キス(ゾロ×ナミ)
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キスが嫌いな女の子っているのかしら?
あたしは大好き。
ゾロとのそれは、一番好き。
「ねえ、ゾロ。……キスして」
二人っきりのとき、誘うのは決まってあたし。
「―――あァ……? めんどくせえな……」
言葉通り面倒くさそうに頭を掻きながら、それでもちゃんとキスをしてくれるゾロ。
普段は不器用で無骨でぶっきらぼうで、その上筋肉馬鹿で。
場の空気なんて全然読めない駄目男。
あたしといる時だって、勿論それは大して変わりないんだけど……でも。
頭を掻きながら近づいてきて、あたしの肩に手を置く。
「ホラ、目ぇ瞑れ……」
「ん。」
身長差10センチ。目を瞑って、ほんのちょっと上を向く。身体は自然とこの角度を覚えている。
キスするには身長差15センチがベストだなんて、言ってたのは誰だったかしら。ノジコだったかしら。
「…………ん。」
「…………」
そして触れる、熱い唇。
荒れた唇。少し厚ぼったい唇。ゾロの、唇。
エッチなことは沢山沢山、それこそレディースコミックスも真っ青なことを毎回してる癖に、どうしてだか
キスはこんなにもドキドキするんだろう。
ゾロとのキスは、こんなに。
嗚呼。すっごい、ドキドキしてる。
「……………ナミ、いつまで目ぇ瞑ってんだ」
「……ん、」
熱い唇が離れ、続くゾロの言葉であたしはようやく目を開く。
オレンジ色のリップが少し付いたゾロの唇。ゾロはさも気持ち悪そうにごしごしと服の裾でそれを拭う。
「……誰もお前の唇なんか見やしねえんだから、口紅塗るのやめろっつってんだろ……べたべたして気持ち悪ぃ」
なんて失礼なことを言いながら。
「……あら、お年頃の女の子がスッピンでいられるわけないじゃない?」
この口紅、気に入ってるし結構高かったのよ……って言おうと思ったら。
「お前の唇の感触、分かんねえだろ……」
「――――………」
普段は不器用で無骨でぶっきらぼうで、その上筋肉馬鹿で。
場の空気なんて全然読めない駄目男。
だけど時々、思いがけなく素敵な言葉をあたしにくれる。
ゾロは目を逸らして、あらやだ顔真っ赤にしちゃって……可愛い。
「……分かった。これからゾロとキスするときは、口紅落とすわね」
「……あぁ……好きにしろ」
好きにしろ、だなんて。素直にそれでいいって言えばいいにね。口下手なんだから。
ま、そこがいいんだけど。
キスが嫌いな女の子っているのかしら?
こんなにも、こんなにも素敵なこと。
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