[温かなものたち]
雨が降って来た。
あいにく傘はない。
仕方なく雨に濡れる。
ゆっくりと湿り気を帯び、服が重くなっていく。
温かいシャワーと、清潔なタオル、淹れたてのコーヒーが帰る道々恋しくて堪らない。
それらに向けて、足の運びも早くなる。
家の前に着くと、へたり込むような格好の人影が見えた。
いつもはふわふわの髪が、雨で、青白い額に張り付いて。
座り込んでいるコンクリートは、その子が座った所だけ濡れていた。
「あ、センセーお帰り!!」
待ってた、と言わんばかりの笑顔を向けて、寒そうに両手で肩辺りを摩った。
捨てられた仔犬が、やっと見つけた飼い主に、体全体で喜びを現すのにどこか似ている。
(まぁ、ある意味仔犬だよねぇ・・・仔狐か?)
懐かれれば可愛くて仕方ないものである。
「ただーいまvずっと待ってたのか?寒かったろう?」
ごぞごそとポケットを探り、鍵を開ける。
何度もこの家に来ている癖に、入る前は妙にそわそわと落ち着かない子供。
キョロキョロと部屋の端々に視線を走らせて、おずおずとリビングのソファに腰を下ろす。
「ナルト、先にシャワー使いなさい」
およそ風邪とは無縁そうな子供だが、冷えた体のままでは万が一と言う事もある。
言われた事に大人しく従う子供は、バスルームに消えて行った。
温かいシャワー (バツ)
濡れた髪を手櫛で掻き混ぜ、清潔なタオルを首にかける。
清潔なタオル (マル)
濡れた服を脱いで、違う服に着替える。水分を含んで重くなった服から解放されたが、身体は冷たいまま。
帰ってすぐに火にかけた薬缶からシュンシュンと音が聞こえる。
とりあえずコーヒーを飲もう。
淹れたてのコーヒー (マル)
「センセー、あがったってば」
貸してやった服はやっぱり大きくて、温まった身体は程よく上気して。
ナルト、色っぽいねーなんてからかうと「そう?」と言って、くるりとターンするオマケ付き。
その時、濡れたままの髪から雫が飛び散った。
良く拭かないと風邪引くだろうが、と内心苦笑し、子供に向けて手招きする。
トコトコと歩いて来て、首に掛けていたタオルで髪を拭いてやろうと思ったら、冷えた俺の手が子供の頬に触れた。
「先生の手ェ、すっげえ冷たいってばよ!!」
びっくりしたように目を見開いて、温かな子供の手が冷たい手に重なる。
「センセーシャワー浴びないと風邪引くってば!」
「シャワーよりもナルトにあっためてもらいたいなァ」
子供の髪を拭いていたタオルを首に掛けて、その両端をぐいっと引っ張り、唇を重ねる。
冷えた唇と、温かな唇。
「・・・・・・ダメ?」
この目に弱いことは百も承知のズルい大人は、小さな額に自分のを当てて、この子にだけ聞こえるように囁く。
「・・・・・・・・ってば」
ぎゅっと抱きついて。
真っ赤な顔は見えないけれど。
囁いた子供の声は確かに、俺の耳に届いた。
温かなナルト (ニジュウマル)
[御礼]
遂に当サイトも4000人を越えましたァ〜vv
これも皆様が足を運んで下さったからこそ!!
って訳でまた企画ですv
前回はカカナル子だったので、今回は正真正銘カカナル小説を書きました。
でもエロくなくてゴメンなさい;;;
ご希望があれば裏も書こうかと思っておりますが、とりあえずたまにはほのぼのもいいかなって思って★
(↑でもほのぼのか?)
よければお持ち帰り下さいvv
その際は掲示板にでも「もらってやらぁ!」と書いて下さると嬉しいですvv
夕焼けセンチメンタル拝
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また夕焼け様からいただいてきてしまいました。
コーヒーのCMとかになりそうですよね。
超らぶらぶモード発動ってカンジで、読んでいるこちらまで心温まるような……ほかほか)^o^(
それにしても湯上りのナルトは色っぽいでしょうね〜ニヤリ☆
上気した肌にだぼだぼの服←たまりませんっっ
夕焼けさま、ありがとうございました<(_
_)>
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