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ばさばさと乾いた音を立て、ヒナさんのスーツやワイシャツを床に投げ捨てる。
シーリングライトの灯りの元、ベビーピンクのブラとショーツだけになったヒナさんはとても綺麗だった。
細い体は鍛えてるのか無駄なところが全然無くて、ちょっと小さめの胸だって可愛くて。
「―――綺麗」
お世辞抜きでそう思って、ブラの上から胸をやんわりと揉んだ。
「ん、」
眉根を寄せ,少しだけ身を捩る。以外にもうぶな反応に、胸が高鳴る。
抱けと言われてはいそうですかと素直におっ勃っちまうほど俺の相棒は節操無しじゃないんだけど、
ヒナさんのこの綺麗な体とうぶな反応に、相棒は早くも九分勃ちだった。
「全部忘れるくらい、…抱いて」
震える声に、俺はうなずいた。
ナミに振られた俺が、男を振ったヒナさんを抱いている。ちょっと滑稽な、俺たちのセックス。
ヒナさんのブラをずらして、ぷっくりとした小ぶりの胸にむさぼりつけば、ヒナさんは早くもいい反応を示した。
「あ・あッ、エース…」
ピンク色の突起を口に含んで、吸って甘噛みして転がして…。
「ん、っ…」
消えそうな、そそる声。30させ頃たぁ言ったもんだ…。なんていったらまた説教垂れられそうだ。
右手の指を口に含んで軽く湿らせて、ショーツの脇から中へもぐりこんだ。反射的に足が閉じられる。
「ん、ヒナさん、ちょっと足開いて」
ゆっくりと足が開かれ、手が自由になる。
いきなりすぎたか?なんて勘繰りながら、ショーツの中、アンダーヘアーを掻き分けて、目当ての箇所を探る。
柔らかい、ぽってりした女の肉の中、こり、っとした小さな突起が指に引っかかる。
「お、」
発見、とばかりにそいつを押しつぶすように弄ると。
「あ、やぁん…!」
ヒナさんが俺にしがみついて、びくっと体をはねさせる。
「エース、そこ…熱い…」
「ここ、いいだろ?…感じるだろ?触られるの好きだろ?」
耳元でささやいて、耳朶を軽く噛んだ。ヒナさんは頬を赤らめ、頷いたから…何してもOKってことだよな?
唾液で指を濡らすまでも無く、そこはじっとりと湿って、粘り気のあるラブジュースで結構凄い事になってた。
親指の腹で突起をこね回すように弄り、他の指がさらに奥に進んでいく。毒吐いてた上の口と違って、
下の口はラブジュース懸命に吐き出して…そこを、残りの指で攻め立てた。
ぐちゃ、っとちょっとヤラシイ音がして、中にお邪魔する。
「あ、ん、」
拒むことなくそこは指をすんなりと受け入れ、きゅっと締め付けて離さない。
「…感じやすいんだ、ヒナさん」
って言ったら、ヒナさんが目をそらした。恥ずかしいんだ…。
中の、入り口のあたり…まさぐってると、触感の違う箇所があって……ここ…だ。
ぐい、っと突き立てるようにそこを軽く引っかいた。
「あ・ッ―――!!」
大当たり。ついでに突起も強めに弄った。
「や、エース…、ああ、…ッ、駄目え…!」
「駄目なこと、ないだろう?…ね、ヒナさん…?」
「やあ――――…ッ」
Gスポットとクリトリス集中攻撃しながら、小さなキスを沢山落とす。
恥ずかしがる顔、ばっちり目の前で…ぎゅっと目を瞑って、泣きそうな声で。
さっきまで俺に高圧的な態度だった人だとは思えないほど、ヒナさん―――…可愛い。
「もっと感じて?ねえ、ヒナさん、もっと、」
駄目だなんていわれたら、もっと苛めたくなるのが男の性。もっと、弄っちまえ。
「ね、感じて?ね、イっちゃって?」
「駄目、駄目なの、…だって、だって…!ア・あぁ、アッ・ア・ア・…――――――ッ…!!!」
俺にしがみついたまま、あられもない声を上げて、ビク、っと体を一瞬硬直させて、
俺の指締め付けて……―――ヒナさんはイッっちまった。
「ん、はぁ…ぁ、っ」
ちょっと涙目になって…それもまた可愛いくて。
キスで目尻の涙吸い取って、今度は俺が満足する番だって断りを入れ、ジーンズから相棒を開放する。
痛いくらいそれは勃ち上がって…我慢汁で俺のトランクスの中も結構凄い事になってた。
ヒナさんのぐしょぐしょになったショーツを脱がせたら、独特の性の匂いがして、…スゲエ、ヤラシイ。
灯りに照らされた、ひくひくしてるヒナさんのそこは綺麗な色してて、ラブジュースでじっとり濡れて光って……。
――――クソ、早く入れたい、滅茶苦茶にしたい。
「ね、入れるよ…?」
「ん、…」
頷いたから、前から腰を抱えあげ、狙いを定めて一気に―――貫いた。
「ん、く、っ!」
「あ・あああ・…ッ!!」
なんだこれ…スゲエ…――――熱い…―――――……!!
俺はメラメラの実の能力者だから、熱さなんて感じないはずなのに……熱い。滅茶苦茶、熱かった。
「熱っ、…」
思わず口にして、体勢を整え、がくんがくんと数回突き上げる。
「あ、ああああ……!!!」
ヒナさんが顔をゆがめ、俺の首筋に回した手に力がこもる。
「ヒナさん、スゲエ………、ここ…」
指で探るのとは大違いだ……滅茶苦茶、気持ちいい…!
ぬめってまるで別の生き物みたいに蠢くそこを、ありったけの力で突き上げる。
ソファからずり落ちそうになりながら、何度でも、何度でも。
「エース!…エー、ス、…ッ!!、」
かすれた、裏返った声。俺の名を呼ぶ、少しハスキーな声。
ぬぷぬぷ、やらしい音立てるヒナさんの下の口。
「ヒナさん、ねえ、中、凄いよ…、ねえ、…何これ、何で…?ねえ、」
ああ、何言ってんだ俺。んなもん聞いたって分かるもんか。
だって頭ん中ぐちゃぐちゃだ。
突き上げるたびに、背筋を電気が走って、そんでもって胸の奥が、なんだかじんじん痺れてくすぐったい。
―――ちょっと、待てよ……。
―――やばいって、これ…。
気持ちよさに今にも真っ白になりそうな頭の中の、ぎりぎりのところで俺は自分に警告を鳴らした。
ヒナさんを見る。俺に必死でしがみついて、殆どトランス状態で…。裏返った声で喘いで…。
その顔を見てると、その胸の奥のじんじんする痺れが、ますます強くなっていく―――…。
―――まずいよ、なあ…?
だって、この胸の痺れ。覚えがあるんだから……。
頭に浮かんだのは、ナミの顔。
にっこり笑ったあの甘酸っぱい蜜柑みたいな明るい笑顔。
あのとき、ナノハナでナミに一目惚れしたときと、まるっきり一緒の、……胸の痺れ―――……。
「んあ、ああああ・ッ―――――……!!!!」
「エース、エース……ッ!!」
頭ん中、閃光走って、一瞬酸欠になって。
繋がってる所が燃えるかと思うほど熱を持って、中に溜まってたものを全部ぶちまけて――――……。
中出ししちまったと思ったのは後の祭りで……恐らくそれはヒナさんも一緒で……。
でもそんなこと、今はどうでもよかった……。
「ふ、ぁ…あ、…」
引き抜いたら、自分でもかなりと思える量の精液が、どろりと流れ出て…上等の革のソファを汚した。
「ん、はぁ……、」
「エース…」
ヒナさんが起き上がり、俺にキスをする。
ちゅ、と可愛い音を立てて。
くす、と笑う、綺麗な顔。そういえば初めて見た、ヒナさんの笑顔。
―――すっげえ、可愛い…。
俺はヒナさんを抱き寄せ、その唇をむさぼり…。
「もっかい、しよ……?」
耳元でささやいて、まだ元気な俺の相棒を、彼女に握らせた。
……頭の中がボーっとする。
「んあ…?」
目が覚めたら朝。窓の外はすっかり日が高くなっていて、ポスターカラーで塗ったような、
鮮やかな青い空には一片の雲すらなかった。
「あれ?ヒナさん?」
ソファに寝てたのは俺一人。胸に抱いて寝てたはずのヒナさんはいなかった。
(シャワーか?)
ぼりぼりと頭を掻きながら、床に落ちてたジーンズからトランクスだけ抜いて履いて。
リビングの扉が半開きになってたから、他の部屋にいるんだと察しが付いて、廊下に出た。
玄関の直ぐそばの部屋。扉の下から明かりが漏れてた。
「ヒナさん、いるの?」
ノック3回して扉を開けたら、そこはヒナさんの仕事部屋みたいで――――……。
「……エース?」
窓際のデスクのところに、白いワイシャツ一枚のヒナさんが立ってた。
恐る恐る入って、室内を見渡した。
「……………げ。」
思わず出た言葉。
いや、だって。
その部屋は。
壁にはたくさんの賞状と勲章。軍艦の写真。壁の一面を丸ごと使った本棚には軍事関係の本がぎっしり詰まってて。
そして、極めつけは…デスクの椅子に掛かった、背中に「正義」の文字の入ったコートと、MARINEのロゴの入った帽子。
「ヒナさん、……もしかしなくても、海軍?」
俺の言葉に、ヒナさんは頷いた。そしてデスクから一枚の紙を取り出し、俺に見せた。
「白ひげ海賊団、2番隊隊長……火拳のエースこと、ポートガス・D・エース……あなたのことね?」
それは俺の手配書だった。名前の下に、罪状が細かな字でずらずらと並べられていた。
―――参ったな。
よりによって、ヒナさんが海軍だったなんて。まぁ、並みの仕事じゃないだろうとは思ってたけど……。
「海軍本部大佐・黒檻のヒナ、といえば、少しは知れた名だと思うけど、ご存知?」
「知ってるよ、その名前……」
知ってるも何も。うちの海賊団のクルーも何人かお縄になった、腕利きの女大佐だ。
「……どうするの?俺を、捕まえるの?」
「………」
ヒナさんは少し考えて、手にしていた俺の手配書を――――ぐしゃぐしゃと握りつぶし、デスクのそばの
ダストボックスに投げ入れた。
「いいえ、捕まえないわ。……海軍としては……」
ヒナさんはゆっくりと俺に近づいた。そして俺の首に両手を回して、やんわりと抱きついた。
「……そのかわり、一人の女として、あなたを捕まえます…」
俺を見上げるヒナさんを見る。
綺麗な顔。口の端を僅かに上げ、優しく微笑む。
また、俺の胸の奥がじんじんと痺れ始める。
ああ、この感覚――――……これは、そう――――…。
「……ヒナさん、……好きだよ」
その言葉は、俺の口からごく自然にこぼれ出た。
「ずるいわ、エース」
ヒナさんが、ぷ、っと頬を膨らませた。
「…何で?」
「だって、ずるいわ。エースったら…」
ヒナさんは子供みたいにすねた顔をして、俺の耳元に口を寄せた。
そして、俺がずるいというその理由を、教えてくれた。
"だってその言葉、わたくしが先に言うつもりだったのに"、って――――。
太陽が海に沈みながら、水面を朱色に燃やすように染めていく。
あの後、俺たちは何度も愛し合って、未練がましく別れを惜しんだ。
俺は、行かなければいけない身。黒ひげを倒すために。船を隠した寂しい港は強い風が吹きつけ、
停泊している数艘の船が不安定に揺れていた。俺の出発を、ヒナさんは見送ってくれた。
「んじゃあ、そろそろ出るから……」
俺は船に乗り込み、メラメラの実の能力で動力の炎を上げる。
「またそのうち、来るから……」
「……体には気をつけなさいね」
タバコを咥えたヒナさんは少し寂しそうだった。
大きな瞳を潤ませて、それでも精一杯の笑顔を浮かべ、凛としている。
―――じんじんと痺れる胸が、少し痛む。
「じゃ、……さよなら」
岸壁に立つ彼女の手の甲にキスひとつ残し、炎を吐き出す小船に乗って荒波の中、沈む太陽の方角へと走っていく。
「エース………!!」
声の限りの彼女の叫びは、強く吹く風にかき消されて。
長い髪を靡かせながら、いつまでも手を振り続ける彼女を、俺は心から愛しいと思った。
男を振った女と、女に振られた男。
それが、俺たちの始まりだった。
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