今日の任務は、わりかし順調だった。

サスケよりも先に、分担した区域の作業(草むしりだったけれど)を終わらせた。
休憩中、サクラちゃんが飴玉をくれた。
帰り道、イルカ先生にラーメン奢ってもらった。

・・・そんなワケで。

ナルトはその夜、至極機嫌が良かった。





月がとてもキレイだったから




「はー、さっぱりしたってばよっ」

子供は、濡れた髪もそのままに、小さなな寝台の上。
ボスンととびのった。

まだ4月になったばかりだというのに、ここ数日まるで初夏のような陽気が
続いている。
開け放たれた窓から、密かにカーテンを揺らす風が心地よい。

「・・・今日はテレビ、ナンもやってないしなー・・・」

筋トレ、終わった。
風呂も、入った。
後は、明日の任務に備えてぐっすり眠るだけ!
・・・なのだが。

「うーん・・・」

一向にやってくる気配のナイ眠気。
かといって、巻き物を紐解くような気分にはなれず。

「ど・う・するっか、な〜〜・・・っと」

デタラメな音程で口ずさみながら、ゴロゴロと寝台の上を転がっていると。

「・・・ぁっ」

一際強く吹いた風に、一瞬だけ全開になったカーテン。
天鵞絨の空には、ポッカリと浮ぶ。

満月

「・・・わぁ・・・」

思わず、口から感嘆詞が飛び出す。
闇夜に眩しい真円は、まるで内側から覗いて見る針穴写真機のよう。

ナルトが瞬き一つする間におさまってしまった突風。
けれど次の瞬間には。

ナルト自身の姿が消えていた。

                  *

時刻は夜9時。
街灯の乏しい夜の道を、タッタッタッ、と一定の足音が駆け足のリズムを刻んで
いく。
ナルトは、パジャマにいつものサンダルをつっかけただけの格好で、遠く前方の月を
追うようにして走る。

ナルトの家は、里の南の外れ。
目指すのは、東の外れ。

そこへと続く道は、繁華街を通らないため、こんな時刻でも既に人陰は見当たらない。
外界との境界を隔てる深い森。
それを、掠める位置に差し掛かった、その時。

「・・・やっぱりおまえか」

聞き慣れた声が、闇の中から言った。

「忍の端くれが、そんな足音立てるんじゃナイよ」

言葉とは裏腹に、ヒドク楽し気な口調が、言外に

ドベだねぇ

って笑ってる。

月光を遮って出来た大木の影から、大きなヒトがゆうるりと足を進めて。

「・・・ぁ」

輝いた銀糸に、思わず漏れた声。

ホントに。
ホントにおどろいた。

だって。

「カカシ先生」
「よぉ、ナルト」

ニコニコと笑う隻眼。
教師は数時間前に解散した時と同じく忍装束のままだった。
もしかしたら、まだ家には戻っていないのかもしれない。

ー大人の、コトだってば

下忍であるナルト達には、任務が終わればするコトなんて殆ど決まってる。
修行するか、遊ぶか、家に帰るか。
それくらいで。

けれど大人達はどうもチガウらしい。
ナルトの知らない大人のコト。

ホントは見れないハズの時間のカカシ。

ーなんか、特したってば

心の隅っこが、くすぐったいようなカンジがする。

「センセ、こんな時間にこんなトコでナニしてんだってばよ?」
「そりゃこっちの台詞でしょー。ナルトこそこんな時間にこんなトコでどうしたの?」
「え・・・っ?えっと、オレはー・・・」

おどろいた。
おどろいた。


だって。
会いに行こうと思ってたヒトに、道の途中で出会ってしまった。


内心あわあわとしている子供の沈黙に、ほんの少し訝し気に小首を傾げて教師は重ねる。

「どっか、行くの?それとも」

ダレかに会いに行く、とか?

・・・ちょっとだけ。
ナルトには気付けぬ程度に下がったトーン。
一方ナルトのパニック度は、彼の成した問いに、グン、とその数値を跳ね上げていた。

ーぱ、パレルわけ、ナイってば

ホントはカカシに会いに行こうとしてた、なんて。
別に隠さなければいけないようなコトでもナイのに、ナルトにはそんなコトを考える
余裕もナイ。

「ち、チガウってば。オレってば、ナンカ眠れなくってさっ。散歩!」
「・・・散歩?」

そうっ!って、ヤケクソみたいに言切った子供の額に、大人の大きな手が伸びた。

「パジャマで・・・?」

スルリ

小さな髪束を、くすぐられて。

ー・・・っっ

薄い胸骨の奥で、臓器が大きく震える。
カカシの唇が、マスクの下でその両はじを持ち上げた気配。

「髪、濡れてるね」
「・・・あ」

長い指先が、大して長さのナイ金糸を絡めるから、時々触れてしまう肌。
見下ろしてくる色素の薄い瞳には、月光を反射させるナルトの髪が映り込んでいる。

ーナンか・・・変だってば

髪に、神経は通っていない。
当然、感覚なんか、ナイ。
なのに。

カカシを

カンジて、しまう

「あ、あのさあのさ」
「・・・ナニ?」

ちょっとドサクサにまぎれて、おっきな手をおしやって。
ちょっと、かなり不満そうな教師に、ごまかすみたいに質問。

「センセッ。センセは?どっか行くのかってばよ?」
「・・・・・・・・・」

一瞬の、間。
カカシの視線が、ナルトの頭部を掠めて、ナニもナイハズの空に流れた。

「・・・あー。・・・もう、済んだよ」

なげやりな口調が気にはなったが、どうやらカカシも『ヒマ』であるらしい。
そう、ナルトは結論付ける。

「そーなの?」
「そ。ナルトは?まだ眠くなんない?」
「全然っ!!」

ココで、「帰れ」とは言われたくなくて。
何故だか、絶対。
言われたくなくて。

思わず力いっぱい首を縦にフルと、過った力加減に、小さな身体が傾いでしまう。

「・・・わっ」
「・・・っと。ナニやってんだか・・・」

ー・・・・っっっ!!??

両手で支えられた、肩。
ポスリ、と。
額がカカシの身体に押し当てられた。

鼻孔から入ってくる空気は、全部カカシの匂いで。
思考が、停止する。

真っ白なまんま、教師を見上げれば。

「・・・・キレイだね、ナルト」

ナルトの視線に追われるようにして、上空に放たれたカカシの視線の先。
薄く銀を帯びる、天体は、相変わらず。

「・・・ウン」

ーキレイ、だってば・・・

銀色の髪が、光を吸込んだみたいに光って。
ちょっとだけ眇められた目なんか、高価な石を思わせる。

ホントに
とても

キレイ

理由なんて、なかった。


今夜はとても気分がよくて。
スゴクキレイな月を見つけて。


そうしたらー・・・

ぼう、と下方から教師を見つめていると。
ナルトの視線に気付いたのか、彼特有の笑顔が降ってきた。

同時に、やんわりと離される身体。

「・・・ハラ」
「え?」
「ハラへんない?おまえ」
「・・・え?ぇ、ウン」

唐突な問いに思わず頷くと、肩を解放した手が、目の前にジャンケンのパァの形
で差し出されて。

「ラーメン、食いに行こっか」

一回だけ、おいで、って言う代わりに、開閉された掌。

「・・・行くっっ!!」

抱き着くみたいにその手に触れたら、あっという間に見えなくなった自分の手。
ナルトの小さな手では、まだ『手を繋ぐ』というよりは『手を掴まれる』格好
だったけれど。


二人並んで、月夜の道を行く。


ただ。

月がキレイだったから。
とてもキレイだったから。

あなたに会いたいと、思ったんだ。


理由なんて、ナイ。

このキモチにつける、名前も知らない。

ただ。

あなたに会いたいと 思ったんだ・・・・




す・・・すいませ〜〜ん。
もっとちゃんと、じっくり考えたお話にしたかったんですケドね・・・。
なんかもうどたばたしてる間に一周年になっちゃうし。
でも、なんにも準備してないし。
でも、なんかやりたいし・・・と。急きょひねり出してみました。
拙いモノですが、お気に召しましたらどうぞ煮るなと焼くなと御自由にっ。
そして知らせて下さった方にはカカシバージョンも押しつけますのでお覚悟の程を!



いきなり訪問したモナ様のサイトでいきなりお持ち帰りをしてしまいました。
もう、もう〜らぶらぶなんだけど切ないカカナルがいっぱいあって、ほんとにもう、なんでこんなにステキなお話が
かけるんでしょう……
胸にジーンときましたv
モナ様ありがとうございました<m(__)m>


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