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両腕を広げて、掴もうとしたものは何だったのだろう。 それは砂のようで、それは水のようで、それは焔のようで。 けれども大地のように、揺るぎなく存在した愛しいもの。 何度空を仰いで、涙を零したことだろう。 ――――傷つくことも、お前がいたからこそ出来たこと。 通り過ぎてゆく風に、何度呟いて消したことだろう。 ――――罪を嘆くのも、お前がいたからこそ出来たこと。 後悔がなかったなんて、言わせない。 ――――ただ、譲れなかっただけだから。 与えてくれた全てを、今……お前に返せるものなら。 ――――あの日誓った約束を、必ず叶えよう まっすぐ立ち続けることが。 ――――お前への、餞になるだろうか 雪のように、降り続けているよ。 お前の笑顔も、仕草も、言葉も。 花のように、咲き続けているよ。 きっと負けはしない。この花が咲き誇り続ける限り。 なぁ、ヒューズ? 俺たちが望んだ未来は、天国のように美しい世界だ。 |