プレゼント
「青、プレゼントでもらうとしたら何が欲しい?」
彼が気づいているのか分からないけど今日はバレンタインだ。
チョコレートより別のものをあげたい。
なぜか強くそう思ったのだ。
「急に何だよ」
クスッと笑い、私の髪を撫でる青。
「気になっちゃったんだもの」
頬が紅く染まる。
「お前がくれる物なら何でも嬉しいよ。
冗談じゃないからな」
「ぐ、具体的にはどんな物がいいの?」
「お前以外で?」
言っている意味がわかってしまって思わず取り乱す。
何度も聞いている殺し文句に心臓バクバクになる。
「もう青ってそんなことばかり言うんだから」
頭上から忍び笑いが聞こえる。。
「嘘はつけないからな」
「でも……何かないの?」
「本当に何でもいいよ。お前が選んだ物なら」
「分かった」
私が納得すると、彼は甘い微笑をくれた。
意識が溶けてしまいそうになるほど優しい微笑みを。
前、一度チョーカーをあげたことがある。
青の誕生日に会えた夜に。
その時のことは、今は素敵な思い出。
悲しい記憶にならなくて良かった。
あれは去年の彼の誕生日。
そして今は、共に暮らし始めて一月が経とうとしている。
声を聞くだけで、どうしてこんなに胸がときめくのだろう。
「今日、会える?」
突然の彼の電話。
先週の土曜日会ったばかりなのに、まさか平日に電話が来るなんて思わなかったのだ。
「……うん」
「誕生日なんだ」
一言一言区切り語る彼は、何故か話を引き延ばそうとしているように感じた。
「プレゼント用意してないわ。ごめんなさい」
「普通の恋人同士じゃないんだから、そんなこと気にしなくていいんだよ」
その言葉に胸に痛みを覚えた。
でも今までの青と違う気がするのは、私の気のせいだろうか?
「そうよね」
「会えるだけでいい」
妙に気持ちのこもった言葉。
私ばかりプレゼントをもらっていてせめて誕生日くらいあげたかったので教えてくれて嬉しい。
どうして急に教えてくれて誕生日に会いたいなんて言ってくれたのか 不思議でならなかった。
ひと月前の月の夜、青を誘った私。
あの時、青を引き寄せられるか、嫌われてしまうか大きな賭けをしていた。
青の反応が怖かったけど、なるようにしかならないと思い切った。
今日、青はどんな顔をしているのだろう。
関係が良い方向に動くといいな。
ツーツーツー。
会話が終了した受話器を握り締め、私は祈っていた。
私は彼が来るまでに、プレゼントの準備をしなければと思い、
服を着替えて、外出をした。
折角なら喜んでもらえる物を渡したい。
彼の姿を思い出しながら、色々な店を回る。
そんなに高価なものは買えないけど、彼に似合うとっておきの物が見つかれば良い。
ドキドキしていた。
その時ふと立ち寄ったアクセサリーショップで私の視界に飛び込んできたもの。
真ん中にクロスがついてる黒い革のチョーカー。
これだと思った。
手に取り確かめ、気づけばすぐにレジに向かう自分がいた。
プレゼント用の包装をしてもらう。
カードには私の名前と彼の名前。
そのまま、チョーカーを手に店を出た。
急いでスーパーに立ち寄り、買い物をして、家に帰ると、 丁度電話が鳴り響いた。
「7時にはそっちに行けそうだけど、大丈夫か?」
「大丈夫。待ってるね」
青の声は心なしか普段より優しく感じた。
急いで夕食の準備をする。
青の好きなパスタとサラダ。常時買い置きしているシャンパン。
もちろんあれ以来私は飲んでいないので、彼が飲む専用だ。
特に豪勢でもない普通の食事。
誕生日だからって特別なことしたら、別れた後が辛い。
青もきっとそう思っているはず。
本当ならケーキでお祝いとかするのだろうけど。
このまま関係が続けばいつかそんな日が来るのかな。
ぼんやりと頭に思い浮かべる。
今日は意識しないで置こうと思ったのに。
だって誕生日だから素直におめでとうってお祝いできればそれでいいじゃない。
茹で終わったパスタにソースを絡める。
時間通りに彼が来るなら温かい内に食べられるだろう。
今は6時50分だ。
シャンパンとグラスをテーブルに置き、サラダを盛り付ける。
ドレッシングはサラダオイルにお醤油をベースにした手作り。
青は化学調味料の入ったものが好きではないのだ。
野菜は無農薬のみしか食べないとか色々拘ってるし。
『どうせ食べるなら美味しくて体にもいいものが食べたいだろ?』と 言っていた。
私もそれには同感だった。
お金もあまりないからそこまで拘れないけど。
プレゼントの袋を膝に抱いて椅子に座る。
もうそろそろ彼が来る時間。
壁にかけられた時計を見てそわそわする。
待ち遠しい。早く顔が見たい。
どんな音も聞き逃さないように、耳をすませる。
階段を上がる足音。 長身だから歩幅が広い。
チャイムの音が鳴る。
「青」
ばたばたと落ち着きなく駆け出した。
ドアの鍵を開け、青を迎え入れる。
「会いたかった」
私の台詞を奪われた。
どうして彼の声を聞くだけでこんなに満たされるの。
不安が全部掻き消されてしまうの?
それは彼の魔力のせいだわ。
抱きつく寸前で体を引っ込める。
青は、微かに微笑んでいた。
「お祝いしましょう」
「ああ」
椅子をすすめると優雅な仕草で腰を下ろした。
「プレゼント、あれから用意したのよ」
かさり。立ち上がる時、自分の椅子に預けた袋を青に手渡す。
「開けてもいい?」
「どうぞ」
丁寧に袋が開封され、チョーカーが取り出される。
目を細め、青は手に取り暫くそれを眺めていた。
私の心臓は高い音を立てている。
どんな反応をされるだろう。
「ありがとう」
青は私を真っ直ぐ見つめていた。
つけてあげたいと思い、手を伸ばそうとするのを
遮るように自分でチョーカーをつけた。
「気に入ったよ」
淡々とした呟きにも喜びで心は舞い躍る。
「良かった」
青はまたそれをじっと見つめた後、衣服の中にチョーカーをしまいこんだ。
それは私を閉じ込めてくれたみたいな錯覚を起こす。
相変わらず妄想が激しすぎる。
「美味しそうだな」
並べられた料理を見た青が呟く。
「凝ったものじゃないけどね」
「沙矢はどんなことにも手を抜かないから、好きだ」
「え……?」
「俺の好みも全部頭に入れて、好きになれるよう努力していて、
……いつかはちゃんと言わなきゃ駄目だな」
期待しても良いの?
来年のこの日もあなたは一緒にいるって。
「本当にありがとう。最高の誕生日だよ」
「嬉しい」
ぽろぽろと涙が零れていた。
青が別人みたいにみえた。
冷たさじゃない感情で私の心にすんなり入りこむ。
こんなこと言われて離れられるわけがないわ。
またあなたは私を捕らえたのよ。
去年の10月、青に一歩も二歩も近づけた。
電話もマメにくれるようになったし、明るい未来を確信した。
彼と同じ部屋で暮らすようになるとはさすがに思いもよらなかったけど。
あの頃は振り向いてくれるかすらまだ不透明な状況だった。
諦めたら終ってたよね、私達。
「青、私プレゼント買いに行って来るから、待ってて」
「車だそうか?」
「いい。自分ひとりで買いに行かなきゃ意味ないもの」
「いちいち拘るなあ、お前。何かあったらどうするんだ」
「あはは。青みたいに私を誘惑する人がいたら大変ね」
「……変な男に引っかかるなよ」
「大丈夫。後にも先にも私が引っかかるのは青一人だから」
こんな冗談を言える関係になった私達。
あの日々が嘘みたいに思えた。
決して長過ぎた冬ではなかったが、自然に笑顔を浮かべられなかった。
やっぱり何あげたらいいんだろう。
一緒に暮らし始めてから彼の事いっぱい知ったつもりだったんだけどな、
ますます好みがわかんなくなったわ。
高価なもの好むかと思えば意外にお金に関してはきっちりしてるし。
小さな物はあんまり買わないで貯めて大きなものをどかっと買っちゃうの。
彼は合理的だ。無駄なものは買わないんだから。
青のイメージのコロンとかどうだろう……。
よし、そうしよう。
私は化粧品のお店に向かうことにした。
駅地下に素敵なお店がある。
清潔な店内に立ち並ぶ色々な商品。
私はじっくり品定めして、店員さんに話を聞いて欲しい感じのものを伝えた。
実際、肌につけてもらったりして確かめる。
でも男の人のつけるものだから、私には馴染まない。
「これにします」
コロンを買い、マンションの方角に足を向けた私はふと立ち止まる。
「今日は特別な日だもの」
デパートの3階にある婦人服売り場。
目当ての品はあるだろうか。
広い店内を見渡し、すぐに目当ての下着売り場を見つけた。
(可愛いけど、いかにもって感じが)
呆然とそれを手に取ってみる。
一番気に入ったデザインを籠に入れて、購入した。
これで全部揃ったかな。
うきうきしながら、家路を急ぐ。
青の反応、想像できるけど……。
いいや、喜んでもらえるなら。
覚悟を決めてマンションのチャイムを押す。
「おかえり」
かちゃりと扉が開けられて青が出迎える。
「ただいま」
ふわり、抱き寄せられ、袋が二つ落ちた。
「青ったら」
「待ちくたびれた」
耳元に降る低音にゾクゾクする。
私は後ろ手に袋を拾いあげる。
「プレゼントちょっと待ってて。準備してくる」
「期待してる」
青は私を渋々といった体で解放し、リビングルームに戻った。
私はその後ろを歩き、自分の部屋へ。
衣服を下着まで躊躇いなく脱いで、買ってきた物を袋から取り出した。
……可愛いけどいやらしいわ。
この下にまだ下着つけようかどうしよう。
まあいいか、これで。
ベビードールを身につけて、上に衣服を着た。
ベビードールだけはやっぱり恥ずかしい。
もう一つの袋を手に部屋の扉を閉める。
再びリビングに戻ると青がソファにゆったりともたれていた。
「お待たせ」
ソファの後ろから首に腕を巻きつけて抱きつく。
大胆な私。あの時はただ翻弄されるだけだったけど。
「どうしたんだ今日は。やけに積極的じゃないか」
どこか楽しげな青に、そのまま体を引き寄せられる。
彼の体の上に滑り落ちてゆく体をしっかり腕で支えられた。
「今日はバレンタインでしょ」
「……ああそうか」
青は緩く微笑んだ。
私も青の腕の中で笑う。
抱きしめる腕に力がこもった。
「プレゼントくれるんだろう?」
「ええ……ごめん、ちょっと離して」
腕が解かれ、体が自由になる。
青の隣に座り、自分の手にしていた袋を彼に渡した。
「開けてみて」
包装紙は殊更丁寧に開けられてゆく。
やがて目の前に小瓶が現れた。
すかさず青は蓋を取り匂いを嗅ぐ。
「ありがとう、後で風呂上りにつけるよ」
かあっと顔が赤くなる。
だって青、普段でもすごいフェロモン醸し出しているのに、コロンつけたら
凄まじく妖艶になるんだもの。
いつも抱かれる時はとてもドキドキするけどコロンつけられたら余計
感じやすくなってしまう。
体の反応する速さが違うって自分でもいつしか自覚したことだった。
口には出さなくても青も分かってるみたいで。
「また呆けてるのか」
「……青、見せたいものがあるの。もう一つのプレゼント」
青はすっと目を細め、こちらを見つめる。
その目の前でワンピースのチャックを引き下ろした。
膝丈までのベビードール姿。
胸元には大きなリボン、裾の部分にはフリルがあしらってあり、
色は白。さっきブラは外したから、ベビードールともう一枚の下着のみで
青の前に立っていることになる。
「へえ、粋なことしてくれる」
くすくすと満足そうな青。
「ど、どうかな」
顔から火が出そうだ。
「可愛いよ、信じられないくらい魅力的だ」
心臓が跳ね上がる。
「ありがとう」
「ちっ、シャワー浴びてないってのに。
そんな姿見せられると我慢できなくなるだろ」
「や、やだ」
「お前もそのつもりだったくせにな」
「あ……」
あっという間に引き寄せられて青の腕の中へ。
「勿体無いが、俺は早くこの下に隠された中身が欲しいんだ」
ベビードールの上から指先で体の線をなぞられる。
ぞくり、と背筋から震えが走った。
「……青」
「本気で似合ってるぞ。俺としたことがこれの存在に気づかなかったなんて」
少し悔しそうな顔をした後、瞬時に表情を変え青はにやりと笑った。
「これからいっぱい贈ってやるよ」
「青が見て楽しいから?」
「ああそうだ」
「……そ、そう……や、やんっ」
指先が胸の頂を弄っている。
「着ても着なくても同じくらい透けてるな」
感触を確かめるようにやんわりと胸を揉まれる。
どこまでも丁寧な仕草。
外部からの刺激で頂が段々と固くなるのが分かる。
「ふ……あ……」
体中に何かが駆け上がる。
「お前は着飾った人形じゃない。生きた人間でこんなにも女だ」
するすると胸元のリボンが解かれ、太腿の辺りに青の手が伸びる。
ベビードールを捲って何度か直に足の付け根を摩った。
「……あっ」
「感じてるのか。マジでやばいよ、その表情」
青の瞳にどんな姿の私が映っているの?
淫らなあなただけの"女"は。
「止め、このままじゃ抱けない」
「青?」
「シャワー浴びてくるから、そのままで待ってろ」
「あ、私もシャワーしなくちゃ」
「どうせ、後で浴びなければならなくなる」
「でも汚いし」
「安心しろ。お前は汚くなんかない」
「お風呂入ってなくても?」
「汚いと思ってたら体が反応しないさ」
「……はは」
から笑いするしかない。
「そのままの格好で待ってろよ」
最後に釘を刺し、青はリビングから浴室に向かった。
「そっか、コロンつけるつもりなんだ」
私は青を待つことにした。
一緒にシャワーなんて浴びたら、全部水の泡だ。
なだれこむのが目に見えてるわ。
あんな姿見せられて一気に理性が飛びそうになった。
ベビードール。レースとフリルがふんだんにあしらわれた下着。
「突拍子もないことを」
気持ちも分かるがな。
忘れていたのは、去年までの自分を消したい気持ちが大きかったからだ。
はじめて体を重ねたあの夜。
感情より行為を優先し、傷つけた。
好きという気持ちを抑え込む自分。
「弱かったよなあ。それに引きかえ沙矢は」
強かった。会う度に強く美しくなっていった。
「俺ほど幸せな奴もいないな」
くすと笑う。
ザァザァ。
首をそらせてシャワーの飛沫に打たれる。
「さあ上がろうかな、最高のプレゼントを頂こう」
一番欲しいプレゼントは彼女だ。
「沙矢」
「青」
気づけばソファに身を投げ出してぼうっとしてた。
バスローブ姿の青、石鹸とコロンの匂い。
「行こうか」
軽々と抱き上げられ運ばれてゆく。
二人の寝室へ。
キングサイズのベッドに横たえられ、ドクンと胸が高鳴った。
肌蹴た胸元から除く肌。彼はじっと見下ろしてから、
「最高に綺麗だ」
かあっと顔が真っ赤になった。
何度言われても心が満たされる彼の言葉。
「いただきます」
「はい!?」
「プレゼントをこれから頂くからいただきますと言った」
「……雰囲気台無し」
「そうか?」
青の体から微かに漂うコロンの匂い。
コロンは青がつけて、やっと本物になった気がする。
肌から香るのと瓶からの香りじゃ違うんだね。
「そんなことないみたい」
微笑んで覆いかぶさってくる青の首に腕を絡めた。
「悪い。優しくする余裕ない」
「忘れられないくらい激しく抱いて」
ふっと青は笑う。妖しさを含んだ笑み。
着ていたベビードールはあっという間に脱がされてしまった。
床へ無残に投げられる。
「この方がずっと綺麗だ」
自分のバスローブも脱ぎ去った青が背中をかき抱く。
素肌と素肌が触れ合って、体が熱くなる。
ふっと耳に息を吹きかけられゾクリと震えた。
耳朶を甘噛みされ、唇を塞がれた。
「ふ……っ」
青の舌が歯列をこじ開けてくるから、私も自分のそれで彼の口腔を侵す。
唾液が糸を引いて二人の間を繋いだ。
肌に伸びた掌が胸の膨らみを包み込み、荒々しく揉んでいる。
気持ちよくて私は背をそらす。
奥深くの熱の温度が上がる。
確かに今日の青は少し性急かもしれない。
焦らされるのも丁寧な愛撫も好きだけど、たまにはこういうのも嫌いじゃない。
胸の頂を含み、吸い上げられて、鼻から抜ける甘い声
「ああ……ん」
ここからヒートアップする。もっとと先の行為を強請る。
青は、指先を段々と下に滑らせて行く。
耳朶を舐め上げ、唇を合わせてキスを交わす。
秘所を捉えた指が、じんわりと潤んだ部分に触れてくると、強く背を反らせてしまう。
円を描くように突起を撫でて、指を奥に入れてきた。
入れる指の数を増やしながら、感じる場所を的確に突いて来る。
感じすぎている証拠に、締めつけをきつくしてしまってる。
「……お願い」
「俺も早く入りたかったよお前の中」
微笑んで、青が私にキスをする。
ぼやけた視界に映るのは、自身にアレを纏わせている青。
そんなに長い時間ではないはずなのに、やはりぼうっとしていたようだ。
気づけば彼自身が入り込んできていた。
あっという間に奥まで青自身が覆いつくす。
「はぁ……青」
乱暴に胸を揉みしだくと同時に律動を開始した。
「沙矢」
青の舌が私のをこじ開け、熱を送り込む。
自分の舌を絡ませ濡れたキスをした。
どうしようもなく狂おしい気分だ。
腰を前後させる青。
汗が飛び散り、私の肌で融ける。
纏わりつくように出這入りを繰り返されて、脳内が白く染まっていく。
シーツを掻き抱く指が、しっかりと掴まれた。
頂を指の間に挟まれ胸をもみしだかれる。
どく、と膣内で青自身が跳ねて存在を主張した。
途端に声にならない声を洩らす。
快楽の出口を求めて、無意識で声を発していた。
「……もう限界」
私の言葉を聞いて、青が奥底まで一気に貫いた。
「あああっん」
一段と高く啼いた。
繋がったままの青が倒れ込んでくる。
その背を抱きしめて眠りについていった。
明け方、未だ眠りについている沙矢の髪を撫でながら、
「プレゼントありがとう。しっかり受け取ったよ。ホワイトデイのお返し楽しみにしておけよ?」
そんな言葉が漏れていた。
今から何を送るか念入りに調べて決めなければ。
沙矢の喜ぶ顔を見るのが楽しみで仕方がない。
バレンタインを忘れたわけではなく、実は朝からそわそわしていた。
誕生日でもないのに何故プレゼントなのか考えたら自然と答えが出たが、
あからさまに顔には出せないので素っとぼけてしまったけれど。
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