オトナになろう!


任務中の昼休み。
七班の面々は昼食後、思い思いに昼休みを過ごす。

サスケは持参した忍術書を読み、サクラは懲りもせずサスケにアプローチ。
カカシはいつも通りイチャパラを読み、ナルトはカカシに寄りかかってお昼寝。


「ねぇねぇ、サスケくん、明日・・」
「・・サクラ・・、静かにしてくれ」
「でも・・」
「・・集中して読みたいんだ」
「・・・・・・」

いつもよりもさらにサスケの機嫌が悪いのは、ナルトがカカシのそばで眠っているから。
集中して忍術書を読みたいと言っているわりには、サスケがちらちらとナルトを見ていることにサクラは気付いていた。
それでも、サクラはサスケに嫌われたくなくて、仕方なく口をつぐむ。

小さくため息を吐いて、サクラは少し離れた木に寄りかかっているカカシに目をやった。

カカシはイチャパラを右手に持ち、左手を寄りかかったナルトの腰にまわしてくつろいでいる。
ナルトはナルトで、安心しきった顔でカカシの腕の中で熟睡している。

傍目には、微笑ましい師弟の図。
親子といってもいいかもしれない。

しかし、カカシのナルトに向ける想いは、普通の師弟のものとはだいぶ違っていて。
しかもそれを公言して憚らないのだから質が悪い。
その溺愛ぶり、甘やかしぶりといったら、最近では上忍の詰め所でも噂になっているくらいだ。

わかってないのは当のナルトだけだろう。
あんなにあからさまなカカシの態度にどうして気付かないのかサクラは不思議でしょうがない。

ちらりとナルトに視線を移すと、ナルトは本当に気持ちよさそうに眠っている。
わずかに口角が上がっているように見えるのはなにか楽しい夢でも見ているのだろうか。
ふわふわの金髪を微かな風に揺らしてすやすやと眠る様は、女の子のサクラから見ても可愛らしいことこの上ない。

そんな可愛いナルトを腕に抱き、さらにはお気に入りのイチャパラを読んでいるカカシはとても幸せそうで。


(なんか、腹立つわ・・)


サスケに相手にされない悔しさも手伝って。
サクラは幸せそうなカカシをじと〜っと睨み付ける。
内なるサクラ発動準備中。

じーっと自分を見つめるサクラの視線に気付いてカカシは顔を上げた。

「サクラ?」

「先生って、その本好きよね」
立ち上がったサクラがカカシのそばに来て腰を下ろした。

「突然、どうした?」
「その本って、いわゆる18禁本でしょ?」
「まぁ、おまえらが見るものじゃないね」
「つまり、オトナのエロ本ってことでしょ」
ズバリと言いきるサクラ。

「・・サクラ。おまえ、サスケ以外の人間にはずいぶん遠慮がないねぇ・・」
あきれた様子でカカシが言う。

しかし、サクラはまったく気にしない。
サクラにとって、よく見られたいのはサスケだけで、カカシにどう思われようが関係ないのだ。

さらにサクラは遠慮のない質問をカカシに繰り出してきた。


「先生って、ショタでしょ。それなのに、そういう本見て面白いの?」


一瞬、絶句するカカシ。
タラリと一筋の汗がカカシの頬を流れていった。

「・・サクラ・・。俺はショタじゃないよ・・」

「じゃあ、それは何よ?」
カカシの腕の中ですやすやと眠るナルトを指差してサクラが言う。


カカシはやれやれといった風にため息を吐いた。

「俺はキレイな女のヒトも大好きなんだけどねぇ・・。それ以上に、ナルトのことが好きなだけだよ」
カカシがナルトの頬を愛おしそうにそっと撫でる。
その顔はマスクをしていてもヤニ下がっているのがわかるほど。

あてられたといった様子で、サクラが肩を竦める。
「ふーん。まぁ、どっちにしろ、相手は子供だからショタよね」

どうしても、カカシを変態にしたいらしい。

それに対して、カカシは不自然なほどに、にっこりとサクラに微笑んでみせた。

「・・サクラ。ナルトは子供じゃないよ」

「は?ナルト、十二歳よ?子供でしょ?」
不審そうにサクラが聞き返す。
そのサクラの言葉に、にやりとカカシが笑った。


「だって、俺が大人にしちゃったからvv」


あはは〜とカカシは笑って言った。

「・・・・・・・・・・!!!」

ピシッとその場の空気が凍り付く。


「・・こんの、エロ教師!!」

それまで、読書をしているふりをして、二人の話に耳をそばだてていたサスケがとうとうキレた。
クナイが、手裏剣が、カカシめがけて大量に降ってくる。
カカシは傍らのナルトを小脇に抱えて、それを難なくよける。

「・・う・・ん・・、もう昼休み終わり?」
カカシに抱えられたまま、騒ぎに目を覚ましたナルトがこしこしと目をこすっている。

ひょいっと、ナルトを地面に降ろすとカカシはナルトに問う。

「ナルトはもう子供じゃないよねー。大人になったんだもんねー」

ふにゃっとまだ寝ぼけた様子のナルトが、こくんと頷く。


「俺ってば、カカシセンセーに大人にしてもらったんだってばよぅ・・」


ほらね、という顔でカカシがサクラとサスケを見た。

サクラは真っ赤に、サスケは真っ青にそれぞれ顔色を変えた。

「くっ・・」
サスケは小さくうめくと、耐えられないといった様子でその場から走り去った。
その瞳に涙が溜まっていたのを見たのはカカシだけだろう。

「サスケ?」
サスケの行動に不思議そうなナルト。

「おぉ、やる気あるなぁ。サスケは」
事情を知っているくせにカカシはそう言って、にやりと笑った。

サクラは頬を赤らめて、ナルトを見つめている。

「サクラちゃん?」
(ナルトってば、ナルトってば、カカシ先生とそんなトコまでいっちゃってるのね!やるじゃないのvvしゃーんなろー!)

「ナルト!!」

「な、なに、サクラちゃん?」

「今度、ゆ〜っくり話を聞かせてちょーだい!」
ナルトの肩に手を置いて力強くそう言いはなつと、サクラはサスケを追いかけて行ってしまった。


「二人ともどうしたんだってば・・?」
ナルトは一人首を捻っている。

「ナルト、『あの事』は言わないほうがいいよ」
しーっと人差し指を唇に当ててカカシが言う。

「なんで?」
「言っちゃったら、サスケやサクラも大人になっちゃうよ?」
「えーっ、それはいやだってば」
「でしょ?だから、秘密にしておきなさいね〜」
「はーい。わかったってば」

「ごーかっくvv」
そうして、二人は仲良く午後の任務に就いたのだった。




* * *



例の『カカシ先生にオトナにしてもらった』事件のあった任務から初めての休暇。
サクラは朝も早いうちからナルトの家に押しかけてきていた。


「さぁ!ナルト!じっくり聞かせてちょうだい!」


そう言ってナルトに詰め寄るサクラはすでに内なるサクラが表に出てきてしまっているような形相だ。
やたらとテンションが高い。
さらになぜか手には手帳と鉛筆が握られている。
一体、何をメモろうというのか。

(サクラちゃん、怖いってばよ・・)
口には出さなかったがナルトは内心、サクラの形相に恐れおののいていた。

「で、でも、カカシセンセー、誰にも言ったらダメだって言ってたってばよ・・」
おずおずと反論するナルト。

「ナルト!あんた、私の言うことが聞けないの!?」
ナルトの言葉は即座に血走った目のサクラに却下された。

わかった!?とサクラに念押しされ、ナルトは涙目で頷くことしか出来ない。

ナルトの様子に満足そうに頷くとサクラはごくんと咽喉を鳴らした。
「ま、まず、どんなカンジだった?」
どきどきわくわく。
瞳を輝かせてサクラはナルトに詰め寄る。

「え、え〜っと、すごく苦かったってばよ」
可愛らしく眉を顰めてナルトが言った。

「・・・・・・・は?・・苦い!?痛いんじゃなくて!?」
(せ、先生ったら、まさか〜〜!!!)
サクラの頭の中に、いかがわしい映像が一瞬にして浮かんだ。

「うん・・。オレ、イヤだって言ったのに先生ってば、これ飲めたらナルトもオトナだねぇって」

(ぎゃ〜〜!!!やっぱり〜〜!!先生ってば!ナルトにそんなことさせたの〜〜!!!???しかも、無理矢理!?)
サクラ、あまりの興奮に手の中の手帳と鉛筆を握り潰してしまったことに気付かない。

「で、あんた・・飲んだの・・?」
サクラは恐る恐るナルトに聞いてみる。

「だって、センセーはおいしそうに飲むのに、オレだけコドモだって思われるのイヤだから、頑張って飲んだってばよぅ・・」
ほんのり頬を赤らめてそう言ったナルトにサクラ撃沈!!

(おいしそうにって〜〜!!ぎゃ〜〜〜!!!先生の変態!!!)

サクラは崩れ落ちるように床にへたり込むと肩で息をした。
あまりの興奮に呼吸困難に陥ったようだ。

「サ、サクラちゃん、大丈夫だってば?」

「・・・・あんた・・・すごいわ・・。ホント、オトナね・・」
ぜぇぜぇと息をつきながらサクラが言う。

「ホント?オレってばオトナ?」
サクラの言葉にナルトは嬉しそうに目を輝かせた。


サクラは嬉しそうなナルトにかくかくと壊れた人形のように頷いてみせるのが精一杯。

「・・・帰るわ・・」
ふらりと立ち上がると、興奮しすぎて頭痛のしてきた頭を抱えてナルトの家から帰っていった。
後に残されたのはサクラによって握り潰されてしまった手帳と鉛筆。



「サクラちゃん、どうしたんだろ・・?」
サクラが何を考えていたのか知るよしもないナルトはひとり不思議そうに首を捻った。

「でも、でも、やっぱりサクラちゃんもアレ、飲めないんだってば〜」
オトナだと言われたことが相当嬉しかったのか、えへへとナルトは笑った。


「ブラックコーヒーってすっげ〜苦いもんな〜」


どうしてカカシ先生はあんな苦いものをおいしそうに飲むんだろ?
そう呟いて、ナルトはまたひとり首を捻ったのだった。




* * *



その後、しばらくの間、サクラはカカシとナルトを見る度に顔を赤らめて逃げてしまうといったことを繰り返していた。

不審に思ったカカシがナルトに『あの事』について、サクラに何を言ったのかを聞き出した。
ナルトの話から、サクラが何を想像したのかわかってしまったカカシ。
真っ赤になって逃げ回るサクラを見て、おかしそうに呟いた。


「女の子は耳年増だねぇ・・・」




end


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まずは5000HITありがとうございます!
そして、記念物なのに下ネタですみません・・(撃沈) オチもしょうもなくてすみません。
こんなものをお持ち帰りしてくれる人がいるのかは疑問ですが、お持ち帰り可でございます。どうぞ、もらってやって下さいvv
これからもcaramel boxを管理人・吉田ともどもよろしくお願いします♪


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吉田さんのサイトからの強奪品。
めちゃめちゃ笑わせていただきました。吉田さんの書く小説はシリアスもギャグも裏も、どれもとっても素敵なんです。
なにせ、ナルトが愛されまくってますから!(←これ、基本中のキホン)

ちなみに、まほらは下ネタ、大好きですv落ちは何がくるんだろーってわくわくしながら読みました。
涙目で去っていくサスケがいと哀れですが(笑) 、アンチサスケなので気にしない・気にしない。
これからも素敵なお話、書いてくださいね!!!


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