he wish for him.
俺にしか出来ない事
これは特別
俺にとって君は特別だからね?
だから、全てを与えてあげよう
君が満足するなら
何だって叶えてあげる
何だってしてあげるよ?
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wish-1
「あのね、先生ナルトの事が好きなんだ」
「・・・へ?」
愛も解らない小さな子供に
いい大人が一世一代の大告白。
「う、嘘だぁ」
「ホントだよ?」
急に言ったって理解して貰えない事は承知済みだし
信じて貰えない事も承知済み。
「嘘だってば・・・」
「ホントだって」
だけどね、俺本当に好きなんだよ
笑っちゃう位にね、朝から晩までお前の虜。
我慢するなんて出来ません。
「俺ってば信じないもんね!」
「どうしたら信じてくれる?」
だから決めました
お前に言って
俺にとってお前は特別だって事を
身体全体で表現する事にしました。
「俺のお願い全部きーてくれたら信じてあげるってば」
「お易い御用です、オヒメサマ」
さて。
君は俺を知って
好きになってくれるかな?
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hope-1
まずは一つ目のお願い
「素顔を見せて」
てっきりラーメン驕ってとか、
何か買ってだと思ってたら見当違い。
だけど、思えば君を捕まえるのには
一番有効なお願いだったりするのかも。
だからその場で全てを外して見せてあげました。
俺にとってはナルトの前で勿体ぶる事なんて一つもないし
こんな顔でも満足出来るなら幾らだって与えてあげましょう。
「・・・・・・・・・」
「・・・・どうした?」
「せ、センセーカッコイイね・・・」
「そんな有難い部類に入るんだ」
「うん、カッコイイ!!」
俺の素顔を見れたナルトはかなりのご機嫌
初めて自分の顔を誇りに思ったり。
「いつだって見せてあげるよ」
「・・・ほんと?」
「うん、ナルトは特別だからね。二人きりの時はいつだって外してあげるよ」
「・・・とくべつ」
「そ、特別」
「へへ・・・・」
ねぇ、ちょっとは俺の気持解って貰えたかなぁ?
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wish-2
「よぉ、カカシ」
その日はクマに会った。
「・・・・・・・・・・・」
「お前、あからさまに嫌そうな顔すんなよ・・・」
何処から探って来たのか分からない程、色んな情報を持つこの男
会う度に何かを追求される。
「今日は何?アスマ」
「何ってナルトの事だよ」
ああ、やっぱり。
この野次馬。
「最近女絡みの噂が減ってるとは思っていたが・・・犯罪だなぁ」
「うるさいよ、俺が誰好きになろうと勝手じゃない」
「んで、もう食ったのか?」
下品にも程がある
俺はね、お前と違うのアスマ。
欲しいのは身体だけじゃないんだよ?
気持なんだ。
気持から身体まで、全部欲しいんだよ。
「つまらねぇな」
「見せ物じゃないでしょ」
「ヘコヘコガキのお願い利くなんざお前も変わったよな」
「ナルトだからだよ。アイツの喜ぶ事なら何でもしてあげたいんだ」
だけど、分かって貰えなくてもいいよ。
ナルトが俺を利用してるだけでも構わない。
喜ばせてあげられる事が満足。
「・・・幸せな顔しやがって」
「そりゃ、欲しいよ。ナルトも俺を好きになってくれたらどんなに良いだろうって」
「・・・・・」
「でも、信じて貰えない方が嫌なんだ。ナルトが信じてさえくれれば好きになってくれなくても良いよ。」
「信じて、俺の事分かってくれればそれでいい」
「・・・そうかよ」
しつこいけど、本当は俺の事愛して欲しいけどね。
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hope-2
二つ目のお願いには、かなり間があった。
何時だって何だって利いてあげるのに滅多な事は言わない子供。
信用には、ほど遠いのかな。
「あのさ、あのさ」
「なぁに?」
「本当に叶えてくれんの?」
「勿論」
何の躊躇いもない俺の返事に
少し躊躇いがちなナルト。
「じゃあ・・・」
「ん?」
「センセ−の家に行きたいってば・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
これは・・・予想もつかなかった。
だって、ある意味絶交のチャンス?
「・・・・あ、ダメならいいってば!」
「ううん、いいよ。おいでよ」
「・・・ほんとう?」
「うん、大歓迎」
「・・・・・・・へへ、やった」
けれども、逆に辛いのかもしれない。
信用はしてなくとも、信用はしてる。
変な言い方だけど、今のナルトにはそうなのだろう。
無意識でも、俺を試そうとしている。
「センセ−の事・・・いっぱい聞きたい」
「俺の事?」
「うん、任務の事とか!」
「・・・そう」
それとも。
ナルトにしてみれば、こんな事何でもないのかもしれない。
あの中忍の家に行って泊まったりとかなんて当り前の事なのだろう。
そんな事を考えれば胸くそ悪くなるけど、
幸いにもイルカにはナルトに対する恋愛感情は介入されていない。
だからナルトだって警戒心も無く俺にお願いしたんだろうね。
「じゃあさ、じゃあさ、早く行こうってば!」
「お菓子でも買ってく?」
「ん!」
問題の方は俺。
俺には下心があり過ぎる。
でもね。
お前が俺の事知りたいっていうなら
信用してるなら。
喜んで、叶えてあげる。
精一杯の事をしてあげる。
ちょっとは近付けたよね?
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wish-3
眠るナルトを横に
俺の精神はボロボロだった。
これは無理矢理にでも抱き締めて
押し倒すとかでは無く。
本当に、精神的な苦痛。
最初は良かったよ?
普通に家に入って、お喋りして
御飯食べて。
遅いから、泊まっていっちゃいな、って。
ナルトは快く承諾してくれて
何にも出来なくても一晩傍に置ける。
最高に幸せなんだと思ってて。
けれども、それもほんの一時。
ナルトの口から出るのは中忍の事。
ナルトはさ、何でも無い
日常の我侭をイルカに願って
心から信用してて。
俺の存在が打ち消された様。
「ナルト・・・」
俺ね、イルカ先生みたいに。
イルカ先生よりも、もっと頼って欲しいんだよ?
普通の我侭を沢山言って、甘えて欲しいんだよ?
ナルトだって言ったじゃない。
何でも叶えてくれるなら信じるって。
だから何時だって待ってた。
ほんの些細な事でもいいから。
俺を頼ってくれるならって、期待してた。
「お前の中に俺は・・・居ないのかなぁ」
いっその事、本当にこのまま犯して自分のものにしてしまいたい。
けれど、無くすのは嫌で
嫌われるなんて絶対に嫌で
でも、欲しい。
自滅状態なジレンマ。
小さな手を優しく掴んで
頬へと擦り寄せる。
こんなに簡単に手の中に居るのに
心は、無い。
「分かってた事だけど・・・押し潰されそうだよ」
顔も見せた。
ココで俺の全部を明かした。
自分の最高機密を明かしたんだ
忍者として一番してはいけない事
ナルトだから全部見せたんだ。
ナルトが、願ったから教えたんだ。
あとは、何を願ってくれるのかな・・・。
何にも言わないなんて嫌だよ。
ランプの精みたいに、三つのお願い叶えてバイバイなんて嫌だよ?
言えない我侭ばっかり。
余計に遠くなったね。
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hope-last
ねぇ、これが最後のお願い?
本当に、ランプの精みたい。
だーれも居ない、森の最奥。
俺は一人、寝そべって考え事。
ナルトのお願いから約ニ週間。
進展なんて勿論ナシ。
アレから、何だかマトモに顔を見れなくなった
一緒に居て、辛さが増した。
もともとは覚悟の上で打ち明けた事
でも、俺には耐えられなかった。
「もう無理な事なんだろーね・・・」
ナルトの方も何だかオカシクなった様な気がする。
俺が近付く度に後ずさったり、目を合わせなかったり。
何も、してないのに。
御期待の通り、お願い叶えてあげて何でも教えてあげて。
完璧な聖人だったでしょ?
お前を無理矢理襲うなんて事、しなかったでしょ?
何がいけなかったの?
それとも恐くなった?
生い立ちとか、暗部とか。
喜んで聞いてたのに。
喜んで泊まったクセに。
お前が分からないよ
もう、分からない。
これ以上近付けない様な気がする。
その時だった。
近くから微妙な気配。
良く知ってる気配。
ナルトだった。
少なからず、散歩
・・・なんて訳ではなさそう。
ああ、きっと俺に会いに来てくれたんだろうね。
その内に、カサカサと草影から小さな姿。
「センセ−・・・」
「良くココにいるの分かったね」
「あ、気配・・・辿ってきた」
「そうなんだ」
まぁ、あの分だとココに来れないしね。
ちゃんと見つけ易い様に、気配消さないであげたし。
「こっち来なよ」
「・・・ん」
ナルトは少し躊躇いながらも素直に俺の隣に座る。
ああ、本当は今にでも抱き締めたい。
でも、出来ない。
「マスク」
「え?」
「今日は・・・マスクしてないんだね」
「だって、ナルトの前じゃない」
「そ、そう・・・・」
チラリと見れば
下を俯いて、まだ躊躇いがち。
「信用・・・できない?」
「えっ?」
「信じて貰うのって難しいね・・・」
主旨が無くても分かるだろ?
俺が言うのは告白。
ねぇ、お前には俺の気持伝わらなかったのかなぁ・・・
「そんな事ないってば!」
「・・・・そう?」
「お、俺ってば・・・確かに最初は信じてなかったけど・・・今は・・・」
だけど、俺にはもう満足出来ない区域。
分かって貰えただけじゃ嬉しく無くなってるんだ。
だからさ、
「ナルト・・・」
「あ、あのね・・・」
「・・・・?」
「お願い言いに来たんだってば・・・・・・」
もう、ハッキリしようよ。
好きだから
愛してるから。
このお願いで終わりにしよう?
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wish-last
「・・・・・何それ」
最後まで、自分の想像とは違うお願い。
”九尾になったら殺して下さい”
「だってさ、だってさ・・・」
「俺の事信用してるから?」
「・・・うん」
「嬉しく無い」
「え・・・・」
「俺の気持はどうなるの・・・?」
終わりの事をお願いなんて。
それじゃあ。
俺がバカみたい。
お前を好きだって言った俺が惨めじゃない。
「俺はね、お前が好きなんだよ?」
「・・・だから信じた!」
「信じてないよ」
「信じてるから・・・頼んだんだってば」
「俺ね、お前の為に何だってしてあげたい。喜ぶならどんな事だってしてあげたいと思ったよ」
「・・・・・」
「けど、実際はなんだろうね・・・ナルトの心が無いのが辛いよ」
「センセ−・・・・!」
子供みたい。
手に入らないから駄々を捏ねてる子供みたい。
情けなくて、泣けてきちゃうよ。
だけど人間なんだよ、俺。
機械じゃない
ランプの精でもない。
俺だって願いを持つ人間なんだ。
大好きなお前を殺して、地獄を見ろっていうの?
「俺はナルトが好きだよ、ナルトは俺の事なんて何とも思ってなくても」
「・・・・」
「だけどね、こればっかりは・・・俺を都合のイイ殺し道具なんかにしないでよ・・・」
暫く沈黙が続く。
ナルトは一言も喋らない。
この分だと、失望したんだろうね・・・。
でもね、本当にナルトが俺を好きじゃ無いなら仕方のない事。
スッパリと、諦めよう。
いよいよ見切り時なんだな、と。
自分に覚悟を決めて、ナルトを覗き込む。
「・・・・・・・・!」
しかし、覗き込んだ先
ナルトは泣いていた。
「な、ナルト・・・」
「センセーのバカ!!」
「・・・・・・・・・・・・は?」
思わず絶句。
「センセ−ってば本当に俺が何ともないと思ってんの!?」
「ナルト・・・・?」
「俺だって、センセ−の事大好きだから頼んだんだってば!!」
「・・・・・・・・!」
何だって?
今、何て言った・・・・・・?
「俺だって好きだったもん・・・せ、センセ−の事好きだもん・・・!」
「じゃ、じゃあ何で・・・・」
「最初は嘘だと思ったってば・・・俺なんか、こんな俺なんか好きになる価値も無くて・・・っ
けど、一緒にいるウチに『ああ、本当なんだな』って・・・」
「・・・・」
「嬉しかったよ・・・お願い聞いてくれて。全部見せてくれて・・・。
気付いたら俺だってセンセーの事考えると胸苦しくなっちゃって・・・」
「・・・・ナルト」
「だから頼んだんだってば・・・イルカセンセ−にじゃない、火影のじっちゃんにじゃない。
大好きなカカシセンセーだから頼んだんだってば・・・」
「センセ−にしか、できない事なの・・・!」
身体が、熱くなる。
ああ、何かもうよく理解できないけど。
つまりは、好きだから殺して欲しいって事?
一番大事なお願いを、俺にだけ叶えて欲しいって事なんだよね?
俺を好きなんだよね・・・・・?
「・・・・確かに、俺にしかできないね」
「そうだってば・・・」
だから、
ナルトが喜ぶ死は、俺にしか叶えてあげられない。
胸の中に、沢山の嬉しさが込み上げた。
「・・・俺もヤだな。ナルトが他の奴の手にかかるなんて、悔しい」
「センセ−・・・・」
「でも、叶えてあげない」
「え?」
ふわりと、小さな身体を抱き締めた。
「それは、残念ながら叶えてあげられないよ」
「なんで・・・!?」
「だって、俺が守るから」
「・・・・へ?」
ぱちくりと、大きい目。
「まもる・・・?」
「うん。そんな事にならない様に、命張って守るから・・・だから叶わないよ」
「で、でも・・・!もしも・・・もしも守りきれなくて。九尾になっちゃったら・・・?」
「その時は・・・・」
「その時は・・・?」
「心中しようよ」
これは本当。
ナルトの居ない世界なんてつまらないもん。
「そ、そんなの冗談でも言うもんじゃないってば・・・」
「冗談じゃないよ。好きだから、どんな時も一緒がいいんだよ」
「せんせぇ・・・」
「もう決めたの。嫌なんて言わせないよ」
「・・・・・・・」
「イイよね?」
「・・・・仕方ないなぁ」
「あはは、仕方ないか」
最後のお願い、条件付きで承知いたしました。
「ナルト」
「なに?」
「あのね、先生お前の事好きなんだ」
「・・・・・・・」
「最初と同じ告白。ちゃんとお返事、聞きたいな」
「・・・・・ぅ」
「ナールト?」
「・・・・・・・お、俺も」
「聞こえないよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・俺もセンセ−好きだってば!!」
「・・・・うん、嬉しい」
俺の気持、伝わったね。
お互いのお願い、叶ったね。
叶わない筈のお願いが、叶った。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「あ、センセ−」
場所は変わって俺の家。
今まで触れられなかった分、早速にイチャイチャとスキンシップ。
「んー?なぁに?」
「俺ってばさ、センセーにいっぱいお願い利いて貰っちゃったからさ」
「うん」
「だから、何かおかえししなくちゃ」
俺の膝の上に座るナルトは
大きな目を開いて、一生懸命。
ああ、可愛いなぁ。
「そんなのイイよ」
「だってさ・・・」
「それに、これからだってお願いして良いんだよ?」
「・・・ホント?」
どんな些細な事でもいいから。
あの人より俺を頼りにして?
「ナルトが喜ぶなら何だって叶えてあげたいもん」
「あ、あんまり甘やかしちゃダメだってば」
「俺がしたいからいーの」
「じゃあ、尚更だってば。俺もセンセーのお願い事きく!」
「俺の、お願いねぇ・・・」
「何でもいいから!ラーメン食べたいとか!」
「それはお前のお願いでしょ・・・」
「と、とにかく!何かない?」
「・・・・・・・・じゃあ、ひとつだけ」
「うん!」
強いて言うなら、最大のお願い
これは、君にしか出来ない事。
でも。
「ナルトの全部をね、俺に頂戴?」
叶う事は、保証済みかな?
he wish for him.
な、長い…。
しかも長い上に薄い内容…。
あああ、こんなものがお持ち帰りでゴメンナサイ!!
「wish」と「hope」。
意味は同じですが微妙に違うらしいです。
「wish」は実現不可能なお願い
「hope」は実現が可能なお願い
だと辞書に載っていました。
ですが英語は万年3だったのできっとタイトルの文法もこの2種の単語の
使い方も間違っている事でしょう…。<なら日本語タイトルにしなさい
とにもかくにも本当に三万打嬉しいですよ〜vv
カウンター壊れてるのではと一瞬疑う位に大興奮です。
皆様、ありがとうございました!
こんなショボい小説でも宜しければどうぞですv
持ち帰って下さる方は掲示板かメールでお知らせ下さると嬉しいです。
珠さまのサイトで30000HIT記念のお持ち帰り企画をいただいてしまいました。
なんだか、カカシの想いが切なくって、じーんときてしまいます…はぅぅ
普通、子供にお願いをかなえて上げるなんていったら、きっといろんなこと言うと思うんですけど、ナルトは
ぜんぜんそうじゃなくって、お願いひとつ言うのにも、なんだか「いいのかな、いいのかな」っていう遠慮みたいな
のがあって、それがナルトの生い立ちのせいだと思うと、とっても胸がイタイです〜
あぁぁ、ステキです〜〜〜
珠さま、ありがとうございました。これからもステキなカカナル、期待してます!
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