からくり丸Zとゲドの関係


 からくり丸Zは、ベルの母がつくったからくり。
 よく壊れる(苦笑)
 あの、シンプルな外見からは想像もつかないが、自ら動くし話す。
 ある程度の人工知能が積んであるのでしょうか?
 それに、戦闘出来て呪文唱えられて、どこからともなく部品が飛んできて巨大化・・・
 ・・・考えちゃ、深く考えちゃいけないのよ〇久!
 色物なんだから。(え?)

 からくり丸Zはゲドを・・・え? 何か思ってるの?(爆)
 彼の世界はベルだけなんじゃ。
 ベルのために作られて、ベルのために生きる。それが存在意義。
 他の人間を、一応、認識はしてるのでしょうが、かまってないでしょ。彼(?)は。

 ゲドはからくり丸Zを・・・もちろん、何も思ってないでしょう(核爆)
 ・・・たのむよ自分、それじゃ話が出来ないだよ。
 でもさぁ。仕方が無いでしょう。
 ・・・百歩譲って。機械が兵の代わりになるなら便利だと思ってるかも。
 ただ、あの壊れやすさまで見てると、改良の余地がありすぎて、即戦力にならないのはわかるからなぁ。
 ベルのおまけ。そんな風に見てるかもね。



君のための永遠


 ゲドが舟の中にある自分の私室に帰ろうとする際、何か違和感を感じて立ち止まった。
 甲板へ続く梯子の下、からくり丸Zがぽつんと佇んでいる。
 そういえば、ベルが、ガンガンとうるさい音を立てながらからくり丸Zを修理しているのが常なのに、その音が聞こえないのだ。
 ベルはヒューゴについて、遠征に行っているのだろう。
 主を待つからくりは、どこか寂しげに見えた。

 目線をからくり丸Zから部屋の扉に移し、ゲドはノブに手をかけた。
 その時。
 キュルキュルという音と共に、くだんのからくりがゲドの足元へやってきた。
「げどサン、オ話ガアルノデス。」
 所詮というか、たかがからくりが自分を認識し、なおかつ話し掛けてくるとは思ってもみなかったゲドは、いささか驚いて、足元のからくり丸Zを見つめた。
「あ、ああ。入るか?」
 扉を開けてやると、からくり丸Zは器用にドアの縁を乗り越えて部屋に入った。

「アリガトウゴザイマス。」
 からくり丸Zは頭を下げた。いや、下げたように見えた。
 この小さな体のどこに、そんな高度な機能が入っているのだろうか。
 思わずゲドはからくり丸Zの体をまじまじと見つめる。
 科学と紋章と、両方の力が合わさっているのだろうか。
 それにしては、よく壊れているが。

「アノ・・・げどサン。」
 さすがに、無遠慮な視線、などという高度な見分けは出来ないらしく、からくり丸Zは淡々と(いや、淡々としか話せないのだろうが)話しはじめた。
「げどサンハ、真ナル雷ノ紋章ヲ持ッテイル。」
「ああ。」
「ソレガアレバ、げどサンハ死ナナイ。」
「・・・」
「ソレガアレバ、壊レナイ。」
 不老不死のことについて聞きたいのだろうか。
「壊レナイ?」
 もう一度、からくり丸Zが問う。首をかしげているように、見えなくも無い。
「・・・そうだな。」
 ゲドは頷いた。
「・・・カラクリ丸Zハ真ノ紋章ガ欲シイ。ドウシタラそれハ手ニ入ル?」
 突然の話題の転換。
 淡々とした口調はそのままで、どこか間の抜けた外見はそのままで、それでも、嘘をつくことのできない『からくり』だから、その言葉は間違い無く彼にとっての真実。
「真の紋章は、試練を超えて手に入れる。」
 だから、ゲドも正直に答える。
「何処ニその試練ハアル?」
 これには、答えられない。
 ゲドは頭を横に振った。
「知られていない。」
「ソウカ・・・」
 からくり丸Zは肩を落としたように見えた。
 もちろん、肩などあるはずは無いから、そう見えるのはゲドがそう見ているからなのだろう。

「お前は・・・真の紋章が欲しいのか?」
 人ならざる身で。いや、人ならざる身ならば、真の紋章の与える孤独にも耐えられるだろうか。
 永遠の孤独を知覚することも無く。
「カラクリ丸Zハべるノタメニ作ラレタ。ケレド、スグ壊レル。
 真ノ紋章ガアレバ、カラクリ丸Zハ壊レナイ。ズット、べるトイラレル。ズット、ズット。」
 ベルという存在だけで満ち、ベルという存在だけで閉じた世界の、なんと単純なことだろう。
 そして彼は、ベルがいない世界のことなど、考えもつかないに違いない。
 人ならざる身だからこその、純粋さ。隠し事も嘘も偽りも無い、シンプルな心の有り様。
 
 ゲドは目を閉じた。
 羨ましいわけではない。同情するわけでもない。
 彼には彼の世界があり、それは、そう存在しているのだから。

「なるべく、ヒューゴと、新しい炎の英雄と共にいろ。
 そうしたら、お前にも試練が巡ってくるかもしれない。」
 ヒューゴを中心として歴史が動く。
 からくり丸Zも、彼を中心として動く星なのだとすれば、資格は充分にあるはず。
 あるはずだと信じたい。
「ソウカ。ソウスル。邪魔シタ。」
 疑うことを知らないからくり丸Zは、話が済むとすぐに部屋を出ようとした。
 きっと、いつもの場所で、ベルを待つのだろう。
 それが彼の存在意義だから。

「・・・」
 扉を開けてやりながら、ゲドはからくり丸Zにかける言葉が見つからなかった。
 からくりは、からくりでしか無い。
 いつか、ベルが、壊れやすいからくり丸Zに愛想をつかしたら?
 壊れたままに、放置したならば?
 からくり丸Zの心は、何処へ行くのだろう。
 ただ、ベルを求めるだけのからくり丸Zは。

 キュルキュルと、車輪を鳴らしながら、からくり丸Zは梯子の下、いつもの位置に戻った。
 そのままそこで、動かなくなる。
 どこか寂しそうに見えるのは、自分がそう見てしまっているからだ。
 ゲドは扉を閉めた。
 早く、いつもの騒音が聞こえればいいと思いながら。

了(2003.0607)


 色物がシリアス・・・。まぁその・・・いいか?
 無機物なのに心があるって悲しいですよね。
 昔読んだSSで、記憶の容量が決まっていて、ある一定期間が過ぎたら、全て忘れてしまうロボットがいたんですよ。
 バックアップとか無し。
 可愛そうでしたーーー(涙)
 なんていうか、自分の心が自分の物では無い悲しみ?

 所詮からくり。たかがからくり。
 でも、からくり丸Zは可愛い奴です。多分。(爆。使って無かったんだよねー)

 で、どこがゲド受けなの?
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(滝汗)

 からくり丸Z自身に、性欲があるとは思えない。
 もし、なんかあるならベルの手下として、あれやこれやの道具を・・・・
 その辺りはちゃんと、本家ゲド受107祭りにあるのでそちらで。(逃げ口上)


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