『後ろから抱きしめて』






「後ろから抱きしめてくる男は、慣れてるか浮気性なのよ」
学校でお弁当食べてる時、ユウちゃんが(自信たっぷりに)言った言葉。



「まぁた始まった、ユウの恋愛論」
呆れ顔のみちるちゃん。
「ユウちゃん、慣れてるって何が?」
分かってない蓮華ちゃん。
「……ふぅん、そうなんだぁ」
分かってるのか呆れてるのかどちらともとれない、適当な相槌を打ってしまった、私。


……慣れてるか、浮気性か。


多分アイツは……前者?




学校が終わって、向かったのはアイツのマンション。
「おかえり、マキ」
パソコンに向かってたジュリエッタは手を止めて、眼鏡を取って。
部屋の入り口に立っていた私に振り返る。
「早いな、今日は」
「ん、ユウちゃんもみちるちゃんも今日はバイトがあるから、遊ばなかったの。
学校終わって直行してきたんだけど」
バッグをソファに置いて、屈んでソックスを脱いで……。
……脱いでたら。
「マキ」
後ろから、抱きしめられた。
「……」


後ろから抱きしめる男は、慣れてるか浮気性。
ユウちゃんの、恋愛論。


後ろから私を抱きしめて、その後。
手を滑らせて、太ももを撫でて、もう一度上に返ってスカートの中……に。
「ん、あ」
ジュリエッタの指はショーツの上から、割れ目を……確認するようになぞって……。
「駄目、っ」
「駄目なことはないだろう?」
「……シャワー浴びてないっ……」
「後で一緒に浴びたらいいだろう」
僅かな抵抗ははかなすぎた。
駄目じゃないけど、……来て直ぐってのは、いつものことだけど、……ちょっと抵抗ある。
なのに気にしないジュリエッタ。
慣れた手は制服のスカートのホックを外し、化繊は床にすとんと落ちた。
「や、もうっ」
抗う手を押さえ込まれたら、後はもう、なし崩し。
流されて、流れるがまま。




「……あぁ、……ッ」



この部屋の空気を震わせるのは、水音と私の喘ぐ声だけになる。





フローリングの上に寝かされて、足を広げられて。
その間に、顔をうずめるジュリエッタ。
慣れた手と舌使い……慣れてる。やっぱり。ジュリエッタは。
「はぁ……ッ、う、ん……ッ」
その快感に翻弄されながら。
私は、……ユウちゃんの恋愛論は半分は当たってる、と思った。


次にユウちゃんが恋愛論を口にした時は、みちるちゃんが呆れる分、蓮華ちゃんがわかってない分、
私は思い切り肯定してあげよう。



そう、思った。








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