アップルとゲドの関係
アップルは三十路でバツイチで歴史家で。
幻水IやIIの頃に、このようなアップルが想像できたでしょうか?
私には出来ませんでした。
しかし、シリーズの中、IIIのアップルが一番好きです。(爆)
いい意味でしたたか。思い込みの激しい小娘じゃ無い。
アップルにとってゲドは。
生きてる歴史書ですよ。112年生きてるんですよ?
しかも、なんでかしらないけど、真なる雷の紋章先代継承者の記憶まであるんですよ?
美味しい。美味し過ぎる。(え?)
貴重なサンプ・・・いや、まぁ、あの。
彼女にとって一番大事なマッシュ・シルバーバーグの伝記には関係無さそうなので、そこまで追求厳しく無いかもですが。
ゲドにとってアップルは。
歴史家であり、戦略家。
シーザーの良き先導者。
普通ーーーーに評価してます。(こんなんばっかや。うちのゲドさん、他人に興味無さ過ぎやねん)
あ。そうそう。↓のSSもどきは、前振りとしてアーサーのを読んでからのほうがいいかも。
それぞれの真実
ゲドが真なる雷の紋章の継承者であり、50年前の炎の運び手の一員であると城中に知れ渡った。
それ自体は隠し様も無い事実であり、士気を高めるためと言われれば、多少の誇張は仕方が無いのかもしれない。
それでも、城内の人間は、どこかゲドを敬遠するような、良く言えば尊敬、悪く言えば畏怖の対象としている雰囲気が出来てしまっていた。
「ゲドさん。少しいいかしら。」
アップルがゲドの私室を訪れたのは、まだ城内の人間が、炎の英雄にも、真なる雷の紋章の継承者にも慣れていない頃。
「・・・」
椅子に腰掛けて本を読んでいたゲドが、目線を上げるだけで肯定も否定もしなかったので、アップルはゲドの向かい側の椅子に腰掛ける。
アップルは持っていた本をテーブルの上に置く。
「これらは、炎の運び手に関する記述の載っている本なの。
一通り読んだのだけど、やはり、矛盾してる部分が多いわ。
出来れば当事者から話を聞きたくて。・・・お願い出来るかしら、ゲドさん。」
アップルが探求者の目で、ゲドを見つめる。
「・・・・・・・・・」
それらの本は、一応ゲドも読んだことがあった。
それぞれの都合から書かれた本は、片一方の正義しか伝えない。
その中でゲドの知る男は、悪鬼であったり、英雄であったりした。
「ゲドさん。私は、なるべく客観的な立場で歴史を伝えて行きたいんです。
・・・私は以前、門の継承戦争にも、デュナン統一戦争にも関わりました。
後に歴史書を紐解くと、私の記憶と違う部分が多くて驚きました。
歴史は、それを語る者の視点で、どうにでも解釈されてしまう。
でも、だからこそ、なるべく多くの視点で、なるべく客観的に事実を記していかなければ、本当に歴史は失われてしまうんです。」
アップルの声に熱が篭る。
アップルが携わったという二つの大きな戦乱。
その中心人物である少年は、赤い服をまとい、民を導いたという。
ゲドが知る本の中の彼は、100人を超える仲間に支えられた英雄だ。
「貴方が知る英雄は、英雄を演じていたのか?」
何気なく口をついて出てしまった言葉。
「え・・・」
戸惑うアップル。
「・・・いや、いい。」
ゲドは目を伏せて、頭を横に振った。
「・・・・彼は、いえ、彼らは、悲しい人でした。英雄を演じるというよりは、英雄でいなくてはならなかった。
だから、全てが終わった後、彼らは黙って去ってしまった。」
アップルは遠くを見る。旅を続けているのだろう彼らを思って。
彼女にとっての真実が語られている。
もちろんそれは、英雄である彼らの真実とは、違うのかもしれない。
「俺が知っているのは、俺の真実でしかない。」
ゲドは己の内側を見つめた。
今も記憶に残る、50年前の景色。
それは、誰にとっても同じ色をしてる、というわけでは無い。
「ええ。それが聞きたいのです。
それぞれの真実を。
事実は事実でしか無く、真実は当事者の胸にしか無い。
それでも、残したいと思ってしまうのが、歴史家を名乗る者の欲ですね。」
アップルが苦笑した。
神ならぬ身に、全ての真実を記することは出来ない。
わかっていて、それでも欲する。
自嘲の笑みは、アップルを近しい者に感じさせた。
「ああ。でもひとつ、条件がある。」
「何でしょう?」
「貴方の真実も話して欲しい。18年前と、15年前。彼らに関する貴方の真実を。」
英雄と呼ばれる者の憂鬱を。
今更理解出来るはずも無いけれど。
「はい。」
アップルは頷いた。
「お話します。私の真実を。」
ふと、アップルは言葉を止めた。
「長い話になりますね。夜に、お酒でも持って出なおしましょうか?」
柔らかい微笑み。
「・・・・そうだな。」
つられて、ゲドも微笑する。
「あいつは、酒が好きだった。」
強くも無いくせに、呑みたがった。
「彼らは飲みませんでしたね。」
アップルが思い出すように目を細める。
そして、立ちあがる。
「では、後程。本はこちらに置いていってもいいですか?」
「ああ。」
アップルは軽く頭を下げて、ゲドの部屋を出ていった。
ゲドは残された本のページをめくった。
決して上手くは無い挿絵が目に入る。
武器である棒を掲げる少年と、後ろに続く群集。
よく見れば、その中に自分も描かれている。
その時に自分がいたのは、そこでは無かったが。
本当に、真実は星の数ほどある。
掴むことの出来なかった真実を思って、ゲドは目を閉じた。
了(2003.0607)
Q.どのへんがアップル&ゲドなんでしょう?
A.夜、二人で酒呑みながら語ってるへんです。
・・・書かれていないじゃないですか。(爆)
むーーー。ごめんなさい。(謝ってばかりだな自分)
所詮〇久は基本がゲドx炎の英雄(っつーか炎の英雄xゲドっつーか)
他のカップリングはそれの枝葉なのです。(え? ホント?)
どうにもこうにも、炎の英雄とゲドを関係付けたがる性癖が抜けません。性分です。
男知ってるアップルが、自分とあまりに道の違うゲドに惚れるわけ無いじゃないですか。
(あーあ。開き直ったよコイツ)
かといって、一夜の遊び・・・ってタイプでも無いでしょう、アップルは。
だから仕方が無いのです。うちのアップルとゲドは昔語りの茶のみ(いや、酒のみ?)友達のポジションで。
いやでも、他サイト様等でアップルxゲドがあったら、それはそれで大喜びで読むんだろうなー私。(苦笑)
そして、きっと、拍手喝采贈ってるに違いない。
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