休暇中なのをいいことに、が佐助の部屋に転がり込んで一月ほどになる。最初は新婚さんみたいだね、と照れながら二人きりの生活に幸せを感じていた。一週間経って倦怠期のようにちょっとだけお互いがうっとうしくなった。二週間経つと少し落ち着いてまったり過ごすようになった。三週間も経ってしまうと熟年夫婦のように相手の前を下着姿で横切るのも気にならなくなった。これはこれで悪くないのだけど、刺激が欲しい。それもできれば強烈なやつが。佐助もも口には出さないが、同じことを思っていた。

 金曜日の夜。地上波でやっていた映画が終わって、タイミングがいいのかわるいのか缶チューハイも全部空になってしまった。
「ねえ佐助」
 すぐ後ろにある佐助の顔を覗き込んではパチパチと瞬きながら甘えた声を出した。ふ、と悪戯っぽく笑った佐助はの身体を抱え直して首筋に頭をうずめながら言う。
「冷蔵庫もカラッポだよ、ざーんねん」
「えー……。じゃ、コンビニ行こ?」
「やだ。俺様もう出かけたくない」
「佐助のバカぁ」
「バカですよ」
 さわさわとの身体をあちこち触り、胸を揉んで腕を叩き落とされ脇腹を摘まんで爪を立てられ、しょぼんとした佐助が溜息交じりに呟いた。
「ねーちゃんお風呂入ろっか」
「えっ、もしかして私、臭う?」
 慌てて腕や服の匂いを嗅ぎだした。苦笑しつつ佐助はを後ろからぎゅうと抱きしめると、極めて軽い口調でべっつにー、と言った。
「だってこのままぐだぐだしてたら絶対、俺様がコンビニ行かされるじゃん。さっさと風呂入ってえっちなことしよーよー」
「うーん……、お風呂は入ってもいいけど、エッチはやだ。夜中に見たい映画やるんだよね」
「ひっでー! ちゃん俺様より映画が大事なの!?」
「佐助が一番に決まってるでしょ! だから映画見せて?」
 もぞりと体を佐助に向けて、合わせた両手の指先を唇に添えながらが小首を傾げる。
 上目遣いに覗き込んでくる瞳、瞬きに揺れる睫毛、顔に掛かるサイドの髪、薄く開いた瑞々しい唇、マニキュアなしに桜貝のような色をしている小さな爪、白く伸びる首筋、アップにまとめた髪からほんの少し零れている遅れ毛、左右対称に肩へと伸びる鎖骨、ふっくらとシャツを押し上げている柔らかな胸、捻った体に沿って無駄なくくびれた腰、細いのにむちりとした質感のするふともも、きゅっと細くなった足首から形良く伸びた足先。
 じっくりとの身体を眺める佐助の喉がこくりと上下した。一度大きく見開いたの双眸が楽しそうに細まり、ぷるんとした唇に似つかわしくない真っ赤な舌がちろりと覗いた。
「佐助、勝負しよっか……」
 ひどく甘い吐息と一緒に落とされた声には、ほんの少しの苦味が含まれているようだった。知らず熱を帯びてきた手をの頬に添えた佐助は小さく熱い、と呟く。
「佐助がどこまで我慢できるか、私が試すの。イっちゃったら佐助の負け」
「ふぅん……。じゃあ俺様が勝ったらご褒美はなーに?」
「映画、諦めるから。私を好きにして?」
 佐助の首に腕を回し、は胸を押しつけてくすくすと笑った。









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2009/10/31
よしわたり



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