「さーて」

 パンツを履き、ジーンズに足を通した佐助がベッド脇のテーブルに置いていたケータイを手に取って、カチリと操作する。ピロリン、と音を立てたそれに口笛を吹いて、まだ荒い息を繰り返しているの上に覆い被さってきた。
「ねえねえ、ちゃん、見て?」
 嬉々として話しかけてくる佐助を無碍にすることができず、は深呼吸をしてうっすら目を開けた。佐助の差し出すケータイの画面には、ムービーを再生しますか、の文字。嫌な予感にが顔を青褪めるより先に、佐助の指は決定ボタンを押した。

 ――ん、っやあ……! やだぁ、さすけ、さすけぇ……! はぁ、ン、きもち、い、い、……もっとぉ……。
 肩をベッドに押しつけられ、うつ伏せに尻を持ち上げた姿のが嬌声を上げている。力なくシーツの上に落ちた腕の隙間からは押しつぶされた胸が、さらりと垂れ落ちている髪の間にははくはくと空気を求める魚のように半開きになった口が、ひどく情欲的にぼんやりと映っていた。ぱんぱんと肌の打ち合う音をバックに、の喘ぎが歌うように聞こえる。いつもは執拗に言葉で攻める佐助の声は、時折雑じる含み笑いだけ。

「こ、これ……」
 震える指でケータイを指し、は縋るように佐助を見上げた。佐助は、恍惚とした笑みを佩いての唇を指でなぞる。ゆっくりと、愛おしげに。
ちゃんがあんまりかわいいんだもん。でも、いつも途中でちゃんってば疲れて眠っちゃうから俺様物足りないの」

 ムービーは止まない。仰向けにされたの足が佐助の腰に絡みつき、抽挿の動きに合わせて胸が揺れる。段々に切羽詰まってきているような甘い声が一際高く啼いて、艶めかしく動いた足がぎゅうと佐助を引き寄せる。強張った後、弛緩したの体を横向けて、片足を持ち上げてキスをした佐助が一瞬カメラを見て笑う。ありありと映し出される、二人の繋がっている部分。

「だからさ、ちょーっと悪いかな、とは思ったんだけど、えっちしてる時のちゃん、撮ったの。ああ、さすがに俺様、これ見ながら抜いたりはしないよ? ――これ、バラまかれたくないよねぇ?」
「どういう、こと」
 にいい、と笑みづくる薄い唇。瞳の中には何の色も見えない。
「バラまかれたくなかったら、がんばろっか?」
 パチン、と閉じられたケータイを追うの視線を手を翳して遮った佐助は、くつりと喉を鳴らしての耳許でささやいた。

「さ、ちゃん。もう一回、ね?」








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2009/11/14
小ネタほどの短さしかないけど、あまりに破廉恥だろうという判断を下しました……。私の破廉恥センサーは真田より厳しいです。
よしわたり



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