『子津君の悩み』






……昼休みはどうも苦手っす。
一日の中で、学校にいる時間はとても長くて。
その中で、昼休みは本来なら一番リラックスできる時間であるべきなんだと思うんですけど……その。


「……清熊さん」
「なんだ?」
「あのー……そろそろ起きていいっすかね?」
「駄目だ」
ああ、やっぱり。
昼休みの屋上。いつもここで清熊さんとお弁当を食べるのがボクのここ最近の日課というか、日常になっていて。
……恋人って言う言葉は、耳にも身にもくすぐったくて、未だに慣れないんですけど。
毎日のように作ってきてくれる清熊さんのお弁当は、確かにおいしいんですけど、その……。


「膝枕、気持ちいいだろ?」
その後の、清熊さんが(半ば無理やり)してくれる膝枕には、未だに慣れません……。
「あ、はい……とても」
確かに清熊さんの膝はとっても柔らかくて。
「恋人同士なんだから、遠慮すること無いだろ?」
「はぁ、まあ確かに……」
遠慮……してるわけじゃないんですが。
単純に免疫が無いというか……。
優しく髪をなでてくれる指とか、シャンプーの匂いとか、……上を向いたら鼻先2センチの至近距離に接近する、ボーイッシュな清熊さんには不似合いなくらい とっても大きな胸とか……その。



―――リラックスするどころか、かえってドキドキしてしまうんですけど……。




「子津ってさ」
「あ、はっ、はいっ!」
「……緊張するなっつの。そばかす、可愛いよな」
「ど、どうも……」
「野球部の一年連中の中じゃ、わりとしっかりしてるほうだと思うんだけど……なんか幼く見えちまうのはこのせいかもなぁ」
清熊さんはボクの顔を覗き込んで。
その、柔らかい指で。
ボクの鼻から頬にかけて散るそばかすを面白そうにつんつん、とかされると。
下向いたもんだから、大きな胸が顔にちょっと当たったりなんかして……。




……ドキドキしすぎて、さっき食べたからあげが逆流しそうっす……。



そんなわけで。
「……あ、予鈴だ」
五分前を告げる予鈴は、救いの鐘の音に聞こえてしまうほどで。
「子津、もう起きていいぞ?」
「はっ、はいっ」
言われてあわてて起き上がるわけで。
「明日の弁当は何にしようか? 何がいい?」
「えっと……何でもいいっす……」
明日のお弁当はキミで、なんて何処かの誰かさんのような台詞は、たとえギャグでも吐けそうにありません……。




そんなわけで。
五時間目のボクは、疲れがどっと出て授業どころじゃないんです。
こんな悩みは、誰にも言えません……。









(END)




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