『朝のセクハラ(豹桃)』




それはほぼ毎朝、校門近くで見られる光景だった。
「桃ちゃん、おはよー」
前を歩く未月を追い抜きざまに、挨拶代わりの黒豹の手が、制服のスカートをバッと捲る。
襞のあるスカートは大袈裟に翻り、スカートの下が露になる。
「きゃぁっ!!」
「あははは、なんや桃ちゃんスパッツ穿いとるやん、おもろーないなぁ」
「ちょっと、黒豹君、セクハラで訴えるよっ!」
スパッツを穿いていようがいまいが、スカート捲りという行為をされた事実に変わりはない。
周りにいる他の生徒達からくすくすと笑い声が聞こえ、それが未月の恥ずかしさに輪をかける。
黒豹には未月の怒りなどどれほども効いていないらしい。
未月の怒った顔と黄色い叫び声が面白くてしょうがないことだけは確かだった。
「はいはい、行列のできる法律相談事務所でも何処でもどーぞ」
「もぅっ!」
黒豹には分かっていた。
未月は怒りこそすれど、何処へも訴えたりしないと言うことを。
それは黒豹の、ちょっとした自惚れだった。
「やっぱり朝は桃ちゃんの太もも見ぃひんかったら元気出んわぁ、今日は元気出んなぁ」
「黒豹君、見物料払いなさいよっ!」
「嫌や! スパッツに見物料は払えん!」
「言ったわねっ! ちょっとっ!」
軽口を叩き、笑いながら逃げるように駆けて行く黒豹と、その後をむきになって追いかける未月。
ほぼ毎朝、繰り返されている光景だ。



「毎朝毎朝、ホンット仲いいっすよね、あの二人……」
その光景を少しはなれたところから見ていた根津は、ぽつりと呟いた。
仲がよくなけば、決してほぼ毎朝などありえない光景だということを、子津はよく分かっていた。
(END)




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