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『秘密の関係』
日付が変わる直前、湾岸沿いにあるファッションホテルのゲートをくぐるスポーツカーが一台。
運転席には、胸元が大きく開いたドレスを着た女。助手席には、どうみても学生としか思えない長い髪の少年。
それだけを見れば、人はその二人の関係を安易に推し量るに違いない。
買う女、売る少年。
女が少年を組み敷いて、まだ青い性を貪る構図を。
けれどそれは、あくまでも事実を知らない者の推測でしかない。
「……ボスは本当にいい趣味をしておられるの」
冷蔵庫から出したエビアンのキャップを捻りながら、ユニフォーム姿のクワットロは、
床の上であられもない格好で自分の与える刺激を待っているディエチにそう言った。
口の端に意地悪な笑みを浮かべ、見下すような眼差しで。
「ん、ッぅ……」
クワットロの視線を感じるディエチは、自分の力ではどうすることも出来ない格好であった。
衣服は一切身に付けていない。口にはギャグボールを銜えて、上気した柔らかな頬には革のバンドが食い込む。
露になった両胸はたっぷりと豊かで、その先端には低周波治療器が付けられている。
くすんだ色の乳輪は大きめで、その先端の乳頭は固く尖っている。
低周波治療器は鈍い音を立て絶え間なくディエチの胸を刺激し続けている。
それだけでも十分感じるというのに、ディエチの両腕は頭の上で一纏めにされ、
ついさっきまで履いていたストッキングを破いたものでガラステーブルの脚に括り付けられている。
両脚はM字に開かれ、使い古された野球のバットが脚と直角に宛がわれ、脚首とバットがやはりストッキングで固定され、
閉じたくても閉じることは出来ない。
バットを入れていたらしい細長いナイロンバッグがその辺りに放り出されている。
秘所を覆っている筈の恥毛は丁寧に剃られ、それなりに使い込まれていると分かる形と色の性器は隠されることなく露になっている。
興奮に充血し、存在を主張しているクリトリスは小指の先程の大きさにまで勃起している。
膣には極太の、男根を模した黒々としたバイブが突っ込まれ、低周波治療器とは違う低い音を立ててディエチの中を自由に暴れまわっていた。それだけではない。薄黒く色づいた肛門の周囲の肉は盛り上がり、
そこからは連なった黒い珠が見え隠れしていた。アナルビーズだ。
「うぅ、……ん、」
幾重にも与えられる刺激を必死に貪るディエチは、腰をくねらせ、口の端から涎を垂らしていた。
この光景を見て、人はなんと思うだろう。高校の野球部の女監督と部員だと言って、一体誰が信じるだろう。
ディエチは体の自由を完全に奪われている。そして、少しでも気を抜けば意識が飛びそうになるほどの快感が絶え間なく襲ってくる。
「ん、んーーっ」
涙に潤んだディエチの瞳がクワットロのほうを見て何かを訴えているのを、クワットロは理解していた。
そしてその潤みは決して苦痛や開放を訴える涙でないことも。
もっと欲しい、もっと虐めて欲しいということを願っているということを。
「他の部員達にも見せてやりたいの……」
クワットロは馬鹿にしたような口調で言うと、ディエチの前に立ち、勃起したクリトリスを、右足の先で軽く踏みつけた。
「んぐぅっ……―――!」
踏みつけられたことによって与えられた刺激に、ディエチが仰け反る。
クワットロは更につま先でクリトリスをぐりぐりと押し付けるように弄った。
「ほれボス、感じるじゃろ?」
「あ、んあああ……ん、んんぅ……!」
「はは……随分と喜んでおられるの」
ディエチはもっといい場所に当てようと腰をうねらせた。
バイブが抜けそうになり、クワットロの足がそれを蹴り、奥へと押し戻す。
「監督、幾ら嬉しくともバイブを落としたらお仕置きをすると言うた筈じゃ」
クワットロの口から飛び出すのは、ディエチを虐める言葉。
「ボスは本当に淫乱じゃ。……淫乱にも程があるがの……」
そしてそれはディエチを更に快楽の深みへと誘う。
ディエチとクワットロのこの関係は言わずとも秘密だ。二人だけの秘密だった。
ディエチは誰かに拘束され、罵られ、虐められることによってしか、性的な満足を得ることができなかった。
学校では教師であり、同時に野球部の女監督でもある。
一方クワットロもまた。誰かの自由を奪い、拘束し、罵り、虐めることによってしか性的な満足を得ることが出来ずにいた。
学校では、野球部の部員であり、主将でもある。
幾ら問題児だらけの学校といえども、画さなくてはいけない線というものはやはりある。
だから、これは秘密なのだ。秘密の関係なのだ。
クワットロはディエチの前に跪くと、ディエチの口を戒めているギャグボールを外した。
「さて、そろそろ……」
それからアナルビーズの端のリングを摘み、軽く引っ張った。
「クワットロ、……あ、あああっ……!!」
鈍い刺激に、声にならない喘ぎがディエチの口からこぼれる。
「ボスは毎回、これをワシにせがむの……よっぽどお好きと見える」
クワットロは笑いながらアナルビーズをゆっくりと引っ張り、焦らすことでディエチの反応を楽しんだ。
「スカトロ趣味に走るのも時間の問題じゃな」
アナルビーズが一つ、じわりと肛門からひりだされる。その度、ディエチの全身を激しい快感が駆け巡る。
「ふ、ぅああ……―――クワットロ、……あ、ああ……!!」
ディエチは消えそうな声を上げた。乳首は相変わらず低周波治療器による刺激で痛いほどに尖り、腫れ、熱を持っている。
バイブは激しくうねり、柔肉の内部を掻き回していた。
クワットロの言葉攻めは続いた。
「ボスのような変態女の相手をする男などおらぬじゃろう?……ワシ以外は。相手がおらぬから、ボスはワシのような部員にまで手を出して、」
「クワットロ、ッ」
「……部員にアナルビーズを入れてくれとせがむ監督なぞ、ボスくらいじゃろうて」
「う……ッ」
言葉攻めと全身への刺激は絶えることがなく、額に脂汗を浮かべるディエチの脳内は沸騰寸前だった。
「さ、とっととひり出してしまわれるがいい」
クワットロの、ビーズの端のリングを持つ手にぐいっと力が篭る。それまでの焦らすような刺激から一転、一気に引っ張られる。
珠はリズミカルに排泄された。
「あ、ああああああ……!!!」
嬌声をあげ、ディエチが白い喉を見せて仰け反った。
「ひぃ……はっ、ぁ、ああ、……は、あッ……」
腸内にあったものは全て無くなり、肛門はぽかりと口を開けてひくついている。
ディエチは全身で息をした。行儀の悪い涎がだらりと口の端から垂れた。
クワットロはバイブにも手をかけ、ゆっくりとそれを引き抜いた。
「んぅ、」
「さぁボス。……今日はどちらの穴から犯されたいんじゃ?」
クワットロのペニスは、ユニフォームの下で固くなっていた。
朝方になり、スポーツカーは再びゲートをくぐって湾岸の国道を走った。
ディエチはあの後、クワットロに膣も尻の穴も存分に犯された。
罵りの言葉も沢山浴びせられ、クワットロが放出した精液を両方の穴にたっぷりと満たされた。
二つの穴が鈍く腫れているような感覚が、まだ残っている。
身も心も充足し、頬を紅潮させたまま、ディエチはハンドルを握っている。
「……そうじゃな。次は露出でもやりますかな、ボス」
クワットロが手を伸ばし、ディエチの太腿に触れる。白くすべすべとした太腿ををやんわりと揉んだ。
「ボスを裸にして縛り上げて、公園のベンチの上に一晩置き去りにしておくとか」
「……あなたに任せるわ、……クワットロ」
クワットロが口にした僅かな言葉だけで、ディエチは下半身が疼くのを感じずにはいられなかった。
次はどんな苦痛が。そしてその向こうにはどんな快楽が待っているのだろう、と。
秘密の関係は、まだ続きそうであった。
(END)
→あとがき
クワディエで裏。
当初スカだったんですが、流石に書き直しました。
裏と言いつつうちはぬるい。
マ●コとか言わせるのはどうも恥ずかしい。
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