『暇つぶしの秘め事（剣凪）』
|
|---|
午前中は検温に始まり、回診に検査にと何かと忙しいけれど、午後はその反動で昼食の後は夕食まで何も無い。
あまり出歩いたりしないようにと言われている上に、病室は個室。午睡かテレビ位しか楽しみはなかった。
だからこそ、と言うべきか。暇つぶしが欠かせない。
シャリシャリ、シャリシャリ。
赤いリンゴは衣を剥がれて瑞々しい身を晒す。
ベッドに横になったまま、ぺティナイフを器用に使う凪の手元を見ていると、リンゴ特有の甘い匂いが鼻をくすぐった。
「これ、蜜がたっぷりでとっても美味しかったのよ」
「へぇ〜、楽しみだな」
昨夜、田舎の親戚から送られてきたというリンゴを、洗濯物とともに凪は持ってきてくれ、俺の目の前で剥いている。
共働きの両親は忙しく、俺の付き添いは殆ど凪だった。
両親は夜、面会時間が終わる頃にちらりと顔を見せる程度だった。
シャリシャリ、シャリシャリ。リンゴを剥く音が響く。
昼下がりの病院は静かだ。この病棟は空室も多いから特に。
「凪、あのさ」
「なぁに、お兄ちゃん」
「これ食べ終わったらさ……」
すがるように差し出した手が、凪の、ぺティナイフを持ったほうの手首にそっと触れる。
「……」
「お兄……」
カラン、と軽い音を立てて、ぺティナイフが床に落ちて転がった。
とっておきの暇つぶしが、始まる。
凪は病室のカーテンを閉め、入り口に鍵を掛けた。
本当は鍵、掛けちゃいけないんだけれど……掛けなくても多分看護士さんは来ないけれど念のため。
そして、薬臭いシーツに手を突いて、ぎしっと軋む音を立てながらベッドに這い登ってくる。
「凪、おいで」
凪の顔はもう赤くなっていて、それが俺には堪らない。
「お兄ちゃん、」
仰向けに寝ている俺の上に凪が跨り、影を作る。眼鏡は掛けたままのほうが可愛いからそのままにして、髪をまとめている
リボンを外す。黒くて綺麗な髪は重力に従い、俺の頬を掠めた。
「脱いで」
自分で、と促すと、凪は頷いて、着ている薄いカーディガンとキャミソールを恥ずかしそうに脱いだ。
大きな胸を覆っているブルーのブラも外し、白い肌を俺の前に晒した。
「綺麗」
何度見ても、綺麗な身体だった。愛しくて仕方ない、妹の身体。
手を伸ばして、胃の辺りから柔らかな乳房を弄ると、凪が小さく「ぁ、」と喘いだ。
紅く色づいた両の乳首を摘み、押し、捏ね回す。
「あ、ああっ……、ん、ぅ」
凪は赤い顔をさらに赤くして、俺の与える刺激に反応している。
腰をもぞもぞ動かし、カプリを穿いた股間を毛布越しに擦りつけて来て……。
腰を抱き寄せて、向かって右の乳房を口に含む。
「い、あ・ん……おにいちゃ、やめ……」
わざと音を立ててちゅちゅう、吸いたてれば恥ずかしさと気持ちよさで凪の声は裏返る。
柔らかくて熱い胸の先端、そこだけが固くなっている。舌先でそれを転がしながら、腰から尻にかけてのラインをカプリ越しに両手で優しく撫でる。
「ぁ―――、ッ・くう、ん……」
子犬のような声。堪えきれない快感に、凪は普段は決して出さない声で反応する。
こんなところでこんなこと。場所と状況は、快感を高めてくれるんだ。
「駄目だよ、こんなくらいでそんな声出しちゃ……」
「……だって……」
狭い個室には、濡れた音と凪の喘ぎ声だけが響く。
冷たい壁に手を突いて、お尻を後ろに突き出した格好の凪。
小ぶりな二つの白い丘の間が、ぬらぬらと光っているのがここからも見える。
何も身に着けていない凪。……なんていやらしいんだろう。
「お兄ちゃん、早く―――」
「わかってる」
薬のせいで少しふわふわする身体のまま、俺はベッドを降りて凪に近づく。
ホントはもっとその格好をした凪の痴態を堪能したいんだけど、……そういうわけにも行かない。
「凪、ヤらしくていい格好……」
凪に覆いかぶさるように、俺も壁に片手を突く。
そしてパジャマのズボンを少しだけ下ろして、……固くなったのを出す。
身体はまだまだで、前より早漏になったような気がする。沸点も微妙に低くなったかもしれない。
「行くよ、凪」
「ん――……あ、あ、ああああッ!」
凪が軽く仰け反る。
「凪、ホラ、っ……」
ぬちぬち、生々しい音を立てながら。
俺は腰を大きくストロークさせ、凪の中に後ろから押し入った。
「……熱い」
俺はため息混じりに言った。だって凪の中、すごく熱い。そして柔らかくて。
「う……ぅン、ッ」
凪が大きく息をつく。凪の熱いうねりに、俺は包みこまれた。
何度やっても何十回やっても、この瞬間が俺は好きだった。
「凪、今日は中で出すから……いいね？」
耳元で囁くと、凪は頷いた。
そして俺は、少し動いただけで、いとも簡単に凪の中に盛大にぶちまける。
実の兄と妹の、秘め事。俺と凪以外、このことは誰も知らない。
昼下がりの、ほんの数十分間の暇つぶし。
（END)
|
戻る