教えて! 銀さん IN 万事屋 1





 ……銀さんが「新八ィ、いいこと教えてやろうか」なんていうもんだから、どうせまともなことじゃないとは思ってたんだ。
「今日の銀さんの講義はぁ、ズバリ! 人生に必要なこと!」とかかっこつけてたけど、パチンコ必勝法だの、タバコ屋の角の自動販売機はよくあたりが出るだの、しょうもないことだと思ってたんだ。
いつも銀さんがいいこと教えてやるなんて言い出したときは、たいていこういうことだったからだ。

でも、今日は違った。



「はいそこ志村新八君、目をそらさない」
先生のように僕にそう言った銀さんの膝の上には、さっちゃんさんがいる。
それも全裸。M字開脚。
頬を染めて恥ずかしそうに(当たり前だよな……)している。
さっちゃんさんを膝の上に抱え上げる銀さんの目の前に正座する僕には、当然、その。
さっちゃんさんのおっぱいもお大事も丸見えなわけで。
僕は緊張と興奮と混乱と銀さんありがとうっていうかこれありがとう? と、これって夢? 夢なら醒めないで? の気持ちで一杯で、正座したまま動けないでいた。
「女性器なんてお前本物見るの初めてだろ? 少々想像と違ってても、コレが現実なんだからな。目ン玉西川きよし師匠みたいに見開いて、ちゃーんと学習しやがれ」
僕のことなどお構い無しに、銀さんは「一時間目ー女性器ー」と授業を始めてしまった。
「はいまずはこれが陰毛。眉と同じ色が基本だよコレ、だから銀さんのは銀色でーす」
と銀さんはいらないおまけつき講釈を垂れてくれ、さっちゃんさんの陰毛を軽く引っ張った。
さっちゃんさんのお大事の毛の色はさっちゃんさんの髪と同じ色だった。
「……あん、銀さん痛い」
痛いってさっちゃんさん、ちょっと嬉しそうなんですけど……。
「はい新八君、ズバリ本物の女性器を見た感想は?」
「えっ……なんか……貝みたい……です」
肉色で、蠢いて、なんかヌラヌラしてて。
アワビとか形容されるのが何となく分かった。
「あー、貝ね。なるほどね。ふんふん。いいこというねチミ」
何がいいことですか。
「まぁ新八君が読んでた漫画とは、随分違うと思いますがぁ……これは一般的な形ですぅ。ま、野郎と一緒で多少個人差はあるけどな」
……漫画? 漫画ってどういうこと?
僕が疑問に思っていると、銀さんは懐をゴソゴソと漁り、出してきたのは……って、エェェェェ!!?? それ僕の秘蔵のお通ちゃんがエッチなことをされる内容のエロ同人漫画アァァァ!!
「ちょっ、何でそれ銀さんが持ってるんですか!」
「いやー実はな、お妙から相談されてな。『(注:声色)銀さん、こんなものを新ちゃんが読んでるの。私もちょっと読んだけど随分偏った情報だわ。こんなものを 信じちゃったらどうしましょう。女の子は初めてでイくものなんだって信じちゃったらどうしましょう。お願い銀さん、新ちゃんに正しい知識を教えてやって頂戴』……ってな!」
「ってなじゃねーよ!!! なに人の部屋の畳の下漁ってんだよ姉上は!! なに引き受けてんですか銀さんは!!」
「うるせえな実家に住んでる限りはそういうことは想定の範囲内じゃなきゃダメだろうがよお前。いやなら庭に穴掘って埋めやがれ。
まぁ俺も読んだけどっ、何だコレ……絵は確かに上手いけどっ、三回くらいは銀さんもおかずにしたけどっ」
「したのかよっ!」
「初めてなのにレイプされてイっちゃうとか潮吹いちゃうとかお通ちゃん17歳なのにパイパンツルツルだとかしまいにゃニプルファックだとか……お通ちゃんなんでもありじゃねえか! 最後の反侍のメンバーにマワされてGOEMONにぶっかけられる話はすげー萌えたけどさぁ、銀さん今度お通ちゃんと会ったとき目ぇあわせられないって!」
「いやあの、僕それはあくまで好きな作家さんなのとオカズ目的であって……決して内容を信じてるわけじゃないですけど……」
「いやいやいや。信じてないのは銀さんもわかるよ、同じ男だからね。でも俺はお前のねーちゃんから、正しい知識を教えてやってくれっていわれたから教えるだけなんだよ。こーいうの読むのは、全部知ってからでも遅くないってそういうことを言いたいんだよ銀さんは」
「……はぁ」
ちなみにこの長文台詞の間も、さっちゃんさんはお大事を晒したままだ。



「……気を取り直して。まずは各部名称。ほれ、コレ参考にしろ」
銀さんは懐からまた何かを取り出した。医学書のコピーらしい。女性器を正面から描いたリアルな絵だ。
「絵だけじゃわからねえだろ、絵と実物対比させて確認しとけ」
「……教えてくれるって言った割りに投げやりですね」
「うるせえ、自分で学びやがれ。あ、ちょっとなら触ってもいいぜ」
僕は渋々絵を拾い、さっちゃんさんに近づいて実物と比べてみた。
「大陰唇……小陰唇……か」
近づくと、なんか甘酸っぱい匂いがする。スンスン、と鼻を鳴らす。
あれ、これって……女性器の匂いなのかな……とさっちゃんさんが「いやっ、恥ずかしい……」とかぶりを振った。
「おいおい、匂いなんてマニアックなものは後にしろよ、新八ィ」
「あ、……すみません……っていうかこういう匂いなんですね……」
「そうだよ、メスの匂いだよ。性の匂いだよ」
さいですか……。
ま、確かに絵じゃちょっとわかりにくいから、実物と対比させるとよく分かる。
花弁って言うけどたしかに花弁みたいだな。つーかあんなに小さい膣口、広がっちゃうんだな……。
「わかるか新八ィ。これが、クリトリスだ」
「あ、っ」
銀さんはさっちゃんさんの包皮をクイッ、と指で器用に剥いた。
充血した、木の芽っていうかつぼみっていうかなんていうか……小さな突起が現れた。
「お通ちゃんが同人誌の38ページ4コマ目でファンの男の子にペロペロ舐められて『ダメです私そんなところ舐められたらイっちゃ今井美樹!』って叫んでヨガってたところだ」
「あんたよく内容覚えてますね! どんだけ読み込んだんですか!」
「で、だ。ここをこうすると……」
銀さんの指が、さっちゃんさんのクリトリスを摘んだ。
「やっ、あ、ああぅっ!」
途端にさっちゃんさんは背中に電気でも走ったかのごとく、ビクビクと震え始めた。
「はい、とっても感じるんだなーこれが。演技無しだからねこれ。……おいさっちゃん、ここすんげー充血してるぞォ? いつもより」
「銀さん……だってこんな羞恥プレイ……興奮するじゃないのぉっ……」
「あーやっぱそうだろ? 公園でやっちゃうよりずっと興奮するだろ?」
あの……あんたら出来てたんですか。いつもよりってどういうことですか。公園ってどういうことですか。
「で、ちょっと強めにやっちゃうとぉ、」
銀さんの指が、まるで押しつぶすように乱暴にクリトリスを捏ね回しはじめた。
「いやぁっ、ダメ、銀さんダメっ! やぁぁっ! いきなりそんなのいやぁぁっ!」
「さっちゃん、久しぶりだからって乱れすぎだぞぉ、クリトリス捏ね回されるのさっちゃん好きだろ?」
「あぁぁっ、好き……好きだけど……もっと優しくしてっ、やぁっ、イっちゃうからっ」
「イっちゃえよ、イッっちゃえばいいだろ? イっちゃえよ、ホラ」
あの……目の前に僕がいること忘れてませんかこの二人。
「ていうか………す……すごい……」
ゴクリ、僕は息を呑んだ。あんな小さな場所なのに、ちょっと指でこねただけであんなに乱れるなんて……。
演技だとはとても思えないし……なんかさっちゃんの膣口からはおつゆみたいなのがドンドン溢れてきてるし……あれが愛液ってやつだろうか。
漏らしたみたいに溢れてるし。膣口がなんかヒクヒクしてるし。
「おい、新八。ちょっとお前マンコに指突っ込んでみろ」
さっちゃんさんのクリトリスをこねる指を弱め、銀さんが僕にそう言った。
「え、っ……僕がですか。っていうか……いいんですか」
「いいよ、二本くらい入れちまえよ」
「やっ、いやよ、銀さん、触らせても入れないって言ったじゃない!」
さっちゃんさんが抵抗する。いやそうだよなあ普通は……好きでもない人に指入れられるってのは……。
「大丈夫だよさっちゃん、ちょっと指二本だけだからさ。ホント。間違ってもポコチンまでは入れさせねえから」
ポコチンってアンタ……もっと言葉選んで下さいよ。
「ホント? ホントね? ……じゃあ、いいけど……」
ここよ、とさっちゃんさんが指差す。物欲しそうになんか口開いて愛液を垂らしていた場所だ。
……って言うかほんとにいいのかな。いいんだろうな……。
「し、失礼します……」
僕は膝でにじり寄って恐る恐る、さっちゃんさんのそこへと指を……入れた。
まず軽い抵抗があって、ヌルヌルしたそこはすぐに僕の指を二本、飲み込んだ。
「わ……あったかい……」
凄くあったかくて、確かに肉って感じだった。温かい生肉? っていえばいいんだろうか。それからジュブ、って音がした。
「54ページでお通ちゃんオナニーしてたろ? つんぽさんから貰ったバイブ入れて『あんっ太すぎルーレット』とか言ってただろ?」
「いやもうそれはいいですって。っていうか僕でもそこまで覚えてませんって」
「102ページのフェラチオの時の顔はリアルでよかったけどなぁ。あれポスターにならねーかな」
「どんなポスターですかっ!」
「……んっ、」
さっちゃんさんが喘いだ。ちょっと、指を動かしてみる。軽く抜こうとすると、膣は僕の指を離さないとばかりに絡み付いて、 また奥に入れるとグッと引きずり込まれそうになる。
「さっちゃんはくのいちだから名器なんだぞお前。愛液も多めだ。ほら、そこちょっと指180度回転させて曲げて擦れ」
「はい、こうですか?」
言われるままに指を180度回転させ、つまりは指の腹が上に来るようにして、軽く指を曲げ、突付くように擦る。
「アアアアアァァァァッッ!!」
さっちゃんさんの声が裏返った。身体が凄い跳ね上がってる。
ちょ・すんごい声なんですけどッ!! 下からお登勢さん怒鳴り込んでくるって!
「はいそこ、Gスポット。275ページでお通ちゃんが久しぶりに会ったGOEMONに指マンされてビクビクッってなってた場所な」
だからもうそれはいいって! どんだけ覚えてるんだよ銀さん!
「はいそこ覚えとけよ新八ィ。で、この状態でまたここをこうすると……」
銀さんの指が、再びさっちゃんさんのクリトリスを擦りはじめる。
「新八、Gスポ攻めてやれ」
「は、はい」
僕はさっきの場所を再び擦った。
「いや、あぁっ、ダメぇっ、やぁんっ! 気持ちよすぎるっ、あァッ!」
さっちゃんさんが感じてる。っていうか悶えてる。でっかいおっぱいをゆっさゆっさ揺らしながら……ピンク色の乳首が勃ってて……。
どんどん愛液が溢れてくる。ヌチャヌチャって言う音が、どんどん大きくなっていく。
「銀さん、銀さんッ!」
「んー、さっちゃんいいねぇ、その顔」
銀さんはさっちゃんさんの肩口に顔を置き、後ろを向かせてキスをしている。
わ……やっちゃってるよこの二人。ちょっとなにそれ、ベロチューですか。大人のキスですか。
……さっちゃんさんの手、今気付いたけど後ろに回って銀さんのポコチン(あ、言っちゃった)をズボンの上から触ってる。
なにこの状態。なんかすごい変な状態。
「新八、さっちゃんのおっぱいに吸い付いてもいいぞ」
「あ……は、はい」
ええい。もうここまで来たらなんでもありだ。
僕は思い切って、指をさっちゃんさんの膣に突っ込んだまま、向かって右のおっぱいの乳首に、吸い付いた。
「………!!!」
さっちゃんさんの身体がビクッってなった。
わ。ちょっと硬い? 味は……わかんないな。でも頬に触れるおっぱいの感触が……マシュマロだ……。
「ちなみに乳首は、クリトリスの7割くらいの快感だ。テスト出るから覚えとけ」
キスの合間に、銀さんはまたそんな豆知識を……ってテストって何ですか。
僕はマシュマロの感触が気持ちよくて、顔を押し付けて乳首をちゅーちゅー吸った。
姉上じゃ多分こういうことは出来ないだろうなって言ったら殺されるな僕……。
僕らは暫くそんな変な状態のまま、ピチャピチャだのグチグチだのちゅーちゅーだの音をさせながら、妙な体勢で引っ付きあっていた。
僕はGスポットだけ攻めるんじゃなくて、入れたり出したりかき回したり……指三本にしたり四本にしたり。色々、した。
「んぅー……ふ、ん……ンンんっ……ん、イ、いくぅっ……イク……」
さっちゃんさんが銀さんから口を離して言った。
「おーし新八ィ、これが女のイくってやつだ。覚えとけよ……」
銀さんと僕の指は相変わらずクリトリスとGスポット。
「ぁああ……イく、イく……イっちゃう……」
さっちゃんさんの声は、ものすごい色っぽい声だった。
「おーし、さっちゃん、イけよっ」
「ダメ…も……イ、く……」
きゅ、って膣が締まった。僕の指を締め付けた。
さっちゃんさんは恍惚とした表情で、あ、あ、と絞り出すような声を上げながらのけぞって、少しの間硬直していた。
これが……イくってやつか……。
ほんとに締めつけるんだ……。
やがてさっちゃんさんは脱力すると、全力疾走した後のランナーみたいに銀さんに凭れ掛かり、酸欠なのかハッハッと苦しそうな呼吸だった。
僕が膣から指を抜くと、どっと愛液が溢れてきた。
「わ。畳が……」
畳にシミができてた。さっちゃんさんは全身に汗かいてて、顔も真っ赤だった。
「……とまあ、今日はこんなとこだ。わかったか、新八」
「はぁ……分かったと思います……」
「んじゃあまあ俺はさっちゃんのアフターケアすっから、お前ジャンプ買って来い」
「……アフターケアって何ですか?」
「アフターケアっていったらアフターケアだ。指だけじゃ申し訳ないから、銀さんジュニアでもう一回イかせてやるんだよ」
……どこがアフターケアだ。
「要するにセックスするから出てけってことでしょうが」 僕は分かりました、と立ち上がって銀さんから財布を受け取って部屋を出た。



あ。指。
さっちゃんさんの愛液がついたままだ。洗わなきゃ、と洗面所に行こうとしたら、さっき出てきた部屋からはもう 『ああん銀さんっ、やっぱり銀さんの股間の木刀がイイッ』とかさっちゃんさんの声が聞こえてきた。
……ヤってんのかよ。
僕は濡れたままの指をまじまじと見詰めた。ちょっと匂いをかいでみた。なんか甘酸っぱい。
ちょっと舐めてみた……変なんだけどなんか……癖になりそうな味。しょっぱい……かな。
そういえば銀さん、一時間目って言ってたけど二時間目もあるのかな。
まぁ……ちょっと楽しみなんだけど。それより僕の股間の木刀、さっきから元気でちょっと困ってるんですけど。
それからあの同人誌。早く返してくれないかな……。


(幕)




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