近未来遭遇
  1. 筋金入りのド方向音痴
  2. 約束の証
  3. 飲み比べ
  4. 「朝か?」
  5. 毬藻色
  6. 腹巻の代わり
  7. 魔獣と呼ばれた男
  8. 血刀
  9. 夢は大きく大剣豪
  10. ゾロの秘密
  11. 誕生日の想い出

1
「だから、真っ直ぐ行けって言っただろうが! なんで、そこで右に曲がろうとしてんだ、この万年迷子!」
 という、実に不本意な怒鳴り声が後ろの方から聞こえてきた。振り返ってみれば案の定、船の上でサンジが前を指差しながら大声で喚いていた。
「いいか、この方向だ! この方向! 曲がらねぇで真っ直ぐ、真っ直ぐだ! そこの橋を渡って行けばいいんだよ、わかったか!」
 確かに、今ゾロが立っている位置はサンジの指差す方向より、ちょっとばかり逸れていた。いや、本人にしてみればきちんと言われた通りの道を歩いているつもりなのだが、なんとなく右へ行った方が近道っぽい気がしただけで、決して率先して迷子になろうと思っていたわけではない。
 しかし、言われていることが真っ当であることに変わりはなく、それが悔しいのか
「わかってるっつてんだろうが! ちょっと間違えただけだろう!」
 ゾロは面白く無さそうな顔で怒鳴り返した。
「ちょっと間違えたら、速攻で迷子決定じゃねぇか、テメェは!」
「うっせぇ!」
 当たっているだけに、言い返す言葉がない。
 ゾロは、今度こそ間違えないようにサンジが指差す方向を確認すると、そちらへ真っ直ぐに歩いていった。
 後ろから再度「迷子になるんじゃねぇぞ」なんて声がする。余計なお世話だ、そう思いながらゾロは目の前にある大きな橋を眺めた。
 港から街へ繋がるこの橋を渡った先に鍛冶屋がある。そこで刀の砥ぎを頼み、その帰りに大根を買う。それが本日、ゾロへ課せられたお使いであった。

 ―――今夜はおでんを作る。だが、俺としたことが肝心の大根を買い忘れてしまった。

 そう告げてきたサンジの態度は、やけに偉そうだった。
 島の散策へ出掛けようとしていたところを呼び止められ、全然全く褒められもしない事を胸を張って言われたゾロは、非常に迷惑をしていた。しかも、「鍛冶屋に行くついでに、大根も買ってこいや」と先程となんら変わらない、同様な態度でそう付け加えられると迷惑を通り越して不快であった。大根を売っているのは鍛冶屋の隣で、その鍛冶屋は目の前の橋を渡ってすぐのところにあるから、いくら筋金入りの方向音痴で頭に『ド』がつくようなお前でも迷わずに買えるはずだ、と余計な補足まで入れて説明されれば、不愉快以外の何者でもない。
 ここまで言われて、素直に「はい」と言う人間は、まずいないだろう。何しろ相手の態度に問題があり過ぎる。人に物を頼む時にはそれなりの態度というものがあって然るべきであろう。その辺りの事をこの男は全くと言っていいほどわかっていない。
 なので、必然的にゾロが返すべき答えは一つ。間抜けなお前の為に俺が買い物をしてくる義理はない、だ。
 しかし、その決心はサンジの次に続いた言葉によって脆くも崩れた。
「大根なしのおでんで良いなら、別に買ってこなくていいぞ」
「わかった」
 即答だった。
 おでんの大根が好物だというゾロの弱点を突いた、見事な攻撃であった。
 かくして、ゾロは腹巻の中に刀の砥ぎ代と、自ら墓穴を掘った原因である大根、それを買うお金を携え、町へ行くはめになったのだ。

2010/01/31
(2005/11/10初掲載)

2
 今朝、船が着いた島はクロスブリッジと呼ばれる島だった。
 クロスブリッジ島は、中心となる本島の周りを小さな島が取り囲むようにして浮かんでいる島で、外海から来る船は皆、初めに外周に浮かぶ小島のどれかに着岸しなければならなかった。小島が密集し過ぎて、船で本島へ近づこうとすると座礁する危険があるからだ。だから、どの船も小島で錨を下ろし、そこから橋を渡って大きな街のある本島へと移動する。その名の通り、クロスブリッジ島には様々な架け橋があり、どの島へ着岸してもいいようになっていた。
 ルフィ達一行も勿論それに倣い、帆を丁寧に折り畳んで近くの小島に船を着けた。
 小島から続く大きな島はそれなりに広く人口もそれなりに多そうで、街も賑わっていた。特に島同士を繋ぐ数多くの橋はこの島特有のもので、建築技術が高い上に、橋自体に施されている様々な装飾も、その芸術性を高く評価されているらしい。
 無論、芸術なんてものにまるで関心のないルフィなどはそんな話を右から左へと聞き流していたが、ウソップは大はしゃぎで、要所要所の橋に設置してあるスタンプラリーを全部制覇すると言って飛び出していった。他のメンバーもそれぞれの用事を済ませる為に、昼寝中のゾロを自動的に船番にすると、皆船を降りていった。
 それから数時間後。
 買出しから戻ってきたサンジは、すぐに自分が大根を買い忘れたことに気がついた。だが、もう一度買いに行くのは面倒過ぎた。
 で、考えた挙句ゾロに買いに行かせるという案を思いつき、まんまと買い物を頼むことに成功したのだ。
 今は船に戻ってきた女性二人へ紅茶を出して、のんびりしている。
「じゃ、ログが溜まるは三日だっていうから、何もなければその辺りに出発ね」
「そうね。船長さん達もそれくらい観光を楽しめば十分じゃないかしら」
 ナミとロビンは、それぞれが仕入れた島の情報を交換しながら、今後の予定を立てていた。島の治安や海軍の様子、ログの溜まる時間。それらを考えると、どうやら三日後に出航するらしい。
「それにしてもこの島の橋って、全部が全部、理解出来ない形をしているわよね……」
「そう? 面白いと思うけど」
「ここから見える橋はまだマシな形をしてけど、南の方の橋なんてすごいのよ。どれも派手な色で塗りたてられてて、何をモチーフにしてるのかさっぱりよ」
「あれは、観衆から見た秩序って意味らしいわ」
「秩序って……あれのどこが?」
「さぁ、どこかしらね」
 ナミが肩を竦めてみせると、ロビンは小さく笑った。よほど、すごいデザインだったんだろう。
 サンジは二人の前にケーキを載せた皿を置くと、船から見える橋に視線を向けた。その橋もサンジの目から見れば理解しがたい形をしている。紐のようなものがクネクネと橋の周りを覆っているように見えるが、無数の蛇が群がっているようにも見える。不思議な造形と言えば聞こえがいいが、気味が悪いと言えばそう見えなくもないデザインの橋だ。
「そういえば、あの橋の面白い噂を聞いたんだけど」
 ふと、思い出したようにロビンは紅茶の飲む手を止めると、その橋の方を見た。
「噂って、どんな?」
「噂というか、昔話みたいなものね。古くから伝わる夢のような話」
「ああ、よくある伝説とかそういうの?」
「似たようなものね。あの橋を渡ると、会いたい人に会うことが出来るらしいわ」
「会いたい人って……私、あそこを通ったけど別に誰とも会ってないわよ」
「だから、昔話みたいな話なの。あの橋は夢見の橋って言って、ごくたまに橋を通った人に夢を見せるんですって」
「夢なの?」
「そう、だから夢見の橋。憧れの相手や愛する人、憎んでいる人とか、それから死んでしまった人も。会いたくても会えない人に、あの橋の上でなら会えるそうよ。あの橋には現実と夢の狭間があって、時々人々にそんな幻を見せるらしいの。でも、橋を渡りきるとその幻は皆消えてしまう。消えてそれが夢だと気がつくと誰もが溜息をついてしまう。そこから付いた別名が、溜息の橋」
「現実と夢の狭間ねぇ……」
「あの橋の装飾の意味は、囚われた幻想。夢の世界へ引き入れる手のイメージですって。面白いと思わない?」
「全然、夢なら興味ないわ」
 現実主義者のナミが言い切ると、ロビンはまたクスクスと笑って紅茶を飲んだ。
「でも、夢でもいいから会いたいって気持ちはわかるかも」
「そう?」
「私も……会いたくても会えない人がいるから。ロビンは?」
「そういう人なら私もいるわ」
 ロビンが柔らかく笑うのを見て、ナミもそれにつられるように微笑んだ。会いたくても、二度と会えない大切な人。みかんの木をふっと眺めた。
「サンジ君は、どう思う?」
「俺?」
「そう、会いたい人がいる?」
「うーん……会いたい人ねぇ……」
 すぐに思い浮かばず、サンジはカップにお替りの紅茶を注いだ。クソジジィは別に死んでねぇし、今すぐ会いたいとか、そんな間柄でもなく、レストランの面々に対してもそれは同じだ。
 そういえばあいつはどうなんだろう。
 思い出したのは、橋を渡って街へ向かった緑頭だ。目の前の琥珀色の液体を眺めながら、あの男の持つ白い刀を思い浮かべた。ゾロより強かったという女の子、世界一の剣豪になる約束、その証。
 あの日、懐かしそうに話す横顔を見て、その子に会ってみたかったと、ごく自然に自分はその言葉を口にしたように思う。

2010/01/31
(2005/11/10初掲載)

3
 随分前。
 サンジが仲間に入って間もない頃、一度だけゾロに酒の飲み比べをしようと持ちかけたことがある。今なら、そんな馬鹿な真似をしようとは思わないが、当時はまだゾロがどれだけ上戸なのか知らなかったのだ。結構飲めるな、くらいの認識しかなく、自分もそこそこ飲める口だという自信もあって、「勝負しようぜ」などと軽い気持ちで言ったのだ。しかも、自らの首を絞めるような罰ゲームまで決めて。
 罰ゲームは、自分の恥ずかしい体験談を語る、だ。
 そして、結果は言うまでもなく、ゾロの勝利。そろそろ自分は限界だろう、という地点でも、ゾロは顔色一つ変えずに黙々と飲んでいた。おそらく、あのまま飲み続けていれば確実に船に積んである酒全てを飲みつくしていたはずだ。
 仕方なくサンジは語った。語りまくった。レストランの修行時代の失敗談に始まり、付き合ったレディの話、そこから広がる猥談の数々。自棄になっていた事もあるが、酔って、相当頭がユルくなっていたのだろう。最初は渋々といった感じだったのが、気がつけば聞かれてもいない余計な事まで話していた。
 それからゼフと遭難したあの日々、憧れのオールブルーの話も。
 何故そんな事まで話したのか覚えていないが、多分、自分は楽しかったのだと思う。いつになく饒舌だったのは、同じ歳の気安さからだったのかもしれない。珍しく、二人で冗談を言っては笑い合ったりして。
 そういう雰囲気が後押しして、ゾロも同じ事を思ったのだろうか。
 サンジの話を聞き終わると、ポツポツと昔の自分の事を話し始めたのだ。サンジの夢を聞いて、自分も話そうと思ったのか。その辺りの真意はわからないが、もしそうなら随分と律儀な男だと思った。同時に鷹の目と戦った、あの日の姿が瞼に浮かんだ。あの時、ゾロが負けないと言った意味をサンジはその時になってようやく理解したのだ。
 それからだろうか、あの男が気になるようになったのは。
 いつの間にか、あのまっすぐ前を見つめる目に、自分は惹きつけられていたらしい。拙いと思った時には、遅かった。
「あいつ、遅ぇな……」
 ふと顔を上げると、あの奇妙な形をした橋が見える。そろそろ夕飯の支度を始める時刻だが、見慣れた緑色はまだ見えてこない。
 とりあえず、先に大根の行方を心配した方がいいのかもしれないと思った。

2010/01/31

4
「む?」
 ゾロは口をへの字を曲げて、上を見上げていた。右手には大根の入った袋。腰には一本の刀。砥ぎに出した三本の刀の代わりにと、借りた刀だ。
 真っ直ぐに歩いて帰ってきたはずなのに、何故か島のあちこちを歩き回って二時間あまり。ようやく見覚えのある形をした橋を渡り、二時間前に自分が居た港の景色を見つけた。
 そう、見つけたはずだった。
 ゾロは上を見上げながら、首を傾げた。確かにこの場所だったはずだ。渡ってきた橋も間違っていないはず。
 それなのに、何故かそこにあるはずの自分達の船がない。代わりにメリーではない、見たこともない船首の船が停泊していた。
 似た様な港に来てしまったんだろうか。そう思い踵を返そうとしたが、ゾロはそこで不思議なものを見つけた。それが今、ゾロを悩ませていた。
 遥か頭上にある船の旗が、風でバタバタと音をたてて棚引く。ゾロはそれを見上げながら、もう一度首を傾げた。見たこともないその船の旗に、麦わらの髑髏が描かれているのだ。
「……朝か?」
 思わずそんな事を言ってしまうくらいには、混乱していた。自分はまだ寝ているのだろうか。
 すると、すぐ後ろから声がした。
「もう夕方だ、アホ」
 聞き覚えのある皮肉気なその声に、反射的に振り返ると、思った通りの人物がそこにいた。
 だが、そう思ったのは一瞬。すぐにそれが勘違いだと気付く。
「……誰だ?」
 聞き間違えるはずがない声。特徴的な眉。銜え煙草に、いつもの黒いスーツ。
 けれども、中身が違った。
「誰だ?」
 向こうも顔を顰めて、こっちを見ている。
「ゾロ……だよな?」
 そう呟いた男は、二時間前に自分を買い物へ送り出した男より、もっとずっと大人びた風貌をしていた。知っているようで、全く見知らぬ顔。
 いつの間にか持っていたはずの袋が、手の中から滑り落ちていた。 

2010/01/31
(2005/11/10初掲載)

5
 店から出てきたサンジに気がつくと、チョッパーはトナカイの姿でトコトコとサンジの元へ駆け寄って行った。
「どうだった? ゾロ、此処に来たって?」
「ああ、此処には寄ったらしいがそれからどこに行ったかはわからねぇって。そっちはどうだ?」
 訊かれて、チョッパーはもう一度、鼻をフンフンさせて周りをくるりと探ってみた。しかし、何度探してもゾロのニオイを辿ることが出来ない。小さく首を振ると
「やっぱりわからねぇ。微かにニオイは残っているんだけど、人が多すぎて混じっているから」
 そう言って、すまなそうに溜息をついた。
「お前の所為じゃねぇよ、あれがどうしようもねぇ方向音痴なだけで。つうか、マジでどこ行きやがったんだ、あのクソ野郎は!」
 サンジが喚くと
「なんでゾロはあんなに方向音痴なんだろうなぁ……」
 しみじみと、本当にしみじみと、チョッパーは呟いた。

 ゾロが出掛けて、あれから数時間。
 サンジはチョッパーと一緒に、ゾロが来たであろう鍛冶屋へと赴いていた。
 どこをどう通っても、およそ一般的な感覚からすれば二十分弱で到着出来るであろう店に出向いたはずのゾロは、案の定というべきか、お約束というべきか、いつまで経っても船へ戻ってこなかった。
 そこで仕方なしにサンジはチョッパーを連れ立って、ゾロの捜索に来たのだ。ただでさえ、下準備に時間がかかるおでんを作ろうとしているのに、待てど暮らせどゾロが―――いや、大根が来ないのだから。
 鍛冶屋の店主にゾロについて尋ねると、船を出て割りとすぐにこの店へは来たらしい。どうやら、此処までは迷わずに辿り着けたようだ。
 しかし、問題なのは鍛冶屋を出たその後だ。そこから先の、ゾロの足取りが全く掴めない。
 大根を買う為、隣にある店にもゾロが来たかどうか訊いたが、来ていないと言われたのだ。鍛冶屋を出てすぐ、目と鼻の先に大根が並べてあるというのに、一体あの男はどこまで大根を買いに行ったのか。
 一応、近くの店でも同じ様に訊いてみたが、誰もあの毬藻色を見ていないらしい。あれだけ特徴的な頭の色をしている男だ。何かしら買い物をすれば、少しくらい印象に残るはずだ。だが、どこの店で聞いても誰もあの色を見ていないというのだ。
「どこ行ったんだろうなぁ、ゾロは」
「さぁな……とりあえず一旦船に戻るぞ」
「戻るのか? 早く探さないと夜になるぞ?」
「ほっとけ、自分一人ならどうにかすんだろ」
 そもそも、ゾロがこんな風に迷子になって船に戻って来ないこと自体、珍しいことではなかった。あの類い稀なる方向感覚故に、前にも何度か行方不明になっているのだ。ナミが言うには、この島のログが溜まるのに三日はかかるらしいから、普段ならそれまでにゾロが戻ってくればなんの問題もなかった。暗黙の了解の内に、野放し決定になっているはずだった。
 それが、今日はたまたま大根を買うというお使いを頼んだが為に、わざわざ探しに来なければならなかったのだ。
「ったく、使えねぇヤツだ……」
 そして結局、サンジは自分で大根を買うはめになったわけだ。
 しかし、ぶちぶち文句を言いながらも、そこはコックさんなだけに、ちゃっかり値切って、おまけに林檎も付けて貰った。そんな買い物上手な内容にはご満悦であったが、二度手間になったことに変わりはない。元を正せば自分の買い忘れが原因ではあるが、それにしたってこんなどこのお子様でも出来るようなお使い一つを満足に出来ないあの男は、本当に使えない人間だ。いや、人間以下でやはり毬藻だ。藻だ。
 金輪際、あの藻には絶対に何が何でも、買い物は頼まないとサンジは心に誓った。

2010/01/31
(2005/11/15初掲載)

6
 ゾロ捜索を打ち切った二人が橋の近くまで戻ると、すでに辺りは夕闇に包まれ始めていた。橋から見える夕日は、海に反射してキラキラしている。
「サンジは、明日どうするんだ?」
「そうだなぁー、倉庫整理して残りの買出しでもしておくかな」
「明日の船番は誰がやるんだ?」
「だよなぁ……あの野郎がいねぇからなぁ。倉庫整理するから俺が居てもいいが、お前も買い物すんだろ?」
「うん、薬と本が欲しいな」
 そんなことを二人でのんびり喋りなら歩く。
 しかし、橋を渡りきる少し手前で、急にチョッパーが立ち止まった。何事かとサンジが振り返ると、チョッパーは辺りを見回しながら、何故か鼻をフンフンとさせている。
「なんか……ゾロのニオイがする」
「ハァ? あの野郎、帰ってきやがったのか」
「そうかもしれない。あっ……あそこに何か落ちてる!」
 チョッパーが言うその方向を見て、サンジは思いっきり顔を顰めた。見たことがあるものが落ちているのだ。
「なんでこんな所に腹巻が」
「これ、ゾロのだよ。ゾロの匂いがするし」
「だろうな、こんな色の腹巻そうそうねぇだろうし。つうか、なんでここに」
「ここで脱いだのかな?」
「脱いで捨てたのか? 腹巻の代わりに何か買ったとか」
「新しいのを買ったのかも」
「だからってこんな所に捨ててくか?」
 変化は、その時起こった。
 サンジが落ちていた腹巻を手にした途端、グラグラと地面が揺れて足元の橋が崩れ始めたのだ。足場を失ったサンジの身体が宙に浮く。そして声を上げる暇もなく、サンジは真っ暗な底へと落ちていった。

2010/01/31
(2005/11/15初掲載)
続く……



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