日付は2月13日、時は午後4時、天気は曇り。 新人下忍を受け持つ上忍二人が任務を終えて、上忍の休憩所・『人生色々』で一息吐こうとしていた。 「下忍指導といえども疲れるわね〜」 う〜んと大きな声付きで紅は両腕を大きく上に伸ばし背伸びをした。 「まぁな。でも、普通に仕事するよりは楽だろ?」 紅よりもベテラン上忍のアスマは一応は後輩・紅の意見に頷く。 「それはそうだけど」 「なんだかんだ言っても、あいつらが成長していくのを見るのは楽しいしな」 「まだフォローは必要だけど、随分らしくなってきてることは確かね」 「だろ?」 それが指導者としての充実感なんだよとアスマは紅の肩を叩いた。 「ところでカカシんトコはまだ終わってないのかしら?」 「さぁ、どうだろうな」 と、二人は『人生色々』の扉を開け、中に入ろうとした。 「・・・・・・・」 「・・・・・・」 扉を開けるとそこは別世界だった。 空気が違う。 外は曇りだと言うのに部屋一杯に溢れる晴れ晴れしい空気。 というよりも、明るいことは明るいのだが、漂っている様な感じである。 「も〜い〜くつ寝ぇ〜る〜とぉ〜バ〜レンタイ〜ンvvバレンタインにはチョコ食ってぇ」 どこからか聞こえてくる幼稚園児並の替え歌。 「何、アレ」 「オレに訊くなよ・・・」 二人の目に入ったモノ。 それは歌を口ずさみながら、いそいそとクナイの手入れをしている同僚の姿だった。 彼は入ってきた二人に気付き、歌を止め声を掛けてきた。 「やっ!!遅かったね」 「「カカシ・・・」」 遅かったねということは自分たちを待っていたのだろうかと二人の背に嫌な汗が流れた。 「そんなトコに突っ立ってないで、こっち来なさいよvv」 コーヒーでも奢るよとカカシはやけに上機嫌に自分の隣のソファーの空きスペースをパシパシと叩いている。 一瞬、紅とアスマは視線を合わせ、これから先に起こるだろうことに覚悟を決めた。 「や、やけに機嫌がいいじゃねぇか」 どうせ、その理由を聞いてもらいたいのだろうとアスマは考え、手っ取り早く事を済ませてしまおうした。 「ん〜vvまぁねvv」 その機嫌の良さが恐ろしい・・・。 「っていうかさ、お前ら、もーちょっと早く任務終わらせろよ」 さっきまでの機嫌の良さは何処へ行ったのか、今度は勝手にプリプリと怒り出した。 「オレがどんだけ待ったことか・・・・」 「誰も、あんたに待っててなんて言ってないわよ」 紅、思わずキレそうになる。 「何っ!!」 「紅の言う通りだな」 「ヒドイっ」 いきなり言いがかりを吐けてくる奴に言われたくたくはない。 「大体、生徒の身にもなってみろよ」 オレは今日は早めに解散させたのだと得意げにカカシは二人に告げる。 「なんで?」 「紅ぃ〜。オマエ、ヤバイね」 ムカッ 「私の何処がどうヤバいっていうのよ」 「その発言自体がヤバイね、女でしょ?」 むかムカッ 殴りたい・・・。 紅の拳に自然と力が入る。 「おい、いい加減に・・・カカシ、何が言いたいんだ?」 とっさにアスマが間に入ってきた。 「何っ!!アスマも判んないのっ?!」 やっぱりおじさんには関係ないもんなぁと腕組みをして、一人頷く。 (こっ、こいつ・・・) 「大概にしとけよ・・・」 「も〜仕方ないなぁ〜」 ムカっ 「明日は何の日でしょー?」 「「バレンタインデー」」 「なんだ、判ってるじゃないの」 「そりゃ知ってるよ。それでどーした?」 「なんで分かんないのかなー?子供たちだって明日の準備があるし、早く終わらせてあげるのが教師ってもんでしょ」 そこまで言って、ポンっとカカシは手を鳴らした。 「あ〜そっか!!ごめんゴメン」 「「?」」 「お前らには関係ないよね」 恋人いないしぃ〜。 「分かんなくて当然だよね」 寂しいねぇ〜。 ムカッ! 「いやっ、ホントにごめんね」 あ〜、明日が楽しみだvvと笑いながらカカシは煙と共に消え去った。 あとに残された二人は拳を震わせていた。 紅とアスマ、カカシは憎いがナルトは可愛がっていた。 ナルトを悲しませるわけにはいかない。 カカシがナルトの恋人でなく、ナルトが悲しまないのならば、間違いなく病院に運ばれていただろう。 □ ■ □ ■ □ ■ □ 「遅いなぁー」 時は経って、2月14日。 バレンタイン・デー当日である。 バレンタインと言えばクリスマスと並ぶ恋人たちの一大イベントである。 カカシは今か今かと愛しい恋人がチョコレートを持ってきてくれるのを待っていた。 約束はしていなかったが、きっと届けてくれるだろうとカカシは考えていた。 「もしかして、途中で何かあったんじゃ・・・」 こうしてはいられないと家を飛び出す。 ナルトが来なかった真相を何も知らずに―――――――。 ピンポ―――ン 「はーい!今、出ますってばよ!!」 インターホンが鳴らされナルトは急いで玄関に出た。 玄関の扉の向こうからのナルトの声にカカシは肩を撫で下ろした。 (あ〜、よかった。でも、なんかチョコを貰いに来たみたいで大人気ないな) 「あー!!カカシ先生!何?なんか用?」 (なんか用って・・・) 「約束してたっけ?」 ナルトは首を傾げている。 (約束はしてないけど・・・) ナルトは何も分かっていないようだった。 何故、カカシが家を訪ねるに到ったかと言うことを。 「ナ、ナルト・・・チョコは?」 恐る恐る尋ねてみる。 「あるってばよ。先生、上がっていいよ」 それを聞いて、カカシは安心して家の中に入り、ソファーを兼ねているベッドに腰を降ろした。 ガサガサガサガサ ナルトがスーパーのビニール袋を漁っている。 嫌な予感。 「もー先生!!チョコぐらい自分で買えってばよ!!」 はいっとナルトはカカシに手渡した。 縦・約16p、横・約7p、厚さ・約8oの赤いパッケージ。 ロッ○・ガー○チョコレート!! 板チョコと言うヤツである。 「ナ・・ルト・・・・これは・・・?」 「チョコレートだってばよ?」 「いや、そうじゃなくて・・・・」 「何が言いたいんだってば?」 訊くのが怖い・・・。 しかし、ここで訊かねば男が廃る。 意を決してカカシはナルトに尋ねた。 「きょ、今日が何の日かは知ってるよ・・ね?」 「バレンタインだろ?」 何を当たり前のことを言っているのだろうとナルトはカカシを見詰める。 「バレンタインのチョコ、オレにくれないの?」 ナルトは眉を寄せていた。 「はあぁ?何言ってンの!?先生」 「だって、ナルトがチョコ、くれないから・・・・」 「何でオレがカカシ先生にあげなきゃならないんだってばよ!」 「えっ、だってオレ達・・・・」 サラバ、はたけカカシ(2△歳)!! 見事、奈落の底への旅券(片道切符のみ)をゲットしました!! カカシの言葉を聞かないままナルトは言葉を発した。 「カカシ先生、オレをバカにしてんだろっ!!」 「は?」 この場合、自分がナルトにからかわれていたのではないかと、カカシは思った。 実は、ナルトはカカシのことなど好きでもなくて、カカシ一人が恋人同士だと勘違いしていたのだと・・・。 「チョコをあげるのは女の子だけっ!!オレは男なんだってばよっ!」 そのくらい知ってるもんねとナルトは自信満々と胸を張っている。 奈落の底へと落ちていたカカシはその言葉で急いで崖を這い登ってきた。 崖を登る修行をしていることからして、崖登りは得意のようだ。 「だから、チョコを用意してないの?」 「男のオレが用意したって意味ないじゃん」 女の子が告白する日なんだからとナルトは付け加えた。 「じゃ、じゃあ、オレの事を好きじゃないからチョコをくれなかったわけじゃないんだよね?」 「なに、ソレ」 「ナルトはオレの事が好きなんだよね?」 「すっ、好きだってば////」 「よかったぁ〜」 がばぁっとカカシはナルトを抱き締めた。 「どーしたの!?センセー」 □ ■ □ ■ □ ■ □ カカシから事の次第を聞いたナルトは思わず失笑していた。 「じゃ、カカシ先生は、ププっ・・・」 「笑うなよ・・・かなり焦ったんだからな」 こっちは生きるか死ぬかぐらいの瀬戸際だったのだと主張する。 「だって、しょーがないもん」 クスクスと今だナルトの笑いは止まっていない。 「そんなにチョコが欲しかったの?」 流石にバツの悪くなったカカシはちょうどベッドに座っている自分と同じくらいの背丈になったナルトを引き寄せると、その胸に顔を埋めた。 「欲しかったよ・・・」 もちろん今だって欲しい事には変わりはない。 「言ってくれればよかったのに」 「だって、てっきりナルトはオレにくれるもんだと・・・」 なんだかかなり落ち込んでいる様子である。 別にナルトが悪いわけでもないのだが、なんだか悪い事をしてしまったかのような罪悪感に駆られる。 しかし、今さら買いに行ったとしてもいい物は売り切れているわけで。 となれば、やはりここは――――――――。 「やっぱり、まだ欲しい?」 「うん」 「待っててくれる?」 「うん、うん。待つ、待つよ。で、いつまで?」 パァと目を輝かせ、顔をあげる。 「来年の今日まで」 「来年・・・・」 再び底に突き落とされた気がしたカカシだった。 「何で来年・・・・」 「今から買いに行ったって、もういいのは売ってないってば」 やはり、遣るからにはいい物をあげたいわけで。 「待てないんならいいけど」 「いえ、待ちます」 「ホント?」 「ホント。だから絶対頂戴ね」 「でも、センセー。いらないって思っても貰わなきゃいけないんだからね」 いらない訳がない。 「センセーがオレのこと嫌いになっててもだよ」 「嫌いになってるわけないでしょ」 と言う事は――――――――――。 「じゃあ、ナルトは来年の今日までずっとオレのこと好きでいてくれるってこと?」 「うん、約束だってば」 ニシシと笑うとナルトはカカシの頬に覆面越しではあるが、ちゅっと軽くキスをした。 「先生はオレのこと好きでいてくれる?」 少し照れながらナルトはカカシの顔を覗き込んだ。 固まって反応のないカカシ。 「センセー?」 不安げにカカシを呼ぶ。 その表情がまた可愛くて―――――――――。 「うわっ!!」 「ナルトぉ―――!!好きでいるに決まってるでしょ!?」 動きが見られたかと思うと突然、カカシはナルトを抱き締めたのだった。 「あぁ!!もうっ!!なんて可愛いんだっっ!!」 そう叫ぶとナルトをベッドに押し倒す。 「ぎゃ――――――――――――――!!」 カカシは来年のバレンタインまでナルトを好きでいるだろうが、果たしてナルトがカカシを好きでいるかは、 このままいけば―――――――――― 分からない――――――――― のであった。 ☆おわり☆ |
| ギャグになりました・・・・。 自分で書いてて、なんだけれど 「カカシ、情けなすぎ―――――!!」 でも、鬼畜なのも好きだけど、こんなのもいいと思いません? できれば、感想ください。 ナルトバカなカカシ好きよってvv と言うより、うちのサイトの場合、「ナルト馬鹿」ではなく、正真正銘の馬鹿かも・・・・。 親戚がロ○テで働いてるので、ガーナにしましたvv ロッ○で働いてるとマリーンズの選手用ジャンパーが貰えるんだよ。 いいなぁ・・・。ダイエーファンだけど、私。 |
| わたり氷魚さまのサイトでバレンタイン企画をしているのをいただきました。 バレンタインです〜〜v カカッテンテー、ナルトにめろめろですな。大好きです、こういうの! もっともっと暴走しちゃってください、先生! チョコがもらえなくてもナルちょを貰ったんだからいいよねv わたりさま、ホントにありがとうございました |
ブラウザを閉じてお戻りください