「スクール水着」





温水プールに行きたい、と言い出したのはみおりちゃんだった。
みおりちゃんの頼みごとに俺は情けないくらい弱い。
俺は泳がないけど付いていくだけならいいよ、という条件で、OKをした。




「ね、いいでしょ?」
俺の前でくるりと回って見せ、みおりちゃんはえへへ、と嬉しそうに笑う。
「どう? 深道」
どう、といわれて、俺は返答に困った。
みおりちゃんが着ているのは時期はずれのスクール水着。
今時正統派の紺色の、野暮ったいデザインの元祖スクール水着。
「みおりちゃんさ、……ワンピースの水着持ってなかったっけ。花柄の、さ」
いけない。
ちょっと、この格好は正視できない。俺はゴーグルの下で視線をそらせた。
そらせながら、ちらちらと見る。
……こっちの見方のほうが余程イヤラシイか。
「あれねぇ、お尻のところがきついのよ」
にべもなく言うみおりちゃんの着ているスクール水着は、当たり前のように幼いボディラインをかなり露骨に強調した。
安物なのか生地が薄いのか、カップが入っていないのだろう。
胸のポッチまでしっかりくっきり。大事なところまで、そんなにくっきり。
ロリータ雑誌のグラビアじゃないんだから、という言葉を俺は飲み込んだ。
「新しく買うのもなんだし、時期も時期だしスク水でいいかなって」
……お尻、ちょっと食い込んでるのに気付いてるんだろうか?
「深道ならこーいうのスキかなって思ったんだけど、どう?」
「……そりゃ、大好きだけど」
そんな格好で、そんな風に上目遣いで見られちゃ、ね。



「大好きだけど……こんな格好のみおりちゃんを、他人に見せるのは嫌だな」




他人に見せられないくらい、汚してしまいたくなる。
濃紺の生地に、欲望の白濁をぶちまけたくなる。
半脱がせくらいで……四つんばいにさせて後ろから……って、待て。深道。
駄目だ。
ついこのあいだ、毎月の来客がちょっと遅れてかなり焦って以来、あれはもう暫くしないって、決めたばっかりなのに。
しばらくって……そう、せめてみおりちゃんが中学に入るまでは、と。
……それでもロリコンには変わりないんだけどな。
「―――新しいの、俺が買ってかげるから。スク水はやめようよ」
「……そりゃ、買ってくれるのは嬉しいけど、でもさ」
「だから、早く着替えて。新しい水着、買いに行こう」



早く着替えて、みおりちゃん。
俺の我慢が効いているうちに。
(END)




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