キミは、いつだって。
ちっさな手足を踏ん張って。
強がるから。
張り詰めているから。
まっすぐと
「なんでそんなに頑張るわけ?」
膝上で巻き物を読むコに、聞いてみたのだけれど。
「?オレ、頑張ってる?」
予想通りというか、なんというか。
青いメンタマが、くり、と見開かれたりして。ムダに。
ーカワイイ
無意識、とか、無邪気とか。無鉄砲?
いろんな場面で、『無』を多用するコだと思う。
ほんわかとするような問をしたつもりはナイのだが・・・
「・・・つか。おまえのはさ、頑張るとおり越してムリしてるっぽいよ?」
もっと、
甘えてほしくて
泣いてほしくて
そう言ったのに。
キミはなんだか得意げに。
「オレってば、目標のためには努力を惜しまない男」
だって。
がっくりと、肩も下がる。
「こんくらいしなきゃ、火影にはなれないんだってばよ!」
大人の微妙な落胆なんかには、頓着する様子もなく弾けた、笑顔。
まるで、光そのもの。
キミの眼差しが、声が。
いつだってこの胸を、まっすぐに打ち抜くんだ。
ーだけど・・・
眩しすぎて、強すぎて。
ヒドク、果無く感じる時がある。
・・・ちょうど。
ー今・・・、みたいにね
胸の奥の方。
咽の、まん中へんまで、込み上げるモノがあって。
「わっ!センセッ!?」
思わず背中から抱き締めた。
普通の子供が約束されているハズのモノを、ナニ一つ持たずに生まれて来たこのコ
にとって。
必死で何かを求めるコトは、息をするのと同義の行為だったのかもしれない。
そんなキミに、
「頑張らなくてもイイんだよ」
なんて、冗談でも言えやしないが。
ーぜぇんぶ。ひとりでのりこえちゃって・・・
このコの抱えるモノの何がしかでも、自分にわけて欲しいと思うのは、過ぎた欲なの
だろうか?
しばらく無言で小さな身体に触れていると。
最初は戸惑っていた幼い手が、そぉっとしがみついてきた。
「・・・あのさ」
「・・・ん・・・?」
密やかな、アマイ声に呼ばれて。
背後から、頬に頬を擦り寄せるようにして彼の唇に耳を寄せる。
淡い桃色の唇が、ほんの少しだけ戦慄いて。
「オレってば・・・がんばれるの」
「うん?」
「センセーのおかげ」
「・・・え?」
ぎゅぅ、って。半身を捻ってまぁるい額が胸のあたりに押し当てられる。
表情を覗き見ることはかなわないけれど、金糸の間からのぞく耳朶がヒドク赤い。
「センセがいるから」
こうやって、だきしめてくれるから
「オレってば、めいっぱい、できんの」
幼い、告白はひどく暖かくて。
カカシは、肺にためこんだ空気を、静かに吐息に変えた。
自分自身が発した言葉に翻弄されて、子供はとてもじゃないけど顔を上げられない
らしい。
ぐいぐいとシャツを握る指先に力を込めるから、カカシはほんの少し首が閉まって
しまい、その息苦しさがちょっと笑えた。
本来ココは、口付けでもして甘い言葉を囁くべきトコロなのだろうけれど。
多分そんな上級者コース。このコにはまだ通用しそうもなくて。
カカシは、華奢な肩口に無言で鼻先を潜り込ませる。
ーま。今、こっちを見られても困るケド・・・
小さな耳の色に、負けないくらいに赤くなった自分の面。
とてもじゃないけど見せられない。
「・・・ねぇ、ナルト」
いとけない少年の思いは、まるで片思いをしているような歯がゆさを時折カカシに
与えるけれど。
滑稽で。だけど一生懸命な言葉や仕種は。
どんな情熱的な相愛よりも、名言よりも。
この胸を激しく揺さぶるのだ。
ナルト
「だいすきだよ」
ねがわくば。
オレのこの言葉こそが。
キミのココロにまっすぐと刺され。
モナ様のサイトでお持ち帰りだったので遠慮なくいただいてきてしまいました。
もう、ほんっっっっとに好きなんです〜〜モナさんのカカナル小説!
甘くって切なくって胸きゅんきゅんですっ
ほとんど毎日サイトに通ってはめいっぱいカカナルに浸って悦ってます。
はぁぁぁ〜〜(余韻にひたってみた)
モナ様、ありがとうございました<m(__)m>
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