『愛は例えばこんな形』






夕暮れの道を、二人で歩く。俺とロビンちゃん。
見守るような夕日が、二人を後ろから照らす。
「ちょっと寒くなってきたね」
「ええ、そうね……もう冬だもの」
季節は巡り、いつの間にか冬になっていた。
ああ、もうそんなに経つんだ。二人が出合って。


土手の細い道に、長い長い二人の影が映し出される。
「ロビンちゃん」
「なぁに?」
俺はふと立ち止まって、ロビンちゃんの名を呼んだ。
ロビンちゃんは振り返る。俺は少しだけ背伸びをして、奇麗な頬に、音もなくキスをする。
「……なんでもない。ちょっと、キスしたかっただけ」
「変な人」
照れ隠しなのか、ロビンちゃんは肩を竦めた。
「ねぇ、誰か見ているかもしれないわ」
「平気だよ」
この歳になると、往来で人目を気にせずいちゃいちゃとはしにくいのよ、とロビンちゃんはよく言う。
あと十年もしたら、俺にもその意味が分かるんだろうか。


土手の細い道に映し出された、長い影絵。
俺がロビンちゃんにキスをした瞬間の形の影は、一つの愛の”形”だった。


(END)






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