サングラスの理由
|
どうしていつもサングラスなんですかと聞かれれば、人斬りだからと答えるしかない。
目は口ほどにものを言う。怯んだり驚いたり臆したり、人間だからどうしてもそういう時はある。
しかし相手にそれを悟られては人斬りの商売上がったりだ。
だからサングラスをかける。目を隠せば相手はこちらの心理をうかがえなくなる。
殺し屋って大体サングラスのイメージじゃん? ゴルゴとリボーンは違うけど。
感情を隠すのに、これほどいい道具は無い。
出来れば口元も隠せればベターだからマスクも付けたいけれど、それではもうどこから見ても強盗だ。
コンビニと郵便局と銀行は入った途端絶対通報されてしまう。
「……つんぽさん、何考えてるんですか?」
「えっ」
万斉のシャフトを握ったまま上目遣いでお通が聞いた。
「いや、別に……」
「なんか深刻そうだったから……」
深刻なことっていうか上記のようなことを考えていた万斉はお通の髪を撫でた。
ソファに座った万斉の脚の間に跪いて、しっかりシャフトを握って上目遣いのお通。
サングラスはこういうときに有効だ。デレデレしてやらしいオッサンモード全開の目を隠せる。
クールを装うのも、なかなか大変なのだ。
「仕事のことでござるよ、お通殿」
「こんなときくらい、仕事のことは忘れてください」
「そ、そうでござるな」
お通はぱくん、と亀頭を口にした。彼女は可愛らしい顔をして意外と積極的で、今日も自分からしたいと言い出した。
男冥利に尽きる。口でするのは嫌がる女の子も多いのに、お通はいつもしてくれる。
寝る前にバナナで練習でもしているのか、フェラチオは日に日に上達していく。
「……ッ、ん……ふんほふぁんほっへ、ふぉっふぃ(訳:つんぽさんのって、大きい)」
お通はわざと唾液の音をさせ、喉の奥深くまでシャフトを飲み込んでいく。
苦しくないのかと心配するほど奥深く。
小さな手が竿を扱き、袋を揉む。お嬢さんアイドルですかあなた本当に。そんな声が聞こえてきそうなほど、お通は積極的だった。
(……拙者、幸せでござる……)
あの時捕まらなくて良かった、と万斉は駆け出しの頃幕府に捕まりそうになったときのことを思う。
あのまま捕まっていたら、今頃お通とチョメチョメ(出典:山城新伍)は出来なかっただろう。
きっともうとっくに絞首台だ。
今サングラスを外したら、自分はとんでもなく情けない顔をしているだろうなと万斉は思いながら、
必死にフェラチオをするお通の顎をそっと撫でた。
「んっ、」
万斉の手がくすぐったいのか、お通はシャフトを一際大きく吸いあげた。
「あ、」
油断していた。
出た。
「いーっぱい出ましたね」
口元に零れる精液を手ですくって舐めながら、お通は笑う。
そりゃ三日ぶりだし出来ればもう少し持たせたかったんだけどっていうかもうだめだ。絶対えのん(出典:ジャンプ放送局)みたいな目になってる。
万斉は思ったが、手が勝手にお通の身体を抱きしめている。
「や、ん」
「お通殿、顔も手も汚れてしまったでござるな。風呂にでも入らぬか?」
耳元で囁けば、お通は頬をピンクに染めはい、と即答する。
勿論、風呂に入るだけで終わる二人ではないのだが。
「……お風呂でもサングラス、取らないんですね」
「当たり前でござるよ」
狭い湯船で後ろから抱きしめたお通に聞かれたが、万斉は断固としてサングラスを外そうとはしない。
「拙者は人斬りでござる」
いついかなるときも人斬りたるものはとそれっぽい講釈を垂れるが、実はお通のいないときは風呂と寝るときはちゃんと外しているのだ。
「変なの、つんぽさんって」
変にさせているのはお通殿の方でござるよ、という台詞は、人斬りのプライドとして飲み込んだ。
(幕)
|
戻る