『クリスマス・クリスマス』







「……これ、何?」
差し出されたクリスマスプレゼント、袋を開けた瞬間に思わず口から出た一言。
「何って、……カイに、クリスマスプレゼントだけど」
サンタ柄の包み袋の中身は、真っ赤なブーツ。
そう、あの子供向けの、お菓子が色々入っている赤いブーツ。
金次郎のくれるプレゼント、別にブランドのバッグだとか……そんなもんは最初から期待はそんなにしてなかったんだけど……。




……それにしたって、さ。
私があげたのは、新しいスニーカー。一応メーカー物だってのに。




「カイ、甘いお菓子は嫌いか?」
「そーじゃなくて……」
「……気に入らないか?」
「そーじゃなくって、」
本気でこれでいいって思ってるみたいで……ああ、もぉ……金次郎ってばほんっとーに……お子様。





……ま、金次郎らしいといえば金次郎らしいんだけど……。





高校生同士、それも私と金次郎のクリスマスは、世のカップルみたくロマンチックとは程遠い。
ラーメン店で二人して特大ラーメンを競うようにがっついて、帰って来てからのプレゼント交換はさっきの通り。
ジャージと学ランのカップルはそれでも世間並みに背伸びをして、キスをして、部屋に小さなクリスマスツリーを飾る。
「……カイ、」
「んっ……、金、」
金次郎とついばむようなキスをして、ベッドに押し倒された。
薄暗い部屋、ツリーの照明だけがキラキラと明るくて、それはちょっとだけロマンティック。
私のジャージをいつもみたく脱がせた金次郎はびっくりしたような顔をする。
「どーしたの?」
わかってるくせに、したり顔で聞いてみる。
「いや、その……」
「金次郎は知らないと思うけど、クリスマスはね、このくらい頑張るモンなの、女の子はね?」
クリスマスカラーの赤いブラと、ショーツのセット。いつものより、レースもたくさんついてて、透け具合とかショーツのラインがちょっときわどくてエッチっぽくて……。
ちょっと派手だけど、クリスマスなんだし、と思い切ってみた。
「そ、そうなのか……?」
金次郎、まじまじと見て……ちょっと、そんなにまじまじ見られると恥かしいかも……中身はいつもと一緒だけど、器が違うとそれなりに見えるのかな。
「そうよ、知らないでしょ?」
「ああ……」
「頑張ったの、金次郎の為に」




本当はクリスマスってのはもっと厳かに過す日だってのに。
この国くらいよね、一年で一番、この日に男と女がエッチをする国なんて。
それでも……それでも。
「あ、っ……金次郎ッ、」
ブラ越しに、私の胸に頬を寄せて。愛しい、と金次郎の顔には書いてある。
「……じゃ、カイの頑張りに、俺も応えてみようか」
「どうやって?」
「……こうやって」
ショーツの隙間から、金次郎の指がすっと潜り込んできて。
「あ、ッ!」
敏感な場所を真っ先に探り当て、いきなりそこを攻め立てる。
「や、金次郎ッ、」
「駄目だ、逃げるな、カイ」
「そんなの、無理ッ、ア、……ッ」
赤いブラもショーツもあれよあれよという間に脱がされ宙を舞い、ツリーに引っかかって飾りになって。
「んあ、金次郎………ッ」
「カイ……」
―――その後はもう、完全に金次郎のペースで。





世間並みには程遠いかもしれないけれど。
金次郎と私も、それなりに甘くて長いクリスマスを過す。
背伸びして背伸びして、ちょっと滑稽な私たち。
そんな私たちに、窓際に置いた、あのお菓子の入った赤いブーツはお似合いかもしれない。








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