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ギャラメタ小説「記憶」

彼が最期の一撃を受けた時、ほんの数秒だけ時が止まったように感じた。
残像が砕け、余韻の中で…彼が切なそうに歪められた瞳を向けてきたのを覚えている。


記憶


『ダークメタナイト…?』

その意味が知りたくて、彼に手を伸ばそうとする。
しかし、それは叶わなかった。

それから間髪を入れずに、目前にいる小さな戦士が"元凶"を打ちのめそうと闇に引き込まれていくのが視界に入り、はっ…と我に帰る。
手元にあった伝説の剣。彼の無事を祈りながら、それを投げ入れることしか出来なかった。

本当ならば共に闘うべきだったのだろうが、その時の私はそこまで気が回らなかった。
ただ、自分の半身が散りゆく瞬間だけが何度も何度もフラッシュバックしてー


「…おい、大丈夫か?」
ゆさゆさと身体を揺すられ、声を掛けられる。
メタナイトはゆっくり目を開くと、先程までの光景が夢であったことを思い知らされた。横には心配そうにメタナイトを覗くギャラクティックナイト。

「起こしてしまってすまなかった」
咄嗟にギャラクティックナイトへ頭を下げる。
「いいや、我は平気だ。何か悪い夢でも見たか?」
「…遠い昔の記憶を思い出してしまったようだ」
「昔の記憶?」

今までギャラクティックナイトにはダークメタナイトの話をしたことはなかった。そもそも話す機会そのものがなかった訳だが。
「以前、鏡の国が突如大暴走する事があった」
「知っているよ。汝がディメンションミラーに軟禁されたこと、そして最終的にカービィがダークマインドを討伐して事なきを得たということもね」
ふふっ、と仮面の中で微笑むギャラクティックナイト。

「この期に及んで軟禁された日々を思い出した?」
「違う…寧ろディメンションミラーの中での経験は私の考え方を少しだけ変えてくれた」

ー私が夢で見たのは、ダークメタナイトの最期だ。

ダークメタナイトの名を聞き、ギャラクティックナイトは目を閉じる。
「汝は彼に情を寄せていたのか」
「いいや。最期まで彼を受け入れることはなかった。しかしこうして時折思い出すのは何故なのだろう…私にも分からない」
そう言い、メタナイトは窓に目を遣った。
今宵の天気は星の国プププランドに似合わずの雨。大粒の滴が叩きつけられ、地を濃く汚していく。

「どんな奴だったんだい?」
窓の外に向けられた意識を取り戻すかのように、ギャラクティックナイトはメタナイトの頭上に手を添えた。
「私よりも身体の色が黒くて、気丈で目立ちたがりで、傲慢な奴だった。…後は、」
「ん?」
口をつぐむメタナイトの言葉を静かに待つ。
「傷があった。左目に…私が斬りつけたものだ」

ギャラクティックナイトは頭に添えた手をメタナイトの仮面に伸ばし、金具をずらすとそれはいとも容易く手中へと滑り落ちた。
外れた仮面を近くに置くと、そのまま彼の左頬を手袋越しになぞる。
「この辺かな?」
「…あぁ」

伝わってくる体温に安堵し、メタナイトは目を閉じた。指先はやがて目蓋をなぞり、自分が過去につけたダークメタナイトの傷を癒すかのように何度も優しく撫で上げた。
「汝は潜在的に後悔しているのではないか?」
「ダークメタナイトを斬ったことを、か?」
「うん。だって仮にも半身だろう…それが汝の欠点を集約した存在だったとしても」

それを聞いて、思わずメタナイトは自分に触れていたギャラクティックナイトの手首を掴んだ。
「私が目立ちたがりで傲慢だと…?」
彼が感情的になることを予め想定していたギャラクティックナイトはどこふく風でもなく続ける。
「おや、未だに受け入れないんだね。気付いているかいないかは別として、汝は自己顕示欲に溺れているよ」

だから今の汝では我には絶対に勝てないー、そこまで言われて、メタナイトは恋人という立場を忘れて殴りかかりそうになるのをかろうじて抑えた。
「…っ!!」
「そう怒るなメタナイト。欠点は誰しもにあるものであり、排除しようとすればする程大きな負のエネルギーに変わるものだ。汝に必要なことは"欲に溺れた自分に気付くこと"、"その欲を外に見せないこと"…そして"我慢した分を上手く発散すること"の三点じゃないのか?」

あっさりと解決案を提示するギャラクティックナイトに、怒りを忘れて唖然とするメタナイト。
「ふふっ。いくら冷静を装っていても追い詰められたら顔を真っ赤にしてカービィを追い掛けるようじゃ、我から言わせるとまだまだ青いよ」

「っ…失礼致しました」
メタナイトは手首を離し、一歩下がると片足を布団に着けてひれ伏した。
「逆に言えばまだまだ伸び代があるということだよ。汝は我よりも遥かに若い。これから時間を掛けて共に答えを探ってもいいじゃないか」
「ギャラクティックナイト殿…」

ギャラクティックナイトは下げられたままの顔を指先で上に向かせると、触れるだけのキスをする。
「ダークメタナイトは汝に沢山の遺産を残したんだね」
「遺産…」
「うん。彼の言動や戦闘スタイルで特に印象に残っているものは、これから汝が今よりも強くなるために必要な手がかりになるだろう」

そしてメタナイトは本当に…本当に珍しいことだが、自らギャラクティックナイトに手を伸ばし、そのピンクの球体をぎゅっと抱き締めた。
「…私はもっと強くなりたい」
「知ってるよ。ー汝ならなれるさ、メタナイト」
雨の音に掻き消されそうな程小さな声で、二人は囁き合うのだった。


ーそれから数年後にようやくダークメタナイトの本心を憶測出来るようになるなど、当時のメタナイトは知るよしもなかった。

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キャラが定まっていないのですが、ギャラさんってこんな感じの人かなと思っています。
読み辛い文章でスマソ…。

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