くたびれた彼のコートを手に取る度に蘇るのは、弁護士だった父の姿。おぼろ気になって行く記憶。父も法廷の外ではコートを着ていたのだ。

彼を恋うこの気持ち。私が欲しかった父の愛を無意識に彼に求めているのだろうか。そう思う事がある。

私の愛は本物のはずだ。断じて代償行為などではない。

だがもし、もしもそうだったら?私を愛してくれる彼に顔向け出来ない。

確かめたい。今すぐに。






御剣の手が糸鋸の首筋に伸びる。そのまま食らいつくように彼の唇を求めた。

「ン、ぐ…怜侍クン…」




「圭介…」

ほら、見たまえ。息子は父親にこんなキスなどしない。父親にそんな欲望を抱かない。

「怜侍クン…?」

安堵と羞恥とがない交ぜになった御剣の顔。

濡れた唇に糸鋸がかぶりつく。一度唇を離し、荒くなる呼吸を鎮めようとするが、御剣がその顔を引き寄せようとする。




私が欲しいのはキミだ。短く刈った髪に汗のニオイを漂わせ、ヒゲが焼けた頬にうっすら浮いて来ていて。耳元で息を荒げて低い声で呻いて…父とは全然違う男。




「う…自分、まだフロも入ってないッス」

「それが…どうした」

「その…もう、ガマン出来ないッス」

「しなくていいッ…」


御剣が答えるその前に、糸鋸は御剣を抱き上げて寝室へと向かう。

いつになく激しい御剣。彼が身体中から発している欲望が媚薬のように糸鋸に目眩を起こす。

柔らかな唇に、なめらかな頬に、しなやかな首筋に唇を這わせながら荒い息をつく。


欲望がむき出しになってしまった自分を恥じるように目を伏せて、うずうずしながらもそっと御剣を抱いて運ぶ糸鋸。

父に抱かれて寝室に連れて行かれた幼い自分は、確かにこんな風に抱かれてはいなかった。

たくさんのキスを降らせてくる糸鋸の首に腕を回して、御剣は激しく上下している彼の胸に頬を寄せ、ベッドに横たえられるその瞬間を待った。

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