのときには自分が斬りにいくほかなくなる、と言われて隊士たちはみな屯所外で口外しないことを約束した。もちろん沖田もだ。
「…分かりましたぜィ、の姉御」
その呼び名も訂正しようとしただが、沖田が悪意を持って呼んでいるわけではないのが分かったので、訂正しないでおく。
「の姉御は、働き詰めで大丈夫だったんでィ?」
「…大丈夫なようには出来てるわ。十日ぐらいなら眠らなくても活動に支障はないし、疲れてても薬を飲めばそれなりに動けるしね。これはあたしの資質なのか、訓練すれば誰でも出来るようになるのかは分からないけど」
沖田は縁側に腰掛けたまま、足をぷらぷらさせる。
「じゃあ、寝すぎて頭が痛ェなんて体験はしたことねぇんですかィ?」
「ないわね。眠ってても物音と気配で起きられるような寝方しかしないし。寝すぎると頭が痛くなるなんて、初聞きよ」
「それなら今晩試してみるといいでさァ。なぁに、明日の朝にはきっちり起こして差し上げますぜ」
は首を横に振った。
「申し出はありがたいんだけど、忍が人に起こされるようになったらオシマイよ。でも、ちょっとあこがれるわね」
「……姉御だって小さい頃はそうやって寝てたでやしょう。すぐに戻れますぜィ」
自分にいきなりバズーカの砲口を向けてきた、この沖田という少年が意外に優しいことには気がついてくすりと笑みを浮かべた。屯所にいるからには、みんないるのだから、安心して眠るようにと言いたいのだ。仲間、ということ。には分からないその感覚を、ここにいる隊士たちはみな肌で知っている。そしてをも仲間として扱おうとしている。
「総悟は優しいね」
「はて何のことですかィ?俺ァ、土方さんの命を獲って副長の座を狙う不届き者でさァ」
優しいのは近藤さんみたいな人のことを言うんでィ、と沖田は言って立ち上がった。
「もうあんなにお月さんが出てらァ。そろそろ姉御は休んだほうがいいですぜィ。明日は、初めてのお休みなんですから、有効に使わねェと」
「…そうね。ありがとう、総悟。お休み」
「おやすみなせぇ、姉御」
は監察方の部屋に歩いていく。隊長格の部屋は隣り合っているが、密偵任務を行う監察方は離れに部屋がある。
「の姉御の寝顔…なんてのはいつ拝めるんですかねィ」
翌日の朝。は自分の部屋の前に人が向かってきていることに気がついて目を覚ました。沖田が言っていたように起こしにきたのか、誰か厠にでも行って戻ってきたのか。
「姉御」
外から掛けられた声は確かに沖田のものだった。
「おはよう総悟。少し待っていて」
目が覚めたと同時に構えたクナイをしまって隊服に着替える。スカーフをきっちり締めてから忍具をいくつかしまい、立ち上がった。
「お待たせ。本当に起こしにきてくれたのね」
「だから言ったでやしょう。俺は大概の約束は守りますぜィ」
土方との約束を守ったことのない沖田はそう言って笑ってみせた。
「姉御、なんで隊服なんでィ」
「…だって寝巻きでみんなの前に出るのもアレだし」
いやそれはそれで美味しい…と沖田は言おうとして止める。みんなに見せるなんてもったいない、いつか自分が見ればいい。
「娘っこの着物持ってるって言ってませんでしたかィ」
「それは変装用だから。そんな格好で屯所の出入りしてたらいざって時にバレちゃうかもしれないし…っていうかね」
「なんです?」
「なんか、恥ずかしいんだもん……」
しょっぱなの対面で隊士(そのときは浪士だったが)にクナイを投げつけ、気に入らないといわれれば二十人まとめて相手にして完璧に倒し、自分や土方をも倒した娘の言葉に沖田は一瞬開いた口がふさがらなかった。
「女らしい格好っていうの?そういうのをするのが恥ずかしいっていうか…。仕事モードのときは全然気にならないんだけど、あたし、元々可愛い着物とか似合うたちじゃないし…」
いや鏡見て来いよ。十二分に似合うだろうにっていうか、その羞恥心の方向どこだよ。沖田は心の中で十分ツッコミを入れてから頭を掻いた。
「でも、近藤さんも見たいって言ってませんでしたかィ?非番をもらったおかげと言っちゃあなんですが、そのお礼ってことで今日一日ぐらい着物着てみたらどうでさァ?」
「総悟の言うことも一理あるわね…それで私服の着物買いに行けばいっか。そしたら次からはその着物着ればいいものね」
「そうでさァ。俺はここで待ってやすから、お着替えなせィ」
は頷いて、部屋に戻った。沖田はの部屋の前にどっかりと腰を下ろす。箪笥を開けたは、出来るだけ地味なもの地味なもの…と呪文を唱えるように呟きながら着物を漁った。町娘とか女中に扮装するときのための着物で、一番地味なものは柿色の地に紺で市松が描かれている着物だった。鶯色の帯をあわせて締め、紺色の帯締めを締める。長い髪を簡単に結い上げて、簪状の忍具とそのほかに忍具をいくつか忍ばせて、部屋の障子に手をかけた。
「お待たせ、総悟。これなら女中ぽく見えるかな?」
「…こんな別嬪な女中いたら暴動起きらァ。なに、姉御はよく似合ってますぜィ」
は落ち着かないのか、うなじのあたりを気にして手を当ててみたりしているのだが、その仕草もまたなかなかに様になっていた。食堂に近づいて、たくさんの隊士と顔を合わせたのだが、隊士たちは小声で挨拶をするのみで、そそくさと顔を赤らめて中に入っていく。
「総悟、やっぱり変なんじゃ…」
「おはよう、みんな!お、。可愛い格好してるな」
近藤が大声で近づいてきて、を見るとにっこりと笑った。
「変じゃないですか?大丈夫ですか?」
「大丈夫もなにも、すげー似合ってるぞ。もっと可愛い着物でもなんでもは似合うんじゃないか」
近藤の隣、土方の分を空けて総悟、と並んで座る。遅れてやってきた土方は業務用のマヨネーズを片手に席についた。
「…おい総悟」
「朝っぱらからなんて顔してんだィ」
「ここにおいてある爆薬の出所はおめェだろ。さっさとしまえ」
「何でィ、つまんねぇお人だァ」
沖田は渋々爆薬を懐にしまう。土方はそのとき初めてが着物を着ていることに気がつき、しばし目を留めた。長い髪をあげたところを初めて見たこともあるし、隊服や忍装束で癇に障る発言ばかりしていたがいざ女ものの着物を着ると、年相応の美しい娘に見えた。あんな戦闘能力をもっていて、発言も土方の癪に障るものばっかりだというのに、今のを見ると、普通の娘にしか見えない。自分が守ってやらなければならないような…そんな気にさえなってくる。
魚の干物、味噌汁、ご飯、漬物、煮物、と出ている全てのものにマヨネーズをかけながら、土方は眉間の皺を深める。のことを、本当に女かこいつと思ったことは一度や二度ではない。戦姫は美しいのだと風の噂に聞いたことはある。しかし、戦姫を見たようなヤツらはみな戦姫に斬られていて、真偽のほどは確かではなかったし、女の忍で美人だなんて男の幻想だと思っていた。噂が正しいなんてことは滅多にないものだが、こればかりは正しいと言わざるを得ない。確かに、美しい。
「、非番はどう過ごすんだい」
「私服というものを買いに行こうかと思ってます。もうちょっと地味な着物を…」
「なに、私服を買いに行くのか!そうだなぁ、俺は桜地の着物なんかが好きだなぁ」
近藤はあそこの店のお姉さんの着物が良かっただの、いろいろな着物談義を始めた。が地味なものを探していることは全く聞いていない。
「姉御ならなんでも似合いまさァ。出来れば膝丈の着物がいいですぜィ」
「膝丈!?それはふしだらだが確かに見たい、確かに見たいがふしだら…」
沖田の言葉に近藤の意識は飛んだが、沖田は気にせずに土方を巻き込んだ。
「土方さんはどんなのが姉御に似合うと思いますかィ?」
「…さァな。女の着物なんて、分かんねぇよ」
土方はそう言うとマヨネーズご飯を口にする。土方自身、自分の着るものには多少気を使っているつもりだが、人の着るものとなると全く分からない。好いた女にさえ何が似合うのか分からないような、男だった。
「ごちそうさまでした」
近藤が意識を飛ばしているうちに、は食べ終えて両の手を合わせる。忍のころの習慣で、は食べるのがとても早い。
「姉御、膝丈の着物でお願いしまさァ」
「それは目立つから駄目よ、総悟」
はそう言って食堂から出て行った。
自室でしばらく忍具の手入れを行っていたが、昼前になって、そろそろ出かけようかと腰を上げる。手提げに必要なものをしまって草履を履いた。
「じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい!」
門に立っている見張りに元気よく見送られて、は町中に消えていった。
日が暮れようという屯所内では、近藤がなぜか通販着物雑誌をめくっていた。あれがに似合うだの、これも似合うだの言っては注文する寸前までいっている。その度に土方が止めた。
「近藤さん、女に着物を贈るなんてことァ好いた男のやることだ。あんたはを好いているのか」
「そういうわけじゃないさ、初めて妹が出来たからよォ、嬉しくって」
武装警察にいて結婚できると土方には思えないが、もしが結婚するときが来たら大変だな。他人事のようにそう思って煙を吐いた。最も、大変なのは近藤さん一人じゃねぇみたいだが…。
「おい総悟…っていねェ!」
さっきまで近藤と一緒に雑誌をめくっていた沖田が姿を消している。サボりかと土方が刀に手をかけたとき、の声がした。
「おかえりなせェ、姉御」
「ただいま総悟。久しぶりに買い物したからついついいろいろ買っちゃって」
二人の声は詰め所に近づいている。障子を開けたところには両腕に荷物を抱えていると、同じように荷物を抱えている沖田がいた。
「ただいま戻りました。局長、お休みありがとうございました」
「おう。どんな着物買ったんだ」
「矢絣の紬を一つと立湧の小紋を一つ。いつものくせで無地とか黒につい目がいっちゃってなかなか決まらなかったんですけど」
「そうか。おい、こういうのはどうだ」
近藤がめくっていた雑誌を見せる。これ、と近藤が示したのは、白地に桜が描かれている付け下げだった。
「素敵ですね。でも私には目立ちすぎるんじゃないかと…誰か好い人にでも買ってさしあげたらきっと喜ばれると思いますよ」
はそう言って笑い、詰め所を後にした。沖田も付き従っていく。荷物を部屋に置いて、沖田は詰め所に戻ってきた。近藤はまだ着物雑誌を見ている。
「…土方さん」
「なんだ」
「の姉御は、女らしい格好ってェのが恥ずかしいんだそうですぜィ。変わったお人だァ」
女ってもんはキレイなベベ着て喜ぶもんだと思ってましたがねィ、と言って総悟は自分の椅子に座った。土方は新しく煙草を取り出して、火をつける。
が女らしいことを恥ずかしいと思うのは、今まで体験してきていないからだろう。忍として休みなく働いて、女らしいことを一切体験せずに来たに違いない。こんな男だらけの所帯で何が出来るとも思えないが、出来れば少しはが娘らしいことを覚えればいいと思う。斬ることしかしてこなかった女を年相応の娘に返してやることは出来るだろうか。そうしてやりたいと思う一方で、土方には何で自分がそんなことを思うのか、いまいち分からないままだった。
自室に買ってきた品物をたくさん並べていたは着物を箪笥にしまってから、生活用品などをしまっていく。忍具も買い足しておきたいところだったが、忍者通りの裏にある武器屋に行くほどの時間がなかった。
「キレイな着物か…」
小さい頃、両親の元で育っていたはやはり大きくなったらキレイな着物を着るのだと思っていた。近所のお姉さんのように、可愛らしく髪を結い上げて、キレイな着物を着て歩くのだとそう思っていた。けれど、もう、そんな着物を着る資格を自分は持っていない。娘らしいことをして喜ぶことなど自分には出来ないのだ。どれだけの人から命を奪い、どれだけのものを破壊し、生き延びるためだけに仕事を続けてきたような自分に、カタギの女性のような格好は出来ない。今日のように強いて着物を着ても、やはりどこか恥ずかしいし、分相応ではない、という思いが強い。戦姫は、闇にしか生きられない。
思いに耽っていたは、人の気配が近づいていることに気がついてすっと我に返った。気配は近づいてきて、の部屋の前で止まった。
「おい」
土方の声だ。
「なんでしょう」
「…忘れるなよ。お前は、真撰組の女隊士だ。娘らしいことをして何が悪ィ」
土方の真意が掴めずにが黙っていると、土方は尚も続けた。
「こんなむさ苦しい野郎の溜まり場にも、お前みたいなのが一人いるとずいぶん感じが違ェ。お前はもう闇夜に生きる忍じゃねぇ。俺らの仲間で、大事な女隊士だよ」
土方にも、何を伝えていいのか分からずに喋っている自覚はあった。ただ、を年相応の娘に戻してやりたい。そう、思っていた。
「ありがとうございます、土方さん」
「……別に。じゃあな、」
足音が去っていき、はまた一人になる。土方が初めて名前を呼んだ──仲間だと、認めたということだろうか。松平は悪いやつらじゃない、ここで居場所を見つけるんだとに言った。居場所は、もう、あったらしい。
「善い人たち……もったいないぐらい」
はそう呟いて笑った。本当に、自分には勿体無いぐらい善い人たちだ。
さん、いかがだったでしょうか。第一訓、番外編。初めての非番。第一訓と第二訓の間には結構時間が流れていて、(私の設定上では三年)番外編のお話もたくさんあります。ぼちぼち書いていけたらな、と思っています。
お付き合い有難う御座いました。多謝。
2005 11 30 忍野桜拝