『夜逢』



シルクの夜着と、絹糸のような髪。ぎゅっと抱きしめると、上等の香水の匂いが鼻を突く。
縺れ合いながら倒れこんだのは、沈み込みそうなくらいふかふかの天蓋付のベッド。
清潔なシーツに長い水色の髪が泳ぐ。
エースは被っていたオレンジ色のテンガロンハットを取り、ベッドの下に投げ捨てた。
『俺は立派な悪党だな』
エースは自嘲気味に笑い、自分の腕の中で目を閉じているビビの唇を奪った。
「ん、っ…」
慣れた舌を絡め、口腔内を侵して行く。それだけで、ビビの身体が火照っていくのをエースはよく知っていた。


しゅる、という衣擦れの音と共に、シルクの夜着を剥ぎ取る。
薄いカーテンを引いた仄暗い部屋に、ビビの白過ぎる肌が浮かび上がる。
「…これ、まだ残ってんのか」
ビビの白い胸に、首筋に、わき腹に。前に訪れた時、エースがつけた痕が赤く残っていた。
「…だって、前の時、エースさんが、」
あんなに…、とビビは後に続く言葉を恥ずかしそうに濁した。頬を紅く染めて。
「ああ、悪かった。ちょっと強く吸い過ぎたな…これじゃ隠すのが大変だな」
エースは痕を指でなぞりながら、ビビに詫びた。ビビが言いたかったことはわかっていた。
全部言われなくても。この痕をつけたのは紛れも無くエース自身なのだから。
「…今夜は痕が残らない程度にするさ…」
そう言って、ビビの細い首筋に顔を埋めた。


薄暗い、広すぎる部屋に、押し殺した二人の声だけが響く。
エースはビビの白い胸を貪る様に揉み、紅く尖った先端を口に含んで舌で転がす。
「っ、ぁぁっ…、」
ビビの身体が軽くのけぞり、消えそうな声が口からこぼれ落ちる。
右より左が弱いから、左を沢山攻め上げる。先端は舌だけでなく、軽く噛んだり指で摘んだりと様々な方法で、どんどん追い詰めていく。ビビの理性の箍(たが)が外れるまで。
「…もっと、…っ、もっと、舐めて…」
ビビの手が、エースの癖の強い髪を掴み、自分の胸に押し当てる。もっと刺激が欲しくて。掠れた声で、おねだりを繰り返す。
「…っぁ…、」  ぎゅっと目を閉じ、額にうっすらと汗を浮かべ、ビビはエースが与える刺激に翻弄され続けた。
 エースの舌が先端を刺激しながら、左手はビビの下半身へと伸びていく。節の目立つ指が、柔らかい茂みの奥へもぐりこむと、そこは既にじっとりと濡れていた。
「…淫乱な王女様だな、……ま、毎度のことだけどな」
淫乱、という言葉に、ビビがぴくっと反応する。
「やだっ……、そんなこと、言わないで……」
ビビの頬がかあっと赤くなる。毎度のこと、といわれればなおさらだ。
「だって、そうじゃないか?……ほら」
エースはビビの眼前に、湿った指を見せ付ける。
ビビの潤みである半透明の体液がエースの二本の指の間で、ねっとりと糸を引く。
「こっちにはまだ何にもしてねぇぜ?なのにこんなになってた……」
そばかすだらけのエースの顔が、にやり、と不敵な笑みを浮かべる。
エースはその半透明の体液を、ぺろりと舐めた。わざと、ビビと目を合わせたまま。
「……いつもより濃い味だな」
「……やっ……」
恥ずかしくて、ビビが両手で顔を隠す。
その手をエースは無理やり解いた。ビビは抵抗したけれど、力でエースに勝てるわけも無く、あっさり腕は解かれた。ビビの真っ赤になった顔を見て、エースが耳元で優しく囁いた。
「……溜まってたか?……俺が黒ひげの奴を追っててここ暫くご無沙汰してたから……」
尋ねながらエースの舌が、ビビの外耳を舐める。ゆっくりと。
「―――、」
目を瞑ったまま、こくん、とビビが頷いた。
「一人上手じゃ足りないか?」
もう一度、頷く。
「…やれやれ、仕方の無い王女だな、まったく……」
エースが苦笑いを浮かべた。
  「ま、尤も、王女様をそうさせちまったのは、…俺だけどな」
そう、何にも知らなかったビビに、全部を教えたのも、こんな淫らな体にしたのも。
全部エースなのだから。
『……やっぱり悪党だな、俺は』
エースはもう一度、心の中で呟いた。
『たとえ向こうが望んだとはいえ、一国の王女に、こんなこと教えて……』
国王に知れでもしたら、有無を言わさず即処刑だなと苦笑した。


 ビビの細い両脚を肩に担ぎ上げれば、潤んだそこがエースの眼前に晒される。柔らかい茂みの奥には、虐めて欲しいといわんばかりに赤く熟れあがった小さな果実が存在を主張し、エース自身を迎え入れたがっているビビの入り口が、潤みを吐き出しながら規則的に脈打っていた。
「……ああ、こりゃ重症だな……溜まりすぎだ」
エースはそこへ顔を近づけ、熟れた小さな果実を尖らせた舌で小刻みに舐めた。
「あ・ああっっ…!!」
ビビの背中に電気が走り、既に火照った体が益益熱くなる。
「……洪水だな」
エースは軽く口元をぬぐった。
わざと、ぴちゃぴちゃと音を立てる。ビビに聞こえるように。
「エース、さ……っ、」
ビビの声が上ずってくる。
体中が熱い。なのに、舐めているエースの舌はもっと熱い。
ビビの意識が朦朧とし、体の奥から熱いものがじんわりとこみ上げてくる。ビビはそれを逆らわずに受け止め、むしろ流されていく。
「ふぁ…、あぁ、……」
 ビビの両脚が震えだし、エースはビビが限界だと知った。
「……イっちまえ、……淫乱……」
潤みを吐き出す入り口にエースが指を二本、埋没させる。
「ぁあっ……!!」
内壁を擦り、抉るように指を動かしながら―――とどめとばかりに赤い果実を口に含み、きつく吸い上げた。

「あ、ああああっっ……――――!!!!」


ビビの理性の箍が、音を立てて外れた。



静まり返った、広い王女の部屋。天蓋つきのベッドからエースが起き上がり、靴を履いた。
  床に落ちたテンガロンハットを拾い、エースはそれを自分の頭に乗せた。
「……又来るよ。今度は近いうちにね」
たっぷりと疲労し、静かに息を立てて眠るビビの耳元でそっと囁く。
「……ビビが寂しがる前にな」
自分の前でだけ、どうしようもないほど淫乱になる王女の頬に軽く口付け、エースは部屋を去った。



 
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