ゲドが隻眼を治さない、その訳とわ。
自分の包に戻り、重いコートを脱ぎ、ゲドは寝台に腰掛けた。
腕にも、いく筋か古い傷がある。
その一つ一つが、自分の未熟さの証明であり、守りたいものを守れなかった後悔の跡である。
見るたびに思い出は鮮明に蘇る。
苦々しい後悔、憤り、絶望。
『捕らわれている・・・?』
忘れたいと思ったことは無かった。いやむしろ、忘れてはならないと誓った。
それが、捕らわれているということなのか?
ゲドは両の目で見ていた世界を思い出そうとした。
『ああ。』
突然、ゲドは自覚した。
『俺は、幸せな景色を、右目に封印したかったのかもしれない。』
実はこれ、自分のSSの一部抜粋です。
ワイアットとゲドの話。 F君に献上したブツなので全部公開とはいきませんが、割かし気に入ってる設定なので一部だけ。