「さす、け、解いて、よ」
「ヤだ」
 の視界は閉ざされていて、声音だけで佐助が酷く愉しそうに薄い唇を歪ませているのがわかった。くつくつと笑いながらの髪をゆるゆると梳いていた手は顎のラインを辿り、唇の上で止まった。ひゅ、とが小さく息を呑む。その隙間から遠慮なく指が突っ込まれた。
「あ、ッふ……!」
「俺様さあ、ちゃんとのセックスなーんか物足りないって思ってたんだよね。何が足りないんだろ、ってずっと考えてたんだけど」
「や、やら、ぬいれ、よ」
 の両手は背に回されて手首を紐で縛られ、瞼には幾重にも布を巻かれて、足を割って佐助が座り込んでいる。自由になるのは聴覚と触覚と嗅覚、そして舌だったのだが、口内深く突き込まれた指は舌を掴んで離さない。閉じることのできない口の端から、溢れる唾液がとめどなく垂れ落ちる。
「んふ、何言ってんのか判んない。はしたない子、よだれ垂らして。服が汚れちゃうよ?」
 空いている方の手で垂れる唾液を拭う佐助の言葉は上辺だけで、悪戯っぽい笑い声がしたと思ったら、のうなじに冷たい感触が走った。
「ひ、あ!」
「なーに? ちゃんと喋ってくんないと判んないよ?」
 ぺちゃ、ぺちゃ、とわざとらしく音を立てながら佐助は掬った唾液をの体に塗っていく。首筋、鎖骨、二の腕、ふともも。気持ちの悪いぬめりから逃れようと身をよじってみるものの、佐助がそれを許すはずもなく、徒に感覚を刺激するだけだった。
「そろそろ顎がだるいかな? ね、さっきの続き聞いてくれる?」
 ずる、と引き抜かれた手には大きく息を吐く。荒くなってしまった呼吸を整えようにも昂り始めた神経は落ち着く気配をみせようとしない。佐助にそうと覚られないようにできるだけゆっくりと息をした。
「な、なに……?」
 両手での頭を掴んで額同士をくっつけて、佐助はかぷりとの上唇を食む。その柔らかな甘さには小さく舌を差し出してキスをねだる。と、歯がぶつかる勢いで佐助がの舌に噛みついた。
「ッ!」
 痛みに逃げようとするが佐助の腕がそれを許さない。ぐい、と引きずられて深く口付けられる。噛まれて傷が付いたのだろう、血の味が二人の口内に広がる。ちゅうちゅうとの舌を吸う佐助は血の混じった唾液が甘露であるかのように喉を鳴らして飲んでいる。ぶんぶんと首を振ってようやく離れられたの耳に、これまでにないほど熱を帯びた声が笑い含みに届いた。
「俺様、飢えてんの。だから今日は、覚悟してね」
 ぞわり、との背を走ったのは恐怖か快感か。汗で頬に張り付いた髪をどけてやりながらくすくすと笑う佐助が、ちゅ、との額にキスを落とした。




 カーディガンをずらしトップスを捲り上げて、佐助がヒュウと口笛を吹いた。
「かーわいい下着」
「はずかしい……」
 見えないながら顔を背けたにひとつ笑って佐助はブラのホックを外す。解放された胸がたゆん、と小さく揺れた。
「ま、すぐ取っちゃうんだけど」
「ば、ばか」
「バカで結構。白くてやーわらかくてキレイな形してんなー」
 ほう、と感嘆の息をこぼしながらやわやわと包み込むように佐助の手が動く。肝心な所には触れずに強弱をつけてふくらみを揉まれるのがもどかしいのか、の口から洩れる吐息が浅くなる。
「見えないとコーフンする? 固くなってきた」
「うぅ……、そんな、こと」
「ないわけないよねえ? どうして欲しい?」
 ニヤニヤと意地の悪い笑みをみせているのが目に浮かぶような声。
「どうもしなくて、いい……」
「あっそ」
 虚勢を張るに、佐助はぱっと両手を離してしまう。あ、との小さな甘い呟きが隠しきれずにこぼれ落ちた。耳聡い佐助はそれを聞き逃さないくせに、すっとぼけた風を装っての頭を優しく撫でる。
「ん? どしたの?」
「さ、さすけぇ……」
ちゃんがどうして欲しいのか言ってくんないと。俺様なんにもできないよ?」
「……、さわ、って……」
「なーに、聞こえなーい」
 間延びした声を上げてへらへらと佐助は笑う。問い返されて恥ずかしくなったの頬にかあっと朱が差した。ここで言わなければこのままにされてしまうと、根拠のない強迫観念に駆られたは目の見えない不安がないかのように、前に座る佐助の胸に上体を投げ出した。
「っと」
 難なく柔らかな体を受け止めた佐助はの顔を仰向けて、その羞恥と興奮にぬれた表情にぺろりと上唇を舐めた。幸い、佐助がどれだけサディスティックな顔をしようとも、目隠しをしたには判りはしない。優位に立ってあれこれと命じるのは飢えた欲を酷く満たさせる。
 ううう、としばらく躊躇していたが意を決したように唇を噛んで、さすけ、と囁いた。寄せられた眉さえつやめかしい。
「いじわるしないで。お願い、胸、触ってよぉ」
「うっひょう、お願いされちゃあな」
 佐助は嬉々として腰を引っ掴んで軽々と抱きかかえると、胡坐を掻いた上にを座らせる。向かい合わせだった二人の体は佐助がを背後から抱え込む形になって、縛られた腕が不自然に動かされたはぐずぐずと訴える。
「もういいでしょ? 目隠しも腕も解いてよ」
「ダァメ。なんか、こうしてるちゃん見てると俺様すっげー感じるの」
「変態……」
「へへ、そうかも」
 の後ろ手を引いて股間に導く。スウェットパンツを押し上げる熱に触れた白い手はびくりと跳ね、おそるおそる形を確かめるようにそれを撫で上げた。佐助の双眸が喜びに細まる。つり上がった口端から覗く舌が落ち着きなげに唇をぬらす。
「ハッ……、もっとって言いたいところだけど」
「ひゃ、ん!」
 の色づいた唇から悲鳴に近い声が転がり出た。決して大きくはない二つの柔らかな乳房は佐助の手にすっぽりと覆われて、先端を摘まみ上げられている。桜色に染まった肌よりさらに赤いそこをくにくにと弄る指は容赦がない。時折首筋に唇を寄せて耳に舌を差し込んで、耳朶をねっとりと舐めては噛む。はぁはぁと浅い呼吸を繰り返しながら佐助の一挙手一投足に敏感に反応しては高く啼く。自由のきかない両手は意図的に勃ち上がったモノを宛がわれて、奇妙な高揚感にの手はひらひらと踊っていた。
「ねえちゃん、手の紐解いたげよっか? 目隠しはダメだけど」
 耳許で囁かれた誘惑に、深く考えることもせずは首を縦にする。く、と喉奥で笑った佐助が胸の頂をピンと弾いて、その代わり、と続けた。
「手でイかせてくれなきゃお仕置きだから」
 が声を上げる間もなく、強い力でぐるりと後ろを向かされて唇を塞がれる。もう血の味はしない。貪るような激しいキスを何度も何度もされて、初めのうちはなんとか応じていたの息が次第に苦しくなってくる。やめてと言葉を紡ごうとすれば呑み込まれ、いやいやと逃れようとすれば抑え込まれる。いよいよ苦しくなって鼻から抜ける声で必死に叫んでようやく、渋々といったような緩慢さで解放された。
 荒い息を肩で整えていたの、両腕を固く拘束していた紐がするりと解かれて、触れ合った唇が、どうぞ、と微笑を形作った。









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2009/08/27
2009/10/30, 2009/11/20, 2010/01/07 訂正
すごく途中です。
よしわたり



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