『片思いのその果てに』




「……あなたが華武の一軍でエースになれたら、お付き合いを考えてもいいけれど?」


あの子は俺にそう言った。ちょっとからかい気味に。
だから俺はやったまで。
あの子が突きつけた、あの子とお付き合いするための条件を、満たしたまで。


「俺はただ、あの子が提示した条件を満たしたまでだ」

俺が華武の一軍でエースになればいい。たった、それだけのこと。
条件を満たすのはたやすかった。ぶっちゃけ屑桐がいなくなりゃあいいんだ。
そうすれば、自動的に俺が一軍昇格。エースになれる。
思い立ったが吉日。俺、行動派だし。
放課後の練習前、屑桐を呼び出したんだ。学校の体育館裏にさ。
今年の一年はちょっとたるんでやしないかって、もっともらしい理由つけてさ。
まぁこれは実際のことなんだけど……御柳とか、俺らが一年のときだったら絶対シめられてる。
呼び出されてのこのこ来るアイツもアイツだよな。バカ正直って言うか。



んで、俺はのこのこやって来たアイツを、持ってたバタフライナイフで刺した。


「ただ、それだけのことだよ」


屑桐は子供みたいに泣き叫びながら、俺の足元で血まみれになってのた打ち回った。
傷は浅かった。思いっきり、刺したんだけどな。
屑桐の悲鳴を聞いて、直ぐに人が来た。
バレー部の女子連中が駆けつけたんだけどそっちの悲鳴のほうが屑桐より凄かった。



後は……覚えてない。
そっから時間が飛んでるんだ。
俺は今、薄暗い部屋に閉じ込められていて、怖いツラのおっさん達に取り囲まれている。
警察のおっさん達。


「もっと深く、刺しとけばよかったかな……」
俺の言葉に、取り囲むおっさん達の一人がため息を付いた。



片思いのその果てに。
俺は道を踏み外した。





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