「ナミさん、何パーセントくらいだい?」

(何パーセント?)
 たまたまラウンジの前を通りかかったチョッパーは、サンジの言ったその聞きなれない言葉にふと足を止めた。見上げると、ナミが何やら空に向かって手をかざしている。そして、手摺から身を乗り出すようにすると、周囲をぐるっと見渡した。
「そうね……午前はゼロだけど、午後は微妙ね。乾燥してるけど微妙に湿気も含んでるし、雲の流れも早いから60か、悪くて80。最近、安定してるから急激な悪化はないと思うけど、一雨くるかもしれないわ。だから、やるなら午前中がお勧めね。今やってしまえば、風もあるからすぐに乾くはずよ」
「了解」
 すると、こちらを向いたサンジと目があった。
「おい、チョッパー。船にある毛布を全部かき集めて来い」
「え?」
「集めたら、風呂場にそれを持って来い。いいな?」
「あ、う、うん。わかった」
 アタフタしながらそう答えると、今度はサンジが手摺から身を乗り出すようにして
「おい、野郎ども! 洗濯するぞ!」
 と怒鳴った。

 サンジの行動は素早かった。
 迅速且つ的確に支持を出し、男部屋の隅に溜まっていた服や、埃臭くなった毛布やシーツ、テーブルクロスに至る大物まで掻き集め、それを次々に洗い上げていった。
 水の苦手なチョッパーはルフィと協力して、洗濯物を干すロープをマストから手摺へと繋げ、ウソップが運んできた洗濯物を順番に干していった。
 途中、ルフィと一緒に洗ったばかりのシーツにぶら下がって遊んだり、そしたら、風に飛ばされそうになって慌てたり、それが見つかってやっぱりサンジ怒られたりと、色々あったものの、最後にはちゃんと終わらせることが出来た。
 綺麗になった服やシーツが風にはためいている光景は、見ていて気分がいい。
 ちなみにゾロはというと、皆が洗濯をしている間中ずっと水汲みマシーンを漕いでいたらしい。道理で寝ている姿が見えなかったはずだ。

「乾いたら、すぐに取り込んで畳むぞ。ナミさんが雨が降るかもしれないって言ってたからな」
「え、雨? すごく天気がいいぞ?」
「ナミさんが悪くて80パーセントって言ってたからな。きっと降るぞ」

 その言葉通り、洗濯物を取り込んだ後、雨が降ってきた。
 ナミが言うには、島が近くて比較的安定してる場合は大方の予想はつくらしいが、それ以外だと約二割の確立で外れたりするのだとか。やはり、グランドラインの特有さが不確定要素を増やしているのが原因で、急激な天候悪化の予測は難しいのだと。だから100パーセント降ると言えず、80とか曖昧な数値になってしまうのだと言う。それが悔しいらしい。
「でも、やっぱりナミはすごいよ」
 笑って言うと、当たり前でしょ、とナミが笑い返した。
「俺とナミさんの恋の確率も予測して欲しいぜ!」
 それは無視した。



2006/06/30掲載
※「ワンピ好きさんへの100のお題」より

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