「Go Go Heaven」



今日も今日とてナルトがわがままを言いだした。
最早恒例行事になりつつある休憩時間のお遊び。
サスケもサクラもバカ師弟に抵抗する気はとうに失せていて。
イチャイチャと楽しそうな二人を遠くから突っ立ったまま眺めている。

しかし、今日のサスケは少しおかしかった。
いつもより更に無口で、いつもより眉間の皺も多い。
少しだけ顔色も悪く、サクラが心配していることに気付いていない。
しかしいつものように胃を押さえ、サスケは不機嫌そうに二人を睨んでいる。

サスケの異変には興味ないらしいカカシとナルト。
ナルトは異常なくらい興奮気味でカカシに向かって喋りまくり。
カカシはそんなナルトを優しく(サスケ曰く砂を吐く程甘く)宥めながら話を聞く。

「今日は、今日はハヤテ先生ごっこだってばよ───!!!」
「ハヤテごっこ?何するの、それ?」
「何って、カカシせんせーってばわかんねーの?」
「うん。だから教えて?」
「うんってばよ!あのね・・・・」

カカシは話を聞きやすいようにしゃがみ込んで。
ナルトはカカシの耳元に唇を寄せて楽しそうに囁く。
クスクスと笑っている二人は、何だかとても楽しそうだ。

二人のその場面を見ていたサスケとサクラは。
砂糖一袋を一気食いしたしたような、何ともいえない顔をした。
サクラは口の中でもごもごと二人に対する悪口雑言を吐いていたが。
サスケは更に顔色が悪くなり、胃を押さえたままその場にうずくまった。
人前では滅多にそんな姿を見せないサスケがいきなり苦しそうにしているから。
サクラは本気で心配になり、しゃがみ込んで俯いたままのサスケの顔をのぞき込んだ。

「だ、大丈夫サスケ君!?」
「・・・・ああ。少し休めば治る」
「そう?あまり無理しないでね」

無言で頷くサスケ。
サクラはまだ心配そうにサスケの背中をさすっていたが。
担任であるはずのカカシは本気でサスケのことに興味ないらしい。
サクラとサスケがそんなコトしている間にナルトとハヤテごっこを始めていた。

「げほげほげほっ!」
「カカシせんせーってばすげー!!今にも血ぃ吐きそうだってば!!オレも負けねーってばよ!!!」
「おー、がんばれ」

・・・・二人して咳をしている。
虚弱体質でいつも咳をしているハヤテの真似をしているらしい。
そんなことをしてどこが楽しいのか、なんて聞いてはいけない。
聞いたとしても、あのバカ師弟以外にはわからないだろうから。

「コンコンコンッ」
「ナルトの咳はかわいーねぇ」
「むっ!かわいくなんてないってば!!」
「かわいいよ。でも、もっと死にそうな咳しないとハヤテとは言えないね」
「じゃあせんせーやってみてってばよ」
「まあみてなさい」

そう言うと、カカシは口元を押さえ、背中を丸めて咳をした。
それは確かに迫真の演技だったが、暫くすると冗談では済まなくなる事態が起こる。
カカシが口元を押さえていた手から、突然紅い液体が流れてきたのだ。
それを見て、ナルトは顔面蒼白になって叫んだ。

「・・・・ギャー!!!せんせーが血吐いたってばよ──!!!!」

ナルトの言葉がきっかけになったのか。
カカシはその場に崩れるように座り込んだ。
ぴくぴくと痙攣する姿は今にも死にそうで。
ナルトはパニックに陥りカカシの周りを走り回っていた。

恐慌状態のナルトと。
どうやら瀕死らしいカカシ。

サクラは慌てもせずに様子を眺めていて。
サスケは苦い顔をして胃を押さえていた。
二人はカカシのもとへ行こうともしない。
それはカカシが無事だとわかっていたから。
気付いてないのはナルトだけだが。
カカシが吐いたのは多分血糊だ。

さすが上忍、用意が良い。
サスケとサクラの感想は、それだけだった。

半泣きのナルトと無表情なサスケとサクラ。
カカシは身を起こしてつまらなそうにサクラとサスケを見た。
カカシの傍では、ナルトが目を丸くしてカカシを見上げている。

「お前達騙されなくなったね。つまんない奴になっちゃったな、がっかりだよ」
「がっかりされる覚えなんてないです!あれだけ騙されたら耐性つくに決まってるでしょう!?」
「え?今のウソ?もう、せんせーのバカ!心配したってばよ!!」
「ナルト、心配させてゴメンなー」

サクラの話を綺麗に無視し。
カカシはナルトとの話に夢中になって。
サクラの怒りを更に買いまくっていた。
この頃になるとサスケはいつも切れていたのだが。
今日は疲れたようにため息をつき、ふらふらと立ち上がった。

「・・・・もう気がすんだろう、そろそろ任務に・・・・くっ」

その場に倒れ込み、うずくまるサスケ。
荒い息を吐いて、がたがたと震えている。
これにはカカシも流石に驚いたようだった。
サスケの傍に駆け寄り、手慣れた手つきで具合を見る。
サクラとナルトは、心配そうにカカシの背後からサスケを見守った。

ひとしきりサスケの様子を見た後、カカシはテキパキと指示を出した。
その表情が少しだけ不穏だったのは、三人の中の誰も気付かなかったが。

「サクラ、病院に連絡してきて。早く」
「はい!」
「それからナルト」
「なんだってば?」
「サスケの応急処置するから手伝って」
「おう!」

サクラが慌てて駆けて行き姿を消した瞬間。
カカシは俯いてにやりと笑った。
その笑顔を見ることが出来たのは。
不運なことに倒れていたサスケだけだった。
そしてその邪悪な笑顔を見た時。
サスケは死を覚悟した。

「さて、応急処置をする前に・・・ナルト」
「ん?なんだってば?」
「そんな格好じゃ手伝えないよ」
「じゃ、どんな格好すれば良いんだってばよ?」

首を傾げてカカシを見上げるナルト。
楽しそうにナルトの耳元で囁くカカシ。
サスケは今すぐにでも気を失いたくなった。
それは叶わなかったけど。

カカシが囁いた言葉にナルトは一つ頷いて。
印を結んで変化した。
煙が消えて現れたのは・・・・。


・・・・なんで。
ピンクのナース服なんだ。
・・・・しかも。
ものすごいミニのスカートじゃねえか。
おい、それは一体誰の趣味なんだよ・・・・。


サスケの疑問は声にならず。
だから答えてくれる者は誰もいなかった。
答えてもらってもそれはそれで困るのだが。

「うーん、俺としてはナルトの診断をしたいな?」
「せんせーのエッチ!」

お色気ナルトのナース姿。
サスケが最後に見た光景は。
見る者に笑いと涙を誘うものだった。

意識を失ったサスケはその後病院に運ばれ、結局入院することになった。
ストレスからくる胃潰瘍、サスケの繊細な神経はバカ師弟の暴挙に耐えられなかった。
しかし、入院によるうちはサスケの束の間の休息は、やはりバカ師弟に壊されることになる。
まあ、それはまた別の話。


余談だが、サスケは意識を失っている間に夢を見た。
美しい花が咲き乱れる野原に一人立っているサスケ。
そして、川の向こう岸で手招きするうちは一族の郎党。

サスケは、あの世を見た。


2001.05.02


7巻表紙にカチンときたカカナラーの暴走。
サスケ君入院の日のお話です。
どうしてもお医者さんごっこがしたかったのはカカシ先生なのか、それとも私なのか?
まあどっちでも同じです、私はカカシ先生にシンクロしてるから(爆笑)



歳星昴サマより強奪。
不幸になるサスケが超好き(←外道!)
そしてそして、ピンクのナース服のナルちょvvvカカシ先生、いい趣味してます(笑)

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